Across the Obelisk|友達と遊ぶと200時間消えるCo-opデッキ構築ローグライク
「今夜だけ」と思って起動したら、気づけば夜が明けていた。そういうゲームが、たまにある。
Across the Obeliskは、そういうゲームだ。最大4人でパーティを組み、デッキを構築しながらファンタジー世界を旅するローグライクRPG。ターン制カードバトルで敵を倒し、アイテムを拾い、街でデッキを強化しながら先へ進んでいく。
初めてこのゲームを起動したとき、最初の印象は「ちょっと地味かも」だった。アニメ調のイラストは可愛いが、ゲームプレイは完全にターン制カードゲーム。派手なアクションも、リアルタイムの戦闘もない。カードを選んでクリック、カードを選んでクリック、それだけだ。
ところが3時間後、ウォーリアーとメイジを組み合わせたコンボが初めて決まった瞬間、「あ、これはヤバいゲームだ」と悟った。水濡れ状態の敵に電撃を叩き込んで一気に吹き飛ばしたとき、あの快感はしばらく忘れられない。
Steamでのレビュー数は1万件を超え、評価は「非常に好評」。リリースは2022年だが、2025年1月に「Singularity」と呼ばれる大型無料アップデートが実装されるなど、開発チームのDreamsite Gamesが継続的にアップデートを続けている現役タイトルだ。
プレイ時間の中央値は116.9時間。この数字が示すように、一度ハマったプレイヤーはなかなか抜け出せない。なぜこんなに長く遊ばれているのか、このゲームのどこがそんなに面白いのか、正直に書いていく。
デッキ構築ローグライクとしての完成度は高い。ただ、正直に言うと「万人向けではない」部分もある。DLC周りの話や、ゲームの難易度設計、最初の学習コストなど、気になる点はいくつかある。この記事では、そのあたりも含めて丁寧に書いていく。
「Across the Obelisk」公式トレーラー
こんな人に読んでほしい

Across the Obeliskが刺さるのは、こういうプレイヤーだ。
- Slay the Spireをクリアして「もっとパーティ感のあるゲームがしたい」と思った人
- 友達と一緒にローグライクを遊びたいが、なかなか合うゲームが見つからない人
- TCG(トレーディングカードゲーム)やデジタルカードゲームが好きで、デッキ構築の面白さを知っている人
- Dungeons & Dragonsのようなファンタジー冒険RPGの雰囲気が好きな人
- 1プレイ数時間かけてじっくり攻略するゲームが好きな人
- 負けても「もう一回やりたい」と思える中毒性のあるゲームを探している人
- オンラインで友達と定期的に遊べる長期コンテンツを探している人
逆に、アクション要素が欲しい人や、サクッと短時間で遊べるゲームを求めている人には向かない。Across the Obeliskは「腰を据えて考える」ゲームだ。1回のランは短くて1〜2時間、集中してプレイすると3〜4時間かかることもある。「ちょっとだけ遊ぼう」のつもりで起動すると痛い目を見る。
カードゲーム的な思考が全くない人、つまり「シナジーを考えながらデッキを作る」という作業自体を楽しめない人には刺さりにくいかもしれない。このゲームの楽しさはほぼ全部「デッキ構築と戦略立案」にあるので、そこが合わないと厳しい。
Co-opを一緒に遊べる友達がいる人には特に強くすすめたい。ソロプレイも十分楽しめるが、このゲームの本当の魅力は4人で戦略を立てながら戦うところにある。「今週末みんなで何かやろう」という相談をしているグループに提案すると、気づけば4時間経っている。そういうゲームだ。
ゲーム概要:デッキ構築×ローグライク×Co-op

まず基本的な構造から説明する。Across the Obeliskはデッキ構築型ローグライクRPGで、開発はDreamsite Games、パブリッシュはParadox Interactive(Paradox Arc)が担当している。PCのSteamで2022年8月に正式リリースされ、その後Nintendo Switch、PlayStation 5、Xbox Series X|Sにも展開された。
プレイヤーは4人のヒーローでパーティを組み、マップ上のノードを選びながら進んでいく。各ノードでは戦闘、イベント、ショップ、回復などが発生し、戦闘ではカードバトルで敵を倒す。いわゆる「ランパス形式」と呼ばれるローグライクの定番構造で、Slay the Spireをプレイしたことがある人なら基本的な流れはすぐ把握できる。
最大の特徴は「4人分のデッキを同時に管理する」点にある。ソロプレイでは4人のヒーローを自分で操作し、Co-opでは1人1キャラを担当する。それぞれのキャラクターが独立したデッキを持ち、ターン中に使えるカードを組み合わせて戦略を構築していく。
Slay the Spireと比較されることが多いが、あちらがソロ1キャラクターのデッキ構築であるのに対し、Across the Obeliskはパーティ全体でのシナジーを考える必要がある点で、より複雑で深みがある。「4人分の手札の中から最善手を選ぶ」という判断の密度が全然違う。

ゲームの流れを詳しく
1回のプレイ(ラン)の流れを順番に説明する。
スタート時、プレイヤーは利用可能なヒーローの中から4人を選んでパーティを編成する。序盤はヒーローの種類が少ないが、ゲームを進めるにつれて解放されるヒーローが増えていく。ヒーロー選びがデッキの方向性を決めるので、ここから戦略を考え始める必要がある。「今日はウォーリアー2人でゴリ押し構成にしよう」「ヒーラーを2人入れて回復特化にしよう」といった議論が始まるのも、このヒーロー選択フェーズからだ。
パーティを組んだら、ワールドマップに入る。マップはランダムに生成され、複数のルートに分岐している。各ルートには異なるノードが並んでいて、どのルートを選ぶかによって遭遇するイベントや敵が変わる。このルート選択が重要で、「今の状態で強敵に当たるのはリスクが高い、でも迂回すると大きなアイテムが取れない」という判断が常に迫られる。
戦闘ノードに入ると、ターン制のカードバトルが発生する。各ヒーローが独立した手札を持ち、順番にカードを使っていく。基本的には「マナポイント(コスト)を消費してカードをプレイし、そのターンのマナが尽きるか全カードを使い終わったら終了」という流れだ。敵のアクションはターン開始時に予告されるので、相手の行動を見ながら対処方法を考えることができる。
戦闘に勝利すると報酬がもらえる。カード、アイテム、ゴールド、XPなど報酬の種類はさまざまで、ランごとにデッキとキャラクターを強化していく。街のノードでは、ショップでカードやアイテムを購入したり、既存のカードをアップグレードしたり、ヒーローのスキル(タレント)を習得したりできる。
ランを重ねると解放される永続要素がある。新しいヒーロー、新しいカード、街の施設のアップグレードなど。ランに失敗しても、これらの進捗は引き継がれる。これが「遊べば遊ぶほど強くなる・広くなる」という感覚を生み出している。初期状態ではできないことが、プレイを積み重ねることで徐々にできるようになる。
戦闘システムの詳細
戦闘では「状態異常」のシステムが重要な役割を果たしている。出血、毒、炎上、凍結、水濡れ、電撃など、多数の状態異常が存在し、これらを組み合わせることで強力なシナジーが生まれる。
各状態異常は独立して機能するが、組み合わさると相乗効果が発生するものがある。水濡れ状態に電撃を当てるとダメージが増幅する、凍結状態に物理攻撃を当てると砕けてダメージが入る、といった組み合わせだ。これを4人のパーティで分業して狙うのが戦略の核心になる。
防御(アーマー)システムも重要だ。アーマーはターンごとにリセットされるものが多いので、毎ターン適切に防御カードを使う必要がある。回復カードだけに頼るのではなく、ダメージを受ける前に防ぐ意識が求められる。
エネルギー(マナ)の管理もポイントだ。各キャラクターが持つエネルギーは毎ターン補充されるが、使い切ってしまうとカードが打てなくなる。コスト0のカードを多用して手数を増やすか、コストは重いが効果が大きいカードで確実に仕留めるか、デッキ構築の段階から意識する必要がある。
3つのゲームモード
Across the Obeliskには現在3つの主要ゲームモードがある。
アドベンチャーモード:通常のプレイモード。ストーリーを進めながらランを重ねていく。ファーストプレイはここから入る。難易度調整もできるので、慣れないうちは低難易度から始めて徐々に上げていける。
オベリスクチャレンジ:難易度を自分でカスタマイズできるモード。さまざまなモジュール(ルール変更)を組み合わせて、自分に合った難易度設定を作れる。例えば「敵のHPを120%にする」「ショップでのカード購入コストが増加する」「状態異常の持続ターンが短くなる」など、細かい調整ができる。やり込み勢にとってはここが本番と言えるモードだ。
ウィークリーチャレンジ:毎週変わる特定のルールでプレイするモード。世界中のプレイヤーと同じ条件でスコアを競う。「今週のチャレンジはメイジ縛り」みたいなことが起きるので、普段使わないヒーローやデッキ構成を試す機会になる。
2025年1月の「Singularity」大型アップデートでは、新しいゲームモードが追加された。各カードを1枚しか持てないという制約でデッキを構築するモードで、カード選択の優先度がガラッと変わる。「このカードはシナジーが強いから複数枚入れたい」という通常のデッキ構築の感覚を覆す面白さがある。熟練プレイヤーにとって新鮮な挑戦になっている。
16人のヒーローと500種以上のカード:キャラクターシステムを深掘り
Across the Obeliskを語る上で外せないのが、ヒーローとカードの多様性だ。このゲームのリプレイ性の大部分は、この二つから来ている。
現在、ゲームには16人以上のヒーローが登場する(DLC込みだともっと増える)。大きくはウォーリアー、スカウト、メイジ、ヒーラーの4クラスに分かれているが、同じクラスでもヒーローによって得意なことが全然違う。
各クラスの特徴
ウォーリアーは前線で戦う近接戦闘キャラクターだが、一口にウォーリアーと言っても攻撃特化型、防御特化型、デバフ付与型など方向性が異なる。例えば「ハイナー」は防御に特化した重装鎧のキャラクターで、アーマーを積み上げてパーティを守ることが得意。一方「グルクリ」は継続ダメージ(出血や毒)を付与することを得意とする。同じウォーリアーでもデッキの方向性がまったく異なる。
スカウトは素早い行動と状態異常付与が得意なクラスだ。低コストのカードを素早くプレイして手数で攻めるタイプや、毒ダメージを積み重ねるタイプなどがいる。エネルギー効率が高いデッキを作れれば、1ターンで大量の行動ができる。
メイジは属性魔法を駆使する後衛キャラクターだ。炎、氷、電撃などの属性攻撃を主軸に、敵全体への範囲攻撃が得意なキャラクターが多い。単体ではダメージは高いが防御が薄いことが多いので、ウォーリアーやヒーラーのサポートが必要になる。
ヒーラーはパーティの回復と強化を担う。回復だけでなく、バフ付与や蘇生など、チームを支えるカードを多く持っている。Co-opでヒーラーを担当するプレイヤーは「どのタイミングで誰を回復させるか」という判断が常に求められる。地味に見えるが、実はゲームを最も左右するポジションだ。
マルチクラスという深み
さらに面白いのが「マルチクラス」キャラクターの存在だ。2つのクラスの特性を持つキャラクターは、単純な掛け合わせ以上のシナジーを生み出す。例えば、ウォーリアーとヒーラーの特性を持つキャラクターは、攻撃しながら回復もできるという独特のプレイスタイルを実現する。
2025年1月のSingularityアップデートで追加された「Sigrun the Valkyrie」と「Bernard the Alchemist」はどちらもマルチクラスキャラクターで、これらが加わったことで組み合わせのパターンがさらに広がった。
500種のカードが作る無限の可能性
カードは500種類以上が実装されている。ベースゲームだけで相当な数があり、DLCを追加するとさらに増える。1回のランで使えるカードはその中のごく一部だから、毎回違うデッキになる。
カードのデザインで特に評価されているのは「弱そうに見えるカードが化ける」という点だ。単体では地味な効果でも、特定のアイテムやアップグレードと組み合わせると強力な軸になる。こういった発見が、長時間プレイしても飽きさせない要因になっている。50時間プレイしても「まだこのカード見たことなかった」という発見があるのが、このゲームの奥深さだ。
各カードにはアップグレードシステムもある。素のカードを街でゴールドを使ってアップグレードすると、効果が強化されたり、新しい効果が追加されたりする。どのカードをアップグレードするかという判断もデッキ構築の重要な要素だ。
Co-opが生む「合体技」の快感
4人Co-opの醍醐味は、パーティ間のシナジーにある。ソロプレイでは自分でコントロールする話だが、Co-opでは意思疎通が重要になってくる。
具体的な例を挙げる。ウォーリアーが「血の雨」を使って敵に「出血」と「水濡れ」のデバフを付与する。次のターンにメイジが「連鎖する電撃」を使うと、水濡れ状態の敵には電撃ダメージが増幅して入る。これが意図的に決まったときの快感がすごい。「やったー!」と声が上がる瞬間だ。
逆に、誰かが誤ってデバフを消してしまったり、コンボの途中で別の行動をしてしまったりすると、「あっ!」という笑いが生まれる。失敗も含めてCo-opの面白さだ。このゲームでコンボが決まった瞬間と失敗した瞬間は、どちらも盛り上がる。
ゲーム内には「声掛け」システムも用意されていて、ターン中にコミュニケーションを取れる仕組みがある。完全な意思疎通はできないが、ハイテンポな戦闘中に最低限の連携を取るための工夫がされている。DiscordやLINEで通話しながら遊ぶとさらに盛り上がる。
リソースの共有も可能で、ゴールドやシャードといったゲーム内通貨を仲間に分配できる。「今のランではメイジを強くすべきだから、俺のゴールドを渡すよ」という利他的な判断が自然と生まれる。これがパーティゲームとしての一体感を生んでいる。
Co-op体験の面白さという点では、The Binding of Isaacのソロプレイとはまた違う方向の楽しさがある。ローグライクの孤独な挑戦感とは対照的な、みんなで知恵を絞る楽しさがここにある。
なぜ1万件のレビューを獲得したのか

Across the Obeliskが1万件以上のレビューを集め、長期間プレイされ続けている理由を深く分析してみる。
「積み上げ」が楽しい永続進行システム
ローグライクの一般的な問題は「負けたら全部リセット」という喪失感だ。何時間もかけてデッキを育てたのに、一度死んだら最初からやり直し。このストレスがローグライクを楽しめない人の壁になることは多い。
Across the Obeliskはこれをうまく緩和している。ランに失敗しても、解放されたヒーローやカード、街の施設のアップグレードは引き継がれる。つまり、プレイすればするほど選択肢が広がっていく。この「積み上げ感」があるから、負けてもまたやりたくなる。「今度こそあのコンボを試してみよう」という動機が常にある。
街のアップグレードシステムが特に面白い。街にはショップ、鍛冶屋、宿屋など複数の施設があり、ランを重ねることで各施設が強化されていく。強化された施設では、より良い品揃えのショップ、より多くのカードアップグレード、より高い回復効果が得られるようになる。この「街も一緒に成長する」という感覚が、ゲームに独特の愛着を生む。
Steamの統計では、このゲームのプレイ時間の中央値が116.9時間という数字が出ている。100時間超えは普通のゲームでは異例の数字だ。それだけ長く遊ばれているのは、やるたびに新しい発見があり、かつ前回のプレイが次回に活かされるからだろう。「また今日もやってしまった」という感覚が続く。
ただ、この「積み上げ」が一方で「スタート時の不利」にもなる。初期状態では解放されているヒーローが少なく、使えるカードも限られている。序盤は意図的に弱い状態でプレイする必要がある。これを「成長の過程」と楽しめるかどうかが、序盤の評価を分けるポイントになる。
Co-opで変わる体験の質
ソロプレイでも十分楽しめるが、Co-opで遊んだときの体験はまた別次元だ。ローグライクを友達と一緒にプレイできるゲームは少ない。多くのローグライクはソロ専用か、Co-opが後付けで「なんとなく動く」程度の実装だったりする。
Across the ObeliskのオンラインCo-opは「しっかり作られている」と評価されていて、接続の安定性や操作感に大きな問題がない。同じパーティで何度もランを重ねることで、「このメンバーのこの構成が強い」というノウハウが蓄積されていく。これが長期的なモチベーションになる。
4人フルパーティが揃わなくても、2〜3人でも遊べる。足りない枠のヒーローはAIが操作するのではなく、単純にパーティの人数が減る形になる。2人でプレイして「あとの2人は俺たちが操作する」というスタイルもあるし、「シンプルに2人パーティで戦略を立てる」というスタイルもある。
最大4人で遊べるCo-opゲームとして、ICAROSのような複数人で協力するタイプのゲームが好きな人にはたまらない体験になる。ただしジャンルは全然違うので、比較よりも「Co-opが楽しい」という共通点で語った方がいい。

ゲーム内マップとルートの奥深さ
ローグライクの面白さの大きな部分は「ランダム性」にある。毎回異なるマップ構成、毎回異なる敵の配置、毎回異なるアイテムの出現。Across the Obeliskはこの点でも十分な複雑さを持っている。
マップには複数のゾーン(エリア)があり、各ゾーンに独自の敵と環境が存在する。ベースゲームだけでも複数のゾーンがあり、DLCを追加するとさらに増える。「今日はどのルートを通るか」「このゾーンには強敵が多いが、先に進むためには通らざるを得ない」という判断が常にある。
イベントノードも重要だ。ランダムなテキストイベントが発生し、選択肢によって報酬やペナルティが変わる。リスクを取って高い報酬を得るか、安全策を選ぶかという判断は、ゲームの難易度によっても変わってくる。
テキストベースのシステムがカードゲーム好きに刺さる
Across the Obeliskはアクション要素が一切ない。すべてカードをプレイするだけで戦闘が進む。これは人によっては「地味」に映るかもしれないが、TCGやデジタルカードゲームが好きな人にとっては逆に「純粋にデッキ構築を楽しめる」という強みになる。
操作の「うまさ」ではなく、「判断の正確さ」で勝負するゲームだ。敵の次の行動が見えている状態で、手持ちのカードから最善手を選ぶ。この思考プロセスが楽しいと感じる人には、何時間でも続けられる。
Civilizationのようなターン制ストラテジーが好きで「もっとRPG要素が欲しい」という人にもはまりやすい。じっくり考えて行動するテンポが合っている。
継続的なアップデートと開発姿勢
2022年のリリース以降、Dreamsite Gamesはコンスタントに更新を続けている。単純なバグ修正だけでなく、バランス調整、新コンテンツの追加、新機能の実装が定期的に行われている。
2025年1月のSingularity大型アップデートは「史上最大規模」と銘打たれた無料アップデートで、新ゲームモード、新カード、新メカニクス(Rust(錆)という新カース)、新マルチクラスヒーロー2人(Sigrun the ValkyrieとBernard the Alchemist)などが追加された。これだけのコンテンツが無料で提供されたのは、開発者への信頼感につながっている。
2025年6月には「The Sunken Temple」と「Spider Queen Hero Pack」という2つのDLCが同時リリースされた。新しいダンジョン、新ヒーロー「Tulah(スパイダークイーン)」、新ペット「Rocky(コクーン)」、15種類以上の新イベント、10種類の新アイテムなど、コンテンツ量は相当なものだ。価格はそれぞれ4.99ドル(約550〜600円)と手頃だ。
PC(Steam)だけでなく、Nintendo Switch、PlayStation 5、Xbox Series X|Sにもポートされており、プラットフォームを問わず遊べる環境が整っている。PCで遊んでいたプレイヤーが外出先でSwitchに引き継ぐことも可能だ。
ユーザーの声を交えた正直な評価
Steamのレビューや海外コミュニティの声を元に、このゲームへの評価を整理する。良い部分も悪い部分も正直に書く。
熱心なファンの声
Monster Trainが出て以来、最高のデッキ構築ゲームだと思う。カードのデザインが秀逸で、一見弱そうなカードがアップグレードとアイテムの組み合わせで化けることがある。最終ボスも特定のビルドを無効化するような設計になっていないのが好き。ちゃんとデッキを考えれば報われる。
引用元:Steamレビュー
D&Dをローグライクデッキビルダーとしてプレイしている感覚を見事に再現している。各パーティメンバーがそれぞれ独立していて、Co-opの実装も丁寧。リソースの共有も簡単だし、意見が分かれたときの調整手段もある。友達4人で遊ぶと本当に楽しい。
引用元:Steamレビュー
50時間プレイしても毎回新しいカードが出てくる。500種以上あるカードを全部把握するのに時間がかかりすぎる。でもそれが楽しい。毎回「このカード初めて見た」という発見がある。
引用元:Steamコミュニティ
友達4人でプレイしたら全員で声を上げてしまった。「ここでこのカードを使えばコンボが繋がる」と気づいた瞬間の興奮が最高。ローグライクはソロが多いのに、ここまでCo-opが楽しいゲームは珍しい。
引用元:Steamレビュー
批判的な声も正直に
好評なゲームだが、気になる点も正直に書く。Steamでの直近30日のレビューが「やや好評」に落ちていた時期もあった。主な理由はこういったものだ。
DLCの価格設定が不満だった。一時期、最新のDLCがベースゲームとほぼ同額なのに、内容量は明らかに少ないものがあった。ゲーム自体は好きだが、DLCの値付けには疑問を感じる。ただ、最近のDLCは価格が改善されている印象がある。
引用元:Steamコミュニティ討論
ストーリーを1周クリアした後、「もう一度やりたい」という動機が薄れていく。ビルドの幅が狭く感じてきて、ゲームが難しくなるにつれて使えるビルドが限られてくる。Slay the Spireのような「どのビルドでも工夫次第で行ける」という感覚が薄い。
引用元:海外レビューサイト
ボスファイトが長くなりすぎることがある。死ぬ気配はないのに、30分以上かけてじわじわ削り続けるだけ、というシチュエーションが発生する。数字がインフレしすぎているというか、ダメージと耐久力のバランスが崩れているように感じるタイミングがある。
引用元:Steamレビュー
DLC問題の経緯と現状
Across the Obeliskでは、DLCを巡るユーザーとの摩擦が一時期大きな話題になった。
開発当初、DLCはほぼコスメティック(見た目の変更のみ)にするという方針がコミュニティに伝えられていた。しかし、後のDLCでゲームプレイに影響するコンテンツ(新ヒーロー、新マップ、新カード)が追加されたことで、「方針と違う」という批判が出た。
さらに問題になったのが実績(Steam Achievement)だ。一部の実績がDLC限定になったことで、ベースゲームだけでは全実績解除ができなくなった。Steam実績の全解除を目標にしているプレイヤーにとって、これは大きな問題だった。
また過去には、DLC1つの価格がベースゲームとほぼ同等の価格設定になったことがあり、「コンテンツ量に対して高すぎる」という反発が起きた。このタイミングでレビュースコアが落ちた。
ただし現状を見ると、状況は改善されている。
2025年にリリースされたThe Sunken TempleとSpider Queen Hero Packはそれぞれ4.99ドル(約600円)という手頃な価格設定だ。コンテンツ量と価格を比較すると、十分な内容がある。加えて、Singularityのような大型コンテンツは無料で提供されている。無料で提供する部分と有料DLCの切り分けが、以前よりも納得感のある形になっている印象だ。
DLC購入をどうするかは個人の判断だが、「まずベースゲームで100時間遊んでから考える」という方針でも十分なボリュームがある。それだけ遊んで気に入ったなら、追加コンテンツを買う動機も自然に生まれるはずだ。
Slay the Spireとの詳細比較

デッキ構築ローグライクを語る上で、Slay the Spireとの比較は避けられない。両者を実際に遊んだ上で、違いを正直に書く。
Slay the Spireはジャンルを確立したゲームで、2017年の早期アクセス開始から現在に至るまで「デッキ構築ローグライクの基準」として語られ続けている。1人のキャラクターがダンジョンを登りながらデッキを磨き上げていく、シンプルで洗練されたデザインが特徴だ。
Across the Obeliskはその体験を4人パーティに拡張したようなゲームだ。1人が数枚のカードを使う代わりに、4人がそれぞれのデッキから手札を出す。コスト管理の複雑さは4倍になるが、パーティ間のシナジーが生まれることで「チームで戦っている」という感覚が生まれる。
どちらが良いかではなく、何が違うか
Slay the Spireは「純粋なデッキ構築の完成度」が高い。キャラクターが3種類(後に4種類)しかいないが、それぞれのデッキ構成の幅が広い。使えるビルドが多く、どのビルドでも工夫次第で上位難易度を突破できる設計になっている。
Across the Obeliskは「広さと複雑さ」で勝負している。ヒーローの数、カードの数、マルチプレイ対応、マップの多様性など、コンテンツの量という点ではSlay the Spireを大きく上回る。
どちらが良いかは好みの問題で、「一人でシンプルに純粋なデッキ構築を楽しみたい」ならSlay the Spire、「友達と一緒に複雑な戦略を楽しみたい」ならAcross the Obeliskという選び方が自然だろう。両方やっても全然無駄にはならない。むしろどちらかをやったほうが、もう一方の良さがより分かる。
純粋なゲームバランスという観点
批評的な観点から見ると、ゲームバランスの洗練度はSlay the Spireに及ばないという意見が多い。Across the Obeliskは「どのビルドが強いか」という選択肢が偏っていることがあり、難易度が上がると使えるビルドが絞られる傾向がある。
ただしこれは、コンテンツ量が多いゲームの宿命でもある。500種のカードと16人以上のヒーローの全組み合わせを完璧にバランス調整するのは極めて難しい。開発チームはアップデートのたびにバランス調整を続けており、この問題は徐々に改善されている。
ゲームの難易度と学習曲線:序盤で諦めないために
正直に言うと、Across the Obeliskは最初の数時間が難しい。「最初が難しい」というのはローグライクあるあるでもあるが、このゲームの難しさは少し特殊だ。
システムが多く、カードが多く、覚えることが多い。状態異常の種類だけでも十数種類あり、それぞれの効果と相互作用を把握するのに時間がかかる。初めてプレイすると圧倒される感覚があるかもしれない。特にCo-opで初見同士で始めると、「何をすればいいかわからない」という混乱が生まれやすい。
さらに、序盤は解放されているヒーローやカードが少ないため、デッキの選択肢が制限されている。意図的に弱い状態でプレイを始める構造になっているから、最初の数ランはなんとも地味に感じることがある。「このゲーム、こんなもんかな」と思って諦めるには早い。
10〜20時間で変わる体験
10〜20時間プレイすれば基本的なシステムは身についてくる。どのカードがどんな状態異常を付与するか、どのヒーローがどんなビルドに向いているか、どのルートを選べばリスクとリターンのバランスが取れるか、こういったことが感覚的にわかってくる。
この「わかってきた」感が出てきたタイミングが、このゲームの本当の楽しさに気づく瞬間だ。「さっきやったコンボを今度はもっと上手く使えるはず」という感覚が生まれて、ランを重ねたくなる。
難易度調整の幅の広さ
難易度の調整幅は広い。アドベンチャーモードでは難易度を下げることもできるし、オベリスクチャレンジでは細かいモジュールで難易度を上げることもできる。慣れたプレイヤーも初心者も、自分に合った難易度で遊べる設計になっている。
「難しすぎて詰まる」という体験を避けたいなら、最初は難易度を低めに設定してゲームシステムに慣れることをすすめる。システムが理解できてきたら徐々に難易度を上げていけばいい。難易度を上げたときの「緊張感ある戦闘」はまた別の楽しさがある。
ヒーローズランドのようなストラテジーRPGが好きで、難しい戦略ゲームに慣れているプレイヤーには比較的スムーズに入れるはずだ。ターン制の戦略ゲームに慣れている人は、Across the Obeliskの学習コストをそれほど高く感じないかもしれない。

日本語対応と操作環境

Across the Obeliskは現在、日本語に完全対応している。テキストもUIも日本語で表示されるため、英語が苦手なプレイヤーでも問題なくプレイできる。
これは意外と重要なポイントだ。カードのテキストが多いゲームで日本語対応されているのはありがたい。500枚以上のカードのテキストを全部英語で読む必要がないのは、純粋にゲームを楽しむ上で大きなアドバンテージだ。状態異常の効果なども日本語で説明されているので、細かい挙動を確認するのも楽になった。
日本語対応がされる前は「英語が読めないと楽しめない」という壁があったが、現在はその壁が取り払われている。日本のSteamユーザーからのレビューが増えているのもこの対応以降で、国内コミュニティも徐々に育ってきている。Steamの日本語ガイドも充実しており、攻略情報を調べる際に困ることは少ない。
操作はマウスクリックが基本で、コントローラーにも対応している。PCでもSwitchでもPlayStationでもXboxでも遊べるので、持っているプラットフォームで気軽に試せる。特にSwitch版は外出先でも遊べる利便性があり、「家ではPCで遊んで、通勤中はSwitchで」というスタイルを取りたい人にとっては選択肢が広がった。
PC版(Steam)とコンソール版(Switch/PS5/Xbox)の間でセーブデータの引き継ぎは現在できないが、同じプラットフォーム内であれば問題なく継続プレイできる。PCで100時間遊んだデータをSwitchに移せないのは少し残念だが、ゲームの性質上「最初からやり直す」こと自体が楽しみの一部なので、そこまで大きな問題ではない。
なおSteam版はセール時に50%オフになることが多く、Nintendo Switch版よりも安く購入できるタイミングが多い。コンソールだけでなくPCも持っているなら、Steam版を選んでおく方がアップデート反映の速さやコミュニティの充実度という点で有利だ。
価格とコスパの現実
Steamでの定価は2,570円(2025年4月時点)。これに対して中央値116.9時間のプレイ時間は、1時間あたりのコスパとして見ると相当に高い。単純計算で1時間あたり22円だ。外でコーヒー1杯飲む値段で5時間以上楽しめる計算になる。
セール時には50%オフになることが多く、その場合は1,300円前後で購入できる。Steamのセールは定期的に開催されているので、急ぎでなければセールを待って購入するのも一つの選択だ。ローグライクは「積みゲー」になりにくいジャンルだから、購入したらすぐに遊び始めるモチベーションが続く。
DLCの価格は以下の通りだ(2025年時点):
- The Sunken Temple:4.99ドル(約600〜700円)
- Spider Queen Hero Pack:4.99ドル(約600〜700円)
- Shores of Sahti:(2025年1月Singularityアップデートで追加)
ベースゲームだけでも十分な量のコンテンツがあるので、まずはベースゲームだけで遊んでみて、「もっと遊びたい」「コンテンツが物足りない」と感じたタイミングでDLCを追加するのが良い。最初から全部買う必要はない。
一つ注意点として、DLCを持っていないプレイヤーとCo-opでプレイする場合、そのDLCのコンテンツが表示されないか、一部制限される場合がある。フレンドと一緒に遊ぶなら、同じDLC構成を揃えた方がフルに楽しめる。
他のゲームとの相性と関連作品

Across the Obeliskが好きなら相性が良いゲーム、逆にこういうゲームが好きな人がAcross the Obeliskにも刺さりやすいというゲームを紹介する。
デッキ構築ローグライクの方向性を突き詰めたいなら、Slay the Spireは必須だ。Across the Obeliskより古いゲームだが、デッキ構築の洗練度という点で今でも参照すべき作品。「なぜSlay the Spireがあれだけ人気なのか」を理解するのに最適なゲームで、逆にSlay the Spireを遊んでからAcross the Obeliskを遊ぶと、「パーティプレイの面白さ」がよりはっきり見える。
ローグライクのランダム性と発見の楽しさをもっと探求したいなら、The Binding of Isaacは外せない。こちらはアクション系ローグライクだが、「毎回違う体験」「永続解放要素」という軸はAcross the Obeliskと共通している。ジャンルは違うが、同じく「やるたびに新しいことが起きる」という体験ができる。

タワーディフェンス的な「敵が来るのを計画的に迎え撃つ」戦略性が好きなら、Bloons TD 6も試してみると面白い。ジャンルは違うが、リソース管理と戦略立案という点で共通した楽しさがある。「敵がどう来るかを予測して準備する」という思考プロセスが好きな人には刺さる。

Civilizationのようなターン制ストラテジーが好きな人は、Across the Obeliskのターン制カードバトルのテンポも合いやすい。長期的な計画立案と個別の戦闘判断の両方が求められる点で、ストラテジーゲームとの親和性は高い。

長期的に積み上げていく「育てる」系のゲームが好きなら、Crusader Kings IIIのようなグランドストラテジーとも共鳴する部分がある。「何時間かけても終わりが見えない」という感覚は、どちらのゲームにも共通している。

また、Co-opゲームの面白さという軸で考えると、Climber Animalsのような友達と遊ぶゲームが好きな人にも、Across the Obeliskのマルチプレイ体験は刺さりやすい。

2025年時点での現役感と今後の展望
リリースから3年以上経過した2025年時点で、Across the Obeliskは現役タイトルとして機能している。
2025年1月の大型無料アップデート「Singularity」では以下が追加された。
- 新ゲームモード「Singularity Mode」(各カード1枚制限)
- 新カード6種(ベースゲームに追加)
- 新メカニクス:Rust(錆)カース(既存カードやオーラを変化させる)
- 新マルチクラスヒーロー2人(Sigrun the Valkyrie、Bernard the Alchemist)
- バランス調整多数
これだけの内容が無料で提供されたことは、開発者への信頼感につながっている。「ちゃんとゲームを育て続けている」という姿勢が見える。
2025年6月にはThe Sunken Templeが追加された。水中神殿を舞台にした新ダンジョンで、2フロアと複数パターンのボス戦(9種類以上の組み合わせ)が用意されている。新イベントが15種類以上、新アイテムが10種類、新ペット「Rocky」なども含まれる盛りだくさんの内容だ。ボスの形態が訪れた神殿によって変化するというユニークな設計で、複数回プレイしても異なる体験ができる。
同じく2025年6月に追加されたSpider Queen Hero Packでは、新ヒーロー「Tulah(スパイダークイーン)」が登場した。蜘蛛の子(Spiderlings)をデッキに加えるという独自のメカニクスを持ち、ペット「Cocoon(コクーン)」がタレント選択によって進化するという面白い設計になっている。
Steamのコミュニティは今でも活発で、攻略情報の共有、デッキレシピの投稿、バグ報告への開発の反応が続いている。「もう誰もいないゲーム」という心配はしなくていい。特にDiscordのAcross the Obeliskコミュニティは規模が大きく、ビルドについての議論が常に活発に行われている。
今後のアップデートについては、開発チームがロードマップを公開している。引き続き新ヒーロー、新マップ、新イベントの追加が予定されており、当面はコンテンツが枯れる心配はなさそうだ。
プレイ環境と技術的な話

PCスペックの要件は高くない。推奨スペックがGeForce GTX 560程度という設定で、2015〜2018年ごろのミドルレンジPCでも動作する。ゲームの見た目はアニメ調のイラストでカードゲーム的なビジュアルなので、グラフィック面での処理は最小限だ。CPUはCore i5程度、RAM 8GB以上あれば問題なく動く。
Co-opはオンライン限定で、同じ部屋でコントローラーを使ったローカルCo-opには対応していない。友達とオンラインで集まって遊ぶ形になる。接続の安定性については「しっかり作られている」という評価が多く、切断や同期エラーが頻発するような問題は基本的にない。もちろんユーザーの回線環境によって多少の差は出るが、過度に不安定なオンライン体験にはなりにくい。
ゲームに入るためのロビーシステムは比較的シンプルだ。ホストがセッションを作り、フレンドを招待する形で参加できる。クロスプレイについては現時点ではSteam間のみ対応で、PCとコンソール間のCo-opはできない。PCプレイヤー同士、Switchプレイヤー同士のマルチプレイは問題なく動作する。
Steam実績は50以上あり、DLCを含めるとさらに増える。ただ前述の通り、一部の実績はDLC購入が必要になっている。全実績解除を目指す場合はDLCの購入計画も含めて考えた方がいい。通常プレイを楽しむだけなら、実績を気にする必要はない。
Steam Workshopには対応していないが、コミュニティが作成した攻略ガイドやデッキレシピが多数投稿されている。行き詰まったときはSteamのガイドセクションを参照するとヒントが見つかることが多い。ゲームのwikiも有志が充実させており、カードの詳細効果、ヒーローのタレント構成、ステージごとのおすすめビルドなど、調べたいことはほぼ見つかる。
セーブデータとプレイ継続性
セーブデータは複数スロットある。異なるビルドやプレイスタイルを試しながら保存しておくことができる。ランの途中でセーブして中断することも可能なので、「今夜はここまで、続きは明日」というプレイが自然にできる。
ただしCo-opセッションを途中で中断した場合、再開するには同じメンバーが揃う必要がある。3〜4時間のランを途中で止める場合は、次にいつ全員が集まれるか事前に確認しておくといい。途中参加や途中離脱の扱いは、セッションのホスト設定によって変わる。
購入前に知っておくべきこと
このゲームを購入する前に、正直に伝えておきたいことがある。
まず「最初の10時間は我慢が必要」ということ。システムを把握するまでは試行錯誤の連続で、何度も意味がわからないまま負けることになる。これはゲームの欠点というより特性だが、人によってはここで離脱する可能性がある。ゲームが「面白くなってきた」と感じるまでには、ある程度のプレイ時間の投資が必要だ。
次に「ソロプレイと4人Co-opでは体験が大きく異なる」こと。ソロプレイも楽しめるが、このゲームが本当に輝くのはCo-opだ。一緒に遊べる友達が最低1人いれば、体験の質が大きく上がる。一方、まったく一人で遊ぶ場合でも4人分のキャラクターを自分で動かすというスタイルで十分楽しめるが、コンボが決まったときに共有できる喜びがないのは少し寂しい。
そして「DLCが多い」ということ。ベースゲームで始めても、プレイを続けるうちにDLCの新コンテンツが気になってくる可能性がある。全部のDLCを買うと定価ベースでベースゲームの2〜3倍の金額になる。これを許容できるかどうか、事前に考えておいた方がいい。繰り返しになるが、最近のDLCは価格が手頃になっているし、ベースゲームだけで100時間以上遊べるコンテンツがあるので、急いで全部そろえる必要はない。
また「このゲームには正解がある」という点も覚えておいてほしい。デッキ構築ゲームの中には「どんなビルドでも等しく強くできる」というタイプと、「強いビルドと弱いビルドに差がある」というタイプがある。Across the Obeliskは後者寄りで、ある程度ゲームを理解すると「このヒーローの組み合わせが強い」「このカードは弱い」という傾向が見えてくる。創意工夫の余地はあるが、完全な自由度があるわけではない。
それでも「Co-opローグライクをしっかり遊びたい」という需要に対して、Across the Obeliskはかなりの確率で満足できる答えを出してくれる。1万件の「非常に好評」レビューと116.9時間の中央値プレイ時間が、それを証明している。
どんなプレイスタイルに向くか
Across the Obeliskに向くプレイスタイルをもう少し具体的に書く。
週に2〜3回、2〜4時間ほど遊べる時間がある人に向いている。1ランが長めのゲームなので、「ちょっと空き時間に」というプレイスタイルより、「今日はたっぷり遊ぼう」という日に向いている。仕事終わりに1ランだけ、というサイクルが心地よく回る。
定期的に遊べる友達グループがあれば最高だ。「毎週土曜の夜はAcross the Obelisk」みたいなルーティンになれるゲームで、メンバーが増えたり変わったりしても楽しめる。新しいヒーローが追加されるたびに「今度はこれを試してみよう」という話になる。
「長期的にハマれるゲームが欲しい」という人にも向いている。100時間遊んでも新しい発見がある設計は、「すぐに飽きた」という体験になりにくい。一つのゲームをじっくり掘り下げるタイプのプレイヤーには特に刺さる。
まとめ:Co-opローグライクの中でも群を抜いた体験
Across the Obeliskは、Co-opでデッキ構築ローグライクを遊びたいという需要に対して、現時点でもっとも完成度の高い答えの一つだ。
500種以上のカード、16人以上のヒーロー、パーティ間のシナジー、複数のゲームモード、継続的な無料アップデート。ゲームとしての「量」は文句なしだ。そして単純な量だけでなく、カードのデザインとシナジー設計、Co-opの実装品質など、質の面でも十分に水準以上のものを出している。
Co-opの実装は丁寧で、4人で遊ぶと本当に面白い。「ここでこのコンボが決まった!」という瞬間の盛り上がりは、ソロプレイでは体験できない。ローグライクをみんなで遊べるゲームを探しているなら、まずこれを試してみるべきだろう。
このゲームが上手く機能する理由の一つは、「プレイヤーを適度な不完全さの中に置く」設計にある。カードが500種あっても、1ランで出会えるカードは限られている。ヒーローが16人いても、全員を同時に使えるわけではない。この「欠乏」の中でベストを目指すプロセスがデッキ構築の本質であり、Across the Obeliskはこれを4人分同時に実現している。
遊べば遊ぶほど、「あのときこのカードがあれば」「次はあのヒーローを試したい」という気持ちが積み重なる。この終わりのない「次のラン」への期待こそが、100時間超えのプレイ時間を生み出している原動力だと思う。
一方で、DLC問題はプレイヤーとして把握しておく方がいい。ベースゲームのコンテンツは豊富だが、DLCへの誘導は強い。過去には価格設定で問題があったが、最近のDLCは改善されている。最初からすべてを買う必要はなく、まずベースゲームで十分楽しんでから、必要に応じてDLCを追加するという進め方が賢明だ。
「ジャンルの最高傑作か」と聞かれると、Slay the Spireの純粋な完成度には及ばない部分もある。でも「友達と一緒にデッキを構築しながらファンタジー世界を冒険したい」という体験に特化するなら、Across the Obeliskに勝るゲームは今のところほとんどない。
2022年リリースから3年以上経った今も新しいコンテンツが追加され続け、コミュニティが活発に動き続けているこのゲームは、これからプレイを始めても遅くない。むしろコンテンツが揃った今の方が、最初から選択肢が豊富で楽しめる環境が整っている。今日始めれば、週末には「またやりたい」と思っているはずだ。リリース直後よりもバランスが磨かれ、システムも充実した今が、実はベストなタイミングかもしれない。
Steam中央値116.9時間。この数字が、このゲームの答えだと思う。「面白い」という一言では足りない体験が、ここにある。あのコンボが決まった瞬間の喜びを、ぜひ自分の手で一度体験してみてほしい。
このゲームをすすめたい人へ一言
もし友達グループの中でゲームの話になったとき、「みんなで何かやろう」という空気が生まれたとき、Across the Obeliskを提案してみてほしい。
「デッキ構築って何?」という人がいても大丈夫。一緒に最初のランをやれば、10分もすれば感覚がつかめてくる。「カードの使い方がわからない」「何をすればいい?」という混乱も、Co-opの中で解決していける。経験者がリードしながら進めれば、初心者でも自然と覚えていく。
そして一度「コンボが決まった!」という体験をしたら、もう離れられない。その瞬間のために、何時間でもデッキを考える。これがAcross the Obeliskの中毒性の正体だ。
定価2,570円でこれだけ遊べるゲームは、そう多くない。セールを待てる人は待つのも一つの手だが、正直なところ「早く始めた方が損をしない」タイプのゲームだ。起動した日から中毒性が始まる。迷っているなら、まず試してみることを強くすすめる。
Across the Obelisk
| 価格 | ¥2,690 |
|---|---|
| 開発 | Dreamsite Games |
| 販売 | Paradox Interactive, Paradox Arc |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac / Linux |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

