悪魔に取り憑かれた仲間を救う、4人協力の”本気で怖い”ホラー
「ヤギ捕まえた!早く焼いて!」と叫んだ瞬間、背後から白い服の女がすさまじい速度で迫ってきた。
UVライトを必死に当てて動きを止めようとするけど、電池が切れている。フレンドが「逃げろ逃げろ!」と絶叫する。ヤギを抱えたまま走る。祭壇が見える。あと5メートル——。掴まれた。引きずられる。視界が赤く染まって、ゲームオーバー。
「……もう1回やろう」
これがDEVOURだ。
2021年1月にSteam早期アクセスとしてリリースされた本作は、ロンドン在住の2人の開発者、Joe FenderとLuke Fanningが設立したインディースタジオ「Straight Back Games」の作品。価格は約500円。ワンコインで買えるホラーゲームが、累計6万7,000件以上のSteamレビューで「好評(90%)」を維持し、最盛期にはSteam同時接続数12,300人を記録した。2026年4月現在も日々600〜1,100人がプレイしている。
Phasmophobiaのような「調査系ホラー」とも違うし、Lethal Companyのような「回収系ホラーコメディ」とも違う。DEVOURが突き刺さるのは、もっとシンプルで原始的な恐怖だ。暗い廃墟の中で、取り憑かれた人間が猛スピードで追いかけてくる。逃げ場がない。UVライトの電池は限られている。仲間が倒されたら、自分ひとりでどうにかしなきゃいけない。
20分前後で1ゲームが終わるテンポの良さ。マップごとにまったく違うボスと攻略法。そしてVRにも対応しているという狂気——。
この記事では、DEVOURがなぜ発売から5年経っても遊ばれ続けているのか、どんなゲームなのか、良い点もダメな点も全部まとめて書いていく。
「DEVOUR」公式トレーラー
こんな人に読んでほしい
- 友達2〜4人で本気で怖いホラーゲームを探している
- Phasmophobiaは好きだけど、もっとアクション寄りの恐怖がほしい
- 500円で長く遊べるCo-opゲームを見つけたい
- ホラー実況・配信のネタになるゲームが気になる
- VRホラーに興味があるけど、追加購入なしで試したい
- Lethal CompanyやR.E.P.O.の次に遊ぶホラーCo-opを探している
DEVOURってどんなゲーム?——悪魔崇拝カルト教団の、最悪の夜

DEVOURの設定は、端的に言うとこうだ。
あなたは悪魔崇拝カルト教団「ウォッチャーズ・オブ・アザゼル」のメンバー。教団のリーダーが悪魔に取り憑かれてしまった。このままだと全員地獄に引きずり込まれる。だから今すぐ儀式を行って、悪魔を追い払わなければならない。
プレイヤーの目的は、マップ内に散らばった10個の「儀式アイテム」(ヤギ、ネズミ、卵、ロウソクなど)を集めて祭壇で燃やすこと。10個すべてを処理すれば悪魔祓い完了でステージクリア。
ただし、取り憑かれたリーダー(ボス)がマップ内を徘徊していて、プレイヤーを見つけると猛ダッシュで追いかけてくる。さらに厄介なのが、儀式が進むほどボスが凶暴化すること。序盤の1〜3体目を燃やしている段階では比較的穏やかだが、7体目以降はボスの移動速度が跳ね上がり、UVライトで止められる時間が短くなる。10体目に近づく頃には、文字通り息をつく暇もない。
これが20分前後に凝縮されて起こる。
Co-opホラーゲームの中でも、DEVOURの恐怖の密度は頭ひとつ抜けている。Phasmophobiaが「じわじわ追い詰められる恐怖」だとしたら、DEVOURは「目の前に迫ってくる恐怖」を20分間、途切れることなく叩きつけてくるタイプのゲームだ。
1852年から続くカルトの物語
DEVOURの世界観は、意外なほどしっかり作り込まれている。
物語の発端は1852年。カリフォルニアの金鉱で、ジェームズ・マッケイという男が古代の言葉と記号を発見する。それは強力な儀式の手順だった。ジェームズは町の人々を集め、儀式を行えば繁栄がもたらされると説いた。しかし召喚されたのは——悪魔アザゼル。
それから150年以上にわたって、アザゼルを崇拝するカルト教団「ウォッチャーズ」は存続し続けた。各マップのボスたちは、教団の歴代リーダーやメンバーがアザゼルに取り憑かれた姿だ。農場のAnna、精神病院のMolly、旅館のZara、町のSam、食肉工場のNathan——それぞれに背景があり、なぜ取り憑かれたのかという経緯がゲーム内の資料やロアで語られる。
たとえば最初のマップ「The Farmhouse」のボスであるAnna Puertaは、2003年にメキシコから教団の噂を聞きつけてやってきた女性だ。双子の子供、LuisaとFredericoを捨ててカリフォルニアに渡り、教団のリーダーとなった。2年間にわたって古文書を研究し、アザゼル本体の召喚を試みた末に——取り憑かれた。
「The Town」の背景にある物語はさらに興味深い。1852年、カリフォルニアの小さな町Mercyで、金鉱夫のジェームズ・マッケイが古代の言葉を発見する。それが儀式の始まりだった。彼は町民に「この儀式で繁栄がもたらされる」と信じ込ませた。しかし召喚されたのはアザゼル。町は崩壊し、マッケイの愚行が150年にわたるカルトの歴史を生んだ。Townマップの廃墟には、その当時の面影が残っている。建物の壁に刻まれた文字、放棄された教会、干からびた井戸——ゲーム中にさりげなく配置されたこれらの環境ストーリーテリングが、マップの雰囲気に重層的な深みを加えている。
500円のインディーホラーに、こんなに練り込まれたバックストーリーがあるとは思わなかった。ゲーム中に直接語られるわけではないけど、DEVOUR Wikiやコミュニティが丹念に掘り起こしたロアを読むと、各マップの雰囲気がグッと深くなる。「あの部屋に置いてあったあのオブジェクト、実はこういう意味だったのか」という発見が、2周目、3周目の楽しみになる。
7つのマップ、7つの悪夢——全マップ解説
DEVOURの大きな魅力は、マップごとにゲーム体験がまったく違うこと。同じ「10個の儀式アイテムを処理する」という基本ルールなのに、マップが変わるとやるべきこと、怖さの質、必要な立ち回りがガラッと変わる。
2026年4月時点で実装されている7マップを、リリース順に紹介していく。
The Farmhouse(農場)——すべてはここから始まった
ボス:Anna(アンナ)
DEVOURの原点にして、今でも人気が高いマップ。舞台はカリフォルニアの田舎にある古びた農場。プレイヤーは干し草でヤギをおびき寄せ、捕まえて裏庭の祭壇まで運び、ガソリンをかけて火をつける。
