「Resident Evil 3」ネメシスの恐怖と疾走するアクションホラー

2020年4月3日。ネメシスが初めてジルに向かって「S.T.A.R.S.!!!!」と叫んだあの瞬間、画面に向かって「うわっ」と声が出た。ゾンビに囲まれながら逃げる、ただそれだけのシーンのはずなのに、なぜかホラー映画の一番怖い場面を直撃された感覚がした。あれから5年以上が経った今も、ネメシスが追いかけてくる廊下のあの画は鮮明に思い出せる。ゲームをやめた後も、しばらく頭の中でS.T.A.R.S.の叫びがこだましていた。

バイオハザード RE:3』は、1999年発売のオリジナル『バイオハザード3 LAST ESCAPE』をカプコンが現代の技術で完全に作り直したリメイク作品だ。RE ENGINEを用いたフォトリアルなグラフィック、肩越しの第三者視点、そして新しく加わった回避アクション——2020年4月3日のPC(Steam)版リリース当初から、「ネメシスが怖い」という評判が世界中のゲームコミュニティを駆け巡った。Steamでの累計レビューは3万5,000件超、うち約79%が好評という評価を受けている。同年発売のRE:2(96%好評)と比較すると低く見えるが、それはRE:2の完成度が異常だったからであって、RE:3単体として見れば十分に高い評価だ。特に「ネメシス」の恐怖と、主人公ジル・バレンタインのアクション的な爽快感は、ホラーゲームの中でもかなり独特の体験になっている。

ラクーン市崩壊の前夜から始まり、街全体が舞台のパニックホラー。閉鎖空間を丁寧に探索するRE:2とは真逆の、逃げて戦って進む疾走感がこのゲームの核だ。ただし「RE:2と比べてボリュームが少ない」という正直な批判もある。それも含めて、このゲームが5年経っても語られる理由をきちんと書いていく。プレイを迷っている人にとって判断材料になるような記事にしたい。

目次

ラクーン市崩壊の48時間——逃げながら戦う疾走感

バイオRE:3の舞台は「ラクーン市」全体だ。RE:2が警察署という閉鎖空間を丁寧に探索するタイプだったのに対して、RE:3はラクーン市の路地、地下鉄、病院、下水処理場と、様々な場所を走り回る構造になっている。RE:2の「迷宮を解いていく」感覚ではなく、「崩れていく街を生き延びながら脱出する」感覚が強い。コンパクトな空間での緊張感ではなく、崩壊する街というスケール感が、RE:3独自のフィールドを作っている。

物語はバイオ2の少し前から始まる。S.T.A.R.S.の一員だったジル・バレンタインは、アンブレラ社に命を狙われながらラクーン市の自宅アパートで身を潜めていた。9月28日の深夜、アパートのドアを破って現れたのがネメシスT型だった。それ以降のゲームはひたすら追われながら進む構造だ。物語は約48時間のタイムスパンで展開され、終盤ではRE:2のレオンたちとすれ違う場面もある。「あのとき警察署で戦っていたのと同じ夜に、ジルはここにいたのか」という体験が、バイオシリーズの世界観への没入感を深める。

ゲームプレイの特徴として特に目立つのが「回避アクション」の存在だ。Lシフト(PCデフォルト)で右に、Rシフトで左に緊急回避できる。ゾンビの攻撃を寸前でかわすと「パーフェクト回避」が発動し、スローモーション演出でカウンターのチャンスが生まれる。これがRE:2と決定的に違う点で、「受け身でやり過ごすホラー」から「反撃できるアクションホラー」へとゲーム性がシフトしている。最初は慣れるまで時間がかかるが、回避のタイミングをつかむと「かわして反撃する」という気持ちいい流れが生まれる。ゾンビへの恐怖が「対処できる相手」に変わる瞬間がある。

ジルが使える武器も豊富だ。序盤のハンドガン「G19」から始まり、ショットガン、マグナム、グレネードランチャー、後半にはレールガンまで登場する。RE:2では弾薬を節約しながら慎重に進む設計だったのに対して、RE:3はある程度の攻撃的なプレイが前提になっている。同じバイオシリーズでも、方向性は大きく違う。「弾を節約して怖い思いをするゲーム」ではなく、「武器を使って怖い相手に立ち向かうゲーム」という印象が近い。

ゲームの構成として「序盤はオープン、後半は線形」という流れがある。ダウンタウンエリアは複数のルートがあり、探索の自由度が比較的高い。しかし病院以降は比較的一本道の進行になる。この構成変化を「後半が駆け足になった」と見るか「テンポよく物語が進んだ」と見るかで評価が分かれる。個人的には、後半の展開速度がネメシスとの最終決戦への高揚感を生んでいると感じた。

「チェックポイント」の設計もRE:2から改善されている。RE:2では手動セーブのタイプライターとインクリボンが基本だったが、RE:3では自動セーブが充実しており、ゲームオーバーしてもそれほど前に戻されない。この設計はRE:2の「セーブ資源をどう使うか」という緊張感を薄めてはいるが、その代わりに「ネメシスに倒されたから進めない」というフラストレーションを減らしている。アクション寄りの設計とセーブシステムのバランスが一致している。

RE:2が「怖くて進めない」だとしたら、RE:3は「怖いけど前に進める」って感じ。回避アクションがあるだけで全然違う。

引用元:Steamレビュー

こうした疾走感と爽快感の原点をたどれば、ホラーゲームの系譜が見えてくる。アクション要素が強めのサバイバルホラーという点では、

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のような戦術的対処を求めるゲームとは別の方向性で、RE:3はあくまでも「一人の人間が超常的な存在から逃げ続けながら戦う」という体験の純度が高い。

ジル・バレンタインという主人公——S.T.A.R.S.の生き残りが戦う理由

バイオRE:3を語るうえでジル・バレンタインというキャラクターを外すことはできない。彼女はバイオハザードシリーズの中でも特に長いキャリアを持つキャラクターの一人だ。オリジナルの『バイオハザード』(1996年)ではS.T.A.R.S.アルファ小隊の隊員として登場し、スペンサー邸での脱出を成功させた。RE:3では、あの事件から生き延びたジルが、アンブレラに命を狙われながらラクーン市で生き延びようとする姿を追う。

