鬼谷八荒 Tale of Immortal|仙人になる修行の沼にどっぷり浸かれる中国風ローグライクRPG
「強くなって天に昇る」という目標があるはずなのに、なぜか農業をしていた。
鬼谷八荒(Tale of Immortal)をはじめて起動してから数時間後の話だ。拠点に畑を作れると気づいた瞬間から、霊薬の素材を育てることに夢中になってしまった。本来の目的は修仙者として武者修行し、天下の強者を倒して神仙の域に達することのはずだった。
これが、このゲームの本質だと思う。「仙人になる」という大きな目標がある一方で、その過程にある無数のやることに引っ張られて、気づいたら何時間も経っている。戦闘で新しいスキルを解放したと思ったら、今度は宗派に入って修練を積まなければいけない。宗派の修練に集中していたら、ボスが出現したという通知が来る。ボスを倒したら報酬で良い素材が手に入ったので、また畑に戻る。そのループが延々と続いていく。
鬼谷八荒は中国のゲームスタジオLightcome Gameが開発し、2021年2月にSteam Early Accessで配信が始まった中国発のローグライクRPGだ。2024年に正式リリースされ、現在のSteamレビュー評価は「非常に好評」。中国語・英語・日本語に対応しており、日本語での快適なプレイが可能になっている。
「仙侠(せんきょう)」と呼ばれる中国の仙人・武侠ジャンルをベースにしており、西洋ファンタジーとは一線を画す独特の世界観が魅力だ。主人公は凡人の修仙者として始まり、悟りを開き、境地を上げ、最終的には仙人の域へと達することを目指す。
ローグライク要素、サンドボックス的な拠点育成、スキルツリー、宗派システム、ランダムイベントなど、要素が非常に多い。最初は何をすればいいかわからなくて戸惑うが、一度慣れてくると「次はあれをやろう」という意欲が絶えず湧いてくる。プレイ時間の平均が100時間を超えるのも納得できる、底の深いゲームだ。
こんな人に読んでほしい

鬼谷八荒が刺さりそうなのは、こういうプレイヤーだ。
- 中国の仙侠・武侠の世界観が好きで、ゲームで体験してみたい人
- ローグライクRPGが好きで、育成の幅が広いゲームを探している人
- 「強くなる過程」を楽しむゲームが得意な人(最強になるまでの旅路が好きな人)
- 複数の要素(戦闘・育成・拠点・イベント)が組み合わさったゲームが好きな人
- 一度プレイし始めたら何時間でも続けられるタイプの沼ゲーが欲しい人
- Steamの独自ジャンルを開拓したい人・アジア産ゲームに興味がある人
- 周回プレイで毎回違う体験ができるゲームを求めている人
逆に、合わない人もはっきりしている。まず、チュートリアルが不親切なゲームが嫌いな人は注意が必要だ。鬼谷八荒は「ゲームに教えてもらう」スタイルではなく、自分で試行錯誤して仕組みを理解していく系のゲームだ。最初の数時間は「なにもわからない」状態になることが多い。
また、アクションゲームとしての爽快感を求めている人にも向かない。戦闘はリアルタイムだが、どちらかといえば「スキルと行動の選択」が主体であり、格闘ゲームやアクションRPGのような操作技術の比重は低め。とはいえスキルの組み合わせで強烈なコンボが生まれたときの快感は確かにある。
テキスト量が多く、中国語の固有名詞や概念が多数登場する。日本語訳は整っているが、「境界」「仙力」「魔道」「宗派」などの用語に慣れるまで少し時間がかかる。中国系のファンタジー作品に触れたことがある人ほどスムーズに入れる。
ゲームの基本的な仕組みを理解する

鬼谷八荒をプレイするうえで、まず把握しておくべき概念がいくつかある。このゲームは「修仙」という中国独自の世界観を軸に作られており、そのシステムもその世界観に沿って設計されている。
修仙とは、人間が修行を積み重ねることで、やがて天地の理を悟り、神仙の域に達するという思想だ。現実の中国文化・文学・アニメ(仙侠)で広く使われているテーマで、長い時間軸の中で段階的に成長し、「壁」を乗り越えていく過程が描かれることが多い。鬼谷八荒でも、この「境界を突破する」という概念がゲームの中核を成している。
境界(レベル)システム
主人公の強さは「境界(境地)」で表現される。一般的なRPGのレベルに相当するが、単純な数値の上昇ではなく、段階的な壁として機能している。最初は「練気期」から始まり、「筑基期」「金丹期」「元嬰期」「化神期」と段階を上げていく。
各境界の中に、さらに初期・中期・後期・大成という小段階があり、大成に達すると次の境界へ「突破」できるようになる。突破は単に経験値を貯めれば自動でできるものではなく、必要な素材を用意したり、特定の条件を満たしたりする必要がある。突破に失敗するリスクもある。この「壁を越える」という感覚が、修仙という世界観にぴったり合っている。
境界が上がると、使えるスキルの幅が広がり、より強力な敵と戦えるようになる。また高い境界の敵は低境界の修仙者を圧倒的に上回る力を持つため、無謀に上位エリアへ踏み込むことは危険だ。境界の差は力の差として明確に機能している。
修仙スタイルの選択
ゲーム開始時、いくつかの「道」を選ぶことになる。剣道、拳法、毒術、符術(お札)、雷術など、攻撃スタイルが複数あり、どれを選ぶかで戦闘の進め方がまったく変わる。剣道なら接近戦で手数多く攻撃するスタイル、雷術なら遠距離から広範囲を一気に吹き飛ばすスタイルといった具合だ。
ゲームには周回要素があり、1周目は「練習」として割り切って、2周目からメインキャラのビルドを本格的に考えるプレイヤーも多い。はじめから最適なビルドを目指すより、自分が面白いと思うスタイルで進んでいくほうが楽しめる。どの道を選んでもクリアは可能で、強さの極端な差はない。
時間と寿命のシステム
このゲームには「寿命」という概念がある。主人公には初期設定で寿命が存在し、時間経過(ゲーム内の時間)とともに残り寿命が減っていく。寿命が尽きると死亡してランが終了するため、いつまでものんびりプレイするわけにはいかない。
ただし、修仙によって寿命は延びる。境界が上がるごとに寿命の上限が増加し、特定のアイテムや修練でさらに延ばすことができる。「弱いまま長生きする」より「強くなって天寿を延ばす」ほうが良い、という設計になっている。これが「先を急ぐ理由」として機能しており、ゲームのテンポを良くしている。
寿命のプレッシャーがあるため、漫然とプレイするのではなく「今何をすべきか」を常に意識する必要がある。これが単なるサンドボックスゲームとの違いで、方向性と目標感がある育成体験を生み出している。
この寿命システムは最初「制約」に見えるが、慣れてくると「時間を大切に使う旅」という感覚に変わってくる。自分の修仙者がどれだけの年月を生き、どんな出来事を経験したかが積み重なっていくことで、ゲーム内のキャラクターへの愛着が生まれやすくなっている設計でもある。長寿を全うした修仙者の物語は、プレイヤー自身の「体験談」として心に残る。
戦闘システム:スキルの組み合わせで無双する
鬼谷八荒の戦闘はリアルタイムで進行する。マウスでキャラクターを動かしながら、スキルを発動して敵を攻撃する形式だ。見た目はアクションゲームに近いが、戦略性の核心はスキルの組み合わせと事前のデッキ(スキルセット)構築にある。
スキルカードシステム
戦闘で使えるスキルは「スキルカード」として表現される。プレイヤーは複数のスキルカードを所持しており、そこから戦闘中に手札として引き出しながら使う形式だ。ここがローグライク的な要素で、どのカードをデッキに組み込むか、どのカードをアップグレードするかが重要な選択になる。
スキルカードは「法術(魔法系)」「武術(近接系)」「体術(体技系)」などのカテゴリに分かれており、自分の修仙スタイルに合わせて揃えていくのが基本だ。しかし異なるカテゴリのカードを組み合わせることで、思わぬシナジーが生まれることもある。符術(防御・バフ系)と雷術を組み合わせて、防御しながら反撃するスタイルを作るプレイヤーもいる。
カードは入手するたびにランダム性があり、毎回同じビルドが作れるわけではない。「今回のランでは拳法カードが豊富に出ているから格闘特化にしよう」という柔軟な対応が求められる。この「その場で最善を組み立てる」感覚が、ローグライク好きに刺さるポイントだ。

戦闘の実際の流れ
フィールドで敵と接触するか、特定のエリアに入ることで戦闘が始まる。戦闘エリアはある程度区切られており、その中で敵と戦う。敵の攻撃に対しては回避(ダッシュ)で避けながら、スキルを連発して削っていく。
スキルの発動にはコストがかかる場合があり、MP(霊力)を管理する必要がある。連射し続けると霊力が枯渇するので、攻守のリズムが重要だ。強い敵ほどダメージが大きく、一発貰えば致命的なこともある。境界差が大きい敵には、どんなに回避が上手くても押し切られる場合もあるので、「自分の実力に合った相手を選ぶ」判断力が求められる。
ボスキャラクターはフィールドに出現するタイプと、特定のダンジョンを攻略することで戦えるタイプがある。フィールドボスはゲーム内の時間が経過すると出現し、放置すると地域に害をもたらす。早めに倒すと良い素材が手に入るが、自分の境界が追いついていないときは見送る判断も必要だ。
スキルの成長と覚醒
各スキルカードは使い込むことで熟練度が上がり、効果が強化される。特定の熟練度に達すると「覚醒」という上位スキルが解放され、同じカードが別次元の強さになることもある。「最初は地味だったスキルが、覚醒後に化け物になった」という経験はこのゲームの醍醐味のひとつだ。
覚醒の方向性は複数あることが多く、どの覚醒方向を選ぶかがビルドの分岐点になる。例えば炎のスキルなら「単体に超高火力」か「範囲広げて多数を燃やす」か、といった選択がある。この選択がうまく噛み合ったとき、戦闘がガラッと変わって一気に強くなった感覚が得られる。
拠点と素材管理:農業の沼にはまる

鬼谷八荒には、戦闘だけでなく「拠点」と呼ばれる自分だけの修行場を作る要素がある。序盤でこの存在を知ったとき、「これは農業ゲームが混入している」と感じた。正直に言えば、この要素に時間を吸われる量が相当多い。
拠点の作り方と活用
拠点ではさまざまな施設を建設できる。畑では修仙に使う霊薬の素材となる霊草・霊薬草を栽培できる。かまどでは素材を加工してアイテムを精製できる。法器工房では武器や法器を強化・修繕できる。それぞれの施設がゲーム内の時間で稼働し、放置していると完成する仕組みだ。
拠点の施設は段階的にアップグレードされ、上位の施設を建てるほど効率が上がる。素材が余ったら仙丹(回復薬)を大量精製してストックしておくとか、強力な法器を長期間かけて改造するとか、アクティブな戦闘だけでなく「待つ時間」も含めたプレイスタイルになっている。
拠点でのクラフトは非常に強力だ。市場で買えない希少素材も、拠点の栽培で賄えることがある。仙丹の質にも格差があり、高品質の素材から作った仙丹は回復量が全然違う。なんとなく作るより、品質を追求してクラフトするほうが戦闘での生存率が格段に上がる。
素材の入手と管理
素材はフィールドの採取、敵のドロップ、イベント報酬、ショップ購入など複数のルートで手に入る。素材の種類は膨大で、序盤はどれが何に使えるかわからなくて途方に暮れることもある。
しかしプレイしていくうちに「これは強い丹薬の素材だ」「これはあの施設のアップグレードに必要だ」という知識が積み上がっていく。この「ゲームの知識の蓄積が実力に変わる」感覚が、長くプレイしているユーザーに共通した楽しさの源泉になっている。
素材の保管には容量制限があるため、不要な素材は売却か加工で整理する必要がある。ここでも「何を残して何を捨てるか」という判断が問われる。これもローグライク的な思考と言えるかもしれない。
宗派システム:人間関係とゲームの世界に深みを生む
鬼谷八荒のユニークな要素のひとつが「宗派」だ。ゲームの世界には複数の修仙宗派が存在し、プレイヤーはいずれかに加入することができる。宗派に加入すると、固有の修仙技術や秘術への道が開け、宗派の依頼をこなすことでさまざまな恩恵が得られる。
宗派の特色と選び方
各宗派はそれぞれ異なる専門分野を持っている。剣道を極めた宗派、毒術に長けた宗派、医術・霊薬精製に特化した宗派など。自分のビルドと相性のいい宗派を選ぶと、その宗派から学べる秘技が戦闘で輝く。
宗派の加入には審査がある場合もあり、一定以上の境界や素材の提供が求められることがある。また宗派によっては仲の悪い宗派があり、A宗派に入るとB宗派との関係が悪化するという政治的な側面もある。どの宗派と友好を結ぶかが、のちのゲーム展開に影響することもある。
宗派を持たない「散修(無所属)」というスタイルでプレイすることも可能だ。特定宗派の縛りなく自由にプレイできる反面、宗派固有の秘技は使えない。はじめてプレイする人には散修のまま進んで感触をつかむのもアリだ。
NPCとの関係性
ゲームの世界にはさまざまなNPCが登場し、それぞれと関係を築くことができる。好感度を上げることで弟子や仙侶(パートナー)にできるキャラクターもいる。こうした人間関係の要素がゲームに奥行きを与えている。
NPCとの会話には選択肢があり、どう答えるかで関係性が変わることもある。プレイヤーのキャラクターの評判(善良・中立・魔道)も存在し、どの立場でプレイするかで物語の展開に影響が出る。善人として修行するか、目的のためなら手段を選ばない魔道修仙者として生きるか、そのあたりのロールプレイ要素も楽しい。
「宗派に入ってから急に世界が広がった。師匠から秘技を教わったとき、今まで使っていたスキルが急に輝いて見えた。」
引用元:Steamレビュー
ランダムイベントと世界の奥深さ

フィールドを歩いていると、様々なランダムイベントが発生する。洞窟に迷い込んで宝を発見するイベント、他の修仙者との出会い、精霊との遭遇、古い遺跡の探索など。これらはプレイごとに変化し、毎回新鮮な体験を生み出している。
選択肢イベントの面白さ
ランダムイベントの多くは「選択肢形式」で提示される。AかBか、どちらを選ぶかで結果が変わる。リスクとリターンのバランスが問われる場面が多く、「今の状態なら少しリスクを取っても大丈夫だろう」という判断が求められる。
選択肢によっては「成功するかどうかは修仙者としての実力次第」という判定が入ることもある。境界が高くて実力があれば挑戦できることが増える。これが「強くなることの実感」につながっており、境界を上げる動機のひとつになっている。
イベントの中には伏線的なものもある。最初は意味不明だったNPCとの会話が、のちのイベントと繋がって「あのときのあれか!」となる体験は、世界観への没入感を深めてくれる。1周だけでは見えない繋がりが、周回プレイで明らかになっていく面白さもある。
ボスとダンジョン
フィールドにはさまざまなダンジョン(洞府)が点在しており、内部では固有の敵が待ち構えている。最深部にいるボスを倒すと、良質の素材や珍しい法器が手に入る。ダンジョンの中には一定境界以上でないと入れないものもあり、「あそこはまだ早い」という感覚がゲームの世界に奥行きを与えている。
強力なフィールドボスは複数いて、それぞれ固有の行動パターンと弱点がある。最初は対策なしで挑んで返り討ちにあい、情報を集めて再挑戦するという体験も楽しい。「あのボスを倒せた!」という瞬間の達成感は、このゲームの中でも特別な満足感だ。
ある意味でこのゲームは「知識ゲー」でもある。敵の弱点を知っている、有効な素材を知っている、効率的なルートを知っているといった知識の差がプレイ体験の質に大きく影響する。初心者がベテランを見ると「なんでそんなにサクサク進めるの?」と思うことになるが、それはすべて「経験から得た知識」の差だ。

世界観と雰囲気:中国発の仙侠ジャンルの魅力
鬼谷八荒の世界観は、中国の古典的な仙侠小説・アニメ(仙侠アニメ)をベースにしている。日本ではあまり馴染みのないジャンルだが、中国では非常に人気のある題材で、「斗破蒼穹」「修羅武神」「仙逆」といった長編Web小説が億単位の読者を持っていたりする。
仙侠という世界観
仙侠の世界には特有の概念が多数ある。「法器(ほうき)」とは修仙者が使う魔法の武器・道具のこと。「丹薬(たんやく)」は修仙を助ける霊力を秘めた薬のこと。「法術(ほうじゅつ)」は修仙者が使う術のこと。「霊石(れいせき)」は通貨にも強化素材にもなる特殊な石のこと。これらの概念がゲーム全体に組み込まれていて、世界の中に自然に溶け込んでいる。
この世界観になじみが薄い人でも、プレイしながら自然と理解できるように作られている。「なんか強い石がお金代わりに使われてる」「薬飲んだら強くなった」くらいの理解でも十分遊べるが、世界観に入り込むほどゲームの奥行きが見えてくる。
グラフィックは全体的に水墨画・中国画風のテイストを取り入れており、独特の美術様式が視覚的な個性を作り出している。BGMも中国楽器を取り入れたサウンドトラックで、世界観と非常によくマッチしている。プレイ中に流れる音楽が心地よくて、気づいたら作業用BGMとして流しながらプレイしていた、という人も多い。
テキストと翻訳の品質
このゲームは元々中国語で作られており、後から英語・日本語が追加された。日本語の翻訳品質は現在かなり改善されており、固有名詞の訳し方に一部独特な部分はあるものの、全体的に意味が通じるレベルに達している。
ただ、中国語特有の四字熟語的な表現や詩的な言い回しが多く、直訳すると意味がわかりにくい箇所もある。その場合はある程度「雰囲気で読む」ことが必要になるが、それも含めて独特の文化的体験として捉えると楽しめる。
「世界観は好きだけど翻訳が若干ぎこちない」という声がSteamレビューで見られるが、それが致命的なレベルとは言いにくい。ゲームの進行に支障をきたすような誤訳は少なく、遊べば遊ぶほど用語にも慣れていく。
ローグライク要素と周回プレイの楽しみ

鬼谷八荒はローグライク的な設計を持っているが、ソウルズライクのような「死んだらすべてリセット」に近い緊張感とは少し違う。「死んだら一定の継続要素を持ちつつ再スタートする」という設計で、完全なリセットよりもやり直しのストレスが少ない。
死亡時の処理とリスタート
キャラクターが死亡すると(または寿命が尽きると)ランが終了し、スコアが記録される。所持していたアイテムの一部は失われるが、ゲームの世界や知識は引き継がれる。
繰り返しプレイすることで「永続的に解放される要素」が増えていく。新しいスキルカード、新しい修仙スタイル、新しいイベントなど。最初のランでは見られなかったコンテンツが2周目・3周目で登場し、「次はこれを試してみよう」という動機を生み続ける設計だ。
この「毎回違う体験でありながら、知識は積み上がっていく」という感覚は、ローグライクならではの面白さだ。1周目で失敗した原因を分析して2周目で対策する、という学習のサイクルがプレイを深めていく。

異なるビルドを試す楽しさ
「剣道で1周クリアしたから、次は雷術で試してみよう」という遊び方が鬼谷八荒の王道だ。修仙スタイルが異なると、戦闘の進め方がまったく変わる。剣道は接近戦で素早く動き回り、雷術は遠距離から広範囲を焼き払い、拳法は近距離で高い瞬間火力を叩き出す。
さらに宗派の選択や取得するスキルカードによって、同じ剣道でも千差万別のキャラクターが生まれる。理論上の最強ビルドを研究するも良し、「自分が格好いいと思うスタイル」で突き進むも良し。Steamのフォーラムでは各ビルドの研究結果が活発に共有されており、コミュニティが元気な証拠でもある。
特定の組み合わせで異常に強くなる「壊れビルド」を発見したときの喜びは格別だ。「こんな組み合わせが強いとは思わなかった」という発見が、次のプレイでも別の組み合わせを探す動機につながる。
難易度設定と攻略の柔軟性
鬼谷八荒はプレイヤーが自分で難易度を調節する余地がある。弱い敵から安全に稼いで境界を上げてから強敵に挑むルートも取れるし、ハイリスクなエリアに飛び込んで強敵からドロップを狙うことも選べる。どちらの戦略が正解ということはなく、プレイヤー自身が「今の自分にできること」を判断して進めていく。
これはCivilizationシリーズのターン制ストラテジーに通じる部分があって、「リスクとリターンを天秤にかけながら進める」感覚が好きな人には自然に馴染む設計だ。
DLCと追加コンテンツ
鬼谷八荒にはDLCが複数存在し、基本ゲームに新しい要素を追加している。DLCによって新しい宗派・新しい修仙スタイル・新しいイベントが追加される。
DLCの内容と必要性
DLCはゲームを大きく拡張するものと、追加コンテンツ的なものがある。ストーリーや世界観を深く楽しみたい人にはDLCまで含めた購入がおすすめだが、まず基本ゲームで手応えを確かめてから必要に応じて追加するというアプローチも問題ない。
基本ゲームだけでもプレイ時間は充分に確保されており、やることが尽きることはまずない。DLCはあくまでも「もっとやりたい」人向けの追加コンテンツという位置づけだ。Steamのセール時にバンドルで購入するのがコスパが良い。
「DLC込みで購入したけど、基本ゲームだけでも100時間以上楽しめた。DLCはボーナスって感じ。」
引用元:Steamレビュー
Early Accessからの成長
鬼谷八荒は2021年2月のEarly Access開始から長い開発期間を経て2024年に正式リリースされた。Early Access時代に比べてコンテンツ量が大幅に増加し、バランス調整も積み重ねられている。現在プレイするなら正式版の状態であり、Early Access時代の「未完成感」はほぼ解消されていると言っていい。
ただし、「ゲームの完成度がまだ上がり続ける可能性」という視点で見ると、開発チームのサポートがどのくらい続くかは注目するポイントかもしれない。今のところ積極的なアップデートが続いており、コミュニティとの対話も継続されている。
良い点と気になる点、正直に書く

