Metaphor: ReFantazio ターン制JRPG、アーキタイプと種族差別が交差するファンタジー
https://www.youtube.com/watch?v=GVQcqJTJ_eY
「アトラスが本気を出した」という言葉が、これほど似合うゲームはここ数年なかった。
2024年10月11日、Metaphor: ReFantazio(メタファー:リファンタジオ)は全世界同時発売と同時に販売本数100万本を達成し、メタスコア94点(PS5版)を叩き出した。The Game Awards 2024では6部門にノミネートされ、Best RPG・Best Narrative・Best Art Directionの3冠を獲得。GOTY(Game of the Year)こそ逃したものの、この年の最重要タイトルのひとつだったことは間違いない。
ただ、正直に言うと、プレイを始めた直後は「ああ、これペルソナじゃん」と思った。カレンダーシステム、絆イベント、プレスターン系の戦闘、個性的なパーティメンバー……ペルソナ5を100時間以上プレイした身には、あまりにも見慣れた構造が並んでいた。
でも、70時間かけてエンディングを見たとき、その感想は変わっていた。これは「ペルソナのファンタジー版」ではなく、ペルソナチームが長年培ったノウハウの上に、まったく新しい何かを積み上げた作品だ、と。
- ペルソナシリーズをプレイ済みで、Metaphorが「どれだけ違うのか」気になる人
- RPGに70〜100時間かけられるかどうか迷っている人
- メタスコア94点の実態を知りたい人
- PC(Steam)でプレイしようか検討中の人
基本情報
| タイトル | Metaphor: ReFantazio(メタファー:リファンタジオ) |
|---|---|
| 開発・販売 | アトラス(スタジオ・ゼロ)/ セガ |
| ディレクター | 橋野桂 |
| 音楽 | 目黒将司 |
| 発売日 | 2024年10月11日 |
| 対応プラットフォーム | PS5 / PS4 / Xbox Series X|S / PC(Steam) |
| ジャンル | ターン制コマンドRPG |
| 日本語対応 | フルボイス(日本語音声・字幕) |
| プレイ時間目安 | メインクリア:70〜80時間 / コンプリート:100時間超 |
| メタスコア | 94点(PS5)/ 92点(Xbox)/ 91点(Steam) |
| 販売本数 | 発売1日で100万本突破、1年以内に200万本(見込み) |
| Steam最高同時接続 | 約85,961人 |

どんな世界観のゲームか
舞台は「ユークロニア連合王国」——8つの種族が共存する、中世ヨーロッパ風のファンタジー国家だ。ただ、この国の「共存」は表向きで、実態は根深い種族差別と宗教的な抑圧が支配する世界になっている。
主人公が属するエルダ族は、「聖教」の教えによって「禁忌の魔法を受け継いだ穢れた種族」として差別される少数民族だ。ゲームを始めると、この差別が単なる世界設定の装飾ではなく、物語の核心に直結していることがすぐにわかる。
ある日、王が暗殺される。後継者を選ぶ「王選」が始まり、主人公は「幼い頃に呪いをかけられた王子を救うため」その王選に参加することになる。ライバルたちは貴族や大商人、宗教の権力者……圧倒的な格差の中で、差別される側の少年が最高権力を目指す、というのが物語の骨子だ。
ペルソナシリーズが「現代の日本社会」を舞台に抑圧と反抗を描いてきたのと同様に、Metaphorは「ファンタジー国家の政治と宗教」を通じて差別・格差・民主主義の本質を問いかけてくる。テーマは明らかに重い。だが、その重さが物語を引き締めていて、70時間プレイしても飽きなかった最大の理由がここにある。
「種族差別のテーマがここまで丁寧に描かれるとは思っていなかった。序盤から重くて、でも目が離せない。」
出典:Steamユーザーレビュー

ペルソナとの違い——「アーキタイプ」システムが変えるもの
Metaphorを語る上で避けられないのが、ペルソナシリーズとの比較だ。実際に触ってみると、ゲームの根幹システムは確かにペルソナに酷似している。
- カレンダーシステム → 「旅程」(制限時間の中でアクションを選択)
- コープ → 「支援者の絆」(仲間・NPCとの絆イベント)
- 人間パラメータ → 「王の資質」(勇気・魔法・理性・想像・愛情)
- ペルソナ → 「アーキタイプ」(職業・能力の根幹)
「これはほぼペルソナじゃないか」と感じる人は多いと思う。
ただ、アーキタイプシステムはペルソナとは根本的に異なる設計になっている。ペルソナでは「主人公だけが複数のペルソナを持てる」という特殊性が物語の中心にあったが、Metaphorのアーキタイプはパーティ全員で共有・変更できる。
現在確認されているアーキタイプは14系統・40種類以上。魔法使い、戦士、盗賊といった基本職から、より高度な上位職まで揃っている。戦略の幅は大きく広がり、「誰がどのアーキタイプを装備するか」でパーティ構成がガラリと変わる。
さらに「ジンテーゼ」という技も面白い。パーティメンバーのアーキタイプの組み合わせによって発動できる特殊技で、単独では出せない強力な行動が取れる。これは明らかにペルソナにはなかった要素で、戦術の層を一段深くしている。
「アーキタイプを全員で共有できる仕様が最初わからなかったけど、理解したら戦略の幅が爆発的に広がった。ペルソナより自由度が高い。」
出典:アルテマ ユーザーレビュー

