「Against the Storm」ローグライト×都市建設の革命児、Steam97%好評の異色SLG

目次

「Against the Storm」ローグライト×都市建設の革命児、Steam97%好評の異色SLG

Against the Storm ゲームプレイ画面 – ローグライト×都市建設

「都市建設ゲームの一番面白い部分だけを永遠に遊べるゲームが存在した」——そう評されるゲームがある。2023年12月8日に正式リリースされた「Against the Storm」だ。

Steamのレビュー件数は2万件を超え、評価は「圧倒的に好評」。97%という驚異的な好評率は、発売から2年以上が経過した現在も揺らいでいない。累計販売本数は150万本を突破。OpenCriticの批評家スコアは89点、推薦率95%。Metacriticも89点。Eurogamerは満点評価を与え、「最も革新的で丁寧に作り込まれたシティビルダーの一つ」と称した。インディーゲームとしては異例の成績だ。

開発したのはポーランドのEremite Games。パブリッシャーはManor Lordsも手がけたHooded Horseだ。規模は小さなチームだが、やっていることは革命的に面白い。ローグライトとシティビルダーというジャンルを単純に「くっつける」のではなく、両者の本質的な楽しさだけを抽出して再設計した——そういうゲームだ。

1プレイは約1〜2時間。雨の止まない暗黒の森に入植地を開拓し、住民の需要を満たし、女王の評判を積み上げてミッションを達成する。クリアすれば次の荒野へ。失敗してもメタ進行でキャラクターは強くなる。「また1回やろう」という衝動が止まらない中毒性があり、気づいたら100時間を超えている——そういう種類の作品だ。

都市建設の「立ち上げ期の楽しさ」だけを繰り返せる設計。これが従来のシティビルダーにはなかった発明だった。2021年10月の早期アクセス開始から2年以上、Eremite Gamesはコミュニティのフィードバックと真剣に向き合いながら開発を続け、2023年12月に正式リリースを迎えた。そして2024年・2025年とDLCと無料アップデートが続いている。これが「圧倒的に好評」の本質だと思う——ゲームとして完成度が高く、かつ開発チームへの信頼感もある。

こんな人に読んでほしい

  • Cities: SkylinesやFrostpunkなどの都市建設ゲームに飽きを感じている人
  • ローグライト(Hades、Slay the Spireなど)の「また1回やりたい」中毒性が好きな人
  • 1〜2時間でサクッと完結するが、戦略的な深みがある作品を探している人
  • ダークファンタジーの世界観と自然と戦うサバイバル要素が好みな人
  • Steam評価97%がどういうゲームなのか実際に確認したい人
  • インディーゲームで本当に評価の高い作品を発掘したいPCゲーマー
  • 資源管理・生産ライン・人口バランスといった内政パズルが大好きな人
  • コンシューマ機(Switch・PS5・Xbox)でも遊べる都市建設ゲームを探している人
  • 働いてる住民の様子をまったりと眺めるのが好きな「管理シム観察型」プレイヤー
  • BanishedやRimWorldといった古典的なコロニー管理ゲームが好きだった人

Against the Stormとはどんなゲームか

Against the Storm 入植地建設の様子 – 暗黒の森に文明を築く

Against the Stormは「ローグライト×シティビルダー」というジャンルの融合作品だ。ただ「くっついている」だけでなく、両ジャンルの本質的な面白さが設計レベルで噛み合っている。それがこのゲームを特別にしている理由だ。

世界観から説明しよう。このゲームの舞台は、呪いによって絶え間ない雨が降り続ける暗黒の世界だ。数十年に一度、「ブライトストーム(Blightstorm)」と呼ばれる大災厄が世界を蹂躙し、文明の痕跡を根こそぎ吹き飛ばす。人類(と人類に似た種族たち)が積み上げてきたものが、定期的にゼロに戻される——それがこの世界の残酷な前提だ。

