「Totally Accurate Battle Simulator」グダグダ物理演算で戦場を笑いに変えるバトルシム

Totally Accurate Battle Simulator — グダグダ物理演算で戦場を笑いに変えるバトルシム

はじめてTABSを起動したとき、農民が剣士に殴られて5メートルくらい吹っ飛んでいくのを見てゲラゲラ笑った。物理演算というのはこうも自由なのかと。槍兵が槍を構えたまま斜めに傾いて歩き、騎士が剣を振るたびに自分でよろけて転びそうになる。そんな「全然正確じゃない」バトルを眺めていたら、気がつくと30分が経過していた。

Totally Accurate Battle Simulator、通称TABSは、スウェーデンのインディーデベロッパーLandfall Gamesが開発したバトルシミュレーターだ。プレイヤーはユニットを配置するだけで、あとはAIが勝手に戦ってくれる。操作するゲームではなく、笑いながら観戦するゲームに近い。2016年のアルファ版配信から始まり、2021年4月に正式リリース。Steamではレビュー13万件以上のうち97%が好評という、インディーゲームとしては異例の支持を得ている。

「どうせ見ているだけで飽きるんじゃないか」と思う人もいるだろう。実際に遊ぶまでは自分もそう思っていた。ところがこのゲーム、ユニットの組み合わせやコスト配分を変えるたびに結果が変わる。「農民100人 vs 騎士10人はどちらが勝つのか」とか「バイキングの船上に弓兵を固めたら無双できるのか」とか、バカバカしいシチュエーションを本気で試せる実験場がここにある。Steamのレビューには「配信映えするゲームNo.1」という声が何度も出てくるが、確かに見ている側も笑えるゲームだ。

目次

「Totally Accurate Battle Simulator」公式トレーラー

この記事はこんな人に読んでほしい

Totally Accurate Battle Simulator その他アクション スクリーンショット1
  • ストラテジー系のゲームに興味があるが、難しい操作が苦手な人
  • 友人と一緒に笑えるゲームを探している人
  • YouTube実況でTABSを見て面白そうだと思った人
  • 物理演算系のゲームが好きで、新しいものを試したい人
  • サンドボックス系・自由度の高いゲームが好きな人
  • 短い時間でも気軽に遊べるゲームを探している人

TABSとはどんなゲームか

一言でいうなら「ぐにゃぐにゃ物理演算の戦場実験場」だ。農民、バイキング、騎士、忍者、魔法使い、そして宇宙人まで、100種類以上のユニットを赤陣と青陣に配置し、バトルボタンを押すだけ。あとはAIが勝手に動いて、物理法則の赴くままに戦ってくれる。プレイヤーが戦闘中にできることは観戦だけ(一時停止、スローモーション、カメラ操作は可能)。

ポイントはラグドール物理演算の徹底ぶりだ。すべてのユニットはジョイントでつながった人形(ウォブラー)として実装されており、体重・慣性・衝撃が全部リアルタイムで計算される。騎士が剣を振ると、その反動で自分の体が引っ張られてよろける。農民が象に踏まれると、べちゃっとした感じで吹き飛ぶ。弓矢が当たったユニットがなぜか逆方向に転んで味方に突撃していく、という予測不能な展開が毎回起こる。

ゲームの名前は「完全に正確なバトルシミュレーター」だが、これは完全にジョークタイトルだ。実際の戦闘とはかけ離れたグダグダっぷりが最大の魅力であり、公式もそのことをわかって名付けている。「Totally Accurate(完全に正確)」というのは、この物理演算の精度を指しているのか、それとも自虐なのか、どちらとも取れる絶妙なネーミングだ。

開発者Landfall Gamesとゲームの誕生経緯

Landfall Gamesはスウェーデンのストックホルムにあるインディーゲームスタジオで、2015年に設立された。TABSはなんと、1週間限定のゲームジャムでスウェーデンの城の中で作られたゲームが原点だ。2016年7月にメーリングリストの登録者向けにダウンロード版が公開され、同年11月にアルファ版が公開された。そこから5年かけてコンテンツを積み上げ、2021年4月2日に正式リリースとなった。

正式リリース時は同日公開の別ゲーム「Rounds」とセットで発表されるという形をとっており、インディーゲームスタジオとしての独特のプロモーション戦略が注目された。Landfall GamesはTABS以外にも複数のタイトルをリリースしているが、TABSは今も同スタジオ最大のヒット作だ。

2021年の正式リリース後は、Xbox Series X/S(2021年10月)、Nintendo Switch(2022年11月)、PlayStation 4(2023年9月)、PlayStation 5(2024年12月)と順次マルチプラットフォーム展開を進め、2025年8月にはAndroid/iOSにも対応。PC専用タイトルとして始まったゲームが、全主要プラットフォームに広がるまでになった。

ゲームモードの全貌

Totally Accurate Battle Simulator その他アクション スクリーンショット2

TABSには主に4つのモードがある。キャンペーン、サンドボックス、マルチプレイヤー、カスタムコンテンツだ。どれも「ユニットを配置して戦いを眺める」という基本は変わらないが、目的と自由度がまったく異なる。

キャンペーンモード:コスト制の戦略パズル

キャンペーンはTABSのメインコンテンツだ。各ステージに上限コストが設定されており、そのコスト内でユニットを選んで配置し、敵陣を倒せばクリアとなる。ステージクリアでそのファクションのユニットが開放されていく、という構造だ。

ファクション(勢力)は農民(Farmer)、部族(Tribal)、中世(Medieval)、古代(Ancient)、バイキング(Viking)、王朝(Dynasty)、ルネッサンス(Renaissance)、海賊(Pirate)、スプーキー(Spooky)、ワイルドウェスト(Wild West)の10種類がベースにある。さらにアンロック系のファクションとして、レガシー、ファンタジーグッド、ファンタジーイービル、シークレットが存在し、合計14ファクションが公式に収録されている。

農民ファクションのキャンペーンからスタートすると、最初に使えるのはコスト10の農民(Farmer)と、コスト20の農民(Pitchfork Farmer)くらいだ。相手の騎士に農民を何人ぶつければ勝てるのか、という力技から始まり、ステージが進むにつれてより強力なユニットが使えるようになっていく。

「コスト内に収める」というルールが絶妙な戦略性を生む。コスト300の強力なユニット1体 vs コスト10の農民30体、どちらが強いかはステージの地形やユニットの特性によって変わる。同じコスト総量でも、配置する位置次第で勝敗が逆転することも多い。右翼を厚くするか、中央突破を狙うか、遠距離ユニットを後列に並べるか——そういった配置の工夫が、ストラテジーゲームとしての側面を担っている。

攻略法を自分で試行錯誤する時間が楽しいのだが、それが苦手な人向けにキャンペーンの難易度は比較的緩めに設定されている。すべてのキャンペーンを通じてステージ数は相当あり、各ファクションの世界観を楽しみながら進める設計になっている。

キャンペーンを全部クリアしようとして気がついたら20時間経ってた。「あとこのステージだけ」と思い続けてしまう。

引用元:Steamレビュー

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サンドボックスモード:制限なしの実験場

コスト制限なしで好きなだけユニットを置ける自由モードだ。「農民を1000体配置したらどうなるか」「バイキングの投石機10台を集めて砲撃戦にしたら」「ゼウスを倒すには何体の農民が必要か」——そういったバカバカしい実験を真剣にできる場所がここだ。

TABSの醍醐味の多くはこのサンドボックスにある。キャンペーンで使えるユニットを全部アンロックしたあと、さらに長く遊べる理由がサンドボックスだ。YouTubeでTABSの動画を見ると大体サンドボックスで変な組み合わせを試している動画が人気を集めているが、それはそういうゲームだということの証拠でもある。

サンドボックスには複数のマップが用意されており、平地・斜面・橋・城壁など地形の異なる場所で戦わせられる。地形によって有利なユニットが変わるため、「この地形なら弓兵が無双できるか」「城壁に守られた騎士を農民で落とせるか」という実験が地形ごとに楽しめる。