RE:3のジルはオリジナル版の「蝶のついたチューブトップ」という衣装から、黒のタンクトップとジーンズというより現代的なスタイルに変更されている。この変更は発売前から話題になっていたが、実際にプレイすると「このほうが戦うジルらしい」という感想を持つプレイヤーが多い。ゾンビに囲まれて銃を構えるジルの姿が、現代的なリアリティを帯びた。衣装の変更については賛否があったが、「ゲームの体験としてのジル」を考えると、現在の衣装のほうが「生存者としてのジル」を体現しているように思う。

ジルの性格はRE:2のレオンやクレアよりも「経験者」としての落ち着きがある。訓練を受けた特殊部隊員として、パニック状態でも冷静に状況を分析しようとする姿勢が台詞や行動から伝わってくる。ただしネメシスに追われているときの恐怖と焦りは人間的で、「強いキャラクターが怖い思いをしている」という感情移入のしやすさが絶妙だ。「普通の人間が頑張る姿」ではなく「訓練された人間でさえ追い詰められる怖さ」が、ジルというキャラクターを通して表現されている。

物語の後半では、ネメシスに感染して意識を失ってしまうシーンがある。目覚めたとき、彼女は自分が何をしていたかわからない。病院のベッドで目覚め、カルロスから「意識がなかった」と告げられる。この「体を乗っ取られる恐怖」は、アクション的なネメシスとの戦いとは別の次元の怖さをゲームに持ち込んでいる。バイオシリーズで繰り返し描かれてきた「ウイルスへの感染」というテーマが、今回は主人公自身の体に起きる。病院のシーンでジルが目覚める演出は、シリーズの中でも印象的な場面のひとつだ。

パートナーのカルロス・オリベイラも印象的なキャラクターだ。アンブレラのバイオテロ対策部隊(UBCS)の傭兵として登場する彼は、最初はアンブレラ側の人間だが、真実を知ることで立場が変わっていく。ラテン系のルックスと軽口、しかし実際の行動は誠実という、ジルとは対照的な人物像が物語に温度を加えている。ゲーム中盤ではカルロスを操作する場面もあり、病院内での探索がプレイアブルになる。最初は傭兵として登場しながら、物語が進むにつれて「この人は信頼できる」と思える変化が自然に描かれている。

また物語の中でミハイル・ヴィクトール(ウクライナ出身のUBCS隊長)とニコライ・ジノビエフ(元ソ連特殊部隊のUBCS教官)という二人のキャラクターも登場する。ミハイルは重傷を負いながらも戦い続け、ニコライはその裏で別の意図を持って動いている。この二人の対比が、物語の中盤に緊張感を加える。特にニコライというキャラクターは「何を考えているのかわからない」怖さがあり、ネメシスとは別の種類の脅威として機能している。

ジルの芯の強さと人間的な脆さのバランスが絶妙。こんな逆境でも笑いを忘れないカルロスとのやりとりが好きだった。

引用元:Steamレビュー

ネメシスという追跡者——「どこにでも来る」恐怖の設計

RE:3の代名詞と言えばネメシスだ。「S.T.A.R.S.!!!!!!」という台詞とともに猛スピードで追いかけてくるこの生物兵器は、RE:2のMr.Xとはまったく別の恐怖の設計になっている。

Mr.Xは「ゆっくり、でも確実に」近づいてくる圧迫感が主体だった。一方ネメシスは走る。しかもテンタクルと呼ばれる触手でジルを縛り付け、遠距離からフレームスローワー(火炎放射器)を撃ち、ロケットランチャーまで使ってくる。RE:2でMr.Xが怖かったのは「逃げ場のない空間での追いかけっこ」だが、ネメシスが怖いのは「奴が何をしてくるかわからない」という未知性だ。初見では「次に何を使ってくるのか」という緊張感が常にある。

ネメシスとの戦いは「逃げる」か「戦う」かを選べる場面が多い。逃げ切ることも可能だが、戦って倒せばアイテムをドロップする。このリスク&リターンの設計が、ネメシスとの関係を「ただ逃げるだけ」ではなくしている。特にゲーム中盤でネメシスを倒すと、カスタムパーツの素材となるアイテムが手に入る。武器を強化したければ、あの化け物と向き合う必要がある。「倒したほうが得」とわかっていても、それでも怖くて逃げてしまう——そのジレンマがネメシスの設計の上手さだ。

ネメシスが序盤に地下鉄のホームを追いかけてくる場面は、このゲームの「掴み」として出来が良い。暗い地下鉄に響く足音と「S.T.A.R.S.」の叫び声、圧縮された逃走ルート、そして突然飛んでくるテンタクル——これを初見でプレイしたときのパニックは、他のホラーゲームでなかなか味わえない密度だ。ここで「これは普通のホラーゲームじゃない」と体で理解する。

進化するという設定も怖さに一役買っている。第1形態では二足歩行でコートを纏った姿だが、物語が進むにつれて形が変わっていく。人型の知性的な見た目から、より生物兵器らしい姿へと変貌していく過程が、「アンブレラが何を作ったのか」という恐怖の実体化になっている。第3形態に至っては完全に人型を失い、本当の意味での「生物兵器」の姿を見せる。その変貌の過程が、ネメシスという存在の怖さを重層的にしている。

ネメシスは「学習する」という設定がある。ジルが取った行動のパターンを学習し、対策を変えてくる——というのがゲーム内での設定だ。実際のゲームプレイでも「前回と違う動きをしてきた」と感じる場面があり、それが「油断できない」感覚を維持させる。同じ戦法が通じないという不確実性が、ネメシスとの戦いをパターン解析ではなく「その場の判断力」の勝負にしている。

ネメシスが走ってくるの、初見では本当に心臓が止まるかと思った。Mr.Xはゆっくりだから心の準備ができるけど、ネメシスは容赦ない。

引用元:Steamレビュー

こうした「執拗な追跡者」という恐怖の文脈で言えば、

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のOutlastも似た体験を提供している。ただしあちらは武器を持たない完全な逃走型ゲームで、RE:3のように反撃の選択肢がある点が大きく異なる。恐怖の質が「脆弱さ」か「対峙」かという方向で別れる。どちらが好みかはプレイヤーによって分かれるところだが、「ネメシスに対抗する手段がある」という設計が、RE:3のアクション的な爽快感を生んでいる。

RE Engineが生んだラクーン市——崩壊の美学

バイオRE:3の映像クオリティはRE:2に続いてRE ENGINEを使用しており、フォトリアルな表現は当時のゲームの中でもトップクラスの水準だ。特にラクーン市の「街」としての表現が際立っている。

序盤で歩き回れるダウンタウンエリアは、ゾンビが徘徊するアメリカの地方都市という設定で作られている。ガスが漏れて炎上するガソリンスタンド、店の窓ガラスが割れて商品が散乱したコンビニ、倒れた消防車の横で横たわる消防士の遺体——「48時間で街が崩壊した」という状況が、細かい造形の積み重ねで伝わってくる。人の気配がまだ残っているのに、もう人がいない。その「直前感」がREエンジンのリアルな表現で説得力を持つ。

特に夜の街の表現が秀逸だ。オレンジ色の炎が暗い路地を不規則に照らし、ガス爆発の炎が背景で燃え続ける。ネオンサインが一部壊れながらも点滅しており、普段なら賑やかなはずの繁華街が静かな地獄絵図になっている。このコントラストがスクリーンショット映えも良く、プレイ当時から「ラクーン市のスクショが綺麗すぎる」という声がSNSで多数あった。崩壊の美しさとでも呼ぶべき、独特のビジュアルがある。

地下鉄ステーションの設計も印象的だ。バイオRE:3では途中で地下鉄を修復して走らせるというタスクがある。廃駅の暗い構内を修復部品を求めて走り回り、最終的に地下鉄が動くまでのプロセスが、この作品における「謎解き」の主な形式だ。RE:2の「鍵を集めてドアを開ける」ではなく「機能不全に陥ったシステムを修復する」という形式が、よりドラマティックな達成感を生む。地下鉄が動いたときの「やった!」感は、このゲームの中でも特に印象に残る場面だ。

中盤の舞台となる「ラクーン市立病院」は、このゲームで最も丁寧に作られたロケーションだ。カルロスパートで病院内を探索する際、薬品実験の痕跡、スタッフルームに残された日記、患者のカルテ——こうした細かい「語られていない物語」がそこかしこにある。病院の雰囲気はRE:2の警察署に近い閉鎖的な恐怖があり、カルロスパートを「RE:3の中でのベストパート」と評する声が多いのはうなずける。廊下の暗さ、使われなくなった手術室の金属音、感染した患者が歩き回る病棟——このパートだけで独立したホラーゲームとして成立する密度がある。

音響設計はRE:2と同水準の完成度だ。ゾンビの呻き声、ネメシスの怒鳴り声、燃える街の轟音、地下鉄のレールを走る音——ヘッドホンでプレイすると空間的な音の広がりが感じられ、「ゲームの世界の中にいる感覚」が強まる。BGMは控えめで、音楽よりも環境音が前面に出る設計は、RE:2から引き継いだ正解のアプローチだ。距離と方向を音で把握することが、このゲームの生存戦略の一部になっている。

ラクーン市のダウンタウンをうろついていると、本当にゾンビアポカリプスのど真ん中にいる感覚になる。街の作り込みがすごい。

引用元:Steamレビュー

バイオRE:3の「正直な欠点」——RE:2と比べて何が足りなかったのか

79%という評価はバイオシリーズの中では相対的に低い。その理由を正直に書く。「悪いゲームではないけど、RE:2が良すぎた」というのが率直なまとめだが、もう少し具体的に見ていく。

最も多い批判は「ボリュームの少なさ」だ。メインストーリーをノーマル難易度でクリアすると6〜8時間で終わる。RE:2の8〜12時間(2キャラクター分)と比べると、明らかに短い。探索できる場所の数も少なく、特に「ダウンタウンのオープンな感じで始まったのに、後半は線形に絞られる」という構造上の変化を不満に感じるプレイヤーが多い。発売価格との兼ね合いで「これで4,000円以上は高い」という声があったのも事実だ。現在はセール価格で入手しやすいが、当時の定価購入者の中には割高感を感じた人が一定数いた。

オリジナル版にはあった「判断システム」——物語の分岐点でどう動くかを選択し、ルートが変わる——がリメイクでは削除されている。これはリプレイ性の低下に直結している。RE:2は「レオン1st→クレア2nd」という遊び方の切り口が2つあったが、RE:3は周回プレイで変わる要素がほとんどない。クリア後に開放されるボーナスショップでスーパー武器を買ってエンジョイ周回、という遊び方はあるが、それは「ゲーム的な楽しみ」であって物語的な新発見ではない。「もう一度別の展開を楽しむ」という動機がない分、周回の必然性が薄れている。

一部の探索シーンが削減されたことも批判の対象になった。特にクロックタワーとパークがオリジナル版に存在したのに、リメイクでは削除されている。ファンにとっては「好きな場面が消えた」という喪失感があった。開発側の判断として「テンポを重視した」という意図は理解できるが、結果として「短い」という印象が強まった。クロックタワーはオリジナルバイオ3の代表的な場面のひとつで、あの「時計台を舞台にした対決」を期待していたプレイヤーにとってはリメイクでの省略は痛手だった。

「難易度バランスが簡単」という声も一定数ある。特にノーマル難易度では回避アクションを使いこなせばかなりゴリ押しできる場面があり、「もっと難しいRE:2のほうが怖かった」という比較論が出やすい。ハードコア難易度で別ゲームのように引き締まるため、初回クリア後はハードコアを推奨する意見がある。「ノーマルでクリアして終わり」になるとRE:3の本当の怖さを味わいきれない可能性がある。

同梱の「レジスタンス」モードへの評価も影響している。発売当初はRE:3と非対称マルチプレイモード「バイオハザード レジスタンス」がセットで販売されていた。しかしレジスタンスのゲームバランスや、「RE:3のためにレジスタンスも買わされた」という感覚が評価を押し下げた面がある。現在はレジスタンスのオンラインサービスが終了しており、RE:3単体の評価として見ることが正確だが、当時の評価に影を落としたことは事実だ。

ただし、こうした批判はほぼ全て「RE:2と比べると」という前提付きだ。単体のサバイバルホラーとして評価すると、グラフィック、演出、アクション性、ネメシスの恐怖——これらはいずれも高い水準にある。「短いと言われるけどその分一気にプレイできて体験が濃かった」という見方もある。欠点を理解したうえで期待値を調整してプレイすれば、満足度は高い。

確かに短いけど、6時間ずっとプレイしていてダレる場面がなかった。むしろテンポが良くて満足感はあった。

引用元:Steamレビュー

オリジナル版との比較——1999年から何が変わったのか

1999年のオリジナル『バイオハザード3 LAST ESCAPE』はPS1のハードウェアで動いていた。固定カメラに見下ろし視点、タンク操作、プリレンダリングの背景——あの時代のゲームの文法で作られていた。それでもネメシスの恐怖と、ジルの「生き残り」としての存在感は十分に機能していた。子供のころにあのゲームをプレイして怖い思いをした人は少なくないはずで、その恐怖の記憶はリメイクを遊ぶ動機にもなる。

リメイクはその「何が怖かったのか」という本質を現代の技術に置き換える作業だ。固定カメラの「見えない恐怖」は、リメイクでは「ネメシスが走って追いかけてくる」というダイレクトな恐怖に変換された。オリジナルのタンク操作の不自由さは、回避アクションという新しい要素に置き換えられた。恐怖の種類が変わっているが、「ネメシスは怖い」という核心は維持されている。それがリメイクとしての成功の基準だとするなら、RE:3は十分にその基準を満たしている。

一方でオリジナルにあった「マーシー判断」——ネメシスに追われる場面で「逃げる」か「アイテムをまく」か「戦う」かを選択する分岐——は、リメイクでは省略された。オリジナルファンからはこの点への不満が大きかった。あの判断システムは単なるゲームの仕掛けではなく、「ネメシスに追われながら必死に選択する」という体験の一部だったからだ。「逃げるか戦うか」という瞬間的な決断を迫られる緊張感が、オリジナルのネメシスとの戦いに深みを与えていた。

クロックタワーの削除については、カプコンは公式に「テンポを維持するための決断」と説明している。実際にプレイすると確かにゲームのテンポは速く、だれる場面が少ない。ただ「オリジナルの好きな場面が消えた」という喪失感はファンにとってリアルなもので、その気持ちは正直なところとして書いておきたい。バイオ3のクロックタワーは、オリジナルのジルのデザインとあわせて「あの時代のバイオ3」を象徴する場面だった。

グラフィックの変化は圧倒的だ。PS1時代のポリゴンキャラクターと、RE ENGINEによるフォトリアルなジルを並べると、技術の進歩がわかりすぎるほどわかる。ただ「当時怖かったのはグラフィックではなく雰囲気と音だった」というオリジナルファンの声もある。恐怖の質が「ぼんやりした不気味さ」から「リアルな具体性」に変わったことで、怖さの種類が変わった、とも言える。

それでも、リメイクを遊んで「ネメシスって本当に怖い存在なんだ」と改めて認識したプレイヤーは多い。リアルなグラフィックが「こいつは本当に危ない」という体感を生む。25年前に恐れていたものを、現代の技術でより具体的に体験できる——それがリメイクの存在意義だとすれば、RE:3はその意義を果たしている。

オリジナルを90年代にプレイしていたおじさんだけど、リメイクのネメシスも普通に怖かった。技術が変わっても怖いものは怖い。

引用元:Steamレビュー

バイオシリーズのつながり——RE:2→RE:3→RE:4の流れで遊ぶ意味

バイオRE:3はシリーズ単体で遊んでも楽しめるが、RE:2を先にプレイしてから遊ぶと体験の密度が大幅に上がる。ラクーン市の崩壊という同じ事件を、別の視点と別の時間軸で追うことになるからだ。

RE:2では警察署の中から外の街がどうなっているか、断片的にしかわからない。RE:3のダウンタウンを歩き回ると「RE:2でレオンが通ったはずの場所」が見えてきたりする。物語の時系列的には、RE:3のほうが若干早い部分から始まるため、「先にRE:3を遊んでRE:2へ」という順番も理論上は可能だが、ゲームの体験としては「RE:2→RE:3」のほうが圧倒的に流れがいい。RE:2でラクーン市の警察署という一つの場所を深く知ってから、RE:3で街全体の崩壊を見る——その広がりが「ラクーン市という場所」への思い入れを深める。

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RE:2を先に遊んでいれば、RE:3の冒頭でジルがアパートの外でゾンビを避けながら逃げるシーンの緊張感が増す。「この街があの警察署とつながっている」という意識が、街のロケーションへの没入感を深める。RE:2未プレイの人でも遊べるが、RE:2後のほうが楽しめるのは確かだ。バイオシリーズのリメイク三部作(RE:2、RE:3、RE:4)を順番に遊ぶことで、サバイバルホラーというジャンルの進化と、カプコンの技術革新を体感できるという贅沢な体験がある。

RE:4(2023年リメイク)まで遊ぶと、ジルとレオンというキャラクターが別々の道でサバイバーとして成長していく流れが見えてくる。RE:3のジルはラクーン市崩壊後、6年後のRE:5で再登場する。そちらは別作品になるが、RE:3をクリアした後にその後の展開を追いたくなるのは自然な流れだ。ジルというキャラクターの物語は、RE:3だけでは完結しない——という意味でも、このゲームはシリーズへの入口として機能する。

