The Outlast Trials|友達と地獄の実験施設を生き延びるCo-opホラー
The Outlast Trials|友達と地獄の実験施設を生き延びるCo-opホラー
最初の夜、友達3人と一緒にThe Outlast Trialsを起動した。「Co-opホラーって感じかな〜笑えるくらい怖いやつでしょ」と高をくくっていた自分たちが、30分後には4人全員で声を出さないよう手で口を塞いでいた。画面の中のキャラクターが怖いのではなく、マイクから流れてくる仲間の掠れた声が、逆に自分の心拍数を上げていた。
「……後ろにいる?」「いない、はずだけど……」「走って!!」
その後の15秒は記憶があいまいだ。気づいたら4人のうち2人がポッドに閉じ込められていて、残りの2人は施設の隅っこに縮こまっていた。怖かったけど、笑えなかった。これが本物のCo-opホラーだと思った。
The Outlast Trialsは、2024年5月5日に正式リリースされたRed Barrelsのゲームだ。Outlastシリーズとして知られる本格ホラーの系譜に連なる作品で、これまでのシリーズ作とは根本的にゲームの形が変わっている。最大4人で遊べるCo-opサバイバルホラーだ。
Steamレビューは3万件を超え、「好評」を維持し続けている。Co-opホラーというジャンルの中でも特に「本格的な怖さ」と「仲間と遊ぶ楽しさ」を両立させた作品として、独自の評価を得ている。
この記事では、The Outlast Trialsの魅力と中毒性の正体、ゲームシステムの詳細、そして怖さと楽しさのバランスを正直に掘り下げていく。シリーズを初めて知る人にも、従来作のファンにも届くよう丁寧に書いていく。
「The Outlast Trials」公式トレーラー
Outlastシリーズとは何か——TrialsはどこがこれまでのOutlastと違うのか

The Outlast Trialsを語る前に、シリーズのことを少し説明しておく。
Outlastシリーズは2013年に始まった一人称視点のホラーゲームシリーズで、カナダのインディースタジオ「Red Barrels」が手がけている。第1作はMount Massive Asylum(マウント・マッシブ精神病院)を舞台に、フリーランスジャーナリストがひとりで恐怖に立ち向かうゲームだった。精神病院の廊下を懐中電灯もなく、カメラのナイトビジョンだけを頼りに這いずり回りながら巨大な患者から逃げる——という体験は、当時のホラーゲームの中でも群を抜いていた。
このシリーズの最大の特徴は「武器がない」こと。
主人公は戦えない。施設内を徘徊する凶暴な患者たちから逃げ、隠れ、やり過ごすしかない。手に持てるのはビデオカメラだけで、暗い施設内ではそのナイトビジョンモードが唯一の光源になる。カメラにはバッテリーがあり、使いすぎれば切れる。切れた瞬間の暗闇は、それだけで心臓が止まりそうになる。
この「無力感」こそがOutlastシリーズの核心だ。何もできない恐怖。逃げることしか選択肢がない絶望感。それがプレイヤーに強烈な印象を残してきた。「どんなに頑張っても戦えない」という状況は、現実に感じる恐怖——災害や暴力から逃げるしかない状況——に近く、プレイヤーのアドレナリンを本物のレベルで引き出す。

第1作のOutlastはSteamでも「圧倒的に好評」を獲得し、ホラーゲーム界でひとつの基準になった。FNAFやAmong The Sleepなど、その後のインディーホラーに与えた影響は計り知れない。続く「Outlast 2」(2017年)は農村を舞台にした宗教的恐怖を描き、より複雑なストーリーとともに高い評価を得た。2023年にはDLC的な位置づけの作品「Outlast Trials」が早期アクセスとして登場し、正式版は2024年5月にリリースされた。
Trialsは何が変わったか。
シリーズ初のCo-opホラーになった。最大4人で同じ施設に入り、協力しながらミッションをこなしていく。
「Co-opにすることで怖さが失われるんじゃないか」という懸念を最初に抱いた。仲間がいれば安心できる、と思うのは自然な発想だ。でもこのゲームは、仲間がいることで恐怖の質が変わる設計になっている。怖さが消えるのではなく、怖さの種類が増える。「自分が怖い」に加えて「仲間を心配する恐怖」が乗っかってくる。
ゲームとしての方向性が変わった代わりに、「武器が持てない」「逃げるしかない」というシリーズのDNAは完全に引き継がれている。
ゲームの基本——冷戦時代の秘密施設で「治療」を受ける

