「Assassins Creed Odyssey」古代ギリシャを生きるオープンワールドRPG

古代ギリシャの海岸線に最初に足を踏み入れた瞬間のことを、いまでも鮮明に思い出す。

コリントスの丘の上から見下ろしたエーゲ海の青さ。白い建物が連なる港町。遠くには島が霞んでいて、太陽が海面をきらきら照らしている。「ゲームのグラフィックにこんなに見とれたのはいつぶりだろう」と思いながら、しばらくじっとその景色を眺めていた。

Assassin’s Creed Odysseyは2018年10月にUbisoftがリリースしたオープンワールドRPGだ。舞台は紀元前431年から400年ごろのペロポネソス戦争時代の古代ギリシャ。スパルタとアテネが激突した歴史的な大戦争を背景に、スパルタ軍人の血を引く傭兵として、プレイヤーは広大なギリシャ世界を駆け回る。

主人公はアレクシオスかカッサンドラのどちらかを選べる。デフォルトはアレクシオスだけれど、公式が「カノニカル(正史)」として扱っているのはカッサンドラのほうだ。彼女を演じるメラニー・リンスキーの声優パフォーマンスは特に評価が高く、カッサンドラを選んだプレイヤーの多くが「こっちにして正解だった」と語っている。

前作「Assassin’s Creed Origins」(2017年)でシリーズの大リニューアルが始まり、「Odyssey」でそのリニューアルが完成形に近づいた。「Assassin’s Creed Valhalla」(2020年)まで続く新三部作の中核に位置するタイトルとして、シリーズのファンからも高い評価を得ている。

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正直に言うと、AC Odysseyは発売当初「RPG要素が強すぎてアサシンクリードらしくない」という批判も受けた。確かに従来シリーズのような「暗殺者の物語」とは一線を画している。でもそれを承知でプレイすれば、これだけ豊かな世界を自由に歩き回れるゲームがほかにあるか? と問いたくなる。ギリシャ神話の世界を生きた歴史として体験しながら、重厚なドラマを追う。そういうゲームが好きなら、これはまず外れない。

目次

こんな人に読んでほしい

Assassin's Creed® Odyssey その他RPG スクリーンショット1

この記事は次のような人に読んでほしい。

古代ギリシャの歴史や神話に興味がある人。ソクラテス、ペリクレス、ヘロドトスといった歴史上の人物が実際にゲームに登場し、会話を交わせる。神話の怪物も討伐できる。ゲームとして遊びながら「ちょっとだけ歴史に詳しくなれる」体験は本当に贅沢だ。

広大なオープンワールドをのんびり探索したい人。マップの広さはシリーズ最大級で、本土とエーゲ海の島々を合わせると膨大なエリアがある。馬で走るもよし、船でエーゲ海を渡るもよし、山頂から飛び降りるもよし。「目的もなくただ歩き回っていたら2時間経っていた」はあるあるだ。

選択肢と分岐のあるRPGが好きな人。会話中の選択肢が物語の流れに影響する。ヒロインと親密になるか突き放すか、敵を殺すか見逃すか、特定の陣営につくか中立を保つか。こうした判断の積み重ねで、複数のエンディングに分岐していく。

海戦が好きな人。「Assassin’s Creed IV Black Flag」の海戦システムが好きだった人なら、Odysseyの船戦も楽しめる。エーゲ海を舞台にした海戦は規模こそBlack Flagより小さいが、完成度は高い。

逆に、ストイックな暗殺ゲームを求めている人や、軽めのアクションゲームを期待している人には向かないかもしれない。OdysseyはどちらかといえばRPGよりの作りで、レベルアップやスキルツリーの管理、装備の収集と強化といった要素が中心になる。「ゴリゴリのRPGをやる気はないんだけど……」という人には最初ちょっとハードルが高いかもしれない。

古代ギリシャの世界を再現した圧倒的なスケール

なぜあのギリシャを選んだのか

Odysseyが舞台に選んだのは紀元前431年のギリシャだ。この年に何があったかというと、スパルタ率いるペロポネソス同盟とアテネ率いるデロス同盟の間で「ペロポネソス戦争」が勃発した年に当たる。ギリシャ世界全体を二分した大戦争の始まりであり、歴史の教科書で「古代ギリシャ」と言えばこの時代を思い浮かべる人が多い、まさに古典期の最盛期だ。

パルテノン神殿はまだ新しく、ソクラテスは生きていて道端で哲学を語り、アテネは民主制の実験場として輝いていた。そんな時代を丸ごとゲームの中に再現しようとした野心は、プレイする前から伝わってくる。

マップに登場するエリアは、アッティカ(アテネを含む本土中央部)、ラコニア(スパルタのお膝元)、コリントス、テッサリア、ボイオティア、マケドニア、クレタ島、デロス島、ナクソス島、レスボス島、ロードス島、そして遺作「コルシカ」こと伝説の大地……と数えきれないほど多い。それぞれのエリアが独自の景色・文化・NPC・クエストを持っていて、「別のゲームのゾーンに来た」感が常にある。

馬と船で世界を渡る

広大なギリシャ世界を移動する手段は大きく二つ。馬と船だ。

馬はゲーム序盤から使えて、早い段階で自分だけのレアな馬を入手できる機会もある。馬の上からも攻撃できるし、疾走しながら弓を射るのはシンプルに気持ちいい。山道を駆け上ったり、平野を一気に突っ切ったり。ファストトラベルで瞬時に移動することもできるけれど、「目的地まで馬で行く」という体験そのものを楽しむのがOdysseyの正しい遊び方だと思っている。