こうしたシリーズのつながりという点で言えば、バイオシリーズは各作品が丁寧に世界観をつないでいる数少ないホラーゲームシリーズの一つだ。サバイバルホラーというジャンルを定義した存在でもある。「どれか一作だけ」という遊び方でも十分楽しめるが、シリーズ通しで遊ぶほど発見がある。

同じホラー系統でも、一人称視点の極限状況ホラーという方向では

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のCry of Fearも独特の体験を提供している。北欧の暗い街を舞台にした、精神的な恐怖と喪失感が核のあちらは、バイオとは全く別の種類のホラーだ。価格も異なる(Cry of Fearは無料)ため、バイオシリーズとあわせてホラーゲームの幅を広げるという意味で試してみる価値がある。

難易度システムと周回プレイ——どこまで遊べるか

バイオRE:3の難易度は4段階用意されている。「アシスト」「スタンダード」「ハードコア」「インフェルノ」だ。

アシストは自動エイムが強化され、体力が自動で少し回復するという設定で、ホラーゲーム初心者でも物語を楽しめるように設計されている。「怖いゲームはやったことがない」という人でも、アシストなら死ぬ回数が大幅に減り、物語の流れに集中できる。スタンダードが標準の難易度で、多くのプレイヤーが最初に選ぶ。ゲームに慣れているなら最初からこちらを選んで問題ない。

ハードコアは弾薬が少なく、敵の攻撃力が高い設定でかなり歯応えがある。「スタンダードをクリアしたけど物足りない」という人向けだ。ハードコアになると弾薬管理が厳しくなり、ゾンビを避けて進むことが本当の意味での選択肢になる。回避アクションも「なんとなく使う」ではなく「必ず使わないと死ぬ」という局面が増える。インフェルノはセーブ回数に制限がついてくる最高難易度で、バイオシリーズのエキスパート向けだ。ファストトラベルをタイプライターのインクリボンで管理していた頃のバイオの緊張感が、インフェルノにはある。

クリア後にはボーナスショップが開放される。ゲーム中に集めた「ポイント」を使って、無限弾の武器やコスチューム、スペシャル武器を購入できる。「ミニガン」という冗談みたいな武器を使って二周目を楽しむ、という遊び方がある。「周回プレイの楽しさ」という面では強いゲームではないが、ランク挑戦(クリア時間、アイテム使用数などで評価される)が用意されており、スピードランに挑戦するという楽しみ方もある。スピードランコミュニティはRE:3でも活発で、海外の走者が2時間を切るタイムを出したりしている。

Steam実績は全部で35個。中には「ハードコア難易度でクリア」「インフェルノでクリア」「3時間以内にクリア」という達成条件があり、コレクター気質のプレイヤーには周回の動機になる。すべての実績を取ろうとすると合計30〜40時間程度かかるという見積もりが多い。一周目で全実績が取れるゲームではなく、難易度を上げての周回を前提とした実績設計になっている。

Steam のワークショップ(MOD機能)は現時点では公式には対応していないが、非公式のMODが多数存在する。コスチューム変更、難易度調整、カメラ位置の変更——コミュニティが独自に作り続けているMODはゲームの寿命を延ばしている。RE:2でDMX MODが流行したように、RE:3でも様々なMODがプレイ体験をカスタマイズする手段になっている。特にネメシスを別のキャラクターに差し替えるMODは人気があり、「ネメシスがトーマスザタンクエンジンになる」という意味不明な方向性の笑えるMODまである。

インフェルノ難易度、マジで心が折れる。でも全クリしたときの達成感は他のゲームでなかなか味わえないレベル。

引用元:Steamレビュー

バイオRE:3のPCスペックと快適設定

Steam版バイオRE:3のPC動作は、同年発売のゲームと比較してかなり最適化が行き届いている印象だ。カプコンはRE ENGINEを使ったゲームの最適化に定評があり、RE:3もその例に漏れない。Steamのハードウェアサーベイによると、中堅スペック(GTX 1060相当)でも1080p/60fpsを維持できる報告が多い。

推奨スペックとしてカプコンが公示しているのはRyzen 5 3600またはCore i7-8700Kのプロセッサ、GTX 1080 Ti / RX 5700 XT以上のGPU、16GBのRAMという構成だ。ただしこれは「高設定での快適プレイ」を想定しており、中設定であれば1世代前のスペックでも十分動作する。4K解像度で高設定を維持したい場合はRTX 3080相当以上が推奨されるが、1080p〜1440pの解像度であれば2世代前のミドルレンジGPUで快適に遊べるケースが多い。

解像度設定では、フルスクリーン/ウィンドウ/ボーダーレスウィンドウの3パターンが選べる。HDR対応ディスプレイを持っているなら、HDRをオンにすることでコントラストが強まり、暗所の表現がより豊かになる。RE:3のような暗い廊下が多いゲームでは、HDRの恩恵が大きい。黒の締まり方が違うだけで、暗闇から現れるゾンビの怖さが格段に増す。

コントローラー対応もしっかりしており、PS4/PS5コントローラーをそのまま接続してボタン表示がPlayStationアイコンで出てくる。Xbox系コントローラーももちろん対応している。ゲームパッドを使うことで、回避アクションの操作感が大きく向上する——特に回避ボタンへのとっさのアクセスがコントローラーのほうが自然だ。キーボード+マウスでの操作も可能で、マウスによるエイム精度はコントローラーより高い。ネメシスとの戦闘でより正確な射撃を求めるならキーボード+マウスという選択もある。どちらを選ぶかはプレイスタイル次第だが、「移動重視ならコントローラー、精度重視ならキーマウ」という目安が一般的だ。

ロード時間についても触れておきたい。SSDを使用しているPCではゲームのロードがほぼ瞬時に完了し、HDDを使用していてもそれほど待たされない。ゲームオーバーからのリスタートが速いことは、ホラーゲームの体験品質に直結する。「死んですぐやり直せる」というストレスの少なさが、ハードコア難易度への挑戦意欲を支えている。

GTX 1070で1440p設定にしてみたけど、ほぼ60fps維持できた。最適化の良さはさすがカプコンという感じ。

引用元:Steamレビュー

バイオRE:3が似合う人・合わない人

バイオRE:3は万人向けのゲームではない。特にRE:2を絶賛したプレイヤーがそのままRE:3に期待値を持ち込むと、落差を感じやすい。その前提を踏まえたうえで、合う人・合わない人を書いておく。

合う人は以下のような方だ。アクション的な要素が欲しいサバイバルホラーファン、バイオシリーズを通して遊んでいてラクーン市崩壊の全体像を見たい人、6〜8時間でコンパクトに完結するゲームが好きな人、ネメシスという追跡者との緊張感あるイタチごっこが好きな人——こういった人には高い満足感を提供する。特に「ホラーゲームは怖いのが好きだけど長いと疲れる」という人には、RE:3のコンパクトな構成はむしろ長所になる。

逆に合わない人のパターンもある。RE:2のような「迷宮型の探索と謎解き」を期待する人、ボリューム重視で20時間以上のゲームを好む人、ストーリーの分岐や選択肢を楽しみたい人——こういった方にとっては「短い」「一本道」という印象が強くなりやすい。「謎解きを解いた達成感がホラーゲームの醍醐味」という人にとっては、RE:3はやや物足りないかもしれない。

ホラーゲーム全般が苦手な人には難しい。このゲームの怖さはグロテスクな表現(肉が爛れたゾンビ、感染した人間の変容、ネメシスの異形の姿)と、ネメシスに追われる追跡恐怖が組み合わさっており、両方が平気でないとしんどい。ただ「ホラーは怖いけど少し興味ある」という人には、アシスト難易度という選択肢がある。ゲームオーバーが少ない状態で物語を追うことができる。「ネメシスが怖そうで気になる」という興味があるなら、アシストで試してみる価値はある。

「心理的ホラー」より「サバイバルホラー」が好きな人には向いている。同じホラーでも

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のような、文章と選択肢で進む心理系ビジュアルノベルとは体験の質がまったく違う。どちらが優れているではなく、恐怖の種類が違う。「体を動かして逃げる恐怖」がRE:3で、「じわじわ迫る心理的恐怖」が心理ホラー系の体験だ。自分がどちらの怖さが好きかを確認してから選ぶと、期待値がずれない。

PC環境でのグラフィックへのこだわりがある人にも向いている。RE ENGINEはPC向けの設定が豊富で、テクスチャ品質、シャドウ解像度、アンチエイリアスなど細かく調整できる。「ゲームとして楽しむ」というだけでなく「映像体験として楽しむ」という角度でも価値がある。スクリーンショットを撮りながら遊ぶタイプのプレイヤーにとっては、ラクーン市の廃墟美は格好の被写体になる。

RE:2みたいな深い探索じゃないけど、それはそれで別の楽しさがある。ネメシスに追われながらアドレナリン全開で駆け抜ける感覚は他にない。

引用元:Steamレビュー

Steamセールとコストパフォーマンス——いつ買うべきか

バイオRE:3のSteam通常価格は4,490円(税込)だ。Steamのサマーセールやウィンターセールでは50〜75%オフになることが多く、セール時には1,000〜2,000円台で購入できる。定価でも1時間あたりのコスパはそこまで悪くないが、セール価格との差が大きいので「バイオシリーズは通しで遊びたいが急いでいない」という場合は待つのも選択肢だ。

「バイオハザード RE:3 Z バージョン」という表記がSteamでは日本向けの区分として存在する。内容はグローバル版と同じで、「Z バージョン」はCERO Z(18才以上のみ対象)の表示に対応したものだ。ゴア表現やバイオレンス描写が含まれることを示している。グローバル版のバイオRE:3も購入可能だが、プレイできる内容に違いはほぼない。日本のSteamアカウントでは自動的にZバージョンが表示されるケースが多い。

「バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション」や「バイオRE:4」がセールになるタイミングと重なることが多いため、RE:3単体ではなく複数本まとめて購入する場合は「バイオ RE:2 + RE:3 バンドル」のようなまとめ買いを探すと総額を抑えられる。カプコンはシリーズバンドルをセール時に出すことが多いので、Steamのウィッシュリストに登録しておくと通知が来る。RE:2とRE:3をセットで買って順番に遊ぶのが、ラクーン市崩壊の物語を体験するうえで最もコスパが高い選択だ。

追加コンテンツは「レジスタンス」という非対称マルチプレイモードが同梱されていた(現在はサービス終了)。RE:3本体とセットで購入する形が当初の販売形態だったが、レジスタンスのオンラインサービス終了後は、事実上RE:3のシングルプレイのみのゲームとなっている。レジスタンスについては「ゲームの値段に見合わなかった」という批判が当時あったが、現在はRE:3単体の評価として見てよい。レジスタンスの終了がRE:3の評価に引きずられた部分があったことも、79%という数字の背景のひとつだ。

GOG.comなどのDRMフリーストアでは取り扱いがなく、カプコンのゲームはSteam独占になっているケースが多い。そのためPCで遊ぶ場合はSteamが実質唯一の選択肢となる。PS4/PS5版も存在するが、PCとの価格差はそれほど大きくないため、Steamセールを狙うほうがコスパは良い。

セールで1,500円くらいで買ったけど、この価格なら文句なく元が取れる。短いけど体験の密度が高い。

引用元:Steamレビュー

バイオRE:3をクリアした後に遊びたいゲーム

RE:3をクリアした後、「次に何を遊ぼうか」という方向けに似た体験のゲームを本文の流れで紹介しておく。「次も怖いゲームがいい」「今度はもう少し違う方向を試したい」どちらの需要にも応えられるように書く。

まずバイオシリーズの文脈では、RE:4(2023年リメイク)が次の正道だ。スペインの農村を舞台に、今度はレオンが大統領の娘を救出しようとするアクション色の強いサバイバルホラーで、RE:3の「アクション寄りのホラー」という方向性をさらに推し進めた作品になっている。RE:3が合った人はほぼ確実にRE:4も合う。ただしRE:4はRE:2やRE:3よりもホラー色が薄まり、よりアクションゲームに近い方向に振れている。

ホラー以外のジャンルで「逃走」と「危機への対処」という感覚が好きなら、

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のSons Of The Forestもオープンワールド型の生存サバイバルとして体験の幅が広い。食料、拠点、敵との戦いを全部自分でマネジメントしながら生き延びる、という設計はRE:3とは真逆のゆったりした緊張感だが、「生き延びる」という根本の面白さは共通している。密林の中に潜む脅威と向き合う感覚は、ゾンビアポカリプスとは別の方向の恐怖体験だ。

FPS視点のホラーゲームで「圧倒的な存在から逃げながら戦う」感覚をさらに強化したいなら、

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のBioShockシリーズも選択肢に入る。水中都市ラプチャーという閉鎖環境での逃走と戦闘、そして環境が語るストーリーという点でRE:3と別の角度からの体験が得られる。ゾンビではなくスプライサーと呼ばれる変質した人間が敵というのも、恐怖の質が違っていて面白い。

「追われる恐怖」というテーマで極限まで振り切りたいなら、Outlastのシリーズも候補だ。武器ゼロで暗い建物を逃げ続けるという完全逃走型のホラーは、RE:3の「戦える」という安心感がない分、恐怖の純度が上がる。ネメシスと戦えることがRE:3の爽快感なら、Outlastは「戦えない」ことが恐怖の源泉だ。

純粋に「恐怖で心臓が止まりそうな体験」を求める人には

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のサイコブレイク2も推薦できる。RE:3と同じカプコン出身のシンジ・三上真司が制作した別スタジオの作品で、心理的なホラーとサバイバル要素が融合した、またひと味違うホラー体験を提供している。「精神が歪んだ世界を生き延びる」という体験はバイオとは別の不快感があり、ホラーゲームの体験の幅を広げてくれる。

バイオRE:3の物語を深掘りする——ラクーン市消滅の真相

バイオRE:3は単純な「逃げて倒す」ゲームではない。物語の背景には、アンブレラ社という巨大製薬企業の暗部が絡んでいる。バイオシリーズを初めて遊ぶ人に向けて、物語の文脈を整理しておく。

アンブレラ社は表向きは製薬・化学メーカーとして世界的な影響力を持つ大企業だ。しかし裏では生物兵器の研究・開発を続けており、バイオウイルス(Tウイルス)を使った生物兵器の実用化を目指していた。ラクーン市の住民はアンブレラの研究施設がある街として、長年その恩恵を受けてきた。街の多くの住民がアンブレラ関連の仕事に就いており、街の経済はアンブレラなしに語れない状態だった。

そのアンブレラが自社の街でウイルス漏洩事故を起こした。Tウイルスが下水道から広がり、感染した人間がゾンビ化する。アンブレラは事態を隠蔽しようとしたが、1998年7月のスペンサー邸事件(バイオ1)を経て、同年9月にはラクーン市全体がゾンビで溢れる事態になった。

RE:3の物語はこの「ラクーン市崩壊の最終局面」を描いている。政府はラクーン市を「封鎖」することを決定し、最終的には核弾頭に近い特殊爆発装置(サンアンドレアス計画)による市の消滅を選んだ。ゲームの終盤、ラクーン市が爆発で消し飛ぶシーンは圧巻だ。「街ごと証拠を消す」という政治的な判断が、このゲームのパニック感の根底にある。単なるゾンビアポカリプスではなく、「巨大な力が街を捨てた」という絶望感がプレイヤーに伝わってくる。

ネメシスがS.T.A.R.S.メンバーを狙う理由もここにある。S.T.A.R.S.はスペンサー邸事件を調査しており、アンブレラの犯罪を証言できる存在だ。証人を消すためにアンブレラはネメシスを送り込んだ。「生物兵器が証人抹殺のために使われる」という設定の悪意の大きさが、このゲームの世界観の暗さを形成している。

そのネメシスに唯一生き延びて戦い続けたのがジル・バレンタインだ。スペンサー邸事件の生存者として、アンブレラの陰謀を知りすぎた存在として、彼女が追われ続ける理由は明確だ。「なぜジルなのか」という疑問に、ゲームは丁寧に答えている。

ラクーン市が消滅するラストシーンは何度見ても胸が締め付けられる。あの街に住んでいた人たちのことを考えると、ゾンビに感情移入してしまう。

引用元:Steamレビュー

ゾンビの種類と対処法——RE:3で出会う敵たちを整理する

RE:3に登場する敵は「ゾンビ」だけではない。複数の敵タイプがあり、それぞれ異なる対処が必要になる。初見プレイでは「何これ?」となりやすいクリーチャーもいるため、事前に知っておくと慌てずに済む。

通常ゾンビはTウイルスに感染した人間で、ラクーン市各所に多数存在する。動きは遅いが噛まれると感染リスクがあり、倒しきらないと倒れた状態から起き上がることがある。頭部への集中射撃でクリティカルヒットが発生し、弾薬を節約できる。ただしRE:3の難易度ではRE:2ほど弾が枯渇するシチュエーションは少ないため、思い切って撃ってもいい場面が多い。

ハンターγ(ガンマ)は大型の両生類型クリーチャーで、湿った場所に出没する。緑色のカエルのような外見で素早く、接近して噛みついてくる。頭部への攻撃で対処する。音を立てながら移動するため、接近前に気づける。初めて遭遇したときの「こんな敵が来るのか」という驚きは、RE:3の中でも特に印象的な場面だ。

スカイ・フィッシュはゲーム中盤以降に出現する空飛ぶ系の敵で、素早い動きで近づいてくる。移動しながら射撃することが基本対処で、立ち止まっていると複数体に囲まれる危険がある。このクリーチャーとの遭遇は、RE:3のアクション性を試される場面のひとつだ。