戦闘システムの「光と影」——爽快感とジンテーゼ頼みの問題
戦闘はコマンドバトル(「スクワッド」と呼ばれる)を基本とし、弱点突きによるプレスターン制の継続が可能。雑魚敵なら先にエンカウントすることで「ストライク」(ワンボタン殲滅)もできる。
この「雑魚はスピーディ、強敵は戦略的」という二段構えが非常にうまく機能していて、移動中のテンポを損なわずに戦略性も確保されている。ペルソナ5で「雑魚戦がだるい」と感じたプレイヤーには特に快適に感じるはずだ。
ただ、終盤になると一つの問題が浮かび上がる。特定のアーキタイプとジンテーゼを組み合わせると、ほぼすべての敵の弱点を1ターンで突けるようになってしまう。ボス戦も「いかにジンテーゼを早く発動できるか」というパターンに収束しがちで、序盤〜中盤の試行錯誤が薄れていく。
「Hard以上でプレイすると終盤もちゃんと苦戦するしギリギリの戦いが楽しめた。デフォルト難易度だと後半はかなり楽すぎる。」
出典:Steamユーザーレビュー

カレンダーシステム——時間の使い方が問われる設計
Metaphorの旅程システム(カレンダー)は、ペルソナのものをそのまま持ってきたと言っていい。各日数には行動上限があり、「絆を深めるか」「アーキタイプを鍛えるか」「ダンジョンを攻略するか」を選択していく。
ひとつ大きく異なるのは、Metaphorには「移動中の時間消費」がある点だ。旅の目的地に向かうための馬車・船の移動時間も旅程の一部として扱われる。このリソース管理が独特で、「どのルートで行くか」という選択にも意味が生まれる。
「ペルソナと違って移動にも時間がかかるから、やりたいことを全部やろうとすると全然日数が足りない。2周目前提の設計なのかもしれないが、1周で詰め込めないのはちょっとストレスだった。」
出典:JEMCゲームレビュー
一方で、この制約があるからこそ「何を優先するか」の選択に重みが出る。全部こなせるゲームより、「今回の旅でこれを選んだ」という体験が記憶に残りやすい。

「王の資質」——ペルソナの人間パラメータを超えた深さ
王の資質は5つのステータス(勇気・魔法・理性・想像・愛情)で構成され、特定のNPCとの会話や行動を通じて上昇する。ペルソナの「人間力」に相当するシステムだが、Metaphorではこの数値が物語の選択肢に直結する場面が多い。
特定の選択肢を選ぶためには「理性Lv3以上」などの条件が課せられており、カレンダーを無計画に進めると「この選択肢が選べない」という状況に陥る。これが緊張感を生む一方、「先が読めないとロスが生じる」とも感じた。

UIとビジュアルデザイン——ここは文句なく最高
アトラスゲームといえばUIデザインの洗練度が高いが、Metaphorはペルソナ5を超えてきたと感じた。メニュー画面を開くたびに、そのアニメーションと色使いに感嘆する。
ゲームの世界観は「ダーク高ファンタジー」でありながら、UIは鮮やかで動的。この一見矛盾するような組み合わせが、実際のプレイでは不思議なほどマッチしている。
「UIのアニメーションが毎回きれいすぎてスキップしたくない。メニューを開くのが楽しいRPGはメタファーが初めてかもしれない。」
出典:Steamユーザーレビュー

音楽——目黒将司が作り上げた「宗教音楽」
音楽は目黒将司が担当。ペルソナ3〜5の楽曲を手がけてきた彼が、Metaphorでは「宗教音楽」をテーマにサウンドトラックを構築した。
戦闘BGMは力強いコーラスと独特のリズムで、初めて聞いた瞬間から引き込まれる。特に印象的なのは、BGMの歌詞にエスペラント語を基にした架空の言語が使われている点だ。異世界感と音楽的な美しさが融合していて、サウンドトラック単体で聴いても十分楽しめるクオリティになっている。
また、現役の住職(妙成寺34世住職・本良慶徳師)が仏教声明をBGMに提供するというユニークな試みも話題になった。「ゲーム音楽と本物の宗教音楽の融合」という目標が実際に形になっている。
「BGMが最高すぎてサントラを買った。戦闘曲のサビが頭から離れない。目黒さんの最高傑作だと思う。」
出典:アルテマ ユーザーレビュー

ストーリーとキャラクター——100時間引っ張れる物語の力
Metaphorのストーリーが優れているのは、「主人公が格差の底辺から始まる」という設定を徹底的に活かしている点だ。王選という目標があり、それに向けて各地を旅しながら仲間を集めていく構造は、ある種の「ロードムービー」的な味わいがある。
仲間キャラクターひとりひとりに背景があり、「なぜ王選に関わるのか」という動機が丁寧に描かれる。「支援者の絆」の会話が特によく作られていて、本編とのつながりが自然だ。
ただ、物語の選択肢がほぼ一本道に近い点は惜しい。プレイヤーの選択が物語に影響を与える感覚は薄い。
「ストーリーはRPG屈指の出来だと思う。ただ選択肢の意味がほぼないのが少し残念。選んだ気にさせてくれるだけで結果は同じ。」
出典:はてなブログ ユーザーレビュー

PC(Steam)版の完成度
Steam版はPS5版・Xbox版とほぼ同日リリースで、品質も高い。ピーク同時接続が約86,000人に達したことはPC向けRPGとして相当な数字だ。グラフィック設定は細かく調整でき、フルHD・60fpsで安定して動作する。コントローラー対応も良好で、PS5コントローラー・Xboxコントローラーどちらも快適に使える。
- CPU:Intel Core i7-8700 / AMD Ryzen 5 3600相当以上
- GPU:NVIDIA GeForce GTX 1080 / AMD Radeon RX 5700相当以上
- RAM:16GB以上
- ストレージ:約35GB
「実質ペルソナ5.5」論争を整理する
Metaphorが発売されてから最も多く見かけた批判が「これはペルソナの焼き直しじゃないか」というものだ。システムの骨格はペルソナに強く依存している。これは否定できない。
一方で、Metaphorが根本的に異なるのは、「誰が何のために戦うか」という物語の文脈だ。ペルソナはどちらかといえば「閉塞した現代社会で自分を見つける物語」だった。Metaphorは「差別・格差・宗教支配に挑む政治的闘争」だ。テーマのスケールが違う。
「面白いのは確か。でもこれを「完全新作」と呼ぶのは違和感がある。」
出典:Steamユーザーレビュー

ダンジョン探索——快適化と単調さのはざま
ダンジョン(「バンガード・ラビリンス」など各地の迷宮)は3Dダンジョン形式で、エンカウントは接触型。雑魚敵は「ストライク」で瞬殺できるため、探索のテンポは良い。ただ、ダンジョンの構造は「複数フロアを探索してボスに到達する」という王道設計で、後半になるにつれて単調に感じる場面も出てくる。
賞歴まとめ——何を評価されたのか
- The Game Awards 2024 — Best RPG 受賞
- The Game Awards 2024 — Best Narrative 受賞
- The Game Awards 2024 — Best Art Direction 受賞
- The Game Awards 2024 — Game of the Year ノミネート
- The Game Awards 2024 — Best Game Direction ノミネート
- The Game Awards 2024 — Best Score/Music ノミネート
- IGN Game of the Year 2024 選出
- GameSpot Game of the Year 2024 選出
- ファミ通クロスレビュー 37/40 プラチナ殿堂入り
- Metacritic PS5版 94点(2024年リリース作品中最高評価)
注意点まとめ——こんな人は事前確認を
- 「完全新規IP」に革新性を期待している人: システムの8〜9割はペルソナと共通
- 難易度が低いと退屈に感じる人: デフォルト難易度の終盤は弱点特化戦術が強すぎる。Hardモード推奨
- 選択肢が物語を変えるRPGが好きな人: ほぼ一本道。マルチエンディングや大きな分岐はない
- 短時間で楽しみたい人: メインクリアでも70〜80時間
- ダンジョン探索に多様性を求める人: 後半のダンジョンは構造が単調になりがち
こんな人にはほぼ確実に刺さる
- ペルソナシリーズが好きで、ファンタジー世界でも同じ体験を楽しみたい人
- 社会的テーマ(差別・宗教・政治)を正面から描いたRPGを求めている人
- UIデザインや音楽にこだわりがある人
- 70〜100時間を一本のRPGに費やす覚悟がある人
- 日本語フルボイスで丁寧なキャラクター描写を重視する人
Steam版セール情報について
発売から半年以内にSteam上で50%オフのセールが実施されたことが確認されており、今後も定期的なセール対象になると予想される。ペルソナシリーズと比べると値引き頻度は多くない。
まとめ
Metaphor: ReFantazioのメタスコア94点は、過大評価ではない。それだけの完成度は本物だ。
ただ、94点の内訳をよく見ると「すべてにおいて革新的」ではなく「磨き込まれた高水準の総合点」だということがわかる。音楽、ビジュアル、ストーリー、UI——それぞれ単独でも高い評価を受けられる水準にあり、それが積み重なった結果の94点だ。
アトラス・スタジオ・ゼロが8年かけて作ったものは、「ペルソナというエンジンを使いながら、まったく別の目的地に向かった旅」だった。その旅についていける覚悟と時間があるなら、プレイしたRPGの中で最も記憶に残る作品になると思う。
ペルソナシリーズをプレイ済みで、ファンタジー世界での政治劇と種族差別というテーマに興味があるなら——プレイして損はない。確実に。
