「Cyberpunk 2077」炎上から復活したナイトシティのオープンワールドRPG

「発売日に買って、3時間でアンインストールした。2年後に再インストールして、200時間溶かした」

これ、サイバーパンク2077(Cyberpunk 2077)のSteamレビューでよく見かけるパターンだ。そしてこの一文に、このゲームの歴史がぎゅっと詰まっている。

2020年12月の発売時、サイバーパンク2077はゲーム史に残るレベルの炎上を経験した。旧世代機ではまともに動かない、バグだらけ、PlayStation Storeから一時削除、集団訴訟にまで発展。CD PROJEKT REDの信用は地に落ちた。

でも2026年現在、このゲームの評価は完全に逆転している。累計販売本数3,500万本。Steamレビューは約37万件中88%が好評の「非常に好評」。直近30日間に限れば94〜95%が好評を記録している。The Game Awards 2023ではBest Ongoing Game賞を受賞し、2025年6月に発売されたSwitch 2版はメタスコア90点を記録して全プラットフォーム最高得点を叩き出した。

ここまで劇的な復活を遂げたゲームは、ちょっと記憶にない。

この記事では、サイバーパンク2077がどんなゲームなのか、なぜ炎上したのか、どうやって復活したのか、そして今から始めても楽しめるのかを、実際のプレイ感覚とユーザーの声を交えて徹底的に書いていく。ネタバレは最小限にとどめるので、これから始める人も安心して読んでほしい。

目次

「Cyberpunk 2077」公式トレーラー

こんな人に読んでほしい

  • サイバーパンク2077を買おうか迷っている人
  • 発売時の炎上を知っていて「今はどうなの?」と気になっている人
  • アニメ「エッジランナーズ」を見て、ゲームに興味を持った人
  • CD PROJEKT REDのゲームが好きで、ウィッチャー3の次に何を遊ぶか考えている人
  • PCでガッツリ遊べるオープンワールドRPGを探している人
  • サイバーパンクという世界観やジャンルそのものに興味がある人

ナイトシティという圧倒的な舞台の魅力

Cyberpunk 2077 未分類 スクリーンショット1

サイバーパンク2077の舞台は「ナイトシティ」。カリフォルニア州に位置する架空の巨大都市で、巨大企業が支配し、暴力と欲望とテクノロジーが渦巻く街だ。

このナイトシティの作り込みが、とにかく尋常じゃない。

高層ビルが乱立するシティセンターから、日本文化が色濃く残るジャパンタウン、荒廃したパシフィカ、富裕層が暮らすウエストブルックまで、6つの地区がそれぞれ独自の雰囲気を持っている。街角の広告ひとつとっても、ゲーム内の「過剰な消費主義」を表現するために専門チームが手作りしている。ポスターの文字は読めるし、落書きにも意味がある。テレビをつければナイトシティのニュースが流れ、ラジオからはこの世界でしか聴けない音楽が鳴る。

一人称視点(FPS)で描かれるこの街の没入感は、他のオープンワールドゲームと一線を画している。見上げれば巨大なネオンサイン、見下ろせばスラムの路地裏。エレベーターでビルの高層階に上がれば、ナイトシティの全景が眼下に広がる。夜になると街中のネオンが点灯して、雨の日は路面にその光が反射する。この光の演出がレイトレーシング対応で一段と映える。夜のナイトシティを車で走っているだけで、「ここに住んでいる」という感覚が湧いてくる。

6つの地区それぞれの個性

ナイトシティは6つの地区と周辺のバッドランズで構成されている。それぞれがまったく違う顔を持っていて、ただ歩き回るだけでも飽きない。

シティセンターは巨大企業が本社を構えるビジネス街。アラサカやミリテクといった超巨大企業のビルが空を突き刺すようにそびえ、スーツ姿のコーポレートが早足で行き交う。ここだけ見れば近未来のウォール街だ。

ワトソンは物語の始まりの地区で、アジア系の文化が根付いたエリア。ごちゃごちゃした路地裏、屋台の湯気、壁一面の看板。雑多だけど妙に居心地がいい。主人公Vの自宅もここにある。

ウエストブルックにはジャパンタウンがあり、日本語の看板やネオン、居酒屋風の飲み屋が並ぶ。日本人プレイヤーとしては思わず「おお」と声が出る空間だ。キャバレークラブ「雲」はストーリーでも重要な場所として登場する。

ヘイウッドはラテン系文化が強いエリアで、ギャング「バレンティノス」の縄張り。パシフィカは開発途中で放棄された地区で、ハイチ系移民のコミュニティがある。サントドミンゴは工業地帯で、ナイトシティの電力インフラを支えている。

そしてナイトシティの外に広がるバッドランズ。砂漠と廃墟が延々と続く荒野で、ノマド(放浪民族)たちがキャラバンを組んで生活している。パナム・パーマーのクエストラインの舞台でもあり、ナイトシティとはまったく違う空気が流れている。

これだけの世界を作り上げたCD PROJEKT REDの力量は、前作ウィッチャー3の時点で証明済みだ。あちらは中世ファンタジーの世界で、広大なフィールドとその中に息づく人々の生活を丁寧に描いていた。「世界を丸ごとつくる」ことにかけては、やはり業界屈指の実力を持っている。

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ライフパスによる導入の違い

ゲーム開始時、プレイヤーは3つの「ライフパス」から1つを選ぶ。ストリートキッド(ナイトシティの路上で育った人間)、ノマド(荒野の放浪者)、コーポ(巨大企業の社員)。選んだライフパスによってゲーム序盤のストーリーが変わり、以降の会話でもライフパス固有の選択肢が登場する。

たとえばコーポのVなら、アラサカ社の内部事情を知る者として交渉を有利に進められる場面がある。企業の裏取引や社内政治の知識を使って、相手の本音を引き出すことができる。ストリートキッドなら、ギャングとの交渉でストリートの礼儀作法や暗黙のルールを知っていることが武器になる。ノマドなら、機械やエンジンに関する知識で相手を感心させたり、荒野での生存術がものを言う場面がある。

