「EA SPORTS FC 25」FIFAから名を変えて戦術AIを刷新したサッカーゲーム

FIFAの後継2作目、FC IQと5v5 Rushで戦術の深みが増したサッカーゲーム

「FIFAシリーズって名前変わったんだよね、でも結局同じゲームでしょ?」と思っていた時期が自分にもあった。2023年に「FIFA 23」から「EA SPORTS FC 24」にブランドが切り替わって、FC 25は2024年9月27日にリリースされたシリーズ2作目だ。起動してすぐ気づいたのは、試合中の選手の動き方がそれまでと明らかに違うこと。後半投入されたサイドバックが何も指示しなくてもインナーラップを繰り返して、フォーメーションが試合中に自然と変形している。戦術面を根本から作り直した「FC IQ」というシステムのおかげで、触った瞬間に「あ、今作ちゃんと変えてきてるな」と感じた。

Steam上では約10万件のレビューが積み重なっていて、評価は「賛否両論」。批判の声はかなり多い。でも何が変わって、何が課題で、どんな人が楽しめるのかをちゃんと整理しないと、この評価の意味が正しく伝わらない。The Game Awards 2024でBest Sports/Racing Gameを受賞したゲームが、なぜSteamで「賛否両論」になっているのか——その辺りも含めて書いていく。

こんな人に向けて書いた。

  • FIFAシリーズをやっていたが、FC 24からFC 25で何が変わったか知りたい人
  • キャリアモードをメインにオフラインで長く楽しみたいサッカーファン
  • FC IQやRushという新要素が実際どんなものか確認してから買いたい人
  • Ultimate Teamの課金圧力が気になっていて、実態を知りたい人
  • FC 25かFC 26、どちらを選ぶか迷っている人
目次

「EA SPORTS FC 25」とはどんなゲームか

EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット1
EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット1

EA SPORTS FC 25は、EAがFIFAのライセンスを手放してから2作目となるサッカーシミュレーションゲームだ。開発はEA CanadaとEA Romania、発売はElectronic Arts。2024年9月27日にSteam(PC)、PlayStation 4/5、Xbox One/Series X|S、Nintendo Switchで同時リリースされた。

収録規模はシリーズ最大クラスで、19,000人以上の選手が700以上のクラブ・代表チームに所属し、120以上のスタジアム、30以上のリーグがライセンスを取得済みだ。プレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエA、リーグ1、UEFAチャンピオンズリーグといった主要コンペティションはもちろん、明治安田J1リーグも収録されている。

PC版の価格は9,800円(通常版)で、早期アクセス付きのUltimate Editionは14,400円という設定。日本時間の9月20日から早期アクセスが開始し、一般発売の7日前からプレイできた。

ゲームモードの構成はキャリアモード(監督・選手)、Football Ultimate Team(FUT)、Clubs(プロクラブ)、Kick-Offという前作からの4本柱に、新モードの「Rush(5v5)」が加わる形だ。今作の3本柱は「FC IQ」「5v5 Rush」「女子サッカーのキャリアモード完全導入」で、ここを軸にFC 24からの進化を測ることができる。

Kick-Offはいわゆる「エキシビションマッチ」で、好きなクラブを選んでCPUや画面分割で対戦できるモードだ。友達と集まってカジュアルに1試合だけ楽しむには一番シンプルな入口で、各モードの仕組みを理解する前でも気軽に触れる。FC 25ではKick-OffにもRushが追加されていて、分割画面でのRush対戦も可能になった。

FIFAからEA SPORTS FCへ——ブランド変更の経緯

なぜ「FIFA」という名前がなくなったのか、という背景を知らないとFC 25の立ち位置が分かりにくいので整理しておく。

EAとFIFA(国際サッカー連盟)は1993年から「FIFA International Soccer」という形でゲームを作り続けてきた。2023年版「FIFA 23」まで、実に30年近くにわたって「FIFA」というブランドを使い続けてきたわけだ。しかし2022年5月、EAとFIFAの決別が電撃的に発表された。

理由は端的に言えば「FIFA側のライセンス料と条件が拡大の足かせになっていた」から。EAのCEOは「FIFAとのパートナーシップが我々のアンビションを妨げていた」と明言した。具体的にはNikeなどのスポーツブランドとの独自パートナーシップを結びたかったが、FIFAの規約がそれを阻んでいた。報道では年間のライセンス料が約1億5,000万ドルとも言われていて、FIFAはさらにその2倍以上を要求していたという話もある。

EA側は「FIFA」というブランドを手放す代わりに、それ以外のすべてのライセンス——プレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエA、UEFAチャンピオンズリーグなど——を維持することに成功した。選手19,000人以上、クラブ・代表チーム700以上、スタジアム120以上というライセンスの規模は変わっていない。つまりゲームの中身で体験できる「リアルなサッカー」の幅は従来から縮んでいない。

ブランド名の変更はFC 24(2023年リリース)からスタートし、FC 25、そして後継の「EA SPORTS FC 26」へと続く。FC 25はこのシリーズとして2作目にあたり、初代FC 24で積み上げた土台の上に「ゲームプレイとしての本格的な進化」を追求したタイトルだ。

FC IQ——戦術システムを根本から作り直した

FC IQはFC 25が最も力を入れた新機能で、選手のポジショニングや動き方をリアルワールドのデータから再設計するシステムだ。スポーツデータ会社Optaが保有するプロリーグの試合データを使って、50種類(実際には52パターンのロールとフォーカスの組み合わせ)の「プレイヤーロール」を定義。各選手にはOptaのAIが分析した「その選手らしいロール」が割り当てられている。

従来のFIFAシリーズでは「プレイヤーインストラクション」という形で選手の動き方を細かく指示できたが、それはあくまで個別の命令に近いものだった。FC IQのプレイヤーロールは違う。選手それぞれに「この役割を担う選手はこういう状況でこう動く」というAIモデルが組み込まれていて、ボールを持っていない時間の動き方まで変わる。

フォルスバック、インサイドハーフ、フォルス9——現代戦術が使える

たとえばインサイドハーフのロールを持つ選手は、ボールを持っていないときもサイドに流れずにハーフスペースを積極的に使おうとする動きをする。フォルス9(偽の9番)のロールを持つストライカーは、FWのポジションにいながらも中盤まで下りてゲームメイクに絡む動きをとる。これが前作までと根本的に違う点で、選手ひとりひとりの「賢さ」が役割によって変わる。

さらに「フォルスバック(偽サイドバック)」も実装された。サイドバックにボールを持たせてもサイドに張るのではなく中盤に入ってポゼッションを助ける、現代サッカーで頻出する戦術パターンがゲームの中で再現できるようになった。シーズン2024-25のリバプールやマンチェスター・シティのような「保持から非保持への可変フォーメーション」をFC 25で作れるのは、FC IQがあってこそだ。

FC IQのプレイヤーロールで動きが全然変わった。同じ4-3-3でも、インサイドハーフのロールを変えるだけで試合の流れが変わる。前作のプレイヤーインストラクションより格段に深い

引用元:Steamレビュー

戦術プリセットにはリアルチームのデータを参考にしたものも用意されていて、「このクラブのやり方でやりたい」というオーダーにも応えやすい設計になっている。Football Managerほど深いわけではないが、これまでのFIFAシリーズと比べると戦術の自由度は段違いに上がった。

FC IQが試合にどう影響するか

FC IQが変えた最大のポイントは、ボールがない場面での選手の動き方だ。従来のFIFAでは「ボールを持った選手を動かすゲーム」という側面が強く、ボールを持っていない選手のポジショニングはある種「なんとなく動く」という印象があった。FC 25では、ロールに基づいたAIが「次にボールがここに来たらどこにいるべきか」を考えて動く。

具体的には、ハイプレスを設定したチームではFWが高い位置から連動してプレスをかけ、DFラインを押し上げる動作が明確になった。守備時にブロックを組む際も、選手が「あるべき位置」に自動的に戻ろうとする傾向が強まった。ゲームウィズの早期アクセスレポートでは「新AIにより、味方も相手CPUもめっちゃ強くなった。選手が各自の役割を果たすようになり、テレビのサッカー放送じゃなくてゲームと錯覚するほどリアルになった」という評価が出ていた。

ただしFC IQは入門コストが高い。50種類のロールを理解して活用するには相当な試行錯誤が必要で、「ゲームを始めてすぐわかる話ではない」という点は覚悟しておく必要がある。ある批評家は「FC IQはFootball Managerのシステムを簡略化したものだ」と評したが、FIFAシリーズの標準的なユーザーにとっては十分すぎるほど深い。

「ロールを切り替えるだけで試合が変わる」という体験は、長くFIFAをやってきた人ほど「そういうことがやりたかった」と感じる類のものだ。4-3-3でCBにボールをもたせてインサイドハーフが内側を取りながら動かし、フォルスバックが中盤に入って数的優位を作る……という手順をゲームの中で再現できるのは、今のところFC 25が世界最高のサッカーゲームが持つ仕組みのひとつだと言っていい。

ロールの設定は試合前の「戦術」メニューから行う。フォーメーションを設定したあと、各ポジションに配置した選手のロールを個別に変更できる。たとえば4-3-3の左ウインガーに「カットイン」ロールを与えると、その選手はサイドから中央に切り込む動きを優先する。「セントラルウインガー」ロールにすると、内側のスペースを使って受けに行く動きが増える。こうしたロールの組み合わせを試しながら「自分のチームのサッカー」を作り上げていく過程が、FC 25のキャリアモードを楽しい時間にしてくれる。

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5v5 Rush——友達と遊ぶ新しい入口

EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット2
EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット2

FC 25のもうひとつの目玉が「Rush」モードだ。5人制(GKはAI操作)の小型ピッチで行う高速マッチで、Ultimate Team、Clubs、Kick-Offのいずれからも遊べる。フレンド最大3人とチームを組んで参加するか、ソロでマッチングして他のプレイヤーと即席チームを組む形式になっている。

Rushのルールと設計思想

1試合が短く(通常の11v11と比べてかなり短い)、オフサイドが部分的に適用されるルールなので、初心者でも気軽に試せる。5人のピッチは相対的に狭く、ドリブル突破や1対1の駆け引きが多くなる。「サッカーゲームって複雑そう」と感じる人にとって、11人フル対戦より入りやすいモードになっている。

ゲームウィズの早期アクセスレポートでは「かなりはまった」という評価があり、フットサルとサッカーの良いとこどりという印象が持たれていた。小さいフィールドで少ない人数だからこそ個人技が試され、スキルムーブや守備の1対1が練習になるという副次的な効果もある。Rushで1対1の守備とドリブル突破を練習してから11v11に移ると、感覚的にうまくなっているという声もある。

ポジションの固定がないこともRushの特徴のひとつだ。11v11ではCBがFWのポジションに来るのはほぼ異常事態だが、Rushでは「固定的な選手の役割とポジションという従来の概念は取り払われており、試合の進行に応じて自分自身で役割を切り替え」られる設計になっている。これがフットサル的な流動性とサッカー的な戦術の融合を生んでいる。

Rushは最初軽く触るつもりだったのに気づいたら2時間やっていた。フレンドと気軽に遊ぶにはちょうどいいモードだと思う。フットサルっぽい感覚でテンポが速くて楽しい

引用元:Steamレビュー

FUTとClubsでのRush活用

Ultimate Teamのチャンピオンズプレイオフにも「Rush Champions」として組み込まれていて、フレンドと一緒にFUTのランク戦に参加できるようになっている。これはFUTがこれまで基本的に「1対1のオンライン対戦」という形式だったことを考えると、かなり大きな変化だ。FUTで「ソロばっかりしんどい、誰かと一緒にやりたい」という声への直接の回答がRushだと言える。

Clubsでも遊べる。11人集めるのが難しいときに4人でRushに参加できるので、「全員揃わないけどとりあえず何かやろう」という状況でも使えるオプションとなっている。

Rushに対する批判もある。「Rushが追加されたことでFUTの1週間のノルマが増えた」「チャンピオンズの試合数は減ったがRushの消化が面倒」という意見もSteamのレビューに散見される。機能が追加されるたびにやるべきことが増えていく、FUTの構造的な問題とも言える。

キャリアモード——女子サッカーとライブスタートポイント

FC 25のキャリアモードには2つの大きな追加要素がある。女子サッカーの完全導入と、ライブスタートポイントだ。

女子サッカーのキャリアモード完全導入

女子サッカーは今作からキャリアモードに完全参入した。対象リーグはバークレイズ女子スーパーリーグ(イングランド)、アルケマ・プルミエール・リーグ(フランス)、グーグルピクセル・フラウエン・ブンデスリーガ(ドイツ)、リーガF(スペイン)、NFWSLウィメンズチャンピオンシップ(アメリカ)の5リーグで、プレイヤーキャリアでもマネージャーキャリアでも女子チームを率いることができる。

男子リーグと女子リーグをまたいでチームを管理する「クロスリーグキャリア」も可能で、たとえばマンチェスター・シティの男子チームと女子チームを同時に監督する、ということもできる。これはEAが長年「いつやるのか」と問われ続けていた要素がついて実現したことで、女子サッカーの試合を見ている層からは歓迎の声が多い。

女子監督キャリアでは男子と同じ機能が使えて、移籍交渉、選手育成、FC IQによる戦術設定も完全対応している。「女子サッカーは別ゲームになっているのでは」という懸念は、実際にはないと言っていい。男子と同じクオリティで楽しめる設計になっている。女子代表チームでの国際大会も楽しめて、ワールドカップなどの公式コンペティションで世代交代しながら長期的にチームを作る楽しみがある。

ライブスタートポイント

ライブスタートポイントは2024年11月21日にアップデートで実装された機能で、2024-25シーズンの特定のゲームウィーク時点から実際の状況を反映した状態でキャリアを始められるものだ。実際の順位表、移籍市場での選手動向、怪我人・出場停止情報が当時のリアルに沿って設定されている。

「あの時点からやり直したい」「シーズン途中の名門クラブを建て直したい」という人向けの機能で、バーンリーがプレミアリーグで苦しんでいた時期から監督として乗り込む、といった体験が可能だ。開幕からではなく「問題が起きている状態から救う」という立場でキャリアを始めるのは、通常のキャリアとはまた違った緊張感がある。

ライブスタートポイントは男子・女子どちらのリーグでも適用されていて、たとえばバークレイズ女子スーパーリーグの特定ゲームウィーク時点から女子監督キャリアを始める、ということもできる。

ライブスタートポイントが地味にいい。シーズン途中から始められるので、現実の試合結果を見ながら「ここで違う選択をしたら」という思考実験が楽しめる

引用元:Steamレビュー

マネージャーキャリアの育成・スカウト要素

マネージャーキャリアのスカウティング機能もFC 25で拡充されている。スカウト可能な地域が90か所追加されて計160の国から有望選手を探せるようになった。中小クラブで若手を安く発掘して育成し、大クラブに高値で売却する「セルアンドバイ」型の運営は、長期キャリアの醍醐味のひとつだ。

移籍交渉も現実的になっていて、移籍金の分割払いや売却益の一部保持といった複雑な契約条件を設定できる。大クラブに主力選手を引き抜かれそうになった際に「将来の売却益の15%を受け取る条件で売る」という交渉ができるのは、現実のサッカー界を反映した面白い仕組みだ。選手のエージェントとの交渉画面も前作より情報量が増えていて、給与・ボーナス・移籍条項を別々に設定できる。

FC IQはキャリアモードでも完全に機能する。監督キャリアでチームの戦術を細かく設定して、選手のロールを見ながらどのポジションに誰を置くかを考えるのは、FUTとはまったく違う楽しみ方だ。Football Managerの入門として「まずFCのキャリアモードで戦術を学ぶ」というアプローチも十分ありえる。

プレイヤーキャリアでは自分の選手を育てながら特定クラブで活躍するという体験が楽しめる。自分のアバターに合ったロールを設定して、監督にアピールしながらスタメンを勝ち取っていく過程は、FUTや監督キャリアとはまた別の視点でサッカーゲームを楽しめる。

プレイヤーキャリアには「ゲーム内SNS」の要素も導入されていて、試合後の自分のパフォーマンスに対してメディアや他の選手からの反応が届く。「今日のあの1対1の対応は完璧だった」というコメントや「先週の試合で活躍したら移籍の噂がSNSに流れ始めた」という演出があって、自分の選手がチームとリーグの文脈の中で生きているという感覚が出ている。実在のジャーナリストのアカウントがゲーム内SNSで選手について語るという実装もあり、試合の外のドラマを楽しめる設計になっている。

Ultimate Team——FUTの仕組みと課金の実態

EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット3
EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット3

EA SPORTS FC 25の収益の大部分を支えているのがFootball Ultimate Team(FUT)だ。19,000人以上の選手カードを集め、ドリームチームを編成してオンラインで対戦するカードゲーム的要素を持つモードで、2009年のFIFA 09から続くシリーズ最大の集客コンテンツでもある。

FUTの基本的な仕組み

FUTの基本的な仕組みはFC 24から大きく変わっていない。選手パックを開けてOVRの高い選手を揃え、リーグやクラブのケミストリー(相性)を意識しながらフォーメーションを組み、週次のリーグ戦やFUT Championsで対戦する。

ケミストリーは同じリーグ・クラブ・国籍の選手を並べることで上がる数値で、チームの能力値に直接影響する。たとえばプレミアリーグの選手を10人並べると全員のケミストリーが高くなり、その分ステータスにボーナスがかかる。逆に無理に最強選手を並べてケミストリーがバラバラな状態では本来の能力を発揮できない。このケミストリー管理がFUTにカードゲーム的な奥深さを与えている。

序盤は試合をこなしてコインを稼ぎ、マーケットで安い選手を買い集めながらチームOVRを上げていく。週次のDivision RivalsでランクポイントとCoinsを稼いでいけば、数週間単位でチームの強さを着実に上げていける。

Squad Battlesというモードでは、他のユーザーが組んだチームをAIとして操作する選手と対戦する。オンライン対戦が苦手な人でも、AIとの対戦でコインやパックを稼げるので、FUTを始める際の最初の足がかりになる。Squad BattlesはFUTを長くやっているプレイヤーにとっても週次のコイン源として機能していて、毎週一定数こなすことでランク報酬がもらえる仕組みになっている。

Squad Building Challenge(SBC)

Squad Building Challenge(SBC)は不要なカードを素材にして特定選手のカードや報酬パックを取得できるシステムで、無課金プレイヤーの主要な強化手段だ。「リーグ3つ以上、ケミストリー75以上、OVR82以上の選手でチームを組む」といった条件を満たしたチームを提出することで報酬が得られる。

Live SBCは現実世界のサッカーイベントと連動した期間限定版で、「この週の実際の試合で活躍した選手のSpecial版」が報酬として取れることがある。タイムリーに挑戦するほど価値の高いカードが手に入る仕組みで、これ自体を追いかけるのが楽しいというプレイヤーも多い。

SBCの設計は前作よりちょっとマシになった気がする。安いカードで解けるものが増えたし、パックを開ける回数が増えた気がする

引用元:Steamレビュー

FUT Championsの仕組み

FUT Championsは週次の競技コンテンツで、最も競争的なプレイヤーが集まる場所だ。仕組みはChampions Play-Offs(予選)とChampions Finals(本戦)の2段階になっている。

Play-Offsでは累計1,000ポイントの「チャンピオンズ資格ポイント」を集めた上で、5試合中3勝を達成するとFinalsへの出場権が得られる。Finalsでは最大15試合をこなし、勝ち数に応じてランク1〜7の報酬がもらえる。Rank1には特別なICONパックや高ティアの選手カードが入る。

FC 25ではFinalsの試合数が15試合(前作のWeekend Leagueは40試合)に削減されたことで、上位プレイヤーへの負担は下がった。ただし「Rushが追加されたことで週の消化タスクが増えた」という感覚は残っていて、トータルの時間コストが下がったかどうかはプレイヤーによって評価が分かれている。

Division Rivalで毎週こなすランク戦も加えると、FUT中心のプレイヤーは週に数十試合こなすのが通常ペースになる。「サッカーゲームで週末を消化する」という感覚は人によっては楽しいが、「サッカーゲームにノルマで縛られている」と感じる人には向かない設計だ。

Division RivalsはFUTの週次コンテンツのうち最も広く参加されているモードで、ディビジョン1〜10に分かれた自分のランク帯で対戦が行われる。ランクポイントを一定数集めることでプロモーション(昇格)または降格が決まり、上位ディビジョンに行くほど相手が強くなる。各ディビジョンの上限まで勝ち続けるとランクロックがかかって降格しなくなるため、「今週は楽にポイントを稼げる週とガチで上を目指す週」という使い分けができる。初心者にとっては最初の数ディビジョンが練習場所になっていて、FUTの入門コンテンツとしても機能している。

課金の実態——FC PointsとUltimate Edition

課金通貨のFC Pointsを使えばパックを追加購入できる。1パック数百円から数千円という設定で、欲しい選手が出るとは限らない。これはいわゆるガチャの仕組みで、「確定ガチャ」に近いSBCと組み合わせながらチームを強化していく。

Ultimate Editionは14,400円で、追加のFUT Pointsや特典カード、早期アクセス権が含まれる。標準的には通常版の9,800円と合計すると、FUTを本格的にやっているプレイヤーの中には「Ultimate Edition代金プラス月に数千円のFC Points課金」というペースで使っているケースも少なくない。

Ultimate Teamは相変わらず課金圧が強い。でもFUT Champions Finalには無課金でも上がれる仕組みにはなってる。問題はそこまでに費やす時間が膨大なこと

引用元:Steamレビュー

課金をしなければ強くなれないか、という問いに対しては「無課金でも上位ランクには行ける、ただし時間がかかる」が正直な答えだ。完全無課金を貫く場合、マーケットでのカード売買で効率的にコインを稼ぐ「トレーダー」としての動き方を身につける必要がある。これ自体を「FC 25の別ゲーム」として楽しむ人もいるが、純粋にサッカーゲームとして楽しみたい人には向かない遊び方だ。

FUTを本格的にやろうとすると「気づいたら課金していた」ということになりやすい。SBCに必要な選手のコストを払えないとき、パックを開ければ素材が手に入るという誘惑がある。一方でSBCを活用すれば無課金でも一定のカードプールを維持できる。ここの線引きは個人の判断次第で、「FUTのビジネスモデルへの不満」は批判の中でも特に根深い部分だ。

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Clubs(プロクラブ)——仲間と同じチームに乗り込む

ClubsはFUTと並ぶオンラインモードのひとつで、最大11人のプレイヤーが同じチームの選手をそれぞれ操作して、対戦する形式だ。自分だけの「バーチャルプロ」を作ってポジションを任され、フレンドと一緒にリーグ戦や大会に参加する。格闘ゲームでいえば「タッグマッチ」に近い感覚で、チームとしての連携が問われるモードだ。

Cranium Technologyによるキャラクター作成

FC 25のClubsにはCranium Technologyが導入された。これはアバターの顔を細かくカスタマイズできる技術で、スライダーやプリセットを使って自分に似せた顔を作ることができる。4つの技術的な柱(顔の形状、テクスチャ、スキントーン、顔の表情)から構成されていて、鼻の形、あごのライン、眉の太さといった細部まで調整できる。

Cryo Texture Compositorという技術(Sports Tech ATG開発)により、肌のテクスチャや傷の有無まで設定できる。以前のキャラクター作成では「モブ顔」感が抜けなかったが、Cranium Technologyで表情やテクスチャの調整ができるようになったことで、より個性的なプロが作れるようになった。

Cranium Technologyはキャラクター顔生成をスタジアムの観客にも適用していて、これがFC 25のグラフィック改善で最も体験に影響した部分だ。前作まで「明らかに使い回しのモブ」だった観客のバリエーションが増えたことで、スタジアムの没入感が上がっている。フォトリアルな選手モデルとモブ顔の観客という乖離が「ゲームっぽさ」の原因になっていたことを考えると、この改善は体験の質を底上げしてくれる。ゴールを決めた後に観客を映したカットシーンの質感が前作と全然違うのは、実際に触ってみれば分かるレベルの変化だ。

Clubsのマッチメイキングとシーズン構造

Clubsのリーグ戦はSkill Ratingを基準にマッチメイキングされていて、同等の実力のクラブと対戦しやすくなっている。Clubs Playoffsでは自分の所属ディビジョンが優先されていて、「同じディビジョンのライバル」として対戦できる設計になっている。

選手のOVRはバーチャルプロの成長に連動していて、試合をこなすたびにレベルアップしていく。6フィート5インチ(約195.6cm)という身長の上限が設けられていて、ゲームバランスに配慮した設計になっている。

RushモードはClubsでも遊べる設計で、11人集まらないときでも4人でRushに参加できる。フレンド4人でサーバーに入って即席の5v5を楽しめるので、「今日は人が少ないからRushだけやろう」という柔軟な運用ができる。

なぜ評価が割れるのか——Steam「賛否両論」の内訳

EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット4
EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット4

Steam上での評価は2024年9月のリリース時点で「賛否両論」、約10万件のレビューのうち約53%が好評という結果になっている。The Game Awards 2024でBest Sports/Racing Gameを受賞した一方で、Googleレビューでは1.6星、体験版「FC 25 Showcase」はSteamで「圧倒的に不評」という数字が出ている。この矛盾を理解するにはいくつかの文脈が必要だ。

まず、批評家の評価とユーザー評価の乖離が顕著だ。Metacriticではプロ批評家からは概ね好評を得ている一方、ユーザースコアは大きく割れている。この構造はここ数年のスポーツゲームに共通していて、「批評家は新機能を評価するが、長年のプレイヤーは例年変化の少なさやビジネスモデルへの不満を吐き出す場として使う」という傾向がある。

EA Sports FC 25はF1 24、NBA 2K25、WWE 2K24、TopSpin 2K25という競合を破ってThe Game Awards 2024のBest Sports/Racing Game賞を受賞した。近年レーシングゲームが独占していたこのカテゴリを久しぶりにサッカーゲームが制したという点でも注目されたが、Steamの低評価者は「今年のスポーツゲームで最善だったというだけ」という冷めた見方をしていた。

よく見られるネガティブな評価の内容

ネガティブなレビューで多いのは以下の内容だ。

パスが意図した方向に飛ばないことが増えた。シュートがポストに当たる頻度も高くて、スクリプト疑惑が絶えない。ゲームが負け側にアシストしてくる感覚がずっとある

引用元:Steamレビュー

年々ゲームとして悪くなっている。メニューはひどく、バグの数も多い。毎年フルプライス払って前作の劣化版を買わされている感覚がある

引用元:Steamレビュー

「スクリプト」とは、試合が一方的な展開になるとゲームが劣勢側に有利な補正をかけるのではないか、という長年の議論のことだ。EAは公式に否定しているが、「逆転されやすい試合が多い」という体感はプレイヤーの間で根強い。PS5版レビューで「20回のシュートミス、40回のパスミス、30回のファーストタッチミス」という具体的な数字を挙げてAIの動作への不満を示したレビューも確認できる。

もうひとつ目立つのは「ゲームが現実的すぎてカジュアル層が楽しみにくくなった」という指摘だ。海外のSteamレビューには「The ‘realistic’ approach for FC 25 was just a stupid idea to make this new title look like something fresh and new. Game became way harder and less casual because of that.」という評価があり、FC IQによる難化を批判する声も一定数ある。

PC版固有の問題として、「EA appとの連携でトラブルが多い」という技術的な批判も見られる。「チェックポイントが機能しない」「ロード画面でフリーズする」といったバグ報告はリリース後しばらく続いた。

ポジティブな評価の内容

一方、ポジティブな評価はFC IQの方向性を支持するものが多い。

FC IQで戦術の幅が本当に広がった。同じ4-3-3でも使い方が全然違うチームが作れる。今作はシリーズのなかで戦術面では一番面白いと思う

引用元:Steamレビュー

友人とRushをやるのが普通に楽しい。FUTのガチ対戦は時々つらいが、フレンドと遊ぶためのモードとしてはかなりいい出来だと思う

引用元:Steamレビュー

EA Sports FC 25は「EAFCシリーズのターニングポイント」という評価もある。長年FIFAシリーズに積み重なった「ゲームプレイより収益最優先」という不信感は簡単には消えないが、FC IQとRushという2つの新要素は「ゲームプレイとしての進化」を正しい方向で実現している。

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前作FC 24との違い——何が変わって何が変わっていないか

FC 24からFC 25への変更点を具体的に整理する。

FC IQはFC 24にはなかった完全新規のシステムで、プレイヤーロール50種類と可変フォーメーションの概念を持ち込んだ。前作のプレイヤーインストラクションに比べると、設定の粒度と影響の大きさが別次元になっている。

Rushは完全新規のゲームモードで、5対5というフォーマットはFIFAシリーズを通じて初めての試みだ。Ultimate TeamとClubsとKick-Offをまたぐ形でアクセスできる構造も新しい。

キャリアモードへの女子サッカー導入もFC 25が初めてで、スカウティング地域の拡充(+90か所で計160か国)も今作からだ。ライブスタートポイントはリリース後のアップデートで追加されたが、キャリアの新しい楽しみ方を開いた。

Cranium Technologyによるキャラクター顔生成は、プロクラブのアバター作成と観客の描写両方を一気に底上げした。特にClubsのバーチャルプロ作成体験は、前作から見違えるほど個性的に作れるようになった。

一方で変わっていない点も多い。Ultimate Teamのビジネスモデルは基本的にFC 24と同じで、FC Pointsによるパック購入の構造は継続されている。「FUT Championsの試合数が15試合に削減」という変更はあったが、週次のノルマ感は解消されていない。

試合のゲームプレイそのものについては「テンポが変わった」「AIが賢くなった」という意見がある一方、「スクリプト」に対する不満もFC 24から引き続き聞こえてくる。

2025年シーズンアップデートによる改善

FC 25はリリース後もアップデートが継続的に配信されてきた。2025年6月にリリースされた「シーズン・フィナーレ アップデート」では熟練パサーのグラウンドパスの改善やヘディング精度の向上など、プレイヤーからの要望に基づいたゲームプレイ調整が行われた。発売当初からプレイしていたユーザーと、今から始めるユーザーでは体験の質がかなり違う状況になっている。

PC版固有の注意点——EA appとの連携

PC版(Steam版)はEA app(旧EA Desktop)を経由してプレイする形式で、SteamとEA appの両方をインストールする必要がある。これはFC 24から変わっていない運用で、「Steam上で購入したのにEAのアプリが別に必要」という点はPC版の注意点としてよく指摘される。起動が2段階になっていることで「Steamで起動できない」「EA appのログインでハマる」というトラブルが初回設定で起きることがある。

推奨スペックはGTX 1660 Ti以上(グラフィックス)、Core i7-6700K以上またはRyzen 5 1600相当以上(CPU)、16GB以上(RAM)、100GB以上(ストレージ)。最低スペックはGTX 1050 Ti以上とCore i5-6600K以上だ。オンライン対戦では安定したフレームレートが直接操作感に影響するため、有線接続環境でのプレイを推奨する。

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ユーザーの声から見えるFC 25の実態

EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット5
EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット5

Steam、note、価格.com、5chに散在するFC 25のユーザー評価から、楽しんでいる部分と不満の核心部分を分けて見ていく。

楽しんでいる層が言っていること

楽しんでいるという声でとくに多いのはキャリアモードに関するものだ。「FC IQで戦術の自由度が上がった」「女子サッカーのキャリアができるようになったのは嬉しい」「ライブスタートポイントで好きなタイミングから始められる」という話が多い。FC IQを使いこなすと、同じフォーメーションでも使い方次第でまったく違う試合展開になる、という戦術ゲームとしての深みを評価する声がある。

グラフィック改善についても評価が高い。「アジア人選手の顔が前作より本人に近くなった」「スタジアムの観客が前作と比べてリアルになった」という評価は、Cranium Technologyの成果だ。価格.comのレビューでも「キャラクターの描写が向上し、アジア人選手の表現が特に改善」という評価が出ている。

Rushについては「フレンドと気軽に遊べるモードとして機能している」という評価が多い。11v11のフル対戦は時間もかかりプレッシャーも大きいが、Rushは短時間でカジュアルに楽しめるという点が受け入れられている。サッカーゲームを長くやっていなかった人がFC 25を買って最初にRushをやって「思ったより楽しい」と感じるケースも多い。

今作を持っていれば、フレンドに「じゃあFC25でシミュレーションしてくるわ」と返すことも可能になる。今作はシリーズにとってターニングポイントともなりえる大きな進化を見せた

引用元:Steamレビュー

不満を持っている層が言っていること

一方、不満で目立つのはFUT(Ultimate Team)に関するものだ。主な論点は3つある。

1つ目は時間的コストの問題。FUTには週次のFUT Champions(Playoffs 5試合+Finals最大15試合)というノルマが実質的に存在し、「サッカーゲームを楽しむ」ではなく「コンテンツを消化するための作業」になっていると感じているプレイヤーが多い。Rushが追加されたことでさらにやることが増えたという指摘もある。

2つ目はゲームバランスの問題。「課金でいいカードを揃えたチームと当たると、技術差より能力値差が影響する」「高OVRのチームに対してはゲームの感触が変わる」という意見がある。完全無課金で上位を目指すとプレイ時間が膨大になる。

3つ目はスクリプト・DDA(動的難易度調整)への不信感だ。「負けているときにパスが急に合わなくなる」「逆転されるパターンが決まっている」という体感的な不満で、EAは公式にはこれを否定しているが議論は収まっていない。

noteで公開されているFC 25の長期プレイレポートでは「前作と比べてつまらなくなった」という総評が出ていて、同時に「フルプライスで買う価値はなく、セール時推奨」という具体的なアドバイスも書かれている。これはFUTを長時間やった上での評価で、キャリアモードへの言及は限定的だ。つまり「FC 25への評価」はどのモードを主体にするかで大きく変わる。

別の長期レビューでは「約3ヶ月やって、フルプライスで買う価値は無い、セール時に買いましょう」という結論が出ている。発売直後のフルプライスよりもセール価格という判断は、複数のユーザーが独立して出している共通見解だ。

競合との比較——eFootballとFC 25どちらを選ぶか

PCで遊べるサッカーゲームとして現実的な競合はKonami(コナミ)のeFootball(旧ウイニングイレブン)だ。eFootballはF2P(基本無料)で、スマートフォンとPC・コンソールをまたいでプレイできる点が大きな差異だ。

ライセンス面の比較

ライセンスの幅ではFC 25が圧倒的に広い。プレミアリーグ、UEFAチャンピオンズリーグ、J1リーグなどは基本的にFC 25が保有している。eFootballはバルセロナやユベントスなどとのパートナーシップを持つ一方、全体的なリーグカバレッジではFC 25が上だ。

「本物のユニフォームと本物のスタジアムでプレミアリーグを再現したい」「J1リーグのクラブで長期キャリアをやりたい」という用途には、FC 25一択に近い。

ゲームプレイと価格の比較

eFootballはF2Pなので、試してから判断できる。ゲームプレイはeFootballとFC 25でかなり異なる感触で、eFootballはよりゆっくりとしたテンポで「ボールの重さ」を感じる体験に近く、FC 25はよりスピーディでアクション寄りの感覚だ。ウイニングイレブン時代から遊んでいる人にはeFootballのほうが「サッカーらしい」と感じる人も多い。

FC 25が向いているのは「本物のリーグ・クラブのユニフォームやスタジアムで遊びたい」「キャリアモードで長期的な監督ゲームをしたい」「フレンドと一緒にUltimate Teamで遊びたい」という人だ。eFootballが向いているのは「お金をかけずにサッカーゲームを試したい」「スマホと共通のアカウントで管理したい」という人になる。

サッカーゲームのコンテンツの幅とキャリアモードの深さを求めるなら今のところFC 25(あるいはFC 26)、初期投資をかけずに試すならeFootball、という選択基準が現実的だ。

ちなみにGUILTY GEAR -STRIVEやStreet Fighter 6のような格闘ゲームで「オンライン対戦でスキルを積み上げる」感覚に近いものを求めているなら、FC 25のFUTのほうがその欲求に近い。サッカーゲームは複数の人間が同時に動くという複雑さがある分、「熟練のテクニックで圧倒する」という感覚は格闘ゲームほど明快ではないが、長期プレイで積み上げるものは確実にある。

「EA SPORTS FC 25」が向いている人・向いていない人

EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット6
EA SPORTS FC™ 25 ストラテジー スクリーンショット6

FC 25が楽しめる人の条件をはっきり言うと、以下のいずれかに該当する人だ。

サッカーゲームの戦術面に興味があって、FC IQを使って現代フットボールの戦術を再現することに楽しさを見出せる人。FC 25のキャリアモードはFootball Managerへの入門としても機能する深さがある。フォルスバック、フォルス9、インサイドハーフのロールを組み合わせてリバプールやシティっぽい動きをAIに再現させようとする過程が楽しめるなら、キャリアモードだけでも相当な時間を費やせる。

フレンドと一緒にRushやClubsでカジュアルに遊びたい人。Rushは1試合が短く、4人いれば手軽に参加できる。全員揃わなくても遊べるゆるい構造はグループでのゲームとして機能する。

実在のリーグ・クラブ・選手が揃ったサッカーゲームを遊びたい人。30以上のリーグと700以上のチームのライセンスは、他のサッカーゲームが追いつけないレベルだ。J1リーグの全クラブで遊べるのはFC 25だけといっていい。

女子サッカーのキャリアがやりたい人。バークレイズ女子スーパーリーグなど5つのトップリーグを収録したキャリアモードは今作が初めてで、このコンテンツ目当てなら選択肢はFC 25か後継のFC 26という形になる。

オフラインでゆっくり自分のペースで遊びたい人にも、キャリアモード中心の遊び方は向いている。FUTのようなオンライン競争に関わらず、監督として好きなクラブを率いて長期的にチームを作り上げる過程は、時間をかけてじっくり楽しめる。J1リーグのクラブを率いてUEFAチャンピオンズリーグ出場を目指す、あるいはバーンリーやルートン・タウンのような小クラブでプレミアリーグ残留争いをする、というキャリアの組み立て方が楽しめる。

育成要素も面白いポイントで、スカウトしてきた若手選手の能力がシーズンをまたいで上がっていく過程は、RPGの育成に近い達成感がある。「最初は能力値75程度だった若手が、3シーズンかけて85を超えてクラブの主力になる」という体験は、FUTのカード集めとは全く異なる楽しさだ。

一方、FC 25が向いていない人は以下のような人だ。

FUTのハイレベル帯でのランク戦を週15試合以上消化することに価値を見出せない人。FUTを本格的にやろうとすると時間的コストが相当かかり、「ゲームをやらされている」感覚になりやすい。

「ゲームはフルプライスで買ったらすぐ楽しめるべき」という考え方の人。FC 25のFUTは、課金か膨大なプレイ時間のどちらかがないと上位帯に到達しにくい構造になっている。

最小限のお金でサッカーゲームを楽しみたい人は、eFootballのF2Pを選ぶか、FC 25をセールで買うほうが無難だ。

ライトなゲームプレイを求める人も注意が必要で、FC IQによる難化を批判する声があるように、カジュアルにサッカーゲームを楽しみたい人には前作FC 24のほうが入りやすかったという意見もある。

FUTへの向き不向きをもう少し具体的に言うと、カードゲームやソシャゲのガチャシステムに抵抗がなく、「強い選手のカードを集めてチームを強化する」という目標をモチベーションにできる人はFUTにハマる可能性が高い。一方で「プレイヤースキルで相手を制圧したい」「課金なしでも純粋な実力で上位に行きたい」という競技ゲーム的な動機が強い人は、FUTの構造に違和感を覚えやすい。Street Fighter 6やGUILTY GEAR -STRIVEのように「お互い同じ条件でやり合う」という格闘ゲームの文化で育った人には、FUTのカード格差が受け入れにくいケースが多い。

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2025年時点での評価——FC 26リリース後の立ち位置

2025年現在、FC 25の後継となる「EA SPORTS FC 26」がリリースされている。FC 26ではゲームプレイプリセット(Competitive/Authentic)の導入や、FUTの競技構造の変更など、FC 25への批判に対応した改善が含まれている。

FC 25を今から遊ぶ場合、セール価格で購入することを強く推奨する。9,800円のフルプライスで買う価値については、FUTを本格的にやるなら最新作のFC 26に行ったほうが長期的に楽しめる。キャリアモードをじっくり楽しむ目的であれば、セールで2,000〜3,000円台になったFC 25で十分なコンテンツ量を得られる。

後継のFC 26がどのように変化したかを確認した上で「FC 25を選ぶかFC 26を選ぶか」を判断するのが賢い買い方だ。

EAは2025年1月に「FC 25は財務的にアンダーパフォーム」したと認めている。この発言はEAの株主向け報告での内容で、「期待ほどの収益を上げられなかった」という意味だ。これはFUTの課金売上が前年比で伸び悩んだことが主因とされている。EAがFC 25の結果を踏まえてFC 26でどんな変更を加えたかを見ると、「FC 25への批判から何を学んだか」が分かる。FC 26ではゲームプレイを「Authentic」と「Competitive」の2プリセット制に変えたことが大きな改善策のひとつで、FUTプレイヤーとキャリアモードプレイヤーの体験を意識的に分けようとした設計変更だ。

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まとめ——FC 25は「戦術を楽しむ人」向けの正しい進化作

EA SPORTS FC 25を一言で表すなら、「FC IQという新しい骨格を与えられたが、FUTの収益構造はまだ変わっていないサッカーゲーム」だ。2024年9月のリリースから継続的なアップデートを経て、今のFC 25は発売当初より遊びやすい状態になっている。

FC IQが追加した50種類のプレイヤーロールと可変フォーメーションは、前作までのFIFAシリーズと比べて戦術の自由度を別次元に引き上げた。5v5 Rushは「フレンドとカジュアルに遊ぶ」という需要に正面から答えたモードで、反応も悪くない。女子サッカーのキャリアモード導入とライブスタートポイントは、キャリアモード派にとって明確な追加価値だ。これらの新要素に対しては、批判の多いSteamレビューの中でも評価する声が多い。

一方でFUTのビジネスモデル——週次ノルマ、課金パック、DDAへの不信感——は変わっていない。「FUTを本気でやるか、キャリアモードで楽しむか」という問いへの答えが、FC 25への評価をほぼ決める。これはFC 25の評価を読むときに最も重要な文脈で、同じゲームでも遊び方によって別のゲームと言っていいほど体験が変わる。Steamの「賛否両論」という評価の大半はFUTへの不満で、キャリアモードへの評価は相対的に高い。

The Game Awards 2024でBest Sports/Racing Gameを受賞した事実は、プロ批評家が見たゲームとしての完成度を示している。Steamで「賛否両論」という評価は、長年のFUTプレイヤーが抱える構造的な不満の積み重ねだ。どちらも間違っていない。

FC 25を手放しで「最高のサッカーゲーム」とは言えない。でも「今のサッカーの戦術思想を、ゲームの中で実際に動かしてみたい」という欲求を、ここまで丁寧に再現しようとしているサッカーゲームは他にない。フォルスバックを使って中盤を数的優位にしながら前線に圧力をかける、という動きをゲームの中で作ろうとしたとき、FC 25はそれに応えてくれる数少ないゲームだ。

2025年にFC 26がリリースされた今、FC 25の最適な買い方はセール価格での購入だ。キャリアモードをじっくり楽しみたいなら十分すぎるコンテンツ量がある。FUTをガッツリやるなら、最新作のFC 26に行ったほうが長期的に楽しめるだろう。どちらを選ぶにせよ、このシリーズが目指している方向性——リアルなサッカーをゲームで再現するという試み——は間違っていないと思っている。

個人的には、FC 25がシリーズの中で「本当に遊べるようになったな」と感じさせてくれた最初のタイトルだった。FC IQが試合の質を変えた。Rushが遊びの幅を広げた。女子サッカーが入った。これらはどれも「コンテンツを追加しました」という以上の、ゲームとしての方向性を変えるような変化だった。次のFC 26がその延長線上でどう進化したかを確認しながら、FC 25をセールで拾ってキャリアモードをじっくり楽しむというのが、今から始める人への最もコスパの良いプランだと思っている。

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EA SPORTS FC™ 25

EA Canada, EA Romania
リリース日 2024年9月26日
サービス中
価格¥9,800
開発EA Canada, EA Romania
販売Electronic Arts
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル / マルチ
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