「Monster Train 2」天使と悪魔が共闘するデッキ構築タワーディフェンス

天使と悪魔が手を組むって、普通じゃ考えられない展開だ。でも『Monster Train 2』はそれをゲームの核心に据えてきた。前作では天界と地獄が対立していたのに、今度は「タイタン」という共通の脅威が現れ、元敵同士が一つの列車に乗り込んでタイタンの支配する天界へ向かう。この奇妙な共闘関係が、本作の戦略的な面白さの土台になっている。

『Monster Train 2』は、Shiny Shoeが開発しBig Fan Gamesが発売した、タワーディフェンス要素を持つデッキ構築型ローグライクゲームだ。前作『Monster Train』が「圧倒的に好評」を獲得した実績を持ちながら、続編は日本語対応を果たし、さらに新クランや装備カード・ルームカードといった新要素を引っ提げて登場した。Steamレビューは9,100件以上で96%が好評という「圧倒的に好評」評価、Metacriticスコアは90点、OpenCriticでは88点という高水準で、前作の名声をしっかり受け継いでいる。

デッキ構築ローグライクが乱立する今のPC市場で、これだけの評価を維持できているのはなぜなのか。3層構造の列車防衛というユニークな戦場、10クランを自由に組み合わせるビルドの奥深さ、そして「一度始めたら止まれない」という中毒性。2026年2月には初の有料DLC『Destiny of the Railforged』も配信され、新クラン「レールフォージド」と新モード「ソウルセイバー」が追加された。この記事では、それら全てを含めた本作の魅力を丁寧に掘り下げていく。

公式トレーラー

Monster Train 2 公式ローンチトレーラー(Big Fan Games公式チャンネルより)

目次

こんな人に読んでほしい

まず、自分がこの記事のターゲットかどうかを確認してほしい。

デッキ構築型ローグライクは好きだけど、ただカードを並べて殴るだけじゃ物足りないと感じている人にとって、『Monster Train 2』は間違いなく刺さる。3層の戦場にユニットを配置し、どの階で敵を食い止めるかという「空間的な判断」が加わるのが大きな差別化ポイントだ。単にデッキを強くするだけではなく、「どこに、何を、どの順番で置くか」という立体的な思考が求められる。

前作『Monster Train』をプレイ済みの人はもちろん、『Slay the Spire』や『Balatro』で時間を溶かした経験がある人にも強くおすすめできる。PC Gamerのレビューでは「Slay the Spireがきっちり計算された道具だとしたら、Monster Train 2はあらゆるボールが新しいメカニクスやステータス効果であるボールプールだ」と表現されている。つまり、要素の多さと組み合わせの自由度において、本作はジャンルの中でも群を抜いている。

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反対に、アクション要素のあるゲームを求めている人や、マルチプレイが目的の人には向かないかもしれない。本作はシングルプレイ専用で、戦闘はリアルタイムではなくオートバトル形式だ。自分がカードをプレイし終わったら、あとはユニットと敵が自動で殴り合う。でも「考える時間」を楽しめる人なら、その点は全く問題にならない。むしろ、考え抜いた配置が完璧にハマったときのカタルシスは、アクションゲームのそれとはまた違う快感がある。

Monster Train 2の世界観とストーリー

Monster Train 2 世界観 天界とタイタン

前作では悪魔の炉を守るために天使たちと戦っていた。地獄の守護者として天界の軍勢を列車で迎え撃つという構図がシンプルで分かりやすかった。ところが『Monster Train 2』では、その構図がガラリと変わる。

天界がタイタンと呼ばれる強力な巨人族に支配されてしまった。タイタンは天界を掌握し、さらに世界全体への脅威となっていた。その結果、かつて敵対していた天使側(追放者)と悪魔側のクランが「盟約」を結び、共通の敵であるタイタンへと立ち向かうことになる。これは「非戦の盟約」と呼ばれ、本来は敵同士である者たちが一つの目的のために手を組むという、ある意味で前作の設定をひっくり返す大胆なストーリー展開だ。

プレイヤーはこの盟約に基づき、2つのクランから兵士を招集して列車に乗り込む。列車は天界へ向かいながら各ステージで敵の侵攻を受ける。目的地に着く前に炉を守り切れるか——それが毎回の「ラン」のミッションとなっている。タイタンとの最終戦は、通常のボスとは一線を画す激しいものだ。タイタンは全3フロアを自由に移動し、数百から数千のHPを持つ。開発が「これは消耗戦ではなく、速度勝負だ」と語っているように、いかに素早くタイタンを処理できるかがクリアの鍵になる。

ストーリーは各ランの合間に「盟約の前衛地」と呼ばれるハブ拠点で展開する。ここではキャラクターとの会話を通じて物語が進んでいく。天使と悪魔が同じ列車に乗るという奇妙な状況の中での会話劇は、対立する価値観がぶつかり合う面白さがある。追放者の天使たちは自分たちの故郷を取り戻したいという正義感で動いているのに対し、悪魔側のクランはそれぞれの思惑や利益のために動いている。この微妙な緊張関係が会話の端々に表れる。

ゲームとしての完成度の高さが評価されているのは確かだが、ストーリー面については「カットシーンの書き方が基本的すぎる」「ストーリーの進み方がわかりにくい」という指摘も一部にある(GamesRadar+のレビューより)。ローグライクは繰り返しプレイする性質上、ストーリー演出がゲームプレイの邪魔にならないことも大事だが、もう少し物語の深みがあっても良かったかもしれない。ただ、これはゲームプレイの質には影響しない部分だ。

3層の列車バトルフィールド——本作最大の個性

Monster Train 2 3層バトルフィールド 列車防衛

Monster Trainシリーズを語るうえで外せないのが、この3層縦型バトルフィールドだ。他のデッキ構築ゲームは基本的に「自分側vs敵側」という横の対立構造だが、Monster Train系は「列車の3つのフロア」という縦の空間を活用する。この空間的な戦略レイヤーこそが、本作を『Slay the Spire』などの競合作品と根本的に異なるものにしている。

敵は列車の一番下から乗り込んできて、ターンごとに1フロアずつ上がってくる。最上階に到達されると炉(パイア)が攻撃される。炉のHPが0になったらゲームオーバーだ。つまり、プレイヤーはどこで敵を「食い止めるか」を常に考えながらユニットを配置しなければならない。1階で全滅させるのが理想だが、敵の数が多いときは2階、3階にも戦力を分散させておく必要がある。

この空間的な思考が、従来のデッキ構築ゲームにない独自の楽しさを生んでいる。強力な壁役ユニットを最前線に置いて敵の進行を遅らせつつ、後方の火力ユニットで削り続ける——そんな「縦のタワーディフェンス戦略」が必要になる。さらに、各フロアにはユニットを配置できるスロット数の制限があり、大型ユニットほどスロットを多く消費する。小型ユニットを大量に並べるか、大型の切り札を少数精鋭で運用するか——この判断もフロアごとに変わってくる。

ターン進行の仕組み

各バトルはターン制で進む。プレイヤーのフェーズでは、手札からカードを使ってユニットを召喚したり、呪文で敵を攻撃したり、ユニットに装備を付けたりできる。使えるカードの数はマナ(エンバー)の量で制限される。初期エンバーは3で、ランを進めるにつれてエンバー上限を増やせる機会がある。

カードを全部使い終わるか、マナが尽きたらターン終了。そうすると敵フェーズが始まり、各フロアで敵とユニットが戦う。戦闘は前列にいるユニットから順番に攻撃を受け、前列のユニットが倒れると次のユニットにダメージが通る。フロア上のユニットが全滅すると、そのフロアを通過した敵は次のフロアに上がり、最終的に炉に直接ダメージを与える。

この繰り返しの中で、「このフロアの守りが薄い」「あの敵はすぐに排除しないとまずい」という判断を瞬時に下す必要がある。敵の構成は波ごとに変わり、高HPの前衛ユニットの後ろに厄介な能力を持つ後衛が控えていることが多い。後衛を放置すると、味方ユニットの攻撃力を下げたり、敵全体をバフしたりしてくる。だから全体攻撃カードで後衛を処理しつつ、単体火力で前衛を削る——という二軸の攻撃手段が不可欠になる。

情報量が多いため最初は戸惑うかもしれないが、慣れてくると各要素が有機的につながって見えてくる。「あ、この敵にはこの対処法があるんだ」と理解が深まるたびに、戦闘の見え方が変わっていく。その学習曲線の心地よさが、本作を「やめられないゲーム」にしている大きな要因だ。

チャンピオンカードの役割

各クランには「チャンピオン」と呼ばれる特別なユニットカードがある。ランの開始時に選択し、すべてのバトルに初期手札として含まれる(コスト0でプレイ可能)。チャンピオンはバトルを重ねるごとにアップグレードでき、独自の成長ルートが存在する。前作でもチャンピオンは重要だったが、本作ではさらにその存在感が増している。

前作との大きな違いは、チャンピオンに「アクティブアビリティ」が追加されたことだ。クールダウン制で発動する特殊能力があり、これをどのタイミングで使うかが戦況を大きく左右する。たとえば追放者クランのチャンピオン「フェル」は、アクティブアビリティで前列に移動しつつアーマーと勇気を得る。これにより、ピンチの場面で壁役を即座に用意できる。

チャンピオンのアップグレードパスは2つあり、ランの途中で選べる。どちらを選ぶかで、そのランの方向性が大きく変わる。攻撃特化で敵をなぎ倒すか、防御特化で炉を守り抜くか——チャンピオンの育て方がそのまま「このランの勝ち筋」になると言っても過言ではない。だからこそ、チャンピオンのアップグレード機会が来たら最優先で投資するのがセオリーだ。

10クランシステム——前作の5クランをすべて引き継ぎ、新クランを大量追加

Monster Train 2 クランシステム 10クラン

前作には5つのクランがあったが、『Monster Train 2』ではその5クランをそのまま引き継ぎながら、新たに5クランが追加されて合計10クランになった。さらに2026年2月のDLC『Destiny of the Railforged』で11番目のクラン「レールフォージド」が、無料アップデートで12番目の「ワームキン」が追加されている。ゲーム開始時に「メインクラン」と「アライクラン」の2つを選び、その組み合わせでデッキの方向性が決まる。

12クランの中から2つを選ぶパターンは合計66通り(12×11÷2)。さらにチャンピオンの育て方や選ぶカードの違いを考えると、ビルドの幅は実質無限に近い。これが「何度やっても飽きない」という中毒性の根幹だ。Steamコミュニティでは「100時間やってもまだ新しい組み合わせが見つかる」という声が珍しくない。

復帰した5クラン——前作のファンも安心

前作から続投した5クランは、最初からすべてが使えるわけではない。ゲームを進めて炉炭(パイアハート)を6つアンロックすると、まずヘルホーンが解放される。その後、条件を満たすごとに覚醒者、スティギアンガード、メルティングレムナント、アンブラが順次解放されていく。前作プレイヤーにとっては馴染みの顔ぶれだが、本作では新カードや新装備も追加されており、「知ってるけど新しい」感覚で楽しめる。

ヘルホーンは「レイジ(怒り)」を軸にした攻撃的なクランだ。レイジは一時的な攻撃力上昇バフで、ターンごとに消費されるが、その爆発的な火力で敵を一掃するのが得意。シンプルで分かりやすい性能なので、初心者が最初に触るクランとしてもおすすめできる。

覚醒者(Awoken)は回復と「棘(ソーン)」を活用する自然系のクランだ。攻撃を受けたときに反射ダメージを与えるソーンが独特で、防御的に立ち回りながら敵を削っていくスタイル。回復手段が豊富なので、炉のHPを高く維持しやすい。

スティギアンガードは氷と魔法の力を持つクランで、「フロスト」による凍結や攻撃力低下で敵を無力化する戦術が特徴。敵の攻撃力を0にまで下げることも可能で、ハマったときの安定感は随一だ。

メルティングレムナントは「バーンアウト(燃え尽き)」という独自のメカニクスを持つ。ユニットが数ターン後に死ぬことが前提の設計で、死亡時の効果や復活を駆使してフロアを回し続ける。死んでは蘇り、蘇っては死ぬ——というサイクルが他のクランにない独特のリズムを生む。

アンブラは「噛みつき(モーセル)」と呼ばれる小型の使い捨てユニットを活用するクランだ。モーセルを大型ユニットに食べさせることでバフを付与していく仕組みで、育成と消費のバランスが面白い。

新追加の5クラン——本作の目玉

追放者(Banished)は天使と聖歌隊からなるグループで、「勇気(Valor)」というバフを軸にした戦術が特徴だ。勇気スタックが積み重なるほど攻撃力が上がり、アーマーも付与される。さらに本作独自のメカニクスとして「シフト」がある。ユニットがフロア間を移動するたびにシフトアビリティが発動する仕組みで、追放者のデッキではユニットを頻繁に移動させることが重要になる。理想的には1ターンに複数回移動させて、シフト効果を連続発動させたい。

パイアボーン(Pyreborne)は竜の力を受け継ぐクランで、「パイアジェル」と「ドラゴンの秘蔵(Dragon’s Hoard)」という2つのメカニクスが軸だ。パイアジェルは敵に付与するデバフで、このデバフがかかった敵は攻撃を受けるたびに追加ダメージを受ける。スタックが重なるほど追加ダメージが増えるため、パイアジェルを大量に積んでから一気に殴る戦術が効果的だ。ドラゴンの秘蔵は戦闘中に獲得できるリソースで、ゴールドやアーティファクトの追加報酬につながる。「エクスプローシブ(爆発)」キーワードを持つカードも多く、敵を倒したときの余剰ダメージがフロア上の他の敵に伝播するという強力な効果がある。

ルナ・コヴェン(Luna Coven)は月光と魔法を操る魔女たちのグループで、「腐敗(Decay)」を敵に付与して倒していく戦術が軸になる。腐敗はターンごとにダメージを与える持続効果で、硬い敵を時間をかけて溶かすような戦い方が得意だ。さらにルナ・コヴェンには「月のサイクル」という独自システムがあり、月の満ち欠けに応じてカードの効果が変動する。「ムーンリチュアル」のようなスターターカードで月を操作し、新月のタイミングで強力な効果を発動させる——という計画的なプレイが求められる。

アンダーレギオン(Underlegion)は「腐敗」と「再生」の力を持つキノコ生物の派閥だ。安価な「ファンガイ」と呼ばれる小型ユニットを大量に展開し、時間をかけて育てていくスタイルが特徴。ファンガイたちはターンを重ねるごとに成長し、最初は弱くてもランの後半には強力な戦力に化ける。ルナ・コヴェンと組み合わせると腐敗系のシナジーが爆発的に強くなり、敵全体に大量の腐敗スタックを付与して一網打尽にすることもできる。

ラザラスリーグ(Lazarus League)は狂気の天才科学者たちが集まる派閥で、「ミックス」というメカニクスを通じてポーションを調合する。ポーションの効果でユニットにリアニメイト(蘇生)やリジェネレーション(再生)を付与したり、敵にサップ(弱体化)やアンステーブル(不安定)をかけたりできる。ミックスの組み合わせ次第でまったく異なる効果が生まれるため、柔軟性が高い。自分にもダメージを与えながらその副作用を利用するというリスキーな戦術が多いが、使いこなしたときの対応力は全クラン中トップクラスだ。

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装備カードとルームカード——続編の最大の新要素

Monster Train 2 装備カード ルームカード 新要素

『Monster Train 2』で前作から大きく変わった点が、2種類の新カードタイプの追加だ。これが戦略の幅を格段に広げている。

装備カード(Equipment Cards)

装備カードはユニットに装着して使うカードで、そのユニットのバトル中のステータスやスキルを強化する。例えば攻撃力を上げたり、特定の条件でスキルを発動させたり、ダメージ軽減効果を付与したりできる。装備はデッキに入れるカードの一種なので、ドローして手札に来たタイミングでユニットに装着する。

装備はユニットが生存している限り効果が続く。強力なチャンピオンに装備を重ね掛けして圧倒的な戦力に仕上げるビルドや、雑魚ユニット複数に分散して装備させて「数で勝つ」ビルドなど、アプローチは無数にある。前作ではユニット自体のカードアップグレードしかなかったため、この装備システムはキャラクターカスタマイズの楽しさを大幅に引き上げた。

特に注目すべきは「タイタンストーン」という装備アップグレードだ。これをユニットに付けると、受けるダメージが半分になる。実質的にHPが倍になるのと同じ効果で、前線で敵を受け止める壁役ユニットには必須級の強化と言われている。攻略コミュニティでは「フロントラインに置くユニットにはまずタイタンストーンを考えろ」というのが定石になっている。

ルームカード(Room Cards)

ルームカードは列車の特定のフロアに配置して、そのフロア全体に効果を付与するカードだ。例えば「このフロアにいる全ユニットの攻撃力+2」とか「このフロアで戦闘が発生するたびに1ゴールド獲得」など、フロア単位での強化が可能になる。

どのフロアに、どのルームカードを置くかという判断が戦略に新しい層を加えている。最前線のフロアに防御系ルームを置くか、後方に攻撃強化ルームを置くか——この配置戦略が、従来のデッキ構築の「カードをデッキに入れる」という縦の戦略に加えて、「どこで戦うか」という横の戦略を生み出した。ルームカードは一度配置すると入れ替えがきかないため、ランの序盤でどのフロアにどんなルームを置くかは慎重に決めたい。

ローグライトの中でも面白いMonster Trainの続編が日本語対応して発売。ユニットに装備できるカードと、部屋に効果を付けるカードが登場したのが前作との大きな違いだが、前作のプレイ感を損ねていない

引用元:Steamレビュー

この「前作のプレイ感を損ねていない」という評価が重要だ。新要素を追加しすぎてゲームの核心が見えなくなるケースが続編にはよくあるが、『Monster Train 2』は新要素が有機的にシステムに組み込まれている。装備カードもルームカードも、既存の「3層構造の防衛戦」という枠組みの中で自然に機能しており、「付け足し感」がほとんどない。

ランの流れ——どうやって列車を進めるのか

一回の「ラン」はどう進んでいくのか。基本的な流れを整理しておこう。

ランの最初にメインクランとアライクランを選ぶ。それぞれのクランからチャンピオンを選び、初期デッキが構成される。そこからルート選択が始まる。初期デッキには両クランの基本カードが含まれているが、ここからどうデッキを育てるかがプレイヤーの腕の見せどころだ。

各ステージにはいくつかの分岐があり、「ショップ」「鍛冶屋(カードアップグレード)」「ゴールド獲得」「炉回復」「イベント」「カード削除」などが用意されている。どのルートを選ぶかで、次のバトルに向けた準備が変わってくる。炉のHPが減っているときは回復を優先するのか、強力なカードを入手するためにリスクを冒すのか——このルート判断がローグライクの面白さの一つだ。

特に重要なのが「カード削除」だ。デッキ構築ゲームの鉄則として、弱いカードを削ってデッキを圧縮することで、強いカードを引く確率が上がる。本作でも初期カードの中に明らかに弱いカードが混じっており、これを早めに削ることがランの安定につながる。2枚同時に圧縮できるイベントが出現したときは最優先で選ぶべきだ、と攻略コミュニティでは口を揃えている。

バトルではデッキからカードを引き、ユニットを召喚・強化・呪文で攻撃しながら敵の侵攻を止める。バトルに勝つと報酬(ゴールドや新しいカード)をもらい、次のステージへ進む。カードの報酬は3枚の中から1枚選ぶ形式で、ここでデッキの方向性を決めていく。「このカードは強そうだけど、今のデッキの方向性と合わない」と判断してスキップする勇気も必要だ。

ランの終わりには「盟約の前衛地」と呼ばれるハブ拠点に立ち寄る。ここでキャラクターとの会話があり、ゲームの核となる機能(新クランのアンロックや列車のカスタマイズなど)にアクセスできる。次のランへの準備が整ったら、また列車を走らせる。この「準備→挑戦→帰還→準備」のサイクルが、気づけば何時間も回し続けてしまう中毒性を生んでいる。

炉炭(Pyre Heart)の役割

各クランには「炉炭(Pyre Heart)」と呼ばれる固有のアーティファクトがあり、これがランごとの独自性を生み出す。炉炭によって炉の機能が変わったり、特定の戦術が強化されたりする。クランの組み合わせに加えて炉炭の選択も戦略に影響するため、同じクランを選んでも炉炭次第でまったく違うランになることがある。

炉炭のアンロックはメタ進行(ランを超えた成長要素)の一部で、プレイを重ねるごとに新しい炉炭が解放されていく。これにより「次のランでは新しい炉炭を試してみよう」というモチベーションが持続する。炉炭6個のアンロックは前作クランの解放条件にもなっているので、序盤のうちから積極的に進めたい。

戦闘の駆け引き——フロア管理と敵の対処法

バトルの具体的な駆け引きをもう少し掘り下げてみよう。本作の戦闘が奥深いのは、単にカードを出す順番だけでなく、「どのフロアで何をするか」という空間的な判断が常に求められるからだ。

前列と後列の概念

各フロアでは、ユニットが前列と後列に並ぶ。敵は前列のユニットから攻撃し、味方も前列のユニットが先に攻撃する。ここで重要なのが、HPの高い壁役を前列に、火力の高いアタッカーを後列に配置するという基本セオリーだ。ただし、敵の中には「後列を直接攻撃する」能力を持つものもいるため、常にこのセオリーが通用するわけではない。

「レンジド(射程)」を持つユニットは後列からでも攻撃できるし、「マルチストライク」を持つユニットは複数回攻撃する。これらの能力を持つユニットをどこに配置するかで、フロアの殲滅速度が大きく変わる。

敵の種類と対処の考え方

敵は大きく分けて3種類に分類できる。まず、HPが高い前衛型の敵。これはフロアに留まって味方ユニットを削ってくる。次に、HPは低いが厄介な能力を持つ後衛型の敵。味方の攻撃力を下げたり、敵全体を回復したりする。そして、ボス級の敵。桁違いのHPと強力なスキルを持つ。

後衛型の敵を放置すると戦況が一気に悪化するため、全体攻撃カードで後衛を素早く処理することが重要だ。前衛型はチャンピオンやメインアタッカーに任せ、ボス級には腐敗やパイアジェルといった持続ダメージを重ねていく——という役割分担が安定したプレイの基本になる。

炉への直接攻撃——最後の防衛ライン

敵が全フロアを突破して炉に到達すると、炉が直接攻撃を受ける。ただし、炉自体もある程度の攻撃力を持っており、到達した敵にダメージを与える。炉炭の種類によっては炉の攻撃力が大幅に上がることもあり、「あえて敵を通して炉で仕留める」という戦術も状況次第では有効だ。もちろんリスクは高いが、フロアの配置が間に合わないときの緊急手段として覚えておくといい。

エンドレスモードと各種チャレンジ——クリア後も遊び続けられる

通常のランをクリアした後、さらに難易度を上げて挑戦できるのが盟約(Covenant)システムだ。盟約レベルは0から10まであり、上げるごとにゲームが難しくなる。盟約0と1は最初から利用可能で、それ以降は前の盟約をクリアすることで順次解放される。

盟約が上がると、具体的には以下のような制約が加わっていく。盟約1では敵が強化され、ランダムなカードがデッキに追加される。盟約2ではバトルに追加の敵が出現する。盟約3ではショップのリロールコストが50%増加し、カード削除コストの上昇も早くなる。前作の盟約25相当が今作の盟約10に凝縮されているとSteamコミュニティで語られているが、それだけ一段階ごとの難易度上昇が急峻だということでもある。

本作で新たに追加されたエンドレスモードは、文字通り終わりのない連戦モードだ。波状に押し寄せる敵を相手に、どこまで生き延びられるかを競う。デッキが完成形に近づくほど面白くなるモードで、「自分の最強ビルドをどこまで維持できるか」を試す場として機能している。通常のランでは数バトルで終わってしまうが、エンドレスモードではデッキがどんどん太くなり、終盤には信じられないほどの火力が出る。

チャレンジモードでは、開発側が設計した特定の制約のもとでプレイする。カスタムのミューテーター(変動要素)が設定され、クリアすると報酬として専用のコスメティックアイテムが手に入る。毎日更新されるデイリーチャレンジもあり、世界中のプレイヤーとスコアを競うランキング機能もある。「今日のチャレンジ、何位だった?」という会話がコミュニティで飛び交っている。

次元チャレンジも追加されており、開発が手作りしたカスタムシナリオに挑戦できる。通常のランとは異なる制約や目標が設定されており、新しい視点でゲームシステムを楽しめるように工夫されている。

加えて、前作にはなかった列車のカスタマイズ機能も実装された。新しい列車パーツをアンロックして見た目を変えられる要素で、やり込み要素としても機能している。長時間プレイするゲームだからこそ、こういった見た目の変化が地味にモチベーションを維持してくれる。

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日本語対応——前作との決定的な違い

Monster Train 2 日本語対応 UI

日本のプレイヤーにとって最も大きな改善点が、発売時点からの完全日本語対応だ。前作『Monster Train』は日本語非対応だった。そのため日本では英語に慣れているプレイヤーだけがプレイでき、カードテキストの理解が難しくて断念したという声も少なくなかった。

本作ではUI、カードテキスト、ストーリー会話など全体が日本語化されている。デッキ構築ゲームはカードの効果テキストを正確に理解することが勝敗を左右するため、日本語対応の恩恵は計り知れない。「勇気スタックが3以上のとき、攻撃力に勇気の値の2倍を加算」といった細かい条件分岐を英語で読み解くのと、日本語で読むのとでは理解の速度がまるで違う。

AUTOMATONの記事でも「日本語対応して発売」と取り上げられており、日本のゲーマー層への訴求力が格段に上がったことがわかる。Steamの日本語レビューも増えてきており、日本語コミュニティが着実に成長している。

また、情報量の多さについていくための改良されたログブックも本作の利点だ。敵の情報、コレクション目標、自分のプレイ履歴などが整理されて確認できるようになっており、「あの敵は何のスキルを持っていたっけ?」という疑問をゲーム内で解決できるようになった。前作では外部のWikiに頼る場面が多かったが、本作ではゲーム内の情報だけでかなりの部分をカバーできる。

アーティファクトの説明にはスケーリング値の計算が表示されるようになり、カードの効果がどう増減するかを数値で把握できるようになった。デッキ構築ゲームの醍醐味は数値と効果の計算なので、この情報提供の改善は地味だが重要な進化だ。「このカードをアップグレードしたら、具体的にどれくらい強くなるのか」が一目でわかるのは、戦略を練るうえで大きな助けになる。

ユーザーの声——9,100件以上のレビューで96%が好評

Steamのレビュー9,100件以上で96%が好評という評価は、デッキ構築ジャンルの中でも突出している。Steambaseのプレイヤースコアは96/100で、「圧倒的に好評」のステータスを維持し続けている。

Slay the Spireのような時間が溶けちゃうローグライク。前作のプレイフィールを引き継ぎつつブラッシュアップされた体験だった

引用元:Steamレビュー(日本語ユーザー)

「時間が溶ける」という表現は複数のユーザーが使っており、本作の中毒性の高さを端的に表している。Steamの同時接続ピークは発売直後に18,503人を記録し、デッキ構築ローグライクとしてはかなりの数字だ。ジャンルの性質上、同時接続が爆発的に跳ねるタイプのゲームではないが、長期にわたって安定したプレイヤー数を維持しているのが特徴だ。

スレスパ+オートバトル。完成度が高い

引用元:Steamレビュー(日本語ユーザー)

『Slay the Spire』と比較する声は多い。どちらもデッキ構築ローグライクの傑作として並び称されるジャンルの代表格で、Slay the Spireが縦スクロールの一対一バトルなら、Monster Trainは3層の戦場で複数のユニットを操るという差がある。Slay the Spireは1キャラクターを育てる集中感が魅力で、Monster Train 2はフロア全体を俯瞰する戦略性が魅力。どちらが上ということではなく、好みの問題だ。ただし、Monster Train 2のほうが要素が多い分、情報過多に感じるプレイヤーがいることも事実だ。

PS StoreでもPS5版が50件のレビューで平均4.92/5.0という高評価を記録しており、プラットフォームを問わず支持されている。

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一方で、批判的な声もある。前作を1,500時間以上プレイした長期ユーザーの中には「80%以上のランでフラストレーションを感じる。前作では80%以上のランで楽しかったが、Monster Train 2はデザインが変わって戦略が限定的に感じる」という意見も出ている(Steamレビュー)。これは特に高盟約(高難易度)でのバランスについての指摘で、前作の自由度に慣れたプレイヤーほど違和感を感じるケースがあるようだ。

また、「タイタン戦が理不尽に感じる」という声も一部にある。タイタンは全フロアを移動しながら攻撃してくるため、従来のフロア防衛とは異なる対応が求められる。Steamコミュニティでは「タイタン戦はスピード勝負。持久戦ではなく、いかに早くダメージを叩き込めるかがポイント」というアドバイスが多い。ただ、このような意見は少数派であり、全体としての評価は揺るぎない。

海外メディアの評価——Metacritic 90点はどう受け止めるべきか

Monster Train 2 海外レビュー Metacritic評価

Metacritic90点、OpenCritic88点(全批評家の96%が推薦)という数字は、デッキ構築ゲームの中でも最上位クラスだ。ジャンルの王様と言われる『Slay the Spire』のMetacritic89点を1点上回っているという事実は、この続編の完成度を雄弁に物語っている。

IGNは9/10を付け、PC Gamerは91点を記録した。PC Gamerのレビューでは「Monster Train 2はローグライクデッキビルダーの天国であり、Slay the SpireやBalatoに匹敵する傑作」と評されている。GamesRadar+は「デッキビルダーローグライク天国への本当に一流の乗車体験」と評し、「前作の良さを保持しながら進化した」「追加されたクランが巧妙に設計されている」「新カードとルールが深さを追加している」と評価した。

Noisy Pixelは95点をつけ「Monster Train 2は競争が激しいローグライクデッキビルダーのジャンルで自らの地位を確立するだけでなく、新たな基準を打ち立てている」と絶賛した。Hey Poor Playerのレビューでは「前作の全てを取り入れつつ、あらゆる面で改善している」と書かれ、Gamecritics.comでは「深みのある戦略と無限のリプレイ性」が高く評価された。

批判として挙げられたのは「カットシーンのテキストが基本的すぎる」「ストーリーの進行がわかりにくい」「情報量が多すぎて圧倒される瞬間がある」という点だ(GamesRadar+)。ゲームシステムの完成度に対してストーリー演出が追いついていないという評価だが、ローグライクにおいてストーリーよりゲームプレイを重視するプレイヤーにとっては大きな問題にはならない。

「前作を超えているか」という問いへの答えは評者によって異なるが、「ジャンルの傑作」という評価は共通している。累計プレイヤー数が50万人を突破したという事実(2025年7月時点)が、その評価を数字で裏付けている。

前作Monster Trainとの比較——何が変わり、何が残ったか

Monster Train 2 前作比較 進化した要素

前作をプレイしたことがある人向けに、変わった点と変わっていない点を整理しておく。

変わっていない(引き継いだ)要素:3層の列車バトルフィールド、デッキ構築の基本システム、前作の5クランとそのカード群(一部リワーク済み)、ローグライクのランシステム(クリア→強くなって再挑戦)。前作を楽しんでいた人が違和感なく入れるように設計されている。操作感やUIの基本的なレイアウトも引き継がれており、「前作のセーブデータをロードしたかのような自然さ」で始められる。

大きく変わった要素:5クランの追加(計10クラン、DLC含めると12クラン)、装備カードとルームカードという2つの新カードタイプ、日本語対応、改良されたログブック、エンドレスモードと次元チャレンジの追加、列車のカスタマイズ機能、盟約の前衛地というハブ拠点、チャンピオンのアクティブアビリティ追加。

Steamコミュニティでは「前作1から比べると大量のコンテンツが追加されており、クラン同士を組み合わせたシナジーが前作以上に爆発的になっている」という声が多い。前作で「一発大爆発ビルド」を狙いすぎる傾向があったのが、本作では複数ユニットをバランスよく使う戦術も強くなったという評価もある。

難易度面では「盟約10の難しさが前作の盟約25に相当する」と言われており、数値が下がったぶん一段階の上昇が急峻になっている。高難易度を楽しみたい人には、この凝縮された難易度設計がかえってやりがいになるかもしれない。盟約8あたりから一気に難しくなるという報告が多く、Steamフォーラムでは「盟約8の壁」として攻略法が活発に議論されている。

前作からのプレイヤーが特に歓迎しているのは、前作クランのカードプールが新カードで拡張されている点だ。既存のシナジーに加えて、装備カードやルームカードとの新しい組み合わせが生まれるため、「前作で飽きるほどプレイしたクランでも新鮮に遊べる」というのが大きい。

こんなビルドが楽しい——クランコンボの可能性

Monster Train 2 クランコンボ ビルド戦略

クランの組み合わせで生まれるシナジーを、いくつか紹介しておこう。これはほんの一例で、実際にはもっと多様なコンボが存在する。

腐敗コンボ:ルナ・コヴェン + アンダーレギオン

どちらも「腐敗」を活用するクランで、組み合わせると敵への継続ダメージが猛烈になる。ルナ・コヴェンの魔法系カードで広範囲に腐敗を付与しつつ、アンダーレギオンのユニットで敵の腐敗スタックを爆発させる——という連携が決まったときの爆発力は凄まじい。アンダーレギオンのファンガイは安価で大量展開できるため、各フロアを数で埋めて腐敗を次々と重ねていく動きが強い。Steamコミュニティでも人気の高い組み合わせの一つだ。

勇気スタックコンボ:追放者 + ヘルホーン

追放者の「勇気」スタックを極端に積み上げることで、チャンピオンが攻撃力もアーマーも持つ無双の戦士になる。ヘルホーンの「レイジ」バフと組み合わせることで、一体のユニットが全フロアを制圧するようなビルドが生まれる。特にフェルのシフトアビリティを活用してフロア間を移動させながら勇気を積み上げていく戦術は、見ていて爽快感がある。

経済コンボ:パイアボーン中心のゴールド活用

パイアボーンの「ドラゴンの秘蔵」を活用し、戦闘中にゴールドやアーティファクトを獲得しまくるビルド。ショップで強力なカードを買い集める戦略との相性が抜群で、前半の安定感と後半の爆発力を両立できる。特に「グリードドラゴン」というユニットを中心に据えたビルドは、ドラゴンの秘蔵を大量に溜め込んで一気に活用する豪快な戦い方が可能だ。

リアニメイトコンボ:ラザラスリーグ + メルティングレムナント

ラザラスリーグのリアニメイト(蘇生)効果と、メルティングレムナントの「死ぬことが前提」のユニット設計が見事に噛み合う。メルティングレムナントのユニットはバーンアウトで数ターン後に死ぬが、ラザラスリーグのポーションでリアニメイトを付与しておけば、死んでも復活する。死亡→復活→死亡→復活のサイクルで、死亡時効果を何度も発動させる恐ろしいビルドが完成する。

パイアジェルコンボ:パイアボーン + スティギアンガード

パイアボーンのパイアジェル(攻撃を受けるたびに追加ダメージ)とスティギアンガードのフロスト(敵の攻撃力を下げる)を組み合わせる。敵の攻撃力を下げて味方の被ダメージを最小限にしつつ、パイアジェルで持続的にダメージを稼ぐ。防御と攻撃を同時にこなす安定感のあるビルドだ。

これらのコンボは一例にすぎず、実際のプレイでは「このカードとあのカードが思わぬシナジーを持つ」という発見の連続がある。ローグライクゲームの面白さの核心が「計画通りにはいかないけど、想定外の組み合わせが生んだ驚き」だとすれば、本作はその体験を存分に提供してくれる。100時間、200時間とプレイしても、まだ試していない組み合わせが見つかる。それが12クランの組み合わせが持つ底力だ。

DLC「Destiny of the Railforged」——2026年最初の大型拡張

Monster Train 2 Destiny of the Railforged DLC

2026年2月2日、本作初の有料DLC『Destiny of the Railforged』がリリースされた。価格は9.99ドルで、PC版・PS5版・Xbox Series X|S版が同時配信。同時に無料アップデートとして新クラン「ワームキン」が全プレイヤーに開放された。

新クラン「レールフォージド」

DLCの目玉は、13番目のクラン(DLC専用)「レールフォージド」だ。技術者、創造者、メカニックたちで構成された派閥で、チャンピオンはヘフとヘルツァルの2人。ヘフはスカルクラッシャーと盟約の前衛地を建造した鍛冶師、ヘルツァルはレールとボーンシェイカーを建造した鍛冶師と、いずれも列車の建造に関わった人物だ。これまで背景キャラとしてのみ登場していた2人がついにプレイアブルになった。

レールフォージドの固有メカニクスは「フォージ(鍛造)」。戦闘中にユニットや装備を「鍛造」して強化していく仕組みで、改良型の列車スチュワード(ナックラー・スチュワードなど)やセントリータレット(周囲の敵を自動攻撃する砲台)といったユニークなユニットを展開できる。さらに、炉自体の攻撃力を大幅に上げる手段も持っており、防衛ラインが崩されても炉で反撃できる独特の戦い方が可能だ。

新モード「ソウルセイバー」

DLCの大きな追加要素がソウルセイバーモードだ。このモードでは「ライフマザー」と呼ばれる存在とその腐敗した子供たちに立ち向かう。通常のランとは構造が異なり、プレイヤーはボスと戦う順番を自分で選べる。ボスを倒すたびに「呪い」が残るが、同時により強力な報酬も手に入る。「ソウル」というアップグレードをカードに装備でき、これがまた新しいビルドの可能性を開いている。

無料追加の「ワームキン」クラン

DLCと同時に無料で追加されたワームキンは、前作のDLCから復帰したクランだ。インフューズ(注入)というメカニクスを持ち、カードを消費して他のカードを強化するという独自のプレイスタイルが特徴。カードを「燃料」として使う感覚で、デッキの回し方がまた一段階複雑になる。

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アップデートの動向——開発が育て続けるゲーム

リリース後も積極的なアップデートが続いている。開発元のShiny Shoeは2025年9月に公式ロードマップを公開し、2026年初頭までの長期的な計画を示した。

2025年9月には最初の無料アップデート「Lost Arsenal」が配信され、全クランに新カードが追加された。新しい装備カードやルームカードも加わり、既存のビルドに新たな選択肢が生まれた。Nintendo Switch版ではフレームレートの上限解除も行われている。

2025年11月には第2弾アップデート「Echoes from the Void」が配信され、新ボスや追加の次元チャレンジが導入された。ヴォイドベースの新たな脅威、ゲームプレイミューテーター、戦略的アーティファクト、コスメティックアイテムが追加され、ゲームの幅がさらに広がった。

そして2026年2月のDLC『Destiny of the Railforged』と無料ワームキン追加が実現。開発チームはバグ修正やバランス調整も定期的に行っており、コミュニティのフィードバックを積極的に取り入れている姿勢が見える。50万人のプレイヤーベースを抱えるタイトルとして、継続的なサポートへの期待も大きい。

Xbox Game Passでも遊べるため、Gamepass加入者なら追加コスト0で試せる点も普及の後押しになっている。PS5やNintendo Switchにも対応しており、マルチプラットフォーム展開で幅広いプレイヤーにリーチしている。

Slay the Spireとの違い——どちらを選ぶべきか

デッキ構築ローグライクの話をすると、必ず出てくるのが「Slay the Spireとどっちが面白いの?」という問いだ。これは好みの問題なので明確な答えは出せないが、両者の違いを整理しておこう。

Slay the Spireは1キャラクターを操作し、敵と1対1で戦う。自分のHPを管理しながら、攻撃・防御・バフ・デバフをバランスよくデッキに組み込んでいく。要素がシンプルにまとまっているため、「1枚のカードの重み」を実感しやすい。初心者でも比較的すぐにルールを理解でき、それでいて極めようとすると底なしの深さがある。

Monster Train 2は3層のフロアに複数のユニットを配置し、フロア全体を管理する。2クランの組み合わせ、装備カード、ルームカード、チャンピオンのアビリティなど、考慮すべき要素がSlay the Spireより多い。その分、「一つの判断が戦況全体に波及する」連鎖的な面白さがある。ただし、最初の情報量に圧倒される人もいる。

どちらか一方を選ぶなら、「考える要素は少なくていいから、一手一手を味わいたい」ならSlay the Spire。「要素が多くても、全体を俯瞰して最適解を見つける快感が好き」ならMonster Train 2。もちろん、両方やるのが一番だ。

Monster Train 2はローグライクデッキビルダーの天国であり、Slay the SpireやBalatoに匹敵する傑作

引用元:PC Gamer

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どんな人が向いていて、どんな人が向いていないか

Monster Train 2 プレイヤータイプ 向き不向き

正直に書いておきたい。

『Monster Train 2』は、すべての人に向いているわけではない。まず情報量が多い。12クランのカードを合計すると膨大な数になるし、装備カード・ルームカード・アーティファクト・チャンピオンアップグレードなど、把握すべき要素が積み重なる。「このゲームはデータが多すぎて圧倒される」という批評家の指摘(GamesRadar+)は的を射ている。

