「ターン制マップで内政して、リアルタイムで何万人もの軍勢を指揮する」——この一文だけで「難しそう」と感じた人がいるとしたら、その感覚は正しい。Total War: WARHAMMER IIIは確かに簡単なゲームじゃない。
でも2022年の発売から4年近くが経った今でも、Steam同時接続者数は2万人超えを維持し続けている。Immortal Empiresというモードが追加されてから、プレイヤーは「ウォーハンマー三部作の全コンテンツを1つのキャンペーンで遊べる」という、規格外の体験を手に入れた。
ピーク同接は166,519人。発売初日の数字だ。これはTotal Warシリーズ全体の歴史でも指折りの記録で、シリーズファンがいかにこの作品を待ち望んでいたかを示している。現在の直近30日評価は81%前後で好評を維持しており、全期間評価の「やや好評」からは継続的な改善が続いている。
この記事では、Total War: WARHAMMER IIIがどんなゲームで、なぜ長く遊ばれ続けているのか、そしてどこが光ってどこが辛いのかを正直に書いていく。ウォーハンマーを一切知らない人向けの世界観解説もあるので、ゼロから知りたい人にも読んでほしい。「ストラテジーゲームはやったことない」「ファンタジーのゲームには興味あるけど複雑そう」という人にも届けたくて、できるだけ丁寧に書いた。
はっきり言っておくと、このゲームは「買った瞬間から全部遊べる」タイプではない。最初の数時間はチュートリアルと格闘することになるし、種族の選択や内政の仕組みを理解するまでに時間がかかる。でも、その先にある体験は他のゲームでは得られないものだ。グリーンスキンの大軍団がドワーフの要塞を攻め落とし、カオスデーモンが旧世界に侵攻し、スケイブンが地下から帝国の都市を食い荒らす——そういう「規格外のスケールの戦争」を自分で指揮できるゲームが、Total War: WARHAMMER IIIだ。
Steamレビューを読んでいると「1,000時間遊んでまだ飽きていない」「次は何の種族でやろうか考えながら他の作業をしている」という声がある。こういう「ゲームの外でもゲームのことを考えてしまう」状態を作るゲームは数が少ない。Total War: WARHAMMER IIIはそういう種類のゲームだ。刺さる人には深く刺さる。そして「刺さった」と気づいたときには、すでに数百時間が経っているのがこのゲームだ。カオスの神々が現実に侵食してくるような、それくらいの吸引力がある。
「Total War: WARHAMMER III」公式トレーラー
ウォーハンマーとは何か——ゲームを始める前に知っておきたい世界観と設定

「ウォーハンマー」という言葉を聞いたことはあっても、それが何なのかよくわからない——という人は多いと思う。まずそこから整理したい。
ウォーハンマーはもともとイギリスのゲームズワークショップ社が1983年に発売したミニチュアゲームだ。金属やプラスチック製のフィギュアを自分で組み立てて塗装し、テーブルの上で戦わせるボードゲームの上位版みたいなもの。世界中に熱心なファンがいて、フィギュアを作ること自体がひとつの趣味として成立しているほど奥深い。日本では一部の趣味人の間では知られていたが、ゲームを通じて初めて知ったという人が大半を占める。
「ウォーハンマー ファンタジーバトル(Fantasy Battle)」と「ウォーハンマー40,000(SF版)」の2系統があり、Total War: WARHAMMER三部作が舞台にしているのはファンタジー版の世界、通称「旧世界(Old World)」だ。40,000の方はWarhammer 40,000: Space Marine 2のような現代のSF作品の舞台になっているので、混同しないようにしたい。
この旧世界は中世ヨーロッパを下敷きにしたダークファンタジーの世界で、人間の帝国、ドワーフ、エルフ、オーク(グリーンスキン)、吸血鬼、スケイブン(知性を持ったネズミ人間)、そして混沌の神々に仕える悪魔たちが、果てなき戦争を繰り広げている。善と悪に綺麗に分かれているわけではなく、どの勢力も「自分たちの理由」で戦っていて、世界全体に終末の予感が漂っている。明るくて爽やかなファンタジーを期待すると面食らうかもしれないが、この暗さこそがウォーハンマーの魅力だ。
Total War: WARHAMMER IIIで特に重要なのが「カオス(Chaos)」という概念だ。世界の外側には混沌の次元「カオスレルム(Realm of Chaos)」が存在し、そこには4柱のカオスの神が君臨している。
- コーン(Khorne):戦争・血・怒りの神。信者は理性を捨て純粋な戦闘衝動に身を委ねる。「血のために血を!頭蓋骨のために頭蓋骨を!」というキャッチフレーズで知られる。魔法を嫌い、純粋な近接戦闘に価値を見出す
- ティーンチ(Tzeentch):変化・魔法・策略の神。何重にも入り組んだ陰謀を好み、現実そのものを書き換えようとする。信者は変異し、鳥のような外見を持つものが多い
- ナーグル(Nurgle):疫病・腐敗・生命力の神。一見グロテスクだが、腐敗の中に再生と豊穣を見出す哲学を持つ。信者はなぜか陽気で、病気そのものを「ナーグルの贈り物」と喜んで受け入れる
- スラーネッシュ(Slaanesh):快楽・超過・美の神。感覚の極限を追い求め、快楽も苦痛も際限なく求める。優雅で美しい外見と腐敗した内面のギャップが独特
これらの神々は常に現実世界へ侵食しようとしており、Total War: WARHAMMER IIIのメインキャンペーンはこのカオスレルムへ踏み込む物語になっている。ゲームをプレイしながら「なるほどコーンの陣営はこういう戦い方をするのか」「ナーグルの疫病システムはこういう設定だったのか」と世界観とゲームプレイが紐づいていく体験は、他のゲームではなかなか味わえない。
