Goose Goose Duck|ガチョウとアヒルが化かし合う無料人狼ゲーム
「お前がアヒルだろ!声が怪しすぎる!」「違うって!俺はガチョウだ!信じてくれ!」——会議フェーズで飛び交う罵声と弁明。ゲーム内ボイスチャットで繋がったまま、画面の前で本気になって口論している自分に気づいたとき、このゲームの底力を感じた。
Goose Goose Duckは、ガチョウ(村人)とアヒル(人狼)に分かれて戦う、Steam無料のソーシャルディダクションゲームだ。最大16人で遊べ、ゲーム内に近接ボイスチャットが最初から実装されている。外部のDiscordを用意する必要はない。起動して、部屋に入って、マイクに向かって叫ぶだけでいい。
リリースは2021年10月。当初はSteamにある「Among Usっぽいゲーム」として地味な存在だった。プレイヤー数も多くなく、特に話題になることもなかった。ところが2022年11月、ある出来事をきっかけに状況が一変する。BTSのメンバーVが配信でこのゲームをプレイし、その動画が840万回以上再生されたのだ。翌月から同接数が急上昇し、2023年1月12日には同接プレイヤー数が70万人を突破。Steamの歴代同接ランキングにその名を刻んだ。
その後プレイヤー数は落ち着いたが、ゲームとしての骨格はしっかりしている。役職は合計44種類。ゴジラとのコラボマップが実装されるなど、開発チームのGaggle Studiosが継続してアップデートを続けている。基本無料でPCからスマホまでクロスプレイ対応、日本語にも対応済み。今から始めても遅くない。
ただ、正直に書くと「万人向けではない部分」もある。最小5人から遊べる仕様上、知り合いのグループを集める必要があること、役職が多すぎて初心者には混乱すること、そしてピーク時と比べてプレイヤー数が大幅に減っていること。この記事ではそのあたりも含めて書いていく。
こんな人に読んでほしい

Goose Goose Duckが刺さる人は、こういうタイプだ。
- Among Usはやり尽くした。役職が増えてもっと複雑になったバージョンが遊びたい人
- Discordなしでボイスチャットを使いながら仲間とワイワイ遊びたい人
- ゲーム経験の差があるグループでも遊べる、無料のパーティゲームを探している人
- 人狼系ゲームが好きで、役職の駆け引きを深く楽しみたい人
- スマホとPCを混ぜてフレンドと一緒に遊びたい人(クロスプレイ対応)
- ゴジラやホラーテーマなど、バラエティ豊かなマップで遊びたい人
- 無料でがっつり遊べるSteamゲームを探している人
逆にこういう人には向かないかもしれない。1人でコツコツ遊びたい人、CPUとの対戦がしたい人、静かに考えるゲームが好きな人。このゲームはとにかく「声で人を騙す・見抜く」コミュニケーションゲームだ。声を出さないと正直かなり厳しい。
また、「役職が多くて最初は意味がわからない」という口コミがある通り、初心者がPublicのランダムマッチに入ると何が起きているかわからないまま終わることがある。できれば最初は5〜8人の知り合いグループで、シンプルな設定でスタートするのがおすすめだ。
Goose Goose Duckの基本的なゲームルール
基本的な構造はAmong Usとよく似ている。プレイヤーはゲーム開始時に「ガチョウ陣営(グース)」か「アヒル陣営(ダック)」のどちらかに割り振られる。ガチョウはマップ内のタスクをこなしながら、紛れ込んだアヒルを投票で追放することが目的。アヒルはガチョウを消していきながら、自分たちがバレないように立ち回ることが目的だ。
ただし、Among Usと大きく異なる点がいくつかある。その違いこそが、このゲームをより深く面白くしている部分だ。
タスクはグース全体で共有
Among Usでは1人ひとりに個別のタスクが割り振られるが、Goose Goose Duckのタスクはグース陣営全体で共有される。つまり誰かがタスクをやれば全員の進捗が進む仕組みだ。1人がタスクを放棄して会議に備えても、他のメンバーがカバーできる。これによって「タスクをやりながら状況を把握する」というプレイがしやすくなっている。
最大16人で遊べる大人数対応
Among Usの最大人数は15人だが、Goose Goose Duckは16人まで対応している。大きな数字の差ではないが、10人以上の大部屋で遊んだときの混乱と熱量はある種別物だ。16人部屋でアヒルが4〜5人いる状況での会議は、文字通り収拾がつかなくなる。それが笑いに変わったりするのがこのゲームの醍醐味でもある。
ゲーム内近接ボイスチャット
最も重要な特徴がこれだ。Goose Goose Duckにはゲーム内にボイスチャット機能が実装されている。しかも「近接チャット」という仕組みで、マップ内で物理的に近くにいるプレイヤーだけが声を聞ける。つまりアヒルが廊下でこっそり会議をしていたとしても、遠くにいるガチョウには聞こえない。逆に言えば、誰かが「自分はガチョウだ」と囁いている声がたまたま聞こえることもある。
この近接ボイスチャットが、ゲームの空気感をまるで変える。テキストチャットだけのAmong Usと比べると、声のトーン・口調・反応速度すべてが情報になる。「さっきの発言で明らかに焦ってたよね」という指摘が通る。嘘をつくにも声で感情が漏れてしまう。この「声での騙し合い」が、Goose Goose Duckの本質だ。
「ボイチェンかけてる人に笑ってしまって容疑者の顔じゃなくなるのが困る」
引用元:はてなブログ(ゲームプレイ感想記事)
ゲーム内にはボイスチェンジャーの設定まであって、声を変えて遊んでいるプレイヤーもいる。それが笑いの種になりながら、でも本気の推理も混じるカオスな空間がこのゲームの持ち味だ。
議論フェーズのルール
誰かが死体を報告するか、緊急ボタンを押すと会議フェーズに移行する。全員でボイスチャット(またはテキスト)を使って議論し、投票で最も怪しいと思うプレイヤーを追放する。追放されたプレイヤーがアヒルなら村人陣営の勝ち点になる。無実のガチョウを吊ってしまえば、アヒル陣営が有利になる。
追放ではなく「スキップ」を選ぶこともできる。証拠が固まっていないのに無実のガチョウを処刑するリスクを回避するためだ。ただし何度もスキップを繰り返せば、アヒルが消し続けてじわじわ不利になっていく。このジリジリした緊張感が人狼ゲームの醍醐味で、Goose Goose Duckでもしっかりそれがある。
44種類の役職システム——ここがAmong Usとの最大の差

Goose Goose Duckがただのフォロワー作品ではない理由のひとつが、この役職の多さだ。ガチョウ陣営20種類、アヒル陣営17種類、恋人陣営1種類、第三陣営6種類、合計44種類の役職が存在する。
もちろん1ゲームで全部使うわけではない。ゲームを作成するときに「この役職を何人入れる」という設定をカスタマイズできる。シンプルにしたければ役職なし(素のガチョウとアヒルだけ)で遊ぶこともできるし、ベテランが集まったときは役職を大量に有効化して複雑な状況を楽しむこともできる。
ガチョウ陣営の役職
ガチョウ陣営(村人側)は20種類の役職を持つ。人狼ゲームをやったことがある人には馴染みのある名前もあれば、このゲームならではのユニークな役職もある。
例えば「霊媒師(Medium)」は死んだプレイヤーの役職を確認できる。死者の情報を生き残ったメンバーに伝えることで、推理の精度が上がる。「探偵(Detective)」は特定プレイヤーの行動履歴を調べられる。誰がどこにいたか、アリバイを検証する能力だ。
「恋人(Lover)」は2人1組で設定される役職で、パートナーが死ぬと自分も後を追ってしまう。恋人がアヒル陣営と恋人陣営に跨がるケースもあり、陣営を超えた複雑な思惑が生まれる。
「カナディアン(Canadian)」というゲームならではの役職もある。文字通りカナダ人的な「めちゃくちゃ礼儀正しい」設定らしく、能力の詳細はゲームの雰囲気作りに関わる独特の動き方をする。こういう遊び心がGoose Goose Duckの個性だ。
アヒル陣営の役職
アヒル陣営(人狼側)は17種類ある。中でも特徴的なのが「サイレンサー(Silencer)」で、対象のプレイヤーの発言を一定時間封じることができる。証人になりそうなガチョウの口を塞ぐ、文字通りのサイレンサーだ。
「ペリカン(Pelican)」というアヒル陣営の役職は、ガチョウを直接殺すのではなく飲み込んで閉じ込める能力を持つ。飲み込まれたプレイヤーは脱出する方法があって、成功すれば生還できる。失敗すればそのまま消化される。このハラハラ感は独特だ。
第三陣営——村人でもアヒルでもない存在
このゲームを複雑にするのが第三陣営の存在だ。6種類の役職があり、ガチョウでもアヒルでもなく、独自の勝利条件を持つ。
「ドードー(DODO)」という役職の勝利条件が独特すぎる。「投票によって処刑されること」が勝利条件なのだ。つまりドードーは「自分が怪しいと思われて追放されること」を目指して立ち回る。わざとボロを出す、怪しい行動をあえてとる——これが成功すれば単独勝利になる。人狼ゲームの文脈では完全に逆転した発想で、初めてこのルールを聞いたときは笑ってしまった。
「ハゲワシ(Vulture)」はアヒルが作り出した死体を規定回数食べることで勝利する。アヒルにとっては「殺した死体をハゲワシに食べられると困る」という状況が生まれ、ガチョウにとっては「あいつはハゲワシかもしれない」という別の疑惑が発生する。各陣営の利害関係が複雑に絡み合う。

Baronyのようなダンジョン探索ゲームとは真逆のシステムだが、「複数の陣営が複雑な思惑で動く」という構造は、こういう多人数ゲームの醍醐味に通じるものがある。
マップの種類とゲームモード
Goose Goose Duckには複数のマップが用意されており、定期的に新しいマップが追加されている。各マップによってレイアウトが異なるだけでなく、そのマップ限定の役職やギミックが用意されているものもある。
代表的なマップ
最も基本的なマップが「マラードマナー(Mallard Manor)」で、中規模の屋敷を舞台にしたオーソドックスな作り。Among Usをやったことがある人は「こういう感じ」と直感的にわかると思う。各部屋にタスクが配置されていて、廊下や部屋の間を行き来しながらタスクをこなしていく。
「グースチャペル(Goose Chapel)」は教会を舞台にしたマップで、縦に長い構造が特徴的。上下の移動が多く、追いかけっこになりやすい。屋根裏と地下室が絡む立体的な構造で、逃げ場の少なさがスリルを高める。
「ブラッドヘイブン(Blood Haven)」はゴシックホラーテイストのマップだ。暗い色調と不気味な装飾で統一されていて、恐怖感が高まる雰囲気作りがされている。このマップ限定のギミックが複数用意されていて、慣れたプレイヤーはそれを活用した戦略を立てる。
そして2025年3月に追加された「ゴジラマップ」がある。映画ゴジラとのコラボで実装されたマップで、昭和レトロな雰囲気の日本の都市が舞台だ。このマップには「ゴジラの熱線ギミック」が存在し、熱線エリアに立つとエネルギーが蓄積される。蓄積しきると炎を吐き出せるが、60秒以内に最後の1人にならないと死んでしまうという独自ルールがある。こういうマップ固有のギミックがゲームに変化をもたらしていて、飽きないための工夫になっている。
4つのゲームモード
ゲームモードは4種類ある。
「クラシック(Classic)」はオーソドックスな人狼スタイル。タスクをこなしながらアヒルを投票で追放していく。初心者はまずここから始めるのがいい。
「クラシック+(Classic+)」は役職をカスタマイズして遊ぶモードだ。ベテランプレイヤーが自分たちのグループに合わせた設定を作って遊ぶことが多い。「今日は探偵とドードーを入れてみよう」というような試行錯誤ができる。
「グースハント(Goose Hunt)」はルールが大きく異なる。アヒルが時間内にガチョウを全員倒すことを目指す、タイマー制の鬼ごっこモードだ。ガチョウはタスクをこなすことでアヒルの人数を減らせる。投票フェーズがなくなるため、純粋に「追う・逃げる」の緊張感が楽しめる。
「ダイン&ダッシュ(Dine and Dash)」は、アヒル陣営が少数派でありながら敵の正体を知らない状態でスタートするモードだ。アヒル同士が誰がアヒルなのかを知らないまま協力(?)する必要があり、情報戦がさらに複雑になる。

Across the Obeliskのように複数のモードで長く楽しめるゲームはいくつもあるが、Goose Goose Duckの場合「同じメンバーで何度も遊べる」という意味での長期コンテンツ性が強い。1時間で10回遊べるゲームだからこそ、モードを変えながら飽きずに続けられる。
クロスプレイとアクセシビリティの強さ

Goose Goose DuckはPC(Steam、Mac)、iOS、Androidに対応している。クロスプレイが可能なので、スマホしか持っていない友達とも一緒に遊べる。これは意外と大きい。
「みんなでゲームしよう」となったとき、参加できる人数を増やすためには敷居を下げる必要がある。「ゲーミングPCが必要」というだけで脱落する人が出てくる。Goose Goose Duckはスマホでも遊べる無料ゲームなので、「とりあえず入れてみて」と言えるのが強みだ。
スマホ版の操作性は、正直PCと比べると少し劣る部分がある。タスクによっては小さいタッチ操作が求められるものがあって、スマホだとやりにくいことがある。ただ、ゲームの核心部分である「会議での議論」はスマホでも支障なくできる。タスク効率がPCプレイヤーより落ちるという程度で、致命的な差ではない。
日本語対応も公式でされている。翻訳の質は概ね良好で、役職名や説明文が日本語で読める。英語がわからなくても十分プレイできる。

Super Auto Petsなど、ハードルの低さで多くのプレイヤーを引き込んだ無料ゲームと同じように、Goose Goose Duckも「無料×クロスプレイ×日本語対応」という組み合わせで入口を広く作っている。
コスメティックとカスタマイズ要素
ゲーム自体は無料だが、コスメティック(見た目の装飾)は課金で購入できる。キャラクターの色、帽子、アクセサリー、スキン、死亡エフェクトなど、カスタマイズできる項目は多い。ゲームプレイに影響するものは一切なく、純粋に見た目だけの要素だ。
無料でも一定のコスメティックは入手できる。ゲームを遊ぶと経験値が溜まり、レベルアップすることで無料のコスメが解放される仕組みがある。課金しなくても、少しずつキャラクターを育てていける。
マップ内にも着替えられるオブジェクト(クローゼットや宝箱)が設置されていて、ゲーム中に一時的に別のコスチュームに変えることもできる。アヒルが「ガチョウっぽい見た目」に変えて紛れ込む、という使い方をしたりもする。これも騙し合いの要素のひとつだ。
コスメの方向性はコミカルで可愛らしいものが多い。ハロウィン帽子、クリスマスの飾り、宇宙服、和風の装束など、季節イベントに合わせた限定コスメが定期的に追加されている。コレクション性があって「全部集めたい」と思わせる作りだ。
「こんな楽しいゲームが無料でいいの?ってなった。コスメだけちょっと課金したら十分すぎる」
引用元:Steamレビュー(日本語プレイヤー)
基本無料ゲームとしてのマネタイズは、プレイヤーに対してフェアに設計されている。強制的な課金誘導が少なく、遊ぶだけなら本当に無料で楽しめる。これがSteamレビューでも高く評価されている点のひとつだ。
なぜ2023年1月に爆発的に流行したのか

2022年11月14日。韓国の大手芸能事務所HYBEに所属するBTSのメンバーV(テテ)が、WeverseというプラットフォームでGoose Goose Duckをライブ配信した。再生回数は840万回を超えた。
その瞬間から同接数は急上昇を始める。2022年11月に5,000人前後だったSteamの同時接続プレイヤー数が、12月には1万5,000人、年明けには急加速して2023年1月12日には70万人を突破した。Steam歴代同接ランキングで3位に入り込み、PUBGやApex Legends、Call of Dutyを一時的に抜き去った。同日にはサーバーが落ちるほどの負荷がかかり、開発チームのGaggle Studiosは急いで増強対応に追われた。
なぜV一人の配信でここまで広まったのか。理由はいくつか考えられる。
まずBTSのファンベース(ARMYと呼ばれる)の規模と結束力だ。BTS自体が世界的な人気を誇るグループで、特に韓国・中国・東南アジア・北米に強固なファンベースを持っている。Vが遊んでいるゲームを試してみようという動きが、世界中のARMYで同時に起きた。これだけで数十万人単位が動く。
次に「無料で始められる」こと。もしGoose Goose Duckが有料ゲームだったら、話題になってもここまで急増しなかったと思う。「タダならとりあえず入れてみる」ができるから、ファンが一気に流入した。スマホでも遊べるクロスプレイ対応がここで効いた。PCを持っていないスマホユーザーも参加できたからだ。
さらに「友達と一緒に遊べる」という口コミ拡散の仕組みがある。社交的なゲームは「自分だけ楽しい」ではなく「友達を誘って一緒に遊ぶ」形で広まる。1人が誘えば5人が入り、5人が誘えば25人が入るという連鎖が起きやすい。Goose Goose Duckはそのメカニズムが機能しやすいゲームだった。
「VがやってたゲームだからDLしたけど、気づいたら毎日遊んでる。Among Usより好きかも」
引用元:Steamレビュー(日本語プレイヤー)
BTSがきっかけで入ってきたプレイヤーの多くが、ゲームそのものに魅力を感じて続けた。それがレビュー件数の増加と好評価に繋がった。

