It Takes Two|2人専用Co-opで100万組のカップルをケンカさせたゲーム
夫婦でゲームを起動したのは久しぶりだった。最後に一緒に遊んだのがいつだったか、正直思い出せないくらいだ。
「難しくないやつ選んで」と言われて選んだのが、It Takes Twoだった。2人でないと絶対に遊べないCo-op専用アクションアドベンチャー。友達でも、夫婦でも、恋人でもいい。とにかく「誰かと一緒に」でないとプレイできない設計になっている。
最初の1時間は和やかだった。ビーズ人形にされてしまった夫婦が、元の姿に戻るために2人で旅をするというストーリー。キャラクターが可愛いし、操作も難しくないし、「あ、これ良い選択だったな」と思っていた。
ところが2時間後、「そっちじゃなくて! こっちのタイミングで!」という怒鳴り声が響いた。怒鳴ったのは自分だ。画面の向こうで「わかってるって! あなたがちゃんと説明しないからでしょ!」という反論が飛んでくる。仲良く遊ぶはずが、気づけばゲーム越しに夫婦喧嘩をしていた。
ゲームのタイトルは「It Takes Two(2人でやらなきゃいけない)」。開発チームのHazelight Studiosは、最初からこういう展開を見越していたんじゃないかと思う。2人の息を合わせることを要求するゲームデザインは、意図的に「対話」を生み出す。喧嘩も含めて。
2021年にリリースされたこのゲームは、Steamレビュー10万件以上で「圧倒的に好評」という評価を獲得した。The Game Award 2021では年間最優秀ゲーム賞(GOTY)を受賞し、世界累計販売本数は700万本を突破している。Co-opゲームの歴史の中でも間違いなく特筆されるべき1本だ。
この記事では、なぜIt Takes Twoがこれだけ広く受け入れられたのか、どこが面白くてどこが大変なのか、正直に書いていく。
こんな人に読んでほしい
It Takes Twoが刺さるのは、こういう人だ。
- 恋人や夫婦でゲームをしたいが、2人ともハマれるゲームがなかなか見つからない人
- ゲームを普段あまりやらないパートナーに「一緒に遊ぼう」と誘いたい人
- 子供と一緒にCo-opゲームを楽しみたい親御さん(小学校高学年以上なら十分プレイ可能)
- 1本のゲームで飽きることなく長く楽しみたいCo-opゲーマー
- アクションは得意じゃないけど、友達と協力するゲームがしたい人
- 「Unravel Two」「A Way Out」が好きだった人(同じ開発者・Hazelight Studios)
- ゲームのストーリーに感情移入したい人、映画的な体験が好きな人
逆に、1人で遊べるゲームを探している人には全く向かない。It Takes Twoは文字通り「2人いないと遊べない」ゲームだ。ソロプレイのオプションすら存在しない。必ず誰かと一緒に遊ぶことが前提になっている。
また、競争要素を求めている人にも向かない。このゲームに対戦要素はなく、2人が完全に協力して進めていく。「どちらが上手いか」を競うゲームではなく、「2人でどうやって解決するか」を考えるゲームだ。
ゲームが苦手なパートナーを誘う場合は注意が必要だ。難易度は全体的に高くはないが、中盤以降はかなり手ごわいパズルや精密なアクションが要求される場面が出てくる。「全然ゲームをやらない人」が最初に触れるには少し敷居が高い可能性がある。
It Takes Twoとはどんなゲームか
開発はHazelight Studios、パブリッシュはElectronic Arts(EA)。Hazelightは「A Way Out」を作ったスタジオで、「2人でしか遊べないCo-opゲームを作り続ける」という明確なコンセプトを持っている。
It Takes Twoは2021年3月26日にPC(Steam/EA App)、PlayStation 4/5、Xbox One/Series X|Sでリリースされた。2022年11月にはNintendo Switch版も登場し、プラットフォームを問わず遊べるようになっている。
もう一つ重要な点がある。「フレンドパス」という仕組みだ。このゲームを所持しているのが1人だけでも、もう1人はゲームを購入しなくてもプレイできる。フレンドを招待すれば、持っていない側は無料でフルプレイが可能だ。つまり、2人で遊ぶためにかかるコストは実質1本分。この太っ腹な仕様がカジュアルユーザーへの普及を後押しした。
ストーリーの概要
主人公はコディとメイの夫婦。ある日、2人の娘・ローズが「パパとママに仲良くなってほしい」と願いを込めて泥人形と本の魔法をかけてしまう。すると2人は自分たちが作った人形の姿になってしまった。元の姿に戻るため、2人は魔法の本「ドクター・ハキム」の導きで様々な世界を旅することになる。
ストーリー自体はよくある「仲たがいした夫婦の再生」というテーマだが、描き方が丁寧でユーモアがある。特にドクター・ハキムというキャラクターが絶妙で、「あなたたちはもっとコミュニケーションが必要!」と二言目には言ってくる。ゲームをプレイしながら実際に喧嘩しているプレイヤーへの、ある意味直球なメッセージだ。
ゲームの各チャプターは全て異なるテーマと世界観で構成されていて、木の上の巨大な農場、おもちゃの世界、雪山、音楽ルームなど、ビジュアルとゲームメカニクスが章ごとに完全に切り替わる。1本のゲームで「これだけ違う体験ができるのか」と驚く設計になっている。
ゲームプレイの基本構造
ジャンルとしてはプラットフォームアクションアドベンチャーと協力パズルの組み合わせだ。3Dの世界を2人で移動しながら、障害物を乗り越え、謎を解き、ボスを倒していく。
重要な特徴として、各チャプターでキャラクターごとに異なる特殊能力が付与される点がある。例えばある章ではコディが磁石で物を引き付け、メイが磁石で物を弾く。別の章ではコディが釘を打ち込み、メイがその釘に飛び乗る。これらの能力は組み合わせないと先に進めない設計になっていて、「2人で考える」ことを自然に促す。