ただ、この情報量の多さは「やり込みの余地の多さ」と表裏一体だ。最初は「わからない」状態から始まり、プレイを重ねるごとにシステムの全体像が見えてくる。その過程で「なるほど、こういう仕組みか」という発見が何度も訪れる。5ラン、10ランと重ねるうちに、最初は読めなかったカードの説明が「ああ、これはあのカードと組み合わせるためのものだったのか」とつながっていく。この発見の喜びを楽しめる人には、最高のゲームになりうる。

向いている人:デッキ構築ゲームが好き、ローグライクの「死んでも強くなる」サイクルが好き、考えることが楽しい、時間をかけてでも深く楽しみたい、Slay the SpireやBalatoを楽しんだ、前作Monster Trainを楽しんだ。

向いていない人:アクション系のゲームが好き(本作は戦闘がオートバトル)、マルチプレイ目的(シングルプレイ専用)、テキストが多いゲームが苦手、ランダム性に翻弄されるのが嫌い、短時間で完結するゲームを求めている。

「死んで学ぶ」を繰り返すローグライクの性質上、最初の数ランは負けることが多い。その負けから何を学んで次のランに活かすか——この思考プロセスを楽しめるかどうかが、本作を楽しめるかどうかの分かれ目だ。1ランの所要時間は慣れれば30分〜1時間程度で、「もう1ランだけ」が積み重なって気づけば深夜という展開がザラにある。

Monster Train 2を楽しむための初心者向けアドバイス

最後に、これから始めるプレイヤーへのアドバイスをまとめておく。

最初の数ランは「試行錯誤の時間」と割り切る

最初のうちは負けて当然だ。どのカードがどう機能するか、どの敵がどう動くか、把握するのに数ランかかる。このフェーズを楽しんで通り抜けると、一気にゲームが面白くなる。焦ってすべてを理解しようとせず、「今回はこのクランの動きを覚えよう」くらいの気持ちで臨むのがいい。

クランの組み合わせは1〜2種類に絞って試す

最初から全クランを試そうとすると混乱する。まず1つの組み合わせを数ラン続け、そのクランの動きを掴んでから別の組み合わせに挑戦するのがおすすめだ。攻略コミュニティでは、ラザラスリーグや覚醒者が初心者にも扱いやすいと評判だ。ラザラスリーグはミックスの効果が分かりやすく、雑魚処理用のカードも優秀で安定しやすい。

AOE(全体攻撃)とスケーリングカードを両立させる

敵は高HPの前衛と低HPの後衛で構成されることが多い。全体攻撃カードで後衛を処理しつつ、強力な単体ユニットで前衛の硬い敵を倒す——この二軸を意識してデッキを組むと安定する。片方だけに偏ると、後半のステージで行き詰まりやすい。全体攻撃がないと後衛に処理が追いつかず、スケーリングカードがないとボス級の敵を倒せない。

デッキは太くしすぎない——カード削除を積極的に

初期デッキには弱いカードが混じっている。これらを放置すると、ランの後半で強いカードを引く確率が下がる。カード削除のイベントや施設を見つけたら、積極的に利用しよう。2枚同時に削除できるイベントは最優先だ。デッキの総枚数を抑えることで、キーカードが手札に来る頻度が上がり、戦術の安定性が格段に向上する。

チャンピオンのアップグレードを優先する

チャンピオンはすべてのバトルに登場する最重要ユニットだ。アップグレードのチャンスが来たら優先的に投資しよう。どのアップグレードパスを選ぶかで、ランの方向性が決まることもある。チャンピオンが強ければ、他のカードが多少弱くてもなんとかなる。逆に、チャンピオンが育っていないと高難易度ではどうにもならない。

フロアの管理を意識する

3層のフロアをどう使うかが本作の核心だ。最初のうちは「全部1階に詰め込む」という配置をしがちだが、それだと1階が突破されたときに一気に崩壊する。2階、3階にもある程度の戦力を分散させ、リスク分散を意識するのが中級者への第一歩だ。逆に、ルームカードの効果を最大化するためにあえて一つのフロアに集中する戦術もある。状況に応じた判断が必要だ。

ログブックを活用する

敵の能力、カードの効果、自分のプレイ履歴——すべてログブックで確認できる。「あの敵にどう対処したか忘れた」という場面でも、ログブックを参照すれば解決策のヒントが得られる。特に敵の能力を事前に確認しておくことで、「この波にはこのカードが必要だな」という事前準備ができるようになる。情報を制する者がローグライクを制する。

タイタン戦はスピード勝負

ランの最終ボスであるタイタンは、通常の敵とは別次元の強さを持つ。数百〜数千のHPがあり、全フロアを自由に移動してくる。ここで大事なのは「持久戦に持ち込もうとしない」こと。タイタンの火力は時間が経つほど上がるため、短期決戦を目指すべきだ。腐敗のような持続ダメージはサップ(弱体化)の影響を受けないため、タイタン戦では特に有効だという攻略情報も覚えておくといい。

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まとめ

『Monster Train 2』は、前作の完成されたシステムを受け継ぎながら、日本語対応・新クラン追加・装備/ルームカードという新要素を加えることで、さらに深みのあるタイトルに仕上がった作品だ。2026年2月にはDLC『Destiny of the Railforged』も追加され、レールフォージドクランとソウルセイバーモードでさらにコンテンツが充実した。

Metacritic90点、Steamレビュー96%好評、プレイヤー数50万人突破、同時接続ピーク18,503人——これらの数字が示す評価は、単なる「続編だから安心」という惰性ではない。タワーディフェンスとデッキ構築の融合という独自の立ち位置、12クランの組み合わせが生む無限のビルド可能性、そして「もう一ランだけ」と思わせる中毒性。これだけの要素が揃えば、高評価になるのは必然だろう。

デッキ構築ローグライクに少しでも興味がある人は、ぜひ一度試してほしい。最初の数ランで負けても、そこで諦めないでほしい。5ランくらい経験すると、突然システムが「見えてくる」瞬間が来る。カードの効果がつながり、クランのシナジーが理解でき、「このビルドならあの敵を倒せる」というイメージが浮かぶようになる。その瞬間から、本当の『Monster Train 2』が始まる。そして一度その面白さに気づいてしまったら、列車を降りるのはきっと難しい。

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