Never Grave: The Witch and The Curse — 敵に憑依して戦うローグライトメトロイドヴァニア
「帽子が主人公」というゲームに出会ったのは初めてだった。
呪われた帽子が魔女の体に宿り、ダンジョンを探索する。敵を倒したら、その体を乗っ取って能力を借りて戦う。やられたら村に戻り、集めた素材で施設を建てて次のダンジョンへ出かける。Never Grave: The Witch and The Curse(ネバーグレイブ)は、そんな変わった設定のゲームだ。
開発はFrontside 180、パブリッシャーは『Palworld』のPocketpair。2026年3月5日にPC・PS4/5・Nintendo Switch・Xbox Series X|Sで正式リリースされた。メトロイドヴァニアとローグライト、そして村の復興という3要素を組み合わせた意欲作で、価格は2,090円(Steam)。
リリース直後のピーク同時接続者数は1,945人(Steambase調べ)。「賛否両論」という評価ではあるものの、Steamレビューで70%という数字はむしろ「一定のファンにはしっかり刺さっている」ゲームと読むべきかもしれない。本記事では、このゲームが持つ独特のループ体験を掘り下げていく。
公式トレーラー
2026年3月5日正式リリース。呪われた帽子で敵に憑依するメトロイドヴァニア×ローグライトアクション。
こんな人に読んでほしい
こんな人にはハマる
- Dead CellsやHollow Knightが好きで、次の2Dアクションを探している
- 「ローグライクの繰り返し構造」と「メトロイドヴァニアの探索感」を両方楽しみたい
- 友人と最大4人でCo-opプレイがしたい
- 村づくり・農業・ポーション醸造といった生産系要素が好き
- 2,000円台で長く遊べるインディーを探している
こんな人には合わないかも
- ローグライクの「同じダンジョンを何度も走る」構造が根本的に苦手
- Hollow Knightのように深い探索とストーリーを期待している
- ランダムマッチメイキングでオンラインマルチがしたい(本作はパスワード制のみ)
- グラインドなしに先に進めるゲームを求めている

基本情報
| タイトル | Never Grave: The Witch and The Curse(ネバーグレイブ) |
|---|---|
| 開発 | Frontside 180 |
| パブリッシャー | Pocketpair Publishing |
| リリース日 | 2026年3月5日(v1.0正式リリース) |
| 対応機種 | PC(Steam)/ PS4 / PS5 / Nintendo Switch / Xbox Series X|S |
| 価格 | 2,090円(Steam、2026年4月時点) |
| ジャンル | メトロイドヴァニア / ローグライト / アクション |
| マルチプレイ | 最大4人オンラインCo-op(クロスプレイ対応) |
| 日本語対応 | テキスト日本語対応 |
| Steam同接ピーク | 1,945人(2026年3月5日) |
| Steamレビュー | 賛否両論(70%好評 / 529件、2026年4月時点) |
ゲームの中核:「帽子で憑依」という発想
本作の最大の特徴は、呪われた帽子が主人公であることだ。プレイヤーが操作するのは魔女本体ではなく、その帽子に宿った存在という設定になっている。
帽子は通常の攻撃・ジャンプ・魔法といったアクションをこなしながら、特定の敵を倒した後にその体へ「憑依」できる。たとえば「ボーンドッグ」に憑依すれば突進と噛みつき攻撃を使え、「イージスリザード」なら盾を構えた防御姿勢と広範囲の薙ぎ払いが使えるようになる。憑依した敵の体力は魔女本体とは別に管理されており、敵体が力尽きれば再び帽子の状態に戻る。
さらに敵の体を1体まで「ストック」しておける仕組みがあり、強力な敵と出会ったタイミングで持ち歩いておき、ボス戦で切り札として使う——という立ち回りが生まれる。「この敵は温存しておこう」という判断が自然に出てくるあたり、憑依システムはただの特殊能力ではなく、戦略の核になっている。
Game8のレビュー(評価78/100)では、このシステムについて「完全に独自のオリジナル要素」と評価されており、Dead Cellsや他のローグライトに影響を受けつつも、本作を差別化しているのはここだという見方が多い。
The possession gimmick is done well, parkour with the hat and movement abilities is excellent, and map/room design meshes well with the capabilities of the Witch and Possessed.
出典:Steamユーザーレビュー(DML7氏、プレイ時間53.2時間)