船は「アドレスティア号」という名のトライリーム(三段漕ぎ船)で、プレイヤーはその船長として地中海世界を航行する。船員を鼓舞したり、敵船に体当たりしたり、矢を降り注がせたり、火のついた矢で燃やしたり。海戦のシステム自体はBlack Flagほど複雑ではないが、「エーゲ海を船で渡って見知らぬ島に上陸する」というロマン体験は何度やっても飽きない。

エーゲ海の海戦では、船の強化も重要になる。船員の増強、舳先の強化、弓の装備……投資すればするほど海戦が有利になっていく。序盤は敵船がやたら強くて海に出るのが怖かったのが、中盤以降は自分が海の支配者のような気分で走り回れる。この成長曲線が気持ちいい。

最初は船戦が怖くて島の周りで戦ってたけど、船を強化したら一気に海を制覇できるようになって爽快すぎた。その後は陸より海のほうが好きになってた

引用元:Steamレビュー

Discovery Tour:歴史の教科書が動き出す

Odysseyには「Discovery Tour: Ancient Greece」という特別モードが存在する。戦闘も敵もなく、ガイドツアー形式で古代ギリシャの文化・歴史・建築を学べるモードだ。実際の博物館の監修を受けたコンテンツが収録されており、ゲームを知育的に活用するという前例のない試みとして教育機関からも注目を集めた。

学校の歴史授業でゲームを使う取り組みも一部で見られたほどで、「ゲームで歴史を学ぶ」という入口として、純粋なプレイ体験とは別の価値を持っている。

ストーリーと選択肢分岐——傭兵から英雄へ

Assassin's Creed® Odyssey その他RPG スクリーンショット2

主人公の背景:スパルタから追われた子どもたち

物語の始まりは傭兵の主人公(アレクシオスもしくはカッサンドラ)の出生にある。主人公の父親レオニダス王の孫として生まれた彼/彼女は、幼少期にある事件をきっかけにスパルタから放逐された。故郷を追われ、ギリシャ各地を流れ歩く傭兵として生きてきた——その主人公が、ある依頼をきっかけに自分の過去と向き合い始める。

祖先から受け継いだ「レオニダスの槍」という特殊な武器がある。これはゲーム内のシステムとしてもストーリー上でも特別な存在で、Assassin’s Creedシリーズにおける「エデンの欠片」と呼ばれる超古代文明の産物だ。この槍の力が主人公に特別な運命をもたらす。

メインストーリーは大きく三つの柱から成る。一つ目は「家族の再会」——主人公の母親ミュリネー、兄弟、そして生き別れた肉親を探す旅。二つ目は「コスモスの目」という秘密結社との戦い(これがシリーズの本流テーマである「テンプル騎士団」の前身にあたる)。三つ目は「ギリシャを分断する戦争」——スパルタとアテネの戦争に傭兵として関わっていく展開だ。この三つが絡み合いながら進んでいくのがOdysseyのメインシナリオで、総プレイ時間は100時間を超えることも珍しくない。

選択肢と分岐——誰も殺さなくていい、でも誰かを傷つける

Odysseyの最も特徴的なゲームデザインのひとつが、会話中の選択肢システムだ。重要な場面では複数の選択肢が提示され、プレイヤーの選択が物語の展開に影響を与える。

たとえばある依頼人から「あの男を殺してくれ」と頼まれたとして、その男を殺す・見逃す・第三の解決策を探す、といった選択が生まれる。見逃した場合、その男が後でどうなったかがサイドクエストや次の依頼として描かれることもある。「あのとき助けた人が今度は自分を助けてくれる」という体験が積み重なり、プレイヤーの行動がギリシャ世界に影響を与えている感覚が生まれる。

主要なエンディングは複数存在する。家族の結末がどうなるか、恋愛関係がどう発展するか、特定のNPCが生き残るか死ぬか——序盤から中盤にかけての選択が、後半の展開を大きく左右する。「そういう選択をしていたらもっといい結末があったのか」という後悔からの二周目プレイも、Odysseyではよくある話だ。

途中で「あ、あの選択ミスった」って気づいた瞬間の絶望。でもそれがあるからこそちゃんと考えながら選択するようになった。リアルの判断と同じだなって思ったり

引用元:Steamレビュー

エンディングへの道筋がいくつかあると知りながら、それでも「自分の選択で作った物語」として完走した達成感は格別だ。RPGのストーリーに「自分の選択が反映されている」という感覚は、受け身で観るだけのストーリーと違う没入感を生む。

ロマンスと人間関係

Odysseyでは複数のNPCとロマンス(恋愛関係)を結ぶことができる。性別を問わず選択でき、特定の会話選択肢を選ぶと関係が深まっていく。「傭兵が旅の中で人と出会い、絆を結んでいく」という物語の自然な流れとして機能しており、押しつけがましくない。

長い旅の中で出会う人々——依頼人、仲間、敵だったが共闘することになった人物——との関係性の積み重ねが、「自分だけの物語」を作る。メインストーリーとは別の、「この世界で自分が生きた証」のようなものが物語に残るのがOdysseyの豊かさだ。

戦闘システムとスキルツリー——傭兵の戦い方を自分で決める

三系統のスキルツリー

Odysseyの戦闘は、三つのスキルツリーに沿った特化が可能だ。「戦士」「ハンター」「暗殺者」の三系統で、それぞれ近接戦闘・弓・隠密暗殺に特化したスキルが用意されている。

戦士スキルは剣や槍を使った正面からの戦闘に特化。「アキレスの踵」「スパルタキック」「アドレナリンブースト」など、派手なアクションと高いダメージを両立できる。複数の敵に囲まれながらも正面突破するゴリゴリのファイタースタイルを好む人はここを伸ばす。

ハンタースキルは弓矢に特化。マルチショットで複数の敵を同時に射抜く「アポロの矢」、ヘッドショット時のダメージを大幅に上げるスキル群など、高精度の遠距離戦を得意とするスタイルになる。広い平野で高台から狙い撃つスナイパースタイルや、馬上弓のコンボを極めると非常に爽快感が高い。

