「Going Medieval」中世の入植者たちを率いるコロニーシム

目次

Going Medieval — 中世の入植者たちを率いるコロニーシム

最初の冬が来るまで、ぜんぜん怖くなかった。木の小屋を建てて、畑を耕して、3人の入植者が細々と暮らしていた。「なんとかなるな」と思っていた。でも秋の終わりに狩りに行けなくなって、食料が尽きはじめて、川が凍って水も取れなくなって——そこから全てが崩れていった。一人がお腹を壊して動けなくなり、もう一人が凍えながら薪割りをして、最後の一人が「頼む、畑まで早く春になってくれ」と祈るように地面を耕し続けた。

結局その周は全滅だった。3人とも死んだ。でも、なぜかすぐに「もう一回やろう」と思った。「次は絶対に越冬してみせる」という気持ちが、ゲームオーバーになった瞬間にもう湧き上がっていた。これが『Going Medieval』の最初の洗礼だ。

Foxy Voxelが2021年に早期アクセスをスタートし、2024年11月に正式リリースを迎えたこのゲームは、中世の僻地に入植者たちのコロニーを作り上げるコロニービルダーだ。RimWorldに影響を受けたと開発者自身が言っているとおり、ゲームプレイの根本にある「理不尽さと愛着が同居する感覚」はそっくりだ。でもそこから独自の方向に進化して、城塞建築の自由度とサバイバル要素の組み合わせで唯一無二のゲームになっている。

SteamレビューはSteamレビュー「非常に好評」(83%好評・9,000件超)。価格は2,500円前後で、ハマれば軽く300時間以上遊べる。この記事では、Going Medievalがどんなゲームで、何が楽しくて、どこに難しさがあるかを、実際のプレイ体験をもとに細かく書いていく。

「Going Medieval」公式トレーラー

こんな人に読んでほしい

Going Medieval その他RPG スクリーンショット1

Going Medievalは万人向けではない。まずこれを確認しておきたい。

「ゲームがうまくいかないときのアノ感じ」——入植者が想定外の行動をして計画が崩れたり、突然の略奪者に防衛が崩されたり、収穫量の計算が狂って飢えが始まったり——そういうトラブルを「ハプニングとして楽しめる人」に向いている。逆に、「自分が計画したとおりに物事が進んでほしい」タイプには厳しいかもしれない。

RimWorldやDwarf Fortressが好きな人はほぼ確実にハマる。『Timberborn』のようなリソース管理型のビルダーが好きな人にも刺さる。

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逆に、「目標に向かって一直線に進めるゲームがしたい」「アクション要素重視」という人には向かない。このゲームはほとんどの時間を「見る・判断する・待つ」に費やす。入植者を直接操作することはなく、指示を出してAIに動かしてもらう仕組みなので、そのもどかしさがどうしても気になる人には合わないだろう。

マルチプレイができないことも事前に把握しておいてほしい。フレンドと一緒にやりたいと思って買うと期待外れになる。あくまでもソロ向けのシングルプレイゲームだ。

でも、ソロで腰を据えてじっくり遊ぶゲームを探しているなら、Going Medievalは相当な答えを持っている。「中世の集落を育てること自体が楽しい」——そういう気持ちになれる人には、これ以上にピッタリのゲームはそう多くない。

Going Medievalとはどんなゲームか

Going Medieval その他RPG スクリーンショット2

舞台は14世紀のヨーロッパ。黒死病(ペスト)が大陸を荒廃させた後の世界で、生き残った少数の人々が新天地に入植するところからゲームが始まる。最初に与えられるのは3〜5人の入植者と、わずかな食料と道具だけ。ここから始めて、やがて高い石壁に守られた要塞を構え、100人規模のコミュニティを育て上げるのがゲームの大きな流れだ。

ジャンルとしては「コロニーシミュレーター(コロニービルダー)」に分類される。近い作品を挙げるなら、RimWorldに最も近い。ただし、Going Medievalの最大の特徴は3次元の立体建築にある。RimWorldが基本的に2Dの平面で進むのに対して、Going Medievalでは地下室を掘り、1階・2階・3階と積み上げ、タワーを作り、多層構造の城塞を建設できる。この立体性がゲームに奥行きを与えている。

プレイの中心は「入植者のマネジメント」だ。入植者たちはそれぞれ固有のスキルと性格を持っている。「農業が得意だけど戦闘は苦手」「建築は上手いけど社交性が低くて周りと揉める」「食べることが大好きで、お腹が減ると極端に作業効率が落ちる」——そういう個性が各キャラクターに設定されていて、それを把握しながらタスクを割り振っていく。

彼らは空腹になれば食べ、疲れれば眠り、怖い目に遭えばメンタルを崩す。「腹が減って機嫌が悪くなった入植者がほかの入植者と喧嘩して、作業が止まった」という連鎖が普通に起きる。これが面白くもあり、頭を抱える瞬間でもある。

ゲームの時間軸と季節サイクル

Going Medievalには春・夏・秋・冬の四季がある。これがゲームのリズムを作っている。

春は準備の季節。畑を耕して種を蒔き、建材を集め、冬の寒さに備えて燃料や食料の備蓄計画を立てる。夏は比較的穏やか。植物が育ち、採集物も豊富で、拠点の拡張に集中できる。秋は収穫の季節でもあり、冬前の最終確認の時期。どれだけの備蓄が必要か、入植者の頭数と消費量を計算する。

そして冬——このゲームで最も厳しい季節だ。気温が下がり、作物が育たなくなり、水源が凍る。防寒具を用意できていないと入植者の体力と精神が削られていく。薪の消費量が跳ね上がり、備蓄食料がみるみる減っていく。初めてのプレイヤーが最初につまずくのがだいたいこの「最初の冬」だ。

特に厄介なのが「冬の長さが読みにくい」こと。ゲームの設定によって季節の長さが変わるし、同じ設定でも年によって体感が違う。秋の終わりに「もう少し備蓄を増やしておこう」と思ったその1週間が命取りになることがある。「あと5日で春が来る」と思って備蓄を使い始めたら、霜が1週間延びた——そういう冷や汗案件が最初の数周では必ず起きる。