Total War: WARHAMMER IIIでもう一つ大きな話題になったのが「大キャセイ(Grand Cathay)」と「キスレフ(Kislev)」という新種族の登場だ。大キャセイはウォーハンマーの設定では長年「東方に存在するが詳細不明」だった中国風の帝国で、Creative AssemblyとゲームズワークショップがTotal War用に新規設定を一から作り込んで実装した。不死の龍が皇族として国を治め、万里の長城を彷彿とさせる巨大な防壁「龍の壁」を持つ。独自の「陰陽バランスシステム」という内政メカニクスも実装され、単なる中国モチーフのコスプレではなくウォーハンマーの世界に根ざした種族として完成している。
キスレフはスラブ神話・ロシア民話を色濃く反映した人間国家だ。熊に変身できる戦士「ウィンタースルームサー(Wintersläufer)」、氷魔法を操る「アイスウィッチ」、戦場を駆け抜ける熊の騎馬部隊「コンプラニア・ベルダンシ」——他の種族とは全く異なるビジュアルと設定で、プレイヤーを引き込んだ。女性のロアドがキャラクターとして前面に出ており、ロアド・ラニア・ボゴダノヴァという氷の槍を使う英雄は特に人気が高い。
ミニチュアゲームのファンにとってはおなじみの世界観だが、Total Warシリーズで初めて触れる人も多い。実際「ウォーハンマーのゲームということで最初は敷居を感じたが、やったら普通にストラテジーゲームとして面白かった」という声はSteamレビューに山ほどある。用語の多さに最初は戸惑っても、実際に遊び始めると種族の個性が体感として理解できるようになってくる。
そしてウォーハンマーの世界観は「暗い」だけでなく「詳細」でもある。各種族の歴史、文化、宗教、軍事的特徴が長年にわたって作り込まれており、単に「エルフが戦う」ではなく「ハイエルフはなぜあれほど孤高でプライドが高いのか」「ダークエルフはなぜ奴隷制度を維持しているのか」という背景が存在する。ゲームをプレイしながら世界観の深さを知っていく体験は、単なるゲームプレイを超えた楽しさを持っている。ゲームを入り口にしてウォーハンマーのTRPGや小説へと興味が広がっていくプレイヤーも珍しくない。
また、旧世界は単なる「善対悪」の構図ではない。人間帝国は魔法使いを処刑することもあれば、敵対していた吸血鬼と一時的に手を組むこともある。ドワーフとエルフはかつて大戦争を起こした因縁の仲で、今でも不信感が残っている。スケイブンはすべての文明を裏切り続け、自分たちの存在すら表向きには否定している。こういう複雑な関係性がキャンペーンのドラマになっていく。
ゲームプレイにおいても、この世界観の「複雑さ」が反映されている。外交では中立的な勢力を友好的に保ちながら特定の敵を狙うか、多正面での戦争を受け入れながら短期決戦を狙うかという選択が迫られる。キャンペーン中に「かつての友が裏切った」「同盟の援軍が間に合わなかった」という出来事が起きたとき、ゲームの中の裏切りと旧世界の世界観の「どの勢力も信用ならない」という設定が重なる。世界観とゲームプレイが一体になった瞬間が、Total War: WARHAMMERの醍醐味の一つだ。
Total War三部作の歴史と3作目の位置づけ

Total War: WARHAMMER IIIは三部作の最終章だ。1作目(2016年)、2作目(2017年)と続き、6年かけて完成した巨大プロジェクトの結末にあたる。
まずTotal Warというシリーズ自体について説明しておく。Creative Assemblyというイギリスの開発会社が2000年から展開している老舗ストラテジーゲームシリーズで、「ショーグン」「ローマ」「ナポレオン」など歴史上の戦争をテーマにした作品を作り続けてきた。リアルな歴史ゲームとして知られていたこのシリーズが、2016年にゲームズワークショップとコラボしてウォーハンマーの世界観を採用した——これが1作目だ。
歴史シリーズのファンからは「ファンタジー版はどうなんだ」という懐疑的な意見もあったが、蓋を開けてみると大成功だった。ドラゴンや魔法使いが戦場に登場する体験は歴史ゲームでは不可能で、ウォーハンマーの世界観との相性が抜群だった。ウォーハンマーのミニチュアゲームファンの間では「あのフィギュアが実際に動いている」という体験が熱狂的に受け入れられた。
1作目では人間帝国・ドワーフ・グリーンスキン・ヴァンパイアカウントという4勢力でスタートし、ゲームシステムの土台を作った。キャンペーンマップは「旧世界」の西側が舞台。今と比べるとコンテンツ量は少ないが、シリーズの可能性を証明した。発売後もDLCでブレトニア(騎士道の国)、ウッドエルフ、ノルスカなどが追加された。

2作目では新大陸「ニューワールド」と「うずまく大渦(The Vortex)」を中心に、ハイエルフ・ダークエルフ・リザードマン・スケイブンが登場。「大渦の儀式」を巡って勢力が争うキャンペーンが軸になった。2はリリースから5年かけて大量のコンテンツを追加され、多くのプレイヤーにシリーズ最高傑作と言われるほど完成度が高い。特にウォーサイン・キャンペーンや細かなバランス調整が積み重なり、2022年の3発売前でも「まだ2の方が完成度高い」という声が聞かれたほどだった。2でしか遊べない種族や固有コンテンツも多く、今でも独立した作品として十分に楽しめる。

そして3作目。前述の通り大キャセイとキスレフという新しい人間勢力と、カオスの4陣営、デーモン・プリンスが加わった。デーモン・プリンスは自分でカスタマイズできる主人公的な存在で、4柱のカオスの神から力を借り、どの神を重視するかでユニットや能力が変化するという固有設計を持つ。「自分だけのカオス将軍を育てる」という体験は三部作でも初めての試みだった。
3作目で改善されたゲームシステムとして、まず市街地戦(Siege Battle)がある。都市への攻城戦では建物を占拠しながら戦う市街戦モードが前作より作り込まれ、防衛側が建物を活かして戦う面白さが増した。また、マルチプレイが最大8人対応になり、同時ターン進行(Simultaneous Turns)機能で複数プレイヤーが並行してターンを進められるようになった。この規模の協力プレイに対応したストラテジーゲームは世界的に見ても数が少ない。
三部作を通じて感じるのは、Creative Assemblyがウォーハンマーという世界観に誠実に向き合い続けたということだ。単なるライセンス商品ではなく、ゲームズワークショップと密に連携しながら「ゲームの中でウォーハンマーの設定を正しく実装する」ことにこだわり続けた。大キャセイのような「ゲーム用に新規に作られた設定」でさえ、公式の世界観に矛盾しない形で作り込まれており、ミニチュアゲームファンからも概ね好評を得た。2025年にはゲームズワークショップがウォーハンマー ファンタジーバトルの後継「The Old World」というミニチュアゲームをリリースしたが、Total Warとの相乗効果で旧世界の設定への関心が改めて高まっている。
ゲームシステムの二層構造——ターン制戦略とリアルタイム戦闘
Total War: WARHAMMER IIIのゲームプレイは、大きく2つのフェーズに分かれている。このシステムを理解すると、なぜ「ただのRTSでも、ただのターン制でもない」独特な体験になるのかがわかる。
キャンペーンマップ(ターン制)
これは戦略レベルの意思決定フェーズだ。広大なマップ上で自分の勢力の都市・軍を管理し、1ターンごとに行動を行って「ターン終了」を押すと相手AIがターンを進める。Civilization系のゲームに近い感覚だ。
キャンペーンマップでできることは多岐にわたる。都市に建造物を建てて収入を増やしたり、ユニットを雇用したり、外交で同盟を結んだり宣戦布告したり、技術ツリーを研究して軍や内政を強化したり。そしてここが面白い部分だが、種族によって固有の内政システムが存在する。
たとえばナーグル陣営は「腐敗(Corruption)」をマップ上に広げることで占領した土地に恩恵を受ける仕組みを持つ。スケイブンは「アンダーエンパイア(Under-Empire)」と呼ばれる地下ネットワークを構築し、地下から敵都市に奇襲できる。大キャセイは陰陽のバランスを保つことでボーナスが入り、偏りすぎるとデメリットが発生する。ドワーフは「怨恨の書(Book of Grudges)」に受けた不正を記録し、それを解消することで強化ボーナスが入る。
これらの固有システムが、単純な「都市を建てて軍を動かす」という戦略ゲームに、それぞれの種族らしい物語性と戦略的深みを与えている。
リアルタイム戦闘(バトル)
キャンペーンマップで敵の軍と接触したとき、リアルタイム戦闘に移行する(オートリゾルブも可能)。このバトルパートが「ウォーハンマー系」の最大の見どころだ。
ユニットの種類は大きく分けて近接歩兵、弓兵・銃兵(射撃)、騎兵、砲兵・投射兵器、空中ユニット、怪物・巨大生物、魔法使い(ウィザード)に分類される。歴史モノのTotal Warと決定的に違うのは、ここに「飛行ユニット」と「魔法」と「モンスター」が加わる点だ。
飛行ユニットは地上の地形に関係なく移動でき、空から後衛の弓兵を強襲したり、孤立した将軍を狙ったりする。グリフィンに乗ったハイエルフの騎士、翼竜(ドレイク)に乗ったダークエルフ、ワイバーン(飛竜)に乗ったオークのウォーボス——これらが戦場を縦横無尽に飛び回る。地上の歩兵部隊が密集して盤石の防衛線を張っていても、空から突然侵入されると後衛が崩壊する。この三次元的な戦場管理が、ウォーハンマー戦闘の面白さの核心だ。
魔法は「風(Wind)魔法」と「呪文(Spell)」に分かれ、ウィザードが戦場で詠唱することで効果を発揮する。火球を投げて歩兵の密集を蹴散らしたり、己の部隊をバフしたり、敵の動きを呪いで遅くしたり。「オーバーキャスト(Overcast)」という強化詠唱もあり、成功すれば通常より強力な効果が出るが、失敗するとウィザード自身にダメージが入る。魔法をいつ、どこに使うかという判断が戦況を左右する。
怪物ユニットは体力が高く、複数の歩兵ユニットを同時に相手できる。ドワーフのゴーレム、スケイブンのラットオーガ、コーン陣営のブラッドサースター(コーンの上級デーモン)——単体でも戦場に大きな影響を与えるユニットたちだ。ただし怪物ユニットは集中砲火されると案外早く倒れるので、守るための補助ユニットとセットで使う必要がある。
レジェンダリーロード(Legendary Lord)は固有の能力と専用のスキルツリーを持つ英雄的な将軍で、戦場でも単体で多くの敵を相手できる。コーンの悪魔コルタナックス、スケイブンのキャリックス・ツォーン、キスレフの女王カチン・ボリソヴナなど、個性豊かなキャラクターたちが勢力の顔として機能している。プレイしているうちに「このロードを使うとこういう戦い方になる」という理解が深まり、お気に入りのロードができてくる。
基本的な戦術は「アンビル&ハンマー」と呼ばれるもので、近接歩兵を正面で敵を受け止め(アンビル=鉄床)、その間に騎兵やモンスターで側面か背後から強襲する(ハンマー)。これだけで多くの戦闘は対処できるが、相手もその対策をしてくるので状況に応じた応用が必要になる。地形を活用した守備陣地の構築、射撃ユニットへの集中攻撃、魔法のタイミング——考えることは多いが、それが面白さでもある。
戦闘における士気(モラル)システムも重要だ。Total Warシリーズ共通の仕組みとして、ユニットの士気が下がると敗走し始める。ウォーハンマーでは「恐怖(Fear)」や「恐慌(Terror)」という概念があり、特定のモンスターや悪魔系ユニットは周囲の敵ユニットに恐怖を与え、自動的に士気を下げる効果を持つ。コーンのグレーターデーモン「ブラッドサースター」が突撃してきたとき、敵の歩兵部隊が恐慌して逃げ始める——こういう場面がゲームのビジュアル的な見どころの一つになっている。
また、レジェンダリーロードや英雄ユニットは「デュエル(決闘)」という仕組みを持つ。敵の将軍や英雄と一対一で戦わせ、倒すと戦場全体の士気に影響を与えることができる。自軍の指揮官が敵の指揮官を倒した瞬間に敵全体の士気が崩壊して総崩れになる——そういう映画的なカタルシスがWH3の戦闘には存在する。
