「Poppy Playtime」廃工場に潜むぬいぐるみの恐怖を暴くホラーADV

目次

Poppy Playtime — 廃墟のおもちゃ工場が隠す、狂気の実験と生存の記録

最初にプレイしたのは深夜だった。電気も消して、ヘッドフォンをして、Chapter 1を起動した。

冒頭のVHSテープが再生される。かつて「Playtime Co.」で働いていたプレイヤーが、突如として会社から送られてきた手紙を手にする。「もう一度工場に来てほしい」——それだけのシンプルなテキストが、廃墟と化したおもちゃ工場への扉を開ける。

グラブパックという謎の装置を手に入れ、壁に飾られたHuggy Wuggyの巨大な人形を横目に廊下を歩く。まだこの時点では何も怖くない。パズルを解いて、テープを探して、懐かしい遊具を眺める。そんなのんびりした探索が続くかと思っていた。

でも——そのでかいぬいぐるみが、いつの間にか消えている。

ゲームが始まって20分ほどで、Poppy Playtimeの「本当の顔」を見る。あれだけ大きくて「可愛い」はずのキャラクターが、天井を走り、通気口を這い、プレイヤーを全速力で追いかけてくる。あの瞬間のアドレナリンは、ホラーゲームで久しぶりに感じた類の恐怖だった。

Poppy Playtimeは2021年10月にインディースタジオMob Entertainmentが公開したホラーパズルゲームで、Chapter 1は現在Steamで無料プレイ可能だ。2022年のChapter 2から有料DLCとなり、2024年のChapter 3、2025年のChapter 4、2026年のChapter 5とシリーズが続いている。Steam全体のレビュー数は13万件を超え、Chapter 1単体では「非常に好評」の評価を維持している。

このゲームのどこが面白くて、何が怖くて、なぜ世界中の子どもからホラーゲーマーまで引きつけているのか。Chapter 1から5まで踏まえながら、できるだけ正直に書いていく。

「Poppy Playtime」公式トレーラー

こんな人に読んでほしい

Poppy Playtime その他アクション スクリーンショット1

この記事を書いたのは、こんな人に向けてだ。

  • 「ホラーゲームは興味あるが、なんとなく後回しにしている」という人
  • Huggy WuggyやCatNapのことは知っているが、実際のゲームはプレイしていない人
  • Chapter 1をクリアして、2以降を続けるか悩んでいる人
  • 子どもがPoppy Playtimeにハマっていて、どんなゲームか把握したい親御さん
  • FNaFやDoki Doki Literature Clubのような「見た目とのギャップ系ホラー」が好きな人
  • インディーホラーの歴史的な名作を追いたい人

Poppy Playtimeは「子供向けに見えてホラー」という表面的な説明で終わることが多い。でも実際のゲームは、1995年に廃墟と化したおもちゃ工場の背景に、人体実験・企業倫理・失われた子どもたちという重いロアを抱えている。プレイしてみると、単なるジャンプスケアゲームとは全然違うことがわかる。

Chapter 1は無料なので、とにかく一度やってみてほしい。30〜40分もあればクリアできる。それで「合わない」と感じたらそれで十分だし、「続きが気になる」と感じたなら、この記事がそのガイドになる。

Poppy Playtimeの基本情報と世界観

Poppy Playtimeの舞台は「Playtime Co.(プレイタイム社)」という巨大なおもちゃメーカーが所有していた工場だ。かつてこの工場は世界中の子どもたちに愛されるおもちゃを作り続け、Huggy WuggyやPoppy、Mommy Long Legsといったキャラクターたちを生み出した。

しかし1995年8月8日、工場内で「The Hour of Joy(歓喜の時)」と呼ばれる事件が起きる。従業員のほぼ全員が行方不明になり、以降この工場は廃墟として放置された。

プレイヤーは「元従業員」として工場に足を踏み入れるが、Playtime Co.が実際に何をしていたかを知るにつれ、「おもちゃ会社」というイメージが完全に崩れていく。

Playtime Co.の「本当の事業」

ゲームを進めるにつれ、Playtime Co.が単なるおもちゃメーカーではなかったことが明らかになる。工場内には「Bigger Bodies Initiative(より大きな体の計画)」と呼ばれる人体実験プログラムが存在し、従業員や孤児院の子どもたちが実験対象にされていた。

工場最深部には「The Prototype(プロトタイプ)」と呼ばれる最初の実験体が存在する。番号は1006。彼はPlaytime Co.の創設者Elliot Ludwigの養子であり、後に工場を支配する存在となった。プロトタイプはThe Hour of Joyを計画・実行した存在であり、なぜそこまでの行動を取ったのかという背景が、各チャプターを通じて少しずつ明かされていく。

The Hour of Joyの真相、Elliot Ludwigが娘のために始めた実験、孤児たちが何をされたか——これらのロアはゲーム内のVHSテープ、日記、環境の描写を通じて少しずつ浮かび上がる。プレイしながら「考察したい」という気持ちが自然と湧いてくる作りになっている。

FNaFと比べて何が違うか

「マスコットホラー」というジャンルで語られるとき、必ずFive Nights at Freddy’sと並べられる。確かに表面的には似ている——可愛いキャラクターが恐怖の存在に変わる、という構図は共通だ。

でも実際のゲームプレイは全然違う。FNaFが基本的に「定点防衛」の緊張感を売りにしているのに対し、Poppy Playtimeは一人称視点での「探索+パズル+逃走」を軸にしている。FNaFがタイムマネジメントの戦略ゲームに近いとすれば、Poppy Playtimeはよりアドベンチャーゲームに近い。

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キャラクターのロアの深さという点では、シリーズが進むにつれてPoppy Playtimeはかなり複雑な世界観を構築している。ファンコミュニティが盛んに考察しているのも、この「掘り下げ甲斐のある背景設定」があるからだろう。

Chapter 1——「当然の恐怖」のデザインが完璧だった

Chapter 1はSteam上で現在無料配布されている。プレイ時間は30〜45分程度、ボリュームとしては短い。でもこの「短さ」が正解だったと思う。

序盤は完全に「廃墟探索ゲーム」のテンションだ。工場に入ると正面にはHuggy Wuggyの大きなオブジェが立っている。青い毛並み、細長い体、満面の笑顔——見た目はかなり派手で、かわいいともグロテスクとも取れる独特のデザインだ。

グラブパックを入手し、パズルをいくつか解く。電源をつないで扉を開けて、倉庫を渡る。この間、Huggy Wuggyの存在は「飾り物」の域を出ない。壁に描かれたイラストと同じような感覚で、プレイヤーはだんだん無警戒になっていく。

そして扉が開いた先——。

このゲームが恐ろしいのは、ジャンプスケアを「予告なし」でぶつけてこないからだ。最初の大きな恐怖シーンは「ああ、来るんだな」と直前にわかる。でも「わかっているのに怖い」という構造になっている。Huggy Wuggyの追跡シーンがそれだ。あの長い腕と足で壁や天井を使って追いかけてくるシーンは、ゲームを知っていても初プレイでは心拍数が上がる。

グラブパック——ホラーゲームらしくない爽快さ

Chapter 1から登場するグラブパックは、このゲームの独自性を支える最重要ギミックだ。左右の手から伸びる「GrabPack Hand」を遠距離に向けて発射し、物を引き寄せたり、電気を導通させたり、離れた場所のレバーを操作したりできる。

電気パズルでは、バッテリーからコンセントまで配線をつなぐために手を延ばす。遠くの箱を手前に引き寄せて足場にする。ジップラインのような使い方で大きな空間を渡る——これらのパズルがサクサク解けたときの気持ちよさは、普通のホラーゲームでは味わえない感覚だ。

「ホラーゲームなのに謎解きの達成感がある」という体験が、Poppy Playtimeを他のホラーと差別化している部分だと思う。恐怖と知的満足感が交互に来るリズムが、プレイを途中でやめにくくする。

Chapter 3からはグラブパック2.0にアップグレードされ、ワイヤーが長くなり、ジェットブースターで高所からの落下を防げるようになった。紫色の手でジャンプ力を上げたり、オレンジ色の指先が「フレアガン」として機能したり——新しい手が追加されるたびにパズルの種類も増える。

Chapter 2——Mommy Long Legsの恐ろしさと切なさ

2022年5月にリリースされたChapter 2「Fly in a Web」の舞台は、工場内の「ゲームステーション」と呼ばれるエリアだ。ここを支配しているのがMommy Long Legs——Playtime Co.の「伸びる腕と足を持つ新素材のおもちゃ」として開発されたキャラクターだ。

Mommy Long Legs はその名の通り、手足が異常に伸び縮みする。追いかけてくるときの動きがリアルではなく、どちらかというと「人形っぽい不自然な動き」なのが逆に怖い。滑らかすぎず、でも速い。ジャンプスケアとしてではなく「存在が怖い」という感覚を与えるデザインになっている。

ゲームステーションでは4つのミニゲームをクリアしなければならない。記憶ゲーム、バスケットボール、マジックの種当て、スプライスのような走りゲーム——それぞれ趣向の違う内容で、ゲームとしての幅が広がった印象があった。

Chapter 2でのユーザーの声

Steamのレビューで複数のプレイヤーが言及していたのが「Chapter 2はホラーよりミステリー・サスペンス要素が強まった」という点だ。Chapter 1の純粋な恐怖から、謎解きの面白さが前面に出てくる構成だった。

「ホラーというよりミステリー、サスペンス要素が強くなってきた印象。Chapter3はまじで怖かった。敵キャラの姿に心が締め付けられる」

引用元:Steam コミュニティ・ユーザーレビュー(YaguraGakoi)

このレビューが示しているのは、Poppy Playtimeが章ごとに「怖さの種類」を変えているということだ。Chapter 1はジャンプスケアと追跡の恐怖、Chapter 2はゲーム形式のプレッシャーと謎解きの緊張感、そしてChapter 3からは別の種類の恐怖が待っている。

Mommy Long Legsの結末は——ネタバレになるので詳しくは書かないが——このゲームが単純な「悪役を倒す」話ではないことを示す最初のターニングポイントだった。彼女の最期を見て「可愛そうだ」と感じたプレイヤーは少なくないだろう。

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Chapter 3——Playcareという名の孤児院と、真夜中の恐怖

2024年1月にリリースされたChapter 3「Deep Sleep」は、シリーズの評価を一段階引き上げた作品だ。Steamレビューは86%という高い好評率で、「シリーズ最高傑作」という声も多い。

舞台は工場地下にある「Playcare(プレイケア)」——Playtime Co.が運営していた孤児院だ。子どもたちがかつて生活していた場所が廃墟と化し、ネオンカラーの遊具が暗闇の中に佇んでいる。このビジュアルのギャップが、Chapter 3の恐怖の核になっている。

プレイヤーが追いかけられるのは「CatNap(キャットナップ)」——猫をモチーフにした巨大な実験体で、赤いガス(幻覚物質)を放出する能力を持つ。このガスを浴びると幻覚を見る演出が挟まる。単純な追いかけっこではなく、視覚を歪める演出を絡めた恐怖のデザインが Chapter 3を特別なものにしている。

DogDayが語る「この場所で何が起きたか」

Chapter 3で最も印象に残るシーンのひとつが、「DogDay(ドッグデイ)」との対面だ。DogDayは「Smiling Critters(スマイリング・クリッターズ)」という子ども向けキャラクターラインの一人で、リーダー的な存在だった。

プレイヤーが発見するDogDayは、暗い部屋の中で足を失い、壁に縛り付けられた状態だった。The Hour of Joy後、Playcareのクリッターたちはプロトタイプに反旗を翻そうとした。しかし反乱は失敗し、ほぼ全員がCatNapに殺された。DogDayだけが生き残り、拘束された状態でずっと時間を過ごしていた。

このシーンが持つ「感情的な重さ」は、ホラーゲームの文脈では珍しい種類のものだ。怖いのではなく、悲しい。「かわいいキャラクターが悲惨な状況に置かれている」という心が締め付けられる感覚——それがChapter 3を「ただ怖いゲーム」ではなく「体験として記憶に残るゲーム」にしている。

Steamユーザーが「心が締め付けられる」と書いていたのは、間違いなくこのDogDayを見た経験から来ている。

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Ollie——声だけの存在が示す「まだ生きている人間」

Chapter 3から「Ollie(オリー)」というキャラクターが登場する。Ollieは顔を見せない。工場内のどこかにある電話越しに、プレイヤーを助ける情報を提供してくれる存在だ。

この「声だけの案内役」という設定が絶妙に機能している。廃墟の中でたったひとり、プレイヤーをサポートしようとするOllieの存在は、恐怖の中に「自分だけじゃない」という安心感を与える。そしてその安心感があるから、CatNapに追いかけられる場面の孤独感がより際立つ。

Ollieが誰なのか、どこにいるのか——Chapter 3の段階では明かされない。このミステリーもシリーズを追い続ける動機のひとつになっている。

Chapter 4——「Safe Haven」と賛否の評価

Poppy Playtime その他アクション スクリーンショット2

2025年1月にリリースされたChapter 4「Safe Haven」は、Steam上で「賛否両論」(67%好評)という評価を受けている。Chapter 3が86%だったことを考えると、かなり落ちた数字だ。その理由を整理しておく。

Doey the Doughmanという新キャラクター

Chapter 4から登場する「Doey the Doughman(ドウイー・ザ・ドウマン)」は、パン生地のような体を持つキャラクターだ。Chapter 3のラスト直前、プレイヤーはKissy Missy(Huggy Wuggyの相棒的な存在)と共に深部へ進もうとするが、KissyはプロトタイプによってChapter 3終盤で攻撃を受け、先へ進めなくなってしまう。Chapter 4では代わりにDoeyが新たな案内役・協力者として機能する。

ストーリーとしてはChapter 4は重要だ。プロトタイプ打倒への計画が動き出し、工場のさらに深い部分に足を踏み入れる。新たなエリアとして「地下牢」的な空間が登場し、シリーズの核心に近づく感覚がある。

Chapter 4の問題点——バグとボリューム

ただし、Chapter 4はリリース直後にバグ報告が相次いだ。ゲームクリアに必要なギアが消えてしまうバグや、進行不能になる箇所が複数確認され、Switch版では特に深刻だったという声が多かった。その後のアップデートでカットシーンの追加やバグ修正・環境変更が行われたが、「バグだらけの状態でリリースされた」という印象はユーザーの評価に残ってしまった。

「バグに打ち勝ってpoppy playtime chapter4クリア。まじせつないし、プロトタイプにブチギレ!次回作が楽しみだ……」

引用元:X(旧Twitter)鷹嶺ルイ(ホロライブ所属VTuber)

ホロライブのVTuber・鷹嶺ルイも配信でプレイしており、バグに悩まされながらもクリアしたことをポストしている。「バグを乗り越えてクリアした」という体験談が出てくる時点で、Chapter 4の完成度への批判は妥当だったと思う。

一方でストーリーとしてはChapter 4への評価も高い。「プロトタイプへの怒り」「せつない」という感情的な反応が出てくるのは、ゲームとしてのキャラクター描写に力があったからだ。バグがなければもっと高い評価を得られた章だったかもしれない。

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Chapter 5——シリーズの集大成と、また新たな謎

2026年2月18日にリリースされたChapter 5「Broken Things」は、Chapter 4の「賛否両論」から持ち直し、Steamで79%好評・Metacriticで74/100を獲得している。

Chapter 5ではHuggy Wuggyがプロトタイプのエリアでプレイヤーをずっと追い続けるという設定で、Chapter 1の追跡シーンを思い出させる演出がある。シリーズを通じてずっと「最終ボス」として謎のままだったプロトタイプの正体が明かされる——この点はシリーズファンにとって大きな見どころだ。

新キャラクターとして「Ms. Gracie」「Giblet」「Chum Chompkins」が登場する。Ms. GracieはChapter 5内で独特の不気味さを持つキャラクターとして機能し、これまでとは少し違うタイプの恐怖を提供する。

Chapter 5の評価と課題

レビューで共通しているのは「ストーリーは良かった、でもボリュームは短い」という評価だ。プレイ時間は3〜5時間と、Chapter 3・4より短め。「全体的な体験は良かったが、もっとやりたかった」という声が目立つ。

またChapter 5は「シリーズ最終章ではなく、新たなフェーズの始まり」として設計されていると示唆する内容になっている。プロトタイプの正体が明かされる一方で、新しいキャラクターとミステリーが登場し、物語はさらに続く可能性を示している。「完結した」という達成感よりも「まだまだ続きそう」という感覚の方が強く残る構成だったのが、一部のファンには物足りなく映ったようだ。

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なぜPoppy Playtimeはこれほど人気になったのか

Poppy Playtimeが2021年にリリースされたとき、最初から爆発的な人気だったわけではない。最初の転換点は2022年5月——Chapter 1が無料化され、同時にChapter 2がDLCとしてリリースされたタイミングだ。Steamのピーク同時接続者数が数百人から一気に1万人を超え、その後5万人以上を記録した。

この人気爆発の背景にあったのは、YouTubeとTwitchでの実況配信だ。Chapter 1は30〜40分でクリアできるコンパクトさと、Huggy Wuggyという「見た目インパクトのあるキャラクター」を持つ作品として、実況映えしやすかった。

子どもたちに支持された理由

特筆すべきは、日本を含む世界各国で小学生を中心とした子どもたちに爆発的に支持されたことだ。年齢制限が明確に設定されておらず、見た目がカラフルでキャラクターが「かわいい」という要素が、子どもたちにとって入りやすかった。

YouTubeでゲーム実況を見ることで「実際にプレイしなくてもキャラクターを知る」という形で広まり、Huggy WuggyやCatNapのぬいぐるみ・フィギュアがトイザらスやアニメイトで販売されるまでになった。

ただし「子どもが遊んで大丈夫か」という点は正直に書いておく必要がある。Chapter 1・2はホラーとしてのカジュアルさがあるが、Chapter 3以降はDogDayの拷問シーン、CatNapの幻覚演出、孤児院で起きた悲惨な出来事の描写など、年齢によってはショックを受けるコンテンツが含まれる。Steam上のゲームとしてのレーティングは「15歳以上推奨」程度の内容だと考えておいた方がいい。

「見るゲーム」としての人気

東洋経済の分析が指摘していた「プレイヤーのレビューは賛否両論なのに、実況視聴は大人気」という現象は、Poppy Playtimeを語る上で重要なポイントだ。

Steam上でPlayしたユーザーからの評価は、Chapter 4で「賛否両論」に落ち込んだ。実際にプレイする層は「バグが多い」「ボリュームが足りない」という不満を持つ。でも実況動画を見るだけの層にとっては、そんな技術的な問題は関係ない。Huggy Wuggyに追いかけられる配信者のリアクションや、CatNapとの戦闘のハラハラ感は、見る側にとっては十分な娯楽になる。

このギャップが、「Steamのレビューを見ると半信半疑になるが、YouTubeを見ると面白そうに見える」という状況を生んでいる。実際にプレイするならChapter 3まではクオリティが高い。Chapter 4のバグ問題もアップデートで改善されているため、今からプレイするなら問題は少ないはずだ。

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キャラクターたちの正体——ただのモンスターではない存在たち

Poppy Playtimeの大きな魅力のひとつは、敵キャラクターたちが単純な「モンスター」ではないという点だ。それぞれのキャラクターに背景があり、なぜこうなったかという経緯がある。

Huggy Wuggy——最初の恐怖と謎の存在

Huggy Wuggyは「Experiment 1170」という実験番号を持つ。Playtime Co.が商品として販売していたHuggy Wuggyのキャラクターと、工場に実際に生息する生物体は連動している。Chapter 1で追いかけてくるHuggy Wuggyは、その実験体だ。

Chapter 1でのHuggy Wuggyの追跡シーン後、彼は工場の奥深くに落下する。しかしChapter 5でHuggy Wuggyは再登場し、今度はプロトタイプの指示下でプレイヤーを追う存在として描かれる。Chapter 1でプレイヤーを怖がらせた存在と、Chapter 5での存在の間に何が起きたかは、まだ完全には語られていない。

Mommy Long Legs——ゲームの先生という役割

Mommy Long Legsの設定は、Playtime Co.が「弾性プラスチック(Elastic Plastic)」という素材で作ったおもちゃシリーズの一体だ。「お母さん」というキャラクター設定と、子どもたちにゲームを教えるという役割が、彼女のデザインの基盤になっている。

Chapter 2でのMommy Long Legsの動機は「ゲームステーションから出られないこと」に対する苦しみから来ている部分がある。彼女が持つ「狂気」は、Playtime Co.に閉じ込められた存在としての絶望と表裏一体だ。敵として登場しながらも、どこか同情できる要素を持つキャラクター設計になっている。

CatNap——信仰という名の狂気

CatNap(Experiment 1188)はSmiling Critters(スマイリング・クリッターズ)ラインの一体だったが、プロトタイプを神のように崇拝するようになった存在だ。Chapter 3でのCatNapは「The Hour of Joyの守護者」として、Playcareを支配している。

猫のような見た目でありながら、赤い幻覚ガスを放出し、遮光カーテンのある暗闇の中で活動する。「眠らせる」という行為を通じて「死の安らぎ」をもたらそうとする歪んだ慈愛のような動機を持つ。プロトタイプへの信仰という文脈で理解すれば、CatNapは「狂信者」として機能している。

DogDayとCatNapの関係——かつては仲間だった二体が、Chapter 3で対立する構図——は、シリーズで最も感情に訴えるキャラクター関係のひとつだ。

Poppy——プレイヤーの「案内役」

ゲームのタイトルにもなっているPoppyは、Playtime Co.の創設者Elliot Ludwigが娘のために作った最初の「感情を持つ人形」だ。Chapter 1のラストでプレイヤーが彼女を発見し、Chapter 2以降は道案内・情報提供役として機能する。

Poppyは「The Hour of Joyを知っていたが参加しなかった」存在だ。プロトタイプから「自由にしてあげる」という約束をされていたが、その約束がどういう形で果たされたか——あるいは果たされなかったか——も、シリーズの重要な謎のひとつになっている。

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ゲームシステムの全体像——パズルとホラーの合わせ技

Poppy Playtimeをプレイする前に「どんなゲームなのか」を整理しておく。

一人称視点の探索アドベンチャー

基本はFPS視点の探索ゲームだ。戦闘は存在せず、敵が来たら逃げる・隠れる・パズルを解いて先に進む、という構造になっている。攻撃ボタンは存在しない。これはホラーゲームとして重要な設計で「何もできない無力感」がプレイヤーの恐怖を増幅させる。

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グラブパックを使った謎解きが全体のゲームプレイの3〜4割を占める印象で、残りはストーリー鑑賞と追跡シーンの回避だ。パズルの難易度は高くなく、詰まることはあまりない。ホラーが苦手だがパズルは好き、という人でも取り組みやすい難易度設定になっている。

VHSテープで語られる世界観

各所にあるVHSテープを拾って再生することで、Playtime Co.がかつてどんな会社だったかを知れる。これが環境ストーリーテリングの主軸だ。

テープの内容は「企業の宣伝映像」として作られているが、プレイヤーが知っている工場の現状と対比することで、異常さが際立つ。かつては笑顔で製品を宣伝していた従業員たちが、今は行方不明——そのギャップが静かな恐怖として機能する。

ゲーム内のメモや書類も考察の素材として豊富に散らばっており、熱心なファンはこれらを全部回収して世界観を深掘りする。Wikiやファンコミュニティでの考察が活発なのも、この「読み解く楽しさ」があるからだ。

追跡シーンの恐怖演出

ゲームの恐怖のピークは「追跡シーン」だ。Chapter 1のHuggy Wuggy、Chapter 2のMommy Long Legs、Chapter 3のCatNap——それぞれ追いかけ方も演出も違う。

共通しているのは「回避には知識が必要」という設計だ。やみくもに走っても逃げられない。どこに向かえばいいか、どのルートを使えば先に進めるか——パズルの答えを知っていることが「追跡からの脱出」に直結している。

事前のパズルをちゃんと解いていたプレイヤーは、追跡シーンで「ああここに行けばいいんだ」と思い出せる。でも適当に進めていたプレイヤーは方向感覚を失って恐怖が倍増する。ゲームのデザインが「プレイヤーの準備度」に連動して恐怖の強度を変えるという仕組みになっている。

プレイ環境と価格——今から始めるなら何から買うか

Poppy Playtime その他アクション スクリーンショット3

Poppy Playtimeの購入ガイドとして、現時点の情報をまとめておく。

Steam版の構成

Chapter 1はSteamで無料。Chapter 2から有料DLCとなっている。価格帯はおおよそ以下の通り:

  • Chapter 1:無料
  • Chapter 2:約1,010円
  • Chapter 3:約1,800円
  • Chapter 4:約2,300円
  • Chapter 5:約2,300円前後(リリース時点の価格帯)

まずChapter 1を無料でプレイして判断するのが正解だ。Chapter 1でピンと来なかったならChapter 2以降を買う必要はない。Chapter 1が面白かった場合、Chapter 2・3はセットで評価が高いため続けて買う価値がある。

コンソール版の展開

2025年6月にChapter 4のコンソール版がPS4/PS5・Xbox One/Series・Switchでリリースされている。「ポピープレイタイム トリプルパック」としてChapter 1〜3をパッケージ版でまとめた商品もハピネットゲームズから国内販売されており、コンソールプレイヤーにとっての入り口は増えている。

動作環境(PC版)

PC版の動作要件はそれほど重くない。最低スペックはGTX 1060 / RX 480相当のGPU、8GB RAMがあれば動作する。ミドルレンジのゲーミングPCなら問題なくプレイできる。

Mob Entertainment——二人兄弟から始まったインディースタジオの成長

Poppy Playtimeを語る上で、開発元であるMob Entertainmentの話を外すことはできない。

Mob Entertainmentの原型は「EnchantedMob」という名前で2015年に始まった。設立したのは兄弟のZach Belanger(CEO)とSeth Belanger(CCO)だ。最初はYouTubeでアニメーション動画を作る小さなチャンネルとして活動していた。Zachはその間、建築学を勉強しながら「副業」としてEnchantedMobを運営していた。

Poppy Playtimeのゲームとしてのアイデアは、ゲームディレクターのIsaac Christophersonが発案した。彼は「ほとんどのインディーホラーゲームはウォーキングシミュレーターに見える」という問題意識を持っていた。「それなら、ちゃんとしたゲームプレイがあって、なおかつ怖くて独自性のあるものを作ろう」——そこからPoppy Playtimeの設計が始まった。

Chapter 1が2021年10月にリリースされたとき、Mob Entertainmentは事実上「ほぼ二人のチーム」だった。それが2026年現在、50〜60名のスタッフを抱える会社に成長した。インディーゲームの成功事例として、Mob Entertainmentの急成長は業界内でも注目を集めている。

映画化という次のステップ

2024年、Legendary Entertainment(ゴジラ・DUNE等を制作した大手映画スタジオ)がPoppy Playtimeの実写映画化権を獲得した。制作はMob Entertainment・Legendary Entertainment・Angry Filmsの共同で進められている。

Mob EntertainmentのZach Belangerは「本やアニメへの展開も視野に入れている」と語っており、ゲームを入口として書籍・映像・グッズへと広がるトランスメディア戦略を描いている。Poppy Playtimeが「ゲームとしての人気」だけでなく「IPとしての価値」を持つことが、ここ数年で証明されつつある。

映画がどんな内容になるかはまだ不明な部分が多いが、Huggy WuggyやMommy Long Legsが実写で動くとなれば、それだけで話題になることは間違いない。ゲームのファンにとっては「自分たちが知っているあのキャラクターが大スクリーンで」という体験になる。

グッズ展開——ゲームの外での広がり

日本国内でもPoppy Playtimeのグッズ展開は着実に進んでいる。ハピネットゲームズからは「ポピープレイタイム トリプルパック」としてChapter 1〜3のパッケージ版が販売され、トイザらスではぬいぐるみや関連グッズが棚に並んでいる。アニメイトオンラインショップでもグッズが取り扱われており、ゲームをプレイしたことがない子どもたちが「キャラクターとして知っている」という状態が生まれている。

インフォレンズからはダイカットステッカー・トレーディングラバーキーホルダー・フェイスタオルといった商品が発売された。キャラクターIPとしての整備が進んでいる。

このグッズ展開は、日本の子どもたちがPoppy Playtimeを「ゲームとして」ではなく「キャラクターとして」好きになるルートを作っている。Huggy WuggyのぬいぐるみをYouTubeで見た子どもが欲しがる、という流れがそこにある。

Poppy Playtimeとホラーゲームの系譜

Poppy Playtimeは「マスコットホラー」というジャンルの代表作のひとつとして語られることが多い。かわいいキャラクターが実は恐ろしい存在で、廃墟の中でプレイヤーを追いかける——この公式を現代的なグラフィックとゲームプレイで実装した作品として、ホラーゲームの歴史に名前を残した。

FNaFがこのジャンルの先駆けとして知られているが、Poppy Playtimeはそれを「一人称視点の探索アドベンチャー」として再解釈した。プレイヤーが受動的にパネルを操作するのではなく、自分の足で工場を歩き、グラブパックを使って謎を解き、実際に逃げる——というアクティブな体験は、FNaFとは別の恐怖の文法で作られている。

Doki Doki Literature Clubが「かわいいビジュアルノベルに見えて実はメタホラー」という構造でプレイヤーを驚かせたように、Poppy Playtimeも「かわいいおもちゃが主役のゲームに見えて、実はダークな人体実験の歴史が背景にある」という二重構造を持っている。

Outlastシリーズのような「一切戦えない、逃げるだけ」という設計思想も共有している。戦わずに恐怖に向き合う経験は、プレイヤーに独特の無力感と緊張感を与える。

「工場のおもちゃ達のキャラデザが可愛いしホラー要素や謎解き要素もあり、隠し要素の発見も楽しめる」

引用元:Steam コミュニティ・ユーザーレビュー(sliky、59.5時間プレイ)

59.5時間プレイしているというこのレビューが興味深い。Chapter 1〜5を普通に進めれば合計で15〜20時間程度の内容だが、それをはるかに超えてプレイしている。これは実績・隠し要素・ロア探索を繰り返しているからだろう。ゲームとしての「本編のボリューム」とは別の楽しみ方ができる作品だということがわかる。

正直な評価——何が良くて、何が惜しいか

ここまで書いてきた内容を踏まえて、Poppy Playtimeの正直な評価をまとめる。

良かったこと

まず「無料で入り口を作った」設計は正解だ。Chapter 1が無料でなければ、これほど多くのプレイヤーに届かなかっただろう。最初にコストゼロで体験させて、続きが気になれば課金してもらうという構造は、インディーゲームの中でも賢いやり方だった。

キャラクターデザインの強度は本物だ。Huggy Wuggyの「かわいくて怖い」というバランスは、一度見たら忘れられない。DogDay・CatNapも含め、各章で登場するキャラクターがストーリー上の意味を持って設計されているため、感情移入しやすい。

グラブパックという独自ギミックは、ホラーゲームとしては異例の「楽しい謎解き」を提供することに成功している。ホラーとパズルの組み合わせは珍しいわけではないが、パズルを解く達成感とホラーの緊張感が交互に来るリズムは、プレイ体験を飽きさせない。

ロアの深さについては、シリーズを追えば追うほど明らかになる情報が増えていく構造になっており、考察コミュニティが長く活発に動ける設計になっている。

惜しいこと

Chapter 4のバグ問題は「急いでリリースした」という印象を強く残した。Chapter 4リリース後に行われたアップデートで追加されたカットシーンが、本来最初から収録されているべきだったコンテンツだったとすれば、初期版は明らかに完成前の状態だったことになる。

各章のボリュームについては、価格と比べたときの「短さ」への不満が根強い。Chapter 4・5は2,300円程度で3〜5時間のコンテンツという計算になり、「高いのでは」という評価を受けやすい。

Chapter 5で「シリーズが終わらない」ことが判明したことへの失望も一部にある。Chapter 1から数えれば5年かけて積み上げてきたストーリーに、まだ続きがある——と知ったとき、「いつ終わるんだ」と感じるファンが出てくるのは自然だ。

「ボリュームが少ない、いや無いに等しい。ゲーム性やホラー性は優れているものの、現時点では満足するまでプレイできない」

引用元:Steam コミュニティ・ユーザーレビュー(レレレにも負けず)

このレビューはChapter 1が無料化した初期の感想で、今では状況が変わっているが、「ボリューム問題」への指摘は現在も根本的には解決していない。面白いのに短い——それがPoppy Playtimeシリーズに対する最も多い感想だと思う。

Poppy Playtimeをプレイすべき理由——まとめに代えて

2021年から2026年まで、5つのチャプターを通じて積み上げられてきたPoppy Playtimeの世界観は、インディーホラーゲームの中でも独自の地位を占めている。

Chapter 1の「Huggy Wuggyがいなくなっている」という発見から始まって、廃墟の工場の奥に人体実験の歴史、失われた子どもたちの記録、プロトタイプという最初の実験体の真実——これだけの情報量が積み重なっているのに、全体のトーンは「おもちゃ会社の廃工場」というシンプルなビジュアルで統一されている。

「怖いのに可愛い」というPoppy Playtimeへの評価は正確だ。でも同時に「悲しいのに止められない」という方が正確かもしれない。DogDayが語る「みんな死んでしまった」という事実、Mommy Long Legsの最期、プロトタイプがなぜあれほどの行動を取ったか——すべての答えが感情を揺さぶる形で設計されている。

ホラーゲームとしての完成度は、Chapter 3が現時点のシリーズ最高峰だと思う。Chapter 1・2でシリーズに引き込まれ、Chapter 3で「このゲームは本気だ」と実感できる。

Resident Evil 2のようなサバイバルホラーとは全く違うアプローチだが、「廃墟に残された記録から過去を読み解く」という体験は共通している。Cry of FearやOutlastのような「一切戦えない」ホラーに近い設計でありながら、グラブパックという独自のギミックがゲームプレイに明確な爽快感をもたらしている。

まだChapter 1しかプレイしていない人は、ぜひChapter 3まで続けてみてほしい。DogDayに会ったとき、Playcareという場所がどんな場所だったかを知ったとき——「このゲームを続けてよかった」と感じる瞬間があるはずだ。

Chapter 1は今日から無料でプレイできる。40分を使う価値はある。

ファンコミュニティと考察文化——ゲームを超えた楽しみ方

Poppy Playtimeが長期的に支持される理由のひとつは、考察コミュニティの活発さにある。各章のリリースのたびに、WikiやReddit・X(旧Twitter)・YouTubeで大量の考察動画・解説記事が生まれる。

The Prototypeが誰なのか(Elliot Ludwigの養子・Oliver)、The Hour of Joyがなぜ起きたのか、Ollieの正体は何者か——これらの謎は公式から少しずつ情報が開示されるが、決して全部が語られるわけではない。その「語られない部分」がファンの想像力を刺激する。

日本のコミュニティでも考察スレッドが盛んで、あにまん掲示板やTikTokで「ポピープレイタイム考察」と検索すると大量のコンテンツが出てくる。ゲームをプレイしていなくても考察動画だけ追いかけているファン層が存在するのも、このゲームの特徴だ。

Ollieは何者か——Chapter 3からの最大の謎

Chapter 3から登場するOllieは、プレイヤーを電話で助ける存在だが、その正体は明かされていない。ファンの間では「Elliot Ludwigの子孫なのか」「プロトタイプに関わる存在なのか」「工場内にまだ生存者がいるのか」といった議論が続いている。

Ollieという名前と、プロトタイプの元の名前「Oliver」が近いことも、考察の的になっている。Ollieがどこか現実世界に存在する人間なのか、それとも工場内にいる何らかの存在なのか——Chapter 5でもまだ完全には明かされていない部分がある。

こういった「明かされない謎」が複数存在することで、次のChapterへの期待が維持される。エピソード型のゲームとして、謎の開示タイミングのコントロールがうまい。

CatNapのファン解釈——怖いのに人気な理由

CatNapはChapter 3の主要な敵キャラクターとして登場し、ゲーム公開後に急速にファンの人気を集めた。怖いキャラクターでありながら、その背景にある「孤独」と「信仰」という設定が共感を呼んだのだ。

The Hour of Joy後、Smiling Critters(スマイリング・クリッターズ)の仲間たちはプロトタイプに反抗しようとした。CatNapはその反乱に加わらず、プロトタイプを守る側に立った。孤立したCatNapにとって、プロトタイプだけが「唯一の友」だったという解釈がファンの間で広がっている。

Archive of Our Own(AO3)やWattpadではCatNapとDogDayを中心にした二次創作が多数投稿されており、ゲームの人気の広がりを実感できる。怖いキャラクターが「実は孤独だった」という設定は、ゲームの感情的な深さを示している。

初心者向け——Poppy Playtimeを快適に楽しむためのヒント

Poppy Playtime その他アクション スクリーンショット4

Poppy Playtimeをこれからプレイする人のために、序盤でつまずきやすいポイントと、気持ちよくプレイするためのアドバイスをまとめておく。

グラブパックの使い方を最初に把握する

Chapter 1序盤でグラブパックのチュートリアルが用意されているが、「左手と右手を別々に使える」という点を意識して操作するといい。電気パズルでは、片方の手で電源に触れ、もう一方の手でコンセントに繋ぐという動作が基本だ。ワイヤーの長さに限界があるので、経路を考えてから実行するのが効率的だ。

パズルで詰まった場合、答えは大抵「近くにあるもの」を使う。遠くに行こうとする前に、手の届く範囲でやれることを探すといい。

音に注意する

Poppy Playtimeはヘッドフォン推奨だ。環境音・足音・ノイズが恐怖演出の重要な要素として使われており、音を聞くことで「何かが近づいているか」を事前に察知できることがある。追跡シーンでは音の方向から敵の位置を把握できる。逆に言えば、音を切って遊ぶと大事な情報を聞き逃す。

VHSテープとメモは全部拾う価値がある

メインストーリーを追うだけならスルーできるVHSテープやメモだが、ロアの深さを楽しみたいなら全部拾って再生・読破しておくべきだ。特にChapter 2・3に散らばっているテープには、Playtime Co.の裏側を知る上で重要な情報が含まれている。

「なぜここに孤児院があるのか」「なぜ従業員がここまでの状況を許容していたのか」——そういった疑問への答えが、環境の中に置かれている。

追跡シーンで焦らない

Huggy WuggyやCatNapに追いかけられると、多くのプレイヤーはパニックになって動き回ってしまう。でも追跡シーンには「正解のルート」が存在する。事前にパズルを解いていれば「ここを通れる」という知識がある。その知識を頼りに、なるべく落ち着いて動くことが生存率を上げる。

Chapter 1のHuggy Wuggyとの追跡シーンは、エアダクトを通るルートを把握していれば怖くない。事前に「あの通気口は大きかった」と覚えておくことが鍵だ。

グラブパック2.0の新機能を活かす

Chapter 3から使えるグラブパック2.0では、ジェットブースターによる落下防止と、紫の手によるロングジャンプが追加される。この2つを使いこなせないと詰まるシーンが出てくる。紫の手は「Bボタン(コントローラー)」または「スペース」で発動——操作に慣れる前に試し打ちをしておくと良い。

Steam版のレビューから読む「プレイヤーの本音」

Steamのレビュー欄は、公式の評価とは別にプレイヤーの生の声が集まる場所だ。Poppy Playtime Chapter 1のレビューを読むと、このゲームに対するいくつかの共通した感想が見えてくる。

「あまりにもこわい」

引用元:Steam コミュニティ・ユーザーレビュー(KenSauk、7.3時間プレイ)

シンプルなこの感想が134,000件以上のレビューの中で生まれていることが、ゲームの核を端的に表している。怖い、と感じさせる何かがある——それが一番の評価だ。

「謎解きとドキドキがいっぱいでみんなで楽しめるゲーム」

引用元:Steam コミュニティ・ユーザーレビュー(bookermanh、21.7時間プレイ)

21.7時間というプレイ時間も印象的だ。Chapter 1だけなら40分もあればクリアできる内容で、2倍以上の時間をかけているということは、繰り返しプレイ・隠し要素の探索・実績コンプリートなどを楽しんでいるということだ。「みんなで楽しめる」という言葉が示すように、ホラーゲームの実況・友人と一緒に見る、という体験として消費されていることもわかる。

一方でネガティブなレビューも正直に書かれている。

「game is good, devs are not」(ゲームは良いが、開発者が良くない)

引用元:Steam コミュニティ・ユーザーレビュー(Hotdoug12、1.6時間プレイ)

このレビューが示すのは、ゲームそのものへの評価と開発元への評価が切り離されているということだ。Chapter 4のバグ問題やリリース後の対応に不満を持つプレイヤーが存在し、「ゲームは面白いが信頼できない開発者だ」という評価を下している。Mob Entertainmentが今後のチャプターでこの信頼をどう回復するか、という課題は残っている。

ただしこれらのネガティブ評価はあくまで少数派だ。Chapter 1の総合評価「非常に好評」は全言語で83%以上の好評率をキープしており、新規プレイヤーにとっての入り口としての品質は保たれている。

Poppy Playtimeが「怖いのに遊ばれる」理由の構造

ホラーゲームは「怖いから敬遠する」という層がいる一方で、「怖いから楽しい」という層がいる。Poppy Playtimeが幅広い層に受け入れられているのは、この「怖さの種類」を上手にコントロールしているからだと思う。

ホラーの種類を大きく分けると「理不尽恐怖」と「構造的恐怖」がある。理不尽恐怖はゲームオーバーが読めず、準備しても死ぬ、という理不尽さから来る緊張感だ。構造的恐怖は、何が起きるかはわかっているが、それでも怖い、という設計から来る緊張感だ。

Poppy Playtimeは主に後者の構造的恐怖を採用している。Huggy Wuggyが追いかけてくることは、ある程度予測できる状況で発生する。CatNapが現れるタイミングも、ゲームの構造上「そろそろ来る」とわかる。でもわかっていても怖い——それがデザインの巧みさだ。

Sons Of The Forestのようなサバイバルゲームでは「自分で対策を練れる」という安心感があるが、Poppy Playtimeには武器がない。だから「対策は通路の先を覚えること」という、パズル知識と恐怖回避の直接連動が生まれている。

さらに、ゲームとしての「達成感」が恐怖を緩和する役割を果たしている。パズルを解いたとき、追跡シーンを乗り越えたとき、セーフゾーンに到達したとき——これらの達成感が「怖かったけど楽しかった」という感情を生む。ジェットコースターが怖くても楽しい、という体験に近い。

配信・実況との相性の良さ

Poppy Playtimeが「見るゲーム」としても成立する理由は、リアクションが出やすいゲームデザインにある。追跡シーンで叫ぶ配信者、パズルに詰まって笑ってしまう配信者、DogDayのシーンで黙り込む配信者——そのリアクションの幅が視聴者を引きつける。

ホロライブの鷹嶺ルイがChapter 4を配信でプレイし、「怖かった…みんなみてくれてありがとう」とポストしたように、VTuberを中心とした配信文化との相性が抜群だ。プレイ時間が3〜5時間という長さも、1配信〜2配信でクリアできるというストリーマーにとって扱いやすいボリュームになっている。

視聴者にとっても「知っているキャラクター・知っているシーン」を配信者がプレイする姿は、既存ファンとしての連帯感を生む。「そこで叫ぶよね」「ここ絶対怖いって言う」という共有体験としての楽しみ方がある。

BioShock・Psycho Break・Sons Of The Forestとの比較

Poppy Playtimeをプレイしたあとに「次は何をやろう」と思ったとき、いくつかの方向性がある。

「廃墟の世界観・環境ストーリーテリング」という方向でいくなら、BioShock Remasteredが最良の選択肢だ。海底都市ラプチャーとPlaytime Co.の廃工場は、「かつての栄光が崩壊した場所」という点で共鳴する。VHSテープとオーディオログという「記録を通じた過去の解読」も共通の体験だ。

「サイコロジカルホラー・精神的ダメージ系」に興味があるなら、サイコブレイク2が候補に入る。Poppy Playtimeが「視覚的な異形」による恐怖を主軸にしているのに対し、サイコブレイク2は「世界の認識そのものを歪める」恐怖を使う。両作品に通じる「現実なのか幻覚なのかわからない」という感覚は、Chapter 3のCatNap幻覚演出と重なる部分がある。

Sons Of The Forestは「廃墟探索・サバイバル」という点で一部重なる体験を提供するが、こちらは戦闘ができる分だけ恐怖の質が違う。「戦えない恐怖」を体験したあとに「戦える安心感」を楽しむ、という順番でプレイするのもいい。

Ready or Notのようなタクティカルシューターはホラーの文脈とは遠いが、「廃墟化した施設を慎重に進む」という緊張感の共通点がある。Poppy Playtimeで「廃墟探索の緊張感」が好きだとわかったなら、Ready or Notのような「現実ベースの緊張感」も体に合う可能性がある。

Poppy Playtimeシリーズの今と、これから

2026年2月のChapter 5リリースを経て、Poppy Playtimeシリーズは「第一部完結」というよりも「第二部の開幕」に近いフェーズに入った。Mob EntertainmentはChapter 6の計画を示唆しており、映画化・書籍・アニメといったメディア展開も視野に入れている。

Steam上のPlaytime Co.の工場だけでなく、「工場の外の世界」を舞台にした展開が今後あるかもしれない。Mob EntertainmentのZach Belangerがインタビューで語った「世界はひとつの工場が収めるより大きい」という発言は、この先の方向性を示唆している。

Chapter 1が2021年に登場してから5年間、このシリーズは常に何らかの形で話題を提供し続けてきた。新チャプターのリリース、Chapter 4のバグ騒動と修正、Chapter 5での正体解明——毎年のように大きな動きがあった。これからのChapterでも、そのサイクルは続くだろう。

インディーゲームが「フランチャイズ」として育っていく過程を、Poppy Playtimeはリアルタイムで示している。二人の兄弟から始まったMob Entertainmentが50〜60名のスタジオになり、Legendary Entertainmentと映画の話をするまでになった——そこにはゲームの面白さが積み重なった歴史がある。

今からシリーズを追い始めるのは遅くない。Chapter 1〜5まで全部プレイしても、合計20時間前後という手の届きやすいボリュームだ。「あのHuggy Wuggyのゲームをちゃんとプレイしたことがない」と思っているなら、今日のChapter 1から始めてみてほしい。

廃墟の工場の扉は、いつでも開いている。

Poppy Playtime

Mob Entertainment
リリース日 2021年10月12日
サービス中
価格基本無料
開発Mob Entertainment
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル
世界観・テーマ ホラー 吸血鬼・ダーク
ゲーム要素 PvP Steam配信
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