崩壊都市(ALL WILL FALL)物理演算で海上に垂直都市を積み上げるサバイバルシム
積み上げた街が、ある日突然、海へと崩れ落ちる。
そんな体験を何度もしながら、「次こそは」とリトライを繰り返してしまうゲームが2026年4月3日に登場した。リトアニアのインディースタジオ All Parts Connected が開発し、tinyBuildがパブリッシングした『崩壊都市(ALL WILL FALL)』だ。
地上が海に沈んだ終末世界で、錆びた船の上に水上都市を一から築き上げていく。ユニークなのは、その建設に本物の物理演算が働いているという点だ。重量バランスを無視した設計をすれば、建物はリアルに傾き、そのまま海へと落ちていく。
「人命がかかったジェンガ」——これは電ファミニコゲーマーがこのゲームを紹介したときの表現だが、実際にプレイしてみると、その言葉以上の緊張感があった。住民を抱えながら、崩れないギリギリを攻めつつ都市を育てる感覚は、他の都市建設ゲームでは味わえないものだった。
公式ローンチトレーラー
物理演算で街ごと崩れ落ちる瞬間がわかる公式トレーラー。
・都市建設ゲームは遊び慣れているが、新しい刺激がほしい人
・物理演算系のゲームが好きな人(ブリッジ建設系など)
・終末世界の雰囲気の中で、じっくりとコロニー管理を楽しみたい人
・サンドボックスで自由に都市を設計したい人
海に沈んだ世界で、空へ向かって都市を積み上げる

舞台は、かつて地上だった場所がすべて海に沈んだ世界。生き残った人々は、錆び付いた船や浮島の上にしがみつきながら生活している。プレイヤーはその集団のリーダーとなり、限られた浮島スペースを最大限に活用しながら都市を拡大していく。
従来の都市建設ゲームとの最大の違いは、建設方向が「横」ではなく「縦」だという点だ。平地を広げることができないため、上へ上へと積み重ねていくしかない。これが単なるシステムの違いではなく、プレイ感覚を根本から変えている。
たとえば、既存の施設の上に新しい建物を乗せようとすると、重量計算が必要になる。支柱の強度、材料の種類、建物の配置バランス——すべてが物理法則に基づいて処理されており、設計ミスはすぐに崩壊として跳ね返ってくる。
「3シナリオ目まで進めたけど、ほどよくリラックスして遊べる。派閥要素と物理演算が難しそうに見えて実はそこまでではなく、このジャンル初心者でも入りやすい」
出典:Steamユーザーレビュー
この感覚は、ブリッジ建設パズルゲームにコロニー管理の要素が合体したような独特のものだ。物理演算の怖さを知りながらも、資源と人員を管理しながら少しずつ都市を高みへ伸ばしていく達成感がある。
なお、崩壊リスクのある建築を試みる前に「巻き戻し機能」を使って安全を確認できる設計になっており、初心者へのアクセシビリティも考えられている。
住民管理と政治的決断——「誰かを切り捨てる」判断が都市の命運を左右する

このゲームで特徴的なのは、建設だけでなく住民の政治的管理が都市の維持に直結している点だ。
都市には複数の派閥が存在し、それぞれが異なる要求を持っている。食料をより多く求める農民層、安全性を優先する工業派、自由を主張するグループ——彼らの要望に応えながら都市全体のバランスを保つのが、建設と並ぶもう一つの柱になっている。
なかでも印象的なのが、プレイヤーに突きつけられる統治スタイルの選択だ。すべての住民を公平に扱う「公平統治」を選ぶか、反抗的な住民を力で押さえ込む「恐怖支配」を選ぶか。どちらを選んでも短期的なメリットと長期的なリスクがあり、一概に正解とは言えない。
「FrostpunkやTimberbornの雰囲気を持ったコロニーシムだけど、難易度は低め。でも建設スペースが根本的に狭いせいで、ただの資源管理ゲームじゃなく『どう積み上げるか』という問題も常につきまとう」
出典:Steamユーザーレビュー
Frostpunkシリーズも同様に「苛酷な選択」を迫るゲームとして知られているが、崩壊都市はそこに物理演算という独自の緊張感を加えている。厳格な生存シムを求めるなら、こちらも合わせて気になるはずだ。

デモ版で20万人超——リリース前から注目を集めた理由
2026年4月3日の正式リリース前に配信されていた体験版(デモ版)は、ユニークプレイヤー数が20万人超を記録し、レビュー評価は91%の高評価を維持していた。
これだけの注目を集めた要因は、ゲームのコアコンセプトが映像だけで直感的に伝わりやすかったことが大きい。「積み上げた街が崩れる」——そのビジュアルは、物理演算ゲームの面白さを一瞬で伝えてくれる。
PCGamesNというメディアはこのゲームを「海の上のFrostpunk」と形容し、コロニーシムとしての深みを評価していた。また、海外レビューサイトのSteam Deck HQは「コロニーシムジャンルへの本当に充実した新作」と言及し、ファンにすすめている。
「The Settlers meets Jenga, with a little bit of Frostpunk thrown in for good measure(セトラーズとジェンガとフロストパンクを混ぜたような感覚)」
出典:Steam Deck HQ レビュー
Satisfactoryも「建設×工場管理」という組み合わせで強烈な中毒性を生み出したゲームだが、崩壊都市は「建設×物理崩壊のリスク」という形で新たな方向性を提示している。

8シナリオ、100時間超のボリューム——キャンペーンの中身

キャンペーンモードには、それぞれ独自のストーリーと目標を持つ8つのシナリオが収録されており、公式の推定プレイ時間は100時間超とされている。
レビュアーのひとりは、「極端にスペースが限られているサイバータワーシナリオと、常に動き続ける船シナリオとのコントラストだけでも、このゲームのポテンシャルを感じる」と語っており(GamingTrend)、各シナリオがただ難易度を上げるだけでなく、ゲームプレイの根本的な条件を変えるような設計になっていることがうかがえる。
さらに、シナリオの1つはランダム生成マップになっており、毎回異なる環境でプレイできる。加えてSteamワークショップ対応のサンドボックスモードでは、コミュニティが作成したカスタムマップを自由に遊ぶことができ、100時間という数字が決してオーバーではないとわかる。
プレイヤーが感じた物理演算の「本当の手応え」と「惜しい点」
正式リリース後のユーザーレビューを見ていくと、物理演算への評価が二極化していることに気づく。
ポジティブな声の多くは「崩れる緊張感がクセになる」「ジェンガ的な積み上げの楽しさと都市管理が合わさっている」という内容だ。一方でネガティブな意見には、「8時間もプレイすると全てのイベントと災害を見尽くした」「ランダムイベントがほぼネガティブな出来事ばかりで、ご褒美感がない」といった指摘が目立つ。
「ゲームは楽しいし、プレイ時間も十分。ただ、完全にすすめられる状態にはもう少し改善が必要に感じた。物理システムが結果的に大して影響しない場面が多く、場所をつなぐときの軽い不便さ程度にしかならないこともある」
出典:Steamユーザーレビュー
この点は正直に言うと、物理演算の「崩れる恐怖」がゲーム後半になるほど薄れていく可能性を示唆している。序盤は建設リソースが少ないため崩壊のリスクが高いが、資源が豊富になるにつれて「強引に強化材料を使う」選択肢が増え、物理的なギリギリ感よりも資源管理の側面が前に出てくるようだ。
「グループの幸福度、ランダムイベント、天候変化——これらはいずれも最初のミッションで一度体験してしまうと、システムとして浅く感じてしまう」
出典:Analog Stick Gaming レビュー
ただし、これらは現時点(2026年4月)での評価であり、開発チームが継続的に改善に動いてくれている点も付け加えておきたい。インディースタジオのリリース直後としては珍しくない課題であり、ゲーム自体のコアコンセプトへの評価が高いことは変わらない。
終末世界の世界観と独特のビジュアル——「水没した文明」の説得力

崩壊都市の舞台は、単なる「海の上」ではない。かつての文明の残骸——半水没した高層ビル、沈みゆく鉄骨、錆びた構造物——がマップのあちこちに散らばっており、「ここにかつて人々の生活があった」という歴史の重さを感じさせる。
X(旧Twitter)でこのゲームを紹介したあるユーザーは「『翠星のガルガンティア』のような世界観に惹かれる」と投稿しており(@stmatomato)、アニメ好きのプレイヤーにも刺さるビジュアルディレクションになっている。海上に漂う廃墟と、そこに立ち上がっていく都市のコントラストは、このゲームの独自の魅力の一つだ。
さらに探索要素もあり、周辺の廃墟や水没した施設を調査することで資源や情報を得られる仕組みも組み込まれている。純粋な建設だけでなく、「この世界に何が起きたのか」を少しずつ掘り下げていける構造になっている。
基本情報
| タイトル | 崩壊都市(ALL WILL FALL) |
|---|---|
| 開発元 | All Parts Connected(リトアニア) |
| パブリッシャー | tinyBuild |
| リリース日 | 2026年4月3日 |
| 価格 | 3,400円(税込) |
| ジャンル | 物理演算ベース都市建設シミュレーション / コロニーシム |
| プレイ人数 | シングルプレイヤー |
| 対応言語 | 日本語対応(UI・テキスト) |
| 対応プラットフォーム | PC(Steam) |
| Steam評価 | やや好評(74%陽性 / 462件 ※2026年4月時点) |
| コンテンツ量 | キャンペーン8シナリオ、推定100時間超 |
| 追加機能 | サンドボックスモード、マップエディター、Steamワークショップ対応 |
崩壊都市はどんな人に向いているか——まとめ
このゲームを遊んでみて、「都市建設ゲームの新しい扉を開けた作品」という印象が残った。
物理演算による崩壊の恐怖、住民管理と政治的決断の重さ、縦方向への都市拡張という制約——これらが組み合わさることで、「なんとなく広げる」という都市建設ゲームのルーティンが通用しない緊張感が生まれている。
一方で、ランダムイベントのバリエーション不足や、後半になるほど物理演算が形骸化する点は率直な課題として挙げておきたい。インディー開発チームが精力的に改善に取り組んでくれていることへの期待込みで、現時点での評価は「コロニーシムに慣れた人が新鮮な体験を求めるなら試す価値あり」という位置づけだ。
コロニー管理系でいえば、似た緊張感の中に独自のシステムを持つゲームとして同ジャンルを押さえておきたい。

・都市建設ゲームに「物理的な緊張感」を求めている人
・終末世界の雰囲気の中でゆっくり戦略を楽しみたい人
・Frostpunkより難易度を下げつつも、「厳しい選択」の重みを感じたい人
・100時間以上遊べるコンテンツ量を重視する人
・コミュニティのカスタムマップで遊び続けたい人