鬼谷八荒の良い面を書いてきたが、気になる点も正直に書いておく。このゲームが自分に合うかどうかを判断するために、プラスとマイナスを両方知っておいてほしい。
良い点
まず、コンテンツの密度が高い。修仙スタイル、スキルカード、宗派、素材管理、拠点育成、ランダムイベント、ダンジョン、ボス戦など、やることが尽きない設計になっている。「100時間プレイしてまだ見てないイベントがある」という声がSteamレビューに多数あり、コンテンツ量という意味では正直に言ってかなり太い。
中国発の仙侠世界観を本格的に体験できる希少なゲームでもある。日本のゲームやアメリカのゲームでは作れないような独特の文化的背景があり、西洋ファンタジーに飽きたゲーマーには新鮮に映るはずだ。
ビルドの幅が広い。「あのスタイルで試してみよう」という動機が尽きず、周回プレイの動機づけが強い。1周数十時間かかるゲームを何周もしたくなるというのは、設計として優秀だ。
日本語に対応している点も大きい。中国のインディーゲームで、これだけ日本語訳が整っている作品は珍しい。プレイ体験を大きく左右する翻訳品質について、現在のバージョンはおおむね問題ないレベルに達している。
気になる点
チュートリアルの薄さは否定できない。「とりあえず最初はこれをやってください」という手ほどきはあるが、ゲームシステム全体を丁寧に教えてくれるほど親切ではない。最初の数時間は迷子になりやすく、途中でやめてしまうプレイヤーも一定数いる。
インターフェースの複雑さも指摘される点だ。情報量が多く、メニュー構造が複雑に感じることがある。慣れれば問題ないが、「わかりやすいUIのゲームが好き」という人には最初の壁が高く感じるかもしれない。
ゲームバランスについては、一部の修仙スタイルやビルドが突出して強いという声もある。開発チームのバランスパッチが定期的に入っているので改善は続いているが、「この方向に特化すれば圧勝」という道がある状態はまだ続いている。それ自体を楽しむ人もいれば、バランスが崩れることへの不満を持つ人もいる。
「最初の10時間は正直意味不明だった。でも20時間超えたあたりから急に全部つながってきて、今は毎日プレイしてる。」
引用元:Steamレビュー
序盤の「意味不明な時間」を乗り越えられるかどうかが、このゲームを楽しめるかどうかの分岐点だと感じた。そこを乗り越えた人のほぼ全員が、長時間プレイして満足している。チュートリアル不足はゲーム側の問題だが、攻略Wikiやコミュニティが整備されているので積極的に活用するのがおすすめだ。
他のゲームとの比較で見えてくる鬼谷八荒の立ち位置
鬼谷八荒をジャンル的に近いゲームと比べると、このゲームがどんな人向けかがより明確になる。
Slay the Spireとの比較
同じデッキ構築ローグライクでも、Slay the Spireが1キャラクター・小さいマップで凝縮された戦略体験を提供するのに対し、鬼谷八荒はオープンワールド的な広さの中にデッキ構築を組み込んでいる。Slay the Spireは「1時間でクリアできる短いランを繰り返す」設計だが、鬼谷八荒の1ランは数十時間かかる。「ドップリ浸かりたい」という方向性で選ぶなら鬼谷八荒、「サクッと1ランこなしたい」ならSlay the Spireというイメージだ。
Diablo系ハクスラとの違い
鬼谷八荒はアクション性よりも育成の深さに重きを置いている。Diablo系のゲームのように「爽快に敵を倒しまくる」というより、「適切な戦略で格上の敵を乗り越える」という達成感を提供するゲームだ。敵を一掃する爽快感よりも、難敵を倒したときの充実感のほうが強い。
Divinity Original Sin 2のように「仲間とパーティを組んで世界を旅する」ファンタジーRPGのノリとも近い部分がある。ただしDOSはターン制の戦略RPGであり、鬼谷八荒はリアルタイム戦闘のローグライクなので、ゲームプレイの感触は異なる。世界観への没入感や「世界の広さを探検する」という感覚では共通点がある。

ICARUSやTimberborn的なサバイバル要素
鬼谷八荒の拠点育成・素材管理の側面は、サバイバルゲームの楽しさと通じる部分がある。ICARUSのように「フィールドを探索して素材を集め、拠点を充実させていく」という流れは、アドベンチャーサバイバル好きにも刺さる可能性がある。

どんなプレイスタイルが合うか

鬼谷八荒は「自分でゲームを攻略する」プレイヤーに最もよく合う。開発者が答えをすべて教えてくれる親切設計のゲームではなく、試行錯誤と情報収集でゲームを理解していくタイプだ。それが面白いと思えるかどうかで、このゲームとの相性が決まる。
攻略を楽しむスタイル
「どうすれば効率よく強くなれるか」を考えながらプレイする人には特に向いている。素材の集め方・スキルカードの選択・宗派の活用・境界突破のタイミングなど、最適化できるポイントが数多くある。自分なりの最適解を見つけたときの達成感は格別だ。
逆に「ストーリーを楽しみたい」人には注意が必要だ。鬼谷八荒にもストーリー的な要素はあるが、明確な起承転結のある物語というよりは、世界観の中でプレイヤーが自分の物語を作っていく形式だ。ドラマチックな物語体験を求めているなら、そこは期待と違うかもしれない。
長期間の付き合い方
100時間プレイしても飽きないという声が多い一方、「150時間で満足してやめた」という声もある。どちらも正しい体験だ。このゲームは「終わり」を求めるゲームではなく、自分が満足するまで遊び続けられる設計になっている。「クリアしたい」という目標よりも「強くなりたい・新しいビルドを試したい」という動機で遊ぶほうが長続きする。
週末に数時間まとめてプレイするスタイルにも向いている。毎日ログインしてデイリーをこなすゲームではなく、「今日は修仙に集中しよう」という気分のときに起動して、思う存分遊べるゲームだ。
「仕事終わりに起動して、気づいたら深夜2時になってる。それが毎週続いてもう半年経った。最高のゲーム。」
引用元:Steamレビュー
コミュニティとサポートの現状
鬼谷八荒は中国国内での人気が高く、中国語のコミュニティが特に活発だ。攻略情報・ビルド研究・裏技発見など、中国語の情報源が最も豊富だが、英語コミュニティも成熟しており、Steamフォーラムや攻略Wikiには日本語プレイヤーも活用できる英語情報が充実している。
Steam攻略コミュニティ
Steamのコミュニティハブには多数のガイドが投稿されており、初心者向けの入門ガイドから上級者向けのビルド理論まで揃っている。「最初の1周をどう生き残るか」「各修仙スタイルの特徴まとめ」など、役に立つガイドが多数ある。最初の数時間で迷ったらSteamガイドを参照するのが最も手っ取り早い。
日本語プレイヤーのコミュニティも小規模ながら存在する。日本語Wikiや攻略情報のまとめが有志によって作られており、翻訳が難解な部分のフォローをしてくれている場所もある。
開発チームのアップデート姿勢
Lightcome Gameの開発チームは、Early Accessから正式リリースにかけてかなりの数のアップデートをリリースしてきた。バグ修正・バランス調整・コンテンツ追加が継続的に行われており、プレイヤーからのフィードバックを積極的に取り入れる姿勢が見られる。
もちろんすべての要望が反映されるわけではなく、「あの部分を改善してほしい」というフィードバックが長期間対応されないこともある。ただ、EA時代から追いかけているプレイヤーからは「開発者がちゃんとゲームを愛してる」という評価が多く、単純なお金目的のゲームではないという信頼感がある。
Hero SiegeやSons of the Forestと共に語られる「沼ゲー」の系譜

鬼谷八荒のような「気づいたら何時間も経っていた」という体験を生むゲームは、独特のゲームデザインの産物だ。なぜこういうゲームは人を離さないのか、少し考えてみると面白い。
まず「常に次の目標がある」という設計が大きい。境界の突破、新しいスキルの解放、宗派の秘技の習得、拠点の完成……どれかひとつが終わりに近づくと、別の目標が視界に入ってくる。この「次の報酬」の連鎖がプレイヤーをゲームに引き留め続ける。
Hero Siegeのような長時間遊べるアクションローグライクも同じ原理で動いている。「あとちょっとだけ」が止まらない感覚は、ゲームが上手く設計されている証拠でもある。

Sons of the Forestのようなサバイバルゲームとも共通する「世界を自分のペースで探索する楽しさ」がある。「地図の白い部分を埋めたい」「まだ見ていないエリアがある」という探索欲求が、鬼谷八荒のフィールド探索でも常に働いている。

こういうゲームに共通しているのは「プレイヤーが主体的に選択できる余地が多い」という点だ。どのスキルを使うか、どの宗派に入るか、どのエリアを探索するか、どの敵を優先するか。すべてプレイヤーが決める。その選択の結果が自分に返ってくるので、失敗も成功もすべて「自分のもの」に感じられる。
修仙の装備「法器」と「宝貝」の深み
鬼谷八荒の育成要素の中でも、特に沼になりやすいのが「法器(ほうき)」と「宝貝(ほうばい)」のシステムだ。ここは最初のうちあまり意識しないまま進めてしまいがちだが、理解したとたんに「なぜもっと早く気にしなかったのか」と後悔するくらい重要な要素になっている。
法器の種類と強化
法器とは修仙者が使う武器や防具にあたる装備品で、剣・刀・槌・弓・扇などさまざまな種類がある。法器には固有の属性や付随する効果があり、同じ「剣」でも炎属性の剣と氷属性の剣では戦闘での使い方がまったく異なる。
法器はドロップや商人からの購入、拠点での精製など複数の方法で入手できる。品質にも差があり、霊品・玄品・地品・天品と段階が上がるほど強力だ。高品質の法器を入手したときの喜びは、ハクスラゲームで良いドロップを引いたときの感覚に近い。
法器はそのまま使うだけでなく、「強化」や「精錬」によって性能を高めることができる。素材を使って攻撃力を底上げしたり、特定の効果(会心率上昇、毒付与確率アップなど)を付与したりすることが可能だ。この強化作業も時間を忘れさせる要素で、「もう少し強化してから出撃しよう」という繰り返しが始まる。
宝貝のユニークな特性
宝貝は法器の中でも特別な位置づけにある、固有の能力を持った特殊な装備だ。通常の法器とは違い、宝貝には「自律的に動く」「特定条件で発動する強力な効果を持つ」といった独特の特性がある場合がある。
強力な宝貝を入手したときのゲームの変わり方は劇的だ。「これまで苦戦していたボスが宝貝ひとつで楽になった」という体験を多くのプレイヤーが報告している。その分、希少な宝貝の入手難度は高く、入手のために特定のダンジョンに何度も挑む、特定のボスを繰り返し倒す、といった周回を必要とすることが多い。
「天品の宝貝を引いたとき思わず声が出た。あれでゲームが変わった。」
引用元:Steamレビュー
装備と修仙スタイルの相性
法器や宝貝には、特定の修仙スタイルとの相性がある。剣道系のスキルカードを軸にしたビルドなら、剣属性の法器やダメージ増加を付与できる宝貝が強力だ。雷術系なら雷属性を増幅させる法器が有効になる。
このため「今持っている法器に合わせてビルドを変更する」という柔軟な対応が、時にゲームを面白くする。「最初は拳法でいくつもりだったが、良い剣が手に入ったので剣道路線に変更した」という場当たり的な対応もローグライク的な醍醐味のひとつだ。
フィールド探索の楽しさ:世界の広さを体感する

鬼谷八荒の世界は複数のエリアに分かれており、境界が上がるにつれてアクセスできるエリアが広がっていく。新しいエリアに踏み込んだとき、そこにどんな敵がいて、どんな素材が採取できて、どんなNPCがいるかを探索する時間は、このゲームで最も没入感が高い時間のひとつだ。
各エリアの特徴
エリアによって登場する敵の種類・属性・行動パターンが異なる。炎属性の敵が多いエリアでは耐火の装備や水属性のスキルが有効になり、妖魔系の敵が多いエリアでは特定のスキルカードが特別な効果を発揮することがある。エリアに合わせた準備をして踏み込む、という事前計画の楽しさもある。
各エリアには固有のフィールドボスが存在し、定期的に出現してエリアに影響をもたらす。フィールドボスは強力だが、倒すと希少な素材や強力な法器のドロップが期待できる。自分の実力がフィールドボスに届いたとき、初めてそのエリアを「制覇した」と感じられる。
隠し要素と発見の喜び
フィールドには「見えにくい場所に隠されたアイテム」や「特定の条件を満たすと発生するレアイベント」が存在する。探索を丁寧にやると「こんなものがあったのか」という発見が絶えない。この隠し要素の存在がフィールド探索に「まだ見ていないものがあるかもしれない」という緊張感を与え続けている。
コミュニティで「こんな場所にレアドロップがある」「この条件を満たすと特殊イベントが起きる」という情報が共有されるのも、こういった隠し要素があってこそだ。攻略情報を見て確認しに行く楽しみと、自力で見つける楽しみの両方がある。
天劫(てんきゅう)イベントへの対処
修仙者が特定の境界に達するタイミングで「天劫」と呼ばれる試練が発生することがある。これは天が強くなりすぎた修仙者を試すという仙侠的な概念で、ゲーム内では「強制的に強敵や特殊な試練に立ち向かわされる」イベントとして現れる。
天劫に成功すると境界突破がスムーズになったり、特別な恩恵が得られることもある。失敗するとペナルティが発生する場合もある。「準備が整わないまま天劫が来てしまった」という状況も起こりうるので、自分の成長を管理しながら天劫のタイミングを意識するという、もうひとつの戦略的要素になっている。
対人要素と世界の他の修仙者たち
鬼谷八荒の世界には、プレイヤー以外にも多数の修仙者(NPC)が存在し、それぞれが独自に修行を続けている。この「世界に生きているNPC修仙者たち」の存在が、ゲームの世界をリアルに感じさせている。
他の修仙者との関係
フィールドで出会う他の修仙者NPCとは、友好的な関係を築くこともできるし、争うこともできる。境界が近い修仙者と「切磋琢磨する仲間」のような関係になることもあれば、修仙者間の縄張り争いに巻き込まれることもある。
宗派間の対立や、特定の修仙者への依頼・護衛といったクエスト的なやりとりも存在する。こうした人間関係の絡み合いが「仙侠小説を読んでいるような」没入感を作り出している。
PvP(修仙者同士の戦い)
一部の状況では、プレイヤーが他の修仙者NPCと戦闘になることがある。これは「宗派の敵対」「縄張り侵犯」「悪名が高まったことによる討伐」などがきっかけになることが多い。NPCとの戦闘は通常の敵との戦闘と違い、相手も修仙者としての行動パターンを持っているため、単純に押し切れないこともある。
強い修仙者NPCを倒すと、その人が持っていた法器や素材を入手できることもある。ただし、悪名が上がると討伐対象になりやすくなり、複数の修仙者から同時に狙われるリスクもある。「魔道修仙者として生きる」というロールプレイをするなら、こうした緊張感も含めて体験することになる。
スキル以外の成長要素:体質・天資・特質

鬼谷八荒の育成は、スキルカードと法器だけではない。「体質」「天資」「特質」と呼ばれるキャラクター固有の成長要素が存在し、これらがゲームプレイに大きな影響を与える。
天資(先天的な才能)
ゲーム開始時、主人公の「天資」(修仙の才能)が設定される。天資はキャラクターの成長速度や境界突破の成功率、習得できるスキルの種類などに影響する。高い天資のキャラクターほど成長が速く、同じ時間でより強くなれる。
天資は基本的に固定されているが、ゲームの進行や特定のイベントを通じて変化させる手段が存在する。「天資を高めるための試練」に挑戦することで、キャラクターの根本的な素質が向上する。こうした「ベースの強化」を行うことで、スキルカードだけでは届かない域に達することができる。
体質の多様性
体質は修仙者の肉体的な特性を表す要素で、どの属性が得意か、どんな耐性があるかを決定する。火の体質なら炎スキルの威力が上がるが氷への耐性は落ちる、といった特性が設定されている。
体質は入手したアイテムや特定のイベントで変化させることができる。「今は炎体質だが、氷術のビルドに移行したいから変えたい」という場合に、体質変化アイテムを使う選択が生まれる。こうした細かい最適化の余地が、ゲームの奥行きを作っている。
特質(後天的な能力)
特質はゲームプレイを通じて獲得できる特殊能力で、特定の条件を満たしたり、特定の素材を使用したりすることで解放される。体質が「先天的な才能」なら、特質は「修行で得た技術」とイメージすると近い。
特質の中には非常に強力なものがあり、特質ひとつでゲームプレイが大きく変わることもある。「この特質を取るために、わざと遠回りのルートを選んだ」という、ビルド構築の計画性を要求する場面も出てくる。
「天資・体質・特質を全部把握して戦略立てたとき、このゲームの本当の深さがわかった。スキルカードは氷山の一角だった。」
引用元:Steamレビュー
難関突破の醍醐味:上位境界者との戦い
鬼谷八荒でもっとも緊張感があるのは、自分より格上の修仙者やボスに挑む瞬間だ。適正境界を上回る敵との戦いは、完璧な準備と判断力を要求される。「格上に勝てる状態を作る」プロセスがこのゲームの核心的な面白さのひとつだ。
格上の敵に挑む戦略
単純に正面から戦っても勝てない格上の敵に対しては、さまざまな工夫が必要になる。特定の属性弱点を徹底的に突く、有利な地形で戦う、消耗品の仙丹を大量に準備する、特定の状態異常を重ねることで無効化するなど、工夫の方向は多岐にわたる。
「弱い自分が強い敵を工夫で倒す」という体験は、ゲームにおける達成感の最高峰のひとつだ。特に「初挑戦で返り討ちにされた強敵」を、準備を重ねたうえで後から倒しに行く体験は格別だ。自分が成長したことを、以前の失敗と比較して実感できる。
死亡から学ぶデザイン
鬼谷八荒では「死亡」からも学べるようになっている。死亡時の状況を振り返って「あの場面で仙丹を使えばよかった」「あのスキルカードを使えば防御できた」という気づきが、次回のプレイに活きる。
「死亡を悔しいと感じる」ゲームと「死亡をただのリセットと感じる」ゲームには大きな差がある。鬼谷八荒は前者に属するゲームで、死ぬたびに「次はどうすればよかったか」を考えさせる設計になっている。この学習のサイクルが長期的なプレイ意欲を支えている。
初心者が最初の壁を乗り越えるために

鬼谷八荒が「意味不明で序盤に詰まる」という声があるのは事実だ。そのため、はじめてプレイする人に向けて、最初の壁を乗り越えるためのポイントを書いておく。
序盤は生き残ることを優先する
最初のランは「攻略すること」より「ゲームの仕組みを理解すること」を目標にするのがいい。どのNPCが何をしてくれるのか、どのエリアにどんな素材があるのか、スキルカードがどういう仕組みで機能するのかを体感で理解する期間として使う。失敗しても構わない。むしろ1周目は失敗するつもりで気楽に進めるのが正解だ。
修仙スタイルは最初から1つに絞る
序盤は「あれもこれも試したい」という欲張りを抑えて、1つの修仙スタイルを集中して育てるほうがいい。剣道なら剣系のスキルカードだけを積極的に集め、拳法なら拳法系を優先する。雑多に集めると火力が出なくて詰まりやすい。自分が選んだ道を信じて強化し続けることが、序盤を乗り越えるコツだ。
拠点の畑は早めに着手する
回復に使う仙丹の素材を栽培できる畑は、できるだけ早めに作っておくと序盤が楽になる。仙丹の消耗は序盤から激しく、市場で買い続けるとすぐに金欠になる。自給自足できる体制を作ることが、安定したプレイへの近道だ。
境界突破のタイミングに注意する
境界突破には準備が必要で、失敗するとダメージを受けたり素材をロスしたりするリスクがある。「素材が揃ったからすぐ突破しよう」ではなく、「本当に今のタイミングが最適か」を考える癖をつけると良い。特に早い段階での無理な突破は、後々苦しくなる原因になることが多い。
Steamガイドを積極的に活用する
わからないことはSteamのコミュニティガイドで調べるのが最速だ。「初心者向けガイド」「各修仙スタイルの解説」「境界突破の方法」などが有志によってまとめられている。自力で調べる楽しみも大切だが、序盤の「本当に意味がわからない」状況では外部情報を参照することを恥じなくていい。
「最初の週末は何が何だかわからなかった。2週目にガイドを読んでから急に全部つながった。あの最初の混乱ごと含めて良い思い出になってる。」
引用元:Steamレビュー
音楽とビジュアルの個性:中国美術の空気感
鬼谷八荒のグラフィックは、中国の伝統的な水墨画・工筆画をゲームのビジュアルに取り込んだデザインになっている。キャラクターや敵のデザイン、スキルエフェクト、背景のアートスタイルに至るまで、中国美術の影響が随所に見られる。
スキルエフェクトの美しさ
戦闘中のスキルエフェクトは、それ自体が見どころのひとつだ。雷術のスキルを発動したときに走る電光、炎術のスキルが燃え広がるアニメーション、剣道の高速斬撃の軌跡。これらのエフェクトは派手すぎず地味すぎないバランスで、繰り返し見ても飽きない。自分が気に入ったスキルのエフェクトを眺めるだけでも満足感がある。
覚醒後のスキルはエフェクトも強化されることがあり、「弱いスキルが強くなると同時に見た目も格好よくなる」という成長の実感が視覚的にも得られる設計になっている。
BGMと音楽
鬼谷八荒のBGMは中国の民族楽器(二胡・琵琶・古筝など)を主体にしたサウンドトラックで、ゲームの世界観に強く寄り添っている。フィールドを歩いているとき、戦闘中、拠点での作業中など、場面ごとに異なるBGMが流れる。
プレイ中に「BGMが良い」と感じる場面が何度もあった。特に強敵との戦闘中に流れる曲は緊張感を高める力があり、「この曲が流れてきたら気合を入れる」という条件反射ができるくらいには印象に残っている。Steamのレビューでも音楽を高く評価するコメントが多い。
中国ゲームの台頭
鬼谷八荒は、近年注目を集める「中国産インディーゲーム」の成功例のひとつだ。かつては「安かろう悪かろう」というイメージがあった中国産ゲームだが、近年は品質面で大きく向上し、独自の文化的バックグラウンドを活かした作品が世界的に評価されるようになってきた。
「中国のゲームだから」という先入観ではなく、純粋にゲームの内容で評価すると、鬼谷八荒は独自性と完成度を兼ね備えた作品として多くのゲーマーに受け入れられている。こうした作品が増えることは、ゲーム全体の多様性という意味でも歓迎できることだと思っている。
まとめ:修仙の沼に入る覚悟があるなら強くすすめる
鬼谷八荒を一言で表すなら「覚悟と知識のゲーム」だ。最初の学習コストはそれなりにある。チュートリアルは丁寧ではないし、情報量は多いし、最初の方向性を間違えると修正が難しいこともある。
でも、その壁を乗り越えた先には、他では体験できない「修仙者として生きる」感覚がある。境界を突破したときの達成感、会心のビルドが完成したときの快感、強大なボスを倒したときの興奮。これらはこのゲームでしか味わえない体験だ。
中国の仙侠世界観は、日本のRPGや西洋ファンタジーとはまったく違う空気を持っている。その文化的な異質感が、むしろ新鮮な体験として機能している。「いつも同じRPGゲームばかりで飽きてきた」という感覚がある人に、特に強くすすめたい。
Steamのセール時に購入すればコストパフォーマンスは非常に高い。100時間以上遊べるゲームを低価格で体験できる機会は多くない。
強くなって天に昇るという目標は、途中で農業を始めても変わらずそこにある。修仙の道は長い。だからこそ、歩き続けることが楽しい。
「このゲームは初見で意味不明に見えるが、200時間後に気づく。あれは意図的な設計だったと。」
引用元:Steamレビュー
時間に余裕があって、ドップリ浸かれるゲームを探しているなら、一度起動してみてほしい。「今夜だけ」のつもりが、気づいたら夜が明けているかもしれない。
最後にもう一度、このゲームが特に合うタイプの人を整理しておく。「仙侠・武侠の世界観に興味がある」「ローグライクで長期間遊べるゲームが欲しい」「育成の深みとビルド構築を楽しみたい」「最初の学習コストがかかっても、先に充実したコンテンツがあるなら待てる」という4つを全部満たしているなら、このゲームはほぼ確実に刺さる。逆にひとつも当てはまらなければ、他のゲームを選ぶ方が賢明かもしれない。
それほど、鬼谷八荒はハマる人とそうでない人がはっきり分かれるゲームだ。しかし一度ハマったプレイヤーの多くが「このゲームを見つけてよかった」と言っていることも事実で、Steamのレビュー数とその評価がそれを証明している。修仙の旅路に踏み出す勇気がある人には、自信を持ってすすめられる作品だ。
「どんなゲームかまだよくわからない」という人は、まずSteamのゲームページで動画を見てみてほしい。プレイ映像を見れば「自分がやりたいゲームかどうか」がだいたいわかるはずだ。それで少しでも「面白そう」と感じたなら、その直感は正しいと思う。

鬼谷八荒 Tale of Immortal
| 価格 | ¥2,050 |
|---|---|
| 開発 | 鬼谷工作室 |
| 販売 | 鬼谷工作室, Lightning Games |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル |

