発売が確定次第、随時更新していきます。
「ゼノギアスとヴァグランツストーリーを足して二で割ったような作品」という言葉を目にしたとき、正直、心拍数が上がった。
JRPGを長く遊んできた人間なら分かると思う。あの90年代のRPGが持っていた「なにか」——重厚な神学的テーマ、手応えのある戦闘、ピクセルアートが描き出す叙情的な世界観——そういうものを現代のゲームに求め続けて、なかなか見つからずにいた感覚。それをポーランドのインディースタジオ、Pixelated Milkが本気でやろうとしているのがSacriFire(サクリファイア)だ。
2021年にKickstarterで目標の166%を達成し、現在Steamのウィッシュリストは約20万件(当初目標の2倍)。「最も期待されているJRPGのひとつ」と複数のゲームメディアに書かれるほどの注目作が、いまPC版の発売に向けて開発の最終段階にある。
ただ、「開発中止になったんじゃないか?」と検索してここにたどり着いた人もいるかもしれない。結論から言うと、中止ではない。Q1 2026の発売予定から遅延が発生しているが、2026年2月にパブリッシャーとのパートナーシップも正式に確保され、開発は継続中だ。新しい発売日は2026年5月末までに発表される予定になっている。
この記事ではSacriFireの魅力を徹底的に掘り下げていく。戦闘システムの独自性、開発の経緯、ゲームメディアの評価、そして「なぜこれほど待たれているのか」をまとめた。
公式Combat Reveal Trailer(2025年11月)
2025年11月公開のCombat Reveal Trailer。リアルタイム×ターン制の戦闘の全貌がここで初めて明かされた。
こんな人に読んでほしい
- 「SacriFire、開発中止になった?」と心配して検索してきた人
- ヴァグランツストーリー・ゼノギアス・クロノトリガーが好きで、現代の後継作を探している人
- HD-2DスタイルのJRPGに興味があり、新作をチェックしたい人
- Kickstarter支援したバッカーで最新情報を追いたい人
- 坂庭修(Motoi Sakuraba)ファンで彼の新作楽曲が気になる人
SacriFire 基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | SacriFire(サクリファイア) |
| ジャンル | ダークファンタジーJRPG / アクション・ターン制ハイブリッドRPG |
| 開発 | Pixelated Milk(ポーランド・ワルシャワ) |
| 対応プラットフォーム | PC(Steam / GOG)/ PlayStation 4・5 / Xbox One・Series X|S / Nintendo Switch |
| 発売予定 | PC版:2026年(Q1から遅延、新日程は2026年5月末までに発表予定) |
| 価格 | 買い切り(金額未公表) |
| 言語対応 | 英語・日本語対応予定(フルボイス) |
| 作曲 | 坂庭修(Motoi Sakuraba)、G4F Records |
| Kickstarter | 2021年6月開始、目標€82,000に対し€136,559達成(3,378人支援) |
| Steamウィッシュリスト | 約20万件(2026年2月時点) |
| 公式サイト | Steam ストアページ |
SacriFireとはどんなゲームか——90年代JRPGへの真摯な回答
一言で表すなら、「PS1時代のJRPGが持っていた魂を、2020年代の技術で蘇らせようとしている作品」だ。
Pixelated Milkのプロジェクトリード、バルトシュ・ウォジェフスキはこう語っている——「クロノトリガー、秘密のマナ、イリュージョン・オブ・ガイア、そしてファイナルファンタジーVII。これらが自分の原体験だった。SacriFireはそれらへのリスペクトでありながら、ただの模倣じゃない。独自のアイデンティティを持ったゲームにしたい」。
そのコンセプトが具現化したのが、地下都市「アンティオキア」と精霊天国「エレブス」という二つの世界を舞台にした物語だ。主人公は若き司祭エゼキエル・リダン。神と悪魔が戦争を繰り広げる世界で、「シェオル聖会」の騎士として訓練を受けながら、次第に自分の信仰と道徳的な基盤が揺らいでいく——そんな重厚なダークファンタジーが展開する。
「JRPGでは、キャラクターがすべての鍵」というバルトシュの言葉通り、SacriFireはキャラクターの描写に特に力を入れている。ほぼ全キャラクターにプロのボイスアクティングが付いており、物語の厚みは相当なものになりそうだ。
二つの世界を行き来する探索システム
探索は単純な2Dでも3Dでもない。街「アンティオキア」では3Dで自由に歩き回れる。NPCと話し、ショップで装備を整え、街の雰囲気を肌で感じる。ところがダンジョンに入ると、画面は2Dプラットフォーマー風に切り替わる。二段ジャンプで足場を渡り、攻撃で敵を排除しながら先に進む——あの80〜90年代のアクションRPGの感触が蘇る瞬間だ。
さらに面白いのが「Prayer Wheel(祈りの輪)」というデバイス。これを使うと精霊世界「エレブス」にアクセスできる。「ゼルダの伝説 時のオカリナ」で子供リンクと大人リンクを切り替えて謎を解くような感覚に近い。現実世界では到達できない障害も、精霊世界の視点から回避できる——このデュアル世界構造がゲームに深みを与えている。
ランダムエンカウントは完全撤廃。強制的なレベルグラインドも不要。プレイ時間は20〜30時間のメインキャンペーンが想定されており、「長すぎず短すぎず、密度の高い体験」を目指している。
独自の戦闘システム——「Superhot × ヴァグランツストーリー」という感覚
SacriFireの戦闘は、一言で言うと「考える戦闘」だ。リアルタイムとターン制を融合しているが、その仕組みが非常に独特でクセになる。
時間はプレイヤーの動きに連動する
戦闘フィールドに入ると、敵はそこにいる。でもプレイヤーが静止していれば、敵も動かない。移動を始めた瞬間に敵が動き出す——この仕組みが映画「Superhot」的なリズムを生む。焦らず状況を見極め、ベストなタイミングで動く。その判断の積み重ねが戦闘の醍醐味になっている。
アクションポイント(AP)を溜めながら、軽攻撃・重攻撃・魔法・回避を組み合わせる。軽攻撃でマナを回収し、重攻撃で敵の防御を崩す。遠距離攻撃が来たらダークソウル風のローリングで避ける。この一連の流れが染み付いてくると、戦闘が「作業」ではなく「パフォーマンス」になってくる感覚がある。
「戦闘のタイミングとコンボを決めたときの満足感が非常に高い。リアルタイム性とターン制の融合がとても自然に感じられる」
— Game8(Steam Next Fest デモレビュー)
DIVOS グローブとアストラ——形を変える武器
主人公エゼキエルが装備する「DIVOS(ディヴォス)グローブ」は、精霊エネルギーで生成された武器「アストラ」に変形する特殊な装備だ。剣・槍・クロスボウなど複数のウェポンタイプに瞬時に切り替えられる。
どの武器形態にも固有の攻撃モーションとコンボがあり、武器クラフトでさらに強化や改造が可能。「同じ武器を使い続けるのに飽きた」というJRPGあるあるの不満を、このシステムが解消している。
ボディパーツターゲティング——ヴァグランツストーリーの精神的後継
SacriFireの戦闘で特に「ヴァグランツストーリーの後継」と感じられるのが、部位破壊システムだ。
敵には各部位に弱点がある。その弱点を集中的に攻撃し続けると、その部位を「恒久的に負傷」させることができる——つまり、戦闘中ずっとそのステータスを低下させたまま戦える。ただし弱点を狙うには、自分が敵の反撃にさらされるリスクを取らないといけない場合もある。
「どの部位を壊し、どの部位は温存するか」という判断がボス戦の核心になる。脚を壊して機動力を奪うか、腕を壊して攻撃力を落とすか、それとも頭を狙って特殊技を封じるか。この選択の連続が、ヴァグランツストーリーファンが長年求めていた「思考する戦闘」を実現している。
「XenogearsとVagrant Storyが赤ちゃんを産んだ。最近のJRPGの中で最高のひとつになる可能性がある」
— Turn Based Lovers(プレビューレビュー)
属性システムと戦略性
属性相性も戦闘の重要な要素だ。炎・氷・雷・光・闇といった属性に敵ごとの弱点があり、それを突くことで大幅にダメージが増える。ただ「弱点に合わせて同じ攻撃を連打する」のではなく、コンボの流れの中で弱点を突くタイミングを作るという、もう一段階奥深い戦術が求められる。
ヴァグランツストーリーをプレイしたことがある人なら、あの「敵に合わせて武器と属性を組み替える」感覚が戻ってくるはずだ。それを現代的なアクション要素で包んだのがSacriFireの戦闘だと思ってほしい。
ビジュアルと音楽——「懐かしさ」と「新しさ」の絶妙な配合
HD-2Dスタイルの独自解釈
SacriFireのビジュアルは「HD-2D」と呼ばれることが多いが、スクウェア・エニックスのオクトパストラベラーとは少し違う方向性を持っている。
手描きアニメーションのピクセルアートキャラクターが、リッチな3Dで作られた環境の中を動き回る。背景の奥行き表現、光と影の演出、エフェクトの派手さ——これらは完全に現代のゲームだ。一方でキャラクターの動きや表情はピクセルアートの文法で描かれており、PS1時代のあの「愛着の持てる粗さ」が生きている。
特に評価が高いのが戦闘シーンのアニメーション。「Xenogearsの影響がポジティブで素晴らしい」(Turn Based Lovers)と評されるほど、ボス戦の演出は力が入っている。プレイテスト参加者の多くが「グラフィックとアニメーションの質が高い」とコメントしており、この点は開発初期から一貫して高評価を受けている部分だ。
「pixel art is wonderful and nostalgic——PlayStation 1時代を彷彿とさせる懐かしい表現。2Dキャラクターと3D環境の対比が独特の魅力を生んでいる」
— Game8(Steam Next Fest デモレビュー)
坂庭修(Motoi Sakuraba)が手がけるサウンドトラック
音楽面での一番の話題は、やはり坂庭修(Motoi Sakuraba)の参加だ。
スターオーシャンシリーズ、テイルズオブシリーズ、ダークソウル、ゴールデンサン——これだけのタイトルを手がけてきた作曲家がインディーゲームのサウンドトラックを担当するのは、非常に珍しい。Pixelated Milkがいかにこのゲームに本気を注いでいるかを示す証拠でもある。
彼のスタイルは「シンセティックで力強いサウンド」と評されることが多い。重厚な神学的テーマを持つSacriFireの世界観と、坂庭節の荘厳かつエネルギッシュな楽曲は相性が抜群だ。プレイテスト参加者からも「音楽のクオリティがトップクラス」という声が多数上がっている。
G4F Recordsとの共同制作によるオリジナルサウンドトラックは、単体でも販売される可能性が高く、音楽ファンからも注目されている。
フルボイスアクティング
ほぼ全キャラクターにプロの声優によるボイスが付く。Game8のレビューでは「ボイスアクティングがキャラクターの個性を強化している」と高評価。一方でプレイテスト版では「一部のボイスラインが字幕と一致しない」「キャラクターごとの音量がばらつく」といった技術的な問題も報告されており、製品版での改善が期待されている。
日本語対応も予定されており、日本のプレイヤーも違和感なく楽しめる体制が整えられつつある。
Pixelated Milkとは——ポーランドのインディースタジオが5年かけて作り上げてきたもの
SacriFireを理解するには、開発スタジオPixelated Milkのことを知っておく必要がある。
ポーランドの首都ワルシャワに拠点を置く小さなインディースタジオだ。「ゲームへの情熱を共有する友人たちが集まって立ち上げた」という出自を持つ。代表作は2017年にKickstarterで資金調達したターン制JRPG「Regalia: Of Men and Monarchs」と、第二次大戦中のワルシャワ蜂起をテーマにしたタクティカルRPG「Warsaw」(2019年)。
Regaliaは当初の目標を大きく上回る$90,000以上の資金調達に成功。その経験がSacriFireへの挑戦の土台になった。「Regaliaで学んだ最大の教訓は、キャラクターが鍵だということ。だからSacriFireでは豊富なボイスアクティングと著名な作曲家への投資を最初から決めていた」とバルトシュは語っている。
Kickstarter:24時間で50%達成の衝撃
2021年6月13日、E3に合わせて開催されたPC Gaming Show。そこでSacriFireのゲームプレイトレーラーが公開されると同時に、Kickstarterキャンペーンがスタートした。
反響は予想をはるかに超えるものだった。24時間以内に目標額の50%を達成。最終的には3,378人のバッカーが€136,559を出資し、目標€82,000の約166%を達成してキャンペーンを締めくくった。
ストレッチゴールも次々と解放され、追加武器・クラス・マスタリーシステム、キーカットシーン用のCGイラスト、そして本編の拡張コンテンツまでが開発されることになった。
ただしバルトシュはKickstarterの構造的な難しさも率直に語っている。「Kickstarterは本質的にプロジェクトを厳密な機能セットに固定してしまう。ゲームをより良い方向に変えたいと思っても、バッカーとの約束がある。その制約の中でいかに質を高めるかが、開発期間中ずっと課題だった」。
2022年→2023年→2024年→2025年→2026年——遅延の連鎖とその理由
正直に言おう。SacriFireは当初2022年のリリースを予定していた。それが2026年時点でもまだ発売されていない。約4年の遅延だ。
ただこの遅延を「開発失敗」と捉えるのは早計だ。
- 2021年:Kickstarter成功、2022年リリース目標を発表
- 2022年:開発進捗を理由に2023年へ延期
- 2023〜2024年:Steam Next Fest デモ公開、プレイテスト実施。コミュニティから大量のフィードバックを収集
- 2025年4月:Q1 2026 PC版リリースを正式発表
- 2025年11月:Combat Reveal Trailer公開、2026年1月の公開プレイテストを告知
- 2026年1月:公開プレイテスト実施(Steam/GOG)
- 2026年2月:Q1 2026からの遅延を発表。パブリッシャー確保を同時に報告
遅延の主な理由は二つ。一つは「ゲームのスコープが当初より大幅に拡大し、より野心的で高品質な作品になったため」。もう一つは「より広いプラットフォーム展開を可能にするパブリッシャーを探していたため」だ。
パブリッシャー探しは18ヶ月に及び、100社以上と協議し、57社と具体的な交渉を行った末に、2026年2月にようやくパートナーを確保。名称は現時点では非公開だが、PC版だけでなくコンソール版も同時展開できる体制が整った。
Steamウィッシュリストが約20万件(当初目標の2倍)に達しているという事実が、遅延にもかかわらずコミュニティの信頼が維持されていることを示している。「最も期待されているJRPGのひとつ」という評価は、4年越しの開発期間を経てもブレていない。
プレイテストで分かったこと——何が良くて何が課題か
2024年6月のSteam Next Festデモと、2026年1月の公開プレイテスト。この二回のプレイアブル体験から見えてきた実態をまとめる。
プレイヤーが口を揃えて褒めた点
まずグラフィックとアニメーション。「驚くほど滑らかで、感情が伝わる」という声が多数。特にボス戦の演出は「ここまで作り込んでいるのか」と感嘆する声が相次いだ。坂庭修の楽曲も「音楽だけで雰囲気に引き込まれる」と評判だ。
戦闘システムについては「思っていたよりずっと奥が深い」という声が目立つ。ターン制とリアルタイムのハイブリッドという説明だけ聞くと漠然としているが、実際に触れると「静止すれば敵も止まる」という仕組みがいかに戦略的かが体感できる。
「ストーリーと戦闘に深さがある。キャラクターに個性とユーモアがあって、ミニゲームも思ったより楽しかった」
— Steam Community プレイテストフィードバックスレッドより(出典)
ボイスアクティングの質も高評価。「ほぼ全キャラクターが音声付きで、キャラクターの個性がぐっと立つ」(Game8)という評価が典型的だ。文字だけで読んでいたキャラクターが声を得ることで、一気に存在感が増す——この感覚はJRPGファンなら分かるはず。
そしてダンジョン設計。3D都市と2Dプラットフォーマーの切り替え、Prayer Wheelを使った精霊世界との行き来——このデュアル構造が「探索に飽きない仕掛けを作っている」と評価された。
課題として挙がった点(開発者も認識・対処中)
正直に言うと、プレイテスト版にはいくつかの問題もあった。
最も多かった報告がパフォーマンス問題だ。フレームレートが40〜60FPSの間で変動し、ミニボス・最終ボス戦でフレームドロップが発生するという指摘が多数寄せられた。ロード時間の長さも課題として挙げられ、開発チームはこれを認識した上で「最適化に注力する」と明言している。
チュートリアルのあり方についても意見が集まった。「テキスト説明のスライドが8〜10枚続いて、実践的な指導が少ない」という声。戦闘システムが複雑なだけに、実際に手を動かして覚えるチュートリアルへの改善が求められた。
難易度設計については「雑魚敵は脅威がなかったのに、いきなりエリートの集団が出てきて即全滅した」という急激な難易度スパイクの報告も。Steam Deckへの完全対応(800p 16:10表示)もプレイテスト版では未達だった。
ただこれらは製品版に向けて開発チームが把握・対処しているものばかりだ。プレイテストの目的がまさに「こういった問題を発見・修正すること」にあるわけで、むしろ公開テストの成果として前向きに捉えられる。
「Fun。思っていたより簡単だったけど、それでも十分に挑戦のしがいはあった。完成版がどんな仕上がりになるか、本当に楽しみ」
— Chasing Dings プレイインプレッションより(出典)
ゲームメディアの総合評価
複数のゲームメディアがプレイテスト・デモを体験した上での評価をまとめると、おおむね「発売前の段階でこれだけ作り込まれているなら、完成版への期待は高い」という論調に収束している。
GamesRadarは「HD-2Dで90年代JRPGへのオマージュ。今すぐウィッシュリストに入れるべき作品」と表現。PCGamerはヴァグランツストーリーとの比較を軸に「戦闘システムの独自性と深度は本物だ」と評した。Turn Based Loversの「Most Anticipated JRPG」という見出しは、メディア全体の雰囲気を代弁している。
なぜSacriFireはこれほど待たれているのか——20万ウィッシュリストの背景
インディーゲームのSteamウィッシュリストが20万件というのは、実は相当な数字だ。大手パブリッシャーのIPでもなく、続編でもなく、完全新作のインディータイトルがこれだけの期待を集めている理由は何か。
「ヴァグランツストーリーの後継を求めている人たちの渇望」
ヴァグランツストーリーは2000年にスクウェアが発売したPS1のアクションRPGだ。松野泰己が手がけた重厚なストーリー、部位破壊と属性相性を組み合わせた戦術的な戦闘、「ミッドレアー」という閉鎖空間の中に凝縮された世界観——当時のJRPGの中でも異色の存在感を放っていた。
しかしその後、ヴァグランツストーリーの精神的後継と呼べる作品はほとんど生まれなかった。ゼノギアスにも同じことが言える。あの時代の「難解で、重くて、でも確かに輝いていたもの」を継ぐゲームを、多くのJRPGファンが20年以上待ち続けている。
SacriFireはその渇望に対して、最も真剣に向き合おうとしているインディーゲームだ。「ゼノギアスとヴァグランツストーリーを足して二で割った」という評が自然に生まれるほど、そのDNAを正面から受け継ごうとしている。
インディースタジオの誠実さがコミュニティの信頼を生んでいる
4年以上の遅延がありながら20万ウィッシュリストを維持している背景には、Pixelated Milkの誠実なコミュニケーションがある。
遅延のたびに理由を丁寧に説明し、Kickstarterの定期更新でバッカーへの報告を続け、プレイテストで直接フィードバックを受け取り、それを次の開発に反映する——この姿勢がコミュニティに伝わっている。「遅れているのは手を抜いているからではなく、より良いものを作ろうとしているから」という認識が広まっているのだ。
100社以上のパブリッシャーと18ヶ月間交渉し続けたという事実も、「妥協しない」姿勢の表れとして受け取られている。
日本のJRPGカルチャーへの深いリスペクト
ポーランドのスタジオが作っているにもかかわらず——いや、だからこそかもしれない——SacriFireには日本のJRPGへの純粋なリスペクトが溢れている。
坂庭修の起用はその象徴だ。ただ「有名作曲家を呼んだ」のではなく、「このゲームの世界観に最もふさわしい音楽を作れる人間を選んだ」という判断の結果として彼に辿り着いた。ゼノギアスやヴァグランツストーリーへの影響を隠さず、むしろそれをゲームのアイデンティティとして前面に出す姿勢は、「外側から日本のJRPGを愛している人間の視点」ならではの清々しさがある。
日本語対応の予定も、日本のプレイヤーへの意識の表れだろう。INDIE Live Expo 2025(日本のゲームイベント)に参加したことも、日本市場を重視している証拠だ。
SacriFireが影響を受けた名作たち
SacriFireを理解する上で、開発チームが影響を受けたと語る作品群を知っておくと、ゲームへの期待が一層具体的になる。
| 影響作 | SacriFireへの具体的な影響 |
|---|---|
| ヴァグランツストーリー(2000) | 部位破壊システム、属性弱点の活用、「JRPG慣習を覆す」設計哲学 |
| ゼノギアス(1998) | 神学的・哲学的テーマ、壮大なスケールのストーリー、ピクセルアートの美学 |
| クロノトリガー(1995) | ライターの原点。キャラクター重視の物語構成 |
| ファイナルファンタジーVII(1997) | PS1世代JRPGの感触、重厚なダークファンタジー世界観 |
| 秘密のマナ(1993) | アクションRPG要素の精神的ルーツ |
| イリュージョン オブ ガイア(1993) | 物語のトーン、世界設定のシリアスさ |
| オクトパストラベラー(2018) | 2D×3Dハイブリッドのビジュアルコンセプト |
| Superhot(2016) | 「プレイヤーの動きに連動して時間が流れる」戦闘の仕組み |
この顔ぶれを見れば、SacriFireがどんな層に刺さるゲームなのかが自ずと見えてくるはずだ。
SacriFireが好きな人におすすめの関連作品
SacriFireの発売を待ちながら、今すぐプレイできる関連作品を紹介する。いずれも「SacriFireが好きなら絶対に合う」と自信を持って言える。
まず、同じくターン制JRPGとして高評価を受け続けている軌跡シリーズのPC版。重厚なストーリーとキャラクターの魅力という点でSacriFireと共鳴する部分が多い。
投稿が見つかりません。次に、HD-2Dスタイルの先駆けとして語られるオクトパストラベラー系。SacriFireが目指すビジュアル方向性の「現代の正解例」として体験しておく価値がある。
投稿が見つかりません。そして、クロノオデッセイ。SacriFireと同じく90年代JRPGの精神を現代に受け継ごうとしている新作として、コミュニティでも並べて語られることが多い。
投稿が見つかりません。発売日・最新情報の追い方——2026年5月末が次の節目
2026年4月20日現在、SacriFireの正確な発売日はまだ発表されていない。
Pixelated Milkは「2026年2月の遅延発表時に、新しい発売時期を5月末までに告知する」と明言している。つまり2026年5月末が次の大きな節目だ。PC版(Steam/GOG)が先行リリースされ、PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switchは後追いでのリリースが予定されている。
最新情報を追うなら以下が確実だ。
- Steam ストアページ:store.steampowered.com/app/1661330(ウィッシュリスト登録推奨)
- 公式X(旧Twitter):@pixelated_milk
- Kickstarter更新:バッカー向けの詳細な開発レポートが定期掲載
GOG版も同時リリース予定で、DRMフリーでプレイしたい人にも対応している点は嬉しいところだ。
SacriFire まとめ——20年待ち続けた「あの感覚」が戻ってくるかもしれない
長々と書いてきたが、最後に一言でまとめるとこうなる。
SacriFireは、ヴァグランツストーリーやゼノギアスが持っていた「重くて、難しくて、でも確かに輝いていたもの」を、2020年代の技術と感性で蘇らせようとしている、今もっとも誠実な試みのひとつだ。
4年以上の開発期間、100社以上との交渉、2度のプレイテスト、坂庭修という伝説的作曲家の起用——これだけのリソースと時間をかけて作られるゲームが凡作で終わるとは思えない。むしろ「これだけ時間をかけたからこそ」生まれる密度と完成度を期待している。
プレイテストを体験した人たちが口を揃えて言う「戦闘が気持ちいい」「キャラクターに愛着が湧く」「雰囲気に引き込まれる」——これらはゲームの根幹が正しく機能していることの証拠だ。あとはパフォーマンスの最適化とチュートリアルの改善が完了すれば、製品版は相当な水準に仕上がるはずだ。
「開発中止になったのでは」と心配していた人へ。このゲームはまだ生きている。そして今も丁寧に、着実に作られ続けている。
発売日の発表は2026年5月末までに来る。Steamのウィッシュリストに入れて、その日を待とう。
サクリファイア
| 価格 | 未定 |
|---|---|
| 開発 | Pixelated Milk |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル |