Darkest Dungeon II|絶望の旅路を駆け抜けるゴシックローグライクRPG、その深淵に迫る
馬車が泥まみれの夜道を進んでいた。灯台のような炎が揺れ、ナレーターの重い声が語りかける。「希望とは、消えゆく炎のようなものだ。それでも、あなたはまだここにいる」。
最初のランは30分もたずに終わった。Highwayman がスナイパーに頭を撃ち抜かれ、Plague Doctor が毒にやられ、Man-at-Arms は一人で3体の敵を相手にしながらもメルトダウンを起こして崩れ落ちた。馬車は炎ごと消えた。そして私はまた始めた。
Darkest Dungeon II は、カナダのインディースタジオ Red Hook Studios が2023年5月に正式リリースしたローグライクRPGだ。前作「Darkest Dungeon」の精神的続編として2021年から早期アクセスが始まり、約2年をかけて磨き上げられた。Steamでのレビューは1万1千件超えで「ほぼ好評(76%)」、Metacriticスコアは81点。批評家からは「前作を超えた」という評価も多い。
このゲームの核にあるのは「旅」だ。4人のヒーローを連れて壊れかけた馬車に乗り込み、腐敗した世界を横断して、すべての元凶がひそむ山の頂上を目指す。道中で仲間はストレスを溜め、関係が壊れ、時に死ぬ。でも旅は続く。この記事では、その旅のすべてを書く。
こんな人に読んでほしい

Darkest Dungeon II は好みが極端に分かれるゲームだ。最初に「自分に合うか」を確認しておくといい。
こんな人にハマる:
- 「全滅してもまた始める」ローグライク的なサイクルが苦にならない人
- ゴシックホラー・クトゥルフ的な暗い世界観が好きな人
- ターン制戦闘で細かい戦術を組み立てるのが好きな人
- キャラクター同士の人間関係や心理的葛藤に興味がある人
- 難しくても「もう一回」と繰り返してしまうゲームを求めている人
- 前作 Darkest Dungeon が好きだった人(ただし別物として楽しめる覚悟がある人)
- Slay the Spire、Hades、Dead Cells のようなローグライクに慣れている人
- 重厚なアートと音楽・ナレーションで世界観に浸りたい人
向いていないかもしれない人:
- 何度も全滅してやり直すことにストレスを感じる人
- 明確なメインストーリーと一本道の進行を求める人
- 前作と全く同じゲームシステムを期待している人
- アクション性のある戦闘を求める人
- 世界観の重さや暗さが苦手な人
このゲームのユーザー評価は「ほぼ好評」止まりで「非常に好評」には届いていない。理由は明確で、「前作との違いに戸惑うユーザー」が一定数いるからだ。前作はダンジョン潜りが中心だったが、本作は道路を旅するローグライク。根本的に構造が変わっている。「続編だから同じだろう」という先入観を持たずに遊べる人ほど、高く評価する傾向がある。
個人的には、ローグライク全般が好きで「重厚な雰囲気の中で戦略を組み立てたい」と思っている人に強くすすめる。一度ハマると、数十時間があっという間に溶ける。
ゲーム概要・特徴
Red Hook Studiosとは——前作を超えようとした小さなスタジオ
Darkest Dungeon II を開発したのは、カナダ・バンクーバーのインディースタジオ Red Hook Studios だ。前作 Darkest Dungeon(2016年)が世界的なヒットを記録したことで、スタッフ数が5名から14名程度に拡大し、本作の開発に臨んだ。
前作は総レビュー数8万件超え・「非常に好評」という大きな成功を収めたが、Red Hook はその路線をそのまま踏襲することをしなかった。「前作と同じものを作っても意味がない。でも前作を損なってもいけない」というスタンスのもと、根本的にゲームシステムを再設計した。3Dグラフィックへの移行、ローグライクの旅路構造への変更、トークンベースの新戦闘システム——これらはすべて「より良い体験のための変化」として設計された。
音楽は前作に引き続き Stuart Chatwood が担当し、ゴシックなオーケストラサウンドが健在。ナレーターを務める Wayne June の重低音の語りも本作で帰ってきた。「旅の道連れ」として常に寄り添うナレーターの存在が、ゲーム全体の雰囲気を引き締めている。
世界観——腐敗した大地と、忘れられた英雄たち
前作の舞台は「暗黒の屋敷」だった。本作の舞台は「世界そのもの」だ。忘却の霧が世界を覆い、古代の腐敗が大地に広がり、人々の記憶と正気が失われつつある。すべての元凶は「山」にある。何があるのかは、到達した者だけが知る。
プレイヤーが操るのは4人のヒーローたち。彼らは「英雄」と呼ばれてはいるが、過去に失敗を犯し、傷を抱え、それぞれの罪を背負っている。Highwayman は過去に仲間を見捨てた。Grave Robber は欲望に負けた。Plague Doctor は実験の失敗で人を失った——各ヒーローにはそれぞれの「告白(Confession)」があり、それを乗り越えることがこのゲームの物語的な核になっている。
世界には前作でおなじみの存在も登場する。肉体の恐怖(The Flesh)、巡礼者(Pilgrims)、腐敗した村人たち。しかし今回は「外側から眺める」のではなく、馬車でその中を通り抜けていく。道端には廃墟があり、燃えた村があり、墓場がある。ゴシックホラーの世界をドライブするような奇妙な旅の感覚が、本作の独特な体験を生み出している。
特筆すべきはビジュアルの進化だ。前作の2Dスプライト表現から、本作では3Dモデルへと移行した。キャラクターたちの表情が動き、馬車が揺れ、戦闘中の演出が劇的に豊かになった。手描き風のゴシックアートの質感を残しながら、3Dの表現力を活かした独特のビジュアルスタイルは、多くのプレイヤーから高い評価を受けている。
ゲームの基本的な流れ——旅と戦闘のサイクル
Darkest Dungeon II には2つのゲームモードがある。コアとなる「Confessions(告白)」モードと、後から追加された「Kingdoms(王国)」モードだ。まずは基本のConfessionsから説明する。
1回のランの流れはこうだ。
- Altar of Hope(希望の祭壇)でヒーローの解放と永続アップグレードを選択する
- 4人のヒーローを選んで馬車に乗り込む
- 地域マップを馬車で進み、道中のイベント・戦闘・ショップをこなしながら先に進む
- 各地域の終わりにある Inn(宿屋)で休息し、ストレス解消・スキル強化・アイテム補充を行う
- 5つの地域を抜けて Mountain(山)に到達し、最終ボスに挑む
1ランにかかる時間は3〜8時間程度。最初のうちは途中で全滅するため、30分〜1時間で終わることも多い。慣れてくると完走できるようになり、各ランでの戦略立案と即興判断の組み合わせが楽しくなる。
ローグライクなので、ランが終わるとヒーローはリセットされる。ただし「Candles of Hope(希望の蝋燭)」という通貨は持ち越され、Altar of Hope でのアップグレードに使える。ランを重ねるごとに少しずつ強くなれる「メタプログレッション」があるため、完全に何もなくなるわけではない。
ゲームシステム詳細

旅のマップ——道の分岐と選択
各地域は複数の「ロード(Road)」で構成されたマップだ。出発点から終点まで複数のルートがあり、どの道を選ぶかで遭遇するイベントや戦闘、補給機会が変わる。
道中に現れるもの
道を進む中で、さまざまなものと遭遇する。
- 戦闘(Encounter):敵グループとのターン制戦闘。地域ごとに登場する敵の種類が異なる
- 道端のイベント(Road Event):短いテキストイベント。選択肢によりアイテムを得たり、ストレスを受けたりする
- 廃墟・建物(Location):立ち寄れるスポット。アイテム入手やミニイベントがある。入ることでリスクを取るかスキップするかの判断が必要
- ショップ(Curio Shop):道中にある行商人的な存在。アイテムの購入が可能
- 奇妙なもの(Curio):調べると効果が発動するオブジェクト。良い効果も悪い効果もある
道の選択は単純ではない。戦闘が多いルートは消耗が激しいが、戦利品も多い。安全なルートを選べば温存できるが、強化の機会が少ない。地域の中間地点である宿屋に到達するまでに「どれだけ消耗したか」が次の行程を左右する。
炎のシステム——旅の緊張感の源
馬車の先頭には「The Flame(炎)」が灯っている。この炎のレベルが旅全体のトーンを決める重要な要素だ。
炎のレベルは0から100で表現される。戦闘に勝利すると炎が上がり、一部のイベントや敵の攻撃で炎が下がる。炎が高ければ旅は明るく、低ければ旅は暗くなる。
炎レベルによる効果の違い:
- 炎が高い(75以上):ヒーローたちが安心感を持ち、ポジティブな効果が発動しやすい。敵も通常の状態で出現する
- 炎が中程度(25〜74):標準的な状態。特段の変化なし
- 炎が低い(24以下):ヒーローのストレスが溜まりやすくなり、ネガティブなイベントが増える。敵がより凶暴な形で現れることがある
- 炎が消える(0):最悪の状態。最強クラスの敵「The Shambler」が現れる。これは基本的に逃げるべき相手だ
炎を管理することが旅全体の戦略の核心になる。消耗しても炎を保つか、炎を犠牲にして戦力を温存するか。この判断が積み重なって、ランの結果を大きく左右する。
ステージコーチの装備
馬車自体にも装備スロットがあり、アイテムを取り付けることで旅全体の効果を高められる。
馬車には車輪(Wheel)とアーマー(Armor)があり、数が増えるほど効果が高まる。車輪が多いと移動中のHP回復量が増え、アーマーが多いと戦闘開始時にヒーロー全員がブロックトークンを持った状態で始められる。
加えて、装備スロットには「Flame Item(炎アイテム)」「Trophy(討伐トロフィー)」「Pet(ペット)」の特殊スロットがある。ペットは馬車に同乗し、戦闘や旅に特殊なパッシブ効果をもたらす。可愛い外見と強力な効果を持つペットは、多くのプレイヤーに人気が高い要素だ。
宿屋システム——旅の中断と回復
各地域の中間点にある Inn は、束の間の安息地だ。ここでさまざまなことができる。
宿屋でできること
- スキルの選択と強化:ヒーローが使えるスキルを増やしたり、アップグレードしたりする。各ヒーローは最大5つまでスキルを選択して装備できる
- トリンケットの装備:アイテムスロットにアクセサリーをセット。ステータス強化や特殊効果を付与できる
- アクティビティによるストレス解消:ヒーローごとに異なるアクティビティ(飲む、祈る、賭ける、等)でストレスを下げられる
- 関係性の管理:ヒーロー同士の関係改善のためのアクションが取れる
- 馬車装備の変更:車輪・アーマー・装備スロットのアイテムを変更できる(宿屋以外では変更不可)
- ショッピング:宿屋の売店でアイテムを購入できる
宿屋での選択は戦略的に重要だ。ストレスを優先するか、スキルを強化するか、アイテムを補充するか。すべてに時間(行動回数)があるわけではないため、何を優先するかの判断が次の地域での生存率を決める。
戦闘システム——トークンと位置関係の深い駆け引き
Darkest Dungeon II の戦闘は、前作から大幅に進化したターン制システムだ。最大の変更点は「トークンシステム」の導入と「命中率の廃止」だ。
基本的な戦闘の仕組み
戦闘はヒーロー側4人と敵側最大4体が向かい合うレーン型だ。前作のダンジョン式の縦一列から、本作では横向きに2つのチームが対峙する形になった。ポジション(前衛・後衛)の概念はそのまま残っており、スキルによって「どのポジションから」「どのポジションへ」攻撃できるかが決まる。
前作にあった「命中率によるランダムなミス」は廃止された。本作ではスキルを使えば基本的に確実にヒットする。これにより「頑張って戦術を組み立てたのにミスで無駄になった」というストレスが排除され、純粋に戦術の正確さが問われるようになった。
トークンシステム——状態効果の視覚化
本作最大の新要素が「トークン(Token)」だ。戦闘員のHPバーの下に小さなアイコンが並び、各種の状態効果を表している。
ポジティブなトークン(黄色):
- Strength(力):次の攻撃のダメージが上昇する
- Speed(速度):行動順が速くなる。ターンが早く来る
- Block(防御):次に受けるダメージを軽減またはゼロにする盾トークン
- Dodge(回避):次の攻撃を回避する確率が上がる
- Crit(クリティカル):次の攻撃がクリティカルになる確率が上がる
- Riposte(反撃):攻撃を受けた際にカウンター攻撃を放つ
- Stealth(隠れ身):敵から直接攻撃のターゲットにならなくなる
ネガティブなトークン(青色):
- Weak(弱体):与えるダメージが低下する
- Vulnerable(脆弱):受けるダメージが増加する
- Stun(スタン):そのターン行動できなくなる
- Blind(盲目):攻撃精度が大幅に低下する
- Daze(朦朧):行動順が遅れる
- Immobilize(移動不能):ポジション変更スキルが使えなくなる
- Taunt(挑発):敵がその対象を優先的に狙うようになる
トークンは最大3スタックまで積み重なり、多くは3ターン後に消える。スキルによってトークンを「付与する」「除去する」「盗む」「反転させる」ことができる。この組み合わせが戦術の深みを生む。
例えば、敵に Vulnerable(脆弱)トークンをつけてから強攻撃を当てれば大ダメージ。敵の Strength(力)トークンを盗んで自分に付けるスキルを持つキャラクターは、攻防一体の動きができる。「今このターンに何を優先するか」の判断が常に求められる。
コンボシステム
特定のスキルには「コンボ(Combo)」という仕組みがある。「コンボトークンを持つ敵」に対して「コンボ要求スキル」を使うと、追加効果が発動する。コンボトークンは前のターンに特定のスキルで付与しておく必要があるため、複数のスキルを連鎖させることが強力な戦術になる。
例えば、Highwayman の「Duelist’s Advance」でコンボトークンをつけてから、次のターンに「Point Blank Shot」でコンボを消費すると大ダメージ。あるいは、1ターン目にコンボトークンを付け、2ターン目に別のヒーローがコンボ要求スキルで追撃する2キャラ連携も強力だ。
ポジション管理の重要性
前作から引き継がれた「ポジション(レーン)」の概念は本作でも健在だ。4つのポジション(1〜4列)があり、スキルによって「このポジションからしか使えない」「このポジションの敵にしか当たらない」という制約がある。
例えば、近接攻撃スキルの多くはポジション1〜2からしか使えない。遠距離スキルはポジション3〜4から発動できるが前衛には不向き。敵のスキルによってヒーローのポジションが強制移動させられると、使えるスキルが減り戦略が崩れる。これを逆用して、敵のポジションを崩してから弱点を突く戦術もある。
ターン順と速度の管理
行動順はSpeed値によって決まる。Speed が高いキャラクターほど早くターンが回ってくる。Speed トークンで速度を上げたり、Daze トークンで敵を遅くしたりすることで、有利なターン順を作り出せる。
「敵が行動する前に倒し切る」ために速度を上げる戦術、「まずこちらが受けてからカウンターで倒す」ために Riposte を準備する戦術など、Speed 管理が戦況を大きく変える。
ストレスシステム——精神崩壊との戦い
Darkest Dungeon シリーズの代名詞であるストレスシステムは、本作でも健在だ。前作から改良が加えられ、より直感的になった。
ストレスの蓄積と効果
ストレスは0〜10の値で表される。戦闘中の敵の攻撃、道中のネガティブイベント、仲間との関係悪化などでストレスが上昇する。ストレスが高くなるほど「ネガティブな会話」が発生し、パーティの雰囲気が悪化する。
ストレスと挙動の関係:
- 0〜3:ネガティブな反応はほぼなし。安定した状態
- 4〜6:稀にネガティブな会話や反応が出始める
- 7〜9:高頻度でネガティブな言動が出る。戦闘に悪影響が及ぶことも
- 10(限界突破):「メルトダウン」または「レゾリュート」が発生する
メルトダウンとレゾリュート
ストレスが10に達したとき、80%の確率で「メルトダウン」が起きる。HPが10%まで一気に落ち、永続的な特性(Quirk)が追加されることがある。パーティ全体のアフィニティ(関係性)も下がる。文字通り「精神崩壊」だ。
しかし残り20%の確率で「レゾリュート(逆境を跳ね返す)」が発生する。HPが67%回復し、ポジティブな特性が追加される可能性がある。「試練を乗り越えることで英雄が強くなる」というゲームのテーマを体現した仕組みだ。
メルトダウンは避けたいが、完全に避けることも難しい。ストレス管理は常にこのゲームの課題であり続ける。
特性(Quirk)システム
ヒーローは戦闘やイベントを通じて「特性(Quirk)」を獲得することがある。ポジティブな特性とネガティブな特性の両方があり、最大4つまで保有できる(ポジティブ2つ、ネガティブ2つ)。
特性の例:
- Flagellant’s Fervor:HPが低いとき攻撃力が上昇する(ポジティブ)
- Drifter:野外でのストレス耐性が上昇する(ポジティブ)
- Kleptomaniac:道中でアイテムを勝手に使ってしまうことがある(ネガティブ)
- Abusive:戦闘中に仲間を侮辱する言動を取り、アフィニティを下げる(ネガティブ)
特性はランに持ち越されないため(新しいランでは初期化)、1ランの中でキャラクターを育てる楽しさの一部として機能している。
アフィニティシステム——キャラクター間の関係性
本作で新たに追加された重要システムが「アフィニティ(Affinity)」だ。4人のヒーロー同士の関係性を管理する仕組みで、関係が良ければ戦闘ボーナスが生まれ、関係が悪ければ戦闘にデメリットが出る。
関係性の変化
アフィニティは戦闘中の言動や道中のイベントによって変化する。
関係が良くなる要因:
- 仲間を助けるスキルを使う(回復・バフなど)
- 宿屋での交流アクティビティ
- レゾリュート(精神的な強さを見せる)
- 一緒に戦闘をうまく乗り切る
関係が悪くなる要因:
- メルトダウン(精神崩壊)を起こす
- ネガティブな特性による言動(仲間を批判、怒鳴るなど)
- 特定のイベントでの選択
- 戦闘で仲間を傷つけてしまう一部のスキル
関係性レベルと効果
2人のヒーロー間のアフィニティが高まると「絆(Bond)」が生まれ、特殊なアクションが解放される。絆のあるペアは戦闘中に「連携アクション」を自動で行うことがある。例えば、仲間が攻撃されたときに庇う、回復スキルの効果が上がるなどだ。
逆に関係が悪化すると「軋轢(Tension)」状態になり、互いの行動に干渉してネガティブな言動が増える。最悪の場合は戦闘中に相手のスキルを妨害することすらある。
どの4人を組み合わせるかだけでなく、「4人の中で誰と誰の関係を良くするか」という人間関係の管理も戦略の一部になる。このシステムがゲームに独特の「人情劇」的な面白さを加えている。
ヒーロークラス詳細
本作には14種類以上のヒーロークラスが存在する(DLC含む)。それぞれ独自のスキルセット、パス(専門化)、ストーリーを持っている。主要なクラスを紹介しよう。
初期から使える4クラス
Highwayman(ハイウェイマン)——旅の始まりに相棒となる万能型
このゲームを始めるとき、最初にロックされていない状態で使える4クラスの一人。ピストルと短剣を使う二刀流のアウトロー。フロントラインでもバックラインでも機能する器用貧乏型で、初心者が最初に慣れるのに向いている。
強みはポジション適応力の高さ。前衛からは近接攻撃、後衛からはピストルで遠距離攻撃ができる。コンボシステムとの相性も良く、「Duelist’s Advance」でコンボトークンを付けてから「Point Blank Shot」で一気に消費する2段攻撃が基本パターンだ。
パスによってスタイルが変わり、ブリードに特化した刺客型、ガンマン特化型、スペシャルゲスト(Jester との連携前提)型など、様々なビルドが楽しめる。
Plague Doctor(ペストドクター)——毒と回復の支援型
毒と炎を操る後衛サポーターだ。直接の攻撃力は低いが、毒(Blight)と火傷(Burn)でじわじわとダメージを与えながら、仲間への回復やデバフ解除も行える。
強みは「対応力」だ。敵にダメージ、仲間にヒール、自分や仲間の状態異常解除と、できることが多い。弱点は一撃あたりの直接ダメージが低いこと。長期戦に向き、「毒や炎で削り続ける」プレイスタイルが合う。
Alchemy(錬金術)パスを選ぶと毒・炎に特化した攻撃型になり、Physician(医師)パスを選ぶと回復・デバフ解除に特化した純サポート型になる。
Grave Robber(グレイブロバー)——スピードと一撃必殺の刺客型
素早さと毒、奇襲攻撃が得意な女性刺客。スピードが高く、しばしばパーティで最初に行動できる。ステルス(隠れ身)を活用した戦術が特徴的だ。
得意な動きは「ステルスに入り、次のターンに強力な不意打ちをかます」パターン。ステルス状態では敵から直接攻撃を受けないため、ピンチのとき身を隠しながら次の一手を準備できる。
ただし紙装甲で、まともに正面から受けるとすぐに倒れる。「使いこなすのが難しい」と感じるプレイヤーも多いが、慣れると非常に高い火力を発揮できる。
Man-at-Arms(マン・アット・アームズ)——鉄壁の盾役と士気高揚の指揮官
重装甲の前衛戦士で、このゲームの「壁役」の代表格。自分や仲間を守るためのスキルが豊富で、パーティ全体の安定性を高めてくれる。
強みは「仲間へのバフとダメージ分散」だ。Rampart(城壁)、Defender(守護)などのスキルで仲間への攻撃を自分に向けさせたり、パーティ全体にBlockトークンを配ったりできる。攻撃力は低いが、いるといないとで生存率が大きく変わる縁の下の力持ちだ。
Bulwark(防護壁)パスを選ぶと純粋な盾役に特化し、Warlord(戦争指揮官)パスを選ぶとパーティ全体への戦術的バフに特化する。
解放が必要な主要クラス
Hellion(ヘリオン)——凶暴な二刀斧の前衛アタッカー
両手斧を振り回す野蛮な戦士。攻撃力が非常に高く、前衛の敵を薙ぎ払う豪快なスタイルが特徴だ。スキルの多くがAoE(範囲攻撃)で、複数の敵を同時に削れる。
弱点はストレスが溜まりやすく、ネガティブな言動が多いこと。アフィニティ管理が難しく、チームワーク面でのマイナスが生じやすい。それでも「火力の高さ」で採用する価値が十分にある。
Jester(ジェスター)——旅芸人の支援と出血アタッカー
バグパイプとナイフを使う道化師。出血(Bleed)ダメージとパーティへのバフが得意だ。「Finale(フィナーレ)」というスキルが強力で、出血スタックを一気に消費して大ダメージを与えられる。
もう一つの強みはパーティへの鼓舞スキル。仲間のStrengthトークン付与やストレス軽減が可能で、長期ランでのサポートとして有能だ。見た目の不気味さと実力の高さがギャップとして面白いキャラクターでもある。
Runaway(逃亡者)——炎を操る元孤児の近接型
前作にはいなかった本作の新キャラクター。炎(Burn)ダメージに特化したアタッカーで、自分自身も炎にさらされながら戦う独自のスタイルを持つ。
「Burn Out」というパスでは自分への炎ダメージをリソースとして活用する極端なビルドが可能で、使いこなしたときの爽快感がある。ハイリスク・ハイリワードを体現したクラスだ。
Leper(ライパー)——孤高の重戦士
ハンセン病を患う元王族の重戦士。防御力と攻撃力が極めて高いが、Speed が低く目が見えにくいため命中率に若干の課題がある。しかしBlindトークン対策を整えれば、最強クラスの生存力と火力を誇る。
孤高なスタイルゆえにアフィニティが上がりにくいが、「Solitary(孤独を好む)」パスを選ぶとむしろ単独行動での強みに特化できる。パーティ4人の中で一人孤高を貫く構成が面白い。
Vestal(ヴェスタル)——聖なる回復と神罰の司祭
回復に特化した聖職者。このゲーム唯一の「純回復役」に近いクラスで、パーティのHP管理を安定させてくれる。前作でも人気だったキャラクターが本作でもその役割を果たしている。
回復量が高く、複数のHPを一度に回復できるスキルも持つ。弱点は攻撃力が低いこと。しかし安定したHP回復は後半の長期戦で絶大な価値を持つ。
Occultist(オカルティスト)——危険と隣り合わせの暗黒魔術師
暗黒の呪文を使うリスキーなサポーター。回復スキルを持つが、一部の回復には「失敗してHP1にする」リスクがある。これが最も賛否両論なキャラクターで「ロマン枠」と言われることもある。
しかしうまく使えば強力なデバフと回復を同時にこなせる。Bleeds(出血)も使え、Plague Doctor とは異なる方向の毒・デバフ系サポーターとして機能する。
Flagellant(フラジェラント)——苦行僧の自傷型
自らを傷つけることで力を得る異端の苦行僧。HPが低くなるほど強くなるスキルが多く、「死の淵で戦うことを好む」という独自のスタイルを持つ。
ストレスが10になったとき、他のヒーローと異なり「Toxic(毒化)」状態になる。これは良い状態ではないが、Flagellant はそもそも苦痛を糧にするため、一部のスキルでこれを活用できる。
最大の特徴は「蘇生スキル(Redeem)」だ。仲間の蘇生ポイント(Death Door)で倒れた味方を即座に復活させられる。これはこのゲームで唯一の蘇生スキルであり、長丁場のランでは大きな価値を持つ。
Bounty Hunter(バウンティハンター)——スタンと捕縛の賞金稼ぎ
スタンと敵の捕縛に特化したハンター。Stun(スタン)トークンの付与が得意で、敵の行動を封じる戦術が強力だ。特定の敵タイプへの追加ダメージも持ち、ボス戦では特に活躍できる。
DLC追加クラス
Duelist(デュエリスト)——「The Binding Blade」追加クラス
フェンシングを使う優雅な決闘士。Riposte(反撃)システムを極限まで活用したスタイルで、「攻撃されるほど強くなる」カウンタースタイルが特徴的だ。DLC「The Binding Blade」で追加された。
Crusader(クルセイダー)——同じく「The Binding Blade」追加クラス
前作でもおなじみだった重装聖戦士。アンデッド系の敵に対して強力なボーナスがあり、神聖なダメージで敵を燃やす。Man-at-Arms とは異なる方向の前衛戦士として機能する。
パスシステム——専門化によるビルドの多様性
各ヒーロークラスには複数の「パス(Path)」が用意されている。パスはヒーローの専門化方向を決め、異なる追加効果やスキル変化をもたらす。パスは Altar of Hope で解放するもの、ゲーム内で特定条件を達成することで解放するものがある。
同じクラスでもパスが違えばまるで別のキャラクターのような運用になる。例えば Plague Doctor の「Alchemy」パスは毒攻撃特化のアタッカー、「Physician」パスは純回復サポーターと、全く異なるロールになる。この多様性が本作のビルド構築の楽しさを支えている。
ゲームモード詳細

Confessionsモード——5つの告白と山への旅
メインのゲームモード。5つの「Confession(告白)」が存在し、それぞれ異なるヒーローを主人公とした物語と、異なる最終ボスが待っている。
5つの告白:
- Denial(否認):最初からプレイできる告白。Highwayman の物語。最終ボスは「The Ravenous Reach」
- Resentment(憤恨):Man-at-Arms の物語。戦争の傷を持つ老兵の旅
- Obsession(執着):Plague Doctor の物語。科学への執着が招いた悲劇の清算
- Ambition(野心):Grave Robber の物語。欲望と代償についての物語
- Cowardice(臆病):Jester の物語。道化師の仮面の裏に隠れた恐怖
各告白をクリアすると、そのヒーローの過去と「なぜ山に向かうのか」が明かされる。ゲームメカニクスとしても変化があり、告白ごとに登場するボス、使える修正子(Modifier)、入手できる報酬が異なる。
5つすべてをクリアすると「The Luminous Shrine(輝く聖堂)」への挑戦が解放される。これが実質的な最終コンテンツだ。
Kingdomsモード——永続するロースターと戦略キャンペーン
2024年に大型アップデートで追加された第2のゲームモード。Confessions のローグライク「ランを繰り返す」構造とは全く異なり、永続するヒーローロースターを管理しながら複数の拠点を守る戦略キャンペーンだ。
Kingdomsの基本構造
プレイヤーは「Hamlet(村)」を拠点として、複数のヒーローを管理する。ヒーローたちはそれぞれ独立した状態(HP、ストレス、特性)を持ち、異なる遠征に送り出すことができる。
脅威(Threat)と呼ばれる敵勢力が徐々に村に迫ってくる。各脅威には「タイムリミット」があり、放置すると村が攻撃される。プレイヤーはどのヒーローをどの遠征に送るか、いつ出発するかを管理しながら脅威を排除していく。
3つのモジュール
現在Kingdomsモードには3つのモジュールが存在する。
- Beast Clan(獣人クラン):最初から解放されているモジュール。獣人たちの大軍を相手にする
- Coven(魔女集会):魔女と呪術師の集団が新たな脅威として登場する
- Court(宮廷):貴族的な腐敗勢力との政治的な対立を扱う
Confessions との最大の違いは「ヒーローが死ぬと永続する」という点だ。ランが終わってもヒーローのデータが残るため、お気に入りのキャラクターを育て続けることができる。一方で死亡は本当に永続的なパーマデスになるため、ヒーローの生死に Confessions 以上の重みがある。
Altar of Hope——メタプログレッションの中心
ランをまたいで成長できる「Altar of Hope(希望の祭壇)」は、Confessions モードのメタプログレッションシステムだ。ランの終了後に「Candles of Hope(希望の蝋燭)」という通貨を獲得し、ここでさまざまなアップグレードを購入できる。
Altar of Hope の主なエリアとできること:
- The Intrepid Coast(勇敢な海岸):馬車(Stagecoach)関連のアップグレード。車輪・アーマーの最大数増加、装備スロット追加など
- The Living City(生きた都市):ヒーローの解放と、クラスごとのアップグレード。新しいパスの解放もここで行う
- The Working Fields(農場):アイテム・トリンケット類のアンロック。ランで入手できるアイテムの種類が増える
- The Timeless Wood(時を超えた森):複数ランにわたって有効な「メモリー」ボーナスの解放
- The Dam(ダム):難易度調整(Candle Modifiers)の管理。意図的にランを難しくする代わりに報酬を増やすことができる
- The Mountain:コスメティック(武器スキン、衣装)の購入
重要なのは、最初のうちはアップグレードが少ないため辛いが、ランを重ねるごとに選択肢が増えることだ。「今日は全滅したが、蝋燭を稼いで少し強くなれた」という感覚がリプレイ意欲を維持させる。
5つの地域と敵
旅は常に「The Valley(谷)」から始まり、4つの中間地域を経て「The Mountain(山)」に至る。各地域は独自の雰囲気と敵の構成を持っている。
地域の概要
The Tangle(茨の荒野)
荒れた荒野と枯れた茨が広がる地域。序盤の地域の一つで、比較的戦いやすい敵が多い。しかし甘く見ると痛い目に遭う。植物系・獣系の敵が多く出現し、毒(Blight)への対策があると戦いやすい。
The Sprawl(荒廃した街)
廃墟となった都市部。腐敗した人間、変異した市民、火を使う敵が多い。炎(Burn)ダメージへの耐性とBurnダメージ対策アイテムが重要になる。暗い街並みの雰囲気が本作の世界観をよく表している地域だ。
The Foetor(疫病の沼)
沼地と腐敗した湿地帯。毒と腐敗を使う敵が多く出現する最難関地域の一つ。Blight(毒)ダメージが蓄積しやすく、適切な解毒アイテムがないと消耗が激しい。視界の悪い沼地の雰囲気が圧迫感を生む。
The Shroud(霧の海)
霧に包まれた海と沿岸部。海洋系・深海系の敵が登場するエルドリッチ(クトゥルフ的)な雰囲気の地域。前作でいう「The Cove」的な位置づけで、精神的なホラー感が強い。炎の管理が特に重要になる地域だ。
The Sluice(廃鉱山)
廃棄された鉱山と地下坑道。重い敵、機械的な構造を持つ敵が多い。位置ずらし対策と前衛の防御力が問われる。後半地域の一つで、ここを乗り越えるとMountainが見えてくる。
山(The Mountain)とボス戦
すべての地域を抜けた先にある Mountain では、選んだ Confession に対応したボスと戦うことになる。ボスはそれぞれ固有のメカニクスを持ち、それまでに積み上げてきた戦術が問われる。
Mountain のボスたちは「プレイヤーの弱点を突く」設計になっている。アフィニティが低いパーティを狙う敵、炎を消そうとする敵、特定のポジションばかり攻撃する敵——それまでの旅で何を軽視していたかがボス戦で露呈する仕掛けだ。
初心者向けガイド

最初の一周で学んでおくべきこと
初プレイは間違いなく詰まる。何度か全滅しながら「このゲームはこういうものか」とわかってから面白くなる。最初から知っておくと助かる知識をまとめた。
炎を絶やすな
最初に叩き込んでおくべき最重要事項だ。炎(The Flame)が消えると即座に状況が悪化し、強力な敵が出現する。炎を上げるためにしっかり戦闘をこなし、炎を下げるイベントはできる限り避ける。「炎ファースト」の考え方で旅をしよう。
宿屋では必ずストレス解消を
宿屋でのアクティビティを怠ると、後半でメルトダウンが頻発して崩壊する。アクティビティの優先順位は「ストレスが高いヒーローのストレス解消 → スキルアップグレード → 関係性改善」の順で考えると整理しやすい。
位置関係を常に確認する
スキルの使用可能条件がポジションに依存するため、ヒーローや敵のポジションが変わるとスキルが使えなくなることが多い。自分のヒーローのスキルが「どのポジションから使えるか」を最初に確認しておこう。特にポジション1〜2固定のスキルを持つヒーローが後衛に追いやられると一気に弱くなる。
序盤はシンプルな4人組から
最初のうちは「Man-at-Arms + Highwayman + Plague Doctor + Vestal」のような「前衛・近接DPS・毒支援・回復」の基本構成で慣れると良い。これは教科書的な構成で応用も効く。複雑なコンボ構成は慣れてからでいい。
Altar of Hope は早めに投資する
最初のうちはランが短く終わりがちで蝋燭が少ない。しかし「The Working Fields」でアイテム解放に投資しておくと、次のランから使えるアイテムが増えて安定する。馬車アップグレードも早めに進めると道中の消耗が減る。
「逃げる」という選択肢を使う
絶望的な状況になったら、戦闘から逃げることができる。全滅するよりも逃げてHPを温存した方が良いことも多い。「勝てない戦いは逃げる」「消耗が激しい道は迂回する」という判断が生存率を上げる。
中級者向けのコツ
トークンの「流れ」を読む
上級者と初心者の差が最も出るのがトークン管理だ。「敵がどのトークンを持っているか」「次のターンにどうなるか」を意識しながら行動順を決める。例えば Vulnerable(脆弱)トークンを付けた敵に対して、次のターンに高火力スキルを当てるための「仕込み」を前ターンにしておく動きが重要だ。
コンボの2ターン計画
コンボシステムは「今ターンに仕込んで次のターンに発動させる」2ターンの計画が必要だ。コンボトークンを付けたのに次のターンに別のことをしてしまうと効果がなくなる。コンボを使うキャラクターは「今ターン仕込み → 次ターン発動」の順番を守る。
アフィニティの高いペアを固定する
関係の良いペアは絆ボーナスが強力なので、特に相性の良い2人を固定して毎回組ませると絆が生まれやすい。例えば「Highwayman + Jester」のコンボ特化ペアは互いのスキルを強化し合うため相性抜群だ。
Candle Modifiers を活用する
Altar of Hope の「The Dam」では難易度修正を設定できる。難しくする代わりに蝋燭の獲得量が増える。慣れてきたら意図的に難易度を上げてアップグレードを加速させると、後のランが楽になる。
よくある失敗パターン
炎の管理を怠る:一番多い失敗。戦闘を避けすぎて炎が自然低下するのを放置したり、炎を下げるイベントに気付かず選択してしまうケース。炎の現在値は常に意識しよう。
宿屋でストレス解消をスキップする:「アイテム補充の方が大事」と思いがちだが、ストレス解消を怠ると後半でパーティが崩壊する。特に後半地域前の宿屋は必ず全員のストレスをチェックしよう。
特定のヒーローだけを使い続ける:慣れたヒーローを毎回使いがちだが、本作では編成の多様性が戦術の幅を広げる。苦手なクラスでも少しずつ試してみると新しい発見がある。
スキル選択を適当にする:宿屋でのスキル選択は後の戦闘を大きく左右する。「よくわからないので適当に」は厳禁。各スキルの使い方をある程度理解した上で、そのランの状況に合ったスキルを選ぼう。
前作との比較——同じ魂、異なるゲーム
前作 Darkest Dungeon(2016年)を知っている人のために、本作との違いを整理する。
共通する要素
- ゴシックホラーの世界観と独特のアートスタイル
- Wayne June によるナレーション
- Stuart Chatwood の音楽
- ターン制戦闘の基本概念(ポジション、スキルの使用条件)
- ストレスシステム(メルトダウン/ブレイクダウンの概念)
- パーマデスの概念(特にKingdomsモード)
- 「前進か退却か」の判断を迫る設計思想
大きく変わった要素
- ゲーム構造:ダンジョン潜りから「旅」へ。前作は拠点に戻れたが、本作は一方通行の旅
- グラフィック:2Dスプライトから3Dモデルへ(アートの雰囲気は維持)
- 戦闘システム:命中率廃止、トークンシステム導入でより確定的な戦術が可能に
- パーマデスの頻度:Confessionsでは1ランの中でリセットされるため、前作より軽い(Kingdomsは重い)
- 拠点管理:前作の「Hamlet(村)の建設」システムがなく、Altar of Hopeに置き換えられた
- キャラクター数:前作より少ない(前作14クラス以上、本作は12クラス+DLC)
- アフィニティシステム:キャラクター間の関係性という完全新要素
「前作派」の人が感じる違和感について
前作が好きだった人の中には「本作は別のゲームだ」と感じて評価が低い人もいる。それは完全に正しい見方だ。本作は前作のダイレクトな続編ではなく、「同じ世界観・精神的続編」だ。前作と同じプレイ感を求めると必ず「違う」と感じる。
一方で、本作を「前作とは別の新しいゲーム」として評価した場合、多くの批評家が「より洗練されている」「前作の課題を解決している」と評価している。前作の「運ゲー要素(ミス連発・クリティカル連発)」を削ぎ落とし、より純粋に戦略を問う設計になっているのは確かだ。
前作も本作もそれぞれの良さがあり、優劣はない。両方遊ぶのが最もおすすめだ。
DLCと追加コンテンツ

The Binding Blade
2024年にリリースされた有料DLC。2つの新ヒーロークラス(Duelist・Crusader)と、新しいコンテンツが追加された。
Duelist はリポスト(反撃)システムを極限まで活用した決闘スタイルのヒーロー。Crusader は前作からのファンには懐かしい重装聖戦士で、アンデッド系に特に強い。
Crusader の追加は前作ファンへのサービス要素でもあり、「前作から好きだったキャラが本作でどう活躍するか」を楽しめる内容だ。
Kingdoms モード(無料追加)
前述のKingdomsモードは基本的に無料アップデートとして追加された。3つのモジュールのうち最初の「Beast Clan」は無料で、追加モジュールは有料コンテンツになっている。
「Confessions だけでは飽き足らない」「もっと長期的な戦略を楽しみたい」という人に向けたモードで、本作の楽しみ方を大きく広げた。
Steam Workshop対応——モッドで広がる世界
本作は Steam Workshop に対応しており、コミュニティ制作のModが多数公開されている。新ヒーロー追加、スキンMod、難易度調整、UIカスタマイズなど多様なModが存在する。公式がModをサポートしている姿勢は、長期的な遊び続けられる環境づくりへの意識の表れだ。
評価と批評——数字で見る本作の立ち位置
批評家評価
Metacritic スコアは81点(PC版)。PC Gamer は75点、Attack of the Fanboy は満点評価を付けるなど、媒体によってばらつきはあるが全体的に好意的な評価を受けている。Edge Magazine は「すべての期待を超えた」とコメントし、Game Informer は「厳しいが素晴らしいゲーム」と評した。
ユーザー評価の傾向
Steamの総合評価は76%で「ほぼ好評」。これは前作が持つ「非常に好評」には届いていないが、前作の評価が異常に高かったことを考えると十分なスコアだ。
レビューを見ると、高評価の理由と低評価の理由が明確に分かれている。
高評価の理由:
- 戦闘システムが洗練されており、前作の「ランダムミス」問題が解消されている
- グラフィックとアート・音楽・ナレーションの質が高い
- アフィニティシステムによるキャラクターへの感情移入
- Kingdoms モード追加で遊び方が大きく広がった
- ランを重ねるごとの成長感がモチベーションを維持する
低評価の理由:
- 前作のプレイスタイルとの乖離に失望したユーザー
- ヒーロークラス数が前作と比べて少ない
- 序盤の難易度が急で挫折しやすい
- 一部のバランス調整への不満
- 「前作の村建設要素」を好んでいたユーザーの不満
早期アクセスから正式リリースまでの経緯
2021年10月に早期アクセスを開始し、2023年5月に正式リリース。約2年間の早期アクセス期間中、大幅なゲームシステムの変更が複数回行われた。初期の早期アクセス版は評価が低めだったが、正式リリース版では多くの改善が加えられた。「早期アクセス時点で判断してそのままのイメージを持っている人」と「正式リリース版を評価している人」でも評価が分かれることがある。
正式リリース後の1週間で50万本以上を販売し、商業的にも成功を収めた。その後も定期的なアップデートが続き、Kingdoms モードの追加など大型コンテンツ追加が無料で行われている。インディースタジオとして誠実なサポートを続けている姿勢は評価が高い。
このゲームの「難しさ」について正直に書く

Darkest Dungeon II は間違いなく「難しいゲーム」だ。しかしその難しさには理由があり、理不尽な部分と理解すれば乗り越えられる部分がある。
理不尽に感じる部分
正直に言うと、本作には「理不尽に感じる瞬間」がある。特定のランダムイベントが重なって一気に崩壊したり、予期せぬ敵の連続クリティカルで壊滅したりすることは起きる。前作から改善されたとはいえ、完全に「スキルだけで解決できる」ゲームではない。
しかし開発者のデザイン思想は「プレイヤーを排除することではなく、プレイヤーに圧力をかけること」だ。崩壊寸前の状況でどう立て直すか、損失をどう最小化するか——それを考え続けることがこのゲームの本質だ。
理解すれば乗り越えられる難しさ
「なぜ負けたのか」を振り返ると、多くの場合は理解できる失敗がある。炎を管理しなかった。ストレスを放置した。敵のトークンを無視した。宿屋での準備が不足していた——こういった「判断ミス」が積み重なって崩壊するケースが大半だ。
つまり「知識と経験があれば乗り越えられる難しさ」が中心にある。ランを重ねるごとに「ああ、こうすれば良かった」という学びが積み重なり、少しずつ先に進めるようになる。その成長を楽しめる人には向いているゲームだ。
難易度調整の手段
本作にはいくつかの難易度調整手段がある。
- Altar of Hope のアップグレード:ランを重ねるほど開始時の条件が良くなる。序盤は意図的に難しい設計で、アップグレードが進むほど快適になる
- Candle Modifiers:The Dam でゲームを「簡単に」するモディファイアを設定できる。蝋燭の獲得量は減るが、厳しすぎて辛い人はここで調整できる
- ヒーロークラスの選択:回復役(Vestal)や守護役(Man-at-Arms)を組み込むことで安定性が上がる。序盤は安定パーティを組むことが難易度の実質的な緩和になる
「難しすぎて辛い」という人は、まずこの3つの調整を試してみてほしい。それでも辛いようであれば、本作が合わないジャンルである可能性が高い。ローグライクの「全滅→学習→再挑戦」サイクルが楽しめる人向けのゲームだということは最初から理解しておいた方がいい。
世界観と演出——ゴシックホラーの美学
アートスタイル——3Dへの進化と手描きの質感
前作の2Dスプライトから3Dモデルへの移行は、一部のファンが懸念した変更だった。しかし実際にプレイしてみると、その心配が杞憂だったとわかる。
3Dモデルに手描き風のテクスチャを重ね、ゴシックホラーの質感を3Dで表現する独特のアートスタイルが確立されている。キャラクターの表情が動き、戦闘中の演出が豊かになり、馬車が揺れ、炎が揺らめく。2Dでは表現できなかった「動き」が加わることで、世界観への没入感が前作を上回った。
特に戦闘演出は本作の見どころの一つだ。スキル発動時のエフェクト、キャラクターのアニメーション、ダメージを受けた際の仰け反り——どれも丁寧に作られており、ただ数字を動かすだけの抽象的な戦闘ではなく「映像的な戦い」として体験できる。
Wayne June のナレーション——絶望のアナウンサー
このゲームの雰囲気を決定づける最重要要素の一つが、Wayne June によるナレーションだ。低く重い声で語られる詩的な言葉は、プレイヤーの行動に常に意味を与える。
勝利すれば「今日は生き残った。明日もそうとは限らない」。全滅すれば「また一つ、希望の灯火が消えた」。道端の廃墟に立ち寄れば「かつてここに生きた者の残滓が、あなたを問いかける」。
このナレーションがあるだけで、単なるゲームの操作がまるで「文学的な旅」に感じられる。Wayne June の声が持つ独特の威厳と哀愁が、Darkest Dungeon という作品の精神的な核を形成している。
Stuart Chatwood の音楽——ゴシックオーケストラの旅
音楽担当の Stuart Chatwood は、Prince of Persia シリーズなどでも知られる作曲家だ。前作に引き続き担当した本作の音楽は、地域ごとに異なる雰囲気を持ちながらも、「暗い旅路」という共通のテーマで統一されている。
荒廃した街 The Sprawl のジャズ的な退廃感、疫病の沼 The Foetor の重苦しい弦楽、霧の海 The Shroud の不安定な海洋サウンド——それぞれの地域に踏み込むたびに音楽が変わり、雰囲気の変化をさらに強調する。戦闘中のBGMは激しさを増し、勝利後は穏やかな余韻を残す。
サウンドトラックは単体でも聴く価値があるほどの質で、ゲームの世界観と切り離して音楽単体として楽しんでいるファンも少なくない。
このゲームで味わえる「特別な体験」

Darkest Dungeon II には、他のゲームではなかなか得られない体験がいくつかある。
崩壊寸前の緊張感
炎が消えかけ、全員のストレスが限界に近く、HPも残り少ない状態で最後の宿屋に到達したとき。そこからどう立て直すかを必死に考える時間は、このゲームだからこそ得られる体験だ。「もうダメだ」と思いながらギリギリ持ちこたえたとき、そして山の頂上に到達したときの達成感は格別だ。
ヒーローへの感情移入
アフィニティシステムによってヒーロー同士の関係が深まり、ランが進むにつれて4人に愛着が生まれる。「この二人の仲が良くなってきた」「あのヒーローの過去を知ってから見方が変わった」という感覚がある。ゲームキャラクターに感情を持つ体験は、この設計だからこそ生まれる。
語れるストーリーが生まれる
ローグライクの面白さの一つは「自分だけの物語が生まれること」だ。「あのランでHellionがメルトダウン連発しながらも最後に山頂を制した」「あの宿屋でJesterの告白スキルが発動してパーティの雰囲気が一変した」——こういった体験は誰も同じものは持っていない。友人に話したくなる自分だけのエピソードが積み重なっていく。
世界観への完全な没入
ナレーション、音楽、アート、システムが一体となって構築するゴシックホラーの世界観は、他のゲームにはない独特の没入感を生む。「遊んでいる」というより「この世界の一部になっている」感覚に近い。Wayne June の声が語りかけるたびに、この世界がどれほど丁寧に作られているかを感じる。
よくある質問
Q. 前作をやっていなくても大丈夫?
問題ない。本作は前作の「精神的続編」で、ストーリー上の直接的なつながりはほぼない。システムも全く別物なので、本作から入る方が素直に楽しめるという意見もある。前作の世界観や登場人物が好きな人はより深く楽しめるが、必須の知識ではない。
Q. どのくらいプレイ時間がかかる?
初めてのランをクリアするまでに20〜40時間かかる人が多い。全5つの告白をクリアするのに50〜100時間程度。Kingdoms モードまで遊び尽くすと200時間以上も珍しくない。かなりボリュームのあるゲームだ。
Q. 日本語対応は?
日本語に完全対応している。インターフェース、テキスト、字幕、すべて日本語でプレイできる。ただし Wayne June のナレーション音声は英語のみで、日本語吹き替えはない。英語が得意でなくても字幕で完全に理解できる。
Q. どのくらいのPCスペックが必要?
推奨スペックはi5-4460相当のCPU、8GB RAM、GTX 950相当のGPUだ。要求スペックは控えめで、最近のゲームの中では動かしやすい部類に入る。ローエンドのゲーミングPCでも十分遊べる。
Q. DLCは必要?
本体だけで完結したゲームとして楽しめる。DLC「The Binding Blade」はヒーロークラスが2体追加されるもので、「本体をやり込んだ後に追加コンテンツが欲しい」と感じたときに購入すれば良い。最初から必須ではない。
Q. セーブはいつでもできる?
自動セーブが基本で、ゲームを終了した場所から再開できる。1ランが長時間かかる場合も、宿屋などで区切って遊べる。ただし「セーブ&ロード」で全滅をなかったことにすることはできない設計になっている(ローグライクの設計思想として)。
Q. Confessions と Kingdoms はどちらを先に遊ぶべき?
必ずConfessionsから始めるべきだ。Kingdoms は Confessions のシステムを理解していることを前提に設計されている。Confessionsで戦闘と旅のシステムに慣れてからKingdomsに挑戦する順番が自然だ。
Q. マルチプレイはある?
本作はシングルプレイ専用だ。マルチプレイモードは存在しない。一人でじっくり考えながら遊ぶゲームとして設計されている。
まとめ——絶望の旅路は、続ける価値がある
Darkest Dungeon II は、簡単に語れないゲームだ。「難しい」「暗い」「前作と違う」という要素が確かにある。すべての人に勧められるゲームではないし、最初の数ランで挫折する人もいる。
しかしそれでもこのゲームを「すごい」と思うのは、これだけ多くの要素がひとつの「旅の体験」として結びついているからだ。トークンシステムの戦術的な深さ、アフィニティシステムが生む人間ドラマ、炎の管理が生む緊張感、Wayne June の声が告げる哲学的な言葉——これらすべてが「4人のヒーローが馬車で絶望の旅路を進む」というひとつの体験に向かっている。
ローグライクが好きで、ゴシックな雰囲気が好きで、戦略を考えるのが楽しくて、失敗から学ぶ過程を楽しめる人にとって、このゲームはおそらく「人生のベスト10」に入る体験になる。
最初の全滅を乗り越えてほしい。2回目も全滅するかもしれない。でも3回目に、初めて宿屋に到達したとき、仲間が宿屋で笑い合う様子を見たとき、「あ、このゲームはこういうことか」とわかる瞬間が来る。そこからが本番だ。
馬車の炎を守りながら、山を目指して走り続けよう。
Darkest Dungeon® II
| 価格 | ¥4,600-69% ¥1,426 |
|---|---|
| 開発 | Red Hook Studios |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac |
| プレイ形式 | シングル |