正直なところ、ライフパスがゲーム全体に与える影響は「思ったより小さい」という意見も多い。序盤30分ほどの導入が異なり、以降は追加の会話選択肢が出る程度。メインストーリーの大筋が変わるわけではない。でも、ロールプレイの味付けとしては十分機能していて、2周目以降に別のライフパスで始めると、また違った視点でナイトシティを見られる。

ナイトシティの世界観の底にあるのは、テクノロジーの進歩と人間の尊厳の対立だ。身体をサイバーウェアで強化すればするほど人間としての何かが失われていく。この「サイバーサイコシス」のテーマはアニメ「エッジランナーズ」でも中心的に描かれたが、ゲーム本編でも街のあちこちにその痕跡がある。暴走したサイバーサイコを鎮圧するサイドジョブのシリーズは、単なる戦闘ミッションではなく、テクノロジーと人間性の境界線を考えさせられるエピソードの連続だ。

こうした「世界の裏側にある物語を探る」体験は、サイバーパンク2077の大きな魅力のひとつだ。社会の不条理に切り込むRPGという意味では、Metaphor: ReFantazioも近いものがある。あちらはファンタジーの衣を借りて現実の社会問題を描いており、サイバーパンク2077がテクノロジーと資本主義の暴走を描いているのと、根底にあるテーマは似ている。

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ストーリーとキャラクター——キアヌ・リーブスと歩む物語

Cyberpunk 2077 未分類 スクリーンショット2

主人公はV(ヴィー)。傭兵として生きるVは、ある依頼をきっかけに脳内にバイオチップを埋め込まれてしまう。そのチップには、伝説のロッカーボーイ「ジョニー・シルヴァーハンド」の人格データが入っていた。

ジョニーを演じるのはキアヌ・リーブス。これがただの「有名俳優の出演」にとどまっていない。ジョニーはVの脳内に常に存在し、勝手に喋り、文句を言い、時に核心を突く助言をくれる。ゲームを通じて最も長い時間を共にする相棒であり、同時に自分の命を脅かす存在でもある。

ジョニー・シルヴァーハンドというキャラクターは、もともとテーブルトップRPG「Cyberpunk 2.0.2.0.」に登場する伝説のロッカーボーイだ。左腕に銀色のサイバーウェアを装備し、ロックバンド「サムライ」のフロントマンとして活動しながら、巨大企業アラサカに反抗し続けた革命家。2023年(ゲーム内の時間軸)にアラサカ本社を襲撃し、戦死したとされている。

キアヌ・リーブスの演技が素晴らしいのは、このキャラクターの多面性をきちんと表現しているからだ。ジョニーは最初、Vに対して敵対的で傲慢。でもストーリーが進むにつれて、弱さや後悔も見せ始める。カリスマ性と人間臭さが同居するキャラクターで、ゲームが進むほど好きになっていく。Ver.2.0のアップデートではジョニーの顔モデルも調整され、よりキアヌ・リーブス本人に近い造形になった。目元がキリッとして渋さが増している。

ちなみにキアヌ本人は2025年のインタビューで「サイバーパンク2でもジョニーを演じたい」と語っている。それだけこのキャラクターに愛着があるということだろう。

バイオチップが突きつける「余命」という問い

このバイオチップがVの身体を徐々に蝕んでいく。放っておけばVの人格は消え、ジョニーが身体を乗っ取る。「自分の命を救う方法を見つける」——これがメインストーリーの軸だ。

一見シンプルに聞こえるけれど、この「余命わずかの主人公が奔走する」という設定が、すべてのサイドクエストに切迫感を与えている。ただの依頼をこなしているようでいて、「自分に残された時間で何をするか」という問いが常につきまとう。

仲間のために危険な任務に付き合う。見知らぬ人の助けを求める声に応える。あるいは金のために冷酷な判断を下す。どの行動を取るかは完全にプレイヤー次第だけれど、「Vの命は長くない」という事実が、ひとつひとつの選択に重みを加える。RPGにおける選択肢が「どっちのご褒美がいいか」ではなく「残された時間で何を大切にするか」になっている。これはストーリーテリングとしてかなり巧妙だ。

メインストーリーを進めるほど、Vの体調は目に見えて悪化していく。鼻血が出る、倒れる、意識が飛ぶ。物語の緊張感がゲームプレイにも反映されているのがうまい。

エンディングの分岐が秀逸

エンディングは複数存在し、大きく分けて「太陽」「星」「節制」「悪魔」、そして条件を満たすと見られる隠しエンディングがある。どのルートを選ぶかで、Vの運命はまったく異なる結末を迎える。

重要なのは、エンディングの分岐がメインストーリーだけで決まらないこと。サイドクエストをどれだけ進めたか、仲間との関係性をどう築いたかで、最終局面に現れる選択肢そのものが変わる。パナム・パーマーのクエストラインを最後まで進めれば「星」ルートが開放される。ジョニーのサイドジョブをきちんとこなし、好感度を一定以上に上げておかないと隠しエンディングには辿り着けない。

隠しエンディングの発生条件はちょっと変わっていて、最終決戦前のジョニーとの会話で「何も操作せずに5分ほど待つ」と発生する。普通にプレイしていたらまず気づかない。でもこの演出の意図——「選ばないことも選択である」というメッセージ——は、ゲーム全体のテーマに深く根ざしている。

「サイドクエストをやり込むほど、最後の選択肢が増える」という設計は、プレイヤーの時間を無駄にしない。むしろ、メインだけクリアした人と全クエストクリアした人では、まるで別のゲームのような体験になる。この構造は本当によくできている。

サブキャラクターたちの存在感

サイバーパンク2077のサブキャラクターたちは、それぞれが独立した人生を持っている。ジュディ・アルヴァレス、パナム・パーマー、ケリー・ユーロダイン、リヴァー・ウォード。ロマンスオプションとしても人気だが、彼らの存在価値はそこだけじゃない。