戦闘の難しさという点では、難易度「通常」ならオートバトルでもある程度戦えるが、手動で戦うことで戦果が上がることが多い。特に数的に不利な状況や、自軍の種族的に得意な戦術が使える場面では、手動戦闘が逆転のカギになる。「内政はしっかりやりたいが戦闘は面倒」という人はほぼオートで進めることもできる設計になっているので、そういう遊び方もできる。
Immortal Empires——三部作の全てが一つに統合されたとき

Total War: WARHAMMER IIIの話をするとき、Immortal Empiresを避けて通ることはできない。2022年8月に追加されたこのモードが、ゲームを根本から変えた。
Immortal Empiresとは「三部作の全マップ・全種族・全勢力を1つのキャンペーンに統合したサンドボックスモード」だ。WH3本体に含まれており無料で遊べるが、WH1またはWH2を所有していると使える種族・勢力の幅が大幅に広がる。マップのスケールは旧世界からニューワールド、遠東のカソールまで含む巨大なもので、550か所超の都市、270以上の勢力、86人の伝説の将軍(レジェンダリーロード)がひとつのキャンペーンに収まっている。
これがどれだけ規格外かというと、たとえば「スケイブン(ネズミ人間)でヴァンパイアカウント(吸血鬼の国)を滅ぼしながら、北方のカオス陣営とも戦い、ついでに南海でリザードマンと戦争している」という状況が普通に起きる。1作目・2作目のキャラクターが同じ舞台に立ち、ファン待望の「もしこの勢力同士が戦ったら」が全て実現できる。
ResetEraのスレッドでは「Immortal Empiresは見過ごされた傑作(A overlooked masterpiece)」というタイトルで長文の称賛投稿がされ、「このゲームはもっと評価されるべきだ」という議論が続いた。Kotakuのレビューは「過去何年かで最高のTotal Warキャンペーン」と評し、TheGamer.comは「最高の意味で圧倒的」と書いた。海外では9.5/10という評価をつけるレビュアーもいた。
WH1またはWH2を持っていると、それらの種族・レジェンダリーロードがImmortal Empiresで追加解放される。WH1持ちならヴァンパイアカウントや人間帝国(WH1版固有ロード)、WH2持ちならハイエルフやリザードマンやダークエルフが使えるようになる。三部作全てを揃えると最大限のコンテンツにアクセスできる仕組みだ。
Immortal Empiresの「大陸の構成」についても少し説明しておく。マップは大きく「旧世界(WH1のマップ)」「ニューワールド(WH2のマップ)」「カソール(WH3のマップ)」に分かれており、それぞれの種族が地理的に適した地域に配置されている。たとえばリザードマンはニューワールドの熱帯ジャングルを支配し、グリーンスキンは旧世界の中央山岳地帯を縄張りにしている。プレイヤーはどの地域からキャンペーンを始めるかによって、最初に相手取る勢力が大きく変わる。遠い地域の種族と覇権を競うためには、何十ターンもかけて版図を広げていく必要がある。
インモータルエンパイアが追加されてから別ゲームになった。カオスキャンペーンが合わなかった人も、こっちは普通に楽しめると思う。ターン進行が重くなるのは難点だけど、それを差し引いても十分すぎる内容がある。
引用元:Steamレビュー
Immortal Empiresのゲームの終わり方は「50の都市を占領する(ショートキャンペーン勝利)」か「勝利条件の都市数と特定勢力の壊滅(ロングキャンペーン勝利)」かの2種類が基本だ。ただし「キャンペーンをクリアしたから終わり」ではなく、勝利条件を達成した後も無限に遊び続けられる。「もう一つの大陸まで制覇してみよう」「いや、ここでもう一回最初からやろう」という形で自然に続けることになる。
一方で正直な課題も書いておく。Immortal Empiresのマップはあまりに広大なせいで、AIの処理が重くなり1ターンの待ち時間が増える。SSDがほぼ必須と言われるのはここが大きい。HDDで遊ぼうとすると、AI処理の待ち時間が体感でかなり長くなる。終盤になると1ターンに1〜2分かかることもあるという報告がある。マップの広さとコンテンツの豊かさは表裏一体で、快適に遊ぶためのPC環境の整備が重要になる。
Realm of Chaos(本体のメインキャンペーン)との対比で言うと、このImmortal Empiresこそが多くのプレイヤーにとっての実質的なメインコンテンツになっている。Realm of Chaosはカオスレルムへの遠征が義務的に組み込まれた構造で、純粋なサンドボックスを求めるプレイヤーには合わないという声が多かった。Immortal Empiresはそういったプレイヤーが期待していた「自由に好きな勢力で世界を征服する」という体験を提供している。
種族と固有メカニクスの多様性——なぜ長く遊び続けられるのか
Total War: WARHAMMER IIIが他のストラテジーゲームと最も違う点の一つが、種族(Race)ごとにゲームプレイスタイルが根本から変わることだ。同じゲームで10種類以上の「別のゲーム」が遊べると言っても過言ではない。
以下に主な種族のプレイスタイルと固有システムを紹介する。
人間帝国(The Empire)
銃兵・大砲・騎兵を組み合わせた、比較的オーソドックスな「ナポレオン戦争」スタイル。近接歩兵で敵を受け止めながら後衛の銃兵と砲兵が削り、騎兵で側面を取る。内政も標準的な都市発展型で、Total War初体験の人が最初に触れやすい種族の一つ。2024年のThrones of DecayではエルスペスというWH2以来の人気キャラが新ロードとして追加され、帝国の選択肢がさらに広がった。
ドワーフ
「怨恨の書(Book of Grudges)」という固有メカニクスが特徴。敵から不正を受けたときに怨恨を記録し、それを解消することで強化ボーナスが入る。戦闘は重装甲の歩兵と精度の高い銃兵・大砲が中心で、機動力は低いが防御力は屈指。「陣地を固めて敵を待ち受ける」プレイが好きな人に向いている。Thrones of DecayではマラカイというWH2で大人気だったドワーフのレジェンダリーロードが追加され、専用の飛行船「サンダーバージ(Doomsphere)」まで実装された。ドワーフなのに空を飛ぶという衝撃の光景が大きな話題を呼んだ。
スケイブン(Skaven)
数量と搦め手で押し潰すスタイル。安いユニットを大量に揃えて波状攻撃を仕掛け、敵の士気を崩す。個々のユニット性能は低いが、使い捨て前提で量を活かす戦術が面白い。敗走したスケイブン兵が逃げる途中に仲間を踏み潰して混乱を引き起こすのが何とも言えないリアルさがある。地下ネットワーク「アンダーエンパイア」で内政しながら、突然敵の都市に地下から奇襲できる固有システムも他の種族にはない体験だ。「超高度化学兵器(Doomrocket)」のような独自ユニットも多く、スケイブンのゲームは常にカオスだ。
グリーンスキン(Greenskins)
ワーアーグ(Waaagh!)システムが固有メカニクス。戦争を続けるほどオーク全体の戦意が高まり、戦意が最高潮に達すると隣の勢力から「ワーアーグ!」と叫びながら大量の無料オーク軍が駆けつける。「勝ち続けることで強くなる」スノーボール戦略が面白い。オークはシリーズ1作目から登場している古参種族で、荒々しい近接戦闘と大型の怪物ユニットが魅力。
コーン陣営(Khorne)
純粋な戦闘特化。魔法を一切使わず(コーンは魔法を嫌う)、近接戦闘と流血でボーナスが入る「血の勲功(Blood Tithe)」システムで強化を重ねる。射撃ユニットがほとんどなく弓矢攻撃への対策が限られるのが弱点だが、ブラッドサースターをはじめとした強力な近接モンスターを揃えてゴリ押す爽快感は独特だ。「とにかく戦って、流血させて、暴れる」というシンプルさがコーンらしい。
ナーグル陣営(Nurgle)
疫病と腐敗で地図を汚染しながら広げる「腐敗システム」が固有要素。占領した土地に腐敗を広げることでナーグル軍はボーナスを受け、敵はデメリットを受ける。体力の高い近接ユニットと持続ダメージを与える毒が戦闘の軸。腐敗をどのルートで広げるかという「疫病マップ管理」が独特の戦略的面白さを持つ。じっくり時間をかけて相手を疲弊させるスタイルが好きな人に向いている。
カオスドワーフ(DLC)
奴隷を使った工業的な内政と、強力な砲兵・機械ユニットが特徴。通常のドワーフの丁寧な職人文化を悪に歪めたような設定が独特で、奴隷の確保が内政の根幹を占める。重工業的なユニット——蒸気動力の超重戦車、火炎砲を搭載した機関車型兵器——のビジュアルインパクトが大きく、DLCの中でも人気が高い。
ウォーハンマー3の好きなところは、陣営ごとにやることが全然違う点。ナーグルで腐食マップ作ってたと思ったら次はキスレフで熊みたいな氷魔法使いを走り回らせてる。飽きる前に別の陣営に移れるのが長続きの理由だと思う。
引用元:はてなブログ「つれづれなる日記」
初心者には帝国(The Empire)かドワーフが入りやすいと言われることが多い。ユニット構成がわかりやすく、内政の複雑さも標準的なレベルに収まっているから。カオス陣営やスケイブンは慣れると非常に面白いが、固有メカニクスが独特なので最初は少し戸惑う可能性がある。チュートリアルを終えたら自分の「好みの世界観」に近い種族を最初の目安にするといい。
種族の多様性という点では、プレイ時間が増えるにつれて「次はあの種族で遊んでみよう」というモチベーションが自然に生まれてくる。「ハイエルフでキャンペーンをクリアした。次はグリーンスキンで真逆のプレイスタイルを試そう」——この繰り返しがWH3の長期的なリプレイ性を支えている。実際に1,000時間以上プレイしているプレイヤーが珍しくないのも、この「次の種族へ」という引力があるからだ。
また、同じ種族でも選ぶレジェンダリーロードによってキャンペーンの方向性が変わる。帝国なら「カール・フランツ皇帝」と「マルカス・ウォルフハルト」では、使える部隊構成も開始地点も固有スキルも全く異なる。全ての種族のロード分を網羅しようとすると、気づけば何十回もキャンペーンを始め直していることになる。
DLC構造と評価の現実——何が必要で何が不要か

ここは正直に書く必要がある。Total War: WARHAMMER IIIはDLCが多い。というか、三部作全体でのDLC量が膨大で、全部揃えると本体価格の何倍にもなる。Steamのコミュニティでは「DLCの量に圧倒される(intimidating amount of DLC)」という書き込みが定期的に投稿されているほどだ。
ただし重要なのは「どのDLCが必須か」を整理することだ。本体だけで遊べる内容は十分にある。キスレフ、大キャセイ、4柱のカオス勢力(コーン・ティーンチ・ナーグル・スラーネッシュ)、デーモン・プリンスがベースゲームに含まれており、Immortal Empiresも本体に含まれている。WH3だけで500時間以上遊んだというプレイヤーは珍しくない。
主なDLCを発売順に整理すると:
- Ogre Kingdoms(2022年2月、発売同時):オーガという種族を追加。大きくて力強い怪力の巨人族で、食べ物を通貨代わりに使う固有メカニクスが面白い。肉食の軍団を率いて戦場を蹂躙するスタイルが独特
- Champions of Chaos(2022年8月):カオスチャンピオンという人間とデーモンの中間のような存在を主役にした独自キャンペーンを追加。4柱のカオスの神から力を集めながら進む、テーマ性の強いキャンペーン
- Forge of the Chaos Dwarfs(2023年4月):カオスドワーフという人気種族を追加。奴隷を使った工業的な内政と、蒸気機関を活用した兵器が特徴的。DLCの中でも評価が高い
- Shadows of Change(2023年8月):大キャセイ・ティーンチ・グランドキャセイに新レジェンダリーロードと固有ユニットを追加。発売直後は内容と価格のバランスへの批判があったが、後に大型アップデートで補強された
- Thrones of Decay(2024年4月):帝国・ドワーフ・ナーグルに新レジェンダリーロード(エルスペス・マラカイ・タムルカン)と大量の新ユニットを追加。マラカイのサンダーバージが特に話題に
- Tides of Torment(2025年後半):ノルスカとハイエルフへの大規模リワーク、スラーネッシュ強化を含む大型DLC。Update 7.0と同時リリース
DLCの価格について、各パックは単品で1,000〜2,500円程度。ただしセール時には50〜75%引きになることが多く、Steamのウィッシュリスト登録をしておけばセール通知が来る。慌てて全部揃える必要はなく、好きな種族のDLCだけ買い足すのが賢い選択だ。WH1・WH2をセールで揃えることも、Immortal Empiresの幅を広げるために有効だ。
DLCが多すぎて何を買えばいいかわからないというのは理解できる。でもセールを狙えばトータルで見ると安くなる。自分の場合はスケイブンで500時間遊んで、その後カオスドワーフが気になってDLC買った。それで十分元が取れてる。
引用元:Steamレビュー
ただし、Steamのレビューを見ると「お気に入りの種族(例:帝国やブレトニア、エルフ各種)がDLCの後ろに隠れていて、やりたいことをするのに追加費用がかかる」という声は根強い。特に「ブレトニア(騎士道の国、フランス中世騎士団をイメージした種族)」はWH1でDLCとして追加された後、WH3のImmortal Empiresでも使えるものの、固有のキャンペーン内政システムが他の種族ほど充実していないという批判がある。「ブレトニアのアップデートはいつ来るのか」はコミュニティの定期的な話題になっている。
また「Shadows of Change」は発売直後、コンテンツ量に対して価格が高すぎるという批判を受け、その後大型の無料アップデートで追加コンテンツが提供された。DLCの評価はリリース直後と数ヶ月後で変わることがあるため、即購入より少し様子を見てレビューを確認するのも一つの手だ。
なお、大型アップデート(メジャーパッチ)は各DLCと同時にリリースされることが多く、DLCを購入していないプレイヤーでも既存コンテンツのバランス調整や新機能の恩恵を受けられる。つまり「DLCは買わなくても、定期的にゲームが改善される」という仕組みになっている。これはCreative Assemblyが長期的なコミュニティ維持を意識した設計で、DLCを購入しているプレイヤーと購入していないプレイヤーが一緒に遊べるマルチプレイ環境を保つためでもある。
DLC購入の判断基準としては「その種族でキャンペーンをやってみたいと思うか」が一番わかりやすい指標だ。「カオスドワーフがかっこいいと思う」「マラカイのストーリーが気になる」「オーガで暴れ回りたい」——そういう具体的な動機があるならDLCを買う価値は高い。逆に「とりあえず全部揃えなきゃ」と思う必要はない。好きな種族や世界観を軸に、必要なものだけを選ぶのが賢い消費の仕方だ。
発売直後の炎上と、4年間の評価回復の軌跡
Total War: WARHAMMER IIIは2022年2月17日に発売されたが、発売直後に予想外の出来事が起きた。中国語圏のプレイヤーから大量の低評価レビューが寄せられたのだ。
Game*Sparkの当時の報道によると、発売から2日以内に中国語レビューの67%が否定的で、これは英語圏の否定的レビュー25%と比べて際立って高い割合だった。原因はマーケティングの失敗とされている。中国語圏向けに選ばれた配信者たちがTotal Warシリーズに不慣れで、ゲームをネガティブな形で紹介してしまったこと、さらにスポイラー防止措置が不十分だったことが重なった。ゲームの内容そのものへの不満ではなく、マーケティングへの抗議としてレビュー爆撃が起きた形だ。
これは実際のゲームの品質とは別の問題だったが、Steamの総合評価に影響を与えた。現在でもSteam全期間評価が「やや好評」(70%前後)に留まっているのには、この発売直後の低評価が残っているという背景がある。この点は、ゲームを評価する際に念頭に置いておきたい。
ゲームの実際の歩みを年表で整理すると:
- 2022年2月:発売直後に中国語低評価レビュー問題発生。Steamピーク同接166,519人は記録したものの、Steamレビューは荒れた状態に
- 2022年8月:Immortal Empires実装。ゲームの評価が急回復。「別ゲームになった」「ついにやるべきゲームになった」という声が相次ぐ
- 2022年〜2023年:Forge of the Chaos Dwarfs、Shadows of Changeと連続DLC。各DLCに合わせた大型無料アップデートも実施
- 2024年4月:Thrones of Decay DLC。ドワーフのサンダーバージが大きな話題になり、シリーズファンから好評を博す
- 2025年:Total Warシリーズ25周年。Tides of Torment DLCとUpdate 7.0でノルスカ・ハイエルフ大規模リワーク
- 2026年現在:Steam同接2万人超えを継続維持。直近評価81%で好評圏を維持
発売直後に手を出したプレイヤーと、Immortal Empires追加後に始めたプレイヤーでは体験が大きく異なる。今から始める人は「改善後のWH3」から入れるという意味で、むしろ恵まれたタイミングと言える。
WH3の評価回復の軌跡は、ゲーム業界でも興味深い例の一つだ。発売直後の騒動と評価の低下という逆境から、Immortal Empires実装という大きな転換点を経て、継続的なアップデートで評価を積み上げていった。「ゲームは発売時の状態が全てではない」という好例でもある。2025年のCreative AssemblyのブログポストではWH3のコミュニティへの感謝が述べられており、2026年も継続的なサポートが見込まれる。Creative Assemblyはシリーズ25周年を祝いながら、WH3をシリーズの旗艦タイトルとして位置づけ続けている。
また、日本語公式非対応という点については、SEGAが2025年に「今後発売するTotal Warタイトルでは日本語完全対応を予定している」と発表したことが報じられており、将来的には日本語対応の可能性がある。ただしWH3の既存コンテンツに遡って対応されるかどうかは不明だ。現状では引き続きMODに頼る形になる。
1,000時間以上プレイしてる。毎回「次のキャンペーンでこの陣営を試してみよう」ってなって止まらない。Immortal Empiresが来てから特に。三部作全部の種族が使えるって、これだけでゲームの寿命が3倍になった感じ。
引用元:Steamレビュー
Total Warシリーズはずっと歴史モノをやってきたけど、ウォーハンマーは別物の楽しさがある。ドラゴンに乗ったエルフ姫が騎士団の突撃に応戦するって、歴史ゲームじゃ絶対できない体験。
引用元:Steamレビュー
相変わらず面白い。AI陣営の動きが2より賢くなって、後衛のユニットを狙ってくるような動きを繰り返しやってくる。難易度を上げるとかなり考えさせられる戦闘になる。
引用元:はてなブログ「つれづれなる日記」
一方でネガティブな声として繰り返し挙がるのは以下の3点だ。
SSD必須なのは覚悟してたけど、それでもAIターンの待ち時間が長い。Immortal Empiresは特にひどくて、終盤になるとAIターンだけで1〜2分かかることがある。ゲーム自体は好きだけど、こればかりはストレスが溜まる。
引用元:Steamレビュー
日本語非対応なのが厳しい。MODで日本語化できるのは知ってるけど、翻訳の精度が場所によってバラバラで、ゲームの用語(固有名詞)が多いだけにわかりにくいところがある。
引用元:Steamコミュニティ
ケイオス陣営で射撃ユニットが少ないのが本当につらい。コーンで弓矢系の陣営と戦うときは近づく前に削られてジリ貧になる。使う陣営によって戦いやすさが大きく変わるから、相性の問題をある程度覚悟しないといけない。
引用元:Steamコミュニティ
2026年に始めるなら——初心者向けの入り方とまとめ
今からTotal War: WARHAMMER IIIを始めることを考えている人向けに、実際の入り方を整理しておく。
まずチュートリアルはしっかりやる
このゲームはいきなり本番のキャンペーンに入ると、見た目にも情報量にも圧倒されやすい。チュートリアルはシリーズ初体験の人向けに作られていて、ターン制のキャンペーン操作とリアルタイム戦闘の両方を段階的に教えてくれる。「ちょっと遠回りかな」と思っても、チュートリアルを終えてからキャンペーンに入る方が結果的に早く楽しめる。わからないことはSteam Guides(ガイド)にもコミュニティの知識が蓄積されているので、積極的に活用したい。
難易度設定は独立して調節できる
難易度設定はキャンペーン難易度と戦闘難易度を別々に設定できる。最初はキャンペーン「通常」・戦闘「通常」でいい。ストラテジーゲームに慣れている人はキャンペーン難易度を「難しい」に上げて、戦闘はオートバトルで省力化するやり方もある。「戦闘は手動でやりたいけどキャンペーンの内政は難しすぎる」なら逆の設定もできる。自分のプレイスタイルに合わせて組み合わせを試してほしい。
最初の種族選び
勢力選びで迷ったら、まずキスレフかドワーフを試してほしい。キスレフはロシア・スラブ風の人間国家で、強力な氷魔法と熊に変身する戦士が特徴的。ビジュアルのインパクトが強く、最初の体験としてのめり込みやすい。ドワーフは火器と重装甲を中心にした「守りを固めて機を待つ」スタイルで、ユニット性能が安定していてわかりやすい。帝国(The Empire)も初心者向けの定番で、銃兵・砲兵・騎兵という標準的な構成で戦術の基本を学べる。
1作目・2作目を先に買うべきか
よくある質問だ。答えは「どちらかを先にやる必要はない」。現在はWH1またはWH2を持っていると3のImmortal Empiresで使える種族・勢力が増える仕組みがあるが、WH3単体でも十分に遊べる内容がある。WH1・WH2はセール時に安く入手できるので、WH3でシリーズを好きになってから後で買うのが現実的なルートだ。
日本語化MODとPCスペック
公式日本語非対応だが、Steam Workshopには日本語化MODが複数公開されている。翻訳の精度はMODによって差があるが、ゲームの進行は十分に理解できるレベルのものがある。MODはゲーム本体のアップデートで動かなくなることがあるので、最近更新されているものを選ぶのが無難だ。
PCスペックについてはSSDを強く推奨する。Immortal Empiresのマップが広大なため、AIの処理とロード時間に直結する。CPUはシングルコア性能が重要で、GPU性能と同じかそれ以上に気を使う必要がある種類のゲームだ。公式推奨スペックはそこまで高くないが、快適に遊ぶにはSSD環境があった方がいい。
MOD環境の充実
Steam Workshopには日本語化だけでなくゲームバランス調整MOD、新ユニット追加MOD、グラフィック強化MOD、完全新規の種族を追加するMODなど数千のMODが公開されている。バニラ(無改造)で楽しんだ後にMODを試すと、またゲームが変わって見える。コミュニティが長く活発に続いているゲームならではの豊かさだ。
特に「SFO(Softening the Hammer of Chaos)」というバランス調整MODは長年にわたってコミュニティから高い評価を得ており、ゲームの難易度バランスをより洗練された形に整えてくれる。バニラのゲームバランスに不満を感じたプレイヤーが真っ先に試すMODとして知られている。また「Radious Total War」シリーズのMODも複数の変更を加えた総合改変として人気がある。
マルチプレイについても少し補足しておく。Immortal Empiresのキャンペーンマルチプレイは最大8人まで対応しているが、実際に8人でキャンペーンを完走するのはかなりの時間コミットが必要になる。2〜3人の友人との協力プレイが現実的な範囲だ。マルチプレイでは対戦(Custom Battle / Quick Battle)モードも利用でき、手を動かすリアルタイム戦闘だけを友人と楽しむことも可能だ。1試合あたり30分〜1時間程度で終わることが多く、フルキャンペーンに時間を使えない人でも気軽に遊べる。
似たタイプの大戦略ゲームとしてMount & Bladeシリーズも遊んでいる人には、スタイルの違いを感じる比較体験が面白い。

ロールプレイング的な物語体験を求めるなら百英雄伝のような作品も選択肢に入る。

また、ドラゴンズドグマ2のようなアクション寄りのファンタジーを好む人には、ターン制要素が中心のWH3は少し方向性が違うかもしれないが、ファンタジー世界への入り口として共通する楽しさがある。

最後に、Total War: WARHAMMER IIIが向いている人と向いていない人を正直にまとめておく。
これだけ書いてきたが、実際にゲームを遊んでみて「思ってたより全然わかりやすかった」と感じるプレイヤーも多い。ストラテジーゲームの壁というのは多くの場合「最初の敷居」であって、チュートリアルと数時間の試行錯誤を超えると急速に面白さが加速する。「ウォーハンマーって難しそうでしょ」という偏見を持っていた人が、気づいたら50時間遊んでいたというのはよくある話だ。
Total War: WARHAMMER IIIの強みを一言で表すなら「世界の広さ」だと思う。地理的なマップの広さではなく、遊び方の広さ、種族の数、戦術の幅、世界観の深さ——全部含めた「広さ」だ。最初に選んだ種族で100時間遊んでも、次の種族に移ると「こんなに違うゲームがあったのか」という感覚を味わえる。この体験の幅広さが、長期プレイヤーを生み続けている理由だと思う。
「向いている人・向いていない人」を整理したが、正直なところ「ちょっと気になってる」というレベルの興味があれば試してみる価値はある。セール時の価格は数百円台になることもあり、リスクは低い。「合わなかった」と感じたとしても、何十時間も費やす前に判断できるはずだ。逆に「もっと早く遊んでおけばよかった」という感想を持つプレイヤーが多いことも付け加えておく。チュートリアルを我慢して超えた先に、何百時間も遊べるゲームが待っている。
向いている人:大戦略とリアルタイム戦闘の両方を楽しみたい人、ファンタジー世界観でドラゴン・悪魔・魔法使いが戦場に出てくる光景が好きな人、500時間以上遊べるコンテンツ量を求めている人、種族ごとの全く異なるプレイスタイルを何度も試したい人、最大8人のマルチプレイキャンペーンを楽しみたい人、MODでゲームをカスタマイズしたい人。逆に言えば、「ファンタジー世界観のストラテジーゲームを長く遊びたい」と思っている人なら、WH3はほぼ確実に刺さるゲームだ。
向いていない人:シンプルなRTSだけ遊びたい人(キャンペーンが主軸なので)、英語が苦手で日本語対応を重視する人(ただし日本語MODで対応可能)、サクサク進むゲームが好きでターン待ちが気になる人、DLCなしで全コンテンツを遊びたい人(本体だけでも十分遊べるが)、ストーリーをじっくり楽しみたいRPG派の人、HDDのみでSSDへの移行が難しい人。ただし「向いていない」項目の多くには括弧内に書いたような「実は対応可能な手がある」ケースも含まれているので、完全な諦め理由にはならないかもしれない。
一点補足しておくと、「英語が苦手」という点については完全に諦める必要もない。前述の日本語化MODを使えば大半のテキストは日本語で読めるし、Total War WARHAMMERのコミュニティには日本語の攻略情報も豊富にある。wikiwiki.jpにTotal War WARHAMMER III日本語Wikiが存在し、初心者向けの解説から上級者向けの攻略まで整備されている。最初はMODと日本語情報を活用しながら遊び、慣れてからゆっくり英語にチャレンジするというルートもある。
セール情報についても触れておく。WH3本体はSteamで頻繁にセールになり、75%OFFの実績がある。WH1・WH2も同様で、三部作まとめて割引になるバンドルセールも定期的に開催される。Steamの「Total War: WARHAMMER」コレクションウィッシュリスト登録をしておくと、セール時に通知が届く。初めて手を出すなら、本体がセールになったタイミングを狙うのがベストだ。三部作まとめて安く揃えて、一気にImmortal Empiresの世界を最大限に楽しむ——これが最もコスパの高い入り方だと思う。
Total War: WARHAMMER IIIは4年近くかけて着実に成長してきたゲームだ。Immortal Empiresという「三部作の総決算」が実装され、定期的なDLCとアップデートで各種族が磨かれ続けている。550か所超の都市、270以上の勢力、86人のレジェンダリーロード——これだけのコンテンツ量と種族の多様性を持つストラテジーゲームは世界的に見ても数が少ない。「ウォーハンマーに興味はあったけど複雑そうで手が出なかった」という人にとって、今のタイミングはむしろ入りやすい。難しいか、という問いへの正直な答えは「最初の10〜20時間は間違いなく難しい」だ。でも覚えてしまえば、あとは自分の好みの種族で何百時間でも遊べる。ピーク同接166,519人を叩き出した熱狂は、今も確かにそこにある。三部作という長い旅を終えて、ウォーハンマーの世界はImmortal Empiresの中で今も広がり続けている。それがこのゲームの本当の魅力だ。


Total War: WARHAMMER III
| 価格 | ¥7,000 |
|---|---|
| 開発 | CREATIVE ASSEMBLY, Feral Interactive |
| 販売 | SEGA, Feral Interactive |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac / Linux |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