「春と夏は天国、秋は怒涛の準備、冬は修羅場。このリズムを掴んだら急にゲームが面白くなった。最初の冬に全滅した時は正直ゲームが嫌いになりかけたけど、2周目はちゃんと備蓄できて越冬できた達成感がすごかった」

引用元:Steamユーザーレビュー

脅威システム — 敵は段階的に強くなる

Going Medievalには「脅威レベル(Threat Level)」という概念がある。コロニーが発展するほど、外部からの攻撃が激しくなる仕組みだ。

最初は少人数の野盗グループが偵察に来る程度。でも時間が経つにつれて、装備を整えた略奪者の集団が攻めてくるようになる。さらに進むと攻城兵器を持った本格的な軍勢が押し寄せてくる。コロニーを成長させながら、その成長に見合った防衛力も構築していかないといけない。

防衛の核になるのが城塞建築だ。木の柵から始まり、石の城壁、塔、堀、落とし穴、罠と、段階的に防衛設備を整えていく。弓兵を城壁の上に配置して、侵入者が射程に入ったら一斉射撃——この「自分が設計した防衛ラインが機能する瞬間」の達成感が格別で、Going Medievalの一番の見どころだと思っている。

設定でスケジュールが変更できるので、「今は建築に集中したいから攻撃なしモードで進めたい」という人はトレイルブレイザーモードを選べばいい。逆に「常に攻撃してくる最難度でやりたい」という人にも対応している。難易度カスタマイズの自由度が高いのも評価されている点だ。

コロニーが「物語」を生み出す仕組み

Going Medievalのゲームデザインで特筆すべきことの一つが、「何も起きない時間がほぼない」という設計だ。平和な時間が続くと「この平和がいつ終わるか」という緊張感があり、トラブルが起きると「どう対処するか」という判断が求められる。プレイヤーは常に何かを考えている状態になる。

例えばこんなことが起きる。10年目の冬、コロニーは安定していた。備蓄は十分で、城壁も完成している。そこに疫病が発生した。医療担当の入植者が病気になって動けなくなり、他の入植者にも感染が広がった。医療スキルが次に高い人間に代役を頼んだが、スキルが低すぎて治療が間に合わない。最終的に5人が死んで、その冬に来た略奪者の攻撃を人手不足で防ぎきれず、さらに3人が戦死した。

この展開を計画したのは誰でもない。ゲームのシステムが生み出したドラマだ。でも後から振り返ると、「あの時に医療スキルを上げる入植者を増やしておけば」「疫病対策の施設を早めに作れば」という反省点が見えてくる。そこから次の周が始まる。

建築システムの深さ — 3Dで城を設計する楽しさ

Going Medievalの建築は、コロニーシムの中でも飛び抜けて自由度が高い。理由はシンプルで、縦軸(高さ)の概念があるからだ。

地下を掘って地下室を作り、1階に居住空間を置き、2階を倉庫にして、3階に見張り台を建てる——こういう多層構造の建築が普通にできる。木材、石、レンガ、泥など素材によってテクスチャと耐久度が変わり、「見た目重視で木のお城風に仕上げる」も「実用性重視で石の要塞にする」も自由だ。

部屋の設計も細かくできる。ベッドを置けば寝室になり、テーブルと椅子を並べれば食堂になり、鍛冶炉と作業台を置けば工房になる。各部屋の「機能」が入植者の行動効率に影響する。きちんとした居住空間を用意した入植者はメンタルが安定し、みすぼらしい環境では精神的なデバフがかかる。

素材と構造の組み合わせ

序盤は木材が中心だ。木は最初から豊富に手に入り、加工も簡単。でも木の壁は燃えるし、耐久度も石には劣る。略奪者の攻撃に長く耐えるには、石の城壁に切り替えていく必要がある。

石の採掘は木材より手間がかかるが、完成した石壁の頑丈さは格別だ。採石場を設置して採掘の効率を上げ、石材加工の設備を整えて、少しずつ石の城へ建て替えていく。この「建て替えの過程」が楽しくて、「去年作った木の壁を全部石に変えるプロジェクト」みたいなことを入植者たちに指示して、できあがっていくのを眺めているだけで幸せになれる。

レンガはさらにその上をいく建材だ。粘土から焼き上げるレンガは見た目も美しく、中世の城郭らしい雰囲気を出せる。このあたりになると「ゲームを進めている」というより「建築作品を作っている」感覚に近くなってくる。

素材の種類は増築を重ねるほど増えていく。泥のレンガ(アドベ)は断熱性が高くて、寒冷地の建築に向いている。コロニーの場所の気候によって最適な建材が変わるので、「ここはレンガより石の方が向いているか」という判断が建築に深みを加える。

「最初はRimWorldの3D版かと思ってたけど、建築の自由度がぜんぜん違う。タワーを建てて弓兵を配置した時の『俺の城だ』感がやばい。地下室も作れるし、建築だけで500時間余裕だと思う」

引用元:Steamユーザーレビュー

家具と装飾 — 「見た目」もモチベーションになる

Going Medievalには家具や装飾品のクラフトが豊富にある。テーブル、椅子、棚、暖炉、タペストリー、旗、樽など、中世の生活感を演出するアイテムが多数揃っている。これらは単なる飾りではなく、入植者のムード(精神状態)に影響するので、実用的な意味もある。

でも正直なところ、ムード補正よりも「自分好みの空間を作りたい」という気持ちの方が強い動機になる。入植者一人ひとりの部屋を個別に設計して、プライベートスペースを用意してあげる。食堂を広くして、みんなが豊かに食事できる空間にする。こういう「おせっかいな親心」がGoingMedievalの魅力の一つだと思っている。

10年をかけて少しずつ作り上げた城の全景を俯瞰で眺めたとき、「自分がここまで作ったんだ」という達成感は他のゲームでは味わいにくいものだ。Cities: Skylines IIで都市が完成した時の感覚にも近いし、でもGoingMedievalのそれはもっと個人的で、入植者たちへの愛着が混じっている分だけ温度が高い。

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建築に必要なワークフロー

Going Medievalの建築は「ゾーン指定→入植者が自動で建てる」という流れだ。プレイヤーが図面を引くように建築エリアを指定すると、建築スキルを持つ入植者が素材を運んで組み立ててくれる。プレイヤーが直接作業する必要はない。

この「指示すれば動いてくれる」という仕組みは、コロニービルダーの基本だが、Going Medievalでは建築の複雑な構造が組みやすいUIになっている。壁の高さを指定したり、斜め屋根を作ったり、窓の位置を細かく決めたりと、自由度の高い設計が直感的にできる。

問題は「建材の在庫が足りない時に素材集めが並行して走る」という点だ。建築を指示したはいいが、木材が足りなくて入植者がひたすら木を切る時間が発生する。このあたりは「資源計画→建築」という順番を意識すると効率が上がる。焦って先に図面だけ引いても、素材がなければ入植者たちは建築に取りかかれない。

入植者のキャラクター性 — 彼らには「個性」がある

Going Medieval その他RPG スクリーンショット3

Going Medievalで最も愛着が湧くのは入植者たちの存在だ。ゲームが生成するキャラクターには名前があり、顔の見た目があり、固有のバックグラウンドがある。「元農夫で農業スキルが高いが、暗い場所を嫌う」「元騎士で戦闘は得意だが、不潔な環境に耐えられず精神が崩れやすい」——こういうプロフィールが一人ひとりに設定されていて、長くプレイするうちに彼らへの愛着が育っていく。

キャラクターのステータスは複数のスキルで構成される。農業、採掘、建築、鍛冶、戦闘、弓術、料理、医療……など、中世の生活に必要なほぼ全てのスキルがある。初期値は人によってバラバラで、経験を積むことで上がっていく。序盤は「この人は農業担当、この人は建築担当」と役割を固定しがちだが、後半になると複数のスキルを伸ばして万能型に育てたくなる。

個性を作るトレイト(特性)システム

入植者それぞれには「トレイト(Trait)」と呼ばれる特性がある。これがキャラクターの個性を決める重要な要素だ。

例えば「快活(Cheerful)」というトレイトを持つキャラクターは基礎モラールが高く、ちょっとした不満なら自力で回復できる。「慎重(Careful)」を持つキャラクターは怪我をしにくい。逆に「暗所恐怖症(Claustrophobic)」を持つ入植者は地下作業を嫌がり、「清潔好き(Pristine)」は汚れた環境でモラールが激しく落ちる。

トレイトは新規入植者を受け入れる際の重要な判断基準になる。「農業スキルは高いけど『怠惰(Lazy)』トレイト持ちか……連れてくるかどうか悩む」という葛藤が生まれるのが、このシステムの面白さだ。完璧な入植者は存在しない。みんな何かしらの欠点を持って入ってくる。

モラールシステム — 「幸福度」が生産性を左右する

入植者たちにはモラール(士気・幸福度)という数値がある。これが下がると作業効率が落ちて、最終的にはメンタルブレイク(精神崩壊)が起きる。精神崩壊した入植者は暴れ出したり、勝手にコロニーから去っていったりする。

モラールが下がる原因は色々ある。お腹が空いている、睡眠が不足、友人の死を目撃した、怪我を放置されている、居住環境が劣悪、などなど。逆に、おいしい食事を取った、良い寝床で休んだ、好きな仕事ができた、などでモラールは回復する。

特に「友人や家族の死」のダメージは大きい。戦闘で誰かが死んだ後、生き残った入植者たちのモラールがガタ落ちして連鎖的に生産性が落ちる——という展開は珍しくない。だからこそ戦闘での犠牲を避けることが重要で、「誰も死なせたくない」という気持ちで防衛を真剣に考えるようになる。

この「入植者に感情移入する仕組み」は、コロニービルダーというジャンルの核心だ。The Farmer Was Replacedのような自動化系ゲームとは対照的に、Going Medievalでは一人ひとりのキャラクターへの愛着がプレイの動機になる。

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スキルと成長の喜び

入植者のスキルは使えば上がる。農作業を続けた農夫は農業スキルが上がり、収穫量が増える。鍛冶を続けた鍛冶屋はより高品質な武器を作れるようになる。戦闘経験を積んだ戦士は命中率と回避率が上がる。

この成長システムが長期プレイのモチベーションになる。最初は何もできなかった新参者が、10年のゲーム内時間を経てベテランの職人に育っていく。「最初から一緒にいるあの人が、今やコロニーで一番頼りになる存在になっている」という感覚は、RimWorldプレイヤーならおなじみの、コロニービルダー特有の快感だ。

「あのハロルドが農業スキル15になった。コロニーの食料の半分は彼が作ってる」「マリアは怪我が多いけど戦闘スキルが一番高い。彼女がいなかったら去年の大規模攻撃は乗り越えられなかった」——こういうキャラクターに纏わる記憶が積み重なって、入植者が「家族」みたいに感じられるようになるのがGoingMedievalの一番すごいところだと思う。

新規入植者と人口管理

コロニーは最初の3〜5人から始まるが、時間が経つと新規入植者がやってくる。フラフラと通りかかった旅人を住民として招き入れることができる仕組みだ。

新規入植者は「欲しいスキルを持っているか」「トレイトが許容範囲か」を見て受け入れるかどうかを判断する。序盤は戦力になるなら多少のデメリットトレイトは目をつぶって受け入れる。でも後半になると人口が増えすぎると管理が大変になるので、選り好みするようになる。

コロニーの人口は食料消費量に直結する。「人を増やしたいけど食料生産が追いつかない」という悩みは定番で、農業設備の拡張と人口増加のバランスをとることがゲームの重要な管理要素の一つだ。

農業と食料生産 — 飢えとの戦い

Going Medievalでは食料管理がゲームの根幹をなす。入植者は定期的に食事をとらないと空腹デバフがかかり、生産性が落ち、最終的には餓死する。食料の安定供給は、特に序中盤のゲームプレイを大きく左右する。