ジュディはブレインダンス(記憶を追体験できる技術)の編集者で、ナイトシティの性産業の闇に切り込むクエストラインを持っている。彼女の物語を追いかけると、テクノロジーが人間の尊厳をどう侵食するかという、サイバーパンクというジャンルの核心に触れることになる。ジュディのクエストには「ダイブ」と呼ばれるブレインダンスの調査シーンがあり、他人の記憶の中に潜って証拠を探すという独特のゲームプレイが展開される。この仕組みがサイバーパンクの世界ならではの体験で、普通のRPGでは味わえない。

パナムはノマドの族長候補で、彼女のクエストでは放浪民族アルデカルドスの生き方と企業社会との対立が描かれる。バッドランズでの冒険は本編のナイトシティとはまったく違う空気感で、開放的で爽快。砂漠の夕陽の中を装甲車で走り抜けるシーンは、ナイトシティの閉塞感とは対極にある解放感に満ちている。そしてパナムルートの「星」エンディングは、多くのプレイヤーが「最も希望のある結末」として支持している。パナムと共にナイトシティを出るという選択は、ゲーム全体を通じて描かれた「この街に飲み込まれるか、それとも抜け出すか」というテーマの答えのひとつだ。

ケリーはジョニーの旧友で、かつてバンド「サムライ」のメンバーだった男。ジョニーの過去を知る人間として、バイオチップの謎に別の角度から光を当ててくれる。彼のクエストは音楽に関わるシーンが多く、ジョニーが生きていた時代のナイトシティを知る貴重な語り部でもある。往年の栄光と現在の苦悩を抱えるケリーの姿は、ナイトシティが人から何を奪い、何を与えるのかを静かに語っている。

リヴァー・ウォードはNCPDの刑事で、彼のクエストラインではナイトシティの司法と犯罪の境界線が描かれる。正義を貫こうとする人間が、腐敗した組織の中でどう生きるか。このテーマはサイバーパンクの世界観と密接に結びついていて、彼の物語はメインストーリーとはまた違った角度からナイトシティの闇を照らしている。

どのキャラクターの物語も、単なる「お使い」にとどまらず、ナイトシティという世界の別の側面を見せてくれる。これがサイバーパンク2077のサイドクエストが高く評価される理由だ。

メインストーリーだけで終わらせるのはもったいない。サイドジョブをやればやるほど、ナイトシティの奥行きが見えてくる。ジュディのクエストは特にやってほしい

引用元:Steamレビュー

この意見にはかなり同意する。メインだけなら30〜40時間で終わるが、サイドクエストまで含めると100時間以上遊べる。そしてその100時間が、エンディングの感動を何倍にも増幅させる。

戦闘システムとキャラビルドの自由度

サイバーパンク2077の戦闘は一人称視点のアクションシューティングがベースだ。ただし、単なるFPSではない。RPGとしてのビルド要素が深く、プレイスタイルによってまったく違うゲーム体験になる。

大きく分けると「銃撃特化」「近接特化」「ハッキング(ネットランナー)特化」「ステルス特化」の4方向があり、それらを組み合わせた複合ビルドも可能。たとえば「ステルスで侵入し、ハッキングで敵のインプラントを無力化し、バレたらカタナで切り込む」みたいなハイブリッドビルドも組める。自分だけのVを作り上げる楽しさは、何周遊んでも色あせない。

特にVer.2.0アップデート以降、このビルドシステムは劇的に改善された。以前は15種類以上あったスキルツリーが5つに統合され、「ヘッドハンター」「ネットランナー」「シノビ」「ソロ」「エンジニア」というわかりやすい分類になった。パークの数は減ったが、ひとつひとつの効果が明確でインパクトが大きくなり、ビルドの個性がはっきり出るようになった。

ネットランナービルドの爽快感

個人的に一番おすすめしたいのがネットランナービルド。敵のサイバーウェアをハッキングして、銃を一発も撃たずに敵を無力化できる。監視カメラを乗っ取って部屋中の敵を把握し、遠隔でインプラントを過熱させて倒す。壁の向こう側の敵すら、ネットワーク経由で攻撃できる。「こんなの反則だろ」と思いながらも、やめられない快感がある。

オーバークロックモードを発動すると、HPを消費してさらに強力なクイックハックを連発できる。HPが減り続ける中で敵を次々と無力化していく緊張感は、他のゲームではなかなか味わえない。「頭脳戦で敵を圧倒する」というファンタジーを、見事にゲームプレイとして成立させている。

ネットランナーの面白さは、情報収集のフェーズにもある。任務前にアクセスポイントをハッキングしてフロアの配線図を把握する。敵の通信を傍受して巡回ルートを予測する。戦闘が始まる前の段階で、すでにゲームが始まっている。この「準備が楽しい」という感覚は、ステルスゲームの醍醐味に近い。

サンデヴィスタンの「時間超越バトル」

もうひとつ触れておきたいのが、サイバーウェア「サンデヴィスタン」を使った戦闘。時間をスローモーションにして、近接武器やカタナで敵を切り刻む。アニメ「サイバーパンク: エッジランナーズ」の主人公デイビッドが使っていたアレだ。

サンデヴィスタン発動中の爽快感は言葉にしにくい。弾丸が空中で停止する中を駆け抜け、敵の背後に回り込んでカタナで一閃。サーマルカタナ(Ver.2.0で追加された熱を帯びた刀)なら、斬った敵が炎上する。マンティスブレード(腕から飛び出す刃)で飛びかかれば、離れた敵にも一瞬で接近できる。ゴリラアーム(強化腕)を装備すれば、敵を掴んで投げ飛ばすことだってできる。このスタイリッシュさは「映像作品としてのサイバーパンク」そのものだ。

