Barotrauma — エウロパの深海で友達と溺死する2D潜水艦サバイバル
最初のミッションで潜水艦が浸水した。エンジニア担当の友人が「ちょっと待って、ポンプどれ?」と叫んでいる間に、廊下の水位が膝まで上がってきた。ドクター役の自分は負傷した船長を担架で運ぼうとしたが、歩けない。廊下が水没しているからだ。「酸素も下がってきた!」という声を最後に、全員が意識を失って沈んだ。プレイ開始から15分の出来事だった。
笑いと悲鳴が入り混じったその瞬間が、Barotraumaというゲームのすべてを表している。木星の衛星エウロパの深海を舞台にした2D協力型潜水艦サバイバルシミュレーター。開発したのはフィンランドのFakeFish GamesとUndertow Gamesで、Daedalic Entertainmentが発売を担当。2019年のアーリーアクセス開始から4年、2023年3月13日に正式版バージョン1.0がリリースされた。
アーリーアクセス期間中に250万人以上のプレイヤーを獲得し、Steamの総合評価は5万件超のレビューで「非常に好評」という数字がその人気を物語る。最近のレビューでも94%が好評という高水準を維持している。複雑なシステムと高い難易度で知られながら、なぜこれほど多くの人が引き込まれるのか——潜水艦の中で何度も全滅しながら、それでも「もう一回やろう」と言ってしまうゲームの正体に迫る。
2026年4月には期間限定の無料プレイウィークエンドが実施された。これをきっかけに初めてBarotraumaに触れるプレイヤーが増えており、今まさにコミュニティが活性化している時期だ。同年秋には大型有料拡張「Home & Harbor Expansion」のリリースも控えており、2026年はBarotraumaにとって節目の年になりそうだ。
「Barotrauma」公式トレーラー
こんな人にBarotraumaはハマる

正直に言う。Barotraumaは万人向けではない。学習コストが高く、最初の数時間は何をすればいいのかまったくわからないまま死ぬ、という体験が続く可能性が高い。ゲーム内のチュートリアルは存在するが、実際のプレイで起きるカオスをすべて事前準備するには到底足りない。
それでも以下に当てはまる人には、これほどはまるゲームはなかなかないはずだ。
- 友達3〜6人でボイスチャットしながら遊びたい人
- 役割分担ありきの協力プレイが好きで、自分の担当を全うする達成感が好きな人
- FTL: Faster Than LightやRimWorldのような「失敗が語り草になるゲーム」が好きな人
- SF設定の深さと世界観の作り込みに惹かれる人
- 手探りで複雑なシステムを理解していく過程を楽しめる人
- 仲間内で「あのとき原子炉が爆発したの、あれ誰のせいだっけ」みたいな話で盛り上がれる人
- 電気回路や機械の仕組みに興味があり、艦内エンジニアリングを突き詰めたい人
- Space Station 13の雰囲気が好きだった人
逆に難しいのは、一人で静かにゲームを進めたい人。Barotraumaはソロプレイにも対応しているが、複数の役職をAIクルーに担わせながら進める仕様上、本来の面白さの6割くらいしか味わえない。このゲームが真価を発揮するのは、多少の混乱を笑えるメンバーと一緒に潜ったときだ。
もう一つ正直に言っておくと、このゲームはプレイヤー同士のコミュニティが「ちゃんと機能している」ことが前提になる。パブリックサーバーで見知らぬ人と遊ぶ場合、言語の壁や迷惑プレイヤーの問題が出てくる。日本語で遊べるフレンドグループがあるかどうかが、このゲームを楽しめるかの最大の分岐点だと思う。逆に言えば、信頼できる仲間さえいれば学習コストの高さも「一緒に乗り越える過程」として楽しめる。
同じく協力型サバイバルが好きなら

木星の衛星エウロパ——なぜここが舞台なのか
Barotraumaの舞台設定は単なるSFの飾りではなく、ゲームデザインの根幹に関わっている。木星の第2衛星エウロパは、表面を厚さ数十キロの氷の層が覆い、その下に液体の海が広がっている可能性が実際に科学者に指摘されている天体だ。ゲームの時代背景では、人類は何らかの理由でエウロパに移住し、氷の下の深海に拠点を築いて生活している。
この設定がゲームのすべての要素に影響している。深海は真っ暗で、外部への脱出手段はない。酸素は艦内で管理しなければならず、水圧に耐えられない場所に出ればキャラクターはあっという間に死亡する。地表に逃げ出せないという閉鎖性が、プレイヤーを常に「この潜水艦の中で生き残るしかない」という状況に追い込む。
そしてエウロパの海には生命体が存在する。地球の生態系とはまったく異なる、独自の進化を遂げた生物たちが潜水艦を脅かす。小型のクローラーと呼ばれるマーメイドに似た生き物から、潜水艦ごと飲み込もうとするレベルの巨大モンスター「エンドワーム」まで、生物の多様性は相当なものだ。
クリーチャーの設計で特に印象的なのが「ハスク」だ。これは寄生生物で、感染した生物の行動を乗っ取ってしまう。船員がハスクに感染すると、時間とともに行動に異変が生じ、最終的には仲間に牙を向く可能性がある。これがトレイター(裏切り者)モードと組み合わさると、「あいつ感染してない?」という疑心暗鬼が艦内に生まれ、潜水艦ホラーの雰囲気が最高潮に達する。
他にもクリーチャーの種類は多岐にわたる。「クローラー」は序盤から登場する基本的な脅威で、細長い四肢で船体を這い回り、隙間から艦内に侵入してくる。「ボーンスラッシャー」と「タイガースラッシャー」は中型の肉食生物で、単独ではそこまで脅威ではないが群れで来られると対処が難しくなる。「ハンマーヘッド」は潜水艦に体当たりを繰り返す突進型で、船体へのダメージが深刻だ。そして「モロク」や「エンドワーム」といったボス級クリーチャーは、登場するだけで「全員一旦持ち場から離れていいか?」という会話が始まるレベルの脅威だ。エンドワームは8,500マルク以上の討伐賞金が設定されているが、挑むには相応の準備と覚悟が必要になる。
エウロパの海の生態系は、単に「モンスターが出てくる」以上の意味を持っている。一部の生き物は攻撃的ではなく、潜水艦に関わらなければ素通りしてくれる。そういった生物の行動パターンを覚えていくうちに、「エウロパの深海には独自の生態系がある」という感覚が生まれてくる。これが単なる敵キャラクター配置とは違う、世界の「生きている感」につながっている。
エウロパという実在の天体を使ったことで、ゲームの世界観に現実的な重みが加わっている。「もしかしたら本当にこういう未来がくるかもしれない」という感覚が、純粋なファンタジー世界では生まれにくい没入感を作り出している。NASAやESAが実際にエウロパの海洋探査ミッションを検討していることを知っていると、このゲームへの見方が少し変わる。
潜水艦の運営——全員で分担するか、全員で溺れるか

Barotraumaの核心は「役割分担」だ。潜水艦には複数の部署があり、それぞれを担当するクルーが連携しなければ航行すら満足にできない。主な職種は5つある。
船長(Captain)は艦全体の指揮を担う。潜水艦の操舵そのものは「ヘルム」というコントロールシステムで行われ、進行方向や深度を調整する。ただ船長の仕事はハンドルを握るだけではない。ミッションの方針を決め、クルーに指示を出し、緊急時の判断を行う。実際のプレイでは「全員集合!浸水部屋を直せ!」「ドクター、ケガ人いる、急いで!」という怒号が飛び交う。
エンジニア(Engineer)は潜水艦の電力系統と構造的な安全を担当する。特に重要なのが「原子炉の管理」だ。Barotraumaの原子炉は実際に動作するシミュレーションとして設計されており、核分裂棒の出力とタービンの負荷を手動でバランスさせる必要がある。出力が足りないと船内の機器が止まり、過負荷になると過熱や爆発のリスクが生じる。初めてエンジニアを担当したプレイヤーの多くが「原子炉が爆発した」という体験を持っている。
メカニック(Mechanic)は艦の物理的な維持を担う。エンジン、ポンプ、扉、武器システムのメンテナンスと修理が主な仕事だ。潜水艦が損傷を受けると船体に穴が開き、浸水が始まる。水が入ってくるのをポンプで排出しながら、同時に穴を溶接で塞ぐ作業は、モンスターの攻撃が続く中では相当プレッシャーがかかる。
ドクター(Medical Doctor)は船員の健康管理を担当する。Barotraumaの医療システムは想像以上に複雑で、骨折・感染・火傷・溺水・中毒といった様々な状態を個別に診断・治療する必要がある。薬品の使い方を間違えると逆に症状が悪化したり、過剰投与で死亡したりする。ゲーム内にはリアルな処方箋システムがあり、治療の成功には正しい薬品の選択が欠かせない。
セキュリティ(Security Officer)は対外的な脅威への対処を担う。潜水艦の外部武器(魚雷や機雷、砲台)を操作して深海の生物から艦を守り、必要に応じて乗組員の秩序維持も行う。モンスターに船体を破られて内部に侵入してきた場合、セキュリティが艦内でのモンスター排除にあたる。
これら5つの役職が噛み合ったとき、潜水艦は機能する。逆に一つでも欠けると、問題が連鎖して崩壊する。エンジニアがいなければ停電し、停電すれば酸素生成が止まり、酸素がなくなれば全員が意識を失う。メカニックがいなければ浸水が広がり、浸水が広がれば泳がなければ移動できず、泳いでいれば電撃で感電死する。このドミノ倒し的な崩壊プロセスが、毎回異なる「事故の物語」を生み出す。
職業の選択はキャラクター作成時に行い、それぞれのスキルツリーがある。医療スキルが高いキャラクターが外科手術を行えば成功率が上がり、メカニックスキルが高ければ修理の速度と品質が向上する。経験値は実際に作業をこなすことで積み上がるため、「ドクターは治療をしているとドクタースキルが伸びる」という直感的な仕組みだ。
面白いのが「職業の壁」が意外と低い点だ。極端に言えば、エンジニア担当のプレイヤーがメカニックの仕事を手伝うことも可能で、スキルは低いが物理的に作業はできる。ただし成功率が下がるため「ヘタクソなエンジニアが応急処置をしている」という状況が生まれる。これが「専門外のことをやって余計悪化した」という笑える事故につながることもある。
友達5人でやって、ドクターが間違えて自分に鎮静剤を打って寝てしまい、負傷した別のクルーが死んだ。誰も悪くないのに全員が笑って泣いた。こういうゲームはなかなかない。
引用元:Steamコミュニティレビュー
原子炉と電気回路——エンジニアリングの深み
Barotraumaのシステムの中で、特に「深い」と感じる部分が電気・電力系統だ。一見すると「ボタンを押すだけ」に見えるが、実際には回路設計のシミュレーションに近い構造になっている。
潜水艦内の各機器はワイヤーで接続されており、電力の流れる方向や量を制御する仕組みが用意されている。コンポーネントと呼ばれる電子部品を組み合わせることで、条件分岐や自動制御のロジックを組み立てられる。たとえば「酸素濃度が70%を下回ったら自動的に酸素生成装置を優先稼働させる」といった制御を、実際にワイヤーとコンポーネントで実装できる。
原子炉の自動制御システムを自作するプレイヤーも多く、SteamコミュニティにはPID制御を実装したリアクターコントローラーの設計図が共有されている。「電気回路が好き」という人には、ゲームの外側に広がるエンジニアリングの遊び場として機能する。
ただし、これは「やりたい人がやれる深み」であって、強制ではない。デフォルトの原子炉は手動で制御できるし、自動制御なしでも十分にプレイできる。どこまで深く掘り下げるかをプレイヤーが決められる設計になっているのは、長く遊べる理由の一つだ。
電力系統の理解が深まると、効率的な電力配分によって艦の機動性が上がったり、緊急時の電力確保ロジックを組んでおくことで事故を未然に防げたりする。「100時間以上プレイしたがまだエンジニアリングを学んでいる」というレビューがあるのは、この底なし感の表れだ。
また、潜水艦には標準で複数の型が用意されており、それぞれ動力システムの設計が異なる。小型艦は管理がシンプルだが戦闘力に限界がある。大型艦は複雑なシステムを持つが、複数のエンジニアで分担管理することで初めて真価を発揮する。プレイヤー数と艦の大きさのマッチングも、効率的なプレイを考える上での要素になっている。
似たようなシステムの深さを持つゲームとして

トレイターモード——信頼と疑惑が同居する艦内政治

Barotraumaには「トレイターモード」と呼ばれるルールセットがある。日本語に直すと「裏切り者モード」で、プレイヤーの中から密かに一人(または複数)が「裏切り者」に指名される仕組みだ。
裏切り者には全体ミッションとは別に、秘密の指令が与えられる。ミッション成功を妨害する、特定の乗組員を排除する、重要な設備を破壊する——といった目標だ。裏切り者は他のプレイヤーにバレないように活動しながら、チームの目標達成を意図的に妨げる。
これが何を生み出すかというと、「信頼の揺らぎ」だ。いつもなら「メカニックさんがポンプ直してくれてる」で済む場面が、「あれ、わざと直すの遅らせてない?」という疑念に変わる。誰かが少しおかしな行動をするたびに「もしかして裏切り者じゃないか」という視線が集まる。
人狼ゲームとBarotraumaを組み合わせたような体験、と表現するプレイヤーが多い。ただ人狼と違うのは、「怪しいから投票で追放」ではなく、リアルタイムで行動しながら証拠を掴もうとする点だ。怪しいと思ったら自分で追いかけて確認しに行く。その追跡中に別のトラブルが発生する。混乱が混乱を呼ぶカオスが生まれる。
ただしトレイターモードはゲームの本流ではなく、あくまでオプション設定だ。まずは純粋な協力プレイでゲームシステムを覚えてから、慣れたメンバーで試すのが適切な順番だと思う。
トレイターモードが面白いのは、「裏切り者になったとき」だけでなく「疑われる側になったとき」でもある。何も悪いことをしていないのに、自分の行動が「怪しい」と受け取られてしまうことがある。たとえば医療室で薬を調合しているところを別のクルーに見られて「あいつが毒を作ってる」と思われたり、エンジニアが正当なメンテナンス中に「なぜ電源を落とした?」と問い詰められたりする。この「疑惑の連鎖」がゲームの緊張感を底上げする。
裏切り者の指令内容もバリエーションがあり、毎回同じではない。特定の船員を殺すというシンプルなものから、特定のシステムを壊して艦をミッション失敗に導くというもの、あるいは潜水艦を乗っ取るという大掛かりなものまで。指令の難易度によって達成したときの報酬も変わる設計になっている。
キャンペーンモード——長期の船旅でキャラを育てる
Barotraumaのメインコンテンツの一つが「キャンペーンモード」だ。単発ミッションをこなす「ミッションモード」と異なり、キャンペーンでは長期的な目標に向けて複数のミッションを連続してこなしていく。
舞台はエウロパの全体マップで、複数の海域が右端に向かって難易度が上がるように配置されている。初期拠点からスタートし、ミッションを積み重ねながら徐々に右側の難易度の高い海域へ進んでいく。キャンペーンの最終目標は、マップの右端にある「エウロパの目」と呼ばれる最終海域への到達だ。
キャンペーン中、キャラクターは経験値を稼いで成長する。各職業のスキルが上がることで使えるアイテムや能力が増え、より高度な作業をこなせるようになる。また潜水艦のアップグレードも重要で、設備の強化に費やすお金を稼ぐためにミッションを選択することになる。
難易度の上昇は明確で、序盤の海域で余裕を持って動けていたクルーが、中盤以降では「どっちを直すか選べ」という状況に頻繁に追い込まれる。敵の強さはもちろん、ミッションの複雑さも増していく。
キャンペーンにはお金の管理という要素もある。ミッションをこなすと報酬のマルク(ゲーム内通貨)が入り、それを使って潜水艦のアップグレードや新しい武器・アイテムの購入に充てる。資金繰りを間違えると装備が貧弱なまま難しいエリアに突入することになり、地獄を見る。どのミッションを受けてどこに資金を投じるかという経営的な判断も、キャンペーンの醍醐味の一つだ。
船員のリスポーン(復活)システムも独特で、死亡した船員はキャンペーン中は別の新規キャラクターとして引き続きプレイできるが、スキルは初期値に戻る。長く育てたキャラクターが死んで新人になる喪失感と、また一から育てるモチベーション——この繰り返しがキャンペーンに長期的な物語性を与えている。
キャンペーンをクリアしたプレイヤーの感想として、「なかなか面白かったが、かなり難易度は高かった」という声が目立つ。特に後半は一筋縄ではいかない難易度で、「やっと終わった」という達成感も相当なものになる。
ボス戦がかなり難しくて、何度もやり直した。でも最後にクリアしたときの達成感は格別だった。ゲームオーバーになるたびに「次はこうしよう」という改善案が浮かんでくるのが、このゲームをやめられない理由だと思う。
引用元:はてなブログ「Barotraumaをクリアしたので感想」
潜水艦エディタとSteam Workshop——作ることも遊び場

Barotraumaには潜水艦エディタという機能が内蔵されている。既存の潜水艦を改造するだけでなく、ゼロから設計して自分だけの艦を作れる。部屋の配置、通路のレイアウト、機器の設置場所と配線——すべてを自分でデザインできる。
この自由度は相当なもので、「効率重視の実用的な艦」を作る人もいれば、「わざと混乱しやすいレイアウト」を楽しむために作る人もいる。縦に細長い艦、横に巨大な艦、モジュール式で拡張性を重視した艦——設計の方向性はプレイヤーの想像力にゆだねられている。
Steamワークショップには自作の潜水艦だけでなく、ゲームのルールを変えるMOD、新しいアイテムや敵を追加するMOD、UIを改善するMODなど多数のコンテンツが公開されている。日本語化MODも存在するが、本体が既に日本語対応しているため、現在はゲーム設定から直接日本語を選択できる。
キャラクターのプロシージャルアニメーションエディタや、レベルのプロシージャル生成エディタも用意されており、ゲームの根本的な部分まで改変できる。「ゲームを遊ぶ」だけでなく「ゲームを作る」道具として機能する奥行きが、長期的なコミュニティの維持につながっている。
Steamワークショップのコレクションの中には、ゲームのルールを大幅に変えるような大型MODも存在する。新しいゲームモードを追加するもの、ストーリーミッションを追加するもの、まったく異なる舞台設定で遊べるもの——このあたりはアクティブな開発者コミュニティの存在を感じさせる。
潜水艦エディタを使いこなしているプレイヤーの作品を見ると、公式の艦と遜色ない完成度のものがざらにある。「自分で作った艦で仲間と遊ぶ」という体験ができるゲームは多くなく、このエディタの存在がBarotraumaを単なる「遊ぶゲーム」から「遊べるプラットフォーム」に押し上げている。
クリエイティブ系のModや創作が好きなプレイヤーには

Barotraumaが人気を維持する理由——「失敗が語り草になる」設計
Barotraumaがなぜ2019年のアーリーアクセス以来、ファンの熱量を保ち続けているのか。その理由を分解してみると、「物語生成システムとしてのゲームデザイン」という共通点が見えてくる。
RimWorldやDwarf Fortressに代表されるこのジャンルのゲームは、開発者が用意したストーリーをプレイヤーが体験するのではなく、プレイヤーの行動とゲームのシステムが組み合わさって「その場でしか生まれない物語」を作る。Barotraumaはまさにこの系譜に属するゲームだ。
「ドクターが自分に鎮静剤を打って寝てしまった事故」「原子炉の管理を任せたエンジニアが手順を間違えて爆発させた事故」「裏切り者が魚雷を内側から発射した事故」——これらはすべてゲームが用意したシナリオではない。プレイヤーの行動とシステムの反応が絡み合って生まれた、その場限りの出来事だ。
そしてこういった「事故の記憶」は仲間内の語り草になる。セッションが終わった後でも「あのとき酸素が切れる寸前に…」という会話になる。そこに課金要素はない。追加コンテンツも必要ない。ゲームシステムとプレイヤーが組み合わさって自動的に「思い出」が生産されていく。
この「失敗も含めて楽しい」という体験設計が、Barotraumaの長期的な人気を支えている。チュートリアルで丁寧に教えられる内容より、最初の失敗から学んだことの方が記憶に残る。そういう設計になっているゲームは、クリアした後も「もう一回やろう」という気持ちになれる。
特筆すべきは「失敗した後の会話」だ。セッション終了後のボイスチャットで「あのときなんで酸素切れたの?」「実は俺が別の部屋のポンプを誤って止めてて…」「そのせいで連鎖したんか!」という事後検討会が自然と始まる。このポストモーテム(事後分析)の習慣が、次回のプレイへの学習意欲につながる。
同様の「語り草が生まれるゲーム」としてBarotraumaのコミュニティがよく引き合いに出すのが、コミュニティサーバーで運営されるSpace Station 13(SS13)だ。役割分担とカオスの融合という点でBarotraumaはSS13の「より入りやすいバージョン」と評されることがあるが、BarotraumaがSS13から影響を受けているのも事実で、開発チームはそれを公言している。SS13の面白さを知っているプレイヤーにとって、Barotraumaは「あの感覚をもっと洗練させたゲーム」として映るはずだ。
タクティカルな協力ゲームとして

開発の歩み——一人の趣味プロジェクトが250万人のゲームへ

Barotraumaの起源は2014年にさかのぼる。開発者Joonas Rikkonen(ネット上では「Regalis」名義)が個人プロジェクトとして開発を始めた。彼はその前に「SCP – Containment Breach」という無料のホラーゲームを作っており、それが評価されたことで次の作品に取り掛かる余裕が生まれた。
当初のタイトルは「Subsurface」。2015年から2018年の間、アルファ版が無料で公開されテストが続けられた。この段階でゲームの基本的な骨格——潜水艦の運営、役割分担、エウロパという設定——はほぼ決まっていた。
2018年、転機が訪れる。フィンランドのゲームスタジオFakeFish Gamesとの協力関係が始まった。FakeFishはスタートアップアクセラレータープログラムに参加した5人の友人によって設立されたスタジオで、メンバーは合計60年以上・70タイトル以上のゲーム開発経験(主にAAA作品)を持つ実力派だ。一人のプロジェクトが、経験豊富なチームの手が加わることで大幅に進化した。
2019年、ドイツの大手インディーパブリッシャーDaedalic Entertainmentとの契約が結ばれ、同年夏にSteamアーリーアクセスが始まった。アーリーアクセス時点での価格は約2,000円で、段階的にアップデートを重ねながら正式版に向けて開発が進んだ。そして2023年3月13日、約4年のアーリーアクセスを経て正式版バージョン1.0がリリースされた。「4年かけて本当にいいものを作った」という開発への信頼感が、正式版リリース後のレビュー評価の高さにつながっていると思う。
アーリーアクセス期間中も開発チームの姿勢は一貫していた。毎回の大型アップデートで新コンテンツを追加するだけでなく、既存のバランスやバグへの対応も丁寧に行ってきた。GitHubでソースコードを公開しており、バグ報告やフィードバックを直接開発チームに届けられる環境を整えてきた。インディーゲームでこのレベルの開発透明性は珍しく、コミュニティとの信頼関係構築に大きく貢献している。
2024年10月には「Blood in the Water」という大型アップデートが配信され、難度を大きく引き上げる変更が多数実装された。これについては「難しすぎる」という声も出たが、開発チームはコミュニティのフィードバックを継続的に吸い上げる姿勢を持ち続けている。
2025年4月には「Calm Before the Storm」アップデートで、遺跡探索ミッション「Lost in Ruins」や新PvPアウトポストが追加。さらに同月、期間限定の無料プレイが実施された。無料期間中に本体を50%割引で購入できるキャンペーンが同時開催され、新規プレイヤーの取り込みが図られた。
Home & Harbor拡張——2026年秋に向けて
2026年の話として、Barotraumaには大型有料拡張「Home & Harbor Expansion」が秋に予定されている。発表されている内容を見ると、既存コンテンツのマイナーアップデートではなく、ゲームプレイの根本を変えるような要素が含まれている。
一つ目が「拠点の建設と運営」だ。これまでのBarotraumaは潜水艦の中が世界の中心だったが、拡張では深海のアウトポストを自分で運営できるようになる。既存の拠点を力ずくで制圧することも可能で、モジュールを追加して設備を充実させたり、NPC住民を管理したり、独自の研究ツリーで新技術を開発したりできる。
二つ目が「デセンダンツ(Descendants)」という新ファクション(勢力)の追加だ。エイリアンテクノロジーを取り込んだ肉体改造系の集団で、エウロパの政治的な力学に新しい要素をもたらす。既存ファクションとの関係性や、プレイヤーがどちら側につくかという選択肢も生まれるようだ。
有料拡張の発売と同時に、すべてのプレイヤー向けの大型無料アップデートも予定されている。拡張を買わなくても新コンテンツが来るという設計は、ゲームコミュニティに対するリスペクトを感じる。
まだゲームプレイの詳細は明かされていない部分も多いが、Barotraumaが2026年に向けてまだ成長段階にあることははっきりしている。今から始めても、この先のアップデートを楽しみに続けられる。
拡張に合わせた無料アップデートの存在も重要だ。これは「拡張を買った人と買っていない人でゲームの基本体験が分断されない」ことを意味する。課金モデルとして好意的に受け取られており、「拡張を買わなくても損した感じにならない」という評価がSteamコミュニティで見られる。
2026年4月時点では、Home & Harbor ExpandsionのゲームプレイトレーラーがDaedalic Entertainmentから公開されており、Steamのウィッシュリストへの追加が促されている。関心がある人はウィッシュリストに入れておくと発売時に通知が届く。
ネガティブな側面も正直に——Barotraumaの厳しい現実

良いゲームだと思っているからこそ、ネガティブな面も正直に書く。
まず学習コストが高い。チュートリアルはあるが、ゲームの全システムを理解するには数十時間かかる。潜水艦の各システム、クラフト、医療、電気回路、キャラクターのスキルツリー——これらを把握するには試行錯誤の繰り返しが必要で、最初の数時間は「何が起きているのかわからないまま死ぬ」という体験が続く可能性がある。
次に、ソロプレイは本来の魅力の半分も出ない。AIクルーは一定の仕事をこなすが、リアルな人間が担当したときのような創意工夫や、事故後のコミュニケーションは生まれない。友達がいない状態でプレイするとゲームの魅力が伝わりにくく、「なぜこれが人気なのかわからない」という評価になりやすい。
公開サーバーのランダムマッチングは体験にムラがある。緊迫した協力ができるときもあれば、英語が共通言語になって指示が伝わらないことも、故意に設備を壊すプレイヤーに遭遇することもある。知り合いとプレイできる環境があるかどうかで、ゲームの評価が大きく変わる。
2024年10月の「Blood in the Water」アップデートで難易度が大幅に上昇したことへの批判もある。もともと難しかったゲームがさらに難しくなったことで、「調整が遅い」「ゲームが楽しくなくなった」という声が一時期多く上がった。開発チームは継続的にバランス調整を行っているが、大型アップデートごとに「難しすぎる」と感じる局面が生じることは覚悟しておいた方がいい。
パフォーマンス面では、動作要件がそこまで高くないので古めのPCでも動くが、大人数サーバーでは接続の安定性がマシンスペックよりもネット環境に左右されることがある。同じ艦内の全員が同期して動くゲームの性質上、ラグは死活問題になることも覚えておいてほしい。
それでも総合的に見れば、Steamレビュー94%という数字はダテではない。上に挙げたネガティブな点を「それが面白い」と受け取れるプレイヤーには、間違いなくはまる作品だ。
他のCo-opゲームとの違い——何が独自か
「協力ゲーム」という括りは広い。Among UsのようなSNSゲーム的なものから、Left 4 Deadのような対戦型、バトルロワイヤルの協力モードまで、形式は多種多様だ。その中でBarotraumaが独自に占めている位置を整理したい。
まず「何を目指す協力か」という軸で考えると、多くの協力ゲームは「全員で同じ目標に向かって前進する」設計だ。Barotraumaも基本はそうだが、「潜水艦を維持する」という目標が個々の役職の仕事に分解されており、その分解が非常に細かい。全体目標に貢献するための手段が役職ごとにまったく異なる、という構造が他のゲームとの差別化点だ。
まずBarotraumaの協力は「役割の専門性」が核心にある。一般的な協力ゲームは「全員が同じことをする」か「攻撃・支援・タンクという3ロールが基本」という設計が多い。Barotraumaは船長・エンジニア・メカニック・ドクター・セキュリティという5つの職種が、それぞれ完全に異なるゲームプレイを持っている。ドクターが担当するゲームとエンジニアが担当するゲームは、別のゲームと言っていいほど操作内容が違う。
次に「失敗の伝播が可視化されている」点だ。FPSゲームのように「あの人がミスした→チームが負けた」という形ではなく、「ポンプを切り替えたら浸水が広がって、移動できなくなって、モンスターが侵入して、酸素が切れた」という連鎖が艦内でリアルタイムに展開される。原因と結果のつながりが見えるため、失敗から学びやすい。
類似のゲームとしてよく挙げられるFTL: Faster Than Lightと比較すると、FTLは一人でできるゲームで状況把握もしやすい設計だ。Barotraumaはそのマルチプレイヤー版に複雑さを何倍にも掛け算したようなゲームで、FTLが好きな人なら世界観は気に入るはずだが、プレイの複雑さは段違いだ。
ローグライク要素を持つCo-opゲームとして

宇宙・SF設定の協力ゲームとして

Barotraumaが独自性を最も発揮しているのは「閉鎖空間の圧力」という部分だ。ホラーゲームのように怖い何かが追いかけてくるわけではないが、「潜水艦から逃げ出せない」という状況が常にある種のプレッシャーを生む。どんな問題が起きても「逃げる」という選択肢がなく、「その場で解決するか死ぬか」しかない。このゲームデザイン上の制約が、プレイヤーを常に真剣にさせる仕掛けになっている。
ローグライク要素とミッションの多様性

Barotraumaのマップはプロシージャル生成(手続き型生成)で作られており、毎回異なる地形と敵配置の中を移動することになる。固定マップを覚えて最適ルートを走るゲームではなく、その場その場の状況判断が求められる。
プロシージャル生成は地形だけでなく、ミッションの内容や敵の出現数にも影響する。「このルートは前回より敵が少なかった」という体験があったとしても、次回は同じとは限らない。この不確定性がゲームの「慣れ」を防いでいる。どれだけプレイしても「今日の航海はいつもと違う」という緊張感が持続する。
ミッションの種類も豊富だ。貨物の輸送、遭難した潜水艦の救助、施設の探索、モンスターの討伐、特定の人物の護衛——これらが組み合わさって一つのセッションが構成される。ミッションを選択できる拠点では、報酬の高さと難易度を天秤にかけながら次の目的地を選ぶ意思決定が生まれる。
ミッションには難易度の星評価があるが、「★3のミッションを★1のメンバーで挑む」という判断ミスが面白い失敗を生むこともある。「金になるから強行したら全滅した」という経験はBarotraumaプレイヤーなら誰でも持っているはずで、このリスクとリターンの天秤こそがゲームを面白くしている要素の一つだ。
特にベータ版や後期アップデートで追加された遺跡ミッションは評価が高い。深海に沈んだ建造物の内部を探索するもので、水中を泳ぎながら謎を解くダンジョン探索的な体験ができる。潜水艦に乗って移動する通常ミッションとは異なる緊張感があり、ゲームの多様性を高めている。2025年4月の「Calm Before the Storm」アップデートで追加された「Lost in Ruins」ミッションは特に好評で、遺跡内の謎解きと戦闘が組み合わさった複合型コンテンツとして新鮮な体験を提供している。
PvPモードも存在しており、潜水艦同士が直接対決するシナリオや、アウトポストを舞台にしたチーム戦が用意されている。PvEの協力プレイが主軸のゲームではあるが、仲間内でチームに分かれて戦いたいときの選択肢として機能する。「いつもの仲間と対戦してみたい」という需要に応えている。
ローグライク系の繰り返し体験が好きなら

Steamユーザーたちの声——評価の実態
Barotraumaのレビューを読んでいると、特徴的なパターンに気づく。好評レビューの多くが「最初は全然わからなかったが、慣れたら最高だった」という構造を持っている。
最初の数時間は何をしたらいいかわからず、ただ水に溺れて死んでいた。でも慣れてくると、あの混乱の中にどれだけの情報を処理しながら動けるかというのが面白くなってくる。友達と6人でやったとき、全員が黙ってそれぞれの仕事をこなして難易度の高いミッションをクリアしたとき、達成感がすごかった。
引用元:Steamレビュー
一方で不評レビューにも一定のパターンがある。多くは「ソロでやったら楽しくなかった」「チュートリアルが足りない」「難しすぎて何をしても死ぬ」という内容だ。これはゲームの本質的な欠点というより、「このゲームが向いているプレイスタイル」を事前に知らずに購入した結果、ともいえる。
「最大16人対応」という売り文句は本当で、大人数サーバーで遊んだプレイヤーからは「もはや別のゲームになる」という声がある。16人が同じ潜水艦に乗ってミッションをこなす光景は、通常の5〜6人プレイとは別の意味でカオスだ。「全員が自分の仕事に専念していると妙に機能する」という体験は、大人数ならではの醍醐味だという。
ゲーム内のチャット機能やボイスチャット(直接の音声通信ではなくゲーム内の近接通話システム)も評価が高い。船内の特定の場所でしか声が届かない仕様は、「遠くで何かが起きている」という臨場感を生む。艦橋で会話していたら、後方からのヘルプ通信が届かなくて誰かが死んでいた——という体験が、ゲームの世界観を強化している。
Discordサーバーを通じた日本語プレイヤーコミュニティも存在しており、フレンド募集や攻略情報の共有が行われている。「友達がいない状態でBarotraumaを始めた」という人でも、コミュニティを通じてプレイ仲間を見つけた例は多い。日本語UIが実装されていることもあり、日本のプレイヤーにとっての入り口は以前より格段に広がっている。
Steamでの総評を整理すると、このゲームへの批判的な声は主に「最初の入門時期の辛さ」に集中しており、一定のプレイ時間を超えたプレイヤーからの評価はほぼ一様に高い。「100時間以上プレイしたがまだ飽きていない」「300時間でもまだ新しい発見がある」という声がレビューの中に少なくない。これはゲームシステムの奥行きと、毎回異なるセッションのカオスが継続的な面白さを生み出しているからだ。
英語のゲームが多い中、BarotraumaはUIもチュートリアルも日本語で遊べるのがありがたい。フレンドと遊んでいるとき、システムを説明するのに日本語対応しているのは助かる。ゲーム自体は複雑でも言語のハードルだけは下がっているのが嬉しい。
引用元:Steamコミュニティ日本語レビュー
料金とコストパフォーマンス

Barotraumaの定価は3,190円(2026年4月時点)。セール時には50〜70%オフになることが多く、セールを狙えば1,000円前後で購入できる。Steamのセール履歴を見ると年に複数回の値引きが行われている。
コストパフォーマンスという観点で言えば、合う人には間違いなく高い。「100時間以上遊んだ」というレビューは珍しくなく、200〜300時間プレイしているという人もSteamコミュニティで見かける。ただしこれは「友達と一緒にプレイできる環境」を前提にした話だ。ソロで遊ぶだけならもっと短いプレイ時間で満足するか、または合わないと感じて終わりになる可能性が高い。
2025年4月には期間限定の無料プレイが実施された。今後も同様のキャンペーンが行われる可能性はあるが、セールを利用して購入するのが現実的な選択肢だ。2026年4月にも再び無料プレイウィークエンドが実施されており、この手のキャンペーンは定期的に行われている模様だ。
注意点として、友人グループ全員での購入を検討するなら、できるだけ全員が同じセールタイミングで買うのがおすすめだ。一人が先に買って「面白いから買って」と誘っても、その時点でセールが終わっていると割高になる。Steamのウィッシュリストにいれておいて、セール通知を受け取れるようにしておくとスムーズだ。
2026年秋予定の「Home & Harbor Expansion」の価格は現時点では発表されていない。拡張の規模からするとそれなりの価格設定が予想されるが、同時に無料アップデートも提供されることが明言されている点は好印象だ。
マルチプレイゲームとして友人と一緒に買うなら、「全員同じ価格で買って一緒にプレイする」という前提で考えると、通常の協力ゲームと同じ投資だ。むしろ複数人でプレイするほど1時間あたりのコストが下がる、という計算ができる。
Steamのレビューには「2,000時間プレイした」という声も少なくない。それだけ長く遊べるゲームを3,000円台で購入できるのは、コストパフォーマンスとして計算すると1時間あたり数円という水準になる。もちろん「2,000時間遊べる」かどうかはプレイヤー次第だが、合うプレイヤーには確実に長く楽しめるゲームだ。
初めてのBarotrauma——どう遊び始めるか
「やってみたいけど、何から始めればいいかわからない」という人向けに、実際の遊び始め方を整理しておく。
まず最初の選択肢は「チュートリアルをやるか、いきなりマルチへ行くか」だ。ゲーム内にはチュートリアルが用意されており、基本操作と各役職の仕事を一通り学べる。ただしチュートリアルでカバーされる範囲は本当の意味での「基礎の基礎」なので、これをこなしただけで実戦に通じるとは思わない方がいい。むしろ「ゲームの雰囲気を掴む」程度の期待値で取り組み、実際のプレイの中で試行錯誤しながら覚える方が結果的に早い。
次に役職の選択だが、初めての場合は「メカニック」から始めるのがおすすめという意見が多い。メカニックの仕事は物理的にわかりやすく(穴が開いたら塞ぐ、壊れた機械を直す)、他の役職のシステムを覚えながら船内の状況を把握できる立ち位置だ。エンジニアは原子炉の理解が必要で最初は難しいし、ドクターは医療システムの複雑さで最初は戸惑う。船長はリーダーシップが求められ、慣れていない状態で担当すると全体に迷惑をかけやすい。
潜水艦の選択も重要で、初心者グループには「Dugong」(ドゥゴン)という小型艦がよく推奨される。小さくて管理しやすく、メンバーが近い距離にいるため声(チャット)が届きやすい。大型艦は人数が多いときに真価を発揮するが、少人数だと管理しきれずに崩壊しやすい。
「まずソロで練習してから」というアプローチも悪くはないが、AIクルーを指示しながらの操作は通常のプレイとかなり感覚が違う。むしろ友達と一緒に「全員初めて」の状態でプレイし、役割分担しながら一緒に学ぶ方が本来の体験に近い。失敗しても笑える人間同士なら、最初の混乱期を楽しみに変えられる。
また、プレイ前にYouTubeで「Barotrauma 初心者」や「Barotrauma funny moments」などを検索して他のプレイヤーの動画を見てみるのもおすすめだ。実際のプレイがどれほどカオスで、どれほど面白い失敗が起きているかを視覚的に掴めると、「このゲームで何が起きるのか」のイメージができて最初の戸惑いが減る。「あの動画みたいな状況になったらどうしよう」という心の準備ができることも、ゲームへの没入感を高める。
日本語Wikiも充実しており、「Barotrauma日本語wiki」で検索すると役職ガイドや攻略Tipsが見つかる。わからないことがあればWikiを参照しながらプレイするのが現実的な攻略法だ。ゲーム内で何が起きているのかわかってくると、急に面白さが増す瞬間がある。その「わかった!」の瞬間を目指して最初の数時間を乗り越えてほしい。
まとめ——Barotraumaは「事故の思い出製造機」
Barotraumaをひと言で表すなら「事故の思い出製造機」だと思う。開発者が用意したストーリーを体験するゲームではなく、プレイヤーたちの行動とシステムが絡み合って「その場限りの事故」を次々と生み出すゲームだ。
エウロパの深海という閉鎖空間、5つの役職が連携して動かす潜水艦、手を抜けば連鎖崩壊するシステム設計、そこに裏切り者というスパイスが加わる。うまくいったときの達成感も、うまくいかなかったときの笑いも、同じように「良い体験」として記憶に残る。
このゲームにはSteamの実績(アチーブメント)システムが搭載されており、様々な条件を達成することで解除される。「特定のモンスターを討伐する」「一定距離を泳ぐ」「特定の薬品を使う」といった実績から、非常に困難な条件の実績まで多岐にわたる。ゲームのシナリオ達成率(全プレイヤーのうちクリアした割合)が一部の実績で3%を下回っているのは、このゲームの難易度の高さを端的に示している。逆に言えば、クリアした人だけが知っている達成感がそこにある。
学習コストが高く、ソロプレイでは真価を発揮しない。公開サーバーは体験にムラがある。これらは事実として受け止めてほしい。ただそれを乗り越えた先にあるものは、「3,190円で手に入る体験としては破格」と表現しても大げさではない。
一番ハマれるのは、信頼できる仲間3〜5人と「最初は全員下手でいい、一緒に上手くなろう」という姿勢でスタートできる人だ。その条件が揃っているなら、Barotraumaは確実におすすめできる。
最初の15分で溺死しても、そこで終わりにしないでほしい。2回目は原子炉の手順を確認してから出発し、3回目は「ドクターは医療室にいること」というルールを決めて挑む。そうやって少しずつ「次はこうしよう」が積み重なっていく過程が、Barotraumaの本当の面白さだ。
FTL: Faster Than Lightを「あの閉鎖空間のリソース管理が好きだった」と感じている人、RimWorldを「失敗が面白いゲームの最高峰」と思っている人、Space Station 13の面白さに気づいている人——このゲームはあなたのために作られている。
2026年秋には「Home & Harbor Expansion」も控えており、基地建設という新軸が加わることでBarotraumaはさらに長く遊べるゲームになる。今から始めれば、拡張リリース時には「ベテランクルー」として深海への冒険を続けられるはずだ。
最後に一つ。Barotraumaのレビューを書いたプレイヤーの中に、「このゲームで一番嫌だったのは、ゲームを終了することでした」という言葉があった。何時間も遊んでようやく終わりにしようとしたとき、「もう一回だけ」が止まらなかったという体験談だ。良いゲームには、そういう「やめどき」を失わせる魔力がある。Barotraumaはまさにそういうゲームだ。深海に潜るなら、翌朝の予定を確認してからにした方がいいかもしれない。
協力系のオンラインゲームをもっと探しているなら

深海の潜水艦に乗り込む準備ができたなら、あとはボイスチャットをつないで「出航します」と言うだけだ。たぶん最初の15分で浸水して全員溺れる。でも、それでいい。それがスタートだ。エウロパの暗い海底はあなたたちクルーを待っている。出発前に酸素タンクの残量と原子炉の状態は確認したか?
Barotrauma
| 価格 | ¥5,500-50% ¥2,750 |
|---|---|
| 開発 | FakeFish, Undertow Games |
| 販売 | Daedalic Entertainment |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac / Linux |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

