2026年3月17日午前2時——Steam同時接続が約13,874人を記録して、アニメ原作オープンワールドRPGがPC市場に殴り込んだ。
それが『The Seven Deadly Sins: Origin(七つの大罪:Origin)』、通称「ナナオリ」だ。
世界累計5,500万部の漫画『七つの大罪』を原作に、Netmarble F&Cが開発したオープンワールドアクションRPG。PS5とSteam同時リリース、基本プレイ無料、Unreal Engine 5で描かれるブリタニア大陸——という鳴り物入りでやってきたタイトルである。
ただ、正直に言うと、Steam評価は賛否両論スタートだった。「グラフィックは綺麗だけどスマホUIをそのまま持ってきた感じがひどい」「最適化不足でカクつく」という声が相次いだのも事実だ。一方で「原作ファンとして念願だった」「ブリタニアを自由に歩けるだけで感動」という熱狂的な肯定派も多い。
前作にあたる『七つの大罪 〜光と闇の交戦(グランドクロス)〜』は全世界7,000万ダウンロードを記録したモバイルタイトルで、その後継作という立場のナナオリは、PC/PS5への本格進出も含めて「IP(知的財産)の全方位展開」という戦略的な一手でもある。
七つの大罪という漫画・アニメIPは、日本だけでなく世界的にも高い知名度を持っている。メリオダス、バン、エリザベス——これらのキャラクターを3Dのオープンワールドで「自分の手で」動かせる、というのは、全世界のファンが長年待ち望んでいたものだ。その期待に、ナナオリはどこまで応えられているのか。
リリース初日のSteam同接は約13,874人。この数字をどう見るかは人によって違うが、PCゲーム市場でも原作ファンが一定数いることを示す数字だ。モバイル先行でのタイトルとしては、PCでのスタートダッシュとして及第点以上の出だしだった。同日にPS5版も同時リリースされており、全プラットフォームを合算すると多くのプレイヤーが初日から参加していた。
この記事では、原作ファンも、アニメを知らないPC/コンソールゲーマーも、それぞれどう感じるか——その両面を忖度なしで書いていく。購入・プレイを決める前に、プラスとマイナスの両方を把握しておいてほしい。
こんな人におすすめ / こんな人には合わないかも

こんな人は楽しめる
- 七つの大罪・黙示録の四騎士のアニメ・漫画が好き
- 原神・ウォーリングウェイブス系の基本無料オープンワールドRPGに慣れている
- アクション戦闘+3人パーティ編成でビルドを組むのが好き
- 釣り・料理・ダンジョン探索など生活コンテンツも楽しみたい
- 無課金でも100時間遊んで288回分ガチャを引けるゲームを探している
- ブリタニアの広大なフィールドを仲間と一緒に走り回りたい
- Unreal Engine 5のアニメ調グラフィックを大画面で堪能したい
こんな人には合わないかも
- 原作知識ゼロで「七つの大罪って何?」という状態でも深く楽しみたい
- PC向けのUIや操作感を最初から期待している(スマホUI移植感がある)
- DLSSやFSRなど最新技術での最適化を重視する
- ガチャシステムが一切ないゲームが好み
- シングルプレイオンリーで完結した体験がしたいプレイヤー
- 発売日に完全な仕上がりを求めるタイプ
七つの大罪:Originとは何か——前作との違いと本作の立ち位置

まず「ナナオリって何?」という方のために、ざっくり整理しておこう。
本作は、世界的に大ヒットした鈴木央先生の漫画『七つの大罪』と続編『黙示録の四騎士』のあいだを描くオリジナルのマルチバースストーリーだ。時間と空間が混濁した「マルチバース」の状況下で、プレイヤーは主人公トリスタンとして冒険する。
トリスタンは、原作主人公メリオダスとエリザベスの息子だ。つまり、ファンにとっては「あの2人の子どもを操作できる」という感慨がある。一方、原作未経験の人にとっては「新しい主人公の冒険」として入口にもなれる設計になっている。とはいえ、ストーリーの細かいニュアンスや「このキャラが出てきた時の感動」は、原作を知っているほど深く刺さる構造になっている点は正直に書いておく。
開発・運営はNetmarble F&C。前作にあたる『七つの大罪 〜光と闇の交戦(グランドクロス)〜』は全世界7,000万ダウンロードを記録した大ヒットモバイルタイトルだ。その後継作として2021年頃から開発が進められ、2026年3月17日にPS5とSteamで先行リリース、iOS/Androidは同年3月24日という形でついに世界デビューを果たした。
ゲームエンジンはUnreal Engine 5を採用している。アニメ調のグラフィックでありながら、フィールドの遠景や光の演出が非常に綺麗で、「アニメの世界にリアルに入り込んだような感覚」はこのエンジンの恩恵が大きい。特に、原作の舞台であるブリタニア大陸の草原や山岳地帯の表現は「プレイすれば誰でも感動する」レベルだという評価が多い。
Unreal Engine 5の特徴の一つである「Lumen(ルーメン)」によるリアルタイムグローバルイルミネーション(光の間接反射の計算)が、ブリタニアの日差しを自然なものにしている。洞窟内では松明の光が周囲の岩肌に反射し、屋外では太陽光が草原の緑を生き生きと輝かせる。「このゲーム、スクリーンショット映えがすごい」という声はここから来ている。
キャラクターのモデリングも、アニメ調を維持しながらリアルな陰影と質感を両立させている点が優秀だ。アニメのセル調の質感をそのままに、3Dとして動かした時に違和感が出ないようにするのは実は難しい技術的課題で、ナナオリはその点をUE5の能力をうまく使いながらクリアしている。メリオダスの黒い衣装の光沢、エリザベスの白い衣装の透け感——原作絵を知っているファンが「あ、これはそういうキャラだ」と即座に認識できるレベルの再現度になっている。
ゲームジャンルとしてはオープンワールドアクションRPG。基本プレイ無料でキャラクターや武器のガチャが存在する、いわゆる「ライブサービス型」のタイトルだ。原神やウォーリングウェイブスの流れにある作品と思ってもらうのが一番近い。ただ、原神と違って「実在する人気漫画のキャラクターが動く」という部分に独自の価値がある。
ライブサービス型ゲームとしての運営方針も注目点だ。定期的なアップデートによるコンテンツ追加、季節イベント、キャラクター追加——これらが長期的にコミュニティを維持し続ける原動力になる。前作グランドクロスが長年にわたって継続的な運営を続けてきた実績があるNetmarbleだけに、長期的なサポートへの期待感はある。ただし、モバイルゲームとPC/コンソール向けゲームでは運営の文脈が異なる部分もあるため、PC向けのUIや最適化のアップデートがどれだけ丁寧に行われるかは引き続き注視したいところだ。
プラットフォームはPC(Steam)、PS5、iOS、Androidの全対応。さらに、クロスプレイ(クロスセーブ)に対応しているため、PC版で進めた進捗をスマホで続ける、あるいはその逆、といった使い方もできる。異なるプラットフォームのフレンドと一緒にブリタニアを冒険することも可能だ。
もう一つ覚えておきたいのが、ゲームの時系列上の位置づけだ。原作の七つの大罪の物語が終わり、続編の黙示録の四騎士が始まる——その空白期間に起きた出来事を描くのがナナオリのオリジナルストーリー。鈴木央先生の監修のもとで制作されているため、設定の辻褄は合っており、いわゆる「ゲームオリジナルの蛇足」感は少ない。
マルチバースという設定を使うことで、原作の七つの大罪のメンバーも、黙示録の四騎士の登場人物も、同じゲームの中に共存させることができる。「全員集合」を実現しながら、その理由付けが原作ファンに納得感を与える形になっているのは、制作側の工夫を感じる部分だ。
七つの大罪という原作の軸となる設定として、メリオダスとエリザベスの3,000年越しの愛が描かれてきた。その2人の息子であるトリスタンが、今度は彼自身の物語を持つ——という継承の構造は、シリーズファンにとって感情的なフックになる。「親の物語を知っているからこそ、子の選択の重みが理解できる」という設計だ。
ゲーム内でのストーリー進行は、メインクエスト(メインストーリー)とサイドクエストの二本立てになっている。メインクエストがマルチバース世界の謎と向き合う本筋を進め、サイドクエストでは個々のキャラクターや地域の背景をより深く掘り下げる形だ。サイドクエストは「やらなくても本筋は進む」が「やった方が世界観への理解が深まる」設計で、探索好きにはありがたい構成になっている。
サイドクエストの中には、原作には登場しなかった「ブリタニアの一般市民視点のエピソード」も含まれており、「大きな物語の背景で生きる人々のドラマ」が丁寧に描かれていた。「このNPCのサイドクエストが一番ストーリーとして好き」という声が攻略コミュニティで上がっていたほど、サイドクエストのクオリティは一定の評価を受けている。メインだけ進めてしまうのは少しもったいない、というのが正直な感想だ。
また、ゲーム内では原作や続編に登場したキャラクターがプレイアブルキャラクターとして登場する。使えるキャラはガチャで増やしていく仕組みで、「あのキャラが追加された」というタイミングでのアップデートがファンのモチベーションを継続させる。ライブサービス型ゲームとして、キャラクター追加による盛り上がりの波をうまく作れるIPだと思う。
原作のファンとして、ブリタニアの地を自由に走り回れるというだけで感動した。ダイン村のあの景色が、Unreal Engine 5で再現されているのを見た時に思わず声が出た。
引用元:Steamレビュー
原作未体験で「面白そうだな」と思ってプレイする場合、まずトリスタンの冒険を通じて世界観を掴んでいくことになる。ゲーム内のキャラクター説明やストーリー導入はある程度丁寧に作られているが、七つの大罪という作品の積み重ねをゲームだけで一から把握しようとすると、少しハードルがあるのは正直なところだ。原作を何も知らない状態でプレイするなら、アニメを数話見てから始めた方が没入感は格段に上がるはず。逆に言えば、「ゲームを入口に原作アニメが気になった」という流れになった人も少なくないようで、IPゲームとしての役割をしっかり果たしている。
ブリタニア大陸の広さと探索——何時間でも迷い込める世界
ナナオリの最大の売りは、なんといってもブリタニア大陸のオープンワールドだ。
原作アニメ・漫画に登場した「リオネス王国」「カメロット」「エディンバラ」といった場所が、実際に探索できるフィールドとして再現されている。空の色、山の稜線、草原の波打ち方——Unreal Engine 5の表現力がこの世界観と相性抜群で、「このゲームのビジュアルは本当に綺麗」という評価はほぼ全員一致しているところだ。賛否両論のSteam評価の中でも、グラフィック面への否定的な声はほとんどない。「他の部分がもう少し整えば満点だった」という声が多いのも、それだけグラフィックは評価されているということだ。
フィールドには多種多様なコンテンツが詰め込まれている。
- ダンジョン探索 — 誰も踏み込んでいない危険な遺跡や洞窟に潜り、お宝を発掘する。謎解き要素もあり、ただの戦闘ステージではない設計になっている。ダンジョン内の雰囲気作りも丁寧で、探索しているだけで楽しい。
- 釣り — 激しい戦闘の合間に、のんびり水辺に座って釣り糸を垂らす。釣れた魚は料理の材料になる。「気づいたら1時間釣りしてた」という声がSteamコミュニティに複数あった。
- 料理 — 採取した食材や釣った魚を使って料理を作り、バフ効果を得る。「戦闘前に飯を作る」という流れが自然にゲームに組み込まれていて、プレイのテンポに馴染んでいる。
- 採取・クラフト — フィールドで集めた素材を使って武器やアイテムを制作できる。課金ガチャを引かなくても武器を入手できる点は好ポイント。素材を集める動線がオープンワールド探索と自然に繋がっている。
- フレンドとの協力探索 — 仲間のキャラクターをフィールドで呼び出せるだけでなく、フレンドと一緒にブリタニアを冒険することも可能。マルチ参加時に接続エラーが出るバグが報告されているが、修正対応は進んでいる。
- 隠し要素・コレクション — フィールドのあちこちに隠された収集アイテムや隠しルートが存在し、「ちゃんと隅まで探索する」モチベーションが維持されるよう設計されている。
100時間遊んでも「まだここ行ってないじゃないか」という場所が出てくるくらいのボリュームがある、とリリース直前の公式生放送で開発チームが語っていた。実際にプレイしたユーザーからも「メインストーリーをどんどん進めたいのに、脇道が面白くて寄り道ばかりしている」という声が多い。特に釣りへの没入報告がやたらと多いのが面白いところだ。「ナナオリって釣りゲーなんですか?」というコメントが半分冗談・半分本気で語られていた。
各キャラクターにはそれぞれフィールド探索スキルが設定されている点も見逃せない。高い崖を登れるキャラ、水の上を走れるキャラ、特定の障害物を壊せるキャラなど、誰を連れているかで到達できるエリアが変わる設計だ。「あのキャラが来たら、あそこに行けるかも」という発見が探索を継続させてくれる。これはキャラクターへの愛着とゲームシステムを自然に繋ぐ、うまい設計だと思う。
フィールドの移動手段として騎乗要素もある。歩いて探索するよりも広い範囲を素早く移動できるため、フィールドの広大さが「だるい移動」にならずに済んでいる。ただ、ファストトラベルの使い勝手については改善を求める声もあった。どこでも瞬時にワープできるわけではないため、「遠いところに用事があると少し面倒」と感じる場面もある。
個人的に面白いと思ったのは、フィールド上での仲間キャラとのインタラクションだ。連れて歩くキャラによって、フィールドでの台詞や反応が変わる部分があり、「誰を連れていくか」という選択に感情的な意味が出てくる。戦闘だけでなく、探索面でもキャラへの愛着が深まる工夫だ。
フィールドの昼夜サイクルについても触れておきたい。ブリタニア大陸には昼と夜の時間帯の変化があり、夜になるとフィールドの雰囲気が変わり、夜限定で出現するモンスターもいる。「あのエリアの夜の空はすごく綺麗」という声があり、探索中に思わず立ち止まってスクリーンショットを撮りたくなるシーンが随所にある。
気候・天候の変化も実装されている。雨が降るシーン、霧が立ちこめる朝のエリア、晴れ渡った昼に輝く海岸——これらが自動的に変化することで、同じフィールドを何度訪れても違う表情を見せてくれる。オープンワールドゲームとしての「生きている世界」の演出に、Unreal Engine 5の表現力が存分に活かされている。
ストーリーを進めたいけど、釣りが楽しすぎてフィールドに居座ってしまう。釣り目当てで気づいたら10時間消えていた。これはゲームとして正しい状態だと思う。
引用元:Steamコミュニティ
デイリーミッション(日課)の設計についても少し触れておく。毎日こなすことでスター破片やアイテムが手に入るデイリーコンテンツが用意されており、「毎日少しだけプレイしてリソースを貯める」というサイクルがある。クロスプレイ対応なので、デイリーミッションはスマホでこなして、週末にPC版でガッツリ遊ぶという使い方が現実的だ。
フィールド上のNPCや点在するサブクエストも見逃せない。ブリタニアの各地で出会う一般市民や騎士たちが、それぞれ小さなドラマを持っており、サブクエストを通じてその人たちの事情に巻き込まれる。原作に登場したような「普通の人々から見たブリタニアの姿」を垣間見られる機会でもあり、世界観の厚みを感じさせる部分だ。
ワールドボスの存在も定期的に盛り上がりを生む要素だ。フィールド上に出現する強力なボスキャラクターを、複数のプレイヤーが協力して倒すコンテンツが用意されており、これはソロではなく「みんなで戦う」楽しさを提供している。ライブサービス型ゲームの「みんなで同じ敵を倒した」という共有体験が、コミュニティの盛り上がりを作る。
オープンワールド探索という意味では、同ジャンルの先輩格にあたる作品と比べると規模感や密度は一段落ちるかもしれない。しかし、「原作ファンがブリタニアを実際に歩く」という体験は、このゲームでしか得られない唯一無二の価値だ。単なる数値的なコンテンツ量だけでは測れない部分がある。似たようなオープンワールド探索RPGとして、ドラゴンズドグマ2が地形設計の巧みさで評価されているが、ナナオリはIPとしての世界観没入に強みを置いている。

3スタイル×3キャラのバトルシステム——武器で変わる戦い方

ナナオリの戦闘で最も面白いのが、「スタイル」システムだ。
各キャラクターは3種類の武器(スタイル)を装備でき、装備する武器によってスキル構成・奥義・属性がまるごと変わる。例えばメリオダスなら「長剣(暗黒属性)」「斧」「双剣」の3スタイルを持ち、それぞれ全く別の戦い方をする。同じキャラクターでも武器が違えば役割が変わるため、「このボスには火属性が有効だから武器を変える」という選択肢が常にある。
主人公のトリスタンは「双剣」「大剣」「長剣」の3スタイルを持ち、双剣スタイルと長剣スタイルでは属性まで異なる設計になっている。序盤は手持ちのスタイルが少ないので自由度が低く感じることもあるが、キャラが増えてスタイルが揃ってくると、パーティ編成のパズルが本格的に面白くなってくる。「このキャラのこのスタイルをこの位置で使えば回転率が上がる」という戦術的な思考が、自然に楽しくなっていく仕掛けだ。
バトルには最大3人のパーティで挑む。前衛でバンバン戦いながら、後衛キャラのスキルをサポートとして使い、ピンチになったらキャラを交代——この流れが小気味よく、リズム感がある。戦闘中はキャラを素早く切り替えながら戦うのが基本スタイルで、「全員を均等に使いたい」か「エースキャラに特化したい」かで編成方針も変わってくる。
戦闘でのテクニックの要になるのがジャスト回避だ。敵の攻撃に合わせてタイミングよく回避ボタンを押すと、ダメージを完全に無効化しながら1秒間の無敵時間を獲得できる。その間に張り付いて反撃を叩き込める仕組みで、慣れてくると「このボスの攻撃パターンを読んでジャスト回避を決める」という、アクションゲームならではの達成感が生まれてくる。
必殺技(奥義)を発動中は完全な無敵状態になる仕様も重要なポイントだ。「ピンチになったら奥義を撃って無敵時間を稼ぎながら形勢逆転」という戦術が使える。「負け確定」という状況が少なく、ちゃんと逆転の目がある設計は好印象だ。アクションが得意でないプレイヤーにとっても、奥義のタイミングを覚えれば乗り越えられる壁がある。
装備面での工夫も随所にある。メインで使用している武器からはステータスの100%が反映されるが、装備しているだけのサブ武器からもステータスの30%が加算される仕組みだ。このため、「今は使っていない武器でも強化する価値がある」という計算が発生し、育成の方向性を考えるのが楽しくなる。限られた素材をどのスタイル・どの武器に使うか、という悩ましい選択肢が常にある。
キャラクター育成のロードマップも明確で、「レベルを上げる」「スキルを強化する」「武器を強化する」「装備を集める」という複数の軸でキャラを成長させられる。どの育成要素に先に手をつけるか、有限な素材をどこに集中させるかという判断が、ゲームの深みを生んでいる。「育成が楽しすぎて時間が溶けた」という声は、バトルシステムと並んでよく聞くコメントだ。
育成素材の入手先がフィールド探索・ダンジョン・クエスト報酬など複数に分散しているのは、「何をプレイしてもリソースが貯まる」という設計として機能している。「バトルが好きならダンジョンを回す」「探索が好きならフィールドを走り回る」「イベントが好きならイベントに集中する」——それぞれのプレイスタイルに合った育成ルートが用意されているのは、多様なプレイヤーを受け入れる上で重要な設計だ。
武器はガチャだけでなくフィールドで集めた素材でもクラフトできる。課金しなくてもある程度の強さには届けるバランスは、基本無料タイトルとして及第点以上だと思う。「ゲームをちゃんとプレイしていれば戦えるだけの武器が手に入る」というのは、ライブサービス型ゲームとしてかなり重要な設計だ。
メリオダスの3スタイルを全部育てようとしたら素材が全然足りなくなった。でも、どのスタイルも使い心地が全然違うので、どれを優先すべきか考えるのが楽しい。今は双剣が主軸で、ボスに応じて斧に切り替えている。
引用元:Steamレビュー
アクション戦闘の手応えという意味では、同ジャンルの原神やウォーリングウェイブスと近い方向性で、スキルの連携やジャスト回避のタイミング合わせに慣れてくると明確に戦闘が上手くなっていく感覚がある。「コンボを決めると爽快」「慣れれば難しいボスも倒せる」という声は多く、バトルシステム単体の評価は概ね好意的だ。ただ、PC版のキー配置についての不満は根強く、「もう少しPC向けに最適化してほしい」という声も引き続きある。
ボス戦については、単純に数値を削るだけでなく、「攻撃パターンを把握して対処する」という方向性で設計されている。アクションが得意なプレイヤーほど楽しめる作りだ。一方で、パーティの育成が追いつかないと詰まる場面もある。「難易度設定がほしい」という声もあったが、現時点では難易度変更機能はない(2026年3月リリース時点)。ソウルライク系の作品に慣れているプレイヤーなら、ボス戦の歯ごたえは「ちょうどいい」と感じるレベルだと思う。
ボスの中には原作に登場した敵キャラクターをモデルにしたものもあり、「あのキャラと実際に戦える」という体験が盛り込まれている。見た目の迫力と、ゲームとしての攻略性が両立しているボスは、プレイヤーから特に評価が高かった。「このボスとの戦いが一番燃えた」という声が攻略コミュニティで共有されるのも、IPゲームならではの盛り上がり方だ。
アクションRPGとして純粋に比較すると、Lies of Pのような骨太なアクション設計とは方向性が異なる。ナナオリはパーティ協力とスタイル切り替えによる幅を重視した、より間口の広い設計だ。「ソウルライク的な死にゲーが怖い」という層でも、ナナオリのバトルは楽しめるレベルになっている。
パーティ編成の戦略的な深みについてもう少し触れておきたい。ナナオリでは各キャラが「アタッカー」「タンク」「ヒーラー」「バッファー」などの役割を持っており、前衛・後衛の配置によってパーティ全体の動き方が変わる。「この3人の相性が抜群でボスを瞬殺できた」という体験は、積み重ねると「自分だけのパーティ」への愛着に変わっていく。
戦闘中のエフェクトの派手さも評価ポイントだ。必殺技を発動した時の演出は、アニメの名シーンを彷彿とさせるレベルで作り込まれている。「このキャラの奥義演出を見るために育てた」というユーザーも少なくなく、キャラクターの強さだけでなく演出面での「推しキャラを輝かせる」体験も充実している。
マルチプレイでの協力バトルも本作の楽しみの一つだ。フレンドと一緒にダンジョンや強敵に挑む際、それぞれが違うキャラ・スタイルを使って連携する体験は、ソロプレイとは別の面白さがある。「友人と一緒にやると一気に楽しくなった」という声が多く、特に「原作ファン同士で一緒にプレイする」という遊び方は、IPゲームならではの盛り上がり方だ。

ガチャの仕組みと無課金事情——100時間で288回引ける?
基本無料タイトルである以上、ガチャ周りは正直に書いておきたい。
ナナオリのガチャシステムは「スター破片」という通貨を使って引く形式だ。SSRキャラクターの排出率は0.8%。天井は80回でSSR確定、ピックアップバナーでは最大120回でピックアップキャラ確定という仕様になっている。
ガチャのチケットは2種類ある。「ヒーローピックアップ抽選チケット」は期間限定のフィーチャードバナー専用で、「通常ヒーロー抽選チケット」は常設バナー専用だ。両チケットとも、スター破片300個や聖痕結晶5個などで交換できる。スター破片はゲーム内のさまざまなコンテンツをクリアすることで入手できる。
注目したいのは、リリース直前の公式生放送でアナウンスされた数字だ。100時間ゲームをやり込めば288回分相当のガチャを引けるという設計になっているとのこと。無課金での入手経路が比較的多めに設計されているのは、好印象な点だ。ログインボーナス、ストーリークリア報酬、デイリーミッション、イベント報酬——これらを地道に積み重ねればかなりの量が集まる設計になっている。
さらに、武器はガチャ専用ではなくフィールドのクラフトでも入手できる。「SSRキャラを持っていなくても、配布キャラと手に入れた武器を組み合わせて進める」という設計で、リリース時点では「無課金でも普通に楽しめる」という意見が多かった。
リリース記念キャンペーンのログインボーナスでもらえる「ギーラ」と、ストーリー中に配布される「トリスタン」「ティオレー」「スレイー」を組み合わせた火炎編成が実際かなり強力で、無課金でも序盤から中盤にかけては問題なく進められるバランスだった。これは「無課金でもちゃんとゲームを楽しめる状態でスタートできる」設計として機能していた。
スター破片の具体的な入手経路をまとめると、メインストーリークリア報酬、サイドクエスト報酬、デイリーミッション報酬、ログインボーナス、イベント報酬、業績(実績)解除報酬などがある。「ゲームを普通に遊ぶだけで貯まる」ルートが複数あるため、「ガチャを引くためにゲームをやらされている」感が少ない。あくまで「ゲームを楽しんでいたらガチャ通貨も貯まっていた」という順序になりやすい設計だ。
ただ、最高レアリティのSSRキャラを複数持ち、凸(上限解放)まで進めようとすると話は変わってくる。この点は他のライブサービス型ゲームと同様で、「課金圧力が高い」と感じるかどうかは人によって大きく分かれる。公式は「凸はガチャなしでも可能」とアナウンスしているが、実際にどの程度スムーズに凸を進められるかは長期間プレイしてみないとわからない部分もある。
リセマラについては、特別ログインボーナスでSSRキャラが1体もらえることもあり、「リセマラよりゲームを普通に進めた方がいい」という声が攻略コミュニティでは主流だった。リセマラ効率が高くないゲーム設計で、最初からコンテンツを楽しみながら進む方が実際の時間対効果は良い。
他の基本無料オープンワールドRPGと比較してみると、排出率0.8%・天井80回というラインは業界的に特別厳しいわけでも特別優しいわけでもなく、「標準的」という評価だと思う。無課金での入手経路の多さという観点では、比較的親切な設計をしているタイトルだ。長期運営においてこの設計がどう維持されるかが、今後の評価を左右する大事なポイントになる。
ガチャへの向き合い方として、「推しキャラが出た時だけ課金する」というスタンスが一番現実的だと思う。全SSRキャラを集めようとすると莫大な費用がかかるのは事実だが、「このキャラだけは絶対に欲しい」という1〜2体に絞って天井で確定させる、という戦略なら、無課金でのスター破片積み立てと組み合わせて現実的な範囲に収まる。
イベント報酬についても触れておく。定期的に開催されるイベントでは、限定コスチューム(スキン)やアイテムが入手できる。特に限定コスチュームは「好きなキャラをより好みの見た目にできる」という意味で、ファンにとっては追加の課金動機になりやすい部分だ。コスチュームは戦闘性能に影響しないため、「見た目課金」として割り切れる設計になっている。
似たようなガチャ設計を持つライブサービス型RPGとして、百英雄伝がフルプライスでガチャなしという方向性で差別化しているのと対照的な位置づけになっている。どちらが合うかは、ゲームへの課金スタンスと好みによる。「ガチャ自体が嫌い」という人にはどうしても合わないゲームだが、「好きなIPのゲームを楽しみながらたまに推しキャラに課金する」というスタンスなら長く楽しめるタイトルだ。

原作へのリスペクトが詰まったストーリーとキャラクター

ナナオリのストーリー面で最も特徴的なのが、「マルチバース」という設定だ。
時間と空間が混濁することで、異なる時代・異なる世界線のキャラクターが同じ場所に存在できる状態になっている。そのため、原作の七つの大罪メンバー(メリオダス、バン、キングら)も、続編の黙示録の四騎士の登場人物も、同じゲームの中に共存できる。これは「ゲームオリジナルの理由をつけて人気キャラを全部出す」という整理の仕方で、原作ファンにとっては「全員集合できる納得感のある設定」として受け入れられていた。
原作監修には続編『黙示録の四騎士』の作者・鈴木央先生が携わっており、「ナナオリのために書き下ろされたオリジナルストーリー」として位置づけられている。単なるアニメゲームの後日談ではなく、原作者公認の「もう一つの物語」だ。この点は他のIPゲームと比べても誠実な作り方だと感じる。
主人公トリスタンの設定は、ファンからすると感慨深い。メリオダスとエリザベスの息子、ライオネス王国の王子として育った彼が、崩壊しかけた世界を救うために動き出す——という筋立てで、「親の物語を知っているからこそ刺さる」設計になっている。彼の成長と選択の物語が、原作の文脈と絡み合いながら進んでいく。特に原作を追いかけてきたファンなら、「あの結末を知った上でトリスタンの出発点を見る」という体験には独特の感慨がある。
登場キャラクターはSSRとSRに分かれており、それぞれに固有のスキルセットと個性がある。前述の3スタイルシステムと組み合わさって、「このキャラをこの役割で使うと強い」という戦術的な組み合わせを考えるのが楽しくなってくる。ゲーム的な強さと原作的な思い入れ、その両方でキャラへの愛着が生まれやすい設計だ。
マーリンが出てきた瞬間に思わず声が出た。あのグラフィックで、あの声で、ちゃんと動いているのを見たら原作ファンなら絶対テンション上がる。マルチバースという設定は「全員集合させるための方便」と思っていたけど、ちゃんとストーリーに説得力があった。
引用元:Steamコミュニティ
各キャラクターのボイスは、基本的に原作アニメからキャストを引き継いでいる。「知っている声で、知っているキャラクターが動く」という体験は、アニメゲームとしての最大の強みだ。日本語音声対応(テキスト多言語対応)という仕様で、声優陣の演技は高水準だという評価が多い。
ストーリーの展開テンポは比較的丁寧で、キャラクター一人ひとりのバックグラウンドやモチベーションを描くシーンも多い。一方で、序盤の展開がやや説明過多に感じるというレビューもあった。スキップ機能は実装されているので、テンポよく進めたい場合は使える。ただ、ストーリーを全てスキップすると世界観を掴みにくくなるため、最低限のシーンはきちんと見ていくことをおすすめしたい。
原作を知らなくても楽しめるよう作られているとは言われているが、正直なところ「より深く刺さるのは原作ファン」だと思う。あのキャラクターが出てきた時の「うわー!」という感動は、背景知識があってこそ生まれるものだから。ゲームから入って「原作が気になった」という動線も設計されているようで、アニメを見るきっかけになった、という声もあった。
ストーリーの中で特に注目されているのが、マルチバースという設定を利用した「ネタバレ込みの再会」シーンだ。原作の結末を知っているプレイヤーにとって、あのキャラクターと別の世界線で出会い直すというシチュエーションは、ただのファンサービスを超えた感情的な体験になる。「泣いた」という報告が複数あった場面もある。
原作の七つの大罪では、メリオダスとエリザベスの3,000年越しの呪いと愛が物語の軸だった。その2人の子どもであるトリスタンが歩む道は、「親の遺産を継ぎながら自分の選択をしていく」物語でもある。親世代のキャラクターと共に冒険するシーンでは、「知っているキャラが息子に向けるまなざし」に独特の感慨が生まれる。こういった多層的な感情体験は、オリジナルIPのゲームにはできない、七つの大罪という蓄積があるからこそ可能な表現だ。
ストーリー重視でRPGを選ぶタイプの人には、原神に比べてナナオリは「既存IPのキャラへの思い入れがベース」という構造が合う合わないでハッキリ分かれる。「キャラを一から好きになっていきたい」という人には原神の方が向いていて、「七つの大罪が好きだからキャラとの再会を楽しみたい」という人にはナナオリの方が向いている。Metaphor: ReFantazioのように世界設定から全部構築していくタイプとも異なる立ち位置だ。

Steamでの評価はなぜ賛否両論になったか——課題と改善の状況
ゲームとして面白い要素があるのに、なぜSteamの評価が「賛否両論」に留まったのか。ここを正直に書いておきたい。
最も多かった不満は「スマホUIの移植感」だ。ボタンの大きさ、メニューの構造、情報の表示方法——これらが明らかにスマホ向けに設計されており、PC/コンソールでプレイしていると随所で「ここ、絶対スマホ向けのデザインだ」と感じさせられる瞬間がある。「スマホゲームのUIをそのままPCに持ってきた」という表現がSteamレビューで繰り返し登場した。
操作面でも、「回避がShift+右クリック」という独特のキー配置や、カメラのリバース(反転)設定が未実装という点が不満を呼んだ。長年PCでアクションゲームをやってきた層ほど、最初に受けるストレスが大きかったはずだ。「FPSや三人称アクションでカメラ反転設定がないだけで、もうストレスになる」という感覚は、その種のゲームをプレイしてきた人なら共感できるはず。
技術面ではDLSSやFSRへの非対応がネックになった。2026年の大型タイトルでありながら、推奨スペックを満たした環境でもエフェクトが重なるとカクつく場面があった。「グラフィックはすごく綺麗なのに、なぜこんなにパフォーマンスが出ないの?」という声が多かった。ゲームエンジンはUnreal Engine 5を使っているにもかかわらず、その最適化機能を使いこなせていない状況は、モバイル向け開発がベースであることの限界が出た部分とも言える。
バグについても、リリース直後は再起動しないと直らない不具合に複数回遭遇したという報告が目立った。特にマルチプレイ参加時に「通信環境が悪いみたいに出て再起動が必要」という接続系のバグが報告された。こうした問題が積み重なり、「中身はいいのに外側で損をしている」という評価に繋がった。
Steam同接6万5,000人というロケットスタートを記録したにもかかわらず、レビューが賛否両論に落ち着いた理由はここにある。単純に「面白くない」わけではなく、「最初の入口でつまずくポイントが多すぎる」という問題だ。
ただ、Netmarbleの開発チームはリリース直後から迅速に動いてくれている点は評価したい。各種不具合の修正対応が報告されており、改善への姿勢は見えている。ライブサービス型ゲームである以上、リリース直後の評価がそのまま固定されるわけではない。
ゲームの中身は面白いのに、UIとキーバインドで損しすぎ。このまま改善が続いてくれれば、半年後には評価がガラッと変わっていると思う。開発チームには頑張ってほしい。
引用元:Steamレビュー
この「リリース直後の粗削りさ」という問題は、ライブサービス型ゲームには比較的よくある話でもある。ウォーリングウェイブスもリリース直後の評価から大きく改善してきた実績がある。半年後・1年後に改めてプレイすると、全然違う評価になっている可能性は十分にあると思う。
Steamのレビュー欄を見ると、「問題はあるけど応援したい」という声と、「問題が多すぎてプレイを続けられない」という声が混在している状態だった。この二極化こそが「賛否両論」の実態で、どちらの感想も嘘ではない。プレイヤーの優先順位——「原作が好き」か「PC向けの完成度を重視するか」——によって、同じゲームへの評価が真逆になっている。
開発チームへの注文として最も多かったのは、PC版専用のUIリデザインと、DLSSやFSRのサポート追加だ。これらは基本的には「対応できれば大幅な改善になる」種類の問題で、技術的に不可能なわけではない。ロードマップを見ながら、これらのアップデートが来た時が「評価が好転するタイミング」になりそうだ。
原作ファン目線での「許せるポイント」と「さすがに気になるポイント」を整理してみると、グラフィックの綺麗さとキャラクターの再現度については全員が納得している。一方で、「好きなキャラをすぐ使いたいのにガチャに左右される」という点は、原作ファンとしての感情と基本無料ゲームの仕組みが衝突する瞬間だ。「メリオダスが欲しいのに全然出ない」という嘆きは、IPゲームのガチャにはつきものの悩みとも言える。
ゲームとしての完成度が上がっていく過程を見届けるのも、ライブサービス型タイトルの醍醐味の一つだ。リリース直後の荒削りな状態から、パッチを重ねて磨き上げられていくナナオリの成長を、原作への愛情を持ちながら見守るのも悪くない体験かもしれない。
ナナオリの場合、「面白さの本質的な部分(バトル・探索・原作世界の再現)」に対する評価は高い。だから、UIや最適化が改善されれば「好評多数」になるポテンシャルはある。逆に言えば、現時点でこの課題が気にならない——原作ファンで多少の粗さは気にしない、あるいはコントローラーで問題なく遊べる——という場合は、今すぐプレイしても十分楽しめると思う。

PC版とスマホ版はどう違うか——環境別のメリット・デメリット
ナナオリはPC(Steam)、PS5、iOS、Androidの全プラットフォームで遊べる。この記事はPC向けサイトなので、PC版のメリットとデメリットを明確にしておく。
PC版の最大のメリットは描画品質と操作精度だ。
Unreal Engine 5で描かれたブリタニア大陸は、大画面・高解像度で見てこそ真価を発揮する。スマホの小さな画面では伝わりにくい、フィールドの奥行きや光の表現が、PC版では存分に体感できる。原作の舞台がこれだけ綺麗に再現されているのを大画面で見ると、「ああ、やっぱりPCで正解だった」と感じる瞬間がある。
- PC版のメリット:大画面でUnreal Engine 5の美麗なブリタニア大陸を堪能できる。スマホ版と比べてフィールドの描画品質が圧倒的に高い。マウス+キーボードで操作でき、アクションの精度を上げやすい(ただしキー配置の問題は要カスタマイズ)。ゲームパッドも使えるので、コントローラーで快適にプレイする選択肢もある。プレイデータはクロスプレイ対応なので、PS5やスマホと進捗を共有できる。
- PC版のデメリット(リリース時点):UIがスマホ向け設計で、PC操作との相性が悪い部分がある。DLSSやFSRが未対応で、最適化が甘い。キーバインドのカスタマイズに制限がある。スマホ版のように「ちょっとだけプレイ」という軽い使い方はしにくい。
PS5版はPC版と似た立ち位置だが、コントローラー操作が標準なのでUIの違和感が比較的少ない。PC版のキー配置問題はコントローラーを繋ぐことで軽減できるため、PCでゲームパッドを使う習慣がある場合はPS5に近い体験になる。「PCで遊ぶけどコントローラー派」という人には、この選択が一番快適かもしれない。
スマホ版との大きな違いは、操作感とグラフィック品質の両面に出る。スマホ版は当然グラフィックを下げているが、その分「電車の中でちょっと進める」という使い方ができる。PC版はグラフィックMaxでブリタニアを存分に楽しめる代わりに、UI周りの粗さが目につきやすい、という構図だ。
必要スペックは中〜高め寄りだ。Unreal Engine 5を使っているだけあって、グラフィック設定を上げると相応のGPUを要求する。最適化の改善が進めば同じハードウェアでより快適に動くようになるはずなので、スペックがギリギリという場合は少し待ってからプレイするのも一つの手だ。ミドルレンジのグラボ(RTX 3060相当)があれば、設定を落とすことでプレイは十分に可能だ。
ストレージ容量についても確認しておきたい。インストール後のゲームデータはかなりの容量を占める。SSDに余裕がある環境での利用が推奨で、HDDだとローディング時間が体感で伸びるという報告もあった。ゲームを快適に楽しむためのインフラとして、ストレージの余裕は事前に確保しておきたい。
ネットワーク面は、常時オンラインが前提のゲームだ。接続が不安定な環境では、マルチプレイ中に通信エラーが出やすくなる。基本的には安定したWi-Fiか有線LAN環境での利用を想定している。ソロプレイ中心であればそこまで問題にはならないが、協力コンテンツに参加する際はネットワーク品質が快適性に直結する。
クロスプレイ対応のメリットとして、「平日は通勤中にスマホでデイリーミッションをこなして、週末に自宅のPC画面でがっつりメインコンテンツを進める」という使い分けができる。ライブサービス型ゲームとして、これは非常に理にかなった遊び方で、デイリーの消化を怠らずに済む。
PCのスペックに関して、快適にプレイするために目安を把握しておきたい。Unreal Engine 5を採用した作品ながら、グラフィック設定を中程度に落とせばミドルレンジGPU(RTX 3060相当)でも動作する。推奨スペックを満たしている場合でも、DLSSやFSRが未対応であることからフレームレートが安定しない場面があるため、グラフィック設定を細かく調整して自分の環境に合った設定を探すのが最初のステップになる。
PC版を快適に遊ぶための現時点でのおすすめ設定としては、「コントローラーを使う」「グラフィック設定は中〜中高程度に抑える」「フルスクリーンよりウィンドウモードの方がクラッシュが少ない場合がある」という点が、コミュニティで共有されていた。公式のパッチが進むにつれてこれらの制限が緩和されていくことを期待したい。
総合的には「グラフィックと戦闘の爽快感を最大限に楽しみたいならPC版(コントローラー推奨)」「手軽にどこでもプレイしたいならスマホ版」という住み分けになっている。クロスプレイ対応なので、両方使い分けるというのが理想的な運用かもしれない。アクションRPGを大画面でがっつりプレイしたい層には、最適化が改善された後のPC版が一番合っていると思う。基本無料なので、まず試してみるハードルは低い。

まとめ——七つの大罪:Originは誰に向いているか
ナナオリは、「面白い芯」と「磨き残しの粗さ」が両方はっきり見えるゲームだ。
Unreal Engine 5で描かれるブリタニア大陸は本当に綺麗で、3スタイル制の戦闘システムは「同じキャラでも武器を変えれば全く違う遊び方ができる」という幅がある。ジャスト回避によるアクション戦闘の手応えは、モバイルゲーム出身タイトルとは思えないレベルで作り込まれている。釣り、料理、ダンジョン探索、フレンドとの協力冒険——生活コンテンツの豊富さも、「のんびり長く遊ぶ」動機になっている。
原作キャラが動き、喋り、一緒に戦ってくれるという体験は、5,500万部のファンにとって唯一無二の価値を持っている。鈴木央先生監修のオリジナルマルチバースストーリーは、「ゲームのためだけに作られた蛇足の物語」ではなく、原作世界の空白期間を埋める公認の一作として機能している。
100時間遊んで288回分引けるというガチャ設計も、基本無料ゲームとしては比較的やさしい部類だ。配布キャラと素材クラフトで武器を整えれば、課金なしで十分にコンテンツを楽しめるバランスに仕上がっている。天井80回・最大120回でピックアップ確定という仕様も、他のライブサービス型ゲームと比べて標準的だ。
原作ファンでも、そうでないプレイヤーでも、ナナオリの「100時間遊べるフィールドと戦闘」は体験する価値がある。原神が世界に証明した「基本無料オープンワールドRPGというジャンルの可能性」を、今度は七つの大罪というIPで体現しようとしているのがナナオリだ。その挑戦が実を結んでいくかどうか、リリース後の改善を見守りながらプレイし続けることができる——それもまた、この作品ならではの楽しみ方だと思う。
一方で、スマホUI移植感の強さ、PC向けの最適化不足、キーバインドの制限——これらはリリース時点での明確な課題だった。「中身は面白いのに、包装で損している」という評価が正直なところだと思う。Steamの賛否両論という結果は、この「本質的な面白さ」と「PC/コンソールゲーマー向けの仕上げ不足」の差から生まれていた。
原作ファンであれば、多少の粗さは「ブリタニアを歩ける感動」が補って余りある。純粋にPC向けオープンワールドRPGとして触れる場合は、アップデートが進んでからが本番かもしれない。ただし、基本無料なので「まず試す」ハードルは限りなく低い。
改善が進んだ先に何があるかを想像すると、このゲームのポテンシャルがわかりやすくなる。Unreal Engine 5の美麗なブリタニア大陸、原作キャラが動く感動、3スタイル制の奥深いバトル、釣りや料理を含む生活コンテンツ、フレンドとの協力探索——これらの要素はすでに評価されている。PC向けのUI・最適化が整えば、この骨格は確実に輝く。
Netmarbleの開発チームは、リリース後の迅速な対応を続けてくれている。ライブサービス型ゲームである以上、これからの1年で大きく変わる可能性がある。最初に触れておいて、成長を見届けながらプレイするのも一つの楽しみ方だ。
長期的な視点で見ると、ナナオリのキャラクター追加ロードマップが重要になってくる。七つの大罪・黙示録の四騎士という原作群には、まだゲームに登場していない人気キャラクターが多数いる。「次は誰が来るのか」という楽しみは、ライブサービス型ゲームとして長期的に続けるモチベーションになる。特定のキャラの追加アナウンスで一気に盛り上がる波が定期的に来るはずで、そのタイミングで参加するのも賢い選択肢だ。
コミュニティ面でも、七つの大罪という原作ファン同士でつながれるという要素がある。Steamコミュニティや攻略サイトで「このキャラの性能どう?」という話と「原作でのこのシーンが最高だった」という話が混在しているのが、IPゲームらしい雰囲気だ。純粋なゲームコミュニティよりも、ファンコミュニティとしての色が濃く、居心地の良さはプレイヤーの好みによる。SNSでは「#ナナオリ」のタグでスクリーンショットやキャラクター考察が盛んに共有されており、プレイを通じた交流の場が自然と形成されている。
ナナオリを一言でまとめるとしたら、「七つの大罪が好きなら今すぐ試す価値がある。PC向けのUIや最適化にこだわるなら、改善アップデートを待ってから参入が吉」だ。基本無料という敷居の低さは大きな武器で、「合わなかったら無料だったのでしょうがない」と割り切れるのは、有料タイトルにはないメリットだ。
「七つの大罪が好き」「アニメ調の綺麗なオープンワールドRPGを探している」「基本無料でじっくり遊べるゲームを試したい」——このどれかに当てはまるなら、ダウンロードしてみる価値は十分にある。Hogwarts Legacyのような「原作世界の空気を歩く」体験が好きな人なら、ナナオリが目指している方向性は間違いなく刺さると思う。
最後に一つだけ付け加えておく。ナナオリは「七つの大罪:Origin」という長い正式名称を持ちながらも、「ナナオリ」という親しみやすい略称が自然にコミュニティで定着したゲームだ。それは、関わった人たちがこのゲームを「自分たちのもの」として受け入れた証でもあると思う。荒削りでも、好きなキャラが動く世界には人を引き寄せる力がある。その力がこれからも磨かれ続けていくことを期待しながら、トリスタンや仲間たちとともにブリタニア大陸を走り続けたい。


七つの大罪:Origin
| 価格 | 基本無料 |
|---|---|
| 開発 | Netmarble F&C |
| 販売 | Netmarble |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