Ver.2.0以降、敵もサンデヴィスタンを装備している場合があり、スローモーション中に敵が通常速度で動いてくるという衝撃の瞬間が生まれるようになった。こちらが時間を止めたつもりでいたら、相手も同じ技術を持っていた、という展開。開発チームが「単なる無双にはさせない」という意志を持って調整したことがよくわかる。

車両戦闘とカーチェイス

Ver.2.0では車両戦闘も追加された。運転しながらピストルやサブマシンガンで撃ち合えるようになり、バイクなら近接武器も使える。カーチェイス中に敵の車にカタナを振り下ろす光景は、まさにサイバーパンクの世界観を体現している。

カーチェイスは敵から追われる場面だけでなく、こちらから追いかける場面もある。ナイトシティの入り組んだ路地を全速力で駆け抜けながらの銃撃戦は、映画的な興奮がある。発売当初はなかった要素だけに、Ver.2.0で追加されたときのインパクトは大きかった。ナイトシティ中を走り回れる車両の種類も豊富で、スポーツカーからバイク、装甲車まで揃っている。お気に入りの車を見つけて、夜のハイウェイを飛ばす。それだけで「ナイトシティに生きている」感覚が湧いてくる。

ちなみに、サイバーパンク2077にはフォトモードが実装されていて、戦闘中でも時間を止めてカメラアングルを自由に調整できる。サンデヴィスタンでカタナを振り抜いた瞬間や、ネットランナーのクイックハックが発動する瞬間を撮影すると、まるで映画のワンシーンのようなスクリーンショットが撮れる。「バトルフォトグラファー」としてナイトシティを記録するのも、このゲームの立派な遊び方だ。

とにかく戦闘関係が面白くなった。Ver.2.0前とは別ゲーと言っていいレベル。スキルの組み合わせを考えるのが楽しすぎて、何周もしてしまう

引用元:Twitter @R_Nikaido

戦闘の自由度という点では、同じアクションRPGのドラゴンズドグマ2も高い評価を受けている。あちらは三人称視点のファンタジーアクションだが、「自分だけの戦い方を見つける楽しさ」を求める人にはぐっと刺さるタイトルだ。

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発売時の大炎上——何が起きたのか

Cyberpunk 2077 未分類 スクリーンショット3

2020年12月10日。何度もの発売延期を経て、ついにサイバーパンク2077が世界中で発売された。事前の期待は異常なほど高かった。ウィッチャー3でGOTYを獲ったCD PROJEKT RED、キアヌ・リーブスの出演、E3 2018から2年以上にわたるプロモーション。発売前の予約だけで800万本を超えていた。

PC版は「期待通り」という声が多かった。バグはあったものの、ハイスペックPCで動かせばナイトシティの美しさは圧倒的で、ストーリーの質も高かった。発売直後のSteam同時接続者数は100万人を超え、Steamの同時接続プレイヤー数の過去最高記録更新を後押しするほどの勢いだった。

問題はコンソール版、特にPS4とXbox One版だった。

フレームレートは15〜20fps前後まで落ち込み、解像度は720p程度。テクスチャは読み込めずぼやけたまま、NPCは突然消えたり空中に浮いたり。ゲーム強制終了は日常茶飯事。「これはベータ版か?」というレベルの未完成品だった。

事態はすぐにエスカレートした。ソニーはPlayStation Storeからサイバーパンク2077を一時的に削除するという異例の措置を取った。PSストアからゲームが削除されること自体が極めて稀で、業界に衝撃が走った。CD PROJEKT REDは無条件返金を発表し、株価は発売後数日で30%以上下落。米国では投資家による集団訴訟まで起きた。

発売日に有給取ってPS4で起動した。ワクワクが絶望に変わるまで30分もかからなかった。あの日の落胆は今でも忘れられない

引用元:5chゲームスレッド

意図的な情報制限がバレた

火に油を注いだのが、発売前のレビュー体制だった。CD PROJEKT REDはメディアへの事前レビュー用にPC版のみを提供し、コンソール版のコードは発売直前まで配布しなかった。さらに自前の映像素材以外の使用を禁じる制約付きだった。つまりメディアは「PC版の最適環境でプレイした感想」しか発売前に伝えられなかったわけだ。

この「意図的な情報制限」がバレたことで、ゲーム内容以上に「企業としての誠実さ」が問われる事態になった。WIRED.jpは当時、「ゲームの虚飾と、砕かれた信頼感」という記事で事態を報じている。技術的な問題よりも、ユーザーに対して不誠実だったことが問題の本質だった。

約束されていた機能の欠如

バグだけが問題ではなかった。発売前に示唆されていた「NPCの生活サイクル」「警察の追跡システム」「電車での移動」「深い選択分岐」といった要素が、発売版では大幅に簡略化されていた。

NPCは同じ動きを繰り返すだけで、警察は犯罪を犯すとどこからともなく瞬間湧きする始末。プレイヤーから数メートルの距離に、突然武装した警官が出現する。カーチェイスもなく、少し距離を取るだけで手配が解除される。期待していたのは「生きた街」だったのに、実際に手にしたのは「背景が動いているだけの街」だった。

当時のWIRED.jpのレビューでは「最大の問題はバグや不具合ではない」と断じている。技術的な問題は修正できるが、ゲームデザインの根本的な不足は簡単には埋められない——そういう厳しい論調だった。この指摘は正しかった。そしてCD PROJEKT REDが、この「根本的な不足」にも正面から向き合ったことが、後の復活劇につながっていく。

開発チームの謝罪とロードマップ

炎上から約1か月後の2021年1月、CD PROJEKT RED共同創業者のマルチン・イヴィンスキは動画で公式に謝罪した。「コンソール版の品質を見極めきれなかった」「発売前にもっとテストすべきだった」と認め、今後の修正ロードマップを発表した。

この謝罪動画は賛否両論だった。「謝罪は評価するが、発売前にわかっていたはずだ」という厳しい意見が多かった。実際、社内では旧世代機での問題は認識されていたという報道もあり、「知っていて出した」のであれば謝罪だけでは済まない話だ。でも少なくとも、「逃げずに向き合う姿勢」を公式に示したことは、その後の復活に向けた第一歩にはなった。