戦闘中は自由にカメラを動かしながら観戦できる。特定のユニットをフォローして、そのユニット視点から戦闘を見ることもできる。一時停止やスローモーションも使えるので、「今なにが起きているのか」を細かく確認することも可能だ。物理演算の瞬間を0.1倍速で見ると、通常の観戦では気づけなかった面白い動きが見えてくる。

サンドボックスで「農民1000人 vs 騎士10人」を試したら農民が勝った。でも次は100人でやったら騎士が全滅させた。数の暴力にも限界があるらしい。

引用元:Steamレビュー

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マルチプレイヤーモード:友達とグダグダを共有する

オンラインで複数人が参加できるモード。それぞれがユニットを配置し、全員のユニットが入り乱れる混戦を眺める。サンドボックスの自由度はそのままに、友達と「どんな編成にするか」を相談しながら遊べる。

コロナ禍の2020〜2021年にかけて、友達と画面共有しながらオンラインでTABSを遊ぶスタイルが流行した。それほどゲームを普段やらない人でも、「ユニットを置いて戦いを眺める」だけのシンプルさのおかげで一緒に楽しめたのだと思う。「ゲームの上手い下手があまり関係ない」という点が、友達と遊ぶときのハードルを下げている。

「自分のターンでユニットを配置し、相手のユニットと戦わせる」という仕組み上、過度に殺伐としにくい。勝っても負けても笑える場面が多いので、対戦しても雰囲気が壊れにくいのがいい。

100種類以上のユニットと各ファクションの個性

TABSのユニット設計がよくできているのは、各ファクションごとに「戦い方のコンセプト」があることだ。農民は安くて弱い分大量投入が基本戦術、バイキングは重くてタフなゴリ押し系、古代ギリシャ系は密集陣形で強さが出る——という違いがあり、単純に強さだけで比較できない作りになっている。

農民ファクション:最弱にして最強の物量戦術

ゲーム最安値のユニット群が揃うファクションで、コスト10の農民(Farmer)が基本だ。弱い、遅い、倒される。でも安い。コスト100の場所に農民10体を置ける。コスト500のユニット1体 vs 農民50体——そのバランスが崩れるポイントを探すのが農民ファクションの醍醐味だ。

農民ファクションには投石機(Ballista Farmer)や弓農民、フォークを持った農民など、武器違いのバリエーションもある。コストが低い分、遠距離ユニットを大量に並べて一斉射撃するという戦術もとれる。「弱い農民を使って勝つ」という挑戦が好きな人には、このファクションが最も楽しい。

バイキングファクション:タフなゴリ押し軍団

バイキングの特徴はHPの高さと衝突ダメージの強さだ。体が大きく重いため、他のユニットにぶつかるだけで相当なダメージを与えられる。バーサーカーは特定条件でダメージが跳ね上がり、単体での破壊力が非常に高い。

バイキングに投石機(Trebuchet)を組み合わせた後方支援+前線突撃の組み合わせは、初期から使いやすい強力な編成だ。重量系ユニットが前線を固める間に、遠距離ユニットが後方から削る——この基本パターンを覚えるとキャンペーンの序盤がぐっと楽になる。

王朝ファクション:東洋の多様な戦士たち

Dynasty(王朝)は東アジアをモチーフにしたファクションだ。忍者(Sensei)、将軍(Shogun)、女武将(Red Jade)、大男の武士、テコンドーの使い手など、多様なユニットが揃う。このファクションのユニットは個体差が大きく、近距離特化の忍者から遠距離攻撃に優れた弓術ユニットまでバリエーションが豊富だ。

コストパフォーマンスがある程度安定しているため、キャンペーン中盤で解放されると使い勝手がいい。特に将軍系ユニットは移動速度と攻撃力のバランスがよく、コスト効率が高い。

スプーキーファクション:ホラー系の奇妙な軍団

スプーキーはゾンビ、ヴァンパイア、クモの魔法使い、フランケンシュタイン的なユニットが揃うホラーテーマのファクションだ。見た目のインパクトが強く、戦い方も個性的なユニットが多い。ゾンビは倒されると一定確率で復活する特性があり、数的有利なのに油断すると増えてくる恐怖がある。