Chapter構成は大きく6つのチャプターに分かれていて、プレイ時間は2人の腕前によるが平均15〜20時間程度。ゲームが速い上級者ペアだと10時間前後で終わることもあるが、「ゲームをあまりやらない」側がいると20時間以上かかることも普通だ。
難易度設定はない。全プレイヤーが同じ難易度でプレイする。ただし、死亡しても数秒でリスポーンするので「詰んで進めない」という状況にはなりにくい。失敗しながら覚えていく設計で、何度も死ぬことが前提になっている。
各チャプターのゲームメカニクス
It Takes Twoが特に高く評価されているのは、チャプターごとにゲームメカニクスが完全に刷新される点だ。同じ操作を繰り返す「惰性プレイ」が生まれにくい設計になっている。それぞれのチャプターを詳しく見ていく。
チャプター1:ローズの部屋〜木の幹
最初のチャプターは比較的シンプルな導入部分。木のビーズ人形になった2人が、コディには釘を壁に打ち込む能力、メイには釘に引き寄せられるハンマーが与えられる。この「釘とハンマー」の組み合わせが最初のメカニクスで、コディが釘を壁に打ち込んでメイがそこへ飛んでいく、という流れを2人で考えながら進んでいく。
操作に慣れるための時間もほとんどなく、ほぼ即座に「2人でないと進めない場面」が来る。「釘はどこに打てばいい?」「いや、まずそっちの足場に登って」という会話が自然に発生する設計で、最初の数分でゲームの空気感が掴める。チュートリアルらしいチュートリアルがないのに、気づいたらプレイできるようになっているのがHazelightの上手さだ。
このチャプターで特に印象的なのは、ローズのぬいぐるみのゾウが登場するシーン。ネタバレになるのでここでは詳しく書かないが、このゲームが「情け容赦ない」方向性であることを最初に叩き込んでくる。実際に涙腺崩壊したプレイヤーが続出しているシーンで、初見で覚悟しておいた方がいい。Steamのコメント欄では「あのシーンで彼女が大泣きして、俺も泣いた」という報告が数え切れないほど書かれている。
チャプター1のボス戦は、2人の連携を使った場面で構成されていて、単純なアクションではない。「相手が何をしてくれるか」を読みながら動く必要があり、最初のボスなのにしっかりと「2人でやっている」感がある。このチャプターだけで1〜2時間かかるが、終わった時点でもう「次が気になる」状態になっている。
チャプター2:庭
舞台は庭に広がる巨大な農場とその周辺。このチャプターではコディに磁力(引き付け)、メイに磁力(反発)の能力が付与される。磁石で物を引き寄せたり弾いたりしながら進むパズルが中心で、ここからパズルの難度がぐっと上がってくる。
農場のガチョウとの戦いや、ガーデンホースを使った場面など、スケール感がユニークで「こんな環境でこんな戦いするんだ」という驚きがある。チャプター全体を通して「大きくなった虫の目線で庭を見る」という体験が新鮮だ。
磁力のパズルで面白いのは、引き付けと反発を「どのタイミングで使うか」の判断が常に問われる点だ。「今引き付けて」「タイミングが合わなかった、もう一回」というやりとりが繰り返される。焦ると失敗するパターンが多く、「落ち着いて話し合う」ことが攻略の鍵になる。
このチャプターに登場する植物系の敵との戦いは、コミカルな演出が満載で笑える場面が多い。「なんでここで芋虫と戦ってるんだ」という感想が自然と出てくる。シリアスなストーリーとバカバカしいゲームプレイが共存しているのが、It Takes Twoの独特の魅力だと感じるのがこのチャプターだ。
チャプター3:ツリーハウス
木の上の巨大なツリーハウスが舞台。このチャプターはストーリー的に感情の動きが大きく、2人の関係性の核心部分に触れていく。ゲームメカニクスとしてはワックスとマッチの組み合わせが登場し、メイがワックスで表面をコーティングし、コディがマッチで火を付けるという連携がカギになる。
ワックスとマッチの相互作用は、見た目にもわかりやすく、「コーティングした面にだけ火が付く」というルールが視覚的に理解しやすい。初めてこのメカニクスが使われた場面で「あ、こういう仕組みか」とすぐに理解できる。謎解き的な難しさよりも、「2人でタイミングを合わせる」技術的な難しさが前面に出てくるチャプターだ。
リス軍団との戦闘はIt Takes Twoの中でも特に「バカバカしくて最高」という評判のシーンで、2人でプレイしていると思わず笑ってしまう展開が続く。ちなみにリスのボス戦はゲーム全体の中でも指折りの難しさで、初見では確実に何度もやられる。
このチャプターのミニゲームとして「リス狙撃」のような場面があり、これが2人でやると異常に盛り上がる。「今だ!」「待って!」「あー、惜しかった!」という声が飛び交って、気づいたら10分以上そこで遊んでいる。メインを進む前についついミニゲームに夢中になってしまう。
ストーリー的には、ツリーハウスのチャプターでコディとメイの「過去」に踏み込む展開があり、ここで2人の夫婦としての歴史が少しずつ明かされていく。ゲームをプレイしながら「あ、この2人にもちゃんとした歴史があるんだな」と感じる瞬間があって、単純なコメディで終わらないストーリーの深みを見せてくれる。
チャプター4:おもちゃの部屋
ローズが子供のころに遊んでいたおもちゃの世界。このチャプターは全体を通して遊び心にあふれていて、様々なおもちゃが巨大化して登場する。コディにはタイム操作(時間を巻き戻す)能力が、メイには糸を飛ばす能力が付与される。
タイム操作の仕組みがかなり複雑で、「コディが時間を巻き戻している間にメイが動く」「コディが時間を戻した状態でないとメイが届かない場所がある」といったパズルが多く登場する。ここで2人の息が合わないと詰まりやすいので、コミュニケーション量が一気に増えるチャプターだ。
時間操作のパズルは初めて体験する人には少し混乱する。「えっと、今戻してる? 止まってる?」という会話が多発する。頭で理解するより体で覚えた方が早いタイプのパズルで、失敗しながら徐々に「こういうことか」とわかっていく感覚がある。「ゲームのパズルで初めて本当に考えた」という感想が多いチャプターだ。
チャプター4の後半には「プレイ時間5時間で一番難しかった」という声が多いミュージカル要素が登場し、ゲームのダイナミズムをさらに広げている。この部分は「ゲームとしての演出」として非常に完成度が高く、初めて体験したときに「ゲームでこういうことができるのか」と驚く場面だ。ネタバレになるので詳細は省くが、音とゲームプレイが一体化する体験は、他のゲームではなかなか味わえない。
チャプター4を終えた頃には、2人のプレイヤーは「タイム操作」と「糸」という全く違う能力を当たり前のように使いこなしている。「慣れてきた」という達成感があるタイミングでチャプターが終わり、次の新しいメカニクスへと移行していく。
チャプター5:雪山・お城
チャプター5は舞台が大きく変わり、雪山とおとぎ話のお城の世界へ。コディに翼(グライダー機能)、メイに熱エネルギーを凝縮する能力が付与される。
このチャプターはアクション要素が強く出ていて、スキーで山を下る場面や、お城の外壁を2人でよじ登る場面など、スピード感のある展開が多い。パズル要素は少なめで、反射神経と連携のタイミングが重要になる。「ゲーム慣れしている」側にとってはここが一番楽しい、という意見も多い。
翼を使った滑空は純粋に気持ちいい。「風に乗って一気に飛んでいく」感覚はそれまでのチャプターにはなかった爽快感で、「このゲームでこんな体験もできるの?」という驚きがある。雪山の背景が綺麗で、2人で並んで滑空しながら「景色いいね」という会話になった、というレビューが複数ある。
お城のパートではボスが複数登場し、難易度が急激に上がる場面がある。「お城の騎士」との戦いは2人の素早い連携が求められ、初めてここで「詰まった」というプレイヤーが多い。「3回死んで少し険悪になったけど、4回目でなんとかクリアした」という体験談が多く見受けられる。
雪山のチャプターにも当然ミニゲームが隠れていて、スノーボードレースとも言えるような場面がある。これがそのゲームパートで最も「2人が盛り上がりやすい」瞬間の一つで、互いに競うような場面が含まれている。
チャプター6:時計塔と最終決戦
最終チャプターはストーリーの核心部分で、2人のキャラクターの関係性が決定的に変化していく。ゲームメカニクスとしては様々な能力を組み合わせるグランドフィナーレ的な構成になっていて、過去のチャプターで登場した要素が総動員される。
最終ボスはそれまでの経験を全部使わないとクリアできない設計で、「このゲームで学んだことの集大成」という感覚がある。クリア後のエンディングで泣いたというレビューが多いのも、この積み上げがあるからこそだ。
チャプター6の前半は比較的テンポよく進むが、後半から最終ボスに向かう場面でかなり手ごわくなる。ここで諦めそうになるプレイヤーもいるが、最終的にクリアしたときの達成感は他のチャプターの比ではない。「やりきった」という感覚が2人の間に生まれる瞬間だ。
エンディングについては意見が分かれるが、多くのプレイヤーが「想像以上に感動した」という感想を持っている。ゲームを通じてコディとメイの変化を見てきたからこそ、最後の場面が響く。15〜20時間かけて積み上げてきた感情的な蓄積が、エンディングで一気に解放される感覚がある。
なぜこれだけ多くの人に刺さったのか
Steamレビュー10万件超、GOTY受賞、700万本突破という数字をそのまま受け止めるだけでは意味がない。なぜそれだけの評価になったのか、理由を考えてみたい。
「ゲーマーではない相手」を引き込める設計
多くのCo-opゲームは「2人ともゲームに慣れている」ことを前提として設計されている。It Takes Twoは違う。ゲームをほとんどやらないパートナーでも、数十分プレイすれば「なんとかなってきた」という感覚を持てるように作られている。
操作系はシンプルで、走る・ジャンプ・特殊能力の3要素がほぼ全て。複雑なコンボや覚えるべきコマンドが少ない。「ゲームをやる人とやらない人のペア」が最後まで一緒にプレイできるゲームは意外と少なく、そこがIt Takes Twoの大きな強みになっている。
「普段ゲームをやらない人」がゲームで最初につまずくのは、大抵「操作を覚えること」だ。ボタン配置を覚えながら、画面の状況を把握しながら、敵やギミックに反応する、ということを同時にこなすのは慣れていない人には難しい。It Takes Twoはその負荷を最小限にしていて、各チャプターで与えられる能力の種類が少なく、使いどころが明確だ。「このボタンを押したら何かが起きる」というわかりやすさが、ゲーム初心者の不安を取り除いている。
彼女はほぼゲームをやったことない人だったけど、「これなら続けられる」と言って最後まで一緒にクリアできた。あんなに笑いながらゲームした記憶がない。
引用元:Steamレビュー
この種のレビューがSteamに無数に存在する。「普段ゲームをやらない妻と二人でクリアした」「ゲームが苦手な彼女が自分からもう一回やりたいと言い出した」という体験談が、口コミとして広がった。「2人の関係を良くするきっかけになった」という声も多く、ゲームの枠を超えた評価が集まっている。
常に飽きさせない「メカニクスの刷新」
多くのゲームは1つのゲームメカニクスを磨いていく方向性を取る。それはそれで深みが生まれるが、プレイヤーが飽きてくるリスクもある。It Takes Twoは逆のアプローチで、ほぼ毎チャプターで新しいメカニクスを投入してくる。
磁石の次はワックスとマッチ、次は時間操作、次は翼、と続いていくので「このゲームは次に何を出してくるんだろう」という期待感がずっと続く。15〜20時間のプレイを通じて「飽きた」と感じる瞬間がほとんどない。これを実現するために、一つ一つのメカニクスを「そのチャプターだけで使い切る」という潔い設計判断をしている。
短い時間で次々と新鮮な体験を提供するこの構造は、Co-opゲームの中でも特に秀逸だ。友達と遊ぶゲームで「飽きてきたね」という空気が流れるのは最悪の体験だが、It Takes Twoではその心配がほとんどない。
同じHazelight Studiosの前作「A Way Out」も2人限定Co-opで高い評価を得たが、It Takes Twoはそこからさらに大幅にメカニクスの多様性を増させた。開発チームの「前作を超える」という意志が、ゲームプレイの設計に明確に出ている。
ミニゲームの密度が異常に高い
It Takes Twoのもう一つの特筆すべき点は、メインストーリーとは別に大量のミニゲームが散りばめられている点だ。チェスあり、カーレースあり、スタジオ録音あり、ピンボールあり、ビーチバレーあり。「このゲームはメインストーリーだけじゃなくてミニゲーム集でもある」という感想が出るほど、寄り道要素が充実している。
これらのミニゲームは対戦形式のものが多く、仲良く協力してきた2人が突然ライバルになる。「さっきまで協力していたのに、いきなりチェスで真剣勝負になった」という落差がある種の笑いを生み出す。この遊び心が長時間プレイの疲れを和らげる役割を果たしている。
ミニゲームのカーレースで彼氏に負けて普通に悔しくなって、3回も再戦した。ゲームのメインより夢中になってた。
引用元:Steamレビュー
ミニゲームはプレイを強制されるものではなく、あくまで「見つけたら遊べる」形式だ。見逃してもメインストーリーは進められるが、探索好きなプレイヤーは全部見つけようとするので実質的にプレイ時間が伸びる。
ミニゲームの種類の多さは、Hazelightがゲームデザインに費やしたリソースの量を物語っている。通常のゲームなら「おまけ要素」として数個用意するところを、It Takes Twoは各チャプターに複数のミニゲームを詰め込んでいる。「このゲームはメインを作ってからミニゲームを追加したんじゃなくて、最初からミニゲームを作ることが計画に入っていた」という印象を受ける。
特に印象的なのはチェスのミニゲームで、チェスを知っている2人がプレイすると本気の対局になる。「ゲームでチェスに本気になった」という体験は他ではなかなかない。知らない人でも「適当に動かして相手のコマを取ろう」という感じで楽しめる。
ビジュアルの質と世界観の振れ幅
グラフィックス面でも、It Takes Twoは高い評価を得ている。チャプターごとに完全に世界観が変わるため、「同じゲームとは思えない」という驚きが続く。庭の農場の鮮やかな緑、おもちゃの部屋のカラフルな色彩、雪山の白銀の世界。それぞれが独立したアートディレクションを持っていて、見ているだけでも楽しい。
キャラクターデザインも絶妙で、ビーズ人形という制約の中でコディとメイの感情表現を豊かに描いている。怒る・驚く・喜ぶ・悲しむ、という感情がキャラクターの表情と動きに反映されていて、ストーリーの感情移入度を高めている。
ユーザーの正直な声
Steamレビューや各種プラットフォームのユーザー評価を見ていると、It Takes Twoへの評価はポジティブなものが圧倒的に多いが、批判的な声も一定数ある。正直に両方を紹介する。
ポジティブな声
結婚10年目の夫婦でやったけど、久しぶりに一緒に笑いながら何かした気がした。このゲームを作ってくれた開発チームに本当に感謝してる。
引用元:Steamレビュー
友達と毎週末やってたけど、クリアしたとき達成感と寂しさが同時に来た。「もう続きがない」という喪失感を感じたゲームは久しぶりだった。
引用元:Steamレビュー
子供と一緒にプレイした。難しいところは私が手伝いながらだったけど、子供が「次どこ行くの!?」って前のめりになってる姿が最高だった。こういうゲームをずっと探してた。
引用元:Steamレビュー
特に「普段ゲームをしない人と一緒にクリアできた」というレビューが多い。一般的にゲームに詳しくない人が「ここまでハマれるゲームだとは思わなかった」という驚きとともに書いている内容が印象的だ。
批判的な声・注意点
ストーリーがちょっと都合よすぎる。「2人の関係性の改善」がゲームの流れで自動的に進んでいく感じで、リアリティが薄い。もう少し葛藤を描いてほしかった。
引用元:Steamレビュー
中盤以降の難易度が急に上がる場面があって、ゲームが苦手な相手がいると詰まりやすい。難易度設定があればよかった。
引用元:Steamレビュー
1周したら再プレイする要素がほぼない。面白いんだけど、もう一度やりたいかと聞かれると微妙。周回プレイの動機が弱い。
引用元:Steamレビュー
難易度設定がないことへの指摘は特に多い。ゲームを普段やらない人にとって難しすぎる場面がいくつかあり、そこで詰まってモチベーションが落ちるというパターンを経験したペアが一定数いる。「もう片方がイライラし始めた」というレビューも見られる。
再プレイ性の低さも正直に言うと弱点で、1周クリアしたらほぼ終わりという構造だ。ミニゲームを全部埋めるやり込みはあるが、それも含めて20時間程度。「同じゲームを何度も周回したい」プレイヤーには物足りないかもしれない。
ただ、こういった批判点も含めて、Steamの「圧倒的に好評」という評価が変わることはない。「1周15〜20時間の体験として、これだけ密度が高いゲームは珍しい」という評価が大多数を占めているためだ。
Co-opゲームとして「本当に2人の仲が試される」
It Takes Twoでプレイヤーが体験する最大のことは、実は「相手との対話の必要性」だと思う。
ゲームをプレイしていて「こんなに話すことになるとは思わなかった」と感じる場面が何度もある。「今どこにいる?」「こっちから行けば?」「あの足場、まず右から押さえて」といった実務的な会話から、「このキャラクター可愛いよね」「このシーン、なんか切ないな」という感想まで、ゲームを通じた会話が絶えない。
多くのCo-opゲームは「それぞれが自分の役割をこなせば進める」設計になっている。2人がコミュニケーションを取らなくても、各自の役割をうまく果たすことで進んでいける。It Takes Twoはそれが成立しない設計だ。
「こっちのタイミングで釘を打ってほしい」「今から引き寄せるから手を離して」「右の足場、先に踏んどいて」。それぞれのメカニクスが完全に噛み合わないと先に進めないため、言葉でのやりとりが必然的に発生する。
これがうまくいくと「息が合ってる」という感覚になる。パズルがスパッと解けた瞬間の達成感は、2人で解いたからこそ生まれるものだ。自分1人ではどうにもならないことが、相手と力を合わせることで解決できる、というゲームデザインが人間関係に対するメタファーになっている。
同時に、これがうまくいかないと軋轢が生まれる。「なんで今そこに行くの」「言ってる意味わかった?」「ちゃんとやって」。こういう言葉がCo-opゲームでは飛び交いがちだ。
面白いのは、このゲームのストーリーが「コミュニケーションが壊れた夫婦の再生」を描いているという点と完全に重なっていることだ。ゲームメカニクスとストーリーのテーマが一致している。「2人で話し合わないと進めない」ゲームを「話し合えなくなった2人」が遊ぶ、という構造が意図的に組み込まれている。
彼氏と喧嘩の最中にこのゲームやってた。ゲームの中では協力しないといけないから、自然と会話が生まれて、気づいたら仲直りしてた。ゲームに救われた気がする。
引用元:Steamレビュー
このような体験談が多数報告されている。それが「このゲームは関係修復に効く」という評判につながり、「カップルにすすめたいゲーム」「夫婦でやるべきゲーム」として口コミで広がった。ゲームの宣伝文句ではなく、プレイヤーの実体験から生まれた評価だ。
喧嘩になりやすい場面
正直に書くと、特定の場面ではほぼ必ず喧嘩(あるいは口論)になる。
最も危険なのはパズルが解けない状態が長引いたときだ。「どうすれば進めるかわからない」状況が5分、10分と続くと、焦りとフラストレーションが溜まって相手のせいにしやすくなる。「さっきそっちが失敗したから」「また同じミスして」という言い合いが始まる。
もう一つ危険なのが、2人のゲームスキル差が大きい場合だ。「できる方」がイライラし、「できない方」が申し訳なさでプレイを楽しめなくなる。これが続くとゲームを一緒にやること自体が苦痛になってしまう。
対処法として、「詰まったら別の視点で考える」「ヒントを調べていい」というルールを事前に決めておくことをすすめる。「絶対ノーヒントでクリアする」という縛りは美しいが、2人の関係に悪影響が出るリスクがある。
「ゲームスキルの差」という問題への対応として、「できる方が主導してできない方をサポートする」という役割分担を明示的に決めるのも有効だ。「あなたが難しい操作担当、私が考える担当」という分担を決めると、各自の強みを活かしてゲームを進められる。It Takes Twoはこの役割分担が自然に機能するように設計されていて、特定の操作が得意な側がその場面を担う流れになりやすい。
一番大事なのは「詰まったら休憩する」という選択肢を持つことだ。ゲームが難しくて気持ちが荒んできたら、一度別のことをして頭を冷やす。「今日はここまでにしよう」と決めてセーブして終わる勇気が、次のセッションを楽しいものにする。
Co-opゲームで協力プレイを楽しみたいなら、同じく協力要素が重要なゲームがいくつかある。ゴルフゲームの共同プレイは競争しながらもお互いが楽しめる良い選択肢だ。

ゲーム音楽と演出について
It Takes Twoの音楽と演出面も高く評価されているポイントだ。
サウンドトラックはゲームの各世界観に合わせて完全に異なるスタイルで作られている。庭のチャプターでは軽快なオーケストラ、おもちゃの部屋ではポップでカラフルなサウンド、雪山では壮大なスケール感のある楽曲。それぞれの世界観への没入感を高める役割を果たしている。
特に評価が高いのは、おもちゃの部屋のチャプターに登場する「音楽的な」演出シーンだ。ここではゲームそのものが音楽の演奏に変換されるような場面があり、「ゲームプレイとサウンドが一体化している」という体験ができる。スクリーンショットや動画では伝わらない部分で、実際に2人でプレイしてみないと感覚がわからない。
ボイスアクティングも完成度が高い。コディ役、メイ役、そしてドクター・ハキム役のキャラクターが全員個性豊かに演じられていて、ムービーシーンでの演技が感情的な盛り上がりを作り出している。英語音声に日本語字幕という仕様だが、字幕の翻訳精度も十分で、ストーリーのニュアンスは問題なく伝わる。
ドクター・ハキムというキャラクターは、このゲームの中で特に笑いを提供してくれる存在だ。「2人はもっとコミュニケーションを!」という台詞を繰り返しながら、時に全力でゲームを妨害してくるキャラクター性は独特で、「敵なのか味方なのか」という謎を保ちながら物語を進めていく。ゲームを進めるにつれてドクター・ハキムへの見方が変わっていくのも、ストーリーの楽しみの一つだ。
映画的な演出の密度
It Takes Twoはゲームプレイとムービー演出のバランスが取れていて、長い説明シーンでプレイが中断しすぎることがない。カットシーンはあるものの、すぐに「さあ動かして」という流れに戻る。「ムービーゲームになりすぎない」という判断が、ゲームとしてのテンポを維持している。
ただし、ストーリーへの感情移入度は人によって大きく違う。「夫婦の再生ドラマ」というテーマは普遍的だが、そこにどれだけリアリティを感じるかは個人差がある。「ストーリーが感動的だった」という声がある一方で、「ストーリーはおまけで、ゲームプレイが全て」という声も同じくらいある。
演出の密度という観点では、一つ一つの場面がしっかり「見せること」を考えて設計されている。ボスが登場するときの演出、新しいエリアに入ったときのカメラワーク、感情的な場面でのBGMの変化。細かい部分まで「2人が一緒に観て感動できるか」を意識して作られている印象が強い。
この映画的な演出の積み重ねが、プレイ後に「なんか良いゲームをやった」という感覚を生み出している。ゲーム体験として終わるのではなく、「一緒に良いものを見た」という共有体験になっているのがIt Takes Twoの強みだ。これはゲームとして珍しいことで、映画やドラマを「2人で一緒に見る」という行為に近い。
Hazelight Studiosという開発チームについて
It Takes Twoを理解するために、開発チームであるHazelight Studiosについて少し書いておきたい。
Hazelight Studiosはスウェーデンのストックホルムに本拠を置く独立系デベロッパーで、設立は2013年。代表はJosef Fares(ヨセフ・ファーレス)で、もともとレバノン出身で映画監督も経験しているクリエイターだ。
Josef Faresは「Co-opゲーム専門スタジオ」という明確なビジョンを持っている。「1人で遊ぶよりも、誰かと一緒に遊ぶ方が楽しい体験ができる」という信念が、スタジオの全作品に一貫している。
最初の作品「A Way Out」(2018年)も2人限定のCo-op専用タイトルで、脱獄を描いたクライムドラマ的な内容だった。それがIt Takes Twoで完成形に近づき、次作への期待も高まっている。2024年には次回作「Split Fiction」が発表され(2025年3月リリース)、またしても2人限定Co-opという路線を貫いている。
Josef Faresはゲーム業界での発言も大胆で、The Game Awards 2017での「Fuck The Oscars!」発言が有名だ。権威に囚われず、とにかく「面白いものを作る」という姿勢がスタジオ文化として根付いていて、それがゲームデザインの大胆な選択につながっている。
「2人専用」という制約を課すことで、普通のゲームでは取れない設計の自由度を得ているというのも、Hazelightのアプローチの特徴だ。1人プレイを考慮しなくていいからこそ、2人の連携が必須のメカニクスを遠慮なく詰め込める。
「Split Fiction」との比較
2025年3月にリリースされた後継作「Split Fiction」も2人専用Co-opで、It Takes Twoの正統進化という評価を得ている。SFとファンタジーが混在する世界観で、メカニクスの多様性はIt Takes Two以上ともいわれている。
It Takes TwoとSplit Fictionを比較すると、テーマとしてはIt Takes Twoの「夫婦の再生」の方が普遍的で感情移入しやすい。Split Fictionはより「ゲーマー向け」の内容になっているため、ゲームを普段やらない人を引き込む力はIt Takes Twoの方が上という意見が多い。
「まず1本やってみたい」という人には、It Takes Twoからスタートすることをすすめる。そこで開発スタジオのスタイルが気に入れば、Split Fictionも楽しめるはずだ。
「A Way Out」から続くHazelightの進化
Hazelightの前作「A Way Out」(2018年)はIt Takes Twoよりやや難しめで、ストーリーも大人向けの内容だった。刑務所脱走を題材にしたクライムドラマ的な展開で、It Takes Twoの温かい雰囲気とはかなり違う。それでも「2人でしかプレイできない」という設計方針は共通で、プレイスタイルや協力の重要性も変わらない。
A Way OutはIt Takes Twoより短く、プレイ時間は6〜8時間程度。「もっと短くさくっと遊べるCo-opゲームが欲しい」という場合や、「It Takes Twoは長すぎた」という場合はA Way Outが良い選択肢になる。
Hazelightが「2人専用」にこだわる理由について、Josef Faresは「ゲームの自由度と体験の密度は反比例することがある。2人限定にすることで、1人でプレイすることを考慮しなくていい分、その2人のための体験を最大化できる」と語っている。この哲学がIt Takes Twoの設計の根幹にある。
技術的な情報と実際に遊ぶ前に知っておきたいこと
PCでプレイする場合の技術的な情報と、実際に遊び始める前に知っておくと役立つ情報をまとめておく。
フレンドパスの仕組みと注意点
It Takes Twoの「フレンドパス」は、1人がゲームを所持していれば、もう1人はゲームを購入しなくてもフルプレイできる仕組みだ。ただし、フレンドパスを使う側はEA Appのアカウントが必要になる。EA Appは無料で作れるが、「Steamだけでいい」という人はアカウント作成が一手間になる。
注意点として、フレンドパスで遊んでいる側はゲームの進捗を自分のセーブデータとして持てない。ゲームを所持している側がホスト(招待する側)になり、進捗はホスト側に保存される。「自分でもゲームを買いたい」と思ったら購入すれば以降は自分のデータで進められるが、フレンドパス期間中の進捗を引き継げるかどうかは確認が必要だ。
また、オンラインでの2人プレイには当然インターネット接続が必要だが、ローカルCo-op(同じPCで2人プレイ)では1台のPCと2つのコントローラーだけで遊べる。「遠距離の相手とやりたい」ならオンライン接続、「同じ部屋にいる相手とやりたい」ならローカルという選択肢がある。
PC環境とパフォーマンス
It Takes TwoのPCでの動作は比較的軽量で、推奨スペックを満たしていれば快適に動く。ただし、最高設定で動かすにはそれなりのGPUが必要で、RTX 2060以上あると安心だ。フレームレートを優先したい場合は解像度やシャドウ設定を落とすと大きく改善する。
Steamでもフレンドパスが使えるので、1人がSteam版を持っていれば、もう1人はEA Appのアカウントを作れば無料で遊べる。ただし、フレンドパスはEA Appを通じた招待が必要で、Steam同士の場合は招待した側がゲームを持っていれば十分だ。
オンラインCo-opのラグについては、国内のフレンド同士であれば問題ないレベルで、プレイに支障が出るほどのラグを経験したというレビューは国内ではほとんど見られない。ローカルCo-op(分割画面)にも対応していて、1台のPCでコントローラー2本あれば2人同時プレイができる。
コントローラーとキーボード操作
It Takes TwoはコントローラーでのプレイがPCでも推奨されている。キーボード+マウスでもプレイ可能だが、アクション部分での操作感がコントローラーの方が格段にいい。Xbox/PlayStation両方のコントローラーに対応していて、ボタン表示も自動で切り替わる。
「ゲームを普段やらない相手と一緒に遊ぶ場合」は特にコントローラーを用意することをすすめる。キーボード操作の学習コストが相手の負担になりやすく、コントローラーの方が直感的に操作できる場面が多い。
オンラインプレイ環境の整え方
遠距離の相手とオンラインでプレイする場合、ボイスチャットの環境を事前に整えておくことをすすめる。ゲーム内にボイスチャット機能はないため、Discord等の別ツールを使う必要がある。Discordは無料で使えるので、アカウントを持っていない場合は事前に準備しておくといい。
ボイスチャットなしでもゲーム内のテキストチャット機能でやりとりはできるが、即時のコミュニケーションが必要な場面(特にアクションが絡む協力場面)では声でのやりとりが圧倒的にやりやすい。「テキストだけでやってみたが、ボイスに切り替えたら格段に楽しくなった」という体験談が多い。
同じ部屋でローカルCo-opをする場合は声が聞こえるので問題ないが、画面の分割表示になるため各プレイヤーの視野が狭くなる。オンラインプレイでは各自がフルスクリーンで見られるため視認性が高い。それぞれの環境に応じた選択をしてほしい。
It Takes Twoと似たCo-opゲームたち
It Takes Twoを気に入ったなら、似た体験ができるゲームをいくつか紹介したい。本文中で自然な流れで比較しながら触れていく。
協力系アクションゲームへの広がり
It Takes Twoの「2人で謎を解く」という体験が気に入ったなら、ロールプレイングゲームの協力モードも試す価値がある。仲間と組んで難関を乗り越える体験は、It Takes Twoで感じた達成感と共通するものがある。カードゲーム的な戦略要素が好きなら、Co-op対応のデッキ構築ゲームも良い選択肢だ。

サバイバル系のCo-opゲームも人気がある。お互いの役割を分担しながら過酷な環境を生き延びるゲームは、It Takes Twoの「2人の連携が必須」という要素と共通している。ICAROSのような本格的なサバイバルゲームは、より長期にわたる2人の共同作業体験を提供してくれる。

よりカジュアルに遊べるゲームを探しているなら、自動的にユニットが戦うシステムを持ちながら友達と気軽に遊べるゲームもある。

ホラー系・緊張感のあるCo-op
「協力しながら恐怖体験をする」という方向性が好きなら、サバイバルホラー系のCo-opゲームも選択肢に入る。Sons of the Forestのような「2人で自然の中を生き延びる」ゲームは、It Takes Twoとは真逆の雰囲気だが、2人の連携が鍵という点は同じだ。

ローグライク系のダンジョン探索も、2人でプレイすると独特の盛り上がりがある。Baronyはリアルタイムアクションでダンジョンを探索するゲームで、「何が出てくるかわからない」スリルを友達と分かち合える。

ストーリー重視のゲームが好きなら、Doki Doki Literature Clubのような独特の物語体験をするゲームも一つの選択肢だ。It Takes Twoとはジャンルが全然違うが、「ゲームに感情を動かされた」という体験を求めているなら試す価値がある。

動物や自然をテーマにしたゲーム
It Takes Twoの「可愛らしいビジュアルで温かい体験ができる」という部分に惹かれたなら、動物をテーマにしたゲームも気に入るかもしれない。

It Takes Twoはどんな人の「人生に残るゲーム」になるか
700万本という販売数は数字として大きいが、このゲームが本当に評価されているのは「プレイ後に何かが変わった」という体験を持つプレイヤーが多い点だと思う。
「パートナーと一緒にゲームをした」という記憶が残る。「その夜、笑い転げた」という記憶が残る。あるいは「あのパズルで喧嘩になった」という記憶が残る。どのパターンでも、「誰かと一緒に経験した体験」として記憶されやすい。
1人でプレイするゲームは「自分の体験」として記憶されるが、Co-opゲームは「誰かとの体験」として記憶される。It Takes Twoはこの「誰かとの体験」を最大化するために設計されているゲームだ。
15〜20時間の体験として、プレイヤーの期待値を超えるコンテンツ量が詰まっている。1本の映画が2時間の体験を提供するとすれば、It Takes Twoは8〜10本分の映画に相当する時間、高密度のコンテンツを提供してくれる。しかもそれを2人で一緒に体験できる。
「ゲームを2人でやりたいが、何を選べばいいかわからない」というペアに対して、It Takes Twoは現時点での最良の答えの一つだと思う。万人向けではなく、「難易度が高くて詰まる」「1周で終わり」という弱点はある。それでも、「一緒に体験する価値」という観点では、Co-opゲームの中で頭一つ抜けている。
ゲームを普段やらない人でも「このゲームなら最後までやれた」という声が多いのは、It Takes Twoが純粋に「2人を楽しませる」ことに集中した設計になっているからだ。難しすぎず、簡単すぎず、飽きさせず、感情を動かす。そのバランスが奇跡的に整っているゲームが、It Takes Twoだ。
プレイ後に2人で語ることの価値
It Takes Twoをクリアした後、多くのプレイヤーが「クリア後も2人で話が続いた」という経験をしている。「あのシーンのあれはどういう意味だったんだろう」「あのボス、最初は絶対無理だと思ったよね」「チャプター4のパズル、ずっと理解できてなかった」という会話が、プレイ後にも続く。
これは良いゲームの特徴だと思う。プレイが終わってもその世界が頭の中に残って、相手と話したいことがある。映画を一緒に観た後に感想を話すのと同じで、It Takes Twoという体験の余韻を2人で分かち合える。
「次は何をやろう」という会話になったとき、「また2人でゲームをしたい」と思えるかどうかが重要だ。It Takes Twoはその可能性が高く、「これ面白かったから次も何か一緒にやろう」という流れになることが多い。「ゲームを一緒にやる」という習慣を2人に作ってくれるゲームとして、個人的には高く評価している。
クリアしてから1週間、ゲームをやってない日も「あのシーン良かったよね」って話になる。こんなゲームは初めてだった。
引用元:Steamレビュー
「いつか2人でやろう」と思っているなら、早めにやった方がいい。体験の鮮度は時間と共に落ちるし、一緒にやれる相手がいる状況は永遠ではない。今がそのタイミングかもしれない。
子供と一緒にプレイする場合の注意点
親子でプレイする場合について触れておく。It Takes Twoは対象年齢の表示として「7歳以上」とされているが、実際のゲームプレイ難度を考えると小学校高学年(10〜11歳)以上が現実的だと思う。
ストーリー的には「夫婦の離婚問題」というテーマが含まれているため、子供がどう受け取るかは家庭によって違う。ゾウのぬいぐるみのシーンは子供が悲しむ可能性があり、初めてプレイする前に親が内容を確認しておくことをすすめる。
一方で、ゲームの世界観やビジュアルは子供に刺さりやすい要素が多く、「かわいい」「次どこ行くの?」と積極的にゲームに関わってくれる可能性が高い。親子での体験という観点では非常に良いゲームで、「一緒にゲームの謎を解く」という協力体験を通じて親子の関係が深まったという報告も多い。
It Takes Twoのここが惜しかった点
高評価のゲームについても、正直に「ここが惜しかった」という部分を書いておく。ゲームを買う前の判断材料として参考にしてほしい。
難易度設定がない問題
It Takes Twoには難易度設定がなく、全てのプレイヤーが同じ難易度でプレイする。これが最も多く指摘される弱点だ。
「ゲームをあまりやらない人」が難しい場面で長時間詰まると、フラストレーションがたまるだけでなく、相手への申し訳なさから「もうやりたくない」という気持ちになることがある。「できる側」がいくらフォローしようとしても、本人のモチベーションが下がってしまうと続けるのが難しい。
もし難易度「かんたん」モードがあって、難しい場面での死亡ペナルティが軽減されたり、タイミングの要求が少し緩くなったりすれば、より幅広い人が最後まで楽しめたはずだ。「このゲームの体験自体は最高なので、もう少しカジュアルな人にも対応してほしかった」という声は開発チームへの信頼をもとにした意見として真剣に受け止めてほしい。
一部の操作が片方に集中しすぎる
チャプターによっては、難しい操作が片方のキャラクターに集中する場面がある。「こっちは難しいことないのに、あっちだけ大変そう」という状況が続くと、バランスが悪いと感じることがある。
設計としては2人に均等に役割を与えようとしていることは伝わるが、プレイヤーのスキル差によっては「片方だけ大変で片方は楽」という体験になることがある。これはゲームの設計としてどうこうというより、プレイヤーの組み合わせによる部分が大きいが、予め頭に入れておくといい。
ストーリーの都合良さ
ストーリー面での指摘として「都合が良すぎる」という意見がある。離婚寸前の夫婦が旅を通じて仲直りするという展開は感情的に理解できるが、「現実の夫婦問題はそんなに簡単に解決しない」というリアリストからは共感しにくいという声がある。
これはゲームを「ファンタジーとして楽しめるか」という問題で、深刻に受け止めすぎると「リアリティがない」と感じる。ゲームとしての体験に集中して、ストーリーは「そういうお話」として受け取れる人には全く問題ない。逆に「ゲームのストーリーにリアルな共感を求める」タイプには少し物足りないかもしれない。
英語音声のみという点
ゲームの音声が英語のみで、日本語字幕での対応となる。字幕の質は良好で意味は十分伝わるが、会話が早い場面では字幕を追いながらゲームの操作もするのが大変になることがある。特に動きながらカットシーンが進む場面では、字幕を読む余裕がない瞬間がある。
「英語が聴けない人でも楽しめるか」という問いに対しては「問題なく楽しめる」というのが正直な答えだ。ゲームプレイの面白さは言語に依存していないし、ストーリーの大筋は字幕で十分把握できる。ただし、日本語音声があればより没入感が高まったとは思う。
まとめ
It Takes Twoについて、ゲームの詳細から実際の体験まで書いてきた。最後に簡単にまとめる。
このゲームが優れている理由は、「2人でしかできないゲームとして徹底的に作り込まれている」点に尽きる。チャプターごとに新しいメカニクスが登場し、2人の連携が必須の設計で、常に「次はどうなる?」という期待感が続く。プレイ時間は平均15〜20時間だが、その密度は通常のゲームの数倍ある。
「ゲームを普段やらない人と一緒に楽しめる」という評価は正確で、ゲームスキルの差があるペアでも最後まで一緒にプレイできる可能性が高い。フレンドパスで1本分の価格で2人プレイできる点も大きな強みだ。
注意点としては、難易度設定がないため特定の場面で詰まる可能性があること、1周で基本的に終わりという再プレイ性の低さがある。「何度も繰り返し楽しめるゲーム」ではなく、「1周を2人でじっくり楽しむゲーム」として位置づけるべきだ。
The Game Award 2021でGOTYを受賞した評価は、飾りではない。「2人でやるゲーム」のジャンルにおいて、2021年時点での最高水準のゲームだったし、2025年現在でも同ジャンルのトップ候補に挙げられる作品だ。
何度も繰り返したいゲームではなく、「一度、誰かと一緒に体験する」ゲームとして最高の選択肢だ。「一緒にゲームをしたい相手がいる」という状況があるなら、It Takes Twoはその時間を最高のものにしてくれる可能性が高い。
「誰かと一緒にゲームをしたい」という気持ちがあるなら、It Takes Twoは確実に候補に入れる価値がある。そして一緒に遊ぶ相手がいるなら、今週末に起動してみてほしい。
It Takes Two
| 価格 | ¥4,300 |
|---|---|
| 開発 | Hazelight Studios |
| 販売 | Electronic Arts |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | マルチ |