CD PROJEKT REDの開発者は後に「クオリティに関する取り組み」として公式サイトでも詳細な方針を発表している。品質管理のプロセスを根本から見直し、社内のテスト体制を強化したこと、外部のQAチームとの連携を増やしたことなどが具体的に語られた。サイバーパンク2077の失敗は、ゲーム開発における品質保証のあり方を業界全体に問い直すきっかけにもなった。

復活の軌跡——アップデート、アニメ、そしてDLC

ここからがサイバーパンク2077の真骨頂だ。普通なら「炎上したゲーム」として歴史に埋もれてもおかしくなかった。でもCD PROJEKT REDは逃げなかった。

地道なパッチ更新(2021〜2022年)

2021年から2022年にかけて、大小合わせて十数回のパッチが配信された。パッチ1.2でコンソール版のパフォーマンスが目に見えて改善され、パッチ1.23配信後の2021年6月にはPS Storeでの販売が再開された。約半年間にわたるPS Store削除という前代未聞の事態にようやく終止符が打たれた。

2022年2月のパッチ1.5は、ひとつの転換点だった。PS5/Xbox Series X|S向けの次世代版が無料で配布され、レイトレーシング対応やフレームレートの安定化が実現。アパートメントのカスタマイズ機能や新たな武器・装備も追加された。新しいハードウェアの性能を活かすことで、「本来こうあるべきだった」ナイトシティの姿がようやく見えてきた。次世代機で遊ぶサイバーパンク2077は、PS4版とは明確に別物だった。このパッチを機に「やっと遊べるレベルになった」とゲームに戻ってくるプレイヤーも少しずつ増え始めた。

この時期のプレイヤー数は正直かなり少なかった。Steam同時接続者数は発売直後の100万人超から数千人レベルまで落ち込んでいた。地道なバグ修正を続けるCD PROJEKT REDを、業界は半信半疑の目で見ていた。「もう手遅れだろう」という空気が強かった。

アニメ「エッジランナーズ」の衝撃(2022年9月)

転機となったのが、Netflixで配信されたアニメ「サイバーパンク: エッジランナーズ」だ。日本のアニメスタジオTRIGGER(「キルラキル」「プロメア」で知られる)が制作し、全10話が2022年9月13日に一挙配信された。

このアニメがとんでもない出来だった。

主人公デイビッド・マルティネスの物語は、ナイトシティの底辺から始まる。母親を失い、学校にも居場所がなく、偶然手に入れた軍用サイバーウェア「サンデヴィスタン」をきっかけにエッジランナー(傭兵)の世界に足を踏み入れる。仲間と出会い、力をつけ、のし上がっていくが、やがてサイバーウェアの過剰装着による「サイバーサイコシス」(精神崩壊)のリスクに直面する。

わずか10話でありながら、ナイトシティという世界の残酷さと美しさを見事に描き切った。デイビッドとルーシーの関係性、そしてあの結末。クランチロールアワードで複数の賞を受賞し、アニメファンからもゲームファンからも絶賛された。

アニメの効果は数字にはっきり表れた。エッジランナーズ配信直後、サイバーパンク2077のSteam同時接続者数は一気に跳ね上がった。Steamの売上ランキングでもトップに返り咲き、「アニメを見てからゲームを始めた」という新規プレイヤーが大量に流入した。ゲーム内にはエッジランナーズにちなんだアイテムやイベントも追加され、アニメとゲームの相乗効果が生まれた。

エッジランナーズ見てからゲーム買った。デイビッドが使ってたサンデヴィスタンを自分で装備できた瞬間、鳥肌が立った

引用元:Twitter @Spica24510

ゲームとアニメのメディアミックスとして、エッジランナーズは理想的な成功例だった。アニメ単体として質が高く、それでいてゲームへの導線としても機能する。「アニメで世界観を知り、ゲームでその世界に入り込む」という体験の流れが自然に成立していた。エッジランナーズの大成功を受けて「エッジランナーズ2」の制作も正式発表されている。再びTRIGGERとのタッグで、Netflixでの配信が予定されている。

Ver.2.0アップデートとDLC「仮初めの自由」(2023年9月)

そして2023年9月、サイバーパンク2077の評価を決定的に塗り替えたのが、無料大型アップデートVer.2.0と有料DLC「仮初めの自由(Phantom Liberty)」の同時リリースだ。

Ver.2.0は「パッチ」というレベルを超えていた。スキルツリーの全面リワーク、サイバーウェアシステムの刷新、警察システムの作り直し、車両戦闘の追加、敵AIの大幅改善。発売時に批判された「ゲームデザインの根本的な不足」を、3年かけて正面から解決した。

特に警察システムの刷新は象徴的だった。発売当初の「犯罪を犯すと警察が目の前に瞬間湧きする」という不自然な仕様は完全に撤廃され、手配度に応じて段階的に対応が激しくなる本格的なシステムに生まれ変わった。低レベルではパトカーが接近してくる程度だが、手配度が上がるとNCPD(ナイトシティ警察)の装甲車が出動し、最高レベルではMAX-TACという対サイバーサイコ特殊部隊が投入される。このMAX-TACが本当に強くて、まともに戦ったらまず勝てない。「警察に追われる」という行為にきちんとリスクが伴うようになった。

敵AIも改善された。グレネードを投げると敵が回避行動を取るようになり、囲まれたときの対応が賢くなった。前述のサンデヴィスタン対サンデヴィスタンの展開が生まれたのもこのアップデートから。「敵がバカだから勝てる」のではなく「賢い敵を上回る戦略で勝つ」というゲーム体験に進化した。

