Mewgenics — 猫を交配させてターン制タクティクスで戦うローグライク

Mewgenics — 猫を交配させてターン制タクティクスで戦うローグライク

「猫を繁殖させながら戦う」と聞いて、どんなゲームを想像するだろうか。かわいい猫ゲームかと思って購入したプレイヤーが、気づけば猫の遺伝子管理表を手書きで作り始めていた——Mewgenicsはそういうゲームだ。

2026年2月10日にSteamでリリースされたこの作品は、発売から6時間で15万本、わずか1週間で100万本を突破した。Steamの最大同時接続は11万5,000人を超え、ローグライクジャンルとしてHades IIの記録を塗り替えた。Metacriticスコアは89、OpenCriticでは94%の批評家が推薦している。

開発したのはEdmund McMillenと Tyler Glaiel のふたり。McMillenといえばThe Binding of Isaacの生みの親だ。Isaacが「ローグライクの練習」だったと本人が語っているように、Mewgenicsはそこから約15年かけて研ぎ澄まされた集大成と言える。プレイヤー同士の間では早くも「今年のゲームオブザイヤー候補」という声が飛び交っている。

記事では、ゲームの仕組みを一通りつかんだ段階で感じた「この深さはどこから来るのか」という疑問を軸に、繁殖システム・戦闘の面白さ・そして正直なところの欠点まで掘り下げていく。

本記事は2026年4月時点の情報をもとにしています。日本語未対応ですが、公式が日本語ローカライズを進めており、2026年内に対応予定とアナウンスされています。

公式PV

Edmund McMillen × Tyler Glaiel が贈るターン制猫戦術ローグライク

目次

どんな人に向いているか

Mewgenics ターン制バトルのスクリーンショット

まず正直に言う。Mewgenicsは「猫がかわいいから」という理由で買うと、序盤で面食らうかもしれない。仕組みが多く、説明が少なく、最初の数時間は何をすればいいのかわかりにくい。それでも次の条件に当てはまるなら、確実にハマる。

  • ターン制タクティクスが好きで、ビルドを練り込む時間が苦にならない
  • Into the Breach や Slay the Spireのような「少人数×深い戦略」に惹かれる
  • The Binding of Isaacをやり込んだことがある
  • ポケモンの育成・厳選に熱中した経験がある
  • 英語がある程度読める(現時点では日本語未対応)

逆に、アクション要素が好き、即座にカタルシスを求める、グロ・ブラックユーモアが苦手、という人には合わないかもしれない。それはゲームの問題ではなく、明確にこの作品の個性だ。

ゲームの基本情報

Mewgenics 戦闘システムの様子

タイトル Mewgenics
開発・販売 Edmund McMillen & Tyler Glaiel
リリース日 2026年2月10日
ジャンル ターン制タクティクス / ローグライク / 育成シミュレーション
価格 $29.99(約4,500円)
対応言語 英語のみ(日本語化は開発中)
Steam評価 非常に好評(91%以上)
クリア時間 200時間以上(100%達成は500時間以上)

ゲームの流れ:「家」と「冒険」を行き来する構造

Mewgenics 猫の繁殖と遺伝子操作

Mewgenicsは大きく分けて2つのフェーズで動く。

ひとつは「家(House)」のフェーズ。ここでは猫を管理し、エサをやり、部屋の環境を整え、繁殖を促す。猫同士が同じ部屋にいると自然と子猫が生まれる。このあたりはペット育成シミュレーションに近い感覚だ。

もうひとつは「冒険(Adventure)」のフェーズ。手持ちの猫から最大4匹を選び、Slay the SpireやFTLに似たローグライクマップに出発する。マップには戦闘・イベント・ショップ・ボスが分岐しながら並んでいて、1ランを完走するまで選択の連続になる。

戦闘はターン制。猫それぞれがFighter・Tank・Mage・Archer・Rogue・Necromancer などのクラスに対応したカラー(首輪)を装備しており、そのクラスが持つスキルセットを使って敵と戦う。クラスごとに75種類のアビリティがあり、ゲーム全体では1,000以上のアビリティが存在する。

ここで重要なのが、「猫の種族はステータスに影響しない」という点だ。見た目がどんな猫でも、装備するカラーがクラスを決定する。つまり見た目のかわいさと戦闘力は完全に切り離されている。愛着のある猫を強くするか、強い遺伝子を持つ猫を育てるか——その選択が繰り返されることになる。

ターン制タクティクスとしての完成度を示すのが、環境オブジェクトとのインタラクションだ。フィールドに配置された樽・爆発物・地形を組み合わせることで、通常のアビリティとは別の戦略が生まれる。「このスキルとあのアイテムを組み合わせたら……」という発見が数百時間続く。

100時間以上やり込んでいるが、それでも毎ランで新しい発見がある。これほどコンテンツが詰め込まれたゲームは久しぶり。

出典:Steamユーザーレビュー

Into the Breachが「限られた選択肢で最適解を探す」系のパズル的タクティクスだとすれば、Mewgenicsは「無数のビルドから自分のスタイルを見つける」系の構成寄りだ。

同じローグライクのカード系が好きなら、カードビルドの気持ちよさはSlay the Spire 2でも味わえる。


あわせて読みたい
「Slay the Spire 2」Co-op対応で進化したデッキ構築ローグライク 7年待った続編は、想像以上だった 「スレスパってなんでこんなに面白いんだろう」と思いながら気づいたら深夜2時になっていた経験、みんな一度はあるんじゃないかと思う...

繁殖システム:猫の「厳選」が戦略の核心になる

Mewgenics 猫チームの編成画面

Mewgenicsを語るうえで避けて通れないのが繁殖(Breeding)システムだ。これが単なる育成ゲームのフレーバーではなく、ゲームの中心的なメカニクスになっている。

猫にはHP・攻撃力・素早さ・運など複数のステータスがある。子猫はそれぞれのステータスをどちらかの親から引き継ぐ。ここにStimulaion(刺激)という部屋のパラメータが絡む。Stimulationが高いほど、子猫が「より高い値の方のステータスを継承する」確率が上がる仕組みだ。

アビリティの継承も重要だ。親が持つパッシブアビリティは子に受け継がれることがある。特に「Skill Share+」というパッシブを持つ親がいると、もう一方のパッシブが確実に子猫に伝わる。これを理解した瞬間、「次世代の猫を設計する」という感覚に変わる。

近親交配(Inbreeding)の概念もある。血縁が近い猫同士を交配させると、近交係数(0〜1)が上昇し、能力値にペナルティが生じる。多様な血統を維持することが長期戦略の鍵になる。

ポケモンの厳選に1,000時間使ってきた自分でも、このシステムの深さには驚いた。特定のアビリティを受け継がせるために繁殖系譜を管理するのが完全に「育成ゲーム」だった。

出典:Steamユーザーレビュー

McMillenは発売前のAMAで「平均的なプレイヤーがゲームを『クリア』するには200時間以上、100%達成には500時間以上かかる」と述べている。(出典:PC Gamer / Steam AMA) これは大げさではなく、繁殖によって生まれる組み合わせの幅を考えると納得がいく。

The Binding of Isaacとどう違うか

McMillenの代表作であるThe Binding of Isaacを知っているプレイヤーなら、Mewgenicsがどんな作品か気になるところだろう。両者は「ローグライク」「McMillenらしいブラックユーモア」「膨大なコンテンツ量」という共通点を持ちつつ、プレイ感覚はかなり異なる。

Isaacはリアルタイムアクション。弾幕を避けながら即座に判断する反射神経が問われる。一方Mewgenicsは完全ターン制で、じっくり考える時間が与えられる。アクションが苦手だったがIssacの世界観は好きだったプレイヤーには、むしろMewgenicsの方が入りやすい構造かもしれない。

コンテンツの奥行きという点でも差がある。Isaacは多数のアイテムを1キャラクターに重ねがけするが、最終的な変化のバリエーションには限界がある。Mewgenicsでは4匹の猫それぞれが独自のビルドを持ち、さらに繁殖で遺伝子レベルから設計できるため、「ゲームを歪める」ほどのシナジーが生まれる余地が格段に大きい。

GamesRadarのレビューは「The Binding of Isaacが Into the Breachと衝突したような作品」と表現している。(出典:GamesRadar)

Isaacに比べて「グロさが薄まった」という指摘もある。まったくないわけではないが、よりゲームプレイの面白さを前面に出した構成になっている。

Isaacをやり込んだ人なら、同じ方向性のローグライクとしてHades IIも近い体験が得られる。


あわせて読みたい
「Hades II」Metacritic最高得点のギリシャ神話ローグライクアクション Steam史上最高クラスの評価。Metacritic 2025年最高得点。同時接続プレイヤー11万人超え。 Supergiant Gamesが送り出す、ギリシャ神話ローグライクアクションの続編『Ha...

プレイヤーが語る「刺さった」ポイント

Mewgenics クラス・アビリティ選択画面

Steamのレビュー欄を読んでいると、ポジティブな反応の中でも特定のパターンが浮かぶ。「気づいたら何時間も経っていた」という類の体験談が多い。

130時間やっても、まだすべてを見尽くした気がしない。毎回ランが終わるたびに「次は別のクラス構成でやってみよう」と思えるのがすごい。

出典:PC Gamerレビュー担当者(130時間プレイ時点)

250時間以上プレイしたレビュアーが「それでもコンテンツの半分も見ていないと思う」と述べているのも珍しくない。900以上のアイテムと1,000以上のアビリティがあるため、毎ランで体験が変わる。

ターン制タクティクスとして非常によくできている。環境との相互作用が特に面白くて、「この敵をあの樽の隣に引き込めたら……」という発想が自然と湧いてくる。

出典:Steamユーザーレビュー

Rogueliker.comが1週間の販売データを分析したところ、発売3時間で開発コストを回収、12時間未満で25万本、36時間で50万本というペースだったとしている。(出典:Rogueliker.com) これだけの速度でファンが集まった背景には、「McMillenの新作」というブランドへの期待と、実際にプレイしたユーザーが口コミで広げた流れの両方があると思われる。