The Outlast Trialsの舞台は冷戦期(1950〜60年代)のアメリカ。悪名高きMurkoff Corporationという企業が運営する秘密実験施設「Sinyala Facility(スィニャラ施設)」が舞台だ。
プレイヤーは「被験者(Test Subject)」として施設に連れ込まれ、Murkoff社が設計した「治療プログラム」に強制参加させられる。
「治療プログラム」——この言葉の欺瞞さがこのゲームの雰囲気を象徴している。
施設のスタッフは至って冷静な口調で「あなたは自分の意志でここに来た」「これは治療です」「プログラムを完了すれば自由になれる」と繰り返す。白衣を着た人物が穏やかな笑顔で「今日も治療を頑張りましょう」と言う。その言葉とは裏腹に、課されるのは地獄のような試練の数々だ。
このコントラストが、ゲームに独特の狂気を与えている。怒鳴られたり暴力を振るわれるよりも、穏やかな口調で理不尽を押し付けられる方が怖い場合がある。このゲームはそのことをよく理解している。
ゲームの目的は、各トライアル(試練)をクリアして施設から脱出すること。だがその道は長く、試練のたびに恐怖と隣り合わせになる。Murkoff社は最終的に何を目的としているのか——それはドキュメントやストーリーを通じて徐々に明らかになっていく。
拠点エリア:スリーピングクォーターズ
プレイヤーが生活(というか閉じ込められている)する「スリーピングクォーターズ(宿舎)」が拠点エリアになる。ここがCo-opのロビーに相当し、他のプレイヤーと合流したり、次のトライアルを選んだり、スキルや装備を整えたりする場所だ。
この拠点エリアがただのメニュー画面ではなく、「施設の一部」として機能していることがこのゲームの特徴だ。ウロウロと歩き回ると、Murkoff社のプロパガンダポスターや不気味な実験記録が随所に散らばっている。壁に貼られた「健康こそが服従」「明日への第一歩を踏み出そう」というスローガンが、施設の本質を端的に表している。
ゲームが始まる前から雰囲気が出ている。フレンドを待っている間、拠点の廊下を歩いているだけで不気味な空気が漂ってくる。それだけでもこのゲームの作り込みが伝わってくる。他のプレイヤーの被験者が歩いているのを見ると「同じ境遇の仲間がいる」という妙な安堵感があるが、同時に「ここから出られない人間の群れ」という閉塞感も感じる。
トライアルの構造と目標
各トライアルには「タスク」と「クリア条件」が設定されている。
タスクの例を挙げると、「この区画のスイッチを4つすべて入れる」「特定のアイテムを指定場所に届ける」「証拠書類をシュレッダーにかける」「ドアの電源を入れて出口を開ける」「配管を修復して施設の機能を回復させる」——といった種類がある。
一見シンプルに聞こえるが、問題はこれを「敵が徘徊している中でこなさなければならない」ことだ。
スイッチを入れると音が鳴る。音を聞いた敵が集まってくる。集まってきた敵を避けながら次のスイッチに向かう必要がある。しかし次のスイッチのそばには敵が巡回している。待てど巡回が終わらない。時間を使えば使うほど精神的なプレッシャーが増していく。
このシンプルな構造が、プレイするたびに毎回異なる緊張感を生み出す。Co-opでは役割分担が自然に発生し、「お前が2つのスイッチをやれ、俺が残り2つをやる、残り2人は敵の注意を引け」という作戦が立てられる。でも作戦通りにいかないのが常で、「囮のはずだった2人が捕まって、逆に作業要員が助けに行くことになる」という展開がざらにある。
アイテムシステム
施設内を探索すると、さまざまなアイテムが見つかる。
治療薬(Syringe)はダメージを受けたときに回復できる注射で、自分だけでなく仲間に使うことも可能だ。「俺よりお前の方が危ない状態だから使え」というやり取りが自然に発生し、Co-opの連帯感が生まれる。カプセル(Capsule)は一時的にスタミナが増加し、逃げ切りたいときに使う。バッテリーはナイトビジョンカメラの電池補充用で、Co-opでは分担して持ち合うことが重要な戦術になる。
アイテムのやり取りがCo-opの醍醐味のひとつで、「俺が治療薬多めに持ってるけど、そっちにいる?」「バッテリー持ってるやつ来てくれ、カメラ切れそう」という会話が自然に発生する。
ランダム要素と毎回変わる体験
施設内のアイテム配置、一部の敵の巡回ルート、扉の状態など、毎回プレイするたびに変化する要素が組み込まれている。「前回はここにバッテリーがあった」という記憶が通用しないため、何度やっても初見に近い緊張感が続く。
ランダム要素があることで、攻略パターンを丸暗記して作業的にクリアするという遊び方がしにくい。常にアドリブ力が試され、チームでのリアルタイムコミュニケーションが必須になる。逆にいえば、同じトライアルを10回やっても毎回状況が変わるため、飽きにくい設計になっている。
敵キャラクター——恐怖を体現する3体の怪物とその背景
The Outlast Trialsには、それぞれ異なる特性を持つ主要な敵キャラクターが登場する。単なる「追いかけてくる敵」ではなく、それぞれ固有のコンセプトとバックストーリーがある。ゲームを進めてドキュメントを読み解いていくと、彼らへの感情がただの恐怖だけではなくなってくる。
リゴアー(Rigour)
スタンドアップコメディアンの衣装を着た大柄な男。見た目からしてすでに不穏だ。かつてはコメディアンとして人を笑わせていたと思われる人物が、Murkoff社の実験によってこの姿になった——という背景が、ドキュメントを集めると浮かび上がってくる。
リゴアーの特徴は「手持ちのランタン」だ。このランタンで照らされると発見されやすくなる。暗闇に隠れることがこのゲームの基本戦略のひとつだが、ランタンを持ったリゴアーの存在が暗闇への安心感を奪っていく。「暗い場所にいれば安全」という思い込みを、このキャラクターが壊してくれる。
また、リゴアーはプレイヤーをポッドに閉じ込めた後、そのポッドを別の場所に移動させることがある。「さっきそこにいたはずなのに……」と救助に向かったら、ポッドごと移動されて仲間の場所がわからなくなる。焦りが混乱を生み、その混乱が次の被害につながる。焦って走ると音が出て敵に気づかれる、という悪循環に入り込みやすい。
リゴアーの巡回は比較的ゆったりとしているが、その分「ゆっくりと迫ってくる圧迫感」がある。遠くにランタンの光が見えた瞬間の「来る……」という感覚は何度やっても慣れない。
マザー(Mother)
シリーズの中でも特に強烈なキャラクターだと個人的に思っている。
怒れる母親というコンセプトで、外見は老婆的な女性だが、動きが異常に速い。リゴアーが「ゆっくりと迫ってくる圧倒的な存在感」だとすれば、マザーは「瞬時に距離を詰めてくる恐怖」だ。遠くから見えた次の瞬間には、もう目の前にいる——そんな体験が複数回あった。
マザーが担当するトライアルでは、騒音を立てることが特に致命的になる。走ったり、ガラスを割ったり、ドアを乱暴に開けたりすると即座に反応してくる。Co-opでプレイしていると、誰かひとりがドタドタと走り回ったせいで全員が追いかけられる、という状況が笑えないリアルさで発生する。
マザーが後ろにいるのに仲間が普通に走ってきた。全員巻き込まれて全滅した。引き寄せたのお前じゃんって言ったら「だってパニックになったから」って。チームプレイが試されるゲームだよこれ。
マザーが怖いのは速さだけじゃない。「音に敏感」という設定が、プレイヤーの行動を根本的に縛ってくる。「あの場所に行きたいけど、走って音を立てたらマザーが来る」というジレンマが常に頭の中にある。緊張感の中で「慎重にやるか、速くやるか」を選択し続けることが、このゲームの本質のひとつだ。
ファド(Padre)
神父の格好をした大柄な男で、宗教的なモチーフを持つキャラクター。施設の中でも特に閉鎖的な空間でのトライアルを担当することが多い。
聴覚が鋭く設定されており、音への反応速度が高い。エリア内のランダムな場所に配置された「告解室」をチェックしながら巡回するため、隠れ場所の選択が重要になる。
「隠れればいい」とはならないのがポイントで、定期的に告解室をチェックするファドの巡回パターンを把握した上で、タスクを進めるタイミングを計る必要がある。「この部屋に入るには、告解室の巡回タイミングを逆算して動く必要がある」という知的なパズル的要素をファドは提供してくれる。
ファドのビジュアルは独特だ。神父の衣装と巨体の組み合わせが、宗教的な狂気を体現していて、「こんな人物に追いかけられているのか」という不条理感が強い。
3体とも、「見つかったときの追いかけっこ」の迫力が半端ない。足音が近づいてくるだけで手に汗をかく設計になっている。そして見つかった後の逃走劇は、毎回ドラマチックな展開になる。
「捕縛と救出」——Co-opの核心にあるシステム

The Outlast Trialsのゲームデザインで特に重要なのが「捕縛と救出」のシステムだ。
敵に捕まったとき、このゲームでは即死にならない。「ポッド(檻のような容器)」に閉じ込められた状態になる。
ポッドの中では動けないが、周囲を見回すことができる。敵がどこにいるか、仲間がどこを歩いているかを観察できる。そしてポッドの中から声を出して仲間に状況を伝えることができる。
ポッドから脱出するためには、他のプレイヤーが近づいてインタラクションする必要がある。自力では脱出不可能だ。
この仕組みが、毎回劇的なシーンを生む。
仲間がポッドに捕まっている。周囲に敵が徘徊している。助けに行くには敵の目をかいくぐらなければならない。でも助けに行かなければ仲間は永久に閉じ込められたまま——というジレンマが常に起きている。しかもリゴアーはポッドごと別の場所に移動させることがある。助けに行ったらポッドがない、という状況もゲーム内で起きる。
捕まってポッドから「左に来てる!左!!」って叫んでたら、仲間が「どっちの左だ!」って言いながら正面に走っていった。最後まで助けに来なかった。でも自分のせいで全滅するよりマシだったと思う。たぶん。
「見守り」という役割がこのゲームで生まれる点も独特だ。ポッドの中に閉じ込められているプレイヤーは、外の状況を把握して声で誘導できる。「右の角の影に隠れて!」「敵が行ったぞ、今だ!」という情報を外に伝えることで、ポッドに入ってからの方が役に立てる場面すら出てくる。
この「捕まっても参加できる」設計が、Co-opの密度を高めている。死んで観戦するだけじゃなく、積極的に仲間の助けになれる。捕まった状態から最終的にチームのクリアに貢献できたとき、ゲームに参加し続けていた実感と達成感が得られる。
ポッドの中からずっと「そっちじゃない、奥に行け」って指示を出してたら、仲間が全員タスク完了してくれた。自分はずっとポッドの中だったのにクリア画面を一緒に見れた。なんか感動した。
ポッドシステムがあることで、「仲間を見捨てるか助けるか」という重大な選択が繰り返し生まれる。これが友達とのプレイに「語り草になるエピソード」を大量に生み出す原動力になっている。

