「Stoneshard」中世傭兵の過酷な生き様を描くハードコアターン制RPG

目次

Stoneshard|中世傭兵の過酷な生き様を描くハードコアターン制RPG

ダンジョンの奥で、包帯が残り1枚になった。足は骨折している。右腕の傷から出血が止まらない。持っている食料はパン半切れ。出口まであと数フロア。

こういう状況で「さて、どうする」と冷静に考えられる人間が、Stoneshardに向いている。

Stoneshardは、中世ファンタジーの世界で傭兵として生き抜くターン制RPGだ。「ローグライク」とカテゴリされているが、実態はもっとシミュレーション寄りのゲームで、食事・睡眠・傷の手当て・精神の安定・所持品の管理まで、人間として生きるうえで必要なことをほぼすべてこなしながら冒険を続けることになる。

初めてプレイしたとき、最初の村から一番近いダンジョンに意気揚々と乗り込んだ。入って3ターンで囲まれた。骨折した。包帯を使い果たした。死んだ。その繰り返しが最初の2時間だった。

でも、不思議と「もう一回」と思えた。なぜかというと、死因が毎回「自分のミス」だったから。無策で突っ込んだから。敵を1体ずつ引き離す準備を怠ったから。ステータスに気づかず状態異常を放置したから。理不尽な死ではなく、常に自分の判断の甘さで死ぬ。それがStoneshardの性質だ。

Steamでのレビューは全言語合計で3万件を超え、評価は「やや好評」。アーリーアクセスで2020年2月にリリースされてから、開発元のInk Stains Gamesは今も着実にアップデートを続けている。2024年12月には「史上最大規模」と称された大型アップデート「Rags to Riches」が配信され、プレイヤーが殺到した。

このゲームは万人向けではない。それは最初から断言できる。ただ、刺さる人には本当に刺さる。何が面白くて、何がつらくて、どういう人に向いているのか。正直に書いていく。

「Stoneshard」公式トレーラー

こんな人に読んでほしい

Stoneshard その他RPG スクリーンショット1

Stoneshardが刺さるのは、こういうプレイヤーだ。

  • DarkSoulsやElden Ringのような「死んで覚える」高難度ゲームが好きな人
  • ターン制でじっくり考えるゲームが好きで、アクション要素が苦手な人
  • 管理するステータスが多いほど燃えるタイプの人
  • リアルな傷病管理・食料管理・睡眠管理が苦にならない人(むしろ楽しめる人)
  • ローグライクで何度も試行錯誤するのが好きな人
  • ダークなファンタジー世界観や中世の雰囲気が好きな人
  • キャラクタービルドを自分で設計して完成させる喜びを知っている人

逆に向いていないのは、こういうプレイヤーだ。

  • ストーリー主体でゲームを楽しむ人(Stoneshardはストーリーより「サバイバル体験」がメイン)
  • ゲームオーバーになるたびにストレスを感じる人
  • スキルの取得・振り直しができないことに耐えられない人
  • 「早く強くなって爽快感を味わいたい」という人
  • アーリーアクセスのゲームを敬遠する人

難易度の高さはSlay the Spireやバロニーとは別種のものだ。カードゲームやパズル的な頭の使い方ではなく、「状況判断・リソース管理・撤退の判断」という生存本能に訴えかけてくる難しさだ。

あわせて読みたい
「Stoneshard」中世傭兵の過酷な生き様を描くハードコアターン制RPG
「Barony」一人称視点で潜る高難易度Co-opローグライクダンジョン Barony — 最大4人で挑む一人称視点ローグライクダンジョン 友達4人でボイスチャットをつなぎながら、薄暗いダンジョンに踏み込む。序盤はワイワイと余裕で進んでいたの...

Stoneshardとはどんなゲームか

Stoneshard その他RPG スクリーンショット2

Stoneshardは、ベラルーシのインディースタジオInk Stains Gamesが開発し、HypeTrain Digitalがパブリッシュする2Dターン制RPGだ。2018年から開発が始まり、2019年に無料のプロローグ版が公開。本体は2020年2月にSteamでアーリーアクセスが開始された。

舞台はAldorという名の中世ファンタジー世界で、王国は戦乱によって荒廃し、村は廃墟になり、ダンジョンにはモンスターが巣食い、かつて栄えた街道も放棄されている。プレイヤーはその世界を生きる傭兵として、依頼をこなしながら世界を渡り歩く。

ゲームの見た目は見下ろし型の2D。マス目状のマップをターン制で動き、1マス移動するたびに周囲の敵も1ターン行動するという、古典的なローグライクの基本に忠実な設計だ。ダンジョンは手続き生成で毎回異なるレイアウトになる。

しかし、普通のローグライクと決定的に違うのは、管理しなければならない要素の多さだ。体力・マナのような基本パラメータに加え、空腹・渇き・士気・正気度、そして体の各部位(頭・胴体・両腕・両脚)ごとの傷状態まで常に把握して動く必要がある。ダメージを受けたら部位別に手当てをしなければ、状態異常がどんどん積み重なっていく。

世界はオープンワールド形式になっており、複数の村や街を訪れながら依頼をこなし、資金と物資を集めてより深い危険地帯へと踏み込んでいく。最新の大型アップデートでキャラバンシステムが加わり、馬車で移動できるようになった。長距離の移動がぐっと快適になった反面、馬の飼料管理という新たな要素も追加された。

プロローグで無料体験できる

本体を購入する前に、「Stoneshard: Prologue」という無料の体験版でゲームの雰囲気を確かめることができる。プロローグでは、本編に登場する重要キャラクターのひとり、ヴェレンという老傭兵の過去エピソードを体験できる。廃墟となった修道院の地下遺構を探索しながら、このゲームの基本的な操作感・戦闘感覚・管理システムの複雑さが一通り体験できる構成になっている。

「難しそうだけど気になる」と思ったなら、まずプロローグを試してみるのがいい。プロローグで「うん、これは面白い」と感じたなら本体も合う確率が高い。「めんどくさすぎる」と感じたなら、本体はもっとめんどくさいので素直に別のゲームを探した方がいい。正直なゲームだ。