気になる点・欠点も正直に

Mewgenics 探索マップと環境

圧倒的な高評価の一方で、ネガティブなレビューが指摘するポイントも一定数ある。プレイした感覚も踏まえて正直に書く。

チュートリアルが少なく、序盤の敷居が高い

ゲーム内の説明は最小限だ。クラスの特性、アビリティの効果、繁殖の仕組み——どれも自力で発見するか、Wikiや攻略サイトを参照する必要がある。「最初の10時間は何をやっているかわからなかった」という声は多い。Steamコミュニティのガイドが充実してきているので、序盤はそこを積極的に使うことをおすすめする。

UIの操作感に粗さがある

カーソル操作がやや癖があり、ワイドスクリーン対応・ボーダーレスウィンドウ設定など「2026年のゲームに当たり前にある機能」が一部欠けているという指摘もある。2倍速モードの不在も長時間プレイ時の不満点として挙げられていた。パッチでの改善が続いているが、現時点では快適さよりゲームプレイ優先の設計だと思った方がいい。

日本語未対応(2026年内に対応予定)

アビリティ・イベント・NPCのテキスト量がかなり多く、英語が苦手だと内容を把握しにくい場面がある。公式は日本語化を進めており、2026年内の対応が見込まれている。(出典:Game*Spark / doope.jp) 日本語を待ちたいなら、その時点での購入でも問題ない。

RNGへの依存度が高い序盤

「戦略ゲームと言いながらランダム要素が強すぎる」という批判も一定数ある。特に最初のうちはアビリティへの理解が浅いため、「うまくいった理由がわからない」「負けた理由がわからない」という状態になりやすい。理解が深まるにつれて「ランダム性をどう制御するか」という視点に変わるので、これは慣れの問題でもある。

序盤の20〜30時間は繁殖の仕組みが腑に落ちなくて苦しかったが、理解が追いついた瞬間に一気に面白くなった。

出典:Steamユーザーレビュー

The Escapist誌のレビューは「とんでもなく馬鹿げている(absurdly ridiculous)」と評しながら、そのユーモアのセンスは人を選ぶと指摘している。(出典:The Escapist Magazine) McMillen流のブラックユーモアに免疫があるかどうかが、体験の質に直結する部分だ。

繁殖と戦略の相乗効果:なぜこれほどやめられないのか

Mewgenics アビリティとアイテム一覧

100時間を超えてもプレイヤーが離れない理由は、繁殖と戦略が「互いを深める構造」になっているからだと感じる。

戦闘で「こういうアビリティの組み合わせが強い」と気づく→繁殖でその組み合わせを持つ猫を作れないか考える→何世代か交配を繰り返して理想の猫が生まれる→その猫を使った戦術が機能する→さらに別の組み合わせが見えてくる——この循環が止まらない。

ターン制タクティクスとしての判断力と、遺伝子管理シミュレーターとしての長期計画が、別々のゲームとして存在するのではなく互いに噛み合っている。これがMewgenicsの中毒性の正体だと思う。

DLCについては、McMillenとGlaielが「プレイヤーがゲームの何を好きかをしっかり理解してから作る」として、数ヶ月の分析期間を設けると述べている。(出典:PC Gamer) 今後の拡張も期待できる状況だ。

ダンジョン探索型のローグライクが好きで、似た雰囲気を求めるなら、Darkest Dungeonに近い体験も参考になる。

ターン制の戦略性を重視したゲームとしては、同じくインディーの名作として扱われているPath of Exileシリーズも複雑なビルド管理という点で共通する。


あわせて読みたい
「Path of Exile 2」EA段階でARPG最大級ローンチを記録した次世代ハクスラ ハクスラというジャンルに、10年に一度のゲームが来た。 2024年12月6日、Path of Exile 2(パス・オブ・エグザイル2)が早期アクセスを開始した瞬間、Steamの同時接続が...

まとめ:学習コストを超えた先に広がる世界

Mewgenics タイトル画面・ロゴ

Mewgenicsは確かに序盤が難しい。UIが洗練されているとは言えないし、日本語にも対応していない。チュートリアルは少なく、すべてを自分で発見する必要がある。

それでも、仕組みを理解し始めた瞬間から景色が変わる。猫をただの「ユニット」として扱うのではなく、血統・遺伝子・アビリティを持つ個体として向き合うようになる。戦闘での一手が次の繁殖計画につながり、繁殖の成果が戦闘を変える。この連鎖が数百時間続く。

$29.99というPrice point(約4,500円)で500時間以上のコンテンツが待っているゲームは、そう多くない。ターン制タクティクスとローグライクが好きで、英語が読めるなら、今すぐ手を出す価値がある。日本語を待つにしても、対応後に改めて購入すれば損はしない。

McMillenが「これが自分のベストワーク」と断言しているのは、発売6時間で15万本という数字を見た後の言葉だ。(出典:PC Gamer) そしてプレイすればわかる——この自信には根拠がある。

こんな人に特におすすめ
ターン制タクティクスが好きで、長期間やり込めるローグライクを探している人。The Binding of Isaacをやり込んだ経験がある人。英語に抵抗がなく、UIの粗さより戦略的な深さを優先できる人。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次