ゲームの緊張感——「戦えない」からこそ生まれる独特のプレッシャー
The Outlast Trialsには武器がない。
これはシリーズを通じた一貫したデザイン選択だ。プレイヤーは敵を攻撃できない。できることは「隠れる」「逃げる」「やり過ごす」の3択だけだ。
「戦えないホラーゲームのどこが面白いのか」と思う人もいるかもしれない。でも実際にプレイすると、この「戦えない」という制約が生み出す緊張感の質が、他のゲームとは根本的に違うことに気づく。
戦えるゲームであれば、敵に見つかったとき「やり合えばいい」という選択肢がある。緊張感はあるが、手段がある。
戦えないゲームでは、見つかったときの選択肢が「逃げる」しかない。逃げ切れなければ捕まる。捕まったら仲間に助けてもらうしかない。手段が限られているから、「見つかってはいけない」という意識が自然に生まれ、それが常に緊張感を維持させる。
タスクと恐怖の同時進行
このゲームの設計で特に巧みなのが、「タスクをこなしながら恐怖に対応する」という二重の要求だ。
隠れているだけではクリアできない。タスクを進めるためにはどこかで行動しなければならない。でも行動すると音が出て、敵に気づかれやすくなる。
「このスイッチを入れたい。でも敵が近くにいる。どのタイミングで動くか——」という判断を、仲間と共有しながらリアルタイムで下し続ける。この「判断の連続」がゲームの中毒性の正体だと思っている。
Co-opでは、この判断を全員で共有できる。「今いける?」「待って、まだ敵がいる」「じゃあ俺が先に出て引きつける。その間に行け」——こういう会話がゲームプレイを豊かにする。そしてその計画が予定通り行かないときに生まれる混乱が、最も強く記憶に残る体験になる。
クリアしたときの達成感が大きいのは、この判断の積み重ねがあるからだ。ボスを倒した達成感ではなく、「あの状況を乗り越えた」という緊張感の解放から来る達成感だ。
ナイトビジョンカメラと暗闇
シリーズ伝統のナイトビジョンカメラがTrialsにも搭載されている。
暗い施設内では、カメラのナイトビジョンモードが頼りになる。ただしカメラにはバッテリーがあり、使いすぎると切れる。施設内にはバッテリーが落ちているので補充できるが、バッテリー切れのタイミングで敵が近くにいた場合の絶望感は格別だ。
「ナイトビジョンをオンにするか、バッテリーを温存するか」という選択も常に頭の片隅にある。点けていれば見やすいが、消耗する。消してしまうと暗くて怖いが、バッテリーが持つ。この小さなジレンマがゲームの緊張感を底上げしている。
Co-opでは、バッテリーの共有・分担ができる。「俺のカメラで照らすから、お前が先に行って」という連携が自然に生まれる。ソロでは単なる制約だったものが、Co-opでは戦術的な要素に変換されている。
音響設計の精度と立体感
The Outlast Trialsのホラー演出で特に優れているのが音だ。
敵の足音、金属のきしみ、遠くから聞こえる呟き——音だけで「何かがいる」ことがわかる。「足音が聞こえた」という情報だけで心拍数が上がる設計になっている。
足音が近づいてくる→さらに近くなる→目の前に敵、という展開よりも、「足音が聞こえる……どこから来てる……近づいてくる?」という不確かな予兆の時間が、むしろ一番怖い。このゲームはその「予兆の恐怖」をよく理解して音響を設計している。
ヘッドフォンでプレイすると、立体音響により敵の位置を音だけでおおよそ把握できる場面がある。同時に、ヘッドフォンだと怖さも倍になる。試しにヘッドフォンで深夜にプレイしてみてほしい。部屋の静かさと画面内の音が合わさって、本当に施設にいるような感覚になってくる。
音楽についても触れておきたい。ゲーム内の環境音と音楽の使い方が絶妙で、敵が近づいているときの緊張感を高める音楽が自然に流れ出す。「あ、この音が聞こえてきたら敵が近い」という条件反射がプレイヤーに生まれ、それがまた次のプレイの緊張感につながる。

難易度システム——長く遊べる仕組みとやりがいの設計

The Outlast Trialsには、段階的な難易度システムが用意されている。ただクリアするだけでなく、難易度を上げることで新しい体験が解放される設計だ。
通常モード
まずは通常のトライアル。このゲームの基本を学びながら施設に慣れていく段階だ。ミスをしても何度でも挑戦できる。初めてやる人でも焦らずゲームを理解できる設計になっている。
とはいえ、通常モードだからといって緊張感がないわけではない。初めて各敵キャラクターに追いかけられるときの恐怖は、難易度に関係なく本物だ。最初のリゴアーに追いかけられたとき、パニックになって変な方向に走り込んで結果的に捕まる、という経験は誰でもする。
通常モードをある程度こなすうちに、敵の動きのパターンや施設のレイアウトに慣れてくる。慣れてきたと感じたところで次の難易度に進む——このタイミングを自分で判断できるのが、このゲームの難易度設計の良いところだ。
Stygian Mode(スティジアンモード)
通常モードをクリアした後に解放される高難易度モード。ここから本番と感じるプレイヤーが多い。
このモードでは「精神的体力(メンタルヘルス)」というパラメータが導入される。ミスをするたびに精神的体力が減っていき、ゼロになるとそのセッション全体をやり直すことになる。
精神的体力の表現が秀逸で、数値が下がるにつれて画面の見え方が変化する。ノイズが増え、幻覚的な演出が加わり、現実と幻視の境界が曖昧になっていく。ゲームが「被験者の精神状態の悪化」を視覚的に表現しているわけで、ゲームメカニクスと世界観が一致している。
仲間ひとりのミスが全員のリスタートにつながるため、プレッシャーの質が変わる。「俺のせいで全員やり直しになった」という罪悪感がプレイヤーを慎重にさせ、慎重さがまた別の緊張感を生む。「失敗できない」という心理的プレッシャーが加わるだけで、同じトライアルが全然違うゲームに見える。
Hardcore Mode(ハードコアモード)
さらに上の難易度。Stygian Modeの制約に加え、追加のペナルティが課される。
このモードは、ゲームを十分に理解したプレイヤー向けだ。敵の動きのパターンを把握し、施設のレイアウトを熟知した上でも失敗する。クリアしたときの達成感は格別だが、その分チームが解散の危機を迎える可能性も高い。「友達関係が試されるモード」と言っている人がいたが、あながち冗談じゃない。
スキルツリー:リジリエンス
ゲームを進めるとスキルポイントが得られ、「リジリエンス(Resilience)」と呼ばれるスキルツリーにポイントを振ることができる。
取得できるスキルの例として、スタミナ増加(より長く逃げられる)、アイテムの使用速度向上(素早く回復できる)、ポッドからの耐久力向上、特定の敵に対する耐性などがある。
スキルツリーがあることで「成長」の感覚が生まれ、同じゲームを繰り返すモチベーションになる。「このスキルが解放されれば、あの場面が少し楽になる」という前向きな動機が生まれる。また、仲間と「どのスキルを誰が取るか」という役割分担を話し合うことで、チームプレイの戦略性が増す。
ソロプレイの評価——ひとりでやるとどうなるか正直に書く
Co-opゲームだが、ソロプレイにも対応している。
正直に言う。ソロは難しい。設計がCo-op前提になっている部分があり、ひとりだと純粋にシビアな体験になる。
Co-opでは役割分担ができる。4人いれば複数のタスクを同時進行できるし、ひとりが敵を引きつけている間に別の作業ができる。ポッドに捕まっても仲間が助けに来てくれる。会話の中で情報共有できるから、敵の位置を全員が把握できる。
ソロでは全部ひとりでこなす必要がある。タスクを分担できないので、敵の目をかいくぐりながらひとつひとつ順番に完了させる必要がある。ポッドに捕まれば即失敗に近い状態になる。情報は自分の視界と聴覚だけが頼りだ。
とはいえ、ソロにしかない体験もある。
誰もいない施設の中で、足音だけを頼りに敵の位置を推測しながら進む——その緊張感は、Outlastシリーズが原点から大切にしてきた「孤独の恐怖」に近い。Co-opでは笑えてしまう場面も、ソロでは笑えない。仲間の悲鳴で紛れていた恐怖が、ソロだと直接自分に向かってくる。
「シリーズの怖さをもう一度味わいたい」という人には、ソロでTrialsをプレイするのが意外と近道かもしれない。Stygian Modeをソロでクリアできたとき、Co-opクリアとはまた違う達成感がある。
ソロでStygian Modeやって途中で手が震えてきた。Co-opと全然違う体験。こっちの方が「ホラーゲームやってる」って感じがする。

ストーリーと世界観——Outlastユニバースの中での位置づけ

The Outlast Trialsは、Outlastシリーズの「前日譚」に位置する作品だ。
時代設定は冷戦期。Murkoff Corporationは既に秘密裏に人体実験を行っており、その施設のひとつがゲームの舞台となるSinyala Facilityだ。最終的にMurkoff社が何を目的としているのか——そのビジョンの一端が、このゲームを通じて明らかになっていく。シリーズ全体の世界観を知っている人にとっては「あ、ここで繋がるのか」という発見があるし、初めて触れる人にも独立したストーリーとして楽しめる。
世界観の理解はシリーズ知識があると深まるが、Trialsから入っても問題ない。ゲームとして楽しむだけなら予備知識不要だ。ただ、「この組織は何をしようとしているのか」「被験者たちはなぜここに連れてこられたのか」を深く知りたいなら、シリーズを通して触れることをすすめたい。
コレクタブルドキュメントで解明される真実
施設内には「ドキュメント(書類)」が散らばっている。拾って読むことで、ゲームのストーリーが断片的に明らかになっていく。
Murkoff社が何を目的としているのか。被験者たちはどのような経緯でここに連れてこられたのか。施設のトップたちはどんな人物なのか。敵キャラクターたちはどうしてこうなってしまったのか——これらは施設内を丁寧に探索することでしか手に入らない情報だ。
Co-opで遊んでいると探索が疎かになりがちだが、一度はソロで丁寧に施設を歩き回ってドキュメントを集めてみることを強くすすめたい。ゲームの怖さが、単なるモンスターの存在感から「この組織全体の狂気」へと拡張される体験ができる。
ドキュメントの文章が秀逸で、「これを書いた人間はどんな感情でこれを書いていたのか」を想像させる内容になっている。施設内で実験記録を書き続けた研究者の視点から見ると、このゲームの恐怖が別の次元に変わる。
敵キャラクターの悲劇性
リゴアー、マザー、ファドの3体はただの怪物ではなく、それぞれMurkoff社によって実験された被害者として描かれている。
追ってくる恐怖の裏に「なぜ彼らはこうなったのか」というバックストーリーがある。ドキュメントを読み解いていくと、追われる恐怖と同時に彼らへの哀れみが混在するような、複雑な感情が生まれる。怒鳴りながら追いかけてくるマザーに「あなたにも辛い過去があったんだな」と思う瞬間が来る。それがゲームの恐怖をより豊かなものにしている。
Red Barrelsはこのシリーズを通じて、「モンスターにも物語がある」という世界観を一貫して作り続けてきた。単純な怪物退治ではなく、複雑な感情を抱えさせるホラー体験——それがこのスタジオの強みだ。
Murkoff社の狙いとエンディングへの道
ゲームを通じて徐々に明らかになっていくMurkoff社の目的は、単なる残酷な実験というレベルを超えている。
「治療」という名目で何を達成しようとしているのか、その目的の全貌はゲームを最後までプレイすることで輪郭が見えてくる。そしてその目的が明らかになるにつれ、「治療プログラム」という言葉の意味が変わっていく。プレイヤーは最終的に、「被験者として何をさせられていたのか」を知ることになる。

Co-opだから生まれる「あの瞬間」——実際の体験談
The Outlast Trialsで仲間と遊ぶと、必ずと言っていいほど「語り継がれるエピソード」が生まれる。いくつか実際の体験を共有したい。
最初のトライアルで、4人中3人がスイッチを入れようとして同時に敵の音に気づいた場面があった。誰も動けない。敵の足音が近づいてくる。Discordで「どうする、どうする」と小声で相談していたら、足音が遠ざかっていった。「行った?」「行ったっぽい」「じゃあ今!」——4人が同時に動いた。
スイッチを入れた音で敵が戻ってきた。バタバタと逃げる4人。うち1人が角でつまずいてポッドに捕まった。残り3人でタスクを完了させて、最後にポッドを助けて脱出できた。
5分の体験だが、終わったあとに全員で「やばかったな」と言い合った。
怖いのに「あのときどうしようかと思った」って笑い話になるのがこのゲームの不思議なところ。ソロだったら笑えないけど、仲間がいるからこそ笑える記憶に変換される。
Co-opホラーというジャンルで「笑い話になる恐怖」を提供できるゲームは珍しい。ただ怖いだけでなく、怖かった体験が仲間との共有財産になる。
別のエピソードでは、Stygian Modeで残り1ライフの状況で最終タスクに向かっていたとき、ひとりが音を立てて敵を引き寄せた場面があった。残り1ライフなので捕まれば全員リスタートだ。
「走れ!走れ!」と4人で叫びながら全力逃亡。なんとか全員逃げ切って、震える手でタスクを完了した。あの達成感は、難易度が高いゲームでしか味わえないものだ。クリア直後の「やったぁ!!」という叫び声がDiscordに溢れたのを今でも覚えている。
また別の夜、ソロで入ってきたプレイヤーとパブリックマッチングになった。言語が違って会話はできなかったが、エモートで「こっちに来て」「ここは危ない」をジェスチャーで伝え合いながらトライアルをクリアした。名前も知らない相手と、言葉なしで生き延びたあの感覚もこのゲームらしい体験だった。
似たゲームとの比較——Co-opホラーの中でどこに位置するか

