「気づいたら自分より忙しいシムを眺めて3時間」——基本無料の人生シミュレーター

最初は「何が面白いのかわからない」と思っていた。
キャラクターを作って、家を建てて、仕事に行かせて、ご飯を食べさせて、寝かせる。それだけ。敵もいない。スコアもない。エンディングもない。「これ、ゲームなのか?」と正直思った。
でも3時間後、自分が作ったシム(ゲーム内の住人)が初めての昇進を果たしたとき、なぜかガッツポーズしていた。隣の家のシムと恋愛関係になったとき、にやにやしていた。新しく建てた家のリビングに朝日が差し込んだとき、スクリーンショットを撮っていた。
「面白さを言語化できないけど、やめられない」——The Sims 4(ザ・シムズ4)をプレイした人の多くが、同じことを言う。2014年の発売から10年以上が経ち、2022年10月に基本プレイ無料化され、2026年4月現在もSteam同時接続数が約28,000人を維持し続けている化け物タイトルだ。累計プレイヤー数は全プラットフォーム合計で7,000万人を超えている。
「基本無料なら試してみようかな」「でもDLCが多すぎて怖い」「そもそもシムズって何するゲーム?」——そんな疑問に全部答える。良いところも、正直にきついところも、全部書いていく。
The Sims 4ってどんなゲームなのか——「もうひとつの人生」を丸ごとシミュレートする
The Sims 4は、仮想世界の中に「シム」と呼ばれる住人を作り、その人生をまるごとシミュレーションするゲームだ。開発はMaxisとEA。シリーズ初代「The Sims」は2000年にリリースされ、当時「人間の日常生活をゲームにする」という前例のないコンセプトで大ヒットした。2025年にはシリーズ25周年を迎え、4世代にわたるシリーズ累計の売上は数億本に達している。
プレイヤーがやることは大きく分けて3つある。シムを作ること、家を建てること、そしてシムの人生を見守ること。この3つが三位一体になっていて、どれかひとつだけを延々と楽しむこともできるし、3つを行き来しながら遊ぶこともできる。
1. シムを作る(Create a Sim / CAS)
まずキャラクターメイキング。これが、このゲームの入り口であり最初の沼だ。
顔のパーツを粘土をこねるように直感的に動かせる。鼻の高さ、頬骨の位置、目の角度、唇の厚さ——マウスでドラッグするだけで自在に変えられる。体型もスライダーで調整できるし、服装・髪型・アクセサリーの選択肢は基本無料の状態でもかなり多い。
The Sims 4のCAS(Create a Sim)が評価されている理由のひとつは、スライダーではなく「直接ドラッグ」で調整できる操作感だ。従来のキャラメイクゲームでは、鼻の高さを数値で調整するようなUIが多い。The Sims 4では、顔を直接マウスでつまんで引っ張るような感覚で操作できる。この直感性が、ゲーム初心者でもとっつきやすい理由になっている。
さらに「性格特質」を3つ選ぶ。「陽気」「ロマンチスト」「本の虫」「怒りっぽい」「大食い」「完璧主義者」「だらしない」「善人」「悪人」「天才」など数十種類の特質があり、この組み合わせでシムの自律行動がガラリと変わる。「ロマンチスト」を選んだシムは自分から恋愛アクションを起こしやすいし、「怒りっぽい」シムは些細なことでイライラする。「大食い」のシムは常に冷蔵庫の前に立とうとする。
この特質の組み合わせがシムの個性を決定づけるのだが、面白いのは「矛盾する特質」も設定できること。「陽気」と「怒りっぽい」を同時に持ったシムは、笑ったり怒ったりを繰り返す情緒不安定な性格になる。「完璧主義者」と「だらしない」を両立させると、散らかった部屋にストレスを感じながらも片付けないという、現実にいそうな矛盾した人間ができあがる。
「願望」も設定する。「世界を牛耳る」「料理の達人になる」「完璧な家族を作る」「コンピュータの天才」「友愛家」など、シムの人生の長期目標だ。これを達成すると報酬特質がもらえる仕組みになっている。たとえば「完璧な家族を作る」を達成すると、家族関係に関するボーナスが永続的につく。
CC1つ入れるだけでキャラメイクの楽しさが劇的に変わる。バニラでも十分楽しいけど、MOD入れたらもう戻れない
引用元:Twitter @sims4プレイヤー
MOD(カスタムコンテンツ)を導入すると、髪型・肌・服装・メイクの選択肢がさらに膨大に広がる。The Sims Resourceというサイトだけで500万件以上のMODが公開されている。ここだけで半日溶ける。「デフォルト置き換えスキン」を入れると、シムの肌の質感が格段にリアルになり、スクリーンショットの見栄えがまるで別ゲーになる。Twitterで流れてくる美化されたシムの画像を見て「これ本当にシムズなの?」と驚く人が後を絶たない。
ちなみに、アニメキャラや実在の有名人をシムズで再現しようとするプレイヤーも多い。完全に一致するわけではないが、「雰囲気は出せる」レベルには仕上がる。再現したキャラクター同士を同居させて、何が起きるか観察するという遊び方ができるのも、The Sims 4ならではだ。
2. 家を建てる(建築モード)
シムが住む家を建てるモード。これがもうひとつの巨大な沼。
壁を引いて、屋根を乗せて、窓を配置して、家具を置く。テキストで書くとシンプルだが、実際にやってみると「この窓の位置、もう少し左がいいな」「リビングの照明が暗いな、間接照明を追加しよう」「庭にプールを作ったらどうだろう」と、際限なく手を入れたくなる。「もうちょっとだけ」と思ってから2時間経つのがデフォルトだ。
建築の操作はかなり直感的で、ゲーム初心者でも30分もいじれば基本的な家が建てられる。部屋の大きさはマウスのドラッグで調整でき、壁紙や床材はカタログから選んでクリックするだけ。家具もドラッグ&ドロップで配置できる。SnapやGrid機能のおかげで、きれいに揃えるのも簡単だ。