Bananaがシンプルさで爆発的にDL数を伸ばしたように、このゲームも「無料×シンプルな入口×口コミ」という組み合わせでバズの条件を揃えていた。ただ、BananaがSteamという場所そのものに依存した一発芸だとすれば、Goose Goose Duckは「本当にゲームとして面白い」という評価が後に続いた点で、性質が異なる。
流行後の現在——プレイヤー数の実態
正直に書く。2023年1月のピーク(70万人超)から、Goose Goose Duckのプレイヤー数は大きく減った。
SteamChartsのデータによると、2024年初頭には同接のピークが4万人前後まで落ち込み、その後さらに下降傾向が続いた。2025年時点では数千人規模の同接に落ち着いている。これはピーク比で90%以上の減少だ。
ただし、この数字だけで「オワコン」と判断するのは早計だと思う。いくつかの理由がある。
ひとつは「グループでクローズドに遊ぶゲーム」という性質だ。Goose Goose Duckは公開マッチングでも遊べるが、本質的には「仲間内で部屋を作って遊ぶ」ゲームだ。フレンドグループが今も定期的に遊んでいれば、Steamの同接数には反映されにくい。スマホプレイヤーの数も加えると、実際の稼働プレイヤーはSteam同接数より多い。
もうひとつは、開発がまだ続いていること。2025年3月にゴジラコラボマップが実装されるなど、Gaggle Studiosがアップデートを続けている。開発放棄したゲームではなく、まだ生きているゲームだ。
実用的な観点で言えば、PublicマッチはJP専用ルームが少なく、野良で入ると英語・中国語圏のプレイヤーと混ざることが多くなっている。日本語で楽しむためには「自分でフレンドを集めて部屋を作る」か「日本語コミュニティ(Discordサーバー等)を探す」のが現実的だ。
「昔はJPが溢れてたけど今は少ない。でも友達とやるなら今でも全然楽しい」
引用元:Steamレビュー(日本語プレイヤー)
この変化は、Goose Goose Duckに限った話ではない。Among Usも流行のピーク後は同接が激減し、今は熱狂的なファンが遊び続けているゲームになっている。社交パーティーゲームはこういうサイクルを辿ることが多い。「今でも遊べるし、友達さえいれば楽しい」というのが正直な評価だ。
Among Usとの比較——何が違うのか

「Among Usの劣化コピーでしょ」と思っている人のために、ちゃんと書いておく。後発ゲームとして確かにAmong Usの構造を参考にしているが、Goose Goose Duckには独自の進化がある。
ボイスチャットが標準装備
これが最大の差だと思う。Among UsはオフィシャルにはDiscordなどの外部ツールを使ってボイスチャットをする仕様だ(Among Us自体にボイスチャット機能が後から追加されたが、当初はなかったし完成度も後発だった)。Goose Goose Duckはゲーム内ボイスチャットが最初から設計に組み込まれている。近接チャットの仕組みも含めて、ボイスコミュニケーションを前提とした設計だ。
このことが生むゲーム体験の差は大きい。外部ツールなしで声を使えることで、「友達を集めてすぐ遊べる」ハードルが下がる。Discordを準備して、サーバーに招待して、音声チャンネルに入って——という手順がいらない。ゲームを起動して部屋に入ったらもう声で話せる状態になっている。
役職の数と深さ
Among Usにも役職システムが後から追加されたが、Goose Goose Duckの44種類という数は圧倒している。ガチョウ20種、アヒル17種、第三陣営6種という構成で、組み合わせの数はほぼ無限に近い。「今日はこの役職構成で試してみよう」という遊び方のバリエーションが広い。
ただ、この豊富さは裏を返すと「覚えるのが大変」という問題でもある。44種類の役職を全部把握しているプレイヤーは少ない。新しい役職が来たとき「それどんな能力?」という確認が毎回起きる。これが初心者に対して少し高い壁になっている。
第三陣営の存在
Among Usにはガチョウ(クルー)とアヒル(インポスター)の二択しかない。Goose Goose Duckの第三陣営は、その二択の前提を崩す存在だ。「あいつを追放すれば勝てる」という単純な構図に「でもあいつが第三陣営だったら?」という疑惑が重なる。情報の解釈が複雑になり、推理の面白さが増す。

Climber Animals Togetherのような複数プレイヤーでの協力ゲームと似た楽しさの質がある。一方で仲間を信頼しきれない、裏切りの可能性がある緊張感は、こっちのゲームの独自の味だ。
タスク設計の違い
前述したように、タスクがグース全体で共有される点が違う。Among Usは個人ノルマ式なので「自分のタスクを終わらせる」という目標が明確だ。Goose Goose Duckは全体進捗なので、「俺はタスクしてなかったけど仲間がやってくれてた」という状況が生まれる。これが良くも悪くも個人の責任感を薄める。
Goose Goose Duckの良い点・気になる点
改めて整理する。
良いところ
まず完全無料でスタートできる。ダウンロードも課金も不要で、まずは試してみることができる。この敷居の低さは何よりも大きい。
次にゲーム内ボイスチャットの完成度が高い。近接チャットの仕組みが「人狼ゲームのリアリティ」を高めている。外部ツールなしで声で遊べることで、「今すぐ始めよう」が本当にすぐできる。
役職の豊富さによるリプレイ性もある。「今日はこの組み合わせ」「次はあの役職も入れよう」というカスタマイズが楽しい。飽きてきたときの打開策として新しい役職設定を試す楽しみがある。
クロスプレイ対応で間口が広い。スマホしか持っていない友達でも招待できる。「ゲームをあまりやらない人」を気軽に巻き込めるのは、グループでのレクリエーションとして大きな強みだ。
開発が継続していることも安心感がある。2025年3月のゴジラコラボマップのように、定期的に新コンテンツが追加されている。開発放棄されたわけではない。
気になるところ
最小5人が必要というルールがある。CPUとの対戦モードがなく、1人や少人数では遊べない。「友達がいないと成立しないゲーム」という性質は、孤独なSteamプレイヤーには厳しい。
初心者には役職が多すぎて混乱しやすい。44種類の役職を把握しているプレイヤーと初見が混在すると、初見はゲームの意味が半分もわからないまま終わることがある。最初はシンプルな設定で遊ぶことを強く推奨する。
日本語プレイヤーが減っている。ピーク時と比べてJP勢が少なくなっているため、Publicマッチでは英語・中国語話者が中心になることが多い。日本語でワイワイ楽しむためには自分でグループを作る必要がある。
サーバーの質の問題がたまに出る。ピーク時ほどではないが、接続が不安定になることが報告されている。これは改善が続いているが、完全ではない。
「初めてのプレイでもタスクが直感的で分かりやすく、みんなでワイワイ楽しめました」
引用元:Steamレビュー(日本語プレイヤー)
「役職が多すぎて初心者には何が起きているか理解が追いつかない。チュートリアルをちゃんとやったほうがいい」
引用元:Steamレビュー(日本語プレイヤー)
Gaggle Studiosというインディーチームの話

開発元のGaggle Studios, Inc.はカナダ・トロントを拠点とするインディーゲームスタジオだ。2020年設立、2021年にGoose Goose Duckをリリースした若いチームである。
資金調達の話を少し。Gaggle Studiosは200万ドルの外部資金をMakers Fundから調達している。これは「ゲームの開発スピードと品質を上げ、チームを拡大するため」とされている。インディースタジオとしては積極的な資金調達で、単なる同人作品ではなくビジネスとして本気で取り組んでいることがわかる。
2023年1月の爆発的ヒットは、Gaggle Studiosにとっても予想外のことだったと思う。1日で数十万人がサーバーになだれ込み、接続が落ちた。小さなインディーチームにとって、これは試練であり同時にチャンスだった。対応が後手に回ったと批判する声もあったが、開発チームが迅速にサーバー増強と改善に動いてくれた結果、多くのプレイヤーが戻ってきた。
ヒット後もゲームが続いているのは、チームが諦めずにアップデートを続けた結果だ。ゴジラコラボマップのような大きな企画を通せているのは、ヒットによって得た信頼とリソースがあるからだろう。インディーチームが世界的なIPとのコラボを実現するのは簡単ではない。

Doki Doki Literature Clubを作ったTeam Salvatoのように、少人数のインディーチームが世界的なバズを生むことがある。Gaggle StudiosのGoose Goose Duckはその系譜に入るひとつの例だ。
「友達がいれば」という条件の重さ
このゲームを本当に楽しむためには、一緒に遊ぶ友達が必要だ。これは当たり前に聞こえるが、意外と大事な前提だ。
5人いれば成立する。最小5人というルールは、決して高いハードルではない。ゲームをよくやる友達グループなら、LINEやDiscordで呼びかければ5人くらい集まることが多いと思う。そこにスマホしか持っていない友達も入れられる。
問題は「5人を集める労力」だ。全員のスケジュールが合う時間を作り、ゲームをインストールして、部屋に招待して——これが週1や月1くらいのペースでできれば、このゲームはかなりの時間を楽しませてくれる。逆に「毎日ソロで遊びたい」タイプには向かない。
コミュニティを探す手もある。Reddit(r/GooseGooseDuck)やDiscordの日本語コミュニティサーバーに参加して、一緒に遊ぶ人を探す。ピーク時と比べてコミュニティの活気は落ちているが、それでも定期的に遊んでいるグループは存在する。
「知らない人とオンラインで声を出して遊ぶのは抵抗がある」という人もいると思う。そういうタイプには正直向かないかもしれない。このゲームはコミュニケーションそのものが遊びの核だから、黙って遊ぶのは難しい。

Golf It!のようなカジュアルマルチと同じく、Goose Goose Duckも「友達と遊ぶとき用のゲーム」として機能している。ただGolf It!が黙ってても楽しいのに対し、こっちは声を出すことが前提だ。グループの相性によっては、Golf It!を先にやってから段階的にGoose Goose Duckに移行するという流れも使いやすいと思う。
今から始める人へ——最初の遊び方ガイド

実際に始めようとしている人向けに、最初の遊び方を書く。
インストールと初期設定
SteamからGoose Goose Duckを検索して無料でダウンロード。スマホの場合はApp StoreまたはGoogle PlayからDL。どちらもアカウント作成が必要だが、Steamアカウントを使えるので新規登録は最小限で済む。
起動したらまず「設定」から言語を日本語に変更する。設定画面のLanguageから「Japanese」を選ぶと、インターフェースが日本語になる。役職説明なども日本語で読めるようになるので、最初に必ずやっておこう。
最初のゲームはシンプルに
5〜8人の友達で部屋を作り、役職設定は最小限にしてスタートすることをおすすめする。「クラシック」モードで、役職は「素のガチョウとアヒルだけ」または「霊媒師1人だけ有効」くらいのシンプルな設定が最初はいい。
なぜかというと、最初から44種類の役職が全部有効だと、誰が何の役職なのかわからないままゲームが終わってしまうことがある。「あの人が死んでた、なんで?どんな能力?」という状況が続くと楽しさが伝わりにくい。まずルールを把握してから、少しずつ役職を追加していく順番が楽しみやすい。
ボイスチャットの設定
設定画面でマイクの入力デバイスを選択する。「Push to Talk(PTT)」か「ボイスアクティベーション」かを選べる。PTTはキーを押している間だけ送話するモード。会議室や静かな場所でのプレイならボイスアクティベーション、背景雑音が多い環境ならPTTが使いやすい。
近接チャットをオンにすると、マップ内で物理的に近いプレイヤーの声しか聞こえなくなる。これを使うとゲームのリアリティが格段に上がる。最初は「全員に声が届く」設定のほうがわかりやすいかもしれないが、慣れたら近接チャットに切り替えてみてほしい。全然違う体験になる。
タスクの基本
マップに入ったら、画面端に表示されるタスクリストを確認する。!マークがついている部屋に移動してミニゲームをこなすことでタスク完了になる。タスクの内容はマップによって異なるが、基本的には「ワイヤーを繋ぐ」「スイッチを押す」「ゴミを捨てる」といった単純な操作が多い。
アヒル(人狼側)に割り振られたときは、タスクをやっているふりをすることが大事だ。タスクエリアで止まって操作しているように見せながら、実際には何もしないという演技が求められる。あからさまにタスクをしていないのがバレると、「あいつタスクしてなかったよ」と会議で指摘される。
会議でのコツ
初心者にありがちなのが「何も発言せずに終わる」こと。アヒルだとバレたくなくて発言を避けると、逆に「あいつ黙ってる、怪しい」となる。ガチョウなら積極的に「自分はここにいた」「あそこで誰かと一緒にタスクしてた」という情報を出す。アヒルなら「自分はあそこにいた」という嘘のアリバイを自然に作る。
最初は下手でも全然いい。このゲームは「嘘をつく」「見抜く」という非日常の体験ができる場所だ。ボロを出して吊られても、それが笑いに変わる。「さっきの嘘バレバレだったよ!」と言われながら楽しむゲームだ。
ソーシャルディダクションゲームというジャンルについて
Goose Goose Duckが属する「ソーシャルディダクションゲーム(社会的推理ゲーム)」というジャンルについて少し書く。
このジャンルの元祖は「人狼」というカードゲームだ。村人と人狼に分かれて、議論と投票で人狼を追放するシンプルなゲーム。1997年にロシアで作られ、日本には2000年代に「汝は人狼なりや?」として広まった。
デジタルゲームとしてはAmong Usが2018年にリリースされ、2020年のコロナ禍での世界的流行で爆発的に普及した。「スペースシップの中でタスクをこなしながら裏切者を探す」というビジュアルと操作感が、人狼ゲームのデジタル化として完成度が高かった。
Goose Goose Duckはそのフォロワーとして2021年に登場し、「Among Usが解決しなかった痒いところに手が届く」という評価を得た。ゲーム内ボイスチャット、豊富な役職、第三陣営の存在——これらはAmong Usにはなかった要素だ。
このジャンルのゲームに共通する特徴は「人間同士のコミュニケーションがゲームの核になる」点だ。プレイヤーのスキルの差よりも、その日の「騙し方」「疑い方」「説得の上手さ」のほうが結果に影響する。だから強いプレイヤーが毎回勝つわけではなく、初心者が偶然うまく騙しきって勝利することもある。それが「誰でも楽しめる」理由になっている。

ICARUSのように技術やリソース管理で差がつくゲームとは対極的に、Goose Goose Duckは「誰もが主役になれる可能性がある」という公平感がある。それがパーティゲームとして機能する理由だと思う。
まとめ——今でも遊ぶ価値はあるのか
Goose Goose Duckについて正直に書いてきた。最後に「今から遊ぶ価値があるか」をまとめる。
ある。ただし条件付きだ。
「友達が5人以上集まる機会があって、声を出して騒げる環境がある」ならば、今から始めても十分楽しめる。完全無料で始められるので試すリスクはゼロだ。まずダウンロードして、友達を集めて1ゲーム遊んでみてほしい。そこで面白いと感じたら続けばいい。
「ひとりでコツコツ遊びたい」「野良マッチで日本人と遊びたい」という目的には向かない。Publicマッチには日本語プレイヤーが減っていて、ソロプレイの要素もない。用途に合わない。
ゲームとしての完成度は高い。44種類の役職、複数のマップとゲームモード、クロスプレイ対応、無料という条件を揃えているゲームはなかなかない。BTSのV効果で世界中に広まった2023年1月は特別な時期だったが、それ以前から遊んでいたプレイヤーが「面白いゲームだ」と言い続けていたのも事実だ。
ヒットには運もある。でもGoose Goose Duckがここまで広まったのは、運だけではなくゲームそのものの面白さがあったからだと思う。BTSのファンが入ってきたとき、多くの人が「面白いからやめられない」と残った。それは偶然ではない。
人狼系のゲームがそもそも好きなら、試さない理由がない。タダで始められる。友達を集めて、マイクをオンにして、「こいつがアヒルだ!」と叫んでみてほしい。騙される快感も、見抜く快感も、両方味わえる。
「Among Usよりずっと面白い。役職が多いから毎回違う展開になるし、ボイチャがそのままできるのが最高」
引用元:Steamレビュー(日本語プレイヤー)
2023年1月のあの熱狂はもう戻らない。でも、友達と一緒に遊ぶ楽しさは変わっていない。Goose Goose Duckは今でも、そのための場所として機能している。
Goose Goose Duck
| 価格 | 基本無料 |
|---|---|
| 開発 | Gaggle Studios, Inc. |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac |
| プレイ形式 | マルチ |