暗殺者スキルは隠密行動と一撃必殺に特化。「シャドウステップ」「エアアサシネーション」「ラッシュアサシネーション」など、敵に気づかれる前に倒す系のスキルが揃っている。ステルス特化で「最後まで一度も見つからなかった」プレイを目指すことも可能で、クリアしたときの達成感が格段に高い。

スキルはレベルアップで得られるポイントを使って習得する。一度振ったスキルも後からリセットできるので、序盤は戦士で正面から戦い、中盤から暗殺者に切り替えてステルスを試してみる、といった柔軟な方針変更が可能だ。

暗殺と正面戦闘——プレイスタイルの自由度

旧来のAssassin’s Creedは「暗殺者ゲーム」として、基本的にはステルスと暗殺が推奨されていた。しかしOdysseyでは、完全な正面戦闘も暗殺特化も、弓特化も、すべてがゲームとして成立するバランスになっている。これが「らしくない」と批判される理由でもあり、「間口が広い」と歓迎される理由でもある。

個人的には序盤を正面戦闘でごり押しして、中盤からこっそり暗殺者スタイルに切り替えたのがちょうどよかった。最初からステルスは難易度が高く、正面から戦えるほどの装備と知識がついてから「いつの間にか敵の砦を全員暗殺で制圧していた」という流れが、スキルアップを実感できて気持ちよかった。

敵の要塞や基地に忍び込んで、衛兵を一人ずつ静かに仕留めていく体験は、ステルスゲームの醍醐味が詰まっている。草むらに隠れながら次のターゲットを選び、アドレスティア号に運んでいた弓を引き絞る。見つかった瞬間に全力ダッシュで逃げ込み、敵が諦めるまで別の草むらに潜む。そういう細かい攻防が楽しい。

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装備と強化——ルーティングの楽しみ

武器と防具の収集・強化もOdysseyの大きな柱だ。ゲームを進めるにつれて新しい装備が手に入り、それぞれに属性効果や固有のステータスがある。炎属性の武器、毒を帯びた槍、近接攻撃のダメージを上げる防具セット……コレクションを集める感覚と、強化して自分だけのビルドを作る面白さがある。

レアリティはホワイト(コモン)からゴールド(レジェンダリー)まで段階があり、高レアリティほど固有の特殊効果を持つ傾向がある。傭兵を倒すと固有の装備が手に入ることもあり、「あの装備が欲しいからあの傭兵を倒しに行く」という動機でハントに出かけることも多い。

装備の強化には素材が必要で、素材集めのために廃墟を探索したり、動物を狩ったり、難破船から資材を回収したりと、探索の動機が多重に生まれる設計になっている。「次の装備を強化するためにちょっとだけ探索しようか」が「3時間経ってた」につながる典型的な沼だ。

コスモスの目——前史としてのアサシン組織

テンプル騎士団の前身

Assassin’s Creedシリーズには、アサシン兄弟団とテンプル騎士団という永遠のライバル関係が中核にある。しかしOdysseyの舞台は紀元前——両組織が生まれるよりも遥か前の時代だ。では誰が敵なのか?

「コスモスの目」という秘密結社が、Odysseyにおける主な敵勢力だ。ギリシャ社会の各層——政治家、軍人、商人、聖職者——に構成員を送り込み、社会を陰から操ろうとする組織で、後のテンプル騎士団の前身的な存在として描かれている。構成員は「幽霊ブランチ」「サーガ・ブランチ」「マギ・ブランチ」「空ブランチ」に分かれており、それぞれのリーダーを倒すことがストーリーの目標の一つになる。

組織の構成員を調査・特定して暗殺していくシステムは、後のシリーズ作「Origins」や「Valhalla」でも引き継がれている。単に「ボスを倒す」ではなく、「誰が組織のメンバーか」を情報収集しながら突き止めるプロセスが独特の緊張感を生む。

エデンの欠片とシリーズ全体への影響

Assassin’s Creedシリーズには「エデンの欠片」と呼ばれる超古代文明(イス文明)の遺産という概念があり、歴史上の英雄や王が手にした神秘的な力の正体として描かれてきた。Odysseyのレオニダスの槍もその一つで、ゲームの中盤以降にシリーズ全体の謎に関わる展開が待っている。

現代パートのアニムスシステム(遺伝子記憶をシミュレートする機械)も継続して描かれており、シリーズのファンには「ここに繋がるのか」という発見が随所にある。Origins→Odyssey→Valhallaという三部作で語られる「イス文明の遺産をめぐる戦い」は、シリーズ新規ファンよりも古参ファンのほうが楽しめる深みを持っている。

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ギリシャ神話の怪物と神々——現実と神話の交差

Assassin's Creed® Odyssey その他RPG スクリーンショット3

神話の生き物を討伐する

Odysseyの大きな魅力のひとつが、ギリシャ神話の怪物との戦いだ。メデューサ、ミノタウロス、スキュラ、キュクロプス——神話に登場する存在たちが、ゲームの中でボスとして登場する。

これらの神話存在との戦いは「神話クエスト」として特別な扱いを受けており、通常のクエストより大がかりな演出が用意されている。メデューサ戦は特に演出が凝っていて、初見でその規模にかなり驚いた。「ゲームで神話の怪物と戦う」という体験としての完成度が高い。

DLC「Atlantis の運命」では、さらに直接的にアトランティス伝説に踏み込む展開が待っている。ギリシャ神話の神々と直接向き合い、エリシウム・冥界・アトランティスと幻想的な世界を渡り歩く展開は、賛否が分かれつつも神話好きには刺さる内容だった。