DLC「仮初めの自由」は、新エリア「ドッグタウン」を舞台にしたスパイスリラー。軍閥のリーダー、カーネル・ハンセンが支配する隔離地区で、堕ちたNUSA(新合衆国)大統領を救出するミッションから始まる。メインストーリーにはイドリス・エルバ演じるソロモン・リードが登場し、本編とはまた違ったトーンの物語が展開される。リードは元スパイで、プレイヤーの選択によって味方にも敵にもなりうる存在。彼との関係性の変化が、DLCのストーリーに厚みを与えている。

メタクリティックスコアは89点。メインシナリオだけで10時間以上、サイドジョブや探索を含めると30時間以上のボリュームがある。日本のプレイヤーからは「DLCだけで一本のゲームとして成立するクオリティ」「本編のエンディングより感動した」という声も出ている。The Game Awards 2023ではBest Performance候補にイドリス・エルバがノミネートされるほど、キャラクターの演技面でも高く評価された。

DLCのストーリーはメインと同等かそれ以上。特にリードとの関係性の変化が素晴らしい。このDLCだけで一本のゲームとして成立するクオリティ

引用元:Steamレビュー

The Game Awards 2023での受賞

2023年12月、The Game Awardsでサイバーパンク2077はBest Ongoing Game賞を受賞した。ノミネートされた他の作品はApex Legends、ファイナルファンタジー14、フォートナイト、原神。すべてライブサービス型のゲームだ。

シングルプレイヤーゲームがこのカテゴリーで受賞するのは異例中の異例だった。一部からは「発売時にまともな状態で出せなかったゲームが”継続サポート”で表彰されるのはどうなのか」という声も上がったが、「3年間かけてゲームを根本から作り直した」という事実が、業界全体に認められた瞬間だったと思う。壇上に立ったCD PROJEKT REDの開発者の表情には、安堵と誇りが混じっていた。

受賞の背景には、DLC「仮初めの自由」のクオリティの高さがあった。本編の問題を修正しただけでなく、新たなコンテンツとして高い水準の体験を提供した。これは単なる「修復」ではなく「進化」だった。BAFTA Games Awardsでもノミネートを受けるなど、2023年のゲーム業界においてサイバーパンク2077は再び話題の中心に返り咲いた。発売から3年経ったゲームのDLCが、新作タイトルと肩を並べてアワードの舞台に立つ。この事実だけでも、サイバーパンク2077の復活がいかに異例だったかがわかる。

今から始めても楽しめるのか——2026年の現在地

Cyberpunk 2077 未分類 スクリーンショット4

結論から言えば、今が最高のタイミングだと思う。

2026年4月現在、サイバーパンク2077はすべてのアップデートが完了した「完成形」の状態にある。Ver.2.0で戦闘とRPGシステムが刷新され、DLC「仮初めの自由」でストーリーも完結。バグはほぼ修正済み。発売当初の問題を知らない新規プレイヤーにとっては、純粋に一本の完成されたRPGとして楽しめる環境が整っている。

Steam同時接続者数は約27,000〜37,000人で安定している。発売から5年以上経ったシングルプレイヤーゲームでこの数字は驚異的だ。セール時には同接がさらに跳ね上がる傾向がある。ゲームの人気が一過性のブームではなく、着実に定着していることの証明だ。

2025年6月にはSwitch 2版「アルティメットエディション」が発売され、メタスコア90点を記録。本編とDLCが64GBのゲームカードに収録されており、追加ダウンロードなしで遊べる。TVモードで1080p、携帯モードで720p、フレームレートは30〜40fpsを維持。海外メディアからは「サードパーティ製ゲームの移植品質の指標」と評された。携帯モードでナイトシティを歩ける時代が来るとは、2020年の炎上時には想像もできなかった。

どのエディションを買うべきか

PC版で始めるなら「アルティメットエディション」一択だ。本編とDLC「仮初めの自由」がセットになっている。DLCはメインストーリーの途中から分岐する形で始まるため、最初からセットで買っておいたほうがスムーズにプレイできる。DLCのメインクエスト開始条件はメインストーリーの特定の時点に到達していることなので、本編とDLCを並行して進められる。

Steamのセール時には大幅な値引きが入ることが多い。定価で買っても100時間以上の体験が待っているので十分以上に元は取れるが、急がないなら次のセールを待つのもアリだ。過去のセールでは半額以下になったこともある。

推奨スペックについて

サイバーパンク2077はPCゲームの中でもかなりの重量級タイトルだ。レイトレーシングをフルに有効にすると、RTX 4070クラスでもフレームレートが厳しくなる場面がある。ナイトシティは建物の密度が高く、光源が多いため、レイトレーシングの負荷が特に大きい。

ただし低設定でも没入感は十分という声も多い。ナイトシティの魅力はグラフィックの精細さだけでなく、街の構造や雰囲気にあるので、設定を落としても「住んでいる感」はしっかり感じられる。

低設定でも没入感が凄い。作り込みが光るゲームだから、グラフィック設定を落としても楽しめる。40時間遊んだけど、まだまだ終わらない

引用元:個人ブログレビュー

DLSSやFSRといったアップスケーリング技術にも対応しているので、それらを活用すればミドルスペックのPCでも十分遊べる。DLSS 3のフレームジェネレーションにも対応しているので、RTX 40シリーズ以降を持っているならフレームレートを大幅に改善できる。ただ、ナイトシティの真の美しさを体験したいなら、できるだけ高スペックのマシンで遊んでほしいというのが正直な気持ちだ。夜の雨のナイトシティをレイトレーシングオンで走ったときの「うわ……」という感動は、スペックを盛った分だけ返ってくる。

「高スペックPCで本気のオープンワールドRPGを遊びたい」という欲求なら、Hogwarts Legacyも選択肢に入る。魔法の世界をオープンワールドで探索できる作品で、PC版のグラフィックはかなりの説得力がある。

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ユーザーから見た強みと弱み

ここでは、実際のプレイヤーの声をもとに、サイバーパンク2077の強みと弱みを整理してみたい。完璧なゲームは存在しないし、合う合わないは人によって違う。だからこそ、ポジティブな声もネガティブな声も、両方きちんと紹介する。

圧倒的に評価されているポイント

まずストーリーとキャラクター。ジョニーとVの関係性、サブキャラクターたちの人間味、エンディングの感情的なインパクト。ここは文句なしに高評価だ。100時間以上プレイしたレビュアーの多くが「ストーリーが素晴らしい」と書いている。特にエンディングの「余韻」は、クリア後しばらく他のゲームを始められなくなるレベルだという声が多い。

次にナイトシティの作り込み。街を歩いているだけで楽しい、という感覚はオープンワールドゲームの理想形のひとつだ。特にフォトモードの充実度が高く、スクリーンショットを撮るだけで何時間も使えるという声がある。SNS上にはナイトシティのフォトモード写真を専門にアップロードしているアカウントも存在するほどだ。

そして音楽。ゲーム内のラジオステーションには複数のジャンルのチャンネルがあり、ロック、エレクトロ、ヒップホップ、ラテン音楽など、ナイトシティの多文化を反映した楽曲が流れる。バンド「サムライ」の楽曲(実際にはスウェーデンのバンドRefusedが演奏)はジョニーの物語と深くリンクしていて、ストーリーが進むほど曲の意味が変わって聴こえてくる。戦闘BGMのテンション、ストーリーシーンの静かな楽曲。サイバーパンクの世界観を耳からも体験させてくれる。サウンドトラックだけでも一つの作品として成立するレベルだ。

キャラビルドの奥深さも繰り返し評価されるポイントだ。同じゲームを3周遊んで「毎回まったく違う体験になった」という声がある。1周目は銃撃メインで正面突破、2周目はネットランナーで頭脳戦、3周目はカタナとサンデヴィスタンで近接スタイリッシュアクション。同じミッションでもアプローチが変わると展開が変わる場面が多く、「1周だけでは遊びきれない」ゲームになっている。

オープンワールドでめちゃ作り込まれてて、街を歩くだけで楽しい。音楽もいいし、ストーリーもいい。全部入りの贅沢なゲーム

引用元:Twitter @remon2207

不満が残るポイント

一方で、不満の声もある。正直に書いておく。

まず「メインストーリーが思ったより短い」という指摘。ウィッチャー3のメインストーリーは50時間以上あったが、サイバーパンク2077のメインは30〜40時間程度。サイドクエストを含めれば膨大なボリュームになるが、メインだけサクッと進めたい人にとっては物足りないかもしれない。ただし、CD PROJEKT REDはこの点について「ウィッチャー3のメインストーリーが長すぎて完走率が低かったという反省から、意図的に短くした」と説明している。

次に「一人称視点への不満」。自分でキャラクリした見た目が、鏡とフォトモード以外ではほとんど見えない。三人称視点の選択肢がないことに不満を感じるプレイヤーは一定数いる。キャラメイクの自由度が高いだけに、「せっかく作り込んだ自分のVを眺めたい」という気持ちはよくわかる。

せっかくキャラメイクしたのに、一人称視点で自分の姿がほとんど見えないのは残念。ウィッチャー3みたいに三人称も選べたらよかった

引用元:Yahoo!知恵袋

ただ、一人称視点にしたからこそナイトシティの没入感が生まれているという意見もある。巨大ビルの間を見上げるとき、雑踏の中を歩くとき、暗い路地裏を慎重に進むとき。一人称だからこそ感じられる圧迫感や臨場感がある。これは好みの問題だが、一人称視点は「選択」として理にかなっている。

また「ストーリーの選択肢の結果がわかりにくい」という声もある。どの選択がどう影響するのか、プレイ中には判断しづらい。「気づいたらバッドエンドに向かっていた」という体験は、人によってはストレスになる。特にジョニーとの好感度が隠しエンディングの条件になっている点は、攻略情報なしでは気づきにくい。

あとは細かい部分だが、NPC関連の挙動。Ver.2.0で大幅に改善されたとはいえ、ミッション中にNPCがゆっくり歩く場面や、特定の場所で棒立ちになるケースは完全にはゼロになっていない。街中のモブNPCの行動パターンも、GTAシリーズほどの精密さはない。気になる人は気になるレベルだ。

現状、爽快感よりストレスのほうが多いと感じる場面もある。特にキーマウ操作のAIM感度調整がもう少し細かくできればいいのに

引用元:Steamネガティブレビュー

操作面の不満は特にキーボード&マウスでプレイするPCユーザーから出ている。コントローラーなら問題ないが、FPSに慣れたプレイヤーからすると、エイム感度の調整幅がもう少しほしいところだ。ただし、これはVer.2.0以降で改善された部分もあり、設定の細かいチューニングで解消できるケースも多い。

最後に「オープンワールドとしての自由度にやや限界がある」という指摘も紹介しておく。サイバーパンク2077はストーリー駆動型のRPGであり、GTAのような「何でもできるサンドボックス」ではない。住居のカスタマイズ、経営要素、犯罪組織の運営といった「生活系」のコンテンツは控えめだ。ストーリーとキャラクターに集中して楽しむゲームとして割り切れる人には最高だが、自分だけの街での暮らしを楽しみたい人にはやや物足りないかもしれない。

ストーリーの深みや選択肢の重みという面では、Metaphor: ReFantazioも印象的なタイトルだ。ファンタジーRPGだがテーマは社会の不条理で、サイバーパンク2077とはまた違った角度から「選択の重さ」を突きつけてくる。アトラスらしい骨太なRPGを求めている人にはぜひ触れてみてほしい。

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ダークな世界観のアクションRPGが好きなら、Lies of Pもチェックしてみてほしい。ピノッキオをモチーフにしたソウルライクで、退廃的な雰囲気と重厚な戦闘が魅力だ。サイバーパンク2077とはジャンルが違うけれど、「世界に飲み込まれるような没入感」を求める人にはハマると思う。

