Sea of Thieves: 2025 Edition——広大な海で仲間と生きる、唯一無二の海賊体験
初めてログインした夜、俺はフレンドと2人でスループ(小型船)に乗り込み、近くの島の宝の地図を手に入れた。地図を開いて「えーとこの島ってどこだ」と言いながら羅針盤を回し、帆を張り、風に乗って進んでいく。夕焼けが水平線に沈み、空が紫から深い藍色に変わっていく。その景色を見ながら「なんだこのゲーム、ただ航海してるだけで楽しいな」と気づいた瞬間、Sea of Thievesに完全に落ちた。
宝の地図の島に着いて、砂浜に「X」マークを見つけてスコップを振るう。宝箱が出てきた瞬間のあの高揚感。そして船に積み込んで港に向かう途中、他のプレイヤーの船が追ってくる。「やばい!大砲に弾込めろ!」「帆を下ろして速度上げろ!」——あの5分間の緊張感は、他のどんなゲームでも体験できなかった。
Sea of Thieves: 2025 Editionは、Rare社が開発し2018年に正式リリースしたオープンワールド海賊アクションゲームだ。2025年版として機能追加・コンテンツ拡充がされており、SteamではApp ID 1172620で配信されている。Steamでのレビュー数は9万件以上で「非常に好評(85%)」を維持しており、最大同時接続者数はピーク時に約6万人を記録した。
「広い海を仲間と航海する」というシンプルな体験が、なぜこれほど多くのプレイヤーを引き込むのか。サービス開始から7年が経った今なお、週末になるとSteamの同接者が数万人規模に達する理由を、本記事では体験ベースで丁寧に掘り下げていく。
こんな人に読んでほしい
Sea of Thievesは「全員に刺さるゲーム」ではない。でも刺さる人には本当に深く刺さる。まず自分がそのタイプかどうか確認してほしい。
フレンドと声を合わせながら遊びたい人には特に向いている。船の操縦・戦闘・宝探しは全員で役割分担して動くと何倍も楽しくなる設計になっているからだ。「ボイチャをしながら一緒に何かを成し遂げる体験」が好きなら、これ以上のゲームはなかなかない。
オープンワールドで自由に遊びたい人にもマッチする。決められたストーリーに沿って進む必要はない。「今日は釣りだけで一日過ごす」「謎解きダンジョンをソロで攻略する」「ひたすら商会のクエストをこなして金を稼ぐ」——どんなプレイスタイルも受け入れてくれる懐の深さがある。
一方で、「強い装備を集めてキャラを強くしていく」ゲームを求めているなら期待と違う可能性が高い。このゲームのプレイヤーキャラクターに数値的なステータスは存在しない。外見のカスタマイズと、プレイヤー自身のスキルと判断力が全てだ。
Sea of Thievesの世界観——海賊であることの意味
Sea of Thievesの舞台は「The Sea of Thieves」と呼ばれる架空の海域。無数の島々が点在し、それぞれに宝が眠り、モンスターが徘徊し、他のプレイヤーが航海している。
プレイヤーは「The Pirate Lord(海賊王)」の伝説を目指す海賊として、この海を自由に冒険する。伝説の海賊になるためには評判を積み上げ、さまざまな商会との信頼を深め、幾多の試練を乗り越えていく必要がある。ただし、そのプロセスを「義務」として感じさせないのがこのゲームの巧みさだ。
カラフルで生き生きとしたビジュアル
グラフィックスタイルはリアル系ではなく、どこか絵本のようなスタイライズドなアート。水の表現は特に評価が高く、波の揺れ・光の反射・嵐の暗さ・晴天時の輝きが全部違う。時間帯によって空の色も変わり、月光の下で静かな海を航海しているとゲームであることを忘れそうになる瞬間がある。
グラフィックス性能を要求するゲームではないため、ミドルスペックのPCでも十分に楽しめる。GeForce GTX 1060程度があればフルHD・60fps前後は問題なく出せる水準だ。
世界に生きているNPCたち
港には個性あふれるNPCが立ち並ぶ。「商人商会」「金庫商会」「秩序の騎士団」「ハンター商会」など複数の組織があり、それぞれから依頼を受けて報酬を得るのが基本的な稼ぎ方だ。NPCたちの言動にはユーモアとキャラクター性があり、世界を構成する「雰囲気」の一部になっている。
特に「ハーティ・ヒュー」という伝説的な酒飲み老海賊や、各港のキャプテンたちは独自のセリフと個性を持っている。こういう細部へのこだわりが、世界への没入感を高めてくれている。
船の操縦——これがわかると全部楽しくなる
Sea of Thievesで最初に理解すべきは「船の動かし方」だ。ここを理解できるかどうかで、楽しさが天と地ほど変わる。
船には主に3種類ある。1〜2人向けのスループ、2〜3人向けのブリガンティン、3〜4人向けのギャレオン。それぞれ船体の大きさ・帆の枚数・大砲の数・移動速度が異なり、人数と目的に応じて選択する。
帆・舵・錨の連携が船の命
船を動かすには帆を下ろして風を受けることが必要だ。帆の角度を変えることで速度が変わる。風の方向を確認しながら帆を調整するのが基本で、「風向きを読む」能力がプレイヤースキルに直結する。
舵で方向を制御し、錨を下ろして停止する。このシンプルな仕組みが奥深い。戦闘中に舵を急回転させながら帆の角度を変え、錨を一瞬だけ下ろして敵の射線をかわす——こういった機動を仲間と連携して実行できるようになったとき、このゲームの「本当の楽しさ」に到達する感覚がある。
嵐の航行という試練
海には嵐が発生するエリアがある。雷が落ち、波が荒れ、雨で視界が悪くなる。嵐の中を航行すると船体が徐々に浸水するため、誰かがバケツで水をかき出し続けなければならない。
この「嵐耐えながらバケツで水を出し続ける担当」というまさかの役割が生まれるのがSea of Thievesらしいところ。笑いながら「俺バケツやるから舵頼む!」と声を掛け合うあの時間が、フレンドと遊ぶ醍醐味の一つになっている。
嵐の中でも進む価値があることが多い。嵐のエリア内にしかいないストームシャーク(嵐のサメ)を倒せる希少なチャンスだったり、嵐を突っ切った方が目的地への最短ルートだったりすることがある。リスクとリターンを判断するのもプレイヤーの腕だ。
クエストと稼ぎ——何をして金を稼ぐか
Sea of Thievesの経済システムはシンプルだ。各商会から依頼を受け、達成した報酬としてゴールド(ゲーム内通貨)と評判を積み上げる。ゴールドで船や衣装・武器のコスメを購入し、評判を上げると新たな依頼やアイテムが解放されていく。
宝探し(Treasure Hunting)
「金庫商会」から受けられるクエストの中核が宝の地図を使った宝探しだ。地図に描かれた島のどこかに「X」マークがあり、そこを掘ると宝箱が出てくる。宝箱はそのまま港に持ち帰って商会に売ると報酬になる。
ただし持ち帰るまでが本番で、他のプレイヤーに奪われるリスクが常に付きまとう。宝箱を積んで帰港中に他プレイヤーの船が追いかけてきたとき——あの緊張感はほかのゲームでは味わえない独特のものだ。
難易度の高い「ルーンホルダーの宝箱」や「アサシンの宝箱」などは価値も高い。また「疑いの宝箱」は近くにいるプレイヤー全員に自分の位置を知らせるトラップ宝箱で、持ち歩くことそのものがハイリスクだ。
商会依頼(Voyages)
各商会が提供するボイヤージュ(依頼)をこなすのが日常的な稼ぎ方だ。「商人商会」なら特定の動物を捕まえて港まで届ける依頼、「秩序の騎士団」ならスカルフォート(骸骨の砦)を攻略してキャプテンを討伐する依頼など、商会によって内容が全く違う。
それぞれの商会に評判ランクがあり、ランクが上がるとより価値の高い依頼が解放される。特定の商会を集中的に育てて「その道の専門家」になるプレイスタイルもある。
ハンター商会——生き物を狩って売る
「ハンター商会」はクジラやサメ、巨大タコ(クラーケン)の素材を売る商会だ。海の生き物を倒して素材を持ち帰るだけというシンプルさだが、クラーケン戦は全プレイヤー船を触手で掴んで揺らしてくる大イベントで、初遭遇時の「えっ何これ!?」感は忘れられない体験になる。
クラーケンは広い海のランダムな場所に突然出現する。インクで海が真っ黒に染まり、船の下から巨大な触手が伸びてくる。「クラーケンだ!!」と全員が叫んで大混乱になるあの瞬間——これだけでこのゲームに課金して良かったと思えるほどのインパクトがある。
PvP——海賊同士の激突
Sea of Thievesはすべてのプレイヤーが同じ海に存在するシェアードワールド形式だ。つまり他のプレイヤーとはいつでも遭遇する可能性があり、協力も戦闘も自由に選べる。
他のプレイヤー船と戦う場合、船に大砲を撃ち込んで沈没させるか、乗り込んで接近戦を仕掛けるのが基本だ。敵船を沈めると積んでいた宝が海に漂流するので、回収すれば丸ごと奪える。これが「海賊」らしさの核心になっている。
海戦の面白さと理不尽さ
海賊ゲームと言えば海戦だが、Sea of Thievesの海戦は慣れるまでは一方的にやられることが多い。熟練プレイヤーは帆の角度調整・大砲の射角計算・乗り込みのタイミングを同時並行でこなす。初心者が同じことを急に再現するのは難しい。
「宝を集めて帰ろうとしたら強いプレイヤーに全部奪われた」という体験は、このゲームで必ず一度は経験する。それを「理不尽で嫌だ」と感じるか「悔しいから次は自分が強くなる」と感じるかで、向き不向きがかなり分かれる。
ただし開発のRare社はPvEプレイヤー向けの配慮も続けていて、「ハイシーズ(High Seas)」という海賊行為OK・なんでもありのモードと、比較的平和なエリアを使い分けられるようになっている。「戦いたくない日は避けられる」選択肢が増えているのは大きな改善だ。
スカルフォートの攻防
地図上の特定の島に「スカルフォート(Skull Fort)」という骸骨砦が出現することがある。これは強力なスケルトン軍団を全滅させて最終ボスを討伐すると、要塞の宝庫が開いて大量の宝を得られるイベントだ。
問題は、スカルフォートが出現しているときは上空に巨大な髑髏が浮かぶため、海上のすべてのプレイヤーに「あそこで宝が解放されようとしている」とわかってしまうことだ。攻略中に他の海賊が横取りに来て大乱戦になることが珍しくない。
「やっと最終ボスを倒した!」という瞬間に他の船が砲弾を撃ち込んでくるのはSea of Thievesあるあるで、それを防ぐ読みと判断力を身に付けることがゲームの深みにつながっている。

協力プレイの本質——役割分担と信頼
Sea of Thievesの多人数プレイは、役割分担の妙味が詰まっている。船に乗っているとき、誰かが帆を操作し、誰かが舵を握り、誰かが大砲を担当し、誰かが船底の穴をふさぎ、誰かがマップを見て指示を出す。これらを「自然に分担できるか」がクルーの連携力そのものだ。
ゲームが明示的に役職を割り当てるわけではない。状況を見て判断し、足りないところを補い合う。これがうまく噛み合ったとき、チームゲームとしての完成度がとんでもなく高い体験が生まれる。
言葉が通じなくても航海できる不思議
Sea of Thievesには「エモート(ジェスチャー)」と「ドラムロール(状況を伝える短いアクション)」が充実していて、言葉が通じない外国人プレイヤーとも意思疎通ができることが多い。
見知らぬプレイヤーと偶然出会って、争わずに手を振り合って別れる——そういう交流がランダムに発生するのもこのゲームの魅力の一つだ。オープンワールドゲームの中でも「他のプレイヤーとの偶発的なドラマ」が生まれやすい設計になっている。
「ゲーム内でフレンドになった人と今も一緒に遊んでいる」という声をコミュニティで見かけることは多い。仲間を作るプラットフォームとしての機能も持っているゲームだ。

ソロプレイの現実——一人でも楽しめるのか
「フレンドがいないけどやってみたい」という人は多いはずだ。Sea of Thievesはソロプレイも一応できる。スループで一人で出航し、宝探しや商会クエストをこなすことは十分可能だ。
ただし正直に言うと、PvP要素がある中でのソロは難しさがある。スループは1〜2人用の最小船だが、それでも舵・帆・大砲・修理を一人でこなすのは手が追いつかない場面がある。熟練プレイヤーなら問題なくできるが、初心者期間はかなりハードだ。
「アライアンス」という選択肢
Sea of Thievesには「アライアンス(同盟)」システムがある。他のプレイヤー船に旗を振ることで同盟を申し込め、承認されると相手が稼いだ報酬の一部を自分も受け取れる仕組みだ。ソロの人がアライアンスを組んで疑似的なチームプレイを楽しむケースもある。
「見知らぬ船と同盟を組んで一緒に宝探しをして、最後にどちらが裏切るか」という心理戦が生まれることもある。信頼と疑惑が共存するのがこのゲームの面白さだ。
「タール・オブ・デミス」でソロ向けエリア
2025年のアップデートで追加されたコンテンツの中には、よりPvE寄りで遊べるコンテンツも含まれている。運営のRare社は「攻撃的なPvPに嫌気が差したプレイヤーの離脱」という課題に長年向き合ってきており、その結果として選択肢の幅が広がってきている。ソロでも以前より取り組みやすくなってきているのは事実だ。
2025 Editionの追加コンテンツ
Sea of Thieves: 2025 Editionは、ベースゲームに加えて大型拡張コンテンツが同梱されたバンドル版だ。リリース以来積み上げられてきた追加コンテンツがすべて含まれており、今から始めるなら最もコストパフォーマンスが高い入門方法になっている。
「Pirates of the Caribbean: The Sunken Pearl」
Disneyとのコラボレーションで実装された大型拡張ストーリークエスト「The Sunken Pearl(沈める真珠)」が含まれる。あのジャック・スパロウが登場し、Davy Jonesの海底の船「フライング・ダッチマン号」にまつわる物語が描かれる。
Sea of Thievesは通常ストーリー体験が薄いゲームだが、このコラボコンテンツは会話・演出・謎解きが作り込まれていて、ゲーム内で映画のような体験ができる数少ない機会だ。「Pirates of the Caribbean好きなら絶対やるべき」という声がコミュニティでも多い。
「Monkey Island」コラボ
往年の名作アドベンチャーゲーム「モンキーアイランド」シリーズとのコラボコンテンツ「The Legend of Monkey Island(モンキーアイランドの伝説)」も含まれている。原作のキャラクターたちが登場し、独特のユーモアとパズル要素を楽しめる内容だ。
オリジナルシリーズを知っている人にとってはたまらないファンサービスで、知らない人でも単体の冒険として十分楽しめるクオリティに仕上げられている。
「The Shores of Gold」——伝説の終着点
「黄金の岸(The Shores of Gold)」はゲームのメインストーリー的な位置付けの大型クエスト群だ。「海賊王になる」という物語の軸を追いながら、通常では訪れられない場所や謎解きダンジョンを体験できる。このコンテンツだけで数時間〜十数時間のボリュームがある。
Tall Tales——ストーリーダンジョンの面白さ
Sea of Thievesには「Tall Tales(タル・テールズ)」と呼ばれるストーリークエスト形式のコンテンツがある。通常の宝探しとは異なり、謎を解きながら特定の場所を順番に訪れ、物語を進めていくダンジョン型の体験だ。
謎解き要素は「地図を見て場所を特定する」だけでなく、「本に書かれた暗号を解読する」「特定の場所で特定のアクションをする」「隠された通路を発見する」など、バリエーションに富んでいる。初見でひらめいた瞬間の快感は相当なものだ。
謎解きの手ごたえ
Tall Talesの謎解きは「答えを知っていると一瞬で終わるが、知らないと詰まる」設計だ。フレンドと「これ何を意味してるんだ?」と議論しながら解くのが最も面白い体験で、攻略サイトを見ずにやり遂げたときの達成感はひときわ大きい。
難易度は低すぎず高すぎずで、大人2〜3人が頭を使えばヒントなしでも解けるレベルが多い。頭を使いたい人には特に刺さるコンテンツだ。
ランク付けとチャレンジ
各Tall Talesにはチャレンジモードがあり、特定の条件(制限時間内・全スケルトン撃破・ノーダメージなど)を達成するとより高い報酬を得られる。「一度クリアして終わり」でなく「何度も遊べる理由」を提供してくれている。

アップデートの歴史——7年間で何が変わったか
2018年のリリース当時、Sea of Thievesに対する評価は賛否が大きく分かれていた。「やること(コンテンツ)が少なすぎる」「海賊ゲームとして素材は良いが中身が薄い」という批判が多く、リリース直後はSteamでも「賛否両論」に近い評価だった。
しかし運営のRare社はその後、大型アップデートを定期的に投下し続けた。「Anniversary Update」「A Pirate’s Life」「Shrouded Islands」——毎回の大型更新でゲームが別物に近いほど変化し、評価は「非常に好評」まで押し上げられた。
7年かけて出来上がったゲーム
現在のSea of Thievesは「2018年版とは完全に別のゲーム」と言っていいほどコンテンツ量が違う。ストーリークエスト・PvP競技コンテンツ・バトルパス的なシーズンパス・新モンスター・新船種・新武器——これらが全部リリース後に追加されてきたものだ。
「最初からこれだけ入っていれば最初から名作だった」という声もある。ただ、そうでなかった過去を経てここまで育てたことへの評価も、長年のプレイヤーたちはしっかり持っている。Rare社がこのゲームに誠実に向き合い続けたことは、コミュニティの間で尊重されている。
Steamへの移行
もともとXbox Game Pass専用・Xbox/PC Windows Store限定だったSea of Thievesが、Steamでも購入できるようになったのは2020年のことだ。これによってプレイヤー層が大幅に拡大し、同時接続者数も急増した。Steam移行がなければここまで広がらなかっただろうというのが大方の見方だ。

季節(シーズン)システム
Sea of Thievesは現在「シーズン制」で運営されている。3ヶ月ごとに新シーズンが始まり、無料のパス(Renown Level)を上げることでコスメアイテムを入手できる。課金要素はほぼコスメのみで、課金してもゲームプレイ上の優位性は得られない。
「強い武器や防具を課金で買えない」「プレミアムパスでゲームが有利になったりしない」——このスタンスはコミュニティから高く評価されている。長く遊んでいるプレイヤーが有利で、お金を積んでも同じにはなれない。純粋にプレイ時間と経験がモノを言うゲームだ。
Pirate Emporiumと課金コスメ
「Pirate Emporium(海賊エンポリアム)」というショップでは有料通貨「Ancient Coins」を使ってコスメを購入できる。船の外見・衣装・武器の見た目・ペットなどが対象だ。
ペットはゲームプレイ上の効果はゼロだが、オウムやサルが船の上をうろついたり肩に乗ってきたりするのは愛らしい。「ゲームの強さには関係ないけど欲しくなる」設計は上手い。
古来のコスメアイテムを集めることがこのゲームの「やり込み」の大部分を占めている。「全コスメを揃えようとしたら数千時間かかる」というレベルの量があり、終わりのない収集欲を刺激してくる。
武器と戦闘——海賊の腕前が物を言う
Sea of Thievesの戦闘システムは数値的なステータスが存在しない、純粋にプレイヤースキル勝負の仕組みだ。武器の見た目は違っても性能は同じ。経験値を積んでも攻撃力が上がったりしない。
使える武器は剣・銃(ブリントロック、ブランダーバス、ライフル)・グレネードなど数種類。シンプルだが扱いこなすには練習が必要で、特に「剣の連打」と「盾ブロック」のタイミング、「ブリントロックの照準タイミング」あたりは熟練プレイヤーとの差が顕著に出る。
大砲戦の醍醐味
海戦では大砲が中心兵器だ。大砲に弾を込め、角度を調整し、タイミングを見計らって撃つ。動く相手船に命中させるには距離感と動きの予測が必要で、慣れるまでは全然当たらない。
「大砲から人間が飛ぶ」という機能もあり(Cannon Ball or Player Ball)、自分が大砲に入って敵船に飛んでいき乗り込む奇策も実用的に使えるのがこのゲームの遊び心だ。初めてこれを成功させたときの「え、こんなことできるの!?」という驚きは格別だった。
カーシングと呪い
「ゴールドハウラーの呪い」「メデューサの呪い」など、特定のコンテンツをクリアすると獲得できる「カーシング(呪い)」というコスメ効果がある。骨だけになって透けて見えたり、体が金色に光ったりする見た目の変化で、ゲームプレイへの影響はない。
ただし海上でこのカーシングを持つプレイヤーを見ると「あ、このプレイヤーは相当やり込んでいる」とわかる。視覚的なランクを示す指標になっており、コミュニティ内でのある種の誇りになっている。

世界的なコミュニティと文化
Sea of Thievesのコミュニティは規模が大きく、かつ独特の文化を持っている。「Sea of Thieves」はゲームの名前であるとともに、「思いがけないドラマが起きる場所」という意味合いもコミュニティ内で使われる。
Steamのレビューには「敵だと思っていたプレイヤーと最終的に友達になった」「見知らぬ人の宝を助けてあげたら後で一緒に遊ぶことになった」という体験談が大量にある。ゲームシステムが「プレイヤー同士の物語」を生みやすくなっていて、それがこのゲームの核心的な価値になっている。
配信・動画文化との相性
Sea of Thievesは配信映えするゲームでもある。「何が起きるかわからない」「感情の起伏が激しい」「笑いと緊張が交互に来る」という性質が、視聴者を引き込む配信コンテンツとして機能しやすい。
海外ではXQc・Lirik・Valkyrae・Summit1gなど大手ストリーマーが定期的にプレイしてきた歴史があり、彼らの配信でゲームを知った人がプレイを始めるという流れが繰り返されてきた。「配信で見て気になってた」という人は特に向いているかもしれない。
ファンアートとMOD文化
このゲームはMODには非対応だが、ファンアートやコスプレの文化が活発で、公式がそれを積極的に紹介するスタンスを取っている。コミュニティとゲームの距離感が近いのはRare社の姿勢によるところが大きい。定期的にコミュニティの作品を紹介したり、フィードバックに応答したりしており、「プレイヤーと一緒に作っている」感覚が強い。

グラフィックとサウンドの完成度
Sea of Thievesが長年にわたってプレイヤーを惹きつけてきた理由の一つが、ビジュアルとサウンドの完成度だ。スペック的には決して最新鋭ではないが、「このゲームのアート」としての完成度は非常に高い。
水の美しさ
開発のRare社がこのゲームで最もこだわったのは水の表現だと公言している。波の形・光の反射・嵐と晴天の質感の違い・夜の月明かりの揺らぎ——それぞれが丁寧に作り込まれていて、「ただ海を航行するだけ」が絵画を眺めるような体験になる。
夕暮れ時に水平線に向かって帆を張るシーン、嵐の中で青白い稲妻が水面を照らすシーン——スクリーンショットを撮りたくなる場面が多く、「Photo Modeが欲しい」という声がコミュニティからずっと上がっていたほどだ。
音楽と効果音
このゲームのBGMは海賊的なアドベンチャー感があり、状況に応じて動的に変化する。穏やかな航海中は軽快なメロディー、戦闘が始まると緊張感ある曲調に切り替わる。嵐のとき・クラーケン出現時・スカルフォート攻略中——それぞれに専用の音楽がある。
また船上で楽器を演奏できるシステムがあり、バンジョー・ハーモニカ・ドラムセット・手風琴の4種類が使える。「みんなで船上でセッションする」「演奏しながら他の船に近づいて乾杯する」という文化がコミュニティ内で根付いている。
音楽の作曲は主にRobin Beanland氏が担当し、彼の作る楽曲の世界観へのマッチングは業界でも高く評価されている。

初心者が始めるときに知っておくべきこと
「始めてみたいけど何から手をつければいいかわからない」という人向けに、最初にやっておくべきことを整理する。
最初の港でやること
ゲームを起動したら、まず港にいる「Gold Hoarders(金庫商会)」のNPCから最も簡単な宝探し依頼を受ける。近くの小島の宝の地図をもらって、地図を見ながら島に向かい、Xの場所を掘って宝箱を持ち帰って売る——これが基本動作の全部だ。
最初は慌てなくていい。海賊ゲームというと「すぐに敵と戦う」イメージを持つ人もいるが、このゲームで最初に身に付けるべきは「船を動かすこと」と「地図を読むこと」だ。
船の基本操作を覚える順番
まず錨を上げる(錨を下げたまま帆を張っても動かない)。帆を下ろす(帆を下ろすほど速度が出る)。帆の角度を調整する(風の向きに合わせると加速する)。舵で方向を変える——この4つを身体で覚えるだけで、序盤の大部分はこなせる。
「なぜ動かないんだ」と焦っているときはたいてい錨が下がったままか、帆が畳まれたままだ。これは誰もが最初にやる失敗なので恥ずかしくない。
死んでも失うものは少ない
死んだときは「Ferry of the Damned(死者の渡し船)」という幽界の船に乗り、少し待ってから復活する。船が沈んでも同じ場所に新しい船が用意される。失うのは積んでいた宝だけで、持ち物や経験は保持される。
「死んだらどうなるんだろう」という不安を持ちすぎずに動いてみることが上達への近道だ。このゲームの本当の意味でのリスクは「積んでいた宝を失うこと」だけで、それすら「学習の代償」として割り切れるようになると急速に上達する。
フレンドと始めるか、ソロで始めるか
正直に言うと、フレンドと始める方が圧倒的に楽しい。一人でやると操作の習得中は単純なミスが目立ちやすく、挫折しやすい。二人いれば「帆を君が担当して、俺が舵やる」という分担ができて、最初から多少の連携体験ができる。
フレンドがいない場合でも、「Open Crew」という設定にすると見知らぬプレイヤーが乗り込んでくることがある。英語が必要なことが多いが、ジェスチャーだけでも意外と通じる。とりあえず試してみるのが良い。

課金要素と長期プレイのコスパ
Sea of Thieves: 2025 Editionの価格はSteamで5,500〜6,000円前後だ。これで過去の大型コンテンツすべてと現在のゲームに必要な全てのコンテンツが入っている。追加で課金しなくてもゲームは問題なく楽しめる。
有料課金(Ancient Coins)はコスメ目的のみで、ゲームプレイ上の優位性は一切ない。「コスメに課金したくない人」は買い切り価格だけで完全に楽しめる設計だ。これはライブサービスゲームとしてはかなり良心的な部類に入る。
Xbox Game Pass経由という選択肢
PCならXbox Game Pass(PC Game Pass)に加入することでSea of Thievesをプレイできる。月額1,100円前後のGame Passで他のゲームと一緒に遊べるため、「試してみたいけど購入まではちょっと」という人にとっては最初の入口として有効だ。
ただしGame Pass版はSteam版と共存できるため、気に入ったらSteam版を購入するという流れも選択肢になる。SteamのセールやGame Passを活用してコストを抑えた入り方もできる。
プレイ時間当たりのコスパ
Steamのレビュー平均プレイ時間(100〜300時間以上のレビューが多数)を見ると、「500時間以上やっている」プレイヤーのレビューが珍しくない。6,000円で500時間なら1時間あたり12円というコスパになる。
「刺さった人には果てしなく遊べる」タイプのゲームで、逆に「合わなかった人は20時間くらいで辞める」という二極化傾向がある。購入前に体験する手段(Game Pass・セール・フレンドの招待など)を利用して自分に合うか確認するのが良い。
ネガティブな点も正直に
「非常に好評」のゲームだからといって完璧ではない。正直なところを書く。
理不尽なPvPは今も存在する
宝を集めて港に向かっているとき、圧倒的に強いプレイヤーに一方的に沈められることは今でも起きる。「ゲームに慣れた人がほぼ確実に勝てる仕組み」なので、初心者期間はやられ続けることがある。これをポジティブに楽しめない人には辛い。
「Hourglass of Fate」というPvP専用モードもあるが、そこには熟練プレイヤーが多く集まるため難易度が高い。PvPが苦手なプレイヤーにとっては「行く必要はないが、まぎれこむと手痛い目に遭う」場所だ。
サーバーパフォーマンスの問題
接続が不安定になることがある。特定のサーバーでラグが発生して戦闘の勝敗に影響するケースがあり、コミュニティでは「サーバーが良くない」という批判が定期的に上がる。これはRare社が改善に取り組み続けている課題ではあるが、2025年現在でも完全に解決はされていない。
チュートリアルの不足
ゲームの基本説明は最低限で、詳しいシステムは自分で調べながら学ぶ必要がある。「宝箱の種類ごとの価値の違い」「各商会の評判を上げるコツ」「大砲の弾道計算」などは公式チュートリアルでは教えてもらえない。
Wikiやコミュニティの攻略情報を参照するか、経験者に教えてもらいながら覚えることがほぼ前提になっている。「何も調べずにゲームだけで全部理解できる」設計にはなっていない。
ソロだと辛いシーンが多い
先述の通り、ソロでの体験は本質的に制限がある。フレンドがいない・または現在つながれない状況での孤独感は、このゲームの弱点の一つだ。ランダムマッチングで見知らぬプレイヤーと遊ぶ機能はあるが、コミュニケーションの壁もある。
他のゲームと比べたとき——Sea of Thievesの立ち位置
「海・オープンワールド・マルチプレイ」というジャンルの中でSea of Thievesがどういう立ち位置にいるかを整理すると、このゲームの独自性が見えてくる。
同じく海が舞台のサバイバルゲームとして比較されることが多いのがサブノーティカシリーズだ。あちらは深海を一人で探索するホラー寄りの体験で、Sea of Thievesとは方向性が全く異なる。「仲間と海上を駆け回る」か「一人で深海に潜る恐怖を楽しむ」かという違いだ。
協力ゲームという観点では、Deep Rock Galacticと似た「チームで役割分担して目標を達成する」楽しさがある。ただしDRGが同じマップ内で完結するのに対し、Sea of Thievesは広大な海を移動すること自体が体験の中核にある。
アドベンチャーゲームとして見ると、ARKや7 Days to Dieとの比較もよく聞く。ただしSea of Thievesにはベースビルド要素がなく、クラフト要素もない。「作る」のではなく「探す・戦う・持ち帰る」に特化しているゲームだ。
2026年時点での状況
Sea of Thievesは2026年4月現在も現役で稼働しており、定期的なシーズンアップデートが続いている。Steamでの同時接続者数は平均1〜2万人、週末や新シーズン直後には3〜5万人規模に達することもある。「死にかけのゲーム」では全くなく、7年目にして健全な規模のプレイヤーコミュニティを維持している。
Rare社はこのゲームへの投資を継続することを明言しており、新シーズンのロードマップも発表されている。「今から始めても今後も遊べる」という安心感がある状態だ。
新規参入者の状況
Steam版でのレビューを見ると、「2024〜2025年から始めた」という新規プレイヤーのコメントが継続して増えている。セール時期(サマーセール・ウィンターセールなど)には特に新規ユーザーが増える傾向があり、コミュニティは新鮮な状態を保っている。
ベテランプレイヤーが初心者に優しくする文化もあり、「初めてと言ったら一緒に遊んでくれた」「宝の場所を教えてもらった」という新規プレイヤーの声が定期的に見られる。コミュニティの雰囲気は全体的に悪くない。
まとめ——「海賊ごっこ」が世界最高水準の体験になるまで
Sea of Thieves: 2025 Editionは、「友達と騒ぎながら海賊ごっこをする」という子供の頃の夢を、大人が本気で楽しめる形に作り上げた稀なゲームだ。
ゲームを起動して仲間と海に出るとき、誰も「次に何をするか」を事前に決めていなくていい。地図を見て宝を探しに行くかもしれないし、嵐の方向に突っ込んでいくかもしれないし、見かけた他のプレイヤー船に手を振るかもしれない。その「何が起きるかわからない感覚」こそが、7年経っても遊ばれ続けている理由だと思う。
「フレンドと笑いながら何かを達成したい」「オープンワールドで自由に遊びたい」「他のゲームでは体験できない何かを探している」——そういう人には、一度試してみる価値が十分にある。刺さった瞬間から、数百時間が溶けるゲームだ。
もし一人でスタートを切ることになっても、このゲームの海には必ず誰かがいる。その出会いがどんな体験を生むかは——出航してみないとわからない。
Sea of Thieves: 2026 Edition
| 価格 | ¥5,390 |
|---|---|
| 開発 | Rare Ltd |
| 販売 | Xbox Game Studios |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | マルチ |