ダンジョン探索:廃墟・植物園・火山・学院の4タイプ
ダンジョンは廃墟・植物園・火山・学院の4種類あり、それぞれ固有の敵と環境ギミックを持つ。自動生成によってルートは毎回変わり、同じ景色でも別の敵配置・アイテム配置になる。
ただし、ここで注意が必要だ。「自動生成」とうたっているものの、ルームのバリエーションは限られており、プレイを重ねると同じ部屋を見た記憶が蘇ってくる。Steamのトップ評価レビューでも、この点は率直に指摘されている。
The game claims procedural generation, but players start seeing the exact same rooms almost immediately with same layouts, same enemy placement, same structure. After a few runs, you can recognize rooms the second you enter them.
出典:Steamユーザーレビュー(Moralio氏)
また、ボス戦への挑戦には「封印の解放」という条件が設けられており、同じダンジョンを最低2周クリアしてから3周目でボスに会える仕組みになっている。これが「本来の探索アクションとしての楽しみを薄めている」という声につながっており、動線設計上の課題として多くのプレイヤーが感じているポイントだ。
ローグライトとしての難易度曲線は急で、序盤はとくに厳しい。プレイヤーの中には「ソロのノーマルでも植物園ボスの3フォームに詰まった」という声もあった。ただし、開発チームはリリース1週間以内にプレイヤーからのフィードバックを受けて難易度調整を行っており、コミュニティへの反応の速さには好感を持つプレイヤーが多い。
The developers adjusted the game accordingly after less than a week. That kind of responsiveness means a lot.
出典:Steamユーザーレビュー(DML7氏)
メトロイドヴァニアと名乗っているが、正確には「ローグライトに探索感を加えた作品」という理解が近い。エリアの地図を持ち歩いて道を切り開く体験よりも、自動生成された道を走り続けながら力をつけていく構造が主軸になっている。Hollow Knightのような深い探索を期待するなら、その点は事前に知っておいたほうがいい。
Hollow Knight: Silksongと同様にメトロイドヴァニアの系譜を持ちながらも、Never Graveはより「ローグライトの繰り返し」に軸足を置いた設計だ。


村の復興:ダンジョンで拾った素材が、生活になる
ダンジョンで集めた素材とコインは、死んでも持ち帰ることができる。これが村の復興に使われる。廃墟となった村のがれきを片づけ、新しい施設を建設し、農地を耕して作物を育て、それをもとにポーションや料理を醸造して次の冒険に備える。
施設を増やせばスキルツリーが拡張され、HPや携帯できるポーション数が増えていく。アクセサリーの合成も村でできるようになり、戦闘面でも徐々に強くなっていく実感が得られる。村を飾るインテリアアイテムを置くと回復量が底上げされるなど、村の充実度が直接ゲームの強さに繋がっているのも面白い設計だ。
生産系のクラフトには時間がかかるが、「醸造中にダンジョンへ行って戻ったら完成していた」という非同期のサイクルが自然に成立しており、「準備して出かける」リズムが心地よい。
After completing the game, the progression and village management worked well together. It’s fundamentally a roguelite that requires grinding, but the loop kept me coming back.
出典:Steamユーザーレビュー(DEViLELA氏、プレイ時間40.3時間)
村の復興という要素は、Hadesの「逃亡と対話」に近い「拠点に帰る理由」を作り出している。ただしHadesほどストーリーとの絡みが強くはなく、村の人々との会話やキャラクター性には薄みを感じるプレイヤーもいた。Game8のレビューでは「ストーリーはビジュアルで語るのが上手いが、テキストで追うには難しい」と評されている。
「農業・醸造・村づくり」が好きな人には、この要素だけでも十分に楽しめる。Hadesのメタ進行に似た達成感が好きなら、本作のループは性に合うはずだ。