スプーキーファクションはキャンペーンの後半で登場するだけあって、ユニットのコストは全体的に高め。しかし特殊能力を持つユニットが多いため、うまく使えば少数精鋭でも勝ちを狙える。

ファンタジーファクション:神話の存在たちが参戦

ファンタジーグッドとファンタジーイービルの2系統に分かれたファクションで、天使、ドラゴン、ユニコーン、悪魔など神話や伝説の生き物が登場する。コストは全体的に非常に高いが、それに見合った圧倒的な個体性能を持つ。ドラゴンは広範囲攻撃で複数のユニットを同時に吹き飛ばし、通常ユニットとはケタ違いの存在感がある。

ファンタジーファクションのユニットをサンドボックスで解放して、農民の大群に突っ込ませるだけで十分楽しめる。「神vs人間」という構図はTABSというゲームの一番バカバカしい楽しみ方の一つだ。

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シークレットユニットの探し方と隠し要素

Totally Accurate Battle Simulator その他アクション スクリーンショット3

TABSにはキャンペーンのステージ内に隠されたオブジェクト(シークレット)があり、それを発見することで特殊なユニットをアンロックできる仕組みがある。これが探索要素として機能していて、キャンペーンをただクリアするだけでなく、マップをくまなく見て回る楽しみを追加している。

シークレットユニットの特徴は、コストが高い代わりに通常ユニットにはない特殊能力を持つことだ。チアリーダーはコスト200で近くの味方ユニットを強化するサポート役、アルテミスはコストが高い分、驚異的な射程と命中精度を持つ遠距離アタッカーになる。

「敵側に見慣れないユニットが出てきたら、このマップにシークレットが隠されている」というサインだ。戦闘を始める前に、ステージ全体を歩き回って探すのが基本の攻略法。崖の下や建物の裏、木の陰などにシークレットオブジェクトが置かれていることが多い。全シークレットを発見すると実績「Secret Agent」が解除される。

シークレットユニットの場所はYouTubeに解説動画が多数上がっているが、自力で探す達成感の方が個人的には好きだ。「なんか変なものが見えた」→「近づいてみたらシークレットだった」という瞬間が気持ちいい。

さらに「レガシーユニット」という隠し要素もある。これはゲームバランスの関係でゲームから取り除かれたユニットや、開発中のデバッグ用ユニットなどが含まれており、通常のゲームプレイでは使えない珍しいユニットがここに収録されている。コレクター的な楽しみ方ができるコンテンツだ。

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ユニットクリエーターで自分だけの兵士を作る

TABSのコンテンツとして、既存ユニットを使った戦いだけでなく、ゼロから自分のオリジナルユニットを作れる「ユニットクリエーター」がある。このモードの自由度が異常に高く、一部のプレイヤーはこれだけで何十時間も費やしている。

ユニットクリエーターでカスタマイズできる要素は、ベースとなる体型(ウォブラーの基本形)、着せる衣装(最大15個まで装備可能)、武器(約210種類から選択)、ステータス(HP・サイズ・重さ・移動速度・コスト)、そして特殊能力(基本ゲームの能力から選ぶか、クリエーター限定の能力を付与)と非常に幅広い。

武器の種類が210以上あるというのは相当なもので、剣・槍・斧などの近接武器から、弓・投石器などの遠距離武器、さらにはゲームオリジナルの武器まで揃っている。「武器だけ巨大にした農民」「移動速度を極限まで上げた騎士」「HP0に近い超低コストスナイパー」など、ゲームバランスを無視した実験ユニットを作る楽しみ方もある。

作ったユニットはサンドボックスやカスタムキャンペーンで使え、ワークショップを通じて他のプレイヤーと共有することもできる。既存の人気ゲームキャラクターを再現したユニットや、ジョーク系のネタユニットなどが多数投稿されていて、ワークショップを眺めるだけでも楽しい。

ユニットクリエーターでひたすら色んなユニット作って戦わせてたらもうそれだけで10時間経ってた。本編どころじゃない。

引用元:Steamレビュー

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カスタムコンテンツとワークショップの広がり

Totally Accurate Battle Simulator その他アクション スクリーンショット4

TABSには公式のコンテンツだけでなく、コミュニティ製のカスタムコンテンツが豊富に存在する。ゲーム内のワークショップ機能(mod.ioで運営)を通じて、他のプレイヤーが作ったユニット・マップ・キャンペーンを丸ごとダウンロードして遊べる。

カスタムキャンペーンの作り方はシンプルで、まずサンドボックスで戦闘を作成して保存し、その戦闘を複数組み合わせてキャンペーンとしてまとめる。プレイヤーの予算設定やユニット使用制限、クリア条件なども設定できるので、本格的な難易度調整が可能だ。ゲーム内エディターだけで完結しているため、プログラミングや外部ツールの知識が不要で、誰でも作れる。

ワークショップには様々なカテゴリのコンテンツが存在する。歴史的な実際の戦いを再現したキャンペーン(ウォーテルローの戦い、トロイ戦争など)から、アニメや映画のシーンを再現したものまで、ユーザーの発想力がコンテンツ量に直結している。

MODに関してはSteam Workshopではなくmod.ioを使っている点が少し独特だが、ゲーム内のワークショップメニューから直接アクセスできるため、導入の手間は少ない。MODはゲームシステム自体を変えるものから、見た目だけ変えるコスメティックMODまで多様だ。

「公式コンテンツを全部やり終えた」と思ってもワークショップのコンテンツに手を出すと、またしばらく遊べてしまう。コミュニティが活発なゲームの強みがここにある。

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TABSが97%好評を維持し続けている理由

Steamで97%の好評という数字は、10万件以上のレビューがある作品の中ではかなり珍しい水準だ。通常、レビュー数が増えるにつれてネガティブな声も一定数入ってくる。TABSがこれほど高い評価を維持している理由を考えてみると、いくつかの要因が見えてくる。

操作難易度が限りなくゼロに近い

「ユニットをドラッグ&ドロップで置いて、バトルボタンを押す」。これがTABSの操作のすべてだ。複雑なショートカットキーを覚える必要もない。ゲームの下手な人も上手い人も、ユニットを置く行為自体は同じようにできる。「操作が難しくてついていけない」という挫折がほぼ発生しない。

RTSが苦手な人がTABSを勧められることが多い理由がここにある。リアルタイム操作はないため、「APM(毎分操作数)が低くて負ける」という状況がそもそも起きない。考えて配置する時間はたっぷりある。戦闘が始まったら観戦するだけだ。

RTSは難しくて苦手だったけどTABSはずっと楽しく遊べた。操作しないゲームなのにちゃんと戦略を考えてる自分がいた。

引用元:Steamレビュー

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毎回違う結果が生まれるリプレイ性

TABSの物理演算は決定論的ではない。同じユニット配置、同じ地形でも、微妙な初期条件の差から戦闘の経過が変わることがある。「同じ編成で試したのに前回は勝ったのに今回は負けた」というのは珍しくない。この「再現性のなさ」がランダムな驚きを毎回生み出し、飽きにくさにつながっている。

「完璧な配置を見つけた」と思っても、次に試したら全然違う展開になることがある。バグなのか仕様なのかわからないが、その不安定さがむしろ面白い。計算し尽くしたつもりでも、物理がすべてをひっくり返してくる場面がある。

見ている人も笑える「観覧ゲーム」としての設計

TABSが配信コンテンツとして非常に強い理由は、「プレイしている人だけが楽しいのではなく、見ている人も笑える」設計になっているからだ。農民が吹き飛ぶ瞬間、騎士がなぜか自分でよろけて転ぶ場面、投石機の石が味方に直撃する事故——そういった物理演算の産物が、視聴者にとっても予測不能な笑いになる。

YouTubeでTABSの動画を検索すると、日本語でも英語でも再生数が高い動画がたくさん出てくる。「農民1000体vs騎士」「ゼウスに農民は何人必要か」という実験系動画のフォーマットが定着しており、それを見て購入する人がSteamにも流れ込んでくる。バイラルコンテンツとの相性が非常にいいゲームだ。

細かく遊べる短いセッション設計

1回の戦闘は早ければ30秒、長くても数分で終わる。「今日は30分だけ遊ぼう」という気持ちで起動できる。キャンペーンのステージも1つクリアするのに長くても10分程度で、区切りがよい。忙しい社会人でも気軽に触れられる時間設計は、長期間にわたってプレイヤーを引き留める力がある。

この「短く遊べる」という特性が、「疲れたときの気分転換」として機能する。ゲームをがっつりやり込む時間はないが、TABSなら30分でも十分に遊んだ感を得られる。

TABSのネガティブな面も正直に書く

Totally Accurate Battle Simulator その他アクション スクリーンショット5

97%好評のゲームでも、合わない人には合わないし、不満点がないわけでもない。実際にSteamのレビューで散見されるネガティブな意見をいくつか挙げておく。

「見ているだけ」なのですぐ飽きる人もいる

TABSは根本的に「見るゲーム」だ。アクションゲームのような操作の楽しさがない。ユニット配置が決まったら、あとは結果を見るだけ。「自分が直接操作して戦いたい」「リアルタイムに判断を下したい」というプレイヤーには、根本的なゲームデザインが合わない可能性がある。

実際にSteamレビューの不評に近い部分を見ると「単調になりやすい」「キャンペーンをクリアしたら終わりだった」という声がある。コアゲーマーが求める長期的なやり込み要素(マルチプレイのランクシステムなど)は、他のゲームに比べると薄い。

物理演算のランダム性が戦略的思考を阻害する

「きちんと考えて攻略したい」というプレイヤーには、物理演算の不確定要素がストレスになる場合がある。「完璧な配置で臨んだのに物理のせいで負けた」という体験を繰り返すと、「考えるだけ無駄では」という気持ちになることもある。

これはゲームのコンセプト自体に起因する問題なので、改善の余地はあまりない。「完璧に計算されたシミュレーション」を求める人には向いていない、というのが正直なところだ。

日本語対応が部分的

TABSの日本語対応はインターフェースと字幕のみで、音声は英語だ。ゲーム内のUIは日本語化されているため、プレイ自体に支障はない。ただしワークショップのコンテンツやコミュニティガイドは英語が主流なため、英語に抵抗がある場合は情報収集がやや難しい面がある。

Steam上の日本語レビュー数は264件と、全体の13万件に比べると少ない。ただし日本語レビューの評価も高評価が多数を占めており、言語的な障壁がゲーム体験そのものに影響するわけではない。

キャンペーンの攻略で使えるユニットと基本戦術

「TABSを買ったがキャンペーンが詰まった」という人向けに、基本的な攻略思考を整理しておく。ネタバレにはならない範囲で、考え方のヒントを書く。

コストパフォーマンスを考える

TABSのキャンペーンで勝つ鍵は「コストあたりの戦力効率」を最大化することだ。コスト100の強ユニット1体 vs コスト10の農民10体——単純にコストが同じでも、状況次第でどちらが有利かは変わる。一般的には、一対一の場面では強ユニットが有利だが、複数のユニットに囲まれると弱い傾向がある。

特に物理演算の都合上、大勢のユニットが一体に集中すると、ぶつかり合いで身動きが取れなくなる場面がある。「囲まれると弱い高コストユニット vs 大量の低コストユニット」という構図が成立するステージが多い。

前列・後列の役割分担

配置時に「前線に体力の高いユニット、後列に遠距離ユニット」という基本パターンを意識するだけで、多くのステージが楽になる。前線がダメージを受け持ちながら敵を引き付け、後列の弓兵や投石機が安全地帯から攻撃する。この分業がうまく機能するステージ設計になっていることが多い。

ただし、敵が遠距離ユニットを多く使ってくるステージでは、後列が優先的に狙われることもある。そういうステージでは前列をより厚くするか、遠距離対決で相打ちを狙うか、という判断が求められる。

地形を活かす配置

高台に弓兵を置くと射程と命中率が上がる傾向がある。崖の端に配置したユニットは側面から攻撃されにくい。橋の上に密集した重装ユニットを並べると、幅の広い戦線が形成できない敵に対して有利になる。地形を利用した配置を意識するだけで、難しいステージが意外と楽に解決することがある。

一方で、地形の不利を突かれることもある。高台の防衛側が有利に見えても、登り道から大勢で突撃されると一気に崩れるケースもある。地形はどちらにとっても活用できる要素だ。

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TABSと似たゲームを比較してみる

Totally Accurate Battle Simulator その他アクション スクリーンショット6

TABSの「物理演算バトルシミュレーター」というジャンルは独特だが、似た方向性のゲームや、TABSが好きな人に刺さりやすいゲームがいくつかある。

Bloons TD 6との比較

タワーディフェンスというジャンルは「ユニットを配置して自動で戦わせる」という点でTABSと似たような遊び感覚を持つ。Bloons TD 6もプレイヤーが直接戦うのではなく、タワーを置いて波状攻撃を防ぐゲームだ。ただしBloons TD 6は戦略性と計算精度がTABSより高く、失敗したときのフィードバックが明確。「なぜ負けたか」がわかりやすいゲームを好む人にはBloons TD 6の方が向いているかもしれない。

TABSとBloons TD 6を交互にやってる。TABSで笑い飛ばしたあと、Bloonsで真剣に考える——このテンポが好き。

引用元:Steamレビュー

物理演算ゲーム全般との親和性

TABSが好きな人が次に試したいゲームとして、物理演算を活かしたカジュアルゲームが挙がることが多い。TABSの魅力である「予測不能な展開」「見ていて笑える」「短時間で遊べる」は、物理演算ゲームというジャンル全体の強みでもある。

逆に「もっとしっかり考えて戦略を立てたい」という気持ちが出てきたら、Civilization Vのような本格ターン制ストラテジーに移行するプレイヤーもいる。TABSで「ユニットの組み合わせを考える楽しさ」を知ってから、より深い戦略ゲームに入門するルートは意外と自然だ。

Steamセール時の価格と買い時について

TABSの定価(執筆時点の参考価格)は日本円で約2,050円前後だが、Steamではセール頻度が高く、50〜90%オフになることもある。2019年末にはEpic Gamesストアで1日限定の無料配布が行われたこともあった。

Steamのウィッシュリストに追加しておくとセール通知が届くため、定価で買う前にウィッシュリストに入れておくのがオススメだ。フレンドとマルチプレイをしたい場合は、全員がセール中に購入するタイミングを合わせると安く揃えられる。

Game Pass(Xbox Game Pass)への収録経験があり、Microsoftのサービスを使っているならチェックしてみる価値がある。ただし対応状況は変動するため、最新情報は公式サービスで確認してほしい。

「フレンドがTABSを持っていない」という場合でも、まず一人でキャンペーンを遊んでユニットを開放してからサンドボックスに移るのが定番の流れだ。ソロでも十分に長く楽しめるゲームなので、マルチプレイ専用と思わず買っても損はしない。

TABSをもっと深く楽しむためのTips

Totally Accurate Battle Simulator その他アクション スクリーンショット7

基本的な遊び方を覚えたあと、TABSをより深く楽しむためにやってみるといいことをいくつか挙げておく。

スローモーションで物理を観察する

戦闘中にスローモーションを有効にすると、通常の観戦では気づかない物理演算の動きが見える。槍が当たった瞬間に体がどう動くか、重い武器の慣性がユニット自身にどう影響するか——これを0.1倍速で見ると、ゲームの物理システムの精度の高さがわかる。見ていて面白いし、「なぜそうなったか」の分析にも使える。

極端な組み合わせを試す

サンドボックスで「ありえない」と思う組み合わせを試すのがTABSの醍醐味だ。「全部農民」「全部騎馬」「遠距離ユニットだけで敵に突撃」——セオリー無視の実験が楽しい。特に「単独ユニットで他のユニット群を全滅できるか」という実験は定番で、「ドラゴン1体 vs 農民1000体」などは実際にやってみると結果が思ったと違うことも多い。

特定のユニットをフォロー観戦する

戦闘中に任意のユニットを選択してカメラをフォローすると、そのユニットの「1人称的視点」に近い映像で戦闘を追える。これで見ると農民の目線から混戦が見えて、かなりカオスな体験ができる。特に弱いユニットで試すと、巨大なユニットに踏みにじられる様子が迫力ある映像になる。

ワークショップのカスタムキャンペーンを遊ぶ

公式キャンペーンをすべてクリアしたあと、ワークショップのカスタムキャンペーンを試すと遊びの幅が一気に広がる。ユーザー製のカスタムキャンペーンには、公式ではあり得ない設定や、特定の歴史的戦いを再現したものなど、個性的なコンテンツが揃っている。ランキング上位のキャンペーンは完成度が高く、公式コンテンツと遜色ない体験ができる。

フレンドと「VS戦」を楽しむ

マルチプレイでの定番は「お互いがユニットを選んで配置し、どちらが勝つか勝負する」というVS形式だ。同じコスト上限を設定してどちらが有利な編成を選ぶか競う、という簡易スポーツ感覚で遊べる。「農民縛りのみ」「遠距離禁止」などのルールを自分たちで作ると、さらに深い楽しみ方になる。

TABSはどんな人に向いているのか

遊んでみてわかったことだが、TABSは「ゲームに熱中した経験があまりない人」と「ゲームをやり込んできた人」の両方が楽しめる珍しい位置にあるゲームだと思う。

前者にとっては操作の壁がないため純粋に楽しめる。後者にとっては「考えて配置する」「実験する」「ワークショップで遊ぶ」という深さがある。どちらのプレイヤーにも入り口がある設計になっているのが、97%好評という数字の背景にあるのかもしれない。

逆に合わない人のパターンも明確だ。「操作のうまさで差をつけたい」「完璧な計算で戦略を実行したい」「ストーリーを楽しみたい」という軸でゲームを選んでいる人には刺さりにくい。TABSにはストーリーはないし、操作の上手さが問われる場面もほぼない。

友達と一緒に画面を見ながら笑える、短い時間で気分転換できる、変な実験をして予想外の結果を楽しめる——そういうゲームの使い方をしたい人には、これ以上ないくらい適したゲームだと思う。

「物理演算バトル」というジャンルはTABS以外にあまり同じレベルのものがない。同じ方向性を探してもなかなか見つからないということは、TABSがそのジャンルの頂点にいるということだ。2021年の正式リリースから今も97%好評が続いているのは、単なる話題性ではなくゲームとしての実力の証明だと思う。

まとめ:TABSは「笑いながら考える」ゲームだ

Totally Accurate Battle Simulatorは、複雑な操作を排除して「ユニットを置いて戦いを見る」というシンプルな行為を極限まで磨いたゲームだ。物理演算の精度がただのシミュレーターをギャグゲームに変え、それがかえって唯一無二の魅力になっている。

13万件以上のSteamレビューで97%好評という数字は、このゲームが多くのプレイヤーの期待に応えてきた証拠だ。「ストラテジーゲームの入門として」「友達との宅飲みのお供として」「ストレス解消の30分として」——TABSはシチュエーションを選ばず楽しめる。

農民が剣士に吹き飛ばされる瞬間を見て笑えたなら、あなたはもうTABSのプレイヤーだ。そこから先に何十時間もの遊びが待っている。

買って後悔するゲームじゃない。笑えるゲームが好きな人なら絶対に元が取れる。

引用元:Steamレビュー

Totally Accurate Battle Simulator

Landfall
リリース日 2021年4月1日
サービス中
価格¥2,200
開発Landfall
日本語非対応
対応OSWindows / Mac
プレイ形式シングル / マルチ
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