このマップでまず印象的なのは、農場の雰囲気作り。古びた木造の建物、軋む床板、風で揺れるドア。暗闘の中でヤギの鳴き声が聞こえて、その方向に向かうと——暗がりの中にAnnaの白い服がぼんやり見える。この「見えた瞬間」のゾッとする感覚は、DEVOURを代表する恐怖体験だ。
Annaは最初、ゆっくりと農場内をさまよっている。でもヤギを燃やすたびに凶暴化していき、7体目あたりからは角が生え、移動速度が激変する。「さっきまで歩いてたのに、急に全力疾走してきた」という恐怖は、このマップが一番わかりやすい。パーク「Escapist」を装備していれば7体目まではなんとか走って逃げられるが、それ以降はUVライトなしでは対処不能になる。
床を這う悪魔の手下(デーモン)も厄介で、暗がりから這い出てくる姿は純粋に怖い。特に2階の暗い部屋に入った瞬間、足元からデーモンが這い上がってくる演出は、初見だと確実に声が出る。初心者がまず遊ぶべきマップだけど、ナイトメアモードでは熟練者でも全滅する。ヤギのスポーン位置がランダムなので、「今回はヤギが全部2階に集中してる」みたいな運ゲー要素もある。
The Asylum(精神病院)——迷路のような恐怖
ボス:Molly(モリー)
精神病院が舞台の2番目のマップ。儀式アイテムはネズミで、電気ショック装置を使って処理する。
このマップの特徴は、入り組んだ廊下と複数の階層。道に迷いやすく、仲間とはぐれやすい。取り憑かれた患者Mollyが車椅子に乗ったデーモンを引き連れて追いかけてくる構図は、ホラー映画そのもの。
正直に言うと、このマップは評価が分かれる。迷路のような構造が「怖さ」に直結するという声と、「ただ迷うだけでストレスが溜まる」という声の両方がある。Steamレビューでも「The Asylumのレベルデザインが退屈で、ただの迷路に感じる」という指摘は複数ある。
一方で、仲間とはぐれた時の孤立感は全マップ中で最も強い。精神病院という舞台の不気味さ、車椅子のデーモンという異様なビジュアル、閉鎖的な空間——「これぞホラー」という要素が揃っている。初見の怖さは全マップ中トップクラスだけど、繰り返しプレイの楽しさは他のマップに劣るというのが、多くのプレイヤーの共通認識だ。
The Inn(旅館)——和風ホラーの傑作
ボス:Zara(ザラ)
3番目のマップは、なんと日本の旅館。DEVOURに和風ホラーが来るとは誰も予想していなかった。
儀式アイテムは卵で、井戸で洗ってから祭壇で燃やす。ボスのZaraは人間形態と巨大蜘蛛形態を切り替えてくる二面性があり、蜘蛛形態になった瞬間の「ヒッ」という感覚がたまらない。デーモンも蜘蛛。暗い畳の部屋の隅から、でかい蜘蛛が這い出てくる。
このマップから「スキルスコア」と「パーク」のシステムが導入された。和風の美しい建築と、その中に潜む蜘蛛の恐怖のギャップがプレイヤーから好評で、全マップの中でも人気が高い。和室の襖を開けたら天井に巨大な蜘蛛がぶら下がっていた——なんて場面は、和風ホラーの真骨頂だ。
卵を井戸で洗うという工程が挟まるのも独特で、「誰が卵を洗いに行くか」「その間に蜘蛛が来たらどうするか」という役割分担の議論が毎回生まれる。Co-opゲームとしての完成度が、このマップで一段上がった感がある。
旅館マップの雰囲気がヤバすぎる。障子の向こうに蜘蛛の影が映った瞬間、全員で叫んだ。500円のゲームでこの演出はずるい
引用元:Steamレビュー
The Town(町)——西部劇ホラー
ボス:Sam(サム)
ワイルドウェストの廃墟の町が舞台。ここで大きく変わったのが、ボスの攻撃方法だ。Samは銃を持っている。遠距離から撃ってくる。
他のマップのボスは基本的に「近づいて掴む」攻撃だったが、Samは離れていても銃撃でダメージを与えてくる。一撃で倒されるわけではないけど、遮蔽物を使った立ち回りが必要になる。Co-opホラーなのにシューターの要素が入ってきて、プレイ感覚が一気に変わる。
儀式アイテムはロウソクで、町の各建物に配置して火を灯していく。広いマップを走り回りながら銃弾を避ける——ちょっとしたサバイバルシューターの緊張感がある。
ロアの面でもTownは重要なマップだ。DEVOURの世界観の根幹である「アザゼル召喚」の起源がこの町で起きた事件として描かれている。廃墟になった建物の中に残された手記や落書きが、150年前の悲劇を物語る。ゲームプレイに直接影響はしないけど、こういう細部まで作り込まれているのがDEVOURの誠実さだ。
The Slaughterhouse(食肉処理場)——最もグロテスクな地獄
ボス:Nathan(ネイサン)
DEVOURの中で最もグロテスクなマップ。廃棄された食肉加工場が舞台で、儀式アイテムは豚。産業用の設備を使って処理する。
このマップは視覚的なインパクトが強い。血まみれの設備、吊るされた肉塊、薄暗い工場の中を走り回るNathanの姿。ホラー耐性がそこそこある筆者でも、初見では「うわ」と声が出た。
ゲーム的には工場の構造を理解することが攻略の鍵になる。機械の配置を覚えて、効率よく動線を組めるかどうかで難易度が大きく変わる。産業用の機械を操作して豚を処理する手順は他のマップにはない独自性があり、「食肉処理」というモチーフの生々しさがホラー体験を強化している。ホラー耐性に自信がある人でも、このマップだけは「うわ」と声が出る場面がある。
The Manor(邸宅)——原点回帰の恐怖
6番目のマップ。農場の延長線上にある邸宅が舞台で、DEVOURの原点回帰的なマップだ。
クラシックなホラー屋敷の雰囲気があり、長い廊下、暗い部屋、不気味な肖像画——ホラーゲームの王道をきっちり押さえてきた。「農場マップが好きだった人」に刺さる作りになっている。
The Carnival(カーニバル)——最新マップ
2025年にリリースされた7番目のマップ。遊園地が舞台というだけで不穏さが漂う。廃遊園地というのはホラーのモチーフとしては鉄板だが、DEVOURの文脈ではこれが初の屋外重視マップでもある。
ピエロ的な恐怖要素が加わり、広い屋外エリアと狭い屋内エリアが混在する構造。これまでのマップとは異なるプレイ感を提供している。屋外エリアは見通しが良い分ボスの接近を早く察知できるが、逆に隠れる場所が少ない。屋内エリアに逃げ込めば一時的に安全だが、狭い空間でデーモンと鉢合わせするリスクが高まる。この「広い場所と狭い場所の使い分け」が、新しい戦略性を生んでいる。
リリース時にはSteam同時接続数が跳ね上がったことからも、コミュニティの期待の大きさがうかがえる。5年目の新マップでもこれだけ盛り上がれるのは、DEVOURのコミュニティが健全に機能している証拠だ。
7マップすべてに共通して言えるのは、「同じゲームなのに毎回違う恐怖を味わえる」ということ。ヤギ、ネズミ、卵、ロウソク、豚——儀式アイテムが変わるだけで、攻略法がまるで変わる。Co-opホラーとして、500円の価格でこれだけのボリュームを提供しているのは率直にすごい。
友達と協力して遊ぶサバイバルゲームが好きなら、同じCo-opジャンルのDon’t Starve Togetherも合わせてチェックしてみてほしい。あちらは「生き延びる」ことに焦点を当てたサバイバルで、DEVOURの「逃げながら儀式をこなす」とはまた違った緊張感がある。

ゲームシステム詳細——シンプルだけど奥が深い仕組み

基本操作と道具
DEVOURの操作は直感的だ。移動、ダッシュ、アイテムの拾得と使用、UVライトの照射。これだけ覚えれば遊べる。チュートリアルも短くて、5分もあれば基本は掴める。
プレイヤーが最も頼りにするのがUVライト。これを悪魔に当てると、一時的に動きを止められる。ただしバッテリーは有限で、使い切ったら電池を探さなければならない。この「UVライトのバッテリー管理」がDEVOURの戦略性の根幹だ。
誰がいつUVライトを使うか。電池を誰が持つか。ボスを足止めする役と、その間に儀式アイテムを運ぶ役をどう分担するか——。4人の連携がうまくいった時の気持ちよさは格別だ。
メディキット(救急箱)も重要なアイテム。ダウンした仲間を復活させるのに必要で、マップ内に散らばっている。ソロプレイだと「倒されたら誰にも助けてもらえない」ため、Co-opとソロでは難易度が天と地ほど違う。
ガソリンやバッテリーなどの消耗品もマップ内に散在している。ガソリンは祭壇での儀式に必要なマップがあるし、バッテリーはUVライトの命綱。これらの消耗品がランダム配置されるため、「バッテリーを探しに行く係」「その間ボスを引きつける係」という即席の役割分担が自然に生まれる。
鍵も重要な要素だ。マップ内の一部のドアは鍵がかかっていて、鍵を見つけないと開かない。鍵の配置もランダムなので、「鍵がまだ見つからない!でもその部屋にヤギがいるのが見える!」というジレンマが毎回のように発生する。この「見えてるのに行けない」もどかしさが、ボスに追われる恐怖と合わさって、独特のストレスと達成感を生み出している。
ランダム生成が生む「慣れさせない」設計
DEVOURでは、マップ自体の構造は固定だが、鍵付きドアの配置、儀式アイテムのスポーン位置、バッテリーや燃料の出現場所がプレイのたびにランダムで変わる。
これがよくできている。マップの地理は覚えられるけど、「今回のヤギはどこにいる?」「鍵はどこだ?」という探索要素が毎回発生する。だから同じマップを何度遊んでも、完全にパターン化されない。
「5回目くらいで攻略法を覚えたと思ったら、アイテム配置が違って全然思い通りにいかなかった」——こういう体験が、DEVOURのリプレイ性を支えている。
ただしマップの地形自体が変わるわけではないので、完全なプロシージャル生成のゲームと比べるとランダム性の幅は控えめだ。30回、40回と同じマップを遊ぶと、さすがに「あの角を曲がったらあの部屋」というのが体に染み付いてくる。この点は後述する「弱点」の項でも触れる。
難易度の段階的エスカレーション
DEVOURの難易度設計で秀逸なのが、「ゲーム中にリアルタイムで難易度が上がっていく」仕組みだ。
儀式アイテムを1つ処理するたびに、ボスの移動速度が上がり、デーモンの数が増え、UVライトで足止めできる時間が短くなる。つまり、ゲームが進むほど怖くなる。
序盤(1〜3体目)は比較的余裕がある。ボスの動きは遅く、デーモンも少ない。ここでマップの構造を把握し、仲間と役割分担を確認する時間が取れる。
中盤(4〜6体目)から緊張感が増してくる。ボスの巡回頻度が上がり、デーモンが複数体で行動し始める。「今のうちに儀式アイテムを運べ」「ボスが来た、隠れろ」というやりとりが忙しくなる。
終盤(7〜10体目)は完全にパニックタイム。ボスが角を生やして超高速化し、UVライトがほぼ効かなくなる。全員がフルスプリントで逃げ回りながら、最後の1体を祭壇に投げ込む——。このクライマックスの緊張感は、ホラーゲームとして一級品だ。
最後の1匹を祭壇に投げ込んだ瞬間、4人全員で「うおおおおお!」って叫んだ。こんなにアドレナリンが出たゲーム久しぶりだわ
引用元:Steamレビュー
パークシステムとカルトランク
DEVOURには成長要素もある。プレイするたびに経験値が入り、「カルトランク」が上がっていく。ランクが上がると「リチュアルトークン」が手に入り、これを使ってパークを解放できる。
パークは地味だけど確実に効く系のバフが多い。スタミナ増加、アイテム使用速度アップ、UVライトのチャージ速度向上——。ひとつひとつの効果は小さいけど、ナイトメアモードでは「パークがあるかないか」が生死を分ける。
このシステムのうまいところは、「慣れ」と「成長」を両立させている点だ。プレイヤー自身のスキルが上がると同時に、キャラクターの性能も少しずつ上がる。だから「前はクリアできなかったマップが、パークと経験の両方でクリアできるようになった」という達成感が味わえる。
ナイトメアモード——「もう一段上」の恐怖
通常モードをクリアすると解放されるナイトメアモード。このモードでは、UVライトのバッテリーが自動回復しなくなる。バッテリーを見つけて手動で補充しないとUVライトが使えない。
たったこれだけの変更で、ゲームのバランスが激変する。通常モードでは「UVライトで足止めしながらゆっくり進む」戦略が通用するが、ナイトメアでは「UVライトは本当のピンチでしか使えない」。バッテリー1本の価値が跳ね上がり、リソース管理がシビアになる。
ナイトメアモードをクリアすると、そのキャラクターに金色のローブがアンロックされる。見た目だけの報酬だけど、マルチで金ローブを着ているプレイヤーがいると「この人、やり込んでるな」と一目でわかる。
ナイトメアモードには経験値ボーナスもあるので、カルトランクを効率よく上げたいプレイヤーは積極的にチャレンジする動機がある。ただし失敗した時の精神的ダメージも大きい。「ナイトメアで9体目まで焼いたのに10体目で全滅した」という報告は、Steamコミュニティの掲示板で日常的に見かける。あと1体——その「あと1体」が本当に遠い。
ナイトメアモードの農場、10回連続で全滅した。バッテリーの自動回復がないだけでこんなに違うのかと。通常モードが別ゲーに感じるレベル
引用元:Steamコミュニティ掲示板
DEVOURの恐怖演出——なぜ「本気で怖い」と言われるのか
Co-opホラーゲームは「笑い」と「恐怖」のバランスが命だ。笑いに振りすぎるとただのパーティゲームになるし、恐怖に振りすぎるとプレイヤーが離れてしまう。DEVOURはこのバランスにおいて、かなり恐怖寄りに舵を切っている。そしてそれが成功している。
「追われる恐怖」の原始性
DEVOURの恐怖の核は、突き詰めると「追われること」だ。ジャンプスケア(突然の脅かし)もあるけど、本当に怖いのは「ボスがこっちに向かって走ってきている」と認識した瞬間だ。
人間にとって「追いかけられる」というのは最も原始的な恐怖のひとつだ。進化心理学的に言えば、捕食者から逃げるために刻み込まれた本能。DEVOURはこの本能に直接訴えかける。画面の向こうの出来事だとわかっていても、Annaが全速力で迫ってくる瞬間に心拍数が上がる。
しかもDEVOURのボスは「理不尽に速い」のが怖い。人間が走れる速度の上限をあっさり超えてくる。「逃げ切れるかどうかわからない」という不確実性が、恐怖を増幅させる。確実に逃げ切れるなら怖くない。確実に捕まるなら諦めがつく。でも「逃げ切れるかもしれないし、捕まるかもしれない」——この中間地帯が、恐怖を最大化する。
音響デザインの巧みさ
DEVOURのサウンドデザインは、500円のインディーゲームとは思えないクオリティだ。
ボスの足音には方向と距離の情報が込められている。「左後方から足音→近づいてきている→速度が上がった→こっちに来ている」という情報が、音だけで読み取れる。ヘッドフォンで聴くと、この音響情報の精度に驚く。
デーモンのうめき声、扉が軋む音、風の音、自分の呼吸音。これらの環境音が重層的に重なって、常に「何かが近くにいる」という感覚を生み出す。静寂の中に突然響くボスの叫び声は、初見では確実に心臓が跳ねる。
BGMは最小限に抑えられていて、環境音がメインの音響構成。これがリアリティを高めている。劇伴で恐怖を煽るのではなく、音の「情報量」で恐怖を構築している。地味だけど、DEVOURの恐怖体験を支える重要な柱だ。
暗闇の使い方
DEVOURのマップは基本的に暗い。懐中電灯やUVライトの光だけが頼りで、視界の外は闇に包まれている。「見えない」ことそのものが恐怖の源泉になっている。
見えないから想像する。想像するから怖い。角を曲がった先に何がいるかわからない。ドアを開けた向こうにボスがいるかもしれない。この「かもしれない」の連続が、プレイヤーを常に緊張状態に置く。
UVライトには二重の役割がある。ボスを足止めする「武器」であると同時に、暗闇を照らす「安心材料」でもある。バッテリーが切れると武器を失うだけでなく、視界の安心も失う。だからバッテリー残量が減っていく恐怖は、単なるリソース管理以上の意味を持つ。
なぜDEVOURは5年間遊ばれ続けているのか

2021年リリースのインディーホラーが、2026年になっても毎日600人以上がプレイしている。これは簡単なことじゃない。同時期にリリースされたインディーゲームの多くが、とっくに過疎化している中で、DEVOURが生き残っている理由は何か。
理由1:価格に対するボリュームがおかしい
約500円。コンビニのおにぎり2個分。その値段で7マップ、5人のボス、ナイトメアモード、パークシステム、VR対応まで入っている。DLCなし。追加課金なし。全部込みで500円。
「500円でここまで遊べるのか」という驚きが、Steamレビューでも繰り返し言及されている。価格のハードルが低いから「とりあえず買ってみよう」となりやすく、友達を誘うときも「500円だから」の一言で済む。
友達に「500円のホラゲやろうぜ」って誘ったら4人集まった。500円じゃなかったら多分2人しか来なかった。この価格設定は天才だと思う
引用元:Steamレビュー
この「友達を誘いやすい価格帯」はCo-opゲームにとって決定的に重要だ。4人でやるゲームなら全員で2,000円。飲み会1回の3分の1以下で、何十時間も遊べるコンテンツが手に入る。
理由2:定期アップデートが止まらない
Straight Back Gamesはたった2人の小さなスタジオだが、DEVOURのアップデートを5年間コンスタントに続けてきた。
リリース当初はマップ1つだけだった。農場だけ。それが今では7マップ。約半年〜1年に1つのペースで新マップが追加されてきた計算だ。しかもマップごとにボスの挙動もデーモンの種類も儀式の内容も全部違う。「同じフレームワークの使い回し」ではなく、毎回新しいゲーム体験を提供しているのが偉い。
「The Inn」アップデートではパークシステムが導入され、「The Town」アップデートではロアが大幅に拡充された。単にマップを追加するだけでなく、ゲームの基盤そのものを強化し続けている。2人でこれをやっているのだから、開発者のモチベーションと能力には素直に驚く。
理由3:配信映えするゲームデザイン
DEVOURはTwitchやYouTubeでの配信との相性が抜群にいい。
1ゲーム20分前後だから、配信の1枠で複数回プレイできる。「怖い→叫ぶ→笑う」のループが視聴者にウケる。ボスに追われて絶叫するシーン、仲間がダウンして阿鼻叫喚になるシーン、最後の1体を燃やしてクリアした瞬間の歓声——。配信のハイライトになる瞬間が、1ゲームの中に何度も訪れる。
実際にTwitchのDEVOURカテゴリは2026年現在も安定した視聴者数を維持しており、日本でもVTuberを中心に多くの配信者がプレイしている。ファミ通の記事「直視無理!! 取り憑かれた女を払う最大4人の協力型ホラーゲーム」でも取り上げられるなど、メディア露出も継続している。
配信を見て興味を持つ→500円だから買う→友達を誘う→その友達が配信する——という好循環が、DEVOURの寿命を延ばし続けている。
面白いのは、DEVOURの配信で最も「映える」のが、ゲームが上手い人のプレイではなく、パニックになっている人のプレイだということ。ボスに追われて絶叫する、仲間を見捨てて逃げる、安全だと思った場所にデーモンがいて二度見する——こういう「リアクション芸」が自然に生まれるのが、DEVOURの配信映えする理由だ。ゲームの腕前に関係なく面白い配信ができるのは、コンテンツとしてかなり優秀だ。
理由4:VR対応が追加料金なし
2022年7月のアップデートで追加されたVRモードは、DEVOURの恐怖を文字通り「別次元」に引き上げた。
追加購入は不要。VRヘッドセットを持っていれば、そのまま起動するだけでVRモードに切り替わる。座った状態でも立った状態でもプレイ可能。しかもVRプレイヤーとフラットスクリーンプレイヤーが同じサーバーで一緒に遊べるクロスプレイ対応。
VRでAnnaに追いかけられる体験は、フラットスクリーンの10倍怖い。振り返ったら目の前に白い服の女がいた——という状況が、VRだと本当に心臓に悪い。「VRホラーを500円で体験できる」という事実だけで、このゲームには価値がある。
VRでやったら怖すぎて本当にヘッドセット投げそうになった。フレンドが横で爆笑してたけど、俺はマジで泣きそうだった。これ500円でいいの?
引用元:Twitter @ユーザー
正直な不満点——DEVOURのここがダメ
褒めるだけじゃフェアじゃないから、DEVOURの弱点も正直に書く。
ソロプレイはほぼ罰ゲーム
DEVOURはソロプレイにも対応しているが、正直に言って「対応している」以上の意味はない。
Co-opで遊ぶことが大前提のバランス設計なので、ひとりでプレイすると難易度が跳ね上がる。ダウンしても誰にも起こしてもらえない。UVライトを当てている間、儀式アイテムを運べない。ボスの注意を引く囮役がいない。ソロクリアは一応可能だが、ハードコアな挑戦になる。
「ソロでも楽しめる」という紹介をされることもあるが、実態は「ソロで耐えられる人もいる」くらいのニュアンスが正確だ。友達がいない状態で買うのはおすすめしにくい。
野良マッチ(パブリックサーバー)もあるにはあるが、ボイスチャットなしで連携を取るのは難しいし、人が集まらないこともある。特に日本サーバーの人口は多くないため、マッチングに時間がかかることもある。
ソロモードでは難易度が調整されていて、ボスの挙動が若干マイルドになるという話もあるが、根本的にCo-op向けのバランスなので焼け石に水だ。「ソロで5回やったけど1回もクリアできなかった」という声もSteamの掲示板で見かける。ソロでも楽しめる人はいるけど、それは「ソロでダークソウルをノーデスクリアする」的な楽しみ方であって、万人向けではない。
友達と遊ぶのが大前提のゲームだということは、購入前に知っておいてほしい。Discordサーバーなどで一緒に遊ぶ人を探す手もあるが、それなりにハードルは高い。
繰り返しプレイで怖さが薄れる
これはDEVOURに限らずホラーゲーム全般に言えることだが、DEVOURは特にこの傾向が顕著だ。
初見の恐怖は本物。ボスの姿を初めて見たとき、デーモンに不意打ちされたとき、暗闇の中でボスの足音が近づいてきたとき——心臓がバクバクする。でも5回、10回と繰り返すうちに、ボスのパターンを覚えてしまう。「今は安全なタイミングだ」「ここにいれば追ってこない」というのがわかってくると、恐怖よりも作業感が前に出てくる。
特にジャンプスケア(突然の脅かし)に頼っている部分があるので、慣れると効果が薄れやすい。Phasmophobiaのように「何が出るかわからない」ランダム性でカバーしている作品と比べると、繰り返しプレイの恐怖持続力は低い。
最初の3時間は本気で怖かった。でも10時間やったら「はいはい、Anna来たね」ってなる。怖さが薄れてからは作業ゲーになりがち
引用元:Steamレビュー
マップごとのやることが根本的に同じ
7マップあるとはいえ、根幹のループは「10個の儀式アイテムを集めて祭壇で処理する」で統一されている。舞台が農場でも精神病院でも旅館でも、やっていることの本質は変わらない。
もちろんボスの挙動やデーモンの種類、儀式アイテムの処理方法は違う。でも「見つけて→運んで→処理する」の流れは同じなので、3〜4マップ遊んだあたりで「またこのパターンか」と感じる人がいるのも事実だ。
これは開発者の創造性の問題というよりも、DEVOURの設計思想に起因する限界だ。「シンプルなルールで恐怖を最大化する」という方向性は正しいけど、その代償としてバリエーションの幅は狭くなる。
RNG(ランダム要素)への不満
アイテム配置のランダム生成は「慣れさせない」メリットがある一方で、「運が悪いと詰む」デメリットもある。儀式アイテムがボスの巡回ルート上にしかスポーンしない、鍵がマップの反対側にある——こういう配置に当たると、スキルではどうにもならない理不尽さを感じることがある。
特にナイトメアモードでは、アイテム配置の運が大きく影響する。「今回はハズレ配置だからリスタートしよう」というやり直しが発生することがあり、テンポを損なう原因になっている。
日本語対応が不完全
2026年4月時点で、DEVOURのUIとテキストには日本語が含まれているが、対応は完全とは言えない。一部の説明文やロアテキストが英語のまま残っている箇所がある。ゲームプレイ自体はテキスト量が少ないので英語がわからなくても問題ないけど、ストーリーやロアをじっくり読み込みたい人にとっては惜しいポイントだ。
ゲーム内で読む文章が少ないタイプのゲームなので、英語が得意でなくても遊ぶこと自体には支障がない。「ヤギを捕まえて燃やす」のに英語力は要らない。ただ、パークの説明文やロア資料を読みたいなら、ある程度の英語力か翻訳ツールが必要になる。
Mac版の安定性
DEVOURはMac版も提供されているが、動作の安定性に関しては評価が分かれる。フレームレートの低下やクラッシュの報告がMacユーザーから上がっているケースがある。メインターゲットはWindows PCなので、Macで遊ぶ場合は多少の不具合を覚悟しておいたほうがいい。
PhasmophobiaともLethal Companyとも違う——DEVOURの立ち位置

Co-opホラーゲームと聞くと、多くの人がPhasmophobiaとLethal Companyを思い浮かべるだろう。DEVOURはこの2作と何が違うのか。
Phasmophobiaとの違い:「調査」vs「戦闘」
Phasmophobiaは「幽霊を調査する」ゲームだ。EMFリーダー、スピリットボックス、温度計——道具を駆使して幽霊の種類を特定する。恐怖はあるけど、メインは推理。頭を使う楽しさが中心にある。
DEVOURは「悪魔から逃げながら儀式を完遂する」ゲームだ。調査要素はゼロ。最初から最後まで、アクションと恐怖のぶつけ合い。「怖さ」の質が全然違う。Phasmophobiaが「何がいるかわからない恐怖」なら、DEVOURは「目の前に確実にいる恐怖」。
プレイ時間もまるで違う。Phasmophobiaは1セッション30分〜1時間かかることもあるが、DEVOURは20分前後。短時間でアドレナリンを浴びたいなら、DEVOURのほうが向いている。逆に「じっくり考えながら探索したい」人にはPhasmophobiaのほうがフィットする。
価格帯も対照的だ。Phasmophobiaは通常価格で約1,500円(セール時は割引あり)、DEVOURは約500円。どちらもインディー価格だけど、3倍の差がある。「まず安いほうから試してみたい」という人にはDEVOURから入るのがおすすめだし、「推理が好きだから多少高くてもPhasmophobia」という判断もアリだ。両方買っても2,000円だから、両方買って比較するのが一番いい。
Lethal Companyとの違い:「コメディ」vs「ガチホラー」
Lethal Companyは「怖いけど笑える」ゲームだ。近接ボイスチャット、物理演算の事故、理不尽な死——ホラーとコメディの比率が5:5、あるいはコメディ寄りの6:4くらい。仲間と大爆笑しながら死ぬ体験が主軸。
DEVOURはもっとホラー寄りだ。比率で言えばホラー7:コメディ3くらい。笑える瞬間もあるけど(特にフレンドがパニックになって叫ぶシーン)、基本的には「怖い」が先に来る。純粋にホラー体験を求めている人にはDEVOURのほうが刺さる。
ゲームの構造も根本的に違う。Lethal Companyは「ノルマ達成」「装備購入」「惑星選択」といったメタゲーム的な要素が充実していて、1セッションの外にある「キャンペーン」的な進行がある。DEVOURは各ステージが独立していて、マップを選んで入って、クリアするか全滅するかの二択。Lethal Companyが「RPG的」なら、DEVOURは「アーケード的」だ。
Lethal Companyについてはこちらの記事で詳しく書いているので、比較して読んでみてほしい。
同じCo-op系でいうと、FPS要素のあるOverwatchのようなチーム対戦ゲームとは方向性がまるで違うし、Gray Zone Warfareのようなミリタリー系ともジャンルが異なる。DEVOURが近いのはあくまで「友達と一緒にホラーを体験するゲーム」というカテゴリだ。

R.E.P.O.との違い:「物理演算コメディ」vs「ストレートホラー」
2025年に大ヒットしたR.E.P.O.は、物理演算を活用した「運搬コメディ」が核だ。怖い要素もあるけど、グランドピアノを4人で運んで壁に激突させる——みたいなカオスが主な楽しみ。
DEVOURにはそういうコメディ要素はほとんどない。物理演算でヤギが予想外の方向に転がることはあるけど、基本はストレートにホラーを追求している。「友達と笑いたい」ならR.E.P.O.、「友達と震えたい」ならDEVOUR——という棲み分けだ。
つまりDEVOURは誰向けか
まとめると、DEVOURは「Co-opホラーの中で最もガチで怖いもの」を求めている人向けだ。
Phasmophobiaの推理は好きだけどもっと走り回りたい人。Lethal Companyの笑いは楽しいけどもっと怖くあってほしい人。R.E.P.O.の物理コメディも好きだけど、たまには本気でビビりたい人。——そういう人にとって、DEVOURはぴったりの選択肢になる。
医療系のCo-opシムであるCURE – A Hospital Simulatorや、キッチン系のFast Food Simulatorのような「協力ゲーム」とはまた別ベクトルだけど、「友達と一緒に遊ぶ」という点では共通している。ホラーが苦手な友達がいるなら、まずはそちらから試して、ホラー耐性をつけてからDEVOURに挑戦するのもアリだ。

Steamレビューから見えるDEVOURの実像
DEVOURのSteamレビューは6万7,000件以上あり、うち90%が好評。「好評」の評価帯だ。「圧倒的に好評」ではないが、安定した高評価を維持している。
ポジティブなレビューで繰り返し出てくるキーワードは「友達と一緒に」「値段の割に」「怖い」「追加料金なし」。つまり、Co-op体験・コスパ・恐怖・良心的な価格設定がDEVOURの4本柱だ。
DEVOURはすべてのホラーの痒いところに手が届くゲーム。友達と一緒に怖い思いをできて、楽しくて、本当に怖い。これが全部入ってるゲームは意外と少ない
引用元:Steamレビュー
一方、ネガティブなレビューのキーワードは「飽きる」「作業感」「ソロはきつい」「RNG」。
怖くない、つまらない、Co-opも良くない。唯一楽しいのは友達と仮想的に時間を過ごせること
引用元:Steamレビュー(ネガティブ)
最近30日間のレビューでは好評率が84%と、全期間の90%よりやや低い。これは長期プレイヤーのマンネリ感が出始めていることの反映だろう。新規マップのリリース直後は好評率が上がり、アップデートが途切れると下がる——という波があるのは、ライブサービス型のゲームではよくあるパターンだ。
日本語のレビューは240件以上。4Gamer、Game*Spark、ファミ通、電撃オンラインなど、国内の大手ゲームメディアでもレビュー記事が出ている。電撃オンラインの記事では、女性ライターがソロでプレイした体験が書かれており、「ソロだと恐怖が倍増する」というリアルな感想が印象的だった。
プレイヤー数の推移——最盛期と現在

DEVOURのSteam同時接続数の推移を見てみよう。
歴代最高同時接続数は約12,300人。これは2024年9月に記録された。新マップのリリースやSteamセールのタイミングで一時的にプレイヤーが増え、その後落ち着く——というサイクルを5年間繰り返している。
2026年4月現在の日平均同時接続数は約647人。ピーク時には1,100人前後まで上がる日もある。500円のインディーホラーとしては、この数字はかなり健全だ。同価格帯のインディーゲームの多くがリリース後1年で同接数10〜50人になる中、5年目で600人以上を維持しているのは特筆に値する。
プレイヤー数のスパイクは主に以下のタイミングで発生している。
- 新マップのリリース時
- Steamの大型セール時(サマーセール、ウィンターセール、ハロウィンセール)
- 人気配信者がプレイした時
- ハロウィンシーズン(10月前後)
特にハロウィンシーズンは毎年顕著で、10月になるとDEVOURの同接数が跳ね上がる。「ハロウィンだからホラゲやろうぜ」という需要を毎年拾えているのは、このゲームの定番化を示している。
同じくCo-op系のゲームで長期間人気を維持しているタイトルとしてはWar Thunderがあるが、こちらはF2Pのミリタリーシムなのでジャンルは全然違う。ただ「ニッチだけど根強いコミュニティに支えられている」という点では共通している。

開発スタジオ Straight Back Games——2人で5年間走り続けた小さなチーム
DEVOURを作ったStraight Back Gamesは、ロンドンに拠点を置く2人組のインディースタジオだ。Joe FenderとLuke Fanningが2019年に設立した。
DEVOURは彼らの2作目。最初の作品がどんなものだったかは広く知られていないが、DEVOURがブレイクしたことでスタジオの知名度が一気に上がった。
2人で5年間、7マップ、VR対応、パークシステム、ナイトメアモードを実装してきた。これだけのコンテンツを2人で維持・拡張し続けているのは、率直にすごいことだ。AAAタイトルのような派手なトレーラーやマーケティングはないが、堅実にゲームを改善し続ける姿勢がコミュニティからの信頼を勝ち取っている。
開発者への敬意という意味で付け加えると、DEVOURにはルートボックスもバトルパスもない。課金要素がゼロ。500円を1回払えば、将来のアップデート分もすべて含まれる。この姿勢は「ゲームは完成品で売るべき」という信念の表れだろう。今の時代、これだけでも応援したくなる。
ちなみに、同じく少人数開発のインディーゲームとしてはLimbus Companyがある。あちらは韓国のProject Moonが開発したダークRPGで、ジャンルは全然違うけれど、「少人数のチームが独自のビジョンで作品を磨き続ける」という姿勢は共通している。

初心者ガイド——DEVOURを始めるなら知っておきたいこと

まず農場マップ(The Farmhouse)から始めよう
7マップある中で、初心者が最初に遊ぶべきは間違いなくThe Farmhouse。DEVOURの基本的なメカニクスを全部学べるし、マップ構造もシンプル。「ヤギを捕まえて祭壇で燃やす」というわかりやすい目標が、ゲームのルールを体で覚えさせてくれる。
農場をノーマルモードで3〜4回クリアできるようになったら、The Innに移るのがおすすめ。蜘蛛のボスは動きが違うから新鮮だし、パークシステムの恩恵を感じやすい。
UVライトの使い方がすべて
DEVOURで最も重要なスキルは「UVライトの管理」だ。
ボスやデーモンにUVライトを当てると、一時的に動きが止まる。これが唯一の防御手段。ただしバッテリーは有限で、無駄遣いすると肝心な時に電池切れで死ぬ。
コツは「ボスが近づいてきてから当てる」こと。遠くにいるボスに向かってUVを照射し続けるのは電池の無駄。ボスが自分の方に向かってきて、逃げられない距離に入ったら照射する——これだけで生存率が大幅に上がる。
役割分担を決めよう
4人でプレイするなら、事前に役割を決めておくとスムーズだ。
囮役(デコイ):UVライトとバッテリーを優先的に持ち、ボスの注意を引く。ボスが来たらUVで足止めして、その間に他のメンバーが儀式アイテムを運ぶ。
運搬役(キャリアー):儀式アイテムの位置を把握して、効率よく祭壇まで運ぶ。ボスが来たら即座に逃げて、囮役に任せる。
サポート役:メディキットを持ち歩き、ダウンした仲間の救助を優先する。バッテリーや燃料の補充も担当。
もちろん毎回きっちり役割分担する必要はないし、2〜3人で遊ぶなら兼任が必要になる。でも「誰がボスを引きつけるか」だけは決めておくと、格段にクリア率が上がる。
音をよく聞け
DEVOURのサウンドデザインは優秀だ。ボスの足音、デーモンのうめき声、ドアが開く音——すべてが方向と距離の情報を持っている。ヘッドフォン推奨。イヤフォンでもいいから、とにかくステレオで音を聞くこと。「足音が左から聞こえる→右に逃げる」という判断が、生死を分ける。
逆に言えば、スピーカーでBGMを流しながらプレイするのはおすすめしない。DEVOUR本来の恐怖を味わうなら、音響環境を整えることが大事だ。
死んでも気にするな
DEVOURは死んで覚えるゲームだ。最初の数回は間違いなく全滅する。それでいい。
死ぬたびに「ボスはこのタイミングで来る」「この場所は安全」「この動線が効率的」という知識が蓄積されていく。5回遊べば農場の構造を覚える。10回遊べばAnnaの挙動パターンがわかる。20回遊べばナイトメアモードに挑戦できるくらいの実力がつく。
ダークソウル系のゲームほどではないけど、「死んで学ぶ」ループがDEVOURの上達サイクルだ。死を恐れず、どんどん挑戦してほしい。
パブリックサーバーのマナー
知らない人と遊ぶパブリックサーバーに入る場合、いくつか暗黙のマナーがある。
まず、ボイスチャットは使ったほうがいい。テキストチャットだけだと連携が取りにくく、特にボスが来た時の警告が間に合わない。英語が話せなくても、「Boss is coming!」「Help!」くらいの簡単なフレーズで十分伝わる。
次に、初心者は「ノーマルモード」から始めること。パブリックサーバーでいきなりナイトメアモードに入ると、他のプレイヤーに迷惑がかかる可能性がある。ナイトメアはチーム全員のスキルが必要だから、まず通常モードで基本を覚えてからにしよう。
あと、メディキットの使い方は重要。味方がダウンした時、メディキットを持っている人が優先的に救助に行く。これがCo-opのチームワークの基本であり、DEVOURを「友達と一緒に」楽しむための根幹でもある。
おすすめの遊び順
7マップを全部遊ぶなら、以下の順番がおすすめだ。
- The Farmhouse(基本を覚える)
- The Inn(パークシステムに慣れる)
- The Town(遠距離攻撃への対処を学ぶ)
- The Asylum(迷路的マップでの立ち回り)
- The Slaughterhouse(グロ耐性チェック)
- The Manor(原点回帰の恐怖)
- The Carnival(最新マップ、全要素の集大成)
この順番だと、難易度が段階的に上がりつつ、新しいゲームメカニクスに少しずつ慣れていける。もちろん好きな順番で遊んでもいいけど、The Farmhouseを最初にやるのだけは強くおすすめする。
VR対応の話——500円でこのVRホラー体験は反則
2022年7月に追加されたVRモードについて、もう少し掘り下げて書いておきたい。
DEVOURのVR対応は「VR専用ゲーム」ではなく「VRでもプレイできるゲーム」だ。フラットスクリーン版がベースにあって、そこにVRオプションが追加された形。だからVRの操作感は、専用タイトルと比べるとやや粗い部分がある。
ただし、ホラー体験としてのインパクトは間違いなく上がる。暗い廃墟の中を実際に首を動かして見回す。足音が後ろから聞こえて振り返ると、取り憑かれたAnnaが手を伸ばしている——。この体験は、フラットスクリーンでは絶対に再現できない。
VRプレイヤーとフラットスクリーンプレイヤーが同じサーバーで遊べるのも大きい。「VRヘッドセットを持ってる人が1人、残りはモニターで」という混成チームで遊べる。VRプレイヤーだけが絶叫して、フラット勢が「そんなに怖い?」と笑う——みたいなシチュエーションが生まれるのも面白い。
VR対応の技術的な面も触れておくと、DEVOURのVRモードは座位プレイと立位プレイの両方に対応している。テレポート移動とスムーズ移動の切り替えも可能で、VR酔いに弱い人でも設定次第である程度対処できる。UVライトの操作はコントローラーのトリガーに割り当てられていて、直感的に操作できる。「VRでUVライトを実際に構えてボスに当てる」という動作は、フラットスクリーンのボタン操作よりも没入感が段違いだ。
ただしVRモードの弱点も正直に書いておくと、一部のマップではVRでの視点が見づらくなる箇所がある。特に暗い場所での視認性が下がるため、フラット版よりも状況把握が難しくなることがある。また、長時間のVRプレイは疲労が大きい。1ゲーム20分という短さがVRホラーにはむしろちょうどいいとも言えるが、連続して何ゲームもやるとVR酔いのリスクがある。
VRChat好きな人なら、VR空間での「存在感」のあるホラー体験に親近感を持てるかもしれない。VRChatが「人と交流する」VR体験なら、DEVOURは「人と逃げる」VR体験だ。方向性は違うけど、VR空間で誰かと一緒に過ごす楽しさの延長線上にある。

コミュニティと配信文化——DEVOURが生み出した叫び声の連鎖

DEVOURの人気を語る上で、配信文化の影響は外せない。
このゲームが最初に広まったきっかけのひとつは、海外のYouTuberやTwitch配信者たちだ。Markiplierをはじめとする人気ゲーム実況者がプレイし、その叫び声と笑い声が視聴者を引きつけた。
日本でも同様の流れがあった。VTuberを中心に多くの配信者がDEVOURをプレイし、「フレンドと叫びながらホラーゲームをやる」というコンテンツがウケた。ホラー系の協力ゲームは配信との相性が抜群で、「怖がるリアクション」がそのままエンタメになる。
Twitchの「DEVOUR」カテゴリは2026年4月現在も安定した配信数を維持しており、特にハロウィンシーズン(10月前後)は配信数もピークを迎える。新マップがリリースされるたびに配信者が戻ってくるサイクルが確立されている。
Steamコミュニティも活発だ。攻略ガイド、マップごとのアイテムスポーン位置まとめ、初心者向けのTipsなど、コミュニティ制作のコンテンツが豊富。「すべてのマップのセーフスポットまとめ」「全マップの鍵・燃料・バッテリー出現場所」といった詳細なガイドが人気を集めている。
Discordサーバーも存在し、パブリックマッチの募集や攻略情報の共有が行われている。「ソロだけど一緒にやる人いない?」という募集に対して人が集まる程度にはコミュニティが活きている。
日本のゲームメディアでもDEVOURは複数の記事が出ている。4Gamer.netでは「ハロー!Steam広場」の第316回でDEVOURが紹介された。Game*Sparkではプレイレポートが掲載され、「カルト教団の崇拝者となり狂気の女から逃げ延びろ!」というタイトルで詳細なゲーム内容が解説された。電撃オンラインでは女性ライターがソロでプレイした体験記事が話題になった。ファミ通の「Steamハック」連載でも取り上げられるなど、日本の主要ゲームメディアがDEVOURを認知している。
ゲーム実況の素材として優秀すぎる。叫ぶポイントが1ゲームに5回くらいあるから、切り抜き映えがすごい。500円でこれだけのコンテンツが取れるのはコスパ良すぎ
引用元:Twitter @ユーザー
コミュニティが健全に機能し続けている背景には、開発者の姿勢も大きい。Straight Back Gamesはコミュニティからのフィードバックを積極的に取り入れており、バグ修正の対応も迅速だ。2人のチームでここまでコミュニティマネジメントをやっているのは、素直にリスペクトに値する。
DEVOURの弱点を補うなら——組み合わせで遊ぶCo-opホラー
ここまで読んで「DEVOURは良さそうだけど、弱点も気になる」と思った人向けに、DEVOURと組み合わせて遊ぶと満足度が上がるCo-opゲームをいくつか挙げておく。
まず、DEVOURの「恐怖が薄れてくる」問題を補完するなら、推理要素のあるPhasmophobiaがいい。DEVOURで「走って逃げる」恐怖を味わった後にPhasmophobiaで「じわじわ追い詰められる」恐怖を味わうと、両方の良さが際立つ。
DEVOURの「ソロが辛い」問題については、ソロでも楽しめるCo-opゲームとしてCyberpunk 2077やRed Dead Redemption 2のようなオープンワールド系がおすすめだ。これらはソロ体験が充実しているので、フレンドがオフラインの時間を潰すのに最適。


DEVOURの「繰り返しが単調になる」問題には、ランダム性の高いゲームを組み合わせるのが効果的だ。DEVOURで20分の濃密なホラーを味わった後に、オープンワールド系でのんびり過ごす——みたいな緩急のつけ方で、両方のゲームを長く楽しめる。
まとめ——500円で手に入る「本物の恐怖」
DEVOURは完璧なゲームではない。ソロプレイは厳しいし、繰り返すと怖さが薄れるし、根幹のゲームループは単調になりがちだ。RNGに理不尽さを感じることもある。
でも、それでも推す理由がある。
500円で、これだけの恐怖体験を友達と共有できるゲームは他にない。
7つのマップ、5人のボス、段階的に凶暴化する難易度、VR対応、パークシステム。5年間にわたるアップデートで積み上げられたコンテンツ量は、500円のゲームの常識を超えている。DLCなし、追加課金なし、バトルパスなし。買い切り500円ですべて遊べる。
開発者のJoe FenderとLuke Fanningが、2人だけで5年間このゲームを磨き続けてきたという事実にも敬意を払いたい。派手なプロモーションもなく、ただゲームの質だけでここまで来た。6万7,000件のレビューと90%の好評率が、その努力の証明だ。
もし友達2〜4人でホラーゲームを探しているなら、DEVOURは最初の選択肢に入れていい。500円を出して、ヘッドフォンをつけて、農場マップのAnnaに追いかけられてみてほしい。最初の1回で、このゲームの魅力がわかるはずだ。
そしてもし気に入ったら、ナイトメアモードに挑戦してみてほしい。通常モードとは別次元の恐怖が待っている。金色のローブを手に入れた時、DEVOURの本当の深さがわかる。
——「もう1回やろう」。そう言ってしまう自分に気づいた時が、このゲームにハマった瞬間だ。
DEVOUR
| 価格 | ¥1,200 |
|---|---|
| 開発 | Straight Back Games |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