歴史上の人物との対話

ゲームの中でソクラテス、ヘロドトス、ペリクレス、ヒポクラテスといった実在の歴史的人物と会話し、依頼を受けたり議論を交わしたりできる。

ソクラテスとの対話は特に印象的で、「あなたにとって正義とは何か」「人は本当に幸せを望んでいるのか」という問いを実際に選択肢形式で議論する場面がある。「ゲームをしながら哲学の初歩を学んでいる」という不思議な体験で、プレイ中に本棚のプラトンの対話篇を思わず取り出した人が少なからずいる。

ヘロドトスはメインキャラクターとして主人公の旅に同行し、各地の歴史・文化について解説する役割を担っている。実際に「歴史の父」と呼ばれた古代の歴史家をゲームの旅のナビゲーターとして使うというアイデアは、Odysseyらしい歴史へのリスペクトが感じられる演出だった。

ソクラテスが道端に立ってて話しかけたら哲学の問答が始まって笑った。でも真剣に考えさせられる内容で、ゲーム終わった後も頭に残ってた

引用元:Steamレビュー

傭兵システムとペロポネソス戦争——戦場の行方を変える

傭兵システム:追われる者の緊張感

Odysseyには「傭兵システム」と呼ばれる独特の仕組みがある。プレイヤーが法を破ったり、市民を傷つけたり、あるいは他の傭兵に懸賞金をかけられると、強力な傭兵NPCが追いかけてくる。

傭兵には1段から5段のランクがあり、懸賞金の額が上がるほど強い傭兵が追ってくる。傭兵はどこへ逃げても追いかけてくるため、戦闘を無視して進もうとしても鉢合わせる場面が出てくる。倒せば経験値と固有装備を得られるし、捕まれば死亡(またはゲームオーバー)になる。

この緊張感が、のんびりした探索中のちょうどよいスパイスになっている。「懸賞金を無視して普通に進んでいたら強傭兵に出くわしてボコボコにされた」はOdysseyプレイヤーのあるあるだ。

傭兵を全員倒してランクを上げていくと、やがてプレイヤー自身がギリシャ最強の傭兵として頂点に立てる。このサブ目標に燃えて傭兵ハントに熱中した時期があり、振り返るとメインストーリーより時間をかけていた。

征服戦——地図の色が変わる快感

各地方にはスパルタ勢力かアテネ勢力が支配しており、「国力ゲージ」が存在する。クエストをこなしたり、敵の補給物資を破壊したり、敵兵を倒したりすることでゲージが動き、一定まで下がると「征服戦」という大規模バトルが発生する。

征服戦は文字通り大人数での集団戦で、混戦の中で活躍するほど戦績として記録される。勝利した側が地方の支配権を握り、戦後は勝者の勢力のクエストやキャラクターが解禁される形だ。スパルタを支援してアテネの支配地を次々と奪っていくも、アテネを援護してスパルタを押し返すも、中立のまま傭兵として双方からお金をもらうも、選択はプレイヤー次第だ。

この「自分の行動がギリシャ世界の勢力図に影響する」感覚はかなり大きく、「メインストーリーを放って征服戦で遊んでいた」というプレイヤーも多い。

征服戦でスパルタ側に全力投球してラコニアをアテネから奪い返したときの達成感。ゲームなのにスパルタ市民に感謝されてる気がして誇らしかった

引用元:Reddit r/ACOdyssey

DLCと追加コンテンツ——Odysseyは本編だけじゃない

「ギリシャの遺産」DLC

「ギリシャの遺産」DLCは二部構成で提供された。「呪われた遺産」と「影の遺産」の二パートからなり、本編とは別の物語として古代ギリシャの同時代を舞台にしたストーリーが展開される。主人公も傭兵から別のキャラクターに変わる部分があり、Odyssey世界のもう一つの側面を見せてくれる内容だった。

「アトランティスの運命」DLC

こちらがより評価の高かった大型DLCだ。全三章構成で、エリシウム(楽園)、冥界(タルタロス)、アトランティスという神話的な異世界を舞台にしたストーリーが展開される。

現実の古代ギリシャとは一線を画す幻想的なビジュアルと、神話の神々と直接対峙するストーリーは、「ゲームの世界に完全に没入できた」という声が多い。ボリュームも充実しており、三章合わせると20〜30時間ほどのコンテンツになる。

本編が「歴史の中の人間ドラマ」なら、DLCは「神話の中の英雄譚」という方向性で、どちらが好きかはプレイヤーによって分かれる。ただし本編を十分に楽しんだ後でDLCに進むと、物語の深みが増して楽しめるのは間違いない。

シーズンパスや通常版、デラックス版など複数の購入オプションがあり、DLCを含めて全て楽しみたい場合はセール時にシーズンパス込みのバンドルを狙うのが最もコスパがよい。Steamセール時には本編DLC込みで3,000〜5,000円程度になることが多い。

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Odysseyが人気を得た本当の理由

Assassin's Creed® Odyssey その他RPG スクリーンショット4

「どこに行っても何かある」密度

Odysseyのマップを歩いていて、「何もない場所」に出くわすことが少ない。廃墟があれば宝が埋まっていて、洞窟があれば怪物かお宝か謎のクエストが待っている。海岸沿いを歩けば難破船の残骸があり、山頂には祠がある。

「次のクエストをやろうと歩き始めたら途中で別のものを見つけて寄り道して、その寄り道でまた別の発見があって、最終的に全然違う場所にいた」という体験が頻発する。それがストレスになる人もいるけれど、探索そのものを楽しめる人には最高のゲームだ。

このコンテンツ密度はUbisoft Québecチームの集大成で、前作OriginsをつくったUbisoft Montrealとは別チームが担当した。チームの違いが生む特性として、Originsよりも「探索の密度と選択肢」に全振りした設計になっている。

世界観の完成度が生む没入感

海の色、丘の草の色、夕日の色——Odysseyのアートディレクションは一貫した美しさがある。建物の白さ、柱の装飾、噴水の水音。当時の記録や研究をもとに再現された世界が、ゲームの中で生きている。

BGMも評価が高く、作曲はThe Flight(ブライアン・マーフィーとディアン・ターメリン)が担当。ギリシャの民族音楽を現代的にアレンジしたサウンドトラックは、探索中の心地よさを倍増させてくれる。

街を歩けば市民が日常を送っていて、港では荷物を運ぶ人夫がいて、神殿では神官が儀式をしている。こういう「世界が呼吸している」感のある作り込みが、「ただのステージ」ではなく「生きた世界」として体験させてくれる。

シリーズのファン層を拡大した

Assassin’s Creedのファンにはいくつかの層がある。初代〜旧三部作(エツィオシリーズ)が最高という層、Black Flagの海賊もの推しの層、ユニティの雰囲気が好きな層……Odysseyは、RPG好きという新しい層を取り込むことで、シリーズ最高クラスの売上を記録した。

「RPGが好きだからOdysseyから入った、そしたら古いACも気になってきた」というルートと、「古いACファンだがOdysseyは別ゲーとして楽しんだ」というルートが共存している。どちらにとっても入り口になれる懐の深さが、長期的な人気につながった。

Steamのレビュー数は現在16万件以上で、評価は「とても好評」。これだけの規模のタイトルでこの評価を維持しているのは、コンテンツのボリュームと世界観の完成度が多くのプレイヤーの期待に応えている証拠だろう。

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ユーザーの声——本音の感想

熱狂的な支持

Odysseyに関するSteamレビューや海外フォーラムを眺めると、「プレイ時間200時間超え」の報告が珍しくない。メインストーリーだけなら30〜40時間、サイドクエスト・傭兵ハント・征服戦・発見物収集まで全てやると200時間を超えることは普通にある。

プレイ時間が気づいたら220時間になってた。これだけやっても「もっと遊べる」と思えるゲームはなかなかない

引用元:Steamレビュー

ギリシャの景色があまりにきれいで、観光がてら馬で走り回ってるだけで1時間経ってた。本当に行きたい場所になった

引用元:Steamレビュー

カッサンドラの声優さんの演技が圧倒的すぎて途中から本当に彼女の物語を追いかけてる感覚になった

引用元:Reddit r/assassinscreed

正直な不満の声

良いことだけ書くのは本音じゃないので、ネガティブな声も拾っておく。

途中からクエストが「〇〇を倒してこい」「素材を持ってこい」の繰り返しになってきて、ちょっと飽きた。150時間超えたあたりでさすがにゲームに飽きたのではなく自分が飽きたんだと思うけど

引用元:Steamレビュー

シリーズファンとしてはACらしさが薄くなりすぎていると思う。暗殺者の話というより、ただのギリシャRPGになってしまっている

引用元:Steam批評

サイドクエストの質にかなりのバラつきがある。丁寧に作られたメインに近い内容もあれば、明らかに水増し目的のつまらないものもある

引用元:Metacriticユーザーレビュー

正直に言えば、「コンテンツが多い」ことと「全部が面白い」は別の話で、Odysseyは前者において最高点を叩き出す一方で後者には課題がある。200時間遊んだプレイヤーがいる一方、50時間ほどでフェードアウトしたプレイヤーもいて、体験のムラは存在する。

ただし「ゲームに飽きた」と言いながらも「いいゲームだった」と評価する人が多く、コスパの良さは広く認められている。

ペロポネソス戦争という舞台の奥深さ

Assassin's Creed® Odyssey その他RPG スクリーンショット5

歴史ゲームとしての誠実さ

Odysseyが面白いのは、ペロポネソス戦争というテーマに対して「歴史のお勉強」でも「フィクションのネタ」でもない、中間のバランスで向き合っていることだ。

スパルタの厳格な軍事訓練文化、アテネの民主主義の実態、ポリス(都市国家)間の複雑な外交関係——こういった歴史的事実を背景に持ちながら、その上でフィクションのストーリーを乗せている。「あのポリスは歴史上本当にこういう状況だったのか」と調べたくなる動機を生んでくれるのが、良い歴史ゲームの共通点だと思う。

実際にゲームをプレイしてからトゥキュディデスの「戦史」やプルタルコスの「英雄伝」を読んだプレイヤーは少なくないようで、Odysseyが「歴史入門書」として機能したという声も出てくる。

スパルタとアテネ——どちらが正しいか

ゲームの中では両陣営どちらも「正義と悪」の単純な二項対立では描かれない。スパルタは確かに強く、軍事力で弱者を踏みにじる場面もある。しかしアテネも、民主主義を謳いながら支配下のポリスを搾取している実態がある。

この「どちらも一面しか正しくない」という描き方が、ゲームのキャラクターたちに深みを与えている。プレイヤーが「このキャラクターの味方でいいのか」と迷う場面が作れているのは、善悪の単純化を避けた結果だ。

戦争そのものの残酷さ、市民の苦しみ、英雄と呼ばれる者の内面の矛盾——これをゲームという形で描くことへの誠実さが、シリーズのファン以外からも評価されている理由の一つだろう。

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グラフィックとパフォーマンス——PCでの快適な体験に向けて

推奨スペックと現在の動作環境

2018年のリリースから時間が経った2026年現在、一般的なミドルレンジPCでも快適に動作する。当時のハイエンドを要求していたタイトルが、時代の進化でどんどん動かしやすくなっている典型例だ。

フルHD(1920×1080)で高設定を想定した場合、GeForce GTX 1060 6GBまたはRTX 2060相当のGPUと、Core i7-4770またはRyzen 5 1600X相当のCPU、16GBのRAMがあれば60fps前後で快適に動く。4K・超高画質を求めるならRTX 3070以上が欲しいが、そこまで求めなければ普通のゲーミングPCで十分だ。

PC版はDirectX 11対応で、HDRにも対応している。ウルトラワイド(21:9)モニターにも対応しており、広大なギリシャの風景をウルトラワイドで体験できると没入感がさらに増す。

ストレージはおよそ46GBが必要で、DLC込みだと70GB前後になる。インストール容量は大きめだが、このボリュームのゲームとしては妥当な範囲内だ。

HDRとアートディレクションの融合

HDR対応ディスプレイでプレイすると、夕日や水面の反射表現がかなり映える。ゲームのカラーパレットが青・白・金を基調にしたギリシャらしい配色で統一されているため、HDRの明暗表現との相性がいい。

これは単純に「グラフィックがきれい」という話ではなく、アートディレクターが意図した「古代ギリシャの光」を技術で体現しようとした結果だ。ゲームのグラフィックとしての美しさを語るとき、Odysseyはやはり上位に来るタイトルだ。

Origins・Valhalla との比較——三部作の中の位置づけ

OriginsからOdysseyへの進化

Assassin’s Creed Originsは2017年に発売された「シリーズのリブート」的な作品だ。舞台は古代エジプト、主人公はバエク。アクション・RPGへの転換を告げた重要なタイトルで、Originがなければ Odysseyは存在しなかった。

ゲームシステムの面では、Originsが確立した「レベルベースの戦闘」「装備収集」「スキルツリー」をOdysseyが大幅に発展させた形になっている。Originsでは選択肢分岐がほぼなかったが、Odysseyでは会話の選択肢と複数エンディングを前面に出した。このRPG化のさらなる深化が、Odysseyの特徴だ。

ただしOriginsは「シリーズファンが求めていた暗殺者の原点物語」として、シナリオ評価が高い。バエクの個人的な悲劇と復讐の話を真摯に描いたストーリーは、Odysseyの壮大さとは別の感動を持っている。「どちらが好きか」はプレイヤーによって意見が割れるが、どちらが優れているかではなくどちらのスタイルが合うかの問題だ。

Valhallaとの違い

2020年のAssassin’s Creed Valhallaは、三部作の完結編としてヴァイキングのエイヴォルを主人公に中世イングランドを舞台にした。シリーズの中でも最大のボリュームを誇り、200〜300時間楽しめるコンテンツ量で話題になった。

OdysseyとValhallaを比較すると、Valhallaのほうが広さと量で上回るが、Odysseyのほうがギリシャという舞台の集中した美しさが際立つという評価が多い。「Odysseyで感じた古代の美しさがValhallaにはない」という意見も根強く、舞台の個性という点ではOdysseyに軍配が上がる。

三部作を通じてプレイするならOrigins→Odyssey→Valhallaの順番が推奨されるが、それぞれ独立した物語なので好きなところから始めても問題ない。ただしシリーズ神話の繋がりを全部追いたい場合は順番通りがおすすめだ。

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シリーズ初心者でも入れるか——始め方の案内

Assassin's Creed® Odyssey その他RPG スクリーンショット6

前知識なしでOdysseyから始めていいか

結論から言うと、前作を知らなくてもOdysseyから始めて問題なく楽しめる。舞台も主人公も完全に新しいので、「シリーズを知らないと意味不明」という部分はほぼない。「イス文明」「アニムス」「コスモスの目」という概念はシリーズ共通の要素だが、Odyssey内で丁寧に説明されるので、初見でも理解できる。

ゲームシステムの説明も充実しており、チュートリアルがしっかりしているので「操作を覚えるのが大変」という感覚は少ない。最初の島セファロニアを離れるまでの序盤は、比較的ゆっくりとした導入になっている。

むしろ初心者がはまりやすい落とし穴は、「メインクエストだけを一直線に進もうとすること」だ。Odysseyはメインクエストが推奨レベルを超えると先に進めない仕様があり、「サイドクエストや探索でレベルを上げてからメインに戻る」必要が出てくる。この「寄り道が前提の設計」に慣れれば、後は自然にペースがつかめてくる。

難易度の選択

難易度は「発見」「探索者」「冒険者」の三段階(日本語名は設定による)で選べ、後から変更も可能だ。アクションゲームが得意ではないならイージー相当の「発見」から始めて徐々に上げるのが無難だ。逆に歯応えを求めるなら「冒険者」(ハード相当)で進めると、装備選びやスキルの選択に緊張感が増す。

シリーズ経験者やRPGに慣れたプレイヤーなら「探索者」(ノーマル)でちょうどいいバランスになる。ハードでもゲームオーバーになることはあるが、リトライ負担は軽いので試行錯誤しやすい設計だ。

原作シリーズのファンはどう受け取ったか

「ACらしくない」という批判の真相

Odysseyを「アサシンクリードらしくない」と批判する声は確かにある。初代からシリーズを追ってきたファンからすれば、ハリドゥン・イブン・ラアハドに始まるアサシン兄弟団の歴史、イタリアのルネサンスで活躍したエツィオ・アウディトーレとの比較で、Odysseyの傭兵主人公は別物に見えることがある。

アサシンのロゴに象徴される「隠れ刃」がOdysseyでは意味合いが変わっていること、「目立ってはいけない存在としての暗殺者」というコンセプトよりも「名高い英雄」としての主人公が前面に出ていること——こうした変化を「シリーズの変質」と見るか「シリーズの進化」と見るかで評価が分かれる。

ただし2026年現在、Steamでの総合評価は「とても好評」を維持している。発売当時に比べてマイナスの評価は減少傾向にあり、「シリーズが変わってしまった」という失望よりも「ギリシャRPGとして単純に面白い」という評価が多数を占めている。

Originsへの影響、Valhallaへの道筋

Odysseyで確立した「会話の選択肢分岐」「ロマンスシステム」「傭兵ハントシステム」は、後のValhalla(2020年)でも引き継がれている。特にValhalla の「オルデン」(世界規模の秘密結社)のメンバーを追う展開は、Odysseyの「コスモスの目」システムを直接の前身として持つ。

シリーズ全体の設計として「プレイヤーが選んだ行動が世界に影響を与える」という方向性を確立したのがOdysseyの最大の功績で、その影響は現在も続いている。

探索の深度——廃墟・洞窟・海底に眠るもの

ギリシャ世界の隅々まで作り込まれたディテール

Odysseyで何百時間もプレイヤーを引き留めているのは、マップの端々まで探索の密度が落ちないことだ。「見えている山の頂上には必ず何かある」という信頼感が生まれると、ゲームは別の楽しみ方に変わる。目的地を決めずに「あの方向を探索してみよう」という純粋な好奇心でプレイし始める。

廃墟には必ずといっていいほど宝箱か謎解きか、あるいはそのエリアに関連したサイドクエストのフックになるものが置かれている。石板に刻まれたメッセージ、かつてここで何が起きたかを示す遺体の配置、小さな日常の痕跡——そういうものを発見する楽しみがある。

洞窟探索も充実していて、暗い洞窟の奥に進むと宝の部屋が広がっていたり、謎の祭壇があったり、時には神話要素に関連した何かが待っていたりする。プレイヤーはゲームの中で「初めてそこに踏み込んだ最初の人間」の体験を味わえる。

海底の発見——難破船ダイビング

Odysseyには海中探索という要素がある。難破船が沈んでいる海域に潜り込み、船内を探索して宝を回収する体験だ。

光が届かない深さの海中で、難破船の骨格の中を泳ぐ体験は独特の緊張感がある。サメが出てくることもあるし、特定の深海にはより大きな脅威が潜んでいることもある。宝を見つける達成感と、暗い海の恐怖感がちょうどいいバランスで混在している。

ゲームプレイとしての深度(水深)制限はないので、理論上は好きなだけ潜れるが、酸素切れには注意が必要だ。呼吸スキルを上げることで潜水時間を延ばせる。海底に広がる難破船の群れを一つずつ丁寧に探索していくのは、ゆったりした時間の楽しみ方として非常に合っている。

難破船の中を泳いで宝箱を見つけた瞬間の「来た!」という感覚。コレクター気質の人には本当に刺さる要素だと思う

引用元:Steamレビュー

発見の記録——観光スポットと古代の謎

マップ上には「観光スポット」として実在の遺跡や神殿が記されており、近づくと当時の建物の説明と復元図が表示される。「これが現実世界ではどんな姿だったのか」を画像付きで解説してくれる機能で、単なるゲームの目標地点ではなく、歴史の学習素材としても機能している。

アクロポリス、オリンピアの神域、デルポイの神殿——現代では遺跡として残るものが、ゲームの中では全盛期の姿で再現されている。デルポイのアポロン神殿でピュティアの神託を受けるシーンは、歴史書で読んでいた「神託」というものを体験として理解できた気がした。

Odysseyで「傭兵」を極める——やり込みの奥行き

Assassin's Creed® Odyssey その他RPG スクリーンショット7

傭兵ランキングの頂点へ

傭兵システムのやり込みは、Odysseyの隠れた大ボリュームコンテンツだ。

ギリシャ中の傭兵には個別のランクがあり、プレイヤーが傭兵を倒していくと自分のランクが上がり、ランキングの上位傭兵と対戦できるようになる。上位になるほど強力な固有装備を持つ傭兵が登場し、彼らを倒して装備を奪うことでコレクションが充実していく。

ランキングの頂点「ゴールデンリスト」の傭兵たちは、ゲームの中でも指折りの強敵で、装備と立ち回りをしっかり整えないと苦戦する。「メインストーリーはクリアしたが傭兵ランキングの頂点に立っていない」という状態でゲームを終えていたプレイヤーは少なくないので、そこを目指す動機を持てると一気に後半の楽しみが増える。

装備コレクションの奥深さ

Odysseyの装備はレアリティだけでなく「セット」としての効果も重要だ。「ピュロスの防具セット」「アルゴスの武具セット」など、特定のセット全部を揃えると強力なボーナスが発動するものがある。

セット装備の収集は、それぞれ特定の場所・特定の敵を倒すことで手に入る構造になっていて、コンプリートを目指すと自然と様々な場所を訪問することになる。「この防具が欲しいからこのダンジョンに行く」→「そのダンジョンの周辺で別のクエストを発見する」というサイクルが、探索の動機として機能している。

特定の伝説装備セットを全部揃えようとしたら、気づいたら60時間以上そればかりやってた。それでも楽しかったのがOdysseyのすごさ

引用元:Reddit r/ACOdyssey

エニグマ(謎解き)クエスト

ゲーム各地に「エニグマ」と呼ばれる謎解きクエストが存在する。これは地図も目的地マーカーもなく、文章の謎かけだけを手がかりに特定の場所を探し出すタイプのクエストだ。

たとえば「夕日が落ちる入り江の岩の上に立て」という謎かけが与えられ、その場所がどこかを自分で考えて地図を確認しながら探す。ナビゲーションを使わずに自分の知識と地理感覚で解決する達成感は、マーカーをたどるだけのクエストとは別種の満足感がある。

このシステムは「ゲームがプレイヤーを手厚くアシストしすぎない」という設計思想の表れで、「自分で考えて探せた」という体験がゲームへの愛着を強くする。

アップデートと現在のサポート状況

発売から続く継続的なサポート

2018年の発売以降、Odysseyは複数のアップデートで品質が改善されてきた。初期バージョンに存在したゲームバランスの問題(特に経験値とレベル設計の不均衡)は、後のパッチで修正が入っている。発売直後に批判されたポイントの多くが時間とともに改善されたことで、現在の評価が発売当初より高くなっているという経緯がある。

2026年現在、アクティブなアップデートは終了しているが、既存コンテンツは安定して動作する。大型DLCも一通り完結しており、「完成されたゲームとして今から遊ぶ」という状況として非常に整っている。セール時に全コンテンツをまとめて購入できる環境は、新規プレイヤーにとって有利な条件だ。

コミュニティの現在

Steamコミュニティ、Reddit(r/ACOdyssey)、Discordサーバーなどにまだ活発なコミュニティが存在する。新しい攻略情報の共有、ファンアート、「こんな場所を見つけた」という発見の報告——Odysseyはリリースから7年以上が経った2026年でも定期的に話題が上がっている。

「今更始めたけど最高だった」という感想投稿は今も絶えない。オープンワールドRPGとして完成度が高いため、「名作を後から遊ぶ」層が常に一定数流入し続けているためだ。コミュニティが生きているということは、困ったときに質問できる場所があるということでもあり、初めてプレイする人への安心感につながる。

まとめ——Odysseyは「長旅」という体験だ

Assassin’s Creed Odysseyをひとことで表現するなら、「終わりのない古代ギリシャへの長旅」だと思う。

100時間、150時間、200時間——目的地を目指しながら、でも途中の景色に足を止めながら、時に出会いに寄り道しながら進む。メインストーリーという「旅の目的地」はあるけれど、そこに向かう道中にある無数の経験こそがOdysseyの本質だ。

古代ギリシャという舞台の美しさと密度、選択肢分岐が生む「自分だけの物語」、傭兵・征服戦・神話怪物討伐・歴史人物との対話……これだけの要素を一本のゲームに詰め込んで、それでも世界観が崩れずにいるのは、開発チームの真剣なコミットメントの結果だ。

もちろん不満もある。サイドクエストの質のムラ、「ACらしさ」の変質への戸惑い、膨大な量に疲れを感じる瞬間。全部あるし、全部正直に書いた。でもそれを上回る体験が、Odysseyにはある。

エーゲ海の夕日を船の上から眺めながら、こんなゲームをまた遊びたいと思えるタイトルはそうそうない。「古代ギリシャを生きた」と言えるような没入感を、このゲームは本当に作れている。

セール時は本編DLC込みで数千円になるので、「ちょっと試してみようか」という気持ちで始めてみてほしい。そのまま200時間経ってても、知らない。

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よくある質問

アレクシオスとカッサンドラ、どちらを選ぶべきか

初めてプレイするなら、個人的にはカッサンドラをおすすめする。公式が「正史」として位置づけていることに加え、声優の演技がカッサンドラのほうが高く評価されていることが多い。メラニー・リンスキーが演じるカッサンドラは、頑固さと傷つきやすさが共存するキャラクターとして、100時間以上の旅の主人公として深みがある。アレクシオスも悪くないし、「男性主人公でプレイしたい」という人はそちらで問題ない。どちらを選んでも物語の大筋は変わらない。

DLCは必須か

本編だけでも100時間以上の体験ができるので、DLCは「本編を十分に楽しんでさらにOdysseyの世界にいたい」人向けだと思ってほしい。ただし「アトランティスの運命」DLCはシリーズの神話設定に深く踏み込んでいて、特に「ギリシャ神話がもっと見たい」という人には満足度が高い。セール時のバンドルが出れば、本編と一緒に購入しておくのが無駄がない。

Valhallaとどちらから始めるべきか

Odysseyから始めることをおすすめする。OdysseyはValhallaより規模が適度で、RPGシステムへの慣れやすさがある。Valhallaはさらに大きく、慣れていないと最初に圧倒されやすい。三部作の順番という意味でも、Origins→Odyssey→Valhallaが自然な流れだ。もちろんどこから始めても物語は独立しているので、「ヴァイキングが好きだからValhalla」でも問題はない。

ステルスプレイは必須か

まったく必須ではない。全編を正面から戦って進めることも可能で、「暗殺者ゲームとして遊ばなければいけない」という縛りはない。ただしステルスに慣れてくると砦の制圧などが格段に楽になるので、完全に無視するより基本だけ覚えておくと快適だ。難易度によってはステルスしないと正面戦闘がかなりきつい場面もあるが、そういうときは難易度を下げる選択肢もある。

英語版と日本語版のどちらがいいか

日本語のローカライズ品質は高く、音声も日本語で用意されている。ただし「カッサンドラの演技を本来のパフォーマンスで体験したい」という場合は英語音声・日本語字幕の設定がおすすめだ。メラニー・リンスキーの英語音声は特に評価が高く、日本語音声と印象がかなり違う。設定からいつでも切り替えられるので、両方試してみるのもいい。

Assassin's Creed® Odyssey

Ubisoft Quebec, Ubisoft Montreal, Ubisoft Bucharest, Ubisoft Singapore, Ubisoft Montpellier, Ubisoft Kiev, Ubisoft Shanghai
リリース日 2018年10月5日
サービス中
同時接続 (Steam)
5,092
2026/04/12 アジア圏ゴールデンタイム計測
レビュー
182,803 人気
88.8%
全世界
非常に好評
182,803件のレビュー
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賛否両論
581件のレビュー
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価格¥9,240
開発Ubisoft Quebec, Ubisoft Montreal, Ubisoft Bucharest, Ubisoft Singapore, Ubisoft Montpellier, Ubisoft Kiev, Ubisoft Shanghai
販売Ubisoft
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル
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