一方で上級者は、角度の調整やハーフウォール、柱の配置、地形操作を駆使して、現実にあってもおかしくないレベルの建築を作り上げている。YouTube上にはシムズの建築だけを延々と見せるチャンネルが複数あり、何十万という再生数を稼いでいるものもある。「シムの生活は一切やらない、建築だけ」というプレイヤーも珍しくない。
建築モードで特に評価が高いのは、屋根のカスタマイズの自由度だ。屋根の傾斜角度、庇の長さ、屋根材の種類を細かく調整できるので、洋風の三角屋根も、モダンなフラットルーフも、和風の瓦屋根風のデザインも作れる。DLCを導入すると、和風建築や雪国の家など、テーマに沿った建材が追加されてさらに幅が広がる。
「ギャラリー」という公式のシェア機能があって、世界中のプレイヤーが作った家やシムをワンクリックでダウンロードして自分のゲームに配置できる。建築が苦手な人でも、ギャラリーから好きな家を持ってくればそれでいい。逆に建築が得意な人は、自分の作品をアップロードして世界中のプレイヤーに使ってもらえる。「いいね」やダウンロード数が表示されるので、人気クリエイターになるとちょっとした達成感がある。
ギャラリーにはCCを使った作品もアップロードされているが、自分がそのCCを持っていない場合は該当部分が欠落した状態でダウンロードされる。「ギャラリーから落とした家が一部透明だった」という体験をした人は少なくないはず。これはCCの互換性の問題なので、ダウンロード時に「カスタムコンテンツ使用」のフィルタを外しておくと安心だ。
ギャラリーの存在は、特に建築初心者にとってありがたい。上手な人の作品をダウンロードして、建築モードで中身を確認すると「こうやって屋根をつなげるのか」「この家具の配置、参考になる」と技術を学べる。実際に「ギャラリーの作品を分解して勉強した」というプレイヤーの声はよく見かける。ギャラリーは単なるダウンロード機能ではなく、コミュニティの学びの場としても機能している。
家のリフォームやインテリアデザインに特化した体験がしたい人には、こんなゲームもある。

House Flipperは家の改装に特化したシミュレーターで、The Sims 4の建築モードが好きな人にはかなり刺さるゲームだ。壁を壊してリノベーションする爽快感は、The Sims 4とはまた違った楽しさがある。
3. シムの人生を見守る(生活モード)
家が建ったら、シムの生活が始まる。ここからがThe Sims 4の本番だ。
シムには「感情(ムードレット)」のシステムがある。楽しい・悲しい・怒り・恋愛中・集中・退屈・自信満々・恥ずかしいなど、状況に応じてシムの感情が変化し、それが行動や能力に影響する。恋愛中のシムは絵を描くと「傑作」を生み出しやすくなるし、怒りのシムはトレーニングの効率が上がる。「集中」状態のシムはプログラミングやロケット組み立てが捗る。
感情のシステムが秀逸なのは、プレイヤーが意図的にコントロールできる点だ。シャワーを浴びれば「爽快」になるし、面白いテレビ番組を見れば「楽しい」になる。好きな曲を聴かせれば「インスピレーション」が湧く。この感情操作を利用して、「絵を描く前にまずインスピレーションを上げてから作業させる」といった戦略的なプレイが可能になる。
仕事に就いて昇進を目指すこともできる。キャリアは「料理人」「医者」「科学者」「ビジネス」「犯罪者」「宇宙飛行士」「画家」「音楽家」「エンターテイナー」など多岐にわたる。それぞれのキャリアには昇進条件があり、特定のスキルを一定レベルまで上げる必要がある。たとえば料理人キャリアなら料理スキル、医者なら論理スキルといった具合だ。キャリアの頂点に到達すると、高額な報酬や特別なオブジェクトが手に入る。
スキルは料理、絵画、音楽(ギター・ピアノ・バイオリン)、園芸、釣り、プログラミング、ロケット科学、フィットネス、写真など数十種類ある。スキルレベルが上がると新しいアクションが解禁される仕組みで、「料理スキルが最大になると、どんな料理も失敗しなくなる」「絵画スキルが最大だと、すべての作品が傑作になる」といった恩恵がある。
恋愛して結婚して子どもを作って、その子どもが成長して大人になって——と、文字通り「人生」をシミュレートできる。赤ちゃんは幼児になり、子どもになり、ティーンになり、若者になり、大人になり、高齢者になる。高齢者はいずれ寿命を迎えて死ぬ。死神が迎えに来る演出があるのだが、まれに死神と交渉してシムを生き返らせることもできる。
そしてここが一番大事なポイントなのだが、シムは「放っておいても勝手に行動する」。プレイヤーが何も指示しなくても、お腹が空いたら冷蔵庫を開けるし、眠くなったらベッドに向かうし、隣人が来たら勝手に会話を始める。この自律行動が予測不能で、ときどき「なんでそうなるんだよ」と笑ってしまう場面が生まれる。
何が面白いかはうまく言葉にできないんだけど、楽しいしハマる。シムが勝手にやらかす瞬間がたまらない
引用元:Steamユーザーレビュー
料理中にコンロから火が出てパニックになるシム。勝手にプールに入って梯子を外されたら出られなくなるシム(これはプレイヤーの悪意だが)。初対面の相手にいきなり不適切なジョークを飛ばして嫌われるシム。トイレが3つあるのに全員が同じトイレに行列を作るシム。目の前のゴミを片付けずに、わざわざ別の部屋のゴミを拾いに行くシム。こういう「小さな事件」の連続が、このゲームの中毒性の正体だ。
正直、AIの完成度は高いとは言い切れない。「なんでそっちに行くんだよ」「なんでそれを優先するんだよ」とツッコミたくなる場面は日常茶飯事だ。でも、そのおバカなAIが生み出す「予測不能な物語」が、プレイヤーそれぞれのユニークな体験になる。だからThe Sims 4のプレイ日記がこれほど多く書かれているのだと思う。
遊び方は本当に自由——プレイヤーごとにまったく違うゲームになる
The Sims 4の面白いところは、プレイヤーによってまったく違うゲームになること。「建築だけやる人」「キャラメイクだけやる人」「100世代チャレンジ(一族を100世代続ける縛りプレイ)」「レガシーチャレンジ(特定ルールに従って一族を繋いでいく)」「破滅プレイ(シムを徹底的に不幸にする遊び)」など、公式が用意したゲームモード以外に、プレイヤーが自分でルールを作って遊ぶ文化が根づいている。
「Not So Berry Challenge」は、世代ごとに特定の色と性格をテーマにして一族をつないでいくチャレンジで、コミュニティで大人気だ。たとえば第1世代は「ミント」で科学者キャリアを極めるとか、第3世代は「ローズ」でロマンチストの恋多き人生を送るとか、各世代にテーマがある。ルールはプレイヤーが自由にアレンジでき、SNSで進捗を共有する文化がある。
「ラグス・トゥ・リッチズ(Rags to Riches)」は、所持金0シムオリオンからスタートして、公園のベンチで寝泊まりしながら成り上がっていくチャレンジ。釣りや園芸で少しずつお金を貯め、最初のワンルームを建て、やがて豪邸に住むまでの過程を楽しむ。このチャレンジは「目標がない」という The Sims 4の弱点を自力で補う遊び方として広まった。
日本語圏では「シムズ4プレイ日記」としてブログを書く文化が根強い。他人のシムの人生の物語を読むのが好きな人も多く、小説やドラマのような感覚でプレイ日記を楽しんでいるコミュニティがある。
基本無料化の真実——「タダで始められる」のは本当だが、落とし穴もある

2022年10月18日、The Sims 4の基本ゲーム(ベースゲーム)が全プラットフォームで無料化された。それまで2,000円前後で販売されていた本体が、文字通り0円になった。対象はPC(Steam / EA app)、PlayStation 4/5、Xbox One / Series X|S、macOSと、全プラットフォームが含まれる。
この無料化は大きなインパクトがあった。AUTOMATONの報道によると、無料化直後にプレイヤー数が急増し、根強い人気がさらに底上げされた。「無料なら試してみよう」という層が大量に流入してきた結果、Steam版だけでもレビュー数が10万件を超えるまでに成長した。
無料化の背景には、EAの戦略的な判断がある。The Sims 4はDLCで収益を上げるビジネスモデルなので、本体を無料にしてプレイヤーの母数を増やせば、DLCの購入者も増える——という計算だ。同時にProject Rene(次世代シムズ)の開発発表もあり、「現行タイトルへの投資を続けつつ、新規プレイヤーを取り込む」という二正面作戦だった。
無料化にあわせて、新規プレイヤー向けのガイダンスが強化された。チュートリアルが改善され、CAS(キャラメイク)と建築モードに新しいコンテンツが追加された。また、CurseForge(MOD管理プラットフォーム)との公式提携も発表され、「安全にMODをダウンロードできる仕組み」が整備された。これはMOD文化がゲームの寿命を支えていることを、EA自身が認識していた証拠だろう。
ベースゲームだけで何ができるのか
ベースゲーム単体でできることは、実はけっこう多い。キャラメイク、家の建築、就職・恋愛・結婚・出産、スキル上げ、料理、絵画、音楽、園芸、釣り、プログラミング、ロケット科学など、基本的なライフシミュレーションの骨格は揃っている。キャリアも複数用意されているし、近所のシムとの交流もできる。「まず触ってみる」分には十分すぎる内容だ。
ベースゲームに含まれるワールド(マップ)は、Willow Creek、Oasis Springs、Newcrest、そして後から無料で追加されたEvergreen Harborなど、複数の居住区画がある。それぞれ雰囲気が違うので、「アメリカ郊外の住宅街」「砂漠のモダンな街」「更地から街を作る」など、好みに応じた場所でプレイできる。
ただし、ベースゲームには「季節」がない。春夏秋冬の概念がなく、天候も変化しない。「ペット」もいない。犬や猫を飼えない。「大学」に通えない。「有名人」にもなれない。「魔法」も使えない。「島暮らし」もできない。こういった要素はすべてDLC(追加コンテンツ)として別売りになっている。
ベースゲームだけで遊ぶ場合、最初の20〜30時間は十分楽しめる。しかし、ある程度遊ぶと「もっとこういうことがしたい」という欲求が出てくる。それがDLCへの入り口になるのだが、ここからが本題だ。
DLC問題——これがThe Sims 4最大の論争
The Sims 4のDLCは2026年4月時点で膨大な数にのぼる。大きく分けて4種類ある。
拡張パック(Expansion Pack)が約4,000〜5,800円。ゲームプレイを大幅に変える大型DLCで、新しいワールド・システム・職業などが追加される。「Seasons(季節)」「Cats & Dogs(ペット)」「Get Famous(有名人)」「City Living(シティライフ)」「Island Living(島暮らし)」「Cottage Living(田舎暮らし)」「High School Years(高校生活)」「Horse Ranch(乗馬)」「Lovestruck(恋愛)」「Life & Death(生と死)」など20種類以上がリリースされている。
ゲームパック(Game Pack)が約2,000円前後。中規模のDLCで、特定のテーマに沿ったコンテンツが追加される。「Vampires(吸血鬼)」「Realm of Magic(魔法の国)」「Jungle Adventure(ジャングル冒険)」「StrangerVille(謎の街)」など12種類ある。
アイテムパック(Stuff Pack)が約900円前後。服や家具が追加される小規模DLCで、約20種類。
キット(Kit)が約600〜800円。2021年から始まった新カテゴリで、さらに小さい単品のコンテンツ。「砂漠の着こなしキット」「モダンメンズウェアキット」「ブックノックキット」など、44種類以上がリリースされている。
これらをすべて定価で買うと、総額は約1,400〜1,500ドル(日本円で20万円以上)に達する。Screen Rantの2026年の集計でもこの数字が確認されている。Destructoidは「It costs over $1200 to purchase all The Sims 4 DLC — that seems high!(シムズ4のDLC全部買うと1200ドル超え。高くない?)」という見出しの記事を出している。
Sims4の拡張およびゲームパック、全部定価で買ったら一体いくらになるんだろう。考えるだけで震える
引用元:Twitter @SHINJI_FREEDOM
「基本無料」とはいえ、フルに楽しもうとするとかなりの出費になる。これがThe Sims 4に対する批判の中で最も根強いものだ。「ベースゲームに入っているべき機能がDLCで売られている」という不満は、Steamレビューでも繰り返し指摘されている。特に「季節」は生活シミュレーションにおいて基本中の基本の要素で、これが有料なのは納得しにくいという声が多い。
一方で、セール時には50%オフになることも珍しくない。バンドル購入(拡張パック+ゲームパック+アイテムパックのセット)だと、個別購入より大幅に安くなる。「欲しいものだけセール時に買う」が現実的な戦略だし、実際にそうしているプレイヤーが大半だ。
2025年の25周年記念セールでは拡張パックが最大50%オフ、ゲームパックとアイテムパックが30%オフになった。こういうタイミングを狙えば、主要な拡張パック3〜4本を1万円以内で揃えることも可能だ。とりあえず1本だけ買うなら、「Seasons(季節)」を多くのプレイヤーが推している。四季の変化があるだけで、ゲーム体験がまったく変わるからだ。
SimsCommunityの集計によると、2025年はThe Sims 4のDLC史上「最も高額な年」だった。23種類のパックがリリースされ、全部買うと相当な金額になる。DLCのリリースペースが加速していることに対して、「質より量になっていないか」という懸念を示すプレイヤーもいる。
初心者におすすめのDLCはどれか
「全部は買えないけど、1〜2本だけ買うならどれ?」という質問はThe Sims 4コミュニティで最も多い質問のひとつだ。プレイヤーの間で最も評価が高いのは以下の拡張パックだ。
Seasons(季節)——もはや「必須」と言われている拡張パック。春夏秋冬の四季が追加され、天候が変化する。雪が積もる冬、暑い夏のプール遊び、秋の紅葉、春の花見——季節があるだけで生活のリアリティが段違いになる。ホリデーイベント(クリスマス的な祝日、ハロウィン的なイベントなど)もカスタマイズできる。これがないThe Sims 4は「ずっと同じ天気の世界」なので、体験に大きな差が出る。
Cats & Dogs(ペット)——犬と猫を飼えるようになる。ペットを作り込めるCASが楽しいのはもちろん、ペットと一緒に暮らす日常が単純に癒される。獣医キャリアも追加されるので、動物病院を経営するプレイも可能。「一人暮らしのシムにペットがいるだけで、生活に彩りが出る」という声は多い。
Get Together(仲良しグループ)——クラブ(サークル)を作って活動できる。読書クラブ、ダンスクラブ、料理クラブなど自由に設定でき、メンバーの自律行動に影響する。社交面が拡張されるので、シムの人間関係がぐっと深くなる。追加されるワールド「Windenburg」はヨーロッパ風の美しい街で、建築勢にも人気が高い。
Growing Together(家族の成長)——家族関係の深さが大幅に強化される拡張パック。「好き嫌い」「相性」「世代間の関係性」が細かく表現されるようになり、家族ドラマが格段にリアルになる。日本語のレビューブログでも「神DLC」と評価しているプレイヤーがいるほどだ。
逆に、「Lovestruck(恋愛)」はリリース当初バグが多く評価が分かれた。「Life & Death(生と死)」は新しいコンセプトだが好みが分かれる内容だ。DLCの当たり外れがあるので、購入前にレビューを確認するのが賢い。
MODとカスタムコンテンツ——The Sims 4がここまで長寿な理由のひとつ
The Sims 4が10年以上も現役でいられる理由のひとつが、MOD(Modification)とCC(Custom Content=カスタムコンテンツ)の存在だ。公式が作るDLCだけでなく、世界中のクリエイターが作った非公式コンテンツを導入することで、ゲームの見た目も遊び方もまったく別物に変えられる。
カスタムコンテンツ(CC)の世界
CCは主に見た目を変えるMODだ。髪型、肌テクスチャ、服、靴、アクセサリー、家具、壁紙、床材——あらゆるものにCCが存在する。
The Sims Resource(TSR)という最大手のCC配布サイトだけで500万件以上のコンテンツが公開されている。Tumblrにも膨大な数のクリエイターが作品を投稿していて、日本語圏でも精力的に活動しているCCクリエイターがいる。
CCを入れると何が変わるか。端的に言えば、「バニラ(MODなし)とは別ゲーになる」。デフォルトの少しカートゥーン寄りな見た目が、リアルな質感に変わる。「デフォルト置き換えスキン」を入れると、肌の質感がまるで写真のようになる。髪のMODを入れれば、デフォルトにはない自然な髪の流れや色合いのヘアスタイルが使える。家具や壁紙のCCを入れれば、北欧風やミッドセンチュリーモダンなど、特定のインテリアスタイルで部屋をコーディネートできる。
CCには大きく分けて「アルファCC」と「マキシスマッチCC」の2種類がある。アルファCCはリアルな質感を追求したもので、実写に近い仕上がりになる。マキシスマッチCCはゲームのデフォルトのアートスタイルに合わせて作られたもので、違和感なくゲームに溶け込む。どちらを好むかはプレイヤー次第だが、日本語圏ではアルファCC(美化系)の人気が高い印象がある。
ゲームプレイを変えるMOD
見た目だけでなく、ゲームシステムそのものを変えるMODもある。
最も有名なのは「MCCC(MC Command Center)」。これは世帯の管理、人口制御、妊娠確率の調整、NPC(非操作キャラ)の行動管理、結婚・恋愛の自動発生など、ゲーム全体のシステムを細かくカスタマイズできるMODだ。デフォルトではNPCが勝手に結婚したり子どもを作ったりしないが、MCCCを入れると街全体が生きた世界のように動き出す。「MCCCなしでシムズは遊べない」と言うプレイヤーもいるくらい、定番中の定番になっている。
「Slice of Life」は感情表現を拡張するMODで、シムの顔にニキビや涙が表示されたり、酔っ払いの赤ら顔になったり、風邪をひいて鼻が赤くなったりする。生活のリアリティが格段に上がる。「Basemental Drugs」はアルコールや薬物の概念を追加する大人向けMOD。公式では表現できないリアルな人生をシミュレートしたい人に人気がある。
「Meaningful Stories」は感情システムを改良するMODで、ムードレットの変化がより自然で段階的になる。デフォルトでは「楽しいテレビを見たらすぐ楽しくなる」が、このMODでは「少しずつ気分が上がっていく」ように変わる。悲しい出来事の後にすぐ楽しくなるのではなく、しばらく落ち込んだ状態が続くようになるので、シムの感情にリアリティが生まれる。
日本語のMOD関連では、有志による日本語化MODも存在する。ゲーム本体は公式で日本語対応しているが、一部のMODは英語のみの場合がある。日本語コミュニティのクリエイターがそういったMODの日本語化パッチを公開してくれていることもあり、言語の壁はかなり低い。日本語のMOD情報はシムズ4情報wikiやブログで丁寧にまとめられているので、導入に困ることはあまりないだろう。
MODの導入方法は、ダウンロードしたファイルをDocuments/Electronic Arts/The Sims 4/Mods/フォルダに放り込むだけ。ゲーム内の設定で「カスタムコンテンツとMODを有効にする」「スクリプトMODを許可する」にチェックを入れれば完了だ。
ただし、アップデートのたびにMODが動かなくなることがある。大型アップデート直後は「MOD全滅した」という悲鳴がSNS上に溢れるのが恒例行事だ。MODを多用するプレイヤーにとって、アップデート直後は「今回はどれが壊れたか確認する日」になる。MOD管理のベストプラクティスとしては、セーブデータのバックアップとModsフォルダのバックアップを定期的に取っておくことだ。
ギャラリー機能——公式のシェアプラットフォーム
MODとは別に、公式機能として「ギャラリー」がある。これはプレイヤーが作ったシムや区画(家・お店など)を共有できるプラットフォームで、ゲーム内からワンクリックでアクセスできる。
気に入った作品をそのまま自分のゲームにダウンロードできる。建築が苦手でも、ギャラリーから豪邸をダウンロードすれば一瞬で理想の生活環境が手に入る。「こんな家に住みたい」と思ったらギャラリーを開くだけでいい。
「息抜きに軽いゲームがしたい」という気分のときには、もっとカジュアルなシミュレーションもある。

Rusty’s Retirementはデスクトップの隅で動かしておける放置系農業ゲームだ。The Sims 4のような「がっつり操作するシミュレーション」とは対照的に、ほぼ見守るだけで進行する。作業中のBGM的にゲームを動かしたい人にはぴったりだ。
10年間のアップデートと25周年——今のThe Sims 4は発売時とは別物だ

2014年のリリース時、The Sims 4は実はかなり厳しい評価を受けていた。前作のThe Sims 3と比較して「できることが減った」「オープンワールドが廃止された」「プールがない」「赤ちゃんが動かない(置物状態)」「幼児がいない」といった批判が相次いだ。Metacriticのメディアスコアは70点で、シリーズの中では低い部類だった。
しかし、10年間のアップデートとDLCの積み重ねで、ゲームは発売時とは別物と言っていいレベルに変貌している。
初期にはなかったプールは2014年11月の無料アップデートで追加された。発売からわずか2ヶ月後だ。幼児(Toddler)は2017年1月に無料アップデートで実装された。地下室、一人称視点、ストーリー機能、ゲーム内カメラ機能、テラインツール(地形を自由に変形できるツール)など、無料で追加された機能は枚挙にいとまがない。
特に大きかったのは2023年の「乳幼児のアップデート」だ。それまで赤ちゃんはベビーベッドに固定された「オブジェクト」のような存在だったが、このアップデートで自由に動き回れるようになった。ハイハイしたり、おもちゃで遊んだり、泣いたりする赤ちゃんを見て「ようやくシムの赤ちゃんが赤ちゃんになった」と喜ぶ声が多かった。
2025年2月にはシリーズ25周年を記念して、大型の無料コンテンツアップデートが実施された。目玉は「泥棒」の実装だ。過去のシムズシリーズでおなじみだった泥棒が、ついにThe Sims 4にも登場した。「Robin Banks」と名付けられた泥棒は夜にこっそり忍び込んで貴重品を盗んでいく。泥棒アラーム、番犬、自律型ロボの防衛システムなど対策手段も同時に実装され、コミュニティは大いに盛り上がった。
AUTOMATONの記事によると、「泥棒大歓迎」ムードがプレイヤーの間で広がった。泥棒を楽しむために、わざと区画チャレンジ「強盗天国」をオンにして、泥棒が頻繁に来るようにするプレイヤーまでいた。アラームが故障する仕様があるため、「筋肉シムで自力で泥棒を追い払う」という力技を試すプレイヤーもいたという。
25周年で泥棒実装されたの熱すぎる。シムズ2時代の泥棒を思い出して懐かしくなった
引用元:Twitter @chicken3567
25周年イベントでは「タイムトラベル」をテーマにした期間限定イベントも開催され、シリーズの歴代作品を振り返るアイテムが無料配布された。70種類もの無料アイテムが配られた。1月にはワールドの建物がリニューアルされるアップデートもあり、既存のワールドの見た目が一新された。
このように、The Sims 4は「発売して終わり」ではなく、10年かけて育てられてきたゲームだ。今から始める人は、10年分の蓄積が詰まった状態のゲームをプレイできる。「長い間アップデートを受け続けているゲーム」という意味では、農業シミュレーターも似た構造を持っている。

Farming Simulator 17はリリースから年月が経っても根強いファンがプレイし続けている農業ゲームだ。「ひとつのゲームを長く遊ぶ」楽しさを求めている人にはチェックしてみてほしい。
Project Rene(次世代シムズ)問題——Sims 5はどうなるのか
The Sims 4を語るうえで避けて通れないのが、次回作「Project Rene」の話だ。
2022年10月、The Sims 4の基本無料化と同時に、EAは次世代のシムズとして「Project Rene」の開発を発表した。当初は「Sims 5」として期待されていたが、2025年後半にかけて状況が大きく変わった。
PC Gamerの報道によると、EAはProject Reneが「モバイルファースト」のゲームであることをついに認めた。記事の見出しは「It’s not the news we wanted but it’s what we expected(望んだニュースじゃないが、予想通りだった)」。「ソーシャルマルチプレイヤー」を軸にした作品で、PC版とモバイル版でリリースされる予定だが、従来のシムズシリーズとは方向性がかなり異なるものになりそうだ。
さらにEAは「The Sims Hub」という構想を発表している。これはThe Sims 4、Project Rene、MySims、そして開発中のモバイルゲーム「Project Stories」の4作品を統合するハブのようなプラットフォームを目指しているらしい。
この発表に対するコミュニティの反応は、控えめに言って冷ややかだった。「Sims 5がモバイルゲーム?」「PCのシングルプレイヤー体験が欲しいのに」という声が多い。Gaming Bibleは「Forget The Sims 5(シムズ5は忘れろ)」という見出しの記事を出したほどだ。Game Rantも「2025年のProject Reneに何を期待すべきか」という記事で慎重な姿勢を示している。
Maxisは「まだ開発中で、リリースは数年先」と発表している。プレイテストは徐々に行われているようだが、具体的な日程は不明だ。リリース予想としては2026年後半〜2027年以降と見る向きが多い。
つまり現状、「The Sims 4の正統な後継作」は存在しない。Project Reneは別ラインの作品で、The Sims 4はしばらく現役であり続ける見込みだ。EAも「The Sims 4への投資を継続する」と明言している。
これは良いニュースでもあり悪いニュースでもある。良いニュースは「The Sims 4はまだ終わらない」こと。新しいDLCやアップデートが今後も出続ける。悪いニュースは「The Sims 4のエンジンの限界が、次回作で解消される見込みが薄い」ことだ。オープンワールドの復活、パフォーマンスの改善、シムのAIの根本的な改良——こういったものは現行エンジンでは実現が難しい。
コミュニティの間では「Paralives」という競合タイトルへの注目も高まっている。ParalivesはインディーデベロッパーのParalives Studioが開発中のライフシミュレーションゲームで、「The Sims 4への対抗馬」として期待されている。オープンワールド、高いカスタマイズ性、MODフレンドリーなアーキテクチャを目指しており、「EAが作らないなら、インディーが作る」という流れだ。ただし、こちらもまだ開発中で、リリース時期は未定。The Sims 4ほどの完成度に達するかは未知数だ。
結局のところ、「今すぐライフシミュレーションを遊びたいなら、The Sims 4が唯一の選択肢」という状態が続いている。競合がほぼ存在しないジャンルであり、だからこそThe Sims 4がこれだけ長く続いているとも言える。
DLCリリース終了って噂あったけど、25周年イベントもやってるし当分は続くんじゃないかな。ただProject Reneがモバイルってのはちょっと……
引用元:Twitter @rabiboku
The Sims 4は2026年も新しいキットやアップデートがリリースされ続けている。「今から始めても遅くない」どころか、コンテンツ量は過去最大だ。次回作を待つより、今のThe Sims 4を楽しむほうが現実的だと思う。
正直な評価——良いところと悪いところを全部並べる

SteamのThe Sims 4のレビューは、全期間で約10万件以上が集まり、87%が好評の「非常に好評」を獲得している。ただし、直近30日間のレビューに限ると70%前後の「やや好評」に下がる。この「全体は高評価だが最近はやや厳しい」という傾向が、The Sims 4の現状をよく表している。
良いところ
キャラメイクの自由度が高い。顔も体型もかなり自由にいじれる。MODを入れれば現実の俳優やアニメキャラの再現も可能だ。Twitterで「別作品のキャラ達の絡みをシミュできるのがシムズの醍醐味」と書いていたプレイヤーがいたが、まさにそれ。自分の推しキャラ同士を同居させて、何が起きるか観察するという遊び方ができるのはこのゲームならではだ。
建築モードの完成度がシリーズ最高。壁・屋根・窓の種類が豊富で、ハーフウォールや屋根のカスタマイズが細かくできる。テラインツールの実装で地形も自由に変えられるようになった。建築だけで何百時間も遊べるのは、このゲームの大きな強みだ。
MODコミュニティが異常に活発。500万件以上のMOD・CCが存在し、見た目からゲームシステムまで何でも変えられる。公式が提供しない機能をMODが補っている面があり、「MODのおかげでゲームが完成する」という状態が10年間続いている。
基本無料で始められる。0円でこれだけの体験ができるゲームは他にない。「とりあえずダウンロードして、気に入ったらDLCを買い足す」というスタイルで始められるのは、新規プレイヤーにとって大きなメリットだ。
コミュニティが活発で情報が豊富。日本語でのプレイ日記ブログ、Twitter上の活発なコミュニティ、日本語wikiなど、情報源が充実している。始め方からMOD導入まで、日本語の情報だけで困ることはほとんどない。
無料だからって軽い気持ちで始めたら200時間超えてた。DLCなしでもキャラメイクと建築だけで余裕で遊べる
引用元:Steamユーザーレビュー
悪いところ
DLCの総額が異常。全DLCを定価で買うと20万円以上。「季節」「ペット」のような、他のゲームなら最初から入っていてもおかしくない要素が有料DLCなのは、正直きつい。セールを駆使しても、主要な拡張パックを揃えるだけで数万円はかかる。「基本無料の皮を被った課金ゲーム」と揶揄されることもある。
基本無料って聞いて始めたけど、季節もペットもないってどういうこと? 結局金かかるゲームじゃん
引用元:Steamユーザーレビュー
バグが多い。これはThe Sims 4の長年の課題だ。新しいDLCやアップデートが配信されるたびに新しいバグが発生し、修正されるまでに時間がかかる。「バグ修正に集中してほしい、新しいDLCにバグを入れないでくれ」という声はSteamコミュニティで繰り返し上がっている。ベッドで寝ても即起きてしまうバグ、デートが正常に機能しないバグ、シムが移動経路を見つけられなくなるバグなど、ゲームプレイに直接影響するものも少なくない。2024年のバグ修正で改善された部分もあるが、新DLCが出るたびに新しい問題が発生するイタチごっこ状態が続いている。
The Sims 3と比較して劣る部分がある。前作ファンが最も不満に思っているのは「オープンワールドの廃止」だ。The Sims 3ではシムが街中をシームレスに移動できたが、The Sims 4では区画間の移動にロード画面が挟まる。これはパフォーマンス最適化とのトレードオフだったが、10年経った今でも「3の方が良かった」という声は根強い。「Create a Style(色やパターンを自由にカスタマイズする機能)」の廃止も不満点として挙げられることが多い。
10年経ってもバグ修正が追いつかないのは正直どうかと思う。新DLC出すたびにバグ増えるの勘弁してほしい
引用元:Steamユーザーレビュー
シムのAIがおバカ。前述した通り、シムの自律行動は予測不能で、食事中に突然立ち上がって別のことを始めたり、トイレが3つあるのにひとつに行列を作ったり、目の前のゴミを片付けずに遠くのゴミを拾いに行ったりする。これを「味」と捉えるか「ストレス」と捉えるかで評価が分かれるが、「もう少し賢くなってほしい」というのが本音だ。
ベースゲームの「深さ」が足りない。無料で遊べる範囲は広いが、個々の要素の深さは物足りない部分がある。たとえば恋愛システムは、会話→フラート→キス→プロポーズという段階を踏むだけで、駆け引きや感情の複雑さはあまりない。キャリアも「出勤して帰ってくる」の繰り返しで、仕事内容は画面に表示されるテキストを読むだけだ(一部のDLCでは仕事先を操作できる「アクティブキャリア」がある)。
荒廃した都市を復興させるという、また違ったアプローチのシミュレーションもある。

崩壊都市は荒廃した街をゼロから復興させるゲームで、The Sims 4とは毛色が違うが、「自分の手で世界を作り上げる快感」という点では共通している。目標が明確な分、「何をすればいいかわからない」問題がないのが強みだ。
The Sims 4は誰に向いているのか——同接約28,000人が遊び続ける理由
2026年4月現在、The Sims 4のSteam同時接続数は約25,000〜30,000人を維持している。SteamChartsによると、過去30日間の平均同接は約25,253人、歴代最高同接は96,185人だ。2025年7月には46,032人の同接を記録した月もある。
2014年リリースのゲームとしては驚異的な数字だ。同時期にリリースされた多くのゲームがとっくにプレイヤーが離れている中、The Sims 4はまだ毎日数万人が遊んでいる。しかもこれはSteam版だけの数字で、EA app版やコンソール版を含めると実際のアクティブプレイヤーはさらに多い。
Twitchでの視聴時間も安定していて、常時20,000時間以上の視聴がある。「見ているだけでも楽しい」ゲームなので、配信との相性が良い。他人のシムの人生を覗き見る感覚が、視聴者にはたまらないらしい。
日本語コミュニティも活発だ。Twitterのハッシュタグ「#シムズ4」「#Sims4」には毎日新しい投稿が上がっているし、日本語のシムズ4情報wikiは有志によって継続的に更新されている。日本語でのプレイ日記ブログも多く、建築の解説や、DLCの詳細レビュー、MODの紹介など、コミュニティの層が厚い。
「ハマる人には底なしの沼だが、ハマらない人にはまったく刺さらない」——The Sims 4はそういうゲームだ。
このゲームには明確な目標がない。「クリア」の概念がない。敵を倒す必要もない。ランキングもない。「何をすればいいかわからない」と感じた瞬間にやめてしまう人は一定数いる。それは全然おかしなことではない。
逆に、以下のような人にはかなり高い確率でハマる。
「箱庭遊び」が好きな人。ドールハウスを作って、人形を動かして、小さな物語を紡ぐ——The Sims 4はデジタル版のドールハウスだ。子どもの頃にレゴやシルバニアファミリーで遊んだ記憶がある人は、近い感覚を味わえると思う。
創作好きな人。キャラを作り込んで、そのキャラの人生を物語として楽しむ。The Sims 4のプレイ日記をブログやSNSで公開しているプレイヤーは世界中にいる。スクリーンショットを撮って物語を添える「シムズフォトストーリー」というジャンルもある。
建築やインテリアが好きな人。家を建てる楽しさだけで何百時間も遊べる。「シムの生活は一切やらない。建築だけ」というプレイヤーも珍しくない。建築チュートリアルのYouTube動画を見ながら技術を磨いていく過程も楽しい。
「人間観察」が好きな人。シムの自律行動を眺めているだけで楽しい。シムが勝手に恋をしたり、喧嘩したり、火事を起こしたりする様子を見て「人間ってこういうところあるよな」と思う感覚が、このゲームの独特な面白さだ。
ストレス解消に「もうひとつの人生」を楽しみたい人。現実では叶わない生活を、シムズの中では実現できる。豪邸に住んで、プール付きの庭でパーティーを開いて、好きな仕事について、好きな相手と結婚する。あるいは逆に、シムを徹底的にいじめて「最悪の人生」を歩ませるという暗い楽しみ方もある(プールの梯子を外すのは定番)。
一方で、「敵を倒してレベルを上げるRPGが好き」「競争要素があるゲームが好き」「ストーリーが重厚なゲームがやりたい」という人には、正直おすすめしにくい。The Sims 4は「自分で物語を作るゲーム」なので、ゲーム側がストーリーを提供してくれることを期待すると肩透かしを食う。
ひとつだけアドバイスがあるとすれば、「最初の3時間を乗り越えること」だ。このゲームは最初が一番つまらない。何をすればいいかわからないし、UIも最初は戸惑う。でも「自分なりの遊び方」が見つかった瞬間に、急に面白くなる。建築にハマる人もいれば、シムの恋愛劇場にハマる人もいれば、キャリアの昇進にハマる人もいる。そのスイッチが入るまでの時間が人によって違うだけで、入った瞬間から数百時間コースが始まる。
以前、The Sims 4の旧記事でも基本的な紹介をしている。

こちらの記事ではまた違った角度からThe Sims 4を紹介しているので、興味があればあわせて読んでみてほしい。
まとめ——「人生をシミュレーションする」という贅沢な遊び
The Sims 4は、結局のところ「デジタルなドールハウス」だ。
キャラクターを作って、家を建てて、その人生を眺める。シンプルなようでいて、その中に無限の自由がある。恋愛ドラマを楽しむもよし、建築に没頭するもよし、MODでゲームを魔改造するもよし、何もせずシムが勝手にやらかすのを観察するもよし。プレイスタイルの数だけ楽しみ方がある。
DLCの総額が20万円超えという現実は正直きついし、バグの多さもずっと課題だし、前作The Sims 3のオープンワールドが恋しいという気持ちもわかる。Project Reneがモバイルファーストだという発表にがっかりした人も多いだろう。「完璧なゲーム」ではない。10年経っても解決されていない問題がいくつもある。それは事実だ。
それでも、基本無料で始められるという事実は大きい。0円で触って、合わなければそれでいい。合ったら、セールを待って少しずつDLCを買い足していけばいい。まずはベースゲームだけで遊んでみて、20時間くらい遊んで「もっと欲しい」と感じたら、「Seasons(季節)」と「Cats & Dogs(ペット)」あたりから手を出すのがいいだろう。この2本だけでも入れれば、ゲーム体験は一変する。MODを入れれば公式DLCがなくても遊びの幅はさらに広がる。
10年かけて積み上げられたコンテンツ、500万件以上のMOD、世界中のプレイヤーが作ったギャラリー作品、活発な日本語コミュニティ——これだけの蓄積があるゲームは、ほかにはない。2025年の25周年で泥棒が復活し、70種類のアイテムが無料配布され、2026年もアップデートが続いている。このゲームはまだ生きている。
「何が面白いか説明できない。でもやめられない」——10年間、プレイヤーたちが言い続けてきた言葉だ。言語化できない面白さを体験してみたいなら、まずはダウンロードしてみてほしい。最初の3時間で何も感じなかったら、たぶんこのゲームは合わない。でも、自分が作ったシムの初めての昇進に「おっ」と思えたなら、隣人との恋愛にニヤニヤしてしまったなら、建てた家の窓から差し込む朝日にスクリーンショットを撮りたくなったなら——あなたはもう沼の入り口に立っている。
Steam同時接続約28,000人。リリースから10年以上。基本プレイ無料。累計プレイヤー7,000万人以上。DLC総数90種類以上。MOD500万件以上。これだけの人がまだ遊んでいるゲームには、やっぱり理由がある。完璧なゲームではない。でも、「人生をシミュレーションする」という体験において、これ以上のゲームは今のところ存在しない。10年かけて積み上げられた膨大なコンテンツと、世界中の熱狂的なコミュニティが支えるこのゲームは、まだまだ現役だ。
The Sims™ 4
| 価格 | 基本無料 |
|---|---|
| 開発 | Maxis |
| 販売 | Electronic Arts |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル |