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まとめ——ナイトシティはあなたを待っている

サイバーパンク2077の物語は、ゲームの中だけで完結しない。このゲーム自体の歴史が、ひとつのドラマだ。

2020年の大炎上。返金騒動。株価暴落。業界からの批判。そこからCD PROJEKT REDは3年以上かけてゲームを作り直し、アニメとのメディアミックスで新規ファンを獲得し、最終的にThe Game Awardsで壇上に立った。累計販売本数3,500万本。Steam全期間レビューは「非常に好評」。発売から5年以上経っても数万人が同時にプレイしている。

これは「発売日に完璧な状態で出すべきだった」という正論を否定するものではない。あの炎上で失った信用は、簡単に取り戻せるものじゃない。発売日に定価で買ったPS4ユーザーの怒りは、今でも正当なものだ。返金騒動やPSストア削除という事態は、CD PROJEKT REDの企業としての判断に瑕疵があったことの動かぬ証拠だ。

でも同時に、「諦めなかったこと」の価値も認めるべきだと思う。ゲーム業界では、炎上したタイトルを最低限のバグ修正だけして放置し、次のプロジェクトに移るスタジオは珍しくない。CD PROJEKT REDはスキルツリー、警察システム、戦闘、敵AI、車両周りと、ゲームの根幹システムまで作り直した。それは「責任を取った」ということだ。

Steamの全期間レビューが「非常に好評」に転じたのは2023年7月のことだった。発売から2年半以上。開発チームは「信頼を取り戻していくためにもっと頑張る」とコメントした。このコメントには、謙虚さと決意が同居していた。

同じCD PROJEKT REDが手がけたウィッチャー3も、発売後の無料DLCと大型拡張パックで評価をさらに高めたタイトルだ。「発売後も作品に向き合い続ける」というのがこの会社のDNAなのかもしれない。ただ、サイバーパンク2077の場合は「愛情を注ぐ」というより「負債を返済した」という表現のほうが実態に近い。それでも、返済を完了させたこと自体が偉業だった。

現在、CD PROJEKT REDは続編「サイバーパンク2」(コードネーム: Project Orion)のプリプロダクションを進めている。2025年5月に正式にプリプロダクション段階に入ったことが発表された。ウィッチャー4の開発と並行しながら、チームを拡大中だ。サイバーパンク2077での失敗と復活を経て、次にどんなゲームを出してくるのか。期待と不安が入り混じるが、今のCD PROJEKT REDなら信じてみたいと思わせるだけの実績を、彼らは積み上げた。

ここまで書いてきた内容を振り返ると、サイバーパンク2077の魅力は大きく3つに集約される。

ひとつめは、ナイトシティという舞台の圧倒的な作り込み。6つの地区が持つそれぞれの個性、街角の広告に至るまでの細部へのこだわり、一人称視点だからこそ生まれる「この街に住んでいる」という没入感。オープンワールドゲームの世界観構築として、現時点でトップクラスの完成度だ。

ふたつめは、物語の深さ。キアヌ・リーブスが演じるジョニー・シルヴァーハンドとの関係性、「余命わずか」の主人公が突きつける選択の重さ、サイドクエストの完成度、そして複数のエンディング。ストーリー重視のRPGとして、プレイした後もしばらく余韻が消えないレベルの体験を提供してくれる。

みっつめは、Ver.2.0で生まれ変わった戦闘システムとキャラビルドの自由度。ネットランナービルドの頭脳戦、サンデヴィスタンのスタイリッシュな近接戦闘、車両チェイス。プレイスタイルの幅が広く、何周遊んでも新鮮な体験がある。DLC「仮初めの自由」はメタスコア89点の高品質スパイスリラーで、これだけでも一本のゲームとして成立するボリュームだ。

弱点もある。一人称視点への好みは分かれるし、メインストーリーだけだとボリューム不足を感じる人もいる。NPC関連の挙動にはまだ多少の粗がある。操作面の細かい不満も残っている。でも、それらを差し引いても「やるべきゲーム」の一本だと断言できる。

特に、こういう人にはおすすめしたい。SF的な世界観が好きな人。ストーリー重視のRPGを探している人。キャラビルドの自由度が高いゲームが好きな人。一度は炎上ゲームとして見送ったけど気になっている人。アニメのエッジランナーズを見て心を動かされた人。

「オープンワールドRPGで濃密なストーリー体験をしたい」という人にとって、サイバーパンク2077は間違いなく候補の筆頭に入る。同じ方向性を持つタイトルとしては、Hogwarts Legacyも魔法世界の没入感が素晴らしいし、開発者のこだわりが隅々まで行き届いた作品だ。世界観の好みで選ぶのもいいだろう。

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2026年の今、サイバーパンク2077はすべてのアップデートが完了した「完全版」として存在している。発売当初のゴタゴタを知らない新規プレイヤーにとっては、純粋に一本の傑作RPGとして楽しめる。そして発売日の炎上を知っている人にとっては、「ゲームは変われる」ということの証明として、より深い感慨をもって遊べるはずだ。

この記事を読んで少しでも興味が湧いたなら、まずはSteamのストアページを覗いてみてほしい。レビュー欄を読むだけでも、このゲームがプレイヤーにどれだけ愛されているかがわかる。「発売日に3時間でアンインストールして、2年後に200時間溶かした」という人たちの気持ちが、きっと理解できるはずだ。Steamのセール時期を狙えば、アルティメットエディションがかなりお得に手に入る。100時間以上の体験がその価格で手に入ると思えば、コスパは抜群だ。

ナイトシティの門はいつでも開いている。Vとして、ジョニーと共に、この街で何を成し遂げるか。その答えは、あなた自身がコントローラーを握って見つけるしかない。ナイトシティで会おう。

サイバーパンク2077

CD PROJEKT RED
リリース日 2020年12月9日
サービス中
価格¥8,778
開発CD PROJEKT RED
日本語非対応
対応OSWindows / Mac
プレイ形式シングル
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