Stoneshardの戦闘システム——1対1に持ち込むまでが本番

戦闘の基本は「1体ずつ倒す」に尽きる。これがStoneshardを遊ぶうえで最初に学ぶべき、そして最後まで使い続ける鉄則だ。

敵は複数で群れていることが多い。正面から突っ込んで囲まれたら、ほぼ確実に死ぬ。レベルが上がっても、装備が良くなっても、囲まれたら危ない。だから「いかに1対1の状況を作るか」が戦闘前の主な仕事になる。

具体的には2つの手法がある。ひとつは「視野の端にいる敵を叫びで引き寄せる」方法で、遠距離から特定の敵だけ誘い出す。もうひとつは「マップの切れ目(扉や部屋の境界)を使う」方法で、マップをまたぐと敵の追跡が途切れる性質を利用して1体ずつ引き離す。

この「ルアリング」(おびき寄せ作業)を面倒に感じるかどうかが、このゲームとの相性を決める分岐点だといっても過言ではない。「このプロセスも戦略のうち」と思えるなら楽しめる。「早く戦いたいのにこういう準備が長い」と感じるなら、厳しいかもしれない。

武器スキルツリーで戦い方が変わる

Stoneshardでは装備する武器の種類によってスキルツリーが変わり、戦い方のスタイルが大きく変わる。主なカテゴリは剣・斧・槍・弓・二刀流・魔法系(火・土・戦争魔法)などで、それぞれ独自のスキルセットを持つ。

槍のスキルツリーの柱は「ピニング」——敵を遠距離に釘付けにしながら確実に削っていくスタイルだ。槍は二手武器で基本ダメージは平均的だが、装甲貫通と命中率が高く、接近してくる敵を一定距離に保ちながら戦える。安全志向のプレイヤーに合いやすい。

二刀流は「ハンドエフィシエンシー」と呼ばれるリソースを操作しながら手数で攻める設計で、うまく乗るとかなりの爆発力を発揮する。ただし操作が複雑で、慣れるまでに時間がかかる。

魔法系スキルは強力だが、複数の魔法ツリーを併用すると威力が下がる仕様(他の魔法ツリーにスキルポイントを振るたびに、使用する魔法のパワーが1%低下)があり、専門特化が求められる。

どのビルドを選んでも「使えないビルドは存在しない」という印象があるが、スキルの取得は不可逆なので、方向性を決めてから少しずつ育てていく必要がある。「とりあえず気になったスキルを取っていったら、いつの間にか方向性がバラバラになってしまった」という失敗は、Stoneshardの初心者あるあるだ。

体の部位ごとに傷を管理する

戦闘で受けたダメージは、頭・胴体・右腕・左腕・右脚・左脚という6つの部位に分散して記録される。各部位に大きなダメージが蓄積すると、そこ固有のペナルティが発生する。

脚を大きく傷めると移動速度が落ち、物音が立てやすくなる。腕を大きく傷めると武器を握れなくなる。頭に傷を受けると正気度や士気にも影響する。そして骨折には添え木、出血には包帯、痛みには鎮痛剤と、状態異常ごとに適切な手当てが必要で、何もしなければ放置した傷が悪化して死に直結する。

この「手当て」の工程が、Stoneshardの世界をよりリアルに感じさせる要素でもある。普通のRPGなら「回復ポーション飲んで終わり」のところが、「どの傷にどの薬を使うか」「今の所持品で次の部屋まで持つか」という判断を常に迫られる。Steamレビューでは「包帯と添え木がこんなに気になるゲームは初めてだ」という声が複数あったが、本当にそのとおりだと思う。

また、治療薬の中毒リスクも見逃せない。鎮痛剤を多用すると薬物依存の状態異常が積み重なり、それを解消するためにさらに薬が必要になる悪循環が生まれる。酒で士気を上げようとすると、今度は酔いで判断力が下がる。管理ゲームとしてのジレンマが、あらゆる選択肢の裏に仕込まれている。

正気度と士気——精神面の管理が生死を分ける

Stoneshard その他RPG スクリーンショット3

Stoneshardには「HP」「MP」のほかに「正気度(Sanity)」と「士気(Morale)」という精神系パラメータがある。これが下がると、体のパラメータが低下したり状態異常になったりして、最終的にはまともに戦えなくなる。

正気度は、人間を殺したとき(たとえ敵であっても)にダメージを受け、アンデッドや異端者(プロセライト)を倒すと少し回復する、という設計になっている。また、不浄な魔法の使用、頭部への攻撃、死体漁りなどでも低下する。「悪いことをするたびに正気が削られる」という直感的な設計は、世界観にマッチしていて面白い。

士気は短期的な心理状態に近い。長時間の飢えや渇き、体力が大幅に低下した状態が続くと士気が落ちる。士気が下がると経験値獲得量や能力値にペナルティが入る。「辛い状況が続くと戦意も下がる」というリアルな表現だ。

これらのパラメータは「常にギリギリ良好な状態を保ちながら戦う」という管理ゲームの核心部分を担っている。キャラバンで仲間と旅をしながら料理を食べ、ちゃんと寝て、会話して——そういった「日常」の積み重ねがバッファになり、過酷な冒険に耐えられる精神を維持する。

「飢えた傭兵が正気を失いながらダンジョンに突っ込んでいく」という展開を、このゲームは数値で表現しているわけだ。味わいがある。

空腹・渇きとの戦い

食料と水の管理も切実だ。長時間行動し続けると空腹・渇きのパラメータが上昇し、それが続くと士気の低下に直結する。ダンジョンを探索しながら「そろそろ食べないといけないが、今ここで立ち止まるのは危険」というジレンマが常に発生する。

町で食料を買い込んでから冒険に出るのが基本だが、長距離の遠征になると重量制限との兼ね合いで持てる量に限界がある。「食料を多く持つか、薬を多く持つか、装備を持つか」という積み込みの問題は、出発前にかなり頭を悩ませる。

2024年の大型アップデートで追加されたクラフトシステムでは、フィールドで拾った素材から料理や薬を自作できるようになった。スモークボム・治療薬・食料など15種類のレシピが実装されており、アイテム確保の手段が広がった。しかし素材収集も手間なので、「自作した方がいいのか、金で買った方がいいのか」という選択肢がひとつ増えた形だ。

キャラバンシステム——傭兵から旅の一座へ

2024年12月の大型アップデート「Rags to Riches」で正式実装されたキャラバンシステムは、Stoneshardを大きく変えた要素だ。

プレイヤーは最大3人の非戦闘NPCを仲間として雇い、馬車を使って世界を旅できるようになった。仲間はそれぞれ固有のスキルを持っており、イベントや会話の中で役に立つ場面が生まれる。料理人、薬草師、行商人——それぞれの役職に応じた効果があり、パーティ構成に応じて誰を連れていくかを選ぶ楽しみが加わった。

馬車によるファストトラベルも実装された。ただし「ボタンひとつでどこへでも」という便利な仕様ではなく、馬が飼料を必要とし、一度移動したら一定時間の休息が必要という制約がある。長距離遠征の計画を立てるとき、飼料の備蓄量と移動距離・行程を計算する作業が加わった。

また、アップデートで「集落の郊外」という新しいロケーションタイプが追加された。村や酒場「腐れ柳亭」の周辺に配置された拠点で、そこで依頼を受けてこなすと報酬と評判が手に入る。10か所の郊外に合計60人のユニークなNPCが配置されており、世界の密度が増した。

さらに価格変動シミュレーションを含む経済システムが整備され、物資の売買で利益を稼げるようになった。純粋な傭兵稼業だけでなく、行商として各地を回る遊び方も生まれている。これはCivilization Vのような戦略ゲームとはまったく異なる体験だが、「資源の移動で利益を生む」という発想の面白さは似た楽しみを持っている。

あわせて読みたい
「Stoneshard」中世傭兵の過酷な生き様を描くハードコアターン制RPG
「Civilization V」あと1ターンが止まらない文明育成ストラテジー 「あと1ターンだけ……」と呟いて、気づいたら朝になっていた。 Civilization V(シヴィライゼーション5、略称:Civ5)を遊んだことがある人なら、この感覚を体で知ってい...

キャラバンで何が変わったか

キャラバンが入るまで、Stoneshardは完全な「孤独な傭兵」ゲームだった。自分だけを管理して、自分だけが生き残ればいい。それはそれで緊張感があったが、世界が少し寂しかった。

キャラバンが加わって、旅に「仲間」の概念が生まれた。仲間に料理を作ってもらったり、夜営地で会話したり。数値的なゲームプレイに、温度が加わった感じがする。それと同時に「仲間を養うためにもっと稼がないといけない」というモチベーションも自然に生まれた。ゲームとしての方向性が、「個人の生存」から「チームの旅」へと少し広がったように感じる。

Rags to Richesの配信後、SteamDBの同時接続者数は平常時500人前後だったところからピーク6,700人超まで跳ね上がった。アーリーアクセス開始以来の最高記録だという。それだけプレイヤーが期待していた要素だったということだろう。

スキルシステムと成長の設計

Stoneshard その他RPG スクリーンショット4

Stoneshardのキャラクター成長は、5つの基本パラメータ(筋力・俊敏・洞察・生命力・意志力)を上げながらスキルを取得していく形式だ。レベルアップ時にパラメータのうちひとつを上げ、条件を満たしたスキルを習得できる。

スキルの習得には「取得不可逆」という厳しい制約がある。一度取ったスキルは消せない。強化もできるが戻せない。これが「キャラクタービルドを深く考えないといけない」という圧力を生み出している。

強力なスキルには事前に一定のパラメータ値が必要なものが多いため、最終的にどのスキルを目指すのかを早い段階から決めておかないと、途中で「あのスキルが取れない」という事態に直面する。設計ミスで行き詰まったキャラクターをそのまま育てるか、最初からやり直すかという選択を迫られる。

これが苦痛だと感じる人がいるのも当然で、Steamの低評価レビューでは「スキルの取り直しができないのが辛い」という声が目立つ。一方、「その不可逆性こそが緊張感を生む」と捉えるプレイヤーも多く、評価が分かれるポイントのひとつだ。

スキルが取り消せないから、毎回「これで本当にいいのか」と考えながら取るようになった。それが面倒というより、それがゲームだと思ってる。

引用元:Steamレビュー(やや好評、日本語ユーザー)

スキルツリーは武器系だけでなく、戦闘スタイル(攻撃・防御・移動など)や魔法系にも広がっており、組み合わせ次第でかなり個性的なビルドが作れる。「どんなビルドで今回の傭兵を育てるか」という設計段階から、このゲームのプレイが始まっているともいえる。

パーマデスはあるのか

Stoneshardには標準のゲームモードにおいて厳密な「パーマデス」はない。死亡するとセーブポイントに戻る形式だ。ただし「セーブポイントまでの道中で手に入れたアイテムや経験値はすべて失う」という仕様なので、ダンジョン深部で死ぬと大きく巻き戻ることになる。

セーブは自動でのみ行われ、任意のタイミングでのクイックセーブはできない。「怖いから一旦セーブして」ができないので、常に「ここから先は引き返せない」という覚悟を持って進む必要がある。

この「死亡=セーブポイント戻り」という仕様も批判の対象になることがある。「やり直しが長すぎる」というのがよくある声だ。特にセーブポイントから距離のある場所で死んだときのやり直し感は相当なものがある。それでも「また試行錯誤しよう」と思えるかどうか——それがStoneshardと長く付き合えるかどうかの分水嶺だと思う。

5つの基本パラメータとビルドの方向性

Stoneshardの成長システムにある5つの基本パラメータは、それぞれ独立した役割を持っている。筋力(STR)は近接攻撃のダメージと一部スキルに影響し、俊敏(AGI)は回避・移動・初動の行動速度に関わる。洞察(PRC)は遠距離攻撃の命中と魔法の有効性に影響し、生命力(VIT)は体力の上限・傷への耐性を高める。意志力(WIL)は魔法のコスト・精神系のパラメータ維持に関わる。

これらのパラメータはスキルの習得条件ともリンクしているため、「取りたいスキルを先に決めて、必要なパラメータを逆算してポイントを振る」という計画的なアプローチが効果的だ。「気になったパラメータにとりあえず振る」を繰り返すと、後になって「欲しいスキルの条件に届かない」という詰みが起こる。

初心者に多い失敗パターンが「パラメータをまんべんなく上げてしまう」こと。均等に振ると、どのスキルも中途半端にしか伸ばせなくなる。Stoneshardは「特化型ビルドの方が機能しやすい」ゲームなので、序盤から「自分はどういう傭兵になるのか」を意識することが大切だ。

あわせて読みたい
「Stoneshard」中世傭兵の過酷な生き様を描くハードコアターン制RPG
「Slay the Spire」デッキ構築ローグライクの原点にして頂点 Steamのレビューが74,000件を超えて、そのうち97%が好評。これはゲーム史を振り返っても最上位クラスの数字だ。 それが『Slay the Spire(スレイ ザ スパイア)』、通称...

世界観とロア——荒廃した中世ファンタジーの深み

Stoneshardの世界「アルダー」は、過去の戦争の爪痕が至るところに残った荒廃した中世世界だ。栄えていた村は廃墟になり、かつての修道院は地下遺構となってモンスターの巣窟になっている。街道を歩けば盗賊に遭遇し、ダンジョンの奥には異教の信者集団(プロセライト)が儀式を行っている。

ゲームのメインクエストは「ストーンシャードの謎を解明する」という大きな目的に向かって進んでいくが、アーリーアクセス版である現在、その主要なストーリーはまだ完全には実装されていない。現状では「傭兵として依頼をこなしながら世界を渡り歩く」というサンドボックス的な遊び方がメインになっている。

ただ、世界観の密度はかなり高い。各地に点在するNPCとの会話、読める文書、ダンジョンの内装、モンスターの種類と配置——これらを通してアルダーという世界の歴史や現状が断片的に見えてくる。ゲームメカニクスとしての完成度とは別に、「この世界をもっと知りたい」という引力があるゲームだ。

グローバルマップと探索の設計

Stoneshardのグローバルマップは、ロアに関連する静的な要素(都市・村・ストーリー重要地点・山岳・海岸・河川)とランダム配置される要素が組み合わさった構造になっている。毎回プレイするたびに地図の細部が変わるが、世界の骨格は固定されているので、「この世界に再び来た」という感覚が続いていく。

マップは最初「霧」に覆われており、タイルを踏み込むことで少しずつ開いていく。地図情報は商人から購入することもできるが、購入しただけでは霧は晴れず、実際に足を踏み入れることで初めて明らかになる。「噂話」を仕入れることで特定の興味深い場所の位置がヒントとして得られる仕組みもある。

移動手段は徒歩・行商の馬車(有料)・キャラバンの3種類。以前は徒歩が基本で長距離移動は体力と時間を消耗するものだったが、キャラバンシステム実装後はファストトラベル的な移動が可能になった。ただし馬の休息と飼料消費があるので「いつでも瞬間移動できる」わけではない。

世界各地に点在する「興味深い場所(PoI)」は、廃村・森の中の魔女の小屋・朽ちた領主の屋敷・洞窟・修道院の廃墟など多様なロケーションだ。それぞれに固有のエンカウントがあり、単なるダンジョンとは違う物語の断片が垣間見える。

ダンジョンの種類と構造

Stoneshardのダンジョンは手続き生成(プロシージャル生成)で毎回異なるレイアウトになるが、ダンジョンの種類ごとに異なる生成ルールが適用されている。そのため、地下墓地(カタコンベ)と要塞遺跡(バスション)と洞窟ではまったく異なる構造・雰囲気・危険度になる。

大型ダンジョンには2つ以上の階層があり、深く潜るほど敵が強くなり、報酬も大きくなる。序盤は浅いダンジョンで経験を積み、装備を整えてから深部へ——という自然なリスク管理の流れができている。

カタコンベは特に独自の雰囲気を持つダンジョンタイプだ。アンデッドが多く、かつての聖所の面影を残す構造になっていることが多く、「Rags to Riches」アップデートで追加された新しい中ボス(魔女・スケルトン・亡霊の固有ボス)はカタコンベの深部に配置されている。

敵の種類と危険度

アルダーには多種多様な敵が存在する。人間系(盗賊・傭兵・宗教信者)、アンデッド系(ゾンビ・スケルトン・幽鬼)、野生動物系(オオカミ・クマ・イノシシ)、そしてより深い遺跡に潜む謎の存在まで幅広い。

「Rags to Riches」アップデートでは、カタコンベに7体の新しい中ボスが追加された。魔女・スケルトン・スペクター(亡霊)のいずれかに分類されるこれらのボスは、それぞれ固有の能力を持つ。以前のバージョンと比べて、深いダンジョンに踏み込む緊張感が増している。

アンデッドに対して特筆すべきは、倒すと正気度が少し回復するという点だ。「アンデッドを狩ることで精神的な回復を得る」という設計は、「冒険が精神を鍛える」という世界観の表れでもある。人間の敵を倒すたびに正気が削れていく体験と対比することで、「誰を、何のために倒しているのか」という問いがプレイ中に自然と生まれてくる。

プロセライトは単なる「悪の集団」ではなく、独自の信仰体系を持つ宗教組織として描かれており、彼らとの遭遇は戦闘だけでなく世界観の理解を深めるエピソードにもなっている。ダンジョンの奥で行われている儀式の痕跡、残された文書、独特の祭壇——こうした細かい演出が、Stoneshardの世界に深みを与えている。

Divinity: Original Sin 2のような濃いナラティブ体験とは違うが、Stoneshardにも確実に「語られていないストーリー」が世界に散りばめられている。

あわせて読みたい
「Stoneshard」中世傭兵の過酷な生き様を描くハードコアターン制RPG
「Divinity: Original Sin 2」自由にキャラをカスタマイズする戦略型アクションRPG!キャラにより物語が... 海外のクラウドファンディングで初日に目標額50万ドルを達成した人気オンラインゲーム!自身が設定したキャラの種族などで物語や、会話、成長などが変化するユニークな...

キャラバンの仲間たち——旅の一座を作る楽しさ

Stoneshard その他RPG スクリーンショット5

「Rags to Riches」で実装されたキャラバンシステムの中で、特に面白い要素が「同行者(仲間)」の存在だ。

現在実装されている同行者は3人。彼らはプレイヤーキャラクター(ヴェレン)の戦闘には参加しない。彼らには「戦いたくない理由」や「戦えない事情」がそれぞれあり、あくまでキャラバンの運営を非戦闘面で支える存在として設計されている。

最初に合流できる仲間の1人がダレルという男だ。キャラバンの拠点となる野営地で、彼は日々の作業をこなしながらヴェレンに声をかけてくる。装備の修理を引き受けてくれたり、工具を安価で融通してくれたり。近くの地名を話題にしたり、最近の冒険についてコメントしてきたり。数値上の効果だけでなく、「旅の仲間がいる」という感覚がきちんとある。

野営地では同行者がそれぞれのスケジュールで動いており、キャラバンのアップグレードが進むにつれて彼らの行動パターンも変化する。食事を一緒に取ったり、ほかの仲間と会話したりする場面が生まれ、ただのゲームシステムではなく「チームが少しずつ形成されていく」物語的な感覚が伴う。

計画では同行者は最終的に6人になる予定で、現在は3人が実装済み。それぞれが異なるスキルと個性を持っており、「どの3人を連れて旅に出るか」という選択がプレイヤーごとの旅のカラーを作る。

仲間の存在が示しているのは、Stoneshardというゲームが「過酷なサバイバル」をベースとしながらも、「人間関係・つながり・旅の物語」という軸も意識して育てようとしているということだ。アーリーアクセス初期の孤独な傭兵シミュレーターから、少しずつ「旅の物語」へと進化している。

経済と商売——傭兵稼業以外の生き方

Stoneshardには、戦闘による傭兵稼業以外の資金調達手段として、物品の売買・交換による経済プレイがある。これが「Rags to Riches」で大きく整備された部分のひとつだ。

アルダーの各地にある商人は、それぞれ得意とするカテゴリーのアイテムがある。鍛冶屋には金属製の武具を売ると高値がつく。木工品(弓や木製の道具)は大工の商人が高く買ってくれる。酒は酒場に売るのが一番得策で、雑多な拾い物は質屋か雑貨商へ。正しい相手に売ることで、同じアイテムでも受け取れる金額がかなり変わってくる。

価格変動システムが実装されたことで、「仕入れて売る」という商業行為にも戦略が生まれた。ある村で安く買えた食料を、食料が不足している別の村で高く売る。鉱石や原材料を安い産地で仕入れて、需要の高い町で売りさばく。純粋な戦闘傭兵としてではなく、行商人として各地を回りながら稼ぐプレイスタイルが成立するようになった。

ギルドとの関係も興味深い。鍛冶屋ギルド・大工ギルド・仕立て屋ギルドのそれぞれに「管理者」がおり、一定の関係性を築くと夜間の特別取引が可能になる。高品質の武具や魔法の道具など、通常の店頭には出回らないアイテムを入手するルートが開ける。この「信頼関係を積み上げてより良い取引先を作る」という要素が、ゲームの長期プレイを支える動機の一つになっている。

拠点の強化と依頼システム

傭兵としての基本的な稼ぎ方は依頼(クエスト)のクリアだ。集落の郊外に設置された拠点で依頼を受け、クリアすることで報酬とともに「評判」を獲得できる。評判が上がると、より難しく報酬も高い依頼が受けられるようになる仕組みで、自然なプレイ進行のモチベーションが設計されている。

依頼の内容は「〇〇を〇個集めてきてくれ」「ダンジョンの特定の敵を倒してきてくれ」「目的の場所まで護衛してくれ」など多様で、戦闘だけでなく素材収集・探索・情報収集など幅広い依頼が含まれている。

郊外拠点のNPCは60人が個性を持って配置されており、それぞれが固有の依頼や会話を持つ。「この場所のこのNPCから面白い依頼が受けられる」という情報が攻略コミュニティで共有されていて、探索のモチベーションを高める要素になっている。

日本語対応の経緯——有志翻訳が公式になった話

Stoneshard その他RPG スクリーンショット6

Stoneshardの日本語対応は、少し特別な経緯を持つ。

もともとゲームは英語でリリースされ、公式日本語対応はなかった。しかしゲームの評判が日本のプレイヤーにも広まるにつれて、有志の翻訳コミュニティが非公式の日本語パッチを作成・公開した。このパッチはSteamコミュニティの中で広まり、多くの日本語プレイヤーに使われていた。

2020年11月、HypeTrain Digitalはその非公式翻訳者を公式に採用し、有志の翻訳を正式な日本語テキストとしてゲームに組み込むことを発表した。ゲームを愛するファンの努力が、そのままゲームの一部になるという展開だ。

その後も日本語テキストはアップデートごとに更新されており、現在でも比較的安定した日本語対応が続いている。ただしアップデート直後には一時的に翻訳が追いついていない部分が出ることもある。この翻訳の歴史を知ると、Steamコミュニティガイドや有志の攻略Wikiがなぜこれほど充実しているかも納得できる。日本のStoneshardコミュニティは、ゲームに深く関わってきた歴史がある。

非公式パッチの頃から使ってた。当時は翻訳精度もなかなかよくて、「このゲームをここまで日本語化してくれた人がいるんだ」と感動した。公式に採用されたとき、なんか一緒に喜んだ記憶がある。

引用元:Steamレビュー(日本語、長期プレイヤー)

序盤の傭兵生活——実際どんな体験か

Stoneshardを初めてプレイするとき、どんな流れになるのかを具体的に書いておく。「買ってみようか迷っている」という人の参考になれば。

ゲームが始まると、まずキャラクターを作ることになる。名前・外見・バックグラウンド(初期ステータスに影響する職歴のような設定)を選ぶ。このバックグラウンド選択が最初の大きな判断で、序盤の動きやすさがかなり変わってくる。

キャラクターが動き始めると、主人公のヴェレンが廃村周辺に立っている。周囲は荒廃した中世の世界だ。まず近くの村にたどり着いて、NPCと話し、依頼を受けて、物資を補充する。「腐れ柳亭」という酒場に立ち寄れれば一泊して英気を養う。

最初の依頼は比較的シンプルで、近くのダンジョン(廃墟化した修道院の地下など)に入って特定の敵を倒してくるとか、素材を集めてくるとか、そういった内容だ。この最初のダンジョン探索で、Stoneshardの戦闘の感触と管理ゲームとしての深さが体感できる。

最初は何も知らないまま突っ込んで、あっさり死ぬ。でも死に方を見ると「あ、あそこで逃げればよかった」「包帯を持っていればよかった」という納得感がある。それがわかってもう一度試すと、今度は少し先まで進める。その繰り返しが序盤の体験だ。

5〜10時間プレイすると「どういう準備をすれば安全に動けるか」の基礎が身についてくる。20時間を超えるあたりで「自分のビルドのコア」が見えてきて、そこからは「このビルドでどこまで行けるか」という挑戦になる。100時間を超えているプレイヤーが珍しくないのも、その中毒性の表れだ。

ネガティブな点も正直に書く

Stoneshard その他RPG スクリーンショット7

Stoneshardには熱心なファンがいる一方、批判的な声もある。ここでは実際のSteamレビューや5chスレッドで見られた声をもとに、正直に書く。

アーリーアクセスがまだ続いている

2020年2月にアーリーアクセスが始まり、当初は「1年半〜2年で正式版をリリースする予定」とアナウンスされていた。しかし2026年4月現在、まだアーリーアクセス段階だ。

開発チームは継続的にアップデートを続けており、明らかに手を抜いているわけではない。2024年12月の「Rags to Riches」は実際に大きな進歩だったし、今後の「Blood Omens」アップデートでは17種類の新しい敵と5体の中ボス、40種類の新アビリティが予告されている。

ただ「正式リリースはいつか」という疑問は現役プレイヤーの間でもずっと続いている話題で、これを「応援しながら待てる」と思えるかどうかが、今このゲームを買うかどうかの重要な判断材料になる。

開発ペースが遅いのは確かだが、アップデートのたびに確実にいいゲームになってる。待ってる間に離れてしまったプレイヤーもいるけど、自分はまだここにいる。

引用元:Steamレビュー(日本語)

序盤の学習コストが高い

チュートリアルは存在するが、Stoneshardのすべてを教えてくれるほど丁寧ではない。「実際にプレイして死にながら覚える」ことが前提の設計になっている。

序盤に「なぜ自分は死んだのか」がわからないうちは辛い。ただ、しばらく遊んでいると「あのときあそこでこうすればよかった」という納得感が出てくる。この最初の壁を超えられるかどうかが、プレイ継続の分かれ目になる。

コミュニティのガイドやWikiが充実しているので、詰まったらそちらを参照するのが現実的だ。Steam Communityの「StoneShardの生活ガイド」などのユーザー作成ガイドは、公式チュートリアル以上に丁寧に解説されている。

スキルの取り消しができない問題

前述のとおり、スキルは一度取ったら消せない。これが「後から気づくと泣く」失敗の原因になりやすい。「このビルド方向性で行こうと思ってたのに、序盤に取ったスキルのせいで行き詰まった」というのは、Steamの低評価レビューにも繰り返し登場するパターンだ。

2024年以降のアップデートでビルドの組み方のガイダンスが改善されてきてはいるが、根本的な「不可逆性」は変わっていない。これはゲームデザインの選択として意図的に維持されているものなので、今後変わるかどうかは不明だ。

「一度選んだ方向性を貫く」というスタイルが合う人には問題ないが、「ライトに遊んでいたらビルドが詰んだ」という事態に陥ると修正方法がないのは確かで、これが低評価の大きな要因のひとつだ。

コンテンツ量の問題(アーリーアクセス段階のため)

現時点ではメインストーリーがまだ完全に実装されていないため、「ストーリーを楽しもうと思って買ったら、思ったほど物語が進まなかった」という感想が出やすい。サンドボックス的なサバイバルプレイを楽しめるなら長く遊べるが、明確な「エンディング」を求めているならまだ早い段階にある。

「Rags to Riches」アップデートが変えたもの

2024年12月17日に配信された「Rags to Riches」は、開発チームが「史上最大規模のアップデート」と呼ぶものだった。実際にSteamの同時接続者数がピーク6,700人を超え、それまでの平常時の約13倍というデータが示す通り、プレイヤーに大きく響いた内容だった。

追加された主な要素をまとめると、キャラバンシステムの正式実装、集落郊外ロケーションの追加(10か所・60人のユニークNPC)、価格変動を含む経済システムの整備、クラフトシステムの実装(15種類のレシピ)、カタコンベへの新中ボス7体の追加、12個の新実績追加——というように、ゲームの骨格に関わる変更が多かった。

このアップデートを境に、Stoneshardは「孤独な傭兵のサバイバル」から「キャラバンを率いる旅の一座」という新しい軸が加わったゲームになった。旅のスケールが広がり、資源管理の奥行きが増し、世界の人口密度が上がった。

次期大型アップデート「Blood Omens」では17種類の新敵タイプ・5体の中ボス・40種類の新アビリティが予定されており、戦闘システムの充実が図られる見込みだ。2026年前半リリースが予定されているというアナウンスがある。

Rags to Richesで初めてキャラバンを編成して旅に出たとき、なんか急に世界が広くなった感じがした。依頼をこなして評判を上げて、少しずつ遠くまで行けるようになる。この感覚は以前にはなかったものだ。

引用元:Steamレビュー(やや好評、日本語ユーザー)

似たジャンルのゲームと何が違うか

Stoneshard その他RPG スクリーンショット8

ローグライクRPGというジャンルの中で、Stoneshardはどういうポジションにいるのかを整理しておく。

Slay the Spireに代表されるデッキ構築型ローグライクは、ランベースでスピーディに進むことが多く、「1ランあたり1〜2時間」というテンポ感だ。Stoneshardはそれとは対照的で、1回の冒険が数時間〜数十時間になる場合もある。ゲームの「重さ」がまったく違う。

あわせて読みたい
「Stoneshard」中世傭兵の過酷な生き様を描くハードコアターン制RPG
「Across the Obelisk」最大4人で遊べるCo-opデッキ構築ローグライク Across the Obelisk|友達と遊ぶと200時間消えるCo-opデッキ構築ローグライク 「今夜だけ」と思って起動したら、気づけば夜が明けていた。そういうゲームが、たまにある...

Hero Siegeのようなアクション系ローグライクとも方向性が異なる。Stoneshardはリアルタイムアクションではなくターンベースなので、焦らずじっくり考えてプレイできる。逆に言うと、爽快なアクション感はない。

あわせて読みたい
「Stoneshard」中世傭兵の過酷な生き様を描くハードコアターン制RPG
「Hero Siege」13年現役のドット絵ハクスラARPG 「1000時間プレイしてもまだ終わらない」——そんな感想がSteamコミュニティに並ぶゲームを見かけたことはあるだろうか。 2014年のSteamリリースから12年。フィンランドの...

Sons Of The Forestのようなサバイバルゲームとは、「管理する要素の多さ」という点で共通するものがある。食料・水・傷・精神——どちらも「生きるためのリソースを管理する」設計だ。ただしStoneshardはターンベースで頭を使う方向性で、アクションサバイバルのSons Of The Forestとは遊び心地がまったく違う。

あわせて読みたい
「Stoneshard」中世傭兵の過酷な生き様を描くハードコアターン制RPG
「Sons Of The Forest」食人族の島でAI仲間と生き抜くサバイバルホラー 食人族の島でサバイバルするホラーゲーム 友達から「一緒にやらない?」と誘われて深夜に起動したら、次の朝には「もう一回だけ」と言いながら7時間連続でプレイしてい...

Timberbornのような資源管理ゲームとは別ジャンルだが、「限られたリソースでいかに長く生き残るか」を考える楽しさは共通しているかもしれない。

あわせて読みたい
「Stoneshard」中世傭兵の過酷な生き様を描くハードコアターン制RPG
「Timberborn」ビーバーで水を制して街を築く都市建設サバイバル 川の水が引いていく。土が乾いていく。丹精込めて育てた畑が、音もなく枯れていく。そして、画面の中のビーバーたちが次々と倒れ始める。 「また干ばつで全滅した」——Ti...

Stoneshardが独自に持っているのは「ターンベース×サバイバル管理×リアルな傷病システム」の組み合わせだ。このミックスは、少なくとも自分の知る限り、ほかのゲームでなかなか体験できないものだ。

Stoneshardを長く遊ぶためのコツ

実際に長時間プレイしているユーザーや、攻略コミュニティで共有されている知見をもとに、Stoneshardを楽しく遊ぶためのポイントを整理する。

最初は弓を試してみる

Stoneshardの初心者にとって「距離を保ちながら戦える」ことは生存率を大きく上げる。弓系スキルは遠距離から削ることを基本とするため、「囲まれる前に1体削って逃げる」という動きがしやすい。接近戦主体のビルドと比べて、ミスをした時の取り返しが利きやすい。

序盤のおすすめスキルとしてよく挙がるのが、弓スキルの「狙い撃ち(Aim)」と移動スキルの「なぎ払い(Sweep)」だ。Aimは近接戦闘に入る前の遠距離からのダメージ源として機能し、Sweepは最大3体の敵をスタンさせながら1マス安全に移動できる緊急脱出スキルとして優秀だ。

弓には矢の管理が必要で、矢を消耗したら補充しなければならない。この制約が「持続可能な戦闘スタイルを設計する」練習になり、ゲームの本質的な楽しさへの入り口にもなっている。

木・岩などの障害物を積極的に使う

Stoneshardのターン制マップでは、木や岩などの障害物の角に入ると、敵が対角線上に回り込めないという特性がある。囲まれかけたとき、こういう地形を使うと擬似的に「1対1の状況」を作り出せる。これを意識できるだけで生存率が跳ね上がる。

ダンジョン内でも壁の角や扉を活用する機会が多い。扉を開けてすぐ後退し、敵が来るのを待って1体ずつ対処する「ドア戦術」は初歩的だが非常に有効だ。また部屋の出口近くで戦えば、万が一のときに逃げやすい。「退路の確保」を常に意識して立ち回ることが、Stoneshardの戦闘の基本原則だ。

満腹・満足な状態で眠る

士気と正気度の維持には「食事→睡眠」のルーティンが基本だ。空腹のまま眠ると休息の効率が下がり、回復も不完全になる。長い冒険の前には必ず食事をとって、安全な場所で十分に休む。この基本を守るだけで、序盤の死亡率がかなり下がる。

「腐れ柳亭」などの酒場で食事と宿泊を取れば、士気・正気度・体力をまとめて回復できる。費用はかかるが、ダンジョンで消耗した状態で無理に次の冒険に出るより、一泊してから向かう方が生存率は確実に上がる。

薬の使い過ぎに注意する

鎮痛剤を多用すると薬物依存が蓄積する。依存が高まると、鎮痛剤なしでは能力値が著しく落ちる状態になり、薬を使うことで依存がさらに深まるという悪循環に陥る。痛みの管理は「必要最低限の鎮痛剤」を意識して、その代わりに戦闘で傷を負わないよう立ち回りを工夫する方が長期的には安定する。

酒(アルコール系のアイテム)は士気を一時的に上げる効果があるが、飲み過ぎると酔いのデバフが入る。適切な量でセーブポイント前にだけ使うなど、節度ある活用が求められる。「体に良くないことは、ゲームの中でも体に良くない」という徹底したリアリズムがStoneshardの面白いところだ。

アイテムを適切な商人に売る

拾ったアイテムはどの商人に売っても一定の値段がつくが、専門の商人に売ると高値がつく。金属製の武器・防具は鍛冶屋へ、木製品は大工へ、飲食物は食料商や酒場へ、布製品は仕立て屋へ。各地を回りながら「誰に何を売るか」を意識するだけで、資金繰りの安定度がかなり変わってくる。

序盤のうちにどの商人が何を専門としているか把握しておくと、後半のキャンペーンで大型のレアアイテムを売りさばく際に役に立つ。「このアイテムは良いものだから、専門の商人まで取っておこう」という思考が自然に生まれるようになる。

撤退を恥だと思わない

Stoneshardで最も重要な判断のひとつが「撤退の決断」だ。無理してダンジョンを攻略しようとして死ぬより、今日のところは引いて、物資を補充してから出直す方が賢い。長く生き残ることが傭兵としての成功であり、死ぬことが失敗だ。「生き延びることが目標」という意識でプレイすると、このゲームの楽しさがぐっと増す。

最初はボスを前に「もう少し、もう少し」と粘って死ぬ繰り返しだった。引き返して態勢を整えてから出直したら、あっさり倒せた。撤退の大切さを教えてくれるゲームだ。

引用元:Steamコミュニティガイド(StoneShardの生活ガイド)

「ダンジョンを全制覇しなければ」という強迫観念を手放したとき、Stoneshardは一気に楽しくなる。今日は2フロアだけ潜って撤退する、目的の素材だけ集めて帰る——そういう謙虚なプレイスタイルの方が、このゲームには合っている。

Stoneshard:現在の評価と今後の展望

Stoneshard その他RPG スクリーンショット9

Stoneshard(2026年4月時点)のSteam総合評価は「やや好評」で、全言語合計3万件超のレビューが集まっている。日本語レビューは248件で「賛否両論」という評価になっている。

評価が割れる主な理由は明確だ。このゲームが求める「ハードコアな管理・判断・試行錯誤」というプレイスタイルと、プレイヤーが求めているものが合わない場合に低評価になりやすい。「難しすぎる」「やり直しが長い」「アーリーアクセスが長い」——この3点が主な不満として繰り返し現れる。

逆にポジティブな評価の多くは「ハマると抜け出せない」「傷や管理システムが他にはない体験」「ビルドを考えるのが楽しい」という内容だ。「ゲームと自分の相性が合った人」は長時間プレイして高評価をつけ、「合わなかった人」は短時間で離れて低評価をつける——というパターンがはっきりしているゲームだ。

アーリーアクセス開始当初(2020年2月)は1万人超の同時接続者を記録したが、その後の開発ペースの遅さもあって1,000人を切る水準が続いていた。2024年12月の「Rags to Riches」がピーク6,700人を達成したことで、眠っていたプレイヤーが戻ってきた形になっている。

今後については、開発チームが「Blood Omens」アップデートを2026年前半リリースに向けて準備中という情報がある。17種類の新敵タイプ・5体の中ボス・40種類の新アビリティの追加で戦闘の幅が大きく広がる予定で、その後も段階的にメインストーリーの実装が進む見通しだ。正式版リリースに向けてのロードマップも随時更新されており、「もう少しでゴールに近づいている」という手応えが開発サイドから伝わってくる。

正式版リリースのタイミングはまだ明言されていないが、「Rags to Riches」と「Blood Omens」という2つの大型アップデートがゲームを大きく完成させていく位置づけにある。今のうちに触れておいて、正式版リリース時にまた盛り上がりを楽しむという楽しみ方もある。逆に「正式版を待ってから」という選択も尊重できる——それはプレイヤー自身が決めることだ。

アーリーアクセスのころからずっとプレイしてるけど、「Rags to Riches」で一気にゲームが大人になった感じがした。正式版が楽しみで仕方ない。

引用元:Steamレビュー(日本語、長期プレイヤー)

Stoneshardコミュニティ——攻略情報の宝庫

Stoneshardは比較的マイナーなタイトルだが、ファンコミュニティの熱量は高い。Steamコミュニティには「StoneShardの生活ガイド」「基本ゲームプレイガイド」などの日本語ガイドが複数存在し、内容の充実度は公式チュートリアルを大きく上回る。

日本語の有志攻略Wikiも存在し、ゲーム内のシステム・アイテム・敵・スキルツリーが詳細にまとめられている。アーリーアクセスのゲームなので情報が古くなることもあるが、コミュニティメンバーが随時更新を続けている。

5chには複数のスレッドがあり、最新のアップデートに対する反応や、ビルド相談・詰まったときの解決策などがやり取りされている。「あのボスに詰まってる」「このビルドどう思う?」という率直な話題が多く、Stoneshardのリアルな評判はこういったスレッドを読むとよくわかる。

開発者側のコミュニケーションも積極的で、Steamのアナウンスページでは開発日記(dev diary)が定期的に公開されてきた。この開発日記を翻訳・掲載してくれている日本語のnote記事も複数あり、ゲームの開発背景や今後の方向性を知りたい人には読み応えがある内容だ。

コミュニティの特徴として「ハードコアゲームを愛する人々」の集まりという色がある。「このゲームむずかしすぎる」という愚痴はもちろんあるが、「でもそこがいい」という人間が集まっているので、議論の空気は前向きだ。

まとめ——Stoneshardが向いている人、向いていない人

ダンジョンの奥で包帯が残り1枚になったとき、どう感じるか。「詰んだ」と思うか、「どうやって切り抜けるか」と考えるか——たぶんその反応で、Stoneshardとの相性が決まる。

このゲームは、失敗を通じて学ぶことをゲームの中心に据えている。チュートリアルで手取り足取り教えてくれるより、死にながら「なぜ死んだか」を考えることを設計の骨格にしている。その哲学に共感できるかどうかだ。

傷の管理、食料の管理、精神の管理、スキルの設計、戦術の立案——これだけの要素を同時に考えながら、それでも「もう少し先まで行ってみよう」と思わせる引力がある。それがStoneshardの正体だ。

傭兵として初めてダンジョンに踏み込み、ぼろぼろになりながら帰ってきた。包帯を巻き直して、食事をして、一晩休んでからまた出発する。次は少し上手くなっている。少しだけ。そしてまた失敗する。でも昨日より賢い失敗だ。この「少しずつ上手くなっている感覚」が、Stoneshardの一番の魅力だと思う。

ハードコアなターン制RPGを探していて、「管理が多いほど燃える」タイプなら、ためらわず試してほしい。まずは無料のプロローグからでいい。あの地下遺構を抜けたとき、「これは続きが気になる」と感じたなら、本編もきっと合う。プロローグでヴェレンが廃墟を抜け出す過程で、このゲームが何を求めているかの輪郭がはっきりと見えてくるはずだ。

逆に、快適さや爽快感を求めてゲームに向かう人には、正直すすめにくい。それはこのゲームが悪いのではなく、求めているものが違うだけだ。Stoneshardは「過酷さを楽しめる人のためのゲーム」として、明確に作られている。開発チームはその方向性をぶらさず、ゲームの根幹を維持しながらコンテンツを積み上げてきた。

アーリーアクセスはまだ続いているが、今のバージョンですでに「ひとつの完成した体験」として十分に楽しめる。「正式版まで待つ」のも選択肢だし、「今すぐ飛び込んで一緒に育てる」のも選択肢だ。次の大型アップデート「Blood Omens」で戦闘がさらに充実する予定があり、ゲームとしての完成度が上がり続けているタイミングに触れておくのも、アーリーアクセスならではの楽しみ方だ。

中世の傭兵が、骨折しながら、飢えをこらえながら、正気を保ちながら、少しずつ世界を渡り歩いていく。その傭兵が少しずつキャラバンを育て、仲間を増やし、行動範囲を広げていく。それがStoneshardというゲームの体験だ。他のゲームでなかなか味わえない種類のものが、ここにある。

Stoneshard

Ink Stains Games
リリース日 2020年2月6日
早期アクセス
価格¥2,499
開発Ink Stains Games
販売HypeTrain Digital
日本語非対応
対応OSWindows / Linux
プレイ形式シングル
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次