食料源は主に農業、採集、狩猟の3系統。農業は最も安定した食料源で、小麦、野菜、果物など複数の作物を育てられる。畑の管理は季節に左右されるので、春に蒔いた種が秋には収穫できる——このサイクルを把握することが農業管理の基本だ。

採集は森や草原から木の実や植物を拾い集める。安定性は農業より低いが、序盤の食料を補う手段として欠かせない。狩猟は鹿やイノシシなどを倒して肉を得る方法で、タンパク質源として重要だが、個体数が無限ではないので乱獲に注意が必要だ。

農業管理の細かさ

農業はGoing Medievalのゲームプレイの中で最も奥が深い要素の一つだ。畑のゾーンを指定して作物を割り当てるだけでなく、どの作物を何割くらいの比率で育てるかを考える必要がある。

例えば、小麦はパンの材料になるカロリー源として重要だが、作物としての成熟に時間がかかる。野菜は早く育つが保存性が低い。果物は採集で補えるが農場で育てれば安定する。これらを組み合わせて「冬前の備蓄が最大になるように」作付け計画を立てるのが農業管理の面白さだ。

畑の規模も重要な変数だ。入植者の頭数に対して畑が小さすぎると食料不足になる。逆に大きすぎると農業に人手を取られすぎて、建築や採掘が進まなくなる。「適切な畑の大きさ」は入植者数・コロニーの発展段階・農業スキルの高さによって変わるので、一概に「これが正解」とは言えない。プレイするたびに微妙に調整する必要がある。

料理システム — 食事の質もモラールに影響

集めた食材をそのまま食べることもできるが、料理にすると食事の満足度(Quality)が上がり、モラールボーナスがもらえる。調理台と燃料を確保して、料理担当の入植者を割り当てると自動的に料理を作ってくれる。

料理のバリエーションも豊富で、パン、スープ、肉料理、ビールまで作れる。ビールは飲料として入植者のモラールを上げる重要アイテムで、「とりあえずビールを安定供給できる体制を作る」のが中級者以上のプレイヤーの定石になっている。

食料の保存も考える必要がある。冬は作物が育たないので、秋の収穫物を腐らせずに保存するための貯蔵庫の管理が重要だ。適切な温度管理ができていないと食料が傷んでいく。この「保存食の計算」が苦手なプレイヤーが最初の冬に足をすくわれる。

熟練してくると「食料備蓄何日分あれば冬を越せるか」を瞬時に計算できるようになる。「入植者が10人で、一日あたり消費カロリーが合計でこのくらいで、冬が60日とすると……」この計算が自然にできるようになった瞬間、Going Medievalに慣れたと感じる。

水の確保と燃料管理

食料と並んで重要なのが燃料の管理だ。暖炉や調理台には薪が必要で、冬は消費量が跳ね上がる。「食料は十分あるのに薪が切れて凍死」という末路は初心者がよく経験する。

薪の確保は木を切って作る。でも木を切り続けると周辺の森が薄くなっていく。植林の仕組みもあるので、「切った分だけ植える」サイクルを維持することが長期的な安定につながる。適当に木を切り続けると後半に木材不足に陥る。

これは単純に「持続可能な資源管理」というテーマで、Civilization Vで資源の枯渇を管理するような思考に近い。GoingMedievalはこういう「長期視点で考える必要がある要素」が複数重なって、ゲームの奥行きを作っている。

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防衛システム — 敵の攻撃から集落を守る

Going Medieval その他RPG スクリーンショット4

Going Medievalで最もドラマが生まれるのが防衛戦だ。精魂込めて作り上げた集落に敵が押し寄せてくる。この緊張感はコロニービルダーの醍醐味の一つだ。

敵勢力は「略奪者(Raiders)」と呼ばれる山賊・武装集団が主体で、コロニーの豊かさと時間の経過に応じてスケールアップしていく。最初は4〜5人のチンピラ集団だが、やがて20人を超える重装備の軍勢になる。

城壁と防衛設備のデザイン

防衛の基本は「入口を絞る」こと。城壁で集落を囲み、門を一箇所か二箇所に限定して、そこに戦力を集中させる。門の両側に塔を建てて弓兵を配置すれば、侵入者を塔の上から狙い撃ちにできる。

落とし穴、クマの罠、トゲの柵など「受動的な防衛設備」も活用できる。敵の侵入経路を予測して罠を設置しておくと、近接戦に持ち込まれる前にある程度ダメージを与えられる。罠の設置とルート誘導を組み合わせた防衛ライン設計が上手くいった時の爽快感は、タワーディフェンス系ゲームに通じるものがある。

最初の大規模な略奪者の攻撃を防ぎきった時の達成感は、Going Medievalで最高の瞬間の一つだ。10人の弓兵が城壁の上から一斉に射撃して、侵入者を一人も城内に入れずに撃退できた時——あれは本当に気持ちいい。「俺がこの城を守った」という感覚は、ゲームのどの要素とも違う特別な達成感だ。

戦士の育成と装備

入植者に戦士ロールを割り当てると、防衛戦に参加するようになる。初期は農作業もやりつつ戦闘もこなす兼業戦士だが、戦闘スキルが上がってくると専業の護衛にするのが効率的になる。

装備は鍛冶屋で作成する。木の棒から始まり、鉄の剣、鋼の剣、弓矢、鎧と、素材と技術が上がるにつれて高品質な装備が作れるようになる。ちゃんと装備を整えた戦士チームと、装備を怠った集落の差は防衛戦で露骨に出る。「鉄の剣を持たせた戦士5人が略奪者20人相手に全員生き残った」という達成感は、長時間のコロニー育成への最高の報酬だ。

弓兵と近接戦士のバランスも重要な判断だ。弓兵は城壁の上から遠距離攻撃ができるが、懐に入られると弱い。近接戦士は頑丈で白兵戦に強いが、敵が城壁まで来ないと出番がない。両方を揃えて状況に応じて使い分けるのが基本戦術だ。

攻城戦とその対策

後半になると敵が攻城兵器(バリスタ、攻城塔など)を持ってくる。木の壁は遠距離攻撃で破壊され、高い塔は攻城塔から飛び移られる。これに対応するには石やレンガの耐久力ある城壁への切り替えと、防衛線の奥行きを意識した設計が必要になる。

「外壁が破られても内側に第二防衛ラインがある」「弓兵を高い塔に配置して、攻城塔が届かない位置から狙う」——そういう多層防衛の設計を考えるのが、攻略の深みになっている部分だ。ICARUSのような過酷なサバイバルゲームとはまた違う、「戦略的な設計の楽しさ」がGoingMedievalにはある。

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攻城戦の対策として、城壁の厚さも重要だ。薄い城壁は集中攻撃ですぐに崩れる。2層、3層と厚みを持たせることで耐久度が上がる。「時間を稼いでいる間に弓兵が撃ち倒す」という発想で城壁を設計するのが正しい。

戦闘後の後処理

防衛戦が終わったら、次のタスクが発生する。戦場に残った敵の死体の処理、破損した城壁の修復、怪我をした入植者の治療だ。

特に医療の重要性は戦闘後に痛感する。骨折した入植者を放置すると後遺症が残ったり、最悪死亡することもある。医療スキルの高い入植者を確保しておくことの重要性は、戦闘をきっかけに実感できる。「あの時に医者を育てておけば……」という後悔を一度すると、次の周では医療に力を入れるようになる。

リソース管理と技術ツリー

Going Medievalは技術ツリー(Research Tree)によって解禁される要素が多い。新しい建材、農業技術、医療知識、工業設備——これらは研究を進めることで使えるようになる仕組みだ。

研究には「知識(Research Points)」というリソースが必要で、書物の執筆や研究台での作業によって貯まる。最初から全てが使えるわけではなく、段階的に技術を解禁していくことでゲームに進行感が生まれる。「鋼鉄の製錬が解禁された!ここからが本番だ」という瞬間のワクワク感は、文明系ゲームとも重なる。

技術ツリーはいくつかのカテゴリに分かれている。農業技術、軍事技術、建築技術、医療技術など。プレイヤーのコロニーの方針によって優先する技術が変わる。「防衛重視なら軍事と建築を先に」「農業の安定を優先するなら農業と保存技術を先に」という戦略的な選択が生まれる。

採掘と地下開発

地形の3次元性を活かした要素の一つが地下採掘だ。地面を掘ることで地下に空間を作れる。鉱石の採掘だけでなく、地下室の構築、防衛用の落とし穴、秘密通路の設置など、地下空間の活用方法は多岐にわたる。

鉱石は鉄、銅、石炭など複数の種類があり、それぞれ異なる用途がある。鉄は武器と農具に、石炭は燃料に、銅は特定のアイテムに使う。地質によって埋蔵量が変わるので、拠点の場所選びの際に地質を見ておくのも重要な判断ポイントだ。

地下室は保存庫として優れた環境だ。地下の安定した温度は食料の保存に向いていて、大規模な地下貯蔵庫を掘ることで冬を乗り越えるための食料を安全に保管できる。上手いプレイヤーは早い段階から地下貯蔵庫の整備に着手する。

生産ラインの構築

Going Medievalは中盤以降になると「生産ライン」の整備が楽しさの核になってくる。木材を切る→製材所で加工→建材を倉庫に保管→建築に使う。この一連の流れを効率化するために、採集エリア、加工施設、倉庫、使用場所の動線を考えて配置する。

入植者はタスク設定で優先度を変えられる。「採掘を最優先に、建築は余裕があれば」みたいな設定を細かく組めるので、プレイヤーのマネジメントへの介入度を調整できる。自動化を進めれば進めるほど、プレイヤーは「監督」として大局的な判断に集中できるようになる。

Factorioのような完全自動化工場ゲームとは方向性が違うが、「流れを最適化したい欲求」は似ている。Going Medievalの生産ライン整備は手動管理の部分が多いので、自分が設計した仕組みが動いている感覚はむしろ強い。

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倉庫管理と在庫の整理

コロニーが成長するにつれて、素材の種類と量が爆発的に増える。木材、石材、食料、武器、薬草、金属——これらを適切に整理して保管しないと、入植者が「目当ての素材を探して無駄に移動する」ロスが積み重なる。

倉庫の設計は意外と重要なゲーム要素だ。素材の種類ごとにゾーンを分ける、よく使う素材は作業場の近くに置く、食料は保存性の高い地下に集める——こういう整理整頓の工夫が、長期的な効率を左右する。

「倉庫がパンパンになってきた。拡張するか、新しい倉庫を建てるか」という判断はコロニーの発展段階ごとに出てくる定番の悩みだ。倉庫の増築は建設コストがかかるし、拡張は既存の構造に手を加える必要がある。でもこの「インフラ整備を定期的に見直す」作業が、長期プレイをダレさせない要素になっている。

マルチプレイについて

Going Medieval その他RPG スクリーンショット5

Going Medievalはマルチプレイに対応していない。完全なシングルプレイゲームだ。

これを惜しむ声はコミュニティに一定数ある。RimWorldにはCoopMODがあり、仲間と一緒にコロニーを作りたいというニーズはある程度存在する。今後のアップデートで追加される可能性もないわけではないが、公式からのアナウンスは現時点でない。

ただ、シングルプレイ専用ゆえの完成度という側面もある。AIの動きやゲームバランスが1人プレイに最適化されているため、整合性は高い。Sons Of The Forestのようなマルチプレイサバイバルを求めるなら別のゲームを選ぶべきだが、しっかりと作り込まれたシングル体験を求めるなら申し分ない。

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「一人でゆっくり自分のペースで育てる」というのが、コロニービルダーというジャンルの本質的な楽しみ方でもある。マルチがないことで、入植者たちへの感情移入が一層深まるという逆説的な側面もある。「これは自分だけのコロニーだ」という感覚は、マルチプレイでは薄れてしまうかもしれない。

早期アクセス期間を経た完成度

Going Medievalは2021年6月から早期アクセスを開始し、2024年11月に正式版1.0としてリリースされた。3年以上の開発期間を経て、ゲームとしての完成度は大幅に上がった。

早期アクセス期間中のアップデートで追加された主要要素を振り返ると、地下採掘システム、農業の拡張、家具・装飾の充実、AIの改善、パフォーマンス最適化など、ゲームの根幹に関わる部分まで大幅な改善が加えられた。「早期アクセス版でプレイして少し物足りなかったけど、1.0リリースで改めて触ったらかなり良くなっていた」という声はSteamレビューに多い。

「早期アクセス初期から応援していたけど、1.0まで育てたFoxy Voxelのチームはすごい。毎回のアップデートで『これが欲しかった』という要素が追加されていった。特に農業の深さが増したのと、地下システムが加わったのが嬉しかった」

引用元:Steamユーザーレビュー

開発チームFoxy Voxelについて

Going Medievalを開発したFoxy Voxelはセルビアの小規模スタジオだ。Setting Sun Studiosとも呼ばれることがある(スタジオ名の変遷がある)。小規模チームながら、3年以上の継続的なアップデートでゲームを育て続けてきた姿勢は素直に尊敬する。

コミュニティとの距離も近く、Steamのディスカッションページや公式Discordで開発チームが直接意見を聞いて反映させてきた経緯がある。「プレイヤーの声でゲームが変わっていく」体験を長期間提供できたのは、このスタジオの誠実さあってこそだと思う。

小規模スタジオがコロニービルダーというニッチなジャンルで3年半かけて丁寧に育てたゲームが、最終的に1.0まで到達した——この事実自体が一つの達成だ。早期アクセスを途中で打ち切るスタジオや、アップデートが滞って放置状態になるゲームがある中で、Going Medievalは最後まで責任を持って完成させた。プレイヤーとしてそれは評価したいし、応援したい。

MODサポートと拡張性

Going MedievalはSteam Workshop経由でMODに対応している。正式リリース後もMODコミュニティが活発で、新しいコンテンツ、バランス調整、UIの改善、視覚的な追加要素など、多くのMODが公開されている。

「バニラ(無改造)状態でも十分に楽しい」というのがユーザーの総評だが、やり込んだ後にMODで新しい要素を追加するプレイスタイルも広まっている。特にコンテンツを追加するMODは、「もうやることがない」というプレイヤーに再燃のきっかけを与えてくれる。

MODの種類は幅広い。作物の種類を増やすMOD、新しい建材を追加するMOD、UIを改善するMOD、チュートリアルを充実させるMOD——それぞれに「ああ、これが欲しかった」というニーズに応えているものが揃っている。バニラでやり込んだ後のMOD探索も、Going Medievalの長期的な楽しみ方の一つだ。

システム要件と動作について

Going Medieval その他RPG スクリーンショット6

Going MedievalのPC動作要件は比較的低く、それほど高スペックなマシンがなくても遊べるのが助かる。最低動作環境はCPU: Core i5-6600、RAM: 8GB、GPU: GTX 960程度で、2015〜2016年頃のミドルレンジPCでも問題なく動く。

ただし、コロニーが大規模になるとCPU負荷が上がる。100人以上の入植者が一斉に動くシミュレーションはかなりの計算量になるので、後半のプレイではある程度のスペックがあった方が快適だ。最大入植者数に制限を設けているのも、パフォーマンス維持のためと思われる。

グラフィックの最適化は正式リリース前後で大きく改善されており、「早期アクセス時代はカクつきがひどかったけど1.0でかなりマシになった」という声が多い。それでもコロニーが育ってくると重くなる傾向はあるので、設定でグラフィック品質を調整しながら遊ぶのが賢い選択だ。

ゲームのセーブシステムは自動セーブと手動セーブの両方がある。大きな判断をする前に手動セーブしておくことを習慣にしておくと、「取り返しのつかないミスをしてすべてが台無しになった」という悔いを避けられる。「鉄板の手動セーブ習慣」は、コロニービルダーを遊ぶ上での基本的な自衛手段だ。

難易度とゲームモードの選択肢

Going Medievalの難易度設定は柔軟だ。シナリオモード(Scenario Mode)ではあらかじめ用意されたシナリオに沿って遊べるが、サンドボックスモード(Sandbox Mode)では難易度のほぼ全てをカスタマイズできる。

敵の攻撃頻度、資源の豊富さ、冬の厳しさ、入植者の数——これらを個別に調整できるので、「攻撃はいらない純粋な建築ゲームとして遊びたい」「食料管理はゆるくして防衛戦に集中したい」など、自分の好きなプレイスタイルに合わせやすい。

初心者には「Easy」モードで始めることを強くすすめたい。「Easy」と聞くと物足りなく思うかもしれないが、このゲームはEasyでも最初の冬で詰まる人が続出するくらい情報量が多い。まずゲームの仕組みを覚えることが最優先で、難易度は後でいくらでも上げられる。

「最初はNormalで始めたら2回全滅した。Easyにしたら仕組みを理解できて、今はNormalに戻してやってる。最初からNormalにこだわらなくて本当によかった」

引用元:Steamユーザーレビュー

マップの多様性

Going Medievalのマップはランダム生成される。平原、森、丘陵、川沿い、雪原など、スタート地点の環境によってゲームの序盤展開が大きく変わる。資源が豊富な森の近くに始まれば序盤が楽になるが、防衛拠点を作りにくい平原では城壁設計が難しくなる。

地形が防衛に与える影響も大きい。天然の崖や川を上手く利用して防衛コストを下げるか、平坦な土地で全方位防衛を組むか——この選択がリプレイ性を高めている。「今回は川沿いの拠点にしてみよう」というだけで、前回とは全く違う展開になる。

雪原マップは特に難易度が高い。農作物が育てにくく、採集できる食料も少ない。防寒具の優先度も上がる。同じ難易度設定でも、マップの種類によってゲームの難しさが変わるので、「慣れてきたら難しいマップに挑戦する」という段階的なチャレンジができる。

ゲーム内目標と「何を目指すか」問題

Going Medievalには明確なエンドゲーム目標がない。「○○を達成したらクリア」という仕組みがなく、いつまでも続けられるサンドボックスゲームの性質を持つ。これをどう受け止めるかがプレイスタイルによって分かれる。

「明確な目標に向かって進むゲームが好き」という人には、後半の「何をすればいいか分からない」感がだれる原因になる。一方で「自分でやることを決めて楽しむタイプ」には、制限なく理想の城塞を追求できる自由さがむしろ歓迎される。

コミュニティではプレイヤーが自分で目標を設定することが定番になっている。「入植者50人を全員生存させながら冬を越す」「攻城兵器が来る前に全城壁を石にする」「家具を全種類作り切る」——こういう自己課題を設けると、長期プレイのモチベーションが維持しやすい。

Going Medievalの評価:好評と批判点

Going Medieval その他RPG スクリーンショット7

Steamレビュー約9,000件のうち83%が好評という数字は、コロニービルダーというニッチなジャンルを考えると高い評価だ。何が評価されていて、どこが批判されているかを整理する。

評価されている点

まず圧倒的に評価されているのが建築の自由度と3次元性だ。「RimWorldの立体版をずっと待っていた」という声が多く、この一点だけで購入の動機になっているプレイヤーが一定数いる。平面的な2Dコロニービルダーに物足りなさを感じていた層に強く刺さっている。

次に評価が高いのが入植者へのキャラクター愛着だ。名前と顔と背景を持つキャラクターたちが、時間をかけて育っていく過程で自然と愛着が湧く。「ゲームオーバーにならないようにする動機が自然に生まれる」というのはコロニービルダーとして大きな強みだ。

価格対コンテンツ量のバランスも評価が高い。2,500円前後で200〜500時間遊べるというコスパは、Steam的な基準で見てもトップクラスだ。中世という舞台設定の雰囲気の良さ、季節サイクルが生み出すリズム感、防衛戦の緊張感——これらが組み合わさった総合的なゲーム体験への評価が好評の主因になっている。

「これで2500円は安すぎる。ここ数年で一番コスパが高いゲームだと思う。350時間やってまだ飽きてない」

引用元:Steamユーザーレビュー

批判されている点

一方で批判もある。まずAIの挙動の不安定さ。入植者が何もせずにぼーっとしていたり、明らかに非効率なルートで移動したり、指示を無視することがある。完全にバグが取れているわけではなく、特に入植者が多くなると変な行動が増えやすい。

後半のゲームプレイのマンネリ感も指摘される。序中盤の「サバイバルから城塞建設へ」という成長曲線が面白い一方、大規模コロニーが完成してしまうと「何を目指せばいいか」が見えにくくなる。明確なエンドゲームコンテンツが薄いことが惜しいという意見は多い。

チュートリアルの不親切さも初心者には壁になる。ゲームに必要な情報が全て揃っているわけではなく、試行錯誤が必要な場面が多い。「攻略ページやYouTubeを見ながら学ぶのが前提」という声もある。このあたりはRimWorldに似た「分かってくるほど面白くなる」タイプの難しさで、入門コストが高めになっている。

「最初の10時間は本当に辛かった。何が足りないのか、何が悪いのか分からなくて全滅の繰り返し。でもYouTubeで基本を学んでからは急激に楽しくなって、今は400時間超えてる。入門の敷居が高いのが唯一の問題」

引用元:Steamユーザーレビュー

RimWorldとの比較 — どちらを選ぶべきか

Going Medievalを語る上でRimWorldとの比較は避けられない。開発者自身が「RimWorldに影響を受けた」と公言しているし、実際にゲームの骨格は似ている。でも「どちらの方が上」という話ではなく、向いているプレイヤーが少し違う。

RimWorldは「物語の多様性」に強みがある。スペース・ゴシック・SF・平和主義など多様なシナリオと、無数の出来事が組み合わさって毎回全く違うドラマが生まれる。MODの充実度も圧倒的で、拡張性がとにかく高い。その分、複雑さも高くて学習コストが大きい。あとゲームの全体的なトーンがシニカルで、Going Medievalより過酷な展開が多い印象がある。

Going Medievalは「建築の立体性」と「中世の雰囲気」に強みがある。RimWorldより入門は多少しやすく、3D建築と城塞防衛の楽しさはRimWorldにはない体験だ。中世コロニービルダーとして純粋に楽しめる完成度がある。ゲーム全体のトーンが少しだけ「希望がある」方向に寄っていて、入植者が次第に豊かになっていく過程をポジティブに楽しめる設計になっている。

「まずコロニービルダーを試してみたい」ならGoing Medievalから入るのがおすすめ。RimWorldは素晴らしいゲームだが、Going Medievalで基礎を学んでから行った方が理解しやすいかもしれない。両方買っても損はない価格帯なので、気に入ったら両方やるのが一番だ。

Gas Station Simulatorとの意外な共通点

Going Medieval その他RPG スクリーンショット8

コロニーシムとガソリンスタンド経営ゲームを並べて比較するのは奇妙に聞こえるかもしれないが、Going MedievalとGas Station Simulatorには「荒廃した場所を自分の手で再建していく喜び」という共通の体験がある。何もないところから少しずつ施設を整えて、流れを作って、機能する仕組みを育てていく——この過程の楽しさは、ジャンルを問わずに通じるゲームの本質的な面白さだ。

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両者の違いは「プレイヤーが何に感情移入するか」にある。Gas Station Simulatorでは施設そのものの成長が主軸だが、Going Medievalでは入植者一人ひとりへの愛着が主軸だ。「施設を育てたい」か「人を育てたい」か——これがゲームを選ぶ上での一つの指標になるかもしれない。

こんな遊び方がおすすめ

Going Medievalは「最初の10時間をどう乗り越えるか」がその後のプレイ体験を左右する。具体的な遊び方のヒントをいくつか挙げておく。

序盤のセオリー

まずゲームを始めたら、食料と寝床の確保を最優先にする。農地を最初に確保して種を蒔く。入植者が寝られる寝室を早めに用意する。この2つを早く整えるほど、冬を迎える準備が楽になる。

次に優先するのが倉庫の整備だ。素材と食料を一箇所にまとめておくことで、入植者の動線が短くなって効率が上がる。散らばった素材を無駄に遠くまで取りに行くロスは想像以上に大きい。

最初の冬を越えるための食料備蓄の目安は、入植者1人あたり1シーズン分のカロリーを秋の収穫前に確保しておくこと。何日分が必要かはゲーム内の計算ツールを使うと分かる。これを把握するだけで「なぜ冬に餓えるのか」が解決する。

防衛については、序盤から城壁で全囲みしようとしないこと。最初は小さな柵で拠点の中心部だけを守って、余裕ができてから広げていく方が効率的だ。大きな城壁を作ろうとして資材が足りなくなり、中途半端な状態で攻撃が来るのが最悪のパターンだ。

中盤の方針

農業が安定してきたら、徐々に建築と防衛に力を入れていく。木の柵から石の城壁への切り替えは早めに着手した方がいい。石材の採掘と加工は時間がかかるので、「そろそろ脅威レベルが上がりそう」と思ったら先に動く。

専業戦士を1〜2人育てることも中盤の重要なタスクだ。戦闘スキルが高い入植者を戦闘優先タスクに設定して、他のタスクを減らして戦闘訓練に集中させる。装備も最高品質のものを優先して割り当てる。

技術ツリーは「すぐに役に立つ技術から解禁する」のが基本。序盤は農業と食料保存、中盤は建築と金属加工、後半は医療と高度な軍事技術という優先順位が使いやすい。ただし、自分のコロニーの弱点に合わせて順番を変えるのが賢い選択だ。「うちのコロニーは医療が弱い」と感じたら医療技術を優先する。

後半の楽しみ方

コロニーが軌道に乗ってきたら、「建築プロジェクト」を自分に課すのが長期プレイのモチベーション維持に有効だ。「今の木造の拠点を全部石造りに改築する」「城の外側に堀と跳ね橋を作る」「地下に秘密の武器庫を設ける」——こういう自発的なプロジェクトがゲームを続ける理由になる。

難易度を上げてみるのも一つの手だ。Easyで一通り楽しんだら、Normalや攻撃頻度を上げた設定で新しいコロニーを始めてみる。同じゲームでも難易度が変わると求められる判断が変わり、新鮮さが戻ってくる。

MODを導入するのもこのタイミングがいい。バニラをある程度理解した状態でMODを入れると、「これがどんな変化をもたらすか」が分かりやすい。新しい素材、新しい作物、新しい建材——バニラでやり込んだ後のMOD探索は、Going Medievalをもう一周楽しむきっかけになる。

まとめ — Going Medievalはこんな人に刺さる

Going Medievalは「中世コロニービルダーの決定版」と呼べる仕上がりになっている。3年の早期アクセス期間を経て、2024年に正式リリースされたことで、かつての粗削りさが大幅に改善された。

このゲームが最も刺さるのは、「理不尽なハプニングを楽しめる人」だ。計画どおりに進まないこと、思わぬ出来事で状況が覆ること——これらをドラマとして楽しめる人には最高の体験が待っている。入植者たちが生き生きと動く中世の集落を育てる喜びは、他のゲームでは得られない独自のものがある。

逆に、チュートリアルが丁寧でないことと、後半のエンドゲームコンテンツが薄めなことは正直なマイナスポイントだ。「丁寧に学べる環境が欲しい」「常に明確な目標に向かって進みたい」という人には少し厳しいかもしれない。

2,500円という価格帯で、ハマれば数百時間遊べるコスパはSteamの中でも随一だ。セール時には更に値下がりするので、少しでも興味があれば試してみる価値は十分にある。コロニービルダーというジャンルに初めて触れる人にも、RimWorldなど既に経験済みの人にも、中世の石造りの城塞を育てる体験は間違いなく楽しい。

「城壁を全部石に建て替え終わった瞬間の達成感」「初めての大規模攻撃を完全に撃退できた時の興奮」「何年も一緒にいた入植者がついに農業スキルMAXになった瞬間の嬉しさ」——Going Medievalには、こういう「自分だけの達成感」がたくさん詰まっている。これだけのゲームが2,500円で手に入るなら、迷う理由はあまりない。

コロニービルダーというジャンルは「時間を忘れてのめり込む」特性があるので、始める前に「今日はここまで」という区切りを決めておくことをおすすめする。気づいたら深夜3時になっていた、というのはこのジャンルあるあるで、Going Medievalもその中毒性は全開だ。「もう少しだけ備蓄を積んでから」「冬が明けたら一回セーブしよう」——そういう「次のタイミングが来ない」無限ループがGoingMedievalにはある。これは警告であり、褒め言葉でもある。

「気づいたら600時間経ってた。コロニービルダーの中ではRimWorldと並んで一番好き。3D建築は唯一無二すぎる」

引用元:Steamユーザーレビュー

入植者たちに名前をつけて、城を建てて、冬を越えて——その繰り返しの中に、なぜかやめられない理由がある。それがGoing Medievalというゲームだ。

「事後分析」の楽しさもこのゲームの特徴の一つだ。全滅した後に「なぜ失敗したのか」を振り返ると、必ず「あそこでこうすればよかった」という答えが見える。「食料備蓄が足りなかった」「医療に人を割かなかった」「防衛ラインが薄かった」——失敗の理由は毎回明確で、次の周への改善点が分かりやすい。だから「もう一周やろう」という気持ちが止まらなくなる。

何十周も遊んだプレイヤーが「まだ新しい発見がある」と言うのは、Going Medievalのゲームデザインが本質的に豊かだからだ。マップが変わり、入植者の組み合わせが変わり、脅威の来るタイミングが変わる。毎回同じ展開にはならない。この「毎回違うドラマが生まれる」設計は、単純に見えてコロニービルダーというジャンルの最大の強みだ。ぜひ最初の冬を越えるまで諦めずにやってみてほしい。

Going Medieval - ゴーイング・メディーバル

Foxy Voxel
リリース日 2026年3月17日 新作
サービス中
価格¥3,400
開発Foxy Voxel
販売Mythwright
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル
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