Co-opホラーというジャンルには、いくつかの有名タイトルが存在する。The Outlast Trialsはその中でどこに位置するか、他のゲームと比べながら整理してみたい。
Lethal CompanyやR.E.P.O.はCo-opホラーとして人気だが、あちらは「笑えるカオス」が主軸だ。怖いけど笑える、という体験が魅力で、ホラーというよりも「コメディ寄りのCo-opサバイバル」という印象が強い。プレイヤーたちが予期せぬ事故を起こして全員で笑い転げる、そういう楽しさがあるゲームだ。
The Outlast Trialsは違う方向を向いている。「本気で怖い体験を、仲間と分かち合う」ことに特化している。笑える瞬間もあるが、それよりも「本当に怖かった」「あの瞬間は手が震えた」という記憶が残る方向だ。
ホラーとしての品質と、Co-opのゲームデザインを両立させているという意味で、The Outlast Trialsはこのジャンルの中でも本格的な位置にある。
Sons of the Forestのような「自然の中のサバイバルホラー」とも性質が異なる。あちらはオープンワールドで自由度の高いサバイバルが楽しめるが、Trialsは施設内という閉鎖空間でのミッション攻略型だ。どちらが好みかは人による。
Cry of Fearのような「独自の怖さを持つインディーホラー」と比べると、Trialsはより洗練されたゲームデザインと高い制作水準がある。その分、インディーならではの荒削りな怖さという点では異なるアプローチだ。
Dead by Daylightのような非対称マルチプレイとも異なる。あちらはPvP要素(プレイヤーが鬼になる)があるが、Trialsは純粋なPvEで、全員が協力して乗り越えることが前提だ。敵との対峙の仕方が根本的に違う。Co-opの「共に戦う」感覚は、PvPとは完全に別の達成感につながる。
BioShockシリーズのような「世界観で魅せるホラー的FPS」と比較するなら、Trialsはプレイヤーの無力感をより強調する方向にある。BioShockは戦えるホラーだが、Trialsは戦えないホラーだ。世界観の作り込みという点では共通しており、どちらも「なぜこんな場所が存在するのか」という疑問をプレイヤーに与えることで、恐怖に知的な深みを加えている。
日本語サポートとオンライン環境について
日本語対応
公式に日本語対応している。テキスト(UI、メニュー、ドキュメントなど)が日本語で表示される。ゲーム内の会話音声は英語だが、字幕で日本語に対応しているため、ストーリーを追うのに困らない。
特にドキュメントが日本語で読めるのが重要だ。施設内に散らばった書類の文章がこのゲームの世界観を支えているため、日本語で読めることでその情報に気軽にアクセスできる。海外のホラーゲームでこのクオリティの日本語対応があるのは、日本のプレイヤーにとってありがたい点だ。
マルチプレイの仕組み
最大4人のCo-opで、フレンドを招待するプライベートロビーと見知らぬプレイヤーとマッチングするパブリックロビーの両方がある。
フレンドとのプレイはSteamのフレンド機能から招待する形が基本だ。パブリックマッチングは日本時間の平日深夜帯などは待機が長くなる場合がある。フレンドと一緒にプレイすることを前提に考えるのが安定している。
フレンドが2人しかいない場合、パブリックで残り1枠を埋める形でのプレイも可能だ。見知らぬプレイヤーとのCo-opはコミュニケーションが限定的になるが、エモートやテキストチャットで最低限の意思疎通はできる。
ボイスチャット
ゲーム内にボイスチャット機能があるが、DiscordなどのVCと併用するプレイヤーが多い印象だ。音質や安定性の面では外部ツールの方が優れているケースが多いが、ゲーム内VCだけでも基本的なコミュニケーションには問題ない。
ゲーム内VCを使う場合、近接ボイスチャット的な仕組みではなく全員に聞こえる形になっている(距離制限なし)。そのため、離れた仲間とも声での情報共有が常にできる。
推奨スペックと動作について
PCスペックについては、推奨環境を満たしていれば安定して動作する。グラフィック設定を上げるほど細部の質感が上がり、特に施設内の薄暗い空間の表現が良くなる。ホラーゲームの性質上、グラフィックをある程度高くして視覚的な作り込みを体感することをすすめたい。フレームレートは60fps以上確保できる環境であれば、アクション部分(逃走シーン)で詰まることはない。
プレイ環境として、暗い部屋でのプレイを推奨したい。明るい部屋では画面内の暗闇が見にくくなり、施設の雰囲気が半減する。部屋を暗くして、ヘッドフォンでプレイする——これだけでゲームの体験が格段に変わる。ホラーゲームとして正しく怖がるための環境設定をまず整えてほしい。ただし深夜のひとりプレイでこれをやると、本気で怖くなるのでご注意を。
カスタマイズと「被験者」としてのロールプレイ

The Outlast Trialsには、プレイヤーキャラクター(被験者)のカスタマイズ要素がある。
ゲームを進めてアンロックするコスメで、服装や外見の一部を変えることができる。施設の被験者という設定上、ド派手なコスチュームではないが、「同じ施設の中で自分らしさを少し出す」という楽しみ方ができる。「どうせ閉じ込められてるなら、せめて好きな格好で」というメンタルで選ぶコスメが妙に楽しい。
プレイアブルキャラクターには複数の被験者が用意されており、それぞれ固有のバックグラウンドがある。「なぜここに連れてこられたのか」という各キャラクターの物語が、コレクタブルアイテムなどで断片的に明らかになっていく。
好みのキャラクターを選んで施設内を歩き回るというロールプレイ的な楽しみ方は、世界観への没入感を高める要素になっている。「自分はこの被験者として生き延びる」という意識がゲームへの感情移入を強くする。
コスメの種類はアップデートを通じて継続的に増えており、シーズナルイベントでしか手に入らないアイテムも存在する。定期的にプレイし続ける理由のひとつになっている。

アップデートと長期的な楽しみ方
Red Barrelsは正式リリース後も継続的にThe Outlast Trialsのアップデートを提供してきた。
新しいトライアルの追加、シーズナルイベント(ハロウィン期間の特別試練など)、バランス調整、新しいコスメアイテムなど、ゲームの鮮度を保つための施策が定期的に実施されている。開発チームがコミュニティのフィードバックに一定の速度で反応してくれているため、「放置されているゲーム」という印象はない。
バグ修正や難易度調整も継続的に行われており、早期アクセス期間を経て正式リリースされたことで、ゲームとしての完成度は着実に上がっている。アップデートのたびにSteamの掲示板でコミュニティが反応するのも、このゲームへの愛着の強さを示している。
特にシーズナルイベントはプレイヤーのモチベーション維持に効いていて、「このイベント期間中にクリアしたい」という目標が自然に生まれる。限定コスメを手に入れるために久しぶりにログインする、という流れが定着している。
コミュニティはSteamフォーラムとDiscordが主な活動拠点で、攻略情報や新しいプレイヤーへの歓迎が行われている。「初めてやるんですけど一緒にやってくれる人いますか」という呼びかけにもレスポンスがある活発なコミュニティだ。
長期的な楽しみ方としては、各難易度を順番にクリアしていくことと、コレクタブルをすべて集めてストーリーを完全に把握すること、の2軸がある。どちらも相当のプレイ時間が必要で、100時間以上遊んでいるプレイヤーも珍しくない。
ゲームの評価——良いところも気になるところも正直に書く

The Outlast Trialsについて、良いところも気になるところも正直に書く。ポジティブなことだけ書くレビューよりも、「自分には合うのか」を判断するための情報が重要だと思っているので。
良いところ
Co-opホラーというジャンルの実装が、想像を超えていた。
「Co-opにすることで怖さが失われる」という心配があったが、このゲームはその懸念を的外れにする。仲間がいることで逆に怖さが増す場面が随所にある。仲間への責任感、「助けに行くか逃げるか」という選択、仲間の悲鳴が引き起こす感情——これは計算されたゲームデザインの産物だと感じる。
音響設計の質が高い。ヘッドフォンでプレイすると、足音や物音の方向感が立体的に感じられ、恐怖の質が格段に上がる。音だけで敵の位置を把握できる場面があるのは、音響設計のレベルが高い証拠だ。
世界観の作り込みが丁寧で、コレクタブルを集めることでゲームへの理解と愛着が深まる。単なるホラーゲームではなく、「体験できるストーリー」を提供しようとしている意識が伝わってくる。ドキュメントのテキスト量と内容の深さは、本格的なナラティブゲームに引けを取らない。
日本語対応が公式でされており、ストーリーやドキュメントを日本語で追えることは大きなアドバンテージだ。
気になるところ
ソロプレイへの不親切さは感じる。Co-op前提の設計が多く、ひとりだと消耗感が強くなる場面がある。ソロでもプレイできる、というのは事実だが、「Co-opで遊ぶことを強く推奨する」というゲームデザインが随所に出てきて、ソロプレイヤーに少し疎外感を与えることがある。
同じトライアルを繰り返すことで緊張感が薄れていく部分は否めない。難易度を上げることで対応できるが、「初めてあの敵に追いかけられたときの恐怖」は再現できない。繰り返しプレイには向いているが、初見の衝撃は一度きりだ。
コンテンツ量については、アップデートで継続的に追加されているものの「もっとステージが欲しい」という声が継続的に上がっている。既存トライアルを難易度を上げてやり直す、というリプレイ性はあるが、新しい施設やロケーションへの渇望が生まれる。
フレンドなしでのパブリックマッチングは、ゲームが求める協力の密度に対してコミュニケーションが取りにくい場面がある。ボイスチャットなしの見知らぬ人との連携はどうしても限界がある。
こんな人におすすめ/合わない人も正直に書く
こんな人に特におすすめ
- 友達3〜4人でガチのホラー体験をしたい人
- Outlastシリーズのファンで、Co-opという新形式を試したい人
- 「ホラーが怖すぎて無理」だけど友達につきあいたい人(仲間がいると精神的に少し楽になる)
- 戦略的な立ち回りと恐怖のバランスを楽しめる人
- ゲームのストーリーや世界観を深く掘り下げたい人
- 繰り返し遊んで難易度を上げていくことに満足感を感じる人
- ゲーム実況や配信のネタを探している人(リアクションが出やすいゲーム)
こんな人には合わないかも
- ソロプレイメインで考えている人(設計はCo-op寄りで、ソロは消耗感が強め)
- グロテスクな表現が苦手な人(シリーズ伝統のショック描写は健在)
- 戦えるアクション要素を求めている人(武器はない、逃げることが基本)
- コンテンツのボリュームを重視する人(継続アップデートで増えているが、ライトな層には少なく感じる可能性あり)
- 笑えるカジュアルなホラーが好きな人(このゲームのホラーは本物の圧迫感がある)
- 精神的な苦痛を避けたい人(Murkoff社の「治療」という設定の雰囲気は、人によってはキツく感じる場合がある)
フレンドを誘う前に知っておきたいこと

The Outlast Trialsを友達に勧めるとき、事前に知っておくと良いことがいくつかある。これを事前に伝えておけば、初プレイの体験がより良くなると思う。
まず全員が購入する必要があること。Steam Remote Playでの共有プレイには対応していないため、人数分の購入が必要だ。4人全員で遊ぶ場合は合計コストが発生するが、1人あたりのコストで考えると、このクオリティのCo-opホラー体験としては十分に元が取れる内容だ。
ゴア表現がある点は先に伝えておいた方が親切だ。シリーズを通じて血や暴力的な描写が含まれており、耐性のない人が突然見るとそれだけで嫌な印象を持ってしまう可能性がある。「グロ要素あるけど、それよりも怖さと達成感の方が勝るゲームだよ」と伝えておくといい。
最初のトライアルは「慣れる時間」として使う方がいい。全員でいきなり突っ込むと混乱する。敵の動きを観察したり、ポッドシステムを理解したり、施設のレイアウトに慣れたりする余裕を持って最初の1時間を過ごす方が、2回目以降の体験が格段に良くなる。
ボイスチャット環境は整えておくことをすすめる。テキストでも遊べるが、このゲームの醍醐味は仲間との声でのリアルタイムコミュニケーションにある。「左に来てる!」「今だ走れ!」という瞬間の声が、このゲームの体験を作っている。Discordか、ゲーム内VCかは好みで選べばいいが、声でのコミュニケーションを推奨する。
また、最初のセッションは時間に余裕を持って始めることをすすめる。「あと1回だけ」という流れになりがちなゲームで、気づいたら深夜2時、という状況になりやすい。
事前に「今日は2〜3時間だけ」という制限を設けておくか、終わりの時間を決めてからプレイすることをすすめる。このゲームはセッションを区切りやすい構造になっているが、「もう1トライアルだけ」という誘惑に勝つことがかなり難しい設計でもある。それくらい続きをやりたくなるゲームだ、ということでもある。
ICARUSとの比較——「生き延びること」の意味の違い
全然違うジャンルだが、「生き延びることが目的」という軸で比べると面白い対比が見えてくる。
ICARUSはオープンワールドのサバイバルゲームで、資源収集・建築・探索を通じて惑星で生き延びる。The Outlast Trialsは狭い施設の中でミッションをこなしながら生き延びる。「生き延びる」という言葉は同じだが、そのアプローチは全く異なる。
ICARUSは「広い空間での自由なサバイバル」で、探索の楽しさと危機管理のバランスが魅力だ。それに対してTrialsは「狭い空間での恐怖とミッションの同時進行」で、選択の余地が限られている中での緊張感が魅力になる。

どちらもCo-opで友達と楽しめるゲームだが、求める体験が違う。「広大な世界を一緒に探索したい」ならICAUS、「閉鎖空間でスリルを味わいたい」ならTrialsという選択になる。両方遊んでいる人も多い。
まとめ——「共有できる恐怖」の価値について
The Outlast Trialsは、ホラーゲームの「怖さ」をCo-opという形式で再解釈した作品だ。
ひとりで恐怖に怯えるのではなく、仲間と一緒に恐怖に立ち向かう。「助けに行くか逃げるか」という選択が毎回生まれ、その選択と結果がそのままチームのコミュニケーションになる。怖くて笑えるとよく言われるCo-opホラーの中で、このゲームは「怖くて、でも一緒にいるから頑張れる」という感情を引き出す点で特徴的だ。
ゴア表現や高い難易度など、すべての人に向いているとは言えない。でも「仲間と本格的なホラーを体験したい」という人にとっては、この体験の密度は他のゲームでなかなか得られないと思う。
冷戦時代という独特の舞台設定、丁寧に作られた敵キャラクターの背景、プレイヤーの行動を縛り続けるタスクと恐怖の同時進行——これらが組み合わさって、他のCo-opホラーとは一線を画す体験になっている。
「怖い体験を仲間と分かち合う」ということは、その体験を「自分だけの記憶」ではなく「仲間との共有の記憶」に変えることだ。ゲームの中で起きた出来事が、現実の会話の話題になる。「あのときマザーに追いかけられて全員パニックになったやつ、覚えてる?」という会話が数ヶ月後にできる。The Outlast Trialsはその変換を、これまでのCo-opホラーよりも強くやってくれる。捕まったとき、助けられたとき、ギリギリでクリアしたとき——そのひとつひとつが、後から話せるエピソードになって残っていく。
ゲームの面白さを測る指標はいくつかあるが、「この体験を誰かに話したくなるか」というのもそのひとつだと思っている。The Outlast Trialsは間違いなく、話したくなるゲームだ。あの夜のことを、友達と何度も振り返り語り合えるゲームだ。「あのとき死にそうになったな」という記憶が、何年か経っても笑って話せるエピソードとして残り続ける。
ひとりで深夜に黙々とやるのか、友達4人でワイワイと週末に遊ぶのか——どちらの形でも、The Outlast Trialsは確かに忘れられない夜を作ってくれる。
最後に、Outlastシリーズを知らずにTrialsから入った友達が一言こう言っていたのが印象的だった。「こんなに怖いのに、また来週やろうってなるの不思議だな」と。それがこのゲームの本質をちゃんと言い当てていると思う。怖いのに、何度でもまた行きたくなる。それがThe Outlast Trialsというゲームだ。
The Outlast Trials
| 価格 | ¥4,500 |
|---|---|
| 開発 | Red Barrels |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