最大4人Co-op:ソロとはまったく別の体験になる
本作の大きな売りのひとつが、最大4人のオンライン協力プレイだ。「霧の鏡」という施設を村に建設することで解放され、クロスプレイにも対応している。
メトロイドヴァニアというジャンルで4人マルチは珍しく、これ自体が本作の大きな個性だ。Game*Sparkがオールスターで挑んだマルチプレイレポートでも「ソロとはまったく別の体験」と評されており、実際に4人でダンジョンを走ると憑依の役割分担が生まれ、立ち回りに幅が出る。
ただし、マルチプレイにはパスワード方式のみが採用されており、ランダムマッチングはできない。見知らぬプレイヤーと気軽に遊ぶ環境が整っておらず、「一緒に遊べる友人がいないとオンラインの恩恵を受けにくい」という指摘は的を射ている。
Multiplayer lacks matchmaking, offering only password-protected rooms without public lobbies or random player queues.
出典:Steamユーザーレビュー(Moralio氏)
フレンドと遊べる環境があれば、本作の評価はかなり変わる。Steamレビューでも「友人と4人で遊んだら最高だった」という声が複数ある。反対に、ソロ前提で考えているなら「マルチは後からついてくるもの」と割り切ったほうが良い。
4人でわちゃわちゃ遊べるローグライト系のゲームとして、Deep Rock GalacticやSlay the Spire 2の協力モードとも方向性が近い。


ビジュアルと音楽:2Dアニメーション風の美麗グラフィック
視覚面での評価は概ねポジティブだ。日本のリミテッドアニメーションの手法を用いた2Dキャラクターと、奥行きのある塗り込んだ背景の組み合わせが独特のスケール感を生み出している。「魔法少女的なかわいさ」と「ゴシックな暗さ」が共存したビジュアルは、Hollow Knightと近い雰囲気を持ちながら、より色彩豊かで日本的なタッチになっている。
videochums.comのレビュー(スコア8.4/10)では「gorgeous visuals with excellent animation and atmospheric soundtrack」と評価されている。Game8の評価でもビジュアルは8/10を獲得しており、2,090円という価格帯の作品としてはかなりクオリティが高い。
音楽は雰囲気に合った作りではあるものの、「記憶に残るほどではない」という評価も見受けられる。ボイスなしのため、キャラクターへの感情移入の深さはテキストとビジュアルに依存している。
The game looks absolutely stunning with a gorgeous 2D hand-drawn art style that feels like a blend of cute magical-girl tropes with dark undertones.
出典:英語圏ゲームレビューサイト評価まとめ
Nintendo Switchでもリリースされており、携帯モードでプレイしても画面の情報量が破綻しないデザインになっているのも好感が持てる点だ。

「賛否両論」の実態:何が好評で、何が批判されているのか
Steamレビュー約529件で70%好評という数字は、インディーゲームとして決して悪い数字ではない。ただし「賛否両論(Mixed)」に分類されているのにはわけがある。好きな人はとことんはまり、合わない人には根本的に合わない——という典型的な構造だ。
好評な点:憑依の爽快感とループのバランス
「憑依して戦う」という感覚そのものは多くのプレイヤーに支持されている。敵に乗り移るたびに操作感が変わり、「この敵を使いこなしたい」という動機が自然に生まれる。村に帰るたびに少しずつ強くなり、次のダンジョンで新しい部屋に到達できる——この小さな達成感のサイクルが中毒性を生んでいる。
53時間プレイしたSteamユーザーのDML7氏は「engaging combat combined with relaxing base management」と表現しており、戦闘の緊張と村作りのリラックスが交互に来るリズムを気に入っていた。
批判の中心:ダンジョンの繰り返し感とボスまでの道のり
最も多くのネガティブレビューが指摘するのは「部屋のバリエーション不足」と「ボス戦への前置きが長い」という2点だ。自動生成をうたいながらも、数時間プレイすれば同じ部屋を見慣れてしまう。さらにボスに挑戦するには同ダンジョンを複数回クリアする必要があり、「挑戦するたびに新鮮さが失われる」という体験になってしまう。
Steamレビューで低評価をつけたThianna氏(2.4時間)は「level layout is repetitive extremely fast」「building mechanics feel really tedious」とまとめており、ローグライトのグラインドに耐性がない人にはやや厳しい作りと言える。
「多要素ゲームの薄さ問題」も指摘されている。ローグライト、メトロイドヴァニア、村づくりのどれかひとつを強く求めているプレイヤーには物足りなさを感じることがある。3つを緩くつまめる「よくばりセット」として楽しめるかどうかが、評価を分ける最大のポイントだ。
If you strongly seek just one of the game’s elements—exploration, combat, or village building—you may be disappointed. This game is for those wanting to try a new mixed-genre experience.
出典:日本語ゲームメディアレビュー(概要)
憑依時の操作感という技術的な課題
憑依した敵体の操作感が「stiff(固くなる)」という指摘もある。videochums.comでは「controls become stiff when possessing defeated enemies」と書かれており、通常の魔女操作と比べてレスポンスの感触が変わることが気になるプレイヤーもいるようだ。全体の操作性は良好との意見が多い中、この点はゲームの中核システムだけに今後のアップデートに期待したい部分だ。

Pocketpair発信:Palworldとの違いと共通点
本作のパブリッシャーはPocketpair。大ヒット作『Palworld(パルワールド)』の開発元であり、そのパブリッシング部門が本作を世に出している。Palworld自体の開発はPocketpair社内だが、Never GraveはFrontside 180という別スタジオが作っており、Pocketpairが資金・流通を担う形だ。
Palworldがオープンワールドのサバイバルクラフトで、本作が2Dローグライトメトロイドヴァニアという違いはあるものの、「クラフト・拠点づくり・マルチプレイ」という要素の共通点は偶然ではないように見える。Palworldを通じてPocketpairの名前を知ったプレイヤーが本作に興味を持つルートが生まれているのは、発売直後のSteam同接や話題量からも見て取れる。
Palworldに熱中したが一段落した今、別のジャンルで新鮮な体験を求めているなら本作は選択肢のひとつになりうる。

価格とボリューム感:2,090円で何時間遊べるのか
Game8のレビューではValue(コスパ)を9/10と評価しており、「$16.99(約2,090円)という価格帯でこれだけ遊べる」という点は広く認められている。
ゲームを一周クリアするだけなら10〜15時間程度で到達できる。ただしローグライト的な「全達成」「高難易度攻略」「友人とのCo-op周回」まで考えると、40〜50時間以上のプレイ時間が生まれる。Steamレビューで40〜53時間をプレイしたユーザーが「楽しんだ」と書いているのは、この繰り返し構造に乗れた人の感触だ。
Village Survivors系のローグライトに慣れていて、「死んでも少しずつ強くなれる」構造を肯定できるなら、このコスパ評価は正当だと思う。
ローグライトの繰り返しに耐性があるかどうか——これが本作を楽しめるかの分水嶺になる。ただし、Vampire Survivorsのような手軽なローグライトと比べると、攻略に必要な思考量と時間投資はかなり重め。覚悟して臨むゲームだ。


まとめ:「憑依」と「村づくり」の掛け算が好きな人へ
Never Grave: The Witch and The Curseは、完成度の高い傑作というより、「好きな人にはとことんはまる」ニッチに刺さるゲームだ。
憑依システムのアイデアは本当に面白い。帽子が主人公というキャラクター設定も、2Dアニメ調の美麗なビジュアルも、友人と4人で走るダンジョンの賑やかさも、どれも他のメトロイドヴァニアにはない要素を持っている。村に帰るたびに少しずつ強くなっていく実感も、ローグライトの醍醐味を丁寧に実装している。
一方で「ダンジョンのマンネリ化」「ボスまでの前置きの長さ」「ランダムマッチング非対応」といった課題は、現時点では正直に感じる部分だ。開発チームがリリース直後から素早く調整を加えてきたことを考えると、今後のアップデートでこれらが改善されていく可能性は十分にある。
2,090円で、憑依アクション・村復興・最大4人Co-opを試してみたいなら、十分に買う価値がある。Dead CellsやHadesが好きで、次の沼を探しているなら、ぜひ一度足を踏み入れてほしいゲームだ。
こんな人に特におすすめ
- Dead Cells / Hollow Knight 系のアクションを次に求めている人
- Hadesのメタ進行ループが好きで、村づくり要素も楽しみたい人
- フレンドと4人で協力プレイできるローグライトを探している人
- 2,000円台でガッツリ遊べるインディーを探している人