ゾンビ化した犬(ゾンビ犬)は序盤のダウンタウンで出現する。素早く群れで攻撃してくるため、単体では大した脅威ではないが複数体同時は危険だ。ショットガンの範囲攻撃が有効で、密集した状態で一気に対処できる。

ネメシスとの戦いでは、形態によって対処が変わる。第1形態は射撃しながら回避を繰り返す。テンタクルを使って攻撃してくるため、射程距離を意識する。第2形態以降は動きが変化するため、前の形態での常識が通じないことがある。「倒したと思ったら変化した」という展開がRE:3のボス戦の緊張感を維持させている。

ハンターガンマ初遭遇のとき、まじで何が来たかわからなかった。あの出現演出は怖い。

引用元:Steamレビュー

アイテム管理とカスタムパーツ——RE:3の装備強化システム

RE:3のアイテム管理システムはRE:2から引き継がれているが、いくつかの変化がある。インベントリは6スロットから始まり、ウエストポーチを見つけることで最大8スロットまで拡張できる。RE:2よりも序盤から収納量があり、アイテム管理のストレスは比較的少ない。

弾薬は「拾う」だけでなく「クラフトする」こともできる。バルブハンドルやガンパウダーなどの素材を組み合わせて、ハンドガン弾やショットガン弾を作れる。どの弾薬を優先してクラフトするかは難易度と手持ち武器によって変わる。ハードコア難易度では弾薬が貴重なため、クラフトの優先順位の見極めが重要になる。

カスタムパーツは武器のアップグレードに使う新要素だ。ネメシスを倒すとドロップするアイテムから「電話ボックス」内のショップで購入できる素材を入手できる。ストックのカスタムパーツを使えば武器の性能を強化できる。ハンドガンに照準アシストスコープをつけるとエイムが楽になり、ショットガンに拡散弾を使うと命中範囲が広がる——といった具合に、自分のプレイスタイルに合わせた武器育成ができる。

電話ボックス型のショップは、ゲーム中の一部エリアで利用できる。アイテムの売買だけでなく、カスタムパーツの購入窓口にもなっている。「ネメシスを倒してドロップしたアイテムをショップに持ち込んで武器を強化する」という流れは、ネメシスと戦うことにゲーム的な意味を与える工夫だ。単に怖いから逃げる、ではなく「倒したほうが得」という積極的な選択肢を生み出している。

回復アイテムはグリーンハーブ(体力回復)、レッドハーブ(グリーンと混合で回復量増加)、ブルーハーブ(毒・麻痺の解除)の3種類だ。ファーストエイドスプレーは即座に体力を全回復する貴重アイテムで、ボス戦のために温存するのが基本だ。アイテム管理の巧拙が難易度に大きく影響する、というバイオシリーズの根本設計はRE:3でも健在だ。

ネメシスを倒してカスタムパーツを手に入れたときの「頑張って倒した甲斐があった」感がたまらない。ボス戦後のご褒美感覚が良い。

引用元:Steamレビュー

まとめ——バイオRE:3は「短いけど濃い」体験

バイオハザード RE:3は「RE:2と比べると短い」という批判を正面から受け止めながらも、6〜8時間のプレイ時間の中に高密度の恐怖体験を詰め込んだゲームだ。ネメシスの追跡恐怖、回避アクションの爽快感、ラクーン市崩壊という絵になるパニック設定——これらはどれも「やってよかった」と言える体験を提供している。

RE:2が「探索と謎解きの迷宮型ホラー」だとすれば、RE:3は「疾走と対峙のアクションホラー」だ。同じバイオシリーズでも方向性が違うので、どちらが好みかで評価が分かれるのは自然なことだ。「RE:2が苦手でRE:3のほうが合った」というプレイヤーもいる。「RE:2は好きだったけどRE:3はちょっと物足りなかった」という人もいる。どちらも正直な感想で、どちらも正しい。

バイオシリーズをRE:2→RE:3→RE:4という順番で通しで遊ぶと、ラクーン市崩壊という一つの事件を複数の視点から俯瞰できて、物語への理解と没入感が大きく変わる。RE:3単体で遊んでも楽しめるが、シリーズの流れで見ると体験の厚みが増す。「ゲームを通じて一つの世界を理解していく」という贅沢な体験は、バイオシリーズの通しプレイでしか得られない。

ネメシスが「S.T.A.R.S.!!!!!!」と叫んでジルを追いかけるあの場面は、初見プレイで必ずリアクションが出る。声が出るか、思わず立ち上がるか、コントローラーを投げそうになるか——人によって違うが、何かしらの反応を引き出す設計をしている。「ゲームをプレイして声が出た」という体験は、それだけ強い印象を残したということだ。そういう瞬間を作れるゲームは、実は多くない。RE:3はその「瞬間」を確実に提供できるゲームだ。

欠点を知ったうえで、期待値を適切に設定してプレイすることが、RE:3を最も楽しむコツだ。「RE:2の続編」ではなく「RE:3というゲーム」として向き合えば、ネメシスが暗い廊下を走ってくるあの体験は、5年後も10年後も忘れられない記憶として残るはずだ。

このゲームの発売から5年以上が経ったが、「バイオRE:3をおすすめできるか」と聞かれたら「RE:2もセットで遊ぶなら、強くおすすめする」と答える。単体でも十分楽しめるが、ラクーン市崩壊という同じ事件を別の角度から見ることで生まれる体験の厚みは、RE:2+RE:3の組み合わせにしかない。セールで両方まとめて買えるなら、それが最もコスパの高い遊び方だ。

6時間で終わったけど、この6時間は本当に充実していた。もっと長かったら途中で怖くてやめてたかもしれない(笑)。

引用元:Steamレビュー

BIOHAZARD RE:3

CAPCOM Co., Ltd.
リリース日 2020年4月2日
サービス中
価格¥3,990-90% ¥399
開発CAPCOM Co., Ltd.
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル / マルチ
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