唯一の安全地帯は「燃えさかる女王(Scorched Queen)」が治める「くすぶる都市(Smoldering City)」だけ。太陽が照り続けるその場所だけが、嵐から守られた聖域だ。女王の正体は不死鳥(Phoenix)で、文字通り炎に包まれた存在だ。この女王に仕える「副王(Viceroy)」の中で特に優れた者は「Queen’s Hand(女王の手)」と呼ばれる称号を与えられる——儀式では女王と握手するのだが、彼女は炎に包まれているため、握手した腕が焼け落ちてしまう。「片腕がない」というのがQueen’s Handの証だ。

プレイヤーはその女王に仕える副王として、荒野に送り出される。任務は入植地を建設し、食料・建材・交易品を生産して女王への評判を高め、さらなる辺境の地を開拓すること。しかし入植地はブライトストームが来るたびに文明ごとリセットされる——これがこのゲームの根本的な前提であり、ローグライト設計との完璧な接合点だ。「リセットされることが世界観として当然」という設定が、ゲームメカニクスと完全に噛み合っている。

1プレイは1〜2時間。荒野に入植し、木を伐り、食料を確保し、住民のニーズを満たし、生産ラインを整え、女王からの注文をこなし、評判を一定ラインまで積み上げてミッション達成。そのサイクルを何度も繰り返す。クリアすれば次の難度・新しいバイオームへ。失敗しても経験値とメタ資源は蓄積される。

「都市建設ゲームの立ち上げ期——あの最初の数時間が一番楽しいのに、ゲームが進むにつれてルーティンになっていく」という問題を、このゲームは解決している。毎回が「立ち上げ期」だ。毎回違うバイオーム、ランダムな地形、異なる種族の組み合わせ、ランダムで選ばれる建築設計図と「礎石(Cornerstone)」バフ——すべてが毎プレイ異なる。同じ状況になることがない。

住民は人間(Humans)、ビーバー(Beavers)、トカゲ(Lizards)、キツネ(Foxes)、ハーピー(Harpies)、カエル(Frogs)、コウモリ(Bats)の7種族から成る。各種族は固有の食嗜好・住居ニーズ・労働特性を持っており、どの3種族が今回の入植地に来るかはランダムだ。ビーバーは木材伐採に優れ、トカゲは寒さに強く食事ニーズが単純で、ハーピーは採集系の仕事が得意——こういった特性の組み合わせが、毎回の戦略を変える。

ゲームの舞台であるこの世界には、実はより深い謎が隠されている。雨と嵐が続く原因は単純な呪いではなく、「古代文明が作った封印(Seal)」の崩壊と関係している。太古の昔、ある超文明が理解を超えた恐怖を封じ込めるために封印を作った。だが、その封印が長い年月で崩れ始めており、封じられた何かが外に出ようとしている——その影響がブライトストームの激化として現れている、という示唆がゲームの進行とともに断片的に提示される。プレイヤーはこのロアを「完全には教えてもらえない」形で少しずつ発見していく。世界観の謎が意図的に曖昧に残されており、それが「次のプレイでもっと情報が手に入るかもしれない」という動機になっている。

基本情報

タイトル Against the Storm(アゲインスト・ザ・ストーム)
開発 Eremite Games
パブリッシャー Hooded Horse
早期アクセス開始日 2021年10月18日
正式リリース日 2023年12月8日
ジャンル ローグライト シティビルダー / ダークファンタジー SLG
プラットフォーム PC(Steam)/ PS5 / PS4 / Nintendo Switch / Xbox Series X|S / Xbox One
コンシューマ機リリース日 2025年6月26日(Switch・PS5・Xbox)
価格(PC/Steam) $29.99 USD(約4,500円前後)
日本語対応 あり(テキスト完全日本語化)
Steam評価 圧倒的に好評(97%好評 / 2万件超のレビュー)
OpenCriticスコア 89点(批評家推薦率95%・トップ1%のゲーム認定)
Metacriticスコア 89点
累計販売本数 150万本超(2026年時点)
平均プレイ時間 37〜100時間以上(難度・やり込み度による)
早期アクセス期間 約2年2ヶ月(2021年10月〜2023年12月)
DLC Keepers of the Stone(2024年9月26日)、Nightwatchers(2025年7月31日)
受賞歴 Best Design at Taipei Game Show 2024、DICE Awards 2024 Best Strategy/Simulation Game ノミネート

推奨スペックと動作環境

スペック区分 CPU GPU RAM
最低 Intel Core i3-4160 相当 GeForce GTX 650 / 同等 4GB
推奨 Intel Core i5-3570K 以上 GeForce GTX 970 / 同等 8GB以上
ストレージ:5GB以上。OS:Windows 10/11(64bit)。グラフィック負荷は低めで、低スペックPCでも動作しやすい部類。入植地の規模が大きくなるにつれてCPU負荷が上がるが、大半の環境で快適に動く。コンシューマ機ではNintendo Switch・PS4・Xbox Oneにも対応しており、ハードウェア要件が緩やかなことがわかる。

最低動作環境が非常に緩やかなのはこのゲームの特徴のひとつだ。3Dリアリティ系の都市建設と異なり、2.5Dのトップダウン視点で動作し、ビジュアルよりもゲームプレイを重視した設計になっている。数年前のミドルレンジPCでも全く問題なく動く。グラフィックの美麗さよりも「ゲームとしての設計の濃さ」に投資しているゲームだ、と感じる。

Against the Stormの評価ポイント:ここが光っている

Against the Storm 評価ポイント – 礎石と資源管理のゲームプレイ

「立ち上げ期だけが続く」——都市建設の根本問題を解決した設計

都市建設ゲームには共通の問題がある。序盤の立ち上げが最もスリリングで楽しいのに、都市が軌道に乗って安定すると途端に作業感が増す。「やることはあるが、もうドキドキしない」状態になる。Banishedでもパラドックス系の歴史SLGでも、経験者なら思い当たる感覚だろう。これが多くのシティビルダーが長期プレイで失速する理由だ。

Against the Stormはこの問題を根本から解決している。1プレイが1〜2時間で完結するローグライト設計により、毎回が「立ち上げ期」だ。バイオームはランダムに選ばれ、地形が異なり、資源の分布が異なり、今回選べる建物の設計図がランダムで決まり、住民の種族が異なり、女王から与えられる「礎石(Cornerstone)」バフも毎回別のものが提示される。

同じゲームプレイが2回続かない——これがプレイヤーを飽きさせない理由だ。「前回は木材が豊富なコーラルフォレストでビーバー中心の木工産業を回したけど、今回はマーシュランドでトカゲと人間の組み合わせ、食肉ベースで行くか」という思考が毎回新鮮に発生する。

日本のゲームブログでは「発明だよコレ。街づくりゲームの一番面白いところだけを永遠に遊ばせてくれる天才的なゲームだった」という言葉で形容されている。この一文が、このゲームの本質を最もよく言い表している。「立ち上げ期の面白さが毎回リセットされる」というシンプルな仕組みが、なぜ他のゲームでは実現されてこなかったのか不思議になるくらいだ。

6つのバイオームが生む「毎回違う地形と環境」

バイオームは入植地ごとに選ばれ、その地域の基本条件——気候、資源の種類、特殊ルール——をすべて決定する。同じバイオームでも地形はランダム生成なので、同じ選択をしても「前回と全く同じプレイ」にはならない。

「コーラルフォレスト(Coral Forest)」は木材が豊富なバランス型。初心者にも取り組みやすい基本バイオームで、多くのプレイヤーが最初に習熟する地形だ。「ロイヤルウッドランド(Royal Woodlands)」は比較的穏やかな条件の中級バイオームで、農業と林業のバランスが問われる。「カーストロイヤルウッドランド(Cursed Royal Woodlands)」は呪いの影響が強い高難度版。呪いに関連したデバフが積み重なりやすく、対策を考えないとじわじわと状況が悪化する。

「スカーレットオーチャード(Scarlet Orchard)」は果実・植物は豊富だが肉類が一切取れない。「食肉文化」を持つ種族が来た場合の苦労は相当なもので、食料戦略の根本を変える必要がある特殊なバイオームだ。「マーシュランド(Marshlands)」は肉類と沼地の資源が豊富な反面、農地が少なく、独特の環境ルールへの適応が求められる。DLC「Nightwatchers」で追加された「ロッキーラヴィン(Rocky Ravine)」は有機物がほぼない鉱石特化の極端なバイオーム。木材すら希少で、石材・金属・鉱物を主軸に産業を組まなければならない。

各バイオームで使える資源ノードの種類が根本的に異なるため、「このバイオームは農業が使えない、なら畜産と交易で補う」といった戦略の切り替えが必要になる。これが毎プレイの思考を新鮮にし続ける仕組みだ。経験が増えるにつれて「このバイオームならこのアプローチが刺さる」という知識が蓄積されるが、それが「習熟した上での最適解を試す喜び」に変わっていく。熟練プレイヤーがより高難度・プレスティージュに挑み続ける理由のひとつがここにある。

礎石(Cornerstone)システム——毎プレイでビルドが変わるローグライトの核心

ローグライトの醍醐味の一つが「ビルド」の組み立てだ。Against the Stormでは「礎石(Cornerstone)」というバフシステムがその役割を担う。入植地の建設中、特定のタイミングで数枚の礎石カードが提示され、プレイヤーはそのうちひとつを選択する。選ばなかったカードは消えて、次のプレイには別のカードが出てくる。

礎石の効果はバラエティに富んでいる。「ビーバーが木材建物で働くとき生産量+30%」「食料を加工するたびに燃料も生産される」「嵐のシーズン中、全建物の効率が低下しない」「新たな種族の住民が来るたびに食料が補充される」「グレードを開くごとに一定量の材料が自動補充される」——こういった固有の効果が何十種類と用意されており、どれを選ぶかによってプレイスタイルが根本的に変わる。

礎石は「青(コモン)」「紫(レア)」「金(レジェンダリー)」の3段階のレアリティがある。金枠のレジェンダリー礎石は特に強力で、「今回のプレイ全体の方向性を変える」ほどのインパクトを持つものが多い。「このレジェンダリーが出るなら今回は石材産業を特化で回せる」「この礎石があれば食料不足を他の方法で補える」という判断が、毎プレイの大きな分岐点になる。

また、礎石の選択肢は再抽選(リロール)でき、気に入らなければ別のカードを引き直せる。ただしリロールにはコストがかかり、難度(プレスティージュ)が上がるほどリロール回数が制限される。「理想の礎石が引けるまでリロールする」か「今あるカードで最善を尽くす」かという判断も、プレイヤーのスキルの見せ所だ。

設計図(Blueprint)も同様のランダム性を持つ。建設できる建物の種類は毎回ランダムに抽選され、すべての建物が最初から使えるわけではない。「今回は焙煎所の設計図がある、なら豆のサプライチェーンを伸ばすか」「石材加工所があるなら鉱石産業を中心に据えよう」という適応的な判断が求められる。これが同じ素材でも毎回別の料理が生まれるような楽しさを生む。「今回はこの建物しかない、でも工夫次第でなんとかなる」というパズルの解法を見つけた瞬間の達成感は格別だ。

7種族の個性が生む「毎回違う住民管理」

住民の種族ごとに、食料の好み・住居の種類・労働の得意分野が異なる。入植地に来る種族は毎回3種族のランダム組み合わせであり、その組み合わせが運営の方針をすべて決める。

人間(Humans)はバランス型で、食料ニーズが比較的シンプル。どんな状況でもそれなりに対応できる万能型だ。ポーリッジ・ピックルド・スキュワーといった複合食品をバランスよく消費するが、突出した弱点も強みもない。「初心者期間の安定剤」として機能する種族だ。

ビーバー(Beavers)は木材関係の建物で働くと生産効率が高く、河や木材が豊富な環境で本領を発揮する。木を中心とした産業構造を作ると爆発的な生産力を発揮するが、コーラルフォレストのような木材豊富なバイオームとの相性が特によい。「ビーバーが木材建物にいると生産+X%」という礎石が出たときの強さは一線を画す。

トカゲ(Lizards)は気温変化への耐性が高く食事ニーズが少ない種族で、過酷な環境でも比較的安定した働きをする。食料の要求が単純(生食料だけでもある程度満足する)なので、複合食品の生産ラインが整わない序盤から中盤にかけての安定剤になる。嵐のシーズンでもパフォーマンスが落ちにくいのも強み。

キツネ(Foxes)はブライトロット(Blightrot)に強い特殊能力を持つ。ブライトロットはゲーム後半で登場する「疫病的リスク要素」で、放置すると入植地全体のパフォーマンスを落とす。キツネの特性がこれへの対抗手段になる。また、キツネはブーツ・ピックルド・スキュワーなど特定の需要を持ち、それらを満たすほど能力を発揮する。

ハーピー(Harpies)は採集ノードから多くの資源を得られ、長距離の運搬も得意とする。「飛んで移動できる」という設定が採集効率の高さとして反映されており、資源ノードが分散したマップで特に輝く。ただし食料ニーズが独特で、特定の高級食品を要求する傾向がある。

カエル(Frogs)は石材関連の仕事を得意とし、水辺や海岸の環境で能力を発揮する。Keepers of the Stone DLCで追加された種族で、石材・砂・水産資源との相性がよい。「石を使った生産物」の種類が増えたのもこのDLC以降で、カエルの存在がそれらの産業の効率化に繋がっている。

コウモリ(Bats)は金属精錬に長け、逆境に強いという独特の「弱者淘汰」特性を持つ。Nightwatchers DLCで追加された最新種族で、「他の種族が入植地を離れると、残ったコウモリのやる気が上がる」という仕組みだ。厳しい状況で他の種族が脱落しても、コウモリは逆に強くなる。また「Manorial Court(貴族の法廷)」という固有能力で他の種族の一員を排除することで、残りのコウモリのモチベーションを高めることもできる。倫理的にダークな設定だが、ゲームとしての戦略的深みが面白い。

3種族の組み合わせによって「今回は木材特化のビーバー主体か」「今回はトカゲ+人間の食料シンプル構成か」「今回はカエル+コウモリで石材×金属の重工業か」という判断が変わり、それが建物の選択・資源の優先順位・礎石の選び方に連鎖する。7種族×3の組み合わせパターンを考えると、重複しない組み合わせだけで35通りもある。同じ3種族がランダムで来ることはあっても、地形・設計図・礎石もランダムなので、同じプレイにはほぼならない。

生産ライン設計の深さ——複合食品と資源の連鎖が生む内政パズル

資源管理の深さも、このゲームが評価される重要な要素だ。食料は「生食料(Raw Food)」と「複合食品(Complex Food)」に分かれており、複合食品は住民の「満足度(Resolve)」を高め、より多くの住民を維持できる。しかし複合食品は生産が手間で、原材料の調達から加工まで複数のステップが必要だ。

例えば「スキュワー(Skewers)」を作るには肉類が必要で、それを炉台のある「料理場」で加工する。「煙で燻した肉(Smoked Meat)」なら燻製場が必要だ。「揚げ昆虫」なら昆虫の採集ノードと揚げ場が必要になる。「パン(Bread)」なら穀物を育てて、製粉して、焼き上げる3ステップが要る。これらの複合食品は単なる生食料よりも高い満足度ボーナスを与え、難度が上がるほど複合食品の充実が生死を分けるようになる。

木材も同様の複数ステップを持つ。伐採で丸太を得て、製材所で板材に加工し、さらに特殊な工房で特殊な建材や燃料に変換する。石材・粘土・鉄鉱石も採掘→加工→最終製品というラインが存在する。「原材料をいつ加工に回すか、いつ倉庫にストックするか」の判断が、入植地の効率を大きく左右する。

特に注目すべきは燃料の多様性だ。Against the Stormには基本燃料(木材)と3種類の上位燃料——オイル、シーマロウ(Sea Marrow)、石炭——がある。上位燃料は基本燃料より効率が高く、同じ量で多くの施設を長く稼働させられる。「どの燃料をいつ使うか」「どの燃料の生産ラインを優先するか」は、プレスティージュが上がるほど重要な戦略的判断になる。

さらに「雨水(Rainwater)」という特殊資源もある。農業や一部の生産建物に必要で、確保方法と使い道のバランスを取らないといけない。雨水の確保には専用の建物が必要で、それを建てるコスト・人員・スペースと天秤にかけながら判断する。こういった複数の変数を同時に管理するパズル感が、このゲームの根幹にある知的な楽しさだ。

生産ラインの全体設計を見通せるようになると、「このバイオームでこの種族構成なら、この食料と燃料を軸に産業を組む」という方針が自然に立てられるようになる。その「読みが当たった瞬間」——設計した生産ラインが滑らかに回り始め、住民の満足度が上がり、女王への評判が積み上がっていく——の達成感が、このゲームのプレイヤーを何百時間も引き止める本質的な楽しみだ。

ワールドマップとメタ進行——「次のサイクル」への意志

入植地を建設・クリアする「ローグライト部分」の外側に、「ワールドマップ」というもう一つの戦略層がある。プレイヤーはSmoldering City(くすぶる都市)を中心としたヘックスマップ上で、次にどの土地に入植するかを選ぶ。都市から遠い土地ほど難度が高く、より多くの制約と試練が待ち構える。

入植地でクリアするたびに「メタ進行資源」が蓄積される。この資源をSmoldering Cityに投資することで、永続的な強化が得られる——新しい建物の設計図をアンロックする、礎石の選択肢を増やす、特定の種族が入植地に来やすくなる設定を変える、特殊なスターター特典を解放する、といった具合だ。失敗しても一定量のメタ資源は残るため、完全なゼロリセットにはならない。ローグライトの「成長できる失敗」という設計が丁寧に実装されている。

「ブライトストーム(Blightstorm)」はワールドマップ全体の時間的なプレッシャーだ。入植地を繰り返すたびにカウントが進み、いずれブライトストームが到来してワールドマップが大規模に再編される。近隣の土地は残りやすく、都市から遠い辺境の土地ほど変化が大きい。この「有限の時間軸」がマクロな戦略選択を生む。「今は簡単な近場の土地で資源を稼ぐか、難しい遠方に挑戦して大きなリターンを狙うか」——こういった長期的な選択が、短期的な入植地管理と並行して存在する。

ブライトストームが来る前に蓄積したメタ資源はリセットされる。「蓄積したポイントをすべてSmoldering Cityに投資して次のサイクルへ備える」か「少し溜めすぎてリセットで無駄にする」かというプレッシャーが、ゲームのリズムに緊張感を与えている。

プレスティージュ(Prestige)システムも重要な要素だ。入植地をクリアするたびに難度を上げる「プレスティージュレベル」が解放される。プレスティージュ1から始まり、最高でプレスティージュ20まである。難度が上がるほど制約が増え、礎石の選択肢が減り、嵐の影響が強まり、住民の不満が高まりやすくなる——しかし同時に、達成感と戦略の深さも増す。「プレスティージュ20クリア」は上級プレイヤーにとっての究極的な目標だ。多くの熟練プレイヤーが「プレスティージュ10〜15が一番楽しいバランス」と語る中、20を目指すのはさらなる挑戦者のための領域だ。

嵐のシーズンが生む「締め切り」——ゲームのリズムと緊張感

Against the Stormの時間軸は「シーズン」で刻まれる。小雨(Drizzle)→晴れ間(Clearance)→嵐(Storm)の3フェーズが1サイクルを構成する。このリズムがゲームに「締め切り」を与え、単純な資源管理を「時間との戦い」に変える。

Drizzleは比較的穏やかな序盤。雨は降っているが嵐ほどではなく、資源を確保し生産ラインを整えやすい時期だ。序盤の設備投資と種族の配置が、このフェーズ中にほぼ決まる。Clearanceは晴れ間で、「グレード(Glade)」と呼ばれる未開地のイベントをこなしやすい時期だ。嵐の中では解決が難しいイベントも、晴れ間には比較的余裕を持って対処できる。

そして嵐(Storm)のシーズンになると状況が一変する。嵐は全建物の効率を落とし、住民の満足度(Resolve)を削り、悪天候の中で建物を維持するために燃料消費が増える。住居のない住民は嵐の中で満足度が急落し、最悪の場合離村してしまう。嵐に備えた「燃料の備蓄」「全住民への住居確保」「複合食品の生産ライン完成」が必須の準備になる。

「嵐が来る前に複合食品の生産ラインを整えなければ」「嵐シーズンに備えて燃料をストックしておく」という自然な優先順位が生まれるのが巧みだ。嵐の激しさは進行に伴って増し、プレスティージュが上がるにつれてより過酷になる。Drizzle→Clearance→Stormというリズムは、慣れてからも「次は何を準備するか」という思考を絶えず刺激する。

またStormシーズン中は「HostilityゲージとForestの怒り」というシステムも働く。嵐の中で森を傷つける作業(木の伐採など)を続けると、「森の敵意(Forest Hostility)」が高まる。これが一定値を超えると、嵐のシーズンに悪影響が出る仕組みだ。木こりを嵐の中に出し続けるべきか、一時撤退するべきか——こういった判断が、単純な「木を切ればいい」という思考を複雑化する。

グレードイベントの「選択と結果」——入植地に物語を生む仕掛け

入植地の周辺には「グレード(Glade)」と呼ばれる未開拓地が存在する。グレードを開くと資源や建物が手に入るが、同時に「グレードイベント」と呼ばれるランダムな出来事が起きる。このイベントが非常に多様で、ゲームに物語的な深みを与えている。

「廃墟を発見した——修復するか破棄するか」「病気の旅人を受け入れるか追い返すか」「謎の生物の巣があった——駆除するか共存するか」「古代の刻印が刻まれた石柱が見つかった——調査するためのコストを払うか」——こういった選択が次々に提示される。それぞれに即時のコスト(食料・建材など)と中長期的なリターン(新しい建物の解放・資源ボーナス・Resolveの上昇)がある。

グレードには複数の種類がある。「セーフグレード(Safe Glade)」は低リスクで資源が少なめ。「ダンジャラスグレード(Dangerous Glade)」は高リスクだが資源も多い。「フォービドゥングレード(Forbidden Glade)」はさらに危険でイベントの難度も高いが、平均して少なくとも2評判を獲得できる高リターンの選択肢だ。「どのグレードを開くか、いつ開くか」という判断が、入植地のパフォーマンスを大きく左右する。

重要なのは、グレードを開く速度が「ホスティリティ(Hostility)」と連動していることだ。グレードを開きすぎると森の敵意が高まり、嵐のシーズンに悪影響が出る。「いつグレードを開くか」「どのグレードを優先するか」という判断が、難度が上がるほど重要な戦略的決断になる。上級プレイヤーのアドバイスで最も多いのが「Year 1(最初のシーズン)は周辺グレードをすぐ開かず、Year 2に入ってから対処できる準備が整った時点で開く」というものだ。

女王の評判システム——ミッションと圧力の二重構造

Scorched Queenは、単なる世界観の装飾ではなく、ゲームメカニクスとして機能する存在だ。入植地ごとに「Reputation(評判)」というゲージがあり、これを一定ラインまで高めると入植地のミッションクリアとなる。評判は女王からの「注文(Order)」を達成したり、各種生産物を供出したり、住民の満足度を高めることで蓄積される。

女王からの注文は期限付きで、複数の選択肢の中から1つを受け入れる形式が多い。「100単位の木材を提供せよ」「50単位の複合食品を提供せよ」「3つのグレードを解決せよ」——こういった注文を達成すると評判が上昇する。時間内に達成できない場合は評判ではなく「Impatience(不満)ゲージ」が上昇する。

一方でImpatienceの蓄積も管理しなければならない。住民が大量に離村する、注文を期限内に達成できない、特定の条件を満たせない——こういった状況でImpatience(女王の不満)が積み上がる。このゲージが最大になるとゲームオーバーだ。「評判を稼ぎながら、同時に不満を抑える」という二重の圧力が、入植地管理の核心的な緊張感を生む。

この二重圧力の設計が絶妙なのは、「リスクある選択」を常に迫られることだ。グレードを早く開けば評判の機会が増えるが、Hostilityも上がる。注文を積極的に受ければ評判が増えるが、達成できなければImpatienceが増える。「いい選択」と「悪い選択」ではなく「リスクの高い選択」と「安全だが遅い選択」の間で常に判断を迫られる構造だ。

Steam97%の根拠——開発への信頼とコミュニティとの距離感

Against the StormがSteam97%という評価を得ているのは、ゲームそのものの出来だけではない。Eremite Gamesというチームへの信頼感が大きい。

早期アクセスは2021年10月から2年以上続き、その間継続的にアップデートが重ねられた。バランス調整・新コンテンツ追加・UIの改善——プレイヤーのフィードバックに対して誠実に向き合ってきた歴史がある。正式リリース後もPatch 1.1.6からの続くロードマップで更新が続き、2024年にはKeepers of the Stone DLC(カエル種族・Coastal Groves・新バイオーム追加・釣りシステム実装)、2025年にはNightwatchers DLC(コウモリ種族・Rocky Ravine・新バイオーム追加)が投入された。

Keepers of the Stone DLCが追加したコンテンツは種族だけではない。「釣りシステム(Fishing)」という完全に新しい資源獲得手段が無料アップデート1.4とともに実装された。魚・海藻・貝殻といった新しい資源と、それらを使った新しい生産チェーンが加わり、海岸バイオームでの戦略の幅が大きく広がった。DLCを買わなくても無料アップデート部分が恩恵を受けられる、という姿勢はコミュニティから高く評価されている。

Nightwatchers DLCのコウモリ種族は「Rocky Ravine」という鉱石特化の極端なバイオームとの相性がよく設計されており、DLC追加コンテンツが単なる「上乗せ」ではなくゲームシステムとして有機的に組み合わさっている点も評価が高い。「追加コンテンツがゲームデザインとして噛み合っている」というのは、すべてのゲームが達成できるわけではない品質だ。

また、Steamのアップデートノートが丁寧で読みやすいことも評価されている。「なぜこの変更をしたか」「どういう意図でこのバランスを調整したか」というデザインの意図まで書いてくれる開発チームは、プレイヤーとの対話を大切にしていると感じさせる。Update 1.2では「生産・消費トレンドを追跡するウィンドウ」という要望の多かったUI機能が追加されたし、Favoring Updateでは種族の嗜好システムが全面的に見直された。「プレイヤーの声を聞いて、ゲームが確実に良くなっている」という実感がレビューの数字に現れている。

「ゲームが良いだけでなく、開発チームが誠実」——これが97%という数字の実態だと思う。2年以上の早期アクセスを経て、誠実な対話で積み上げてきたコミュニティへの信頼が、そのまま評価になっている。

賛否両論——プレイヤーが分かれたポイント

Against the Storm 賛否両論のポイント – チュートリアルとUIの複雑さ

チュートリアルの長さと説明不足——最初の壁

批判の中で一定数見られるのが「チュートリアルが長い割に説明が足りない」という指摘だ。初めてプレイすると、チュートリアルだけで2時間以上かかることがある。しかし終わってみると「なぜ木材が余るのか」「礎石をどう選べばいいのか」「グレードをいつ開けばいいのか」「なぜ住民が離れていくのか」といった核心的な判断基準が理解できていない、という事態が起きやすい。

「最初の木こり小屋の建て方すら教えてもらえなかった」という声もある。ゲームシステムの複雑さに対して、チュートリアルが「全部は教えない」という姿勢で作られているため、初心者が「何をすればいいのか分からない」状態で最初のプレイを終えることも珍しくない。

これはゲームの複雑さの裏返しでもある。変数が多く、相互作用が多い設計のため、「教えながら遊べる」範囲に限界がある。「最初の3〜5プレイは意味がわからなかったが、10プレイ目あたりで突然すべてが繋がった」という経験談がRedditやSteamコミュニティで多く見られる。つまり「理解するまでのハードルが高い」という批判は正しいが、「理解した後の深さ」も同時に高い——という構造だ。このゲームは「最初の10プレイを乗り越えられるか」が試金石になっている。

繰り返しへの慣れ——同じ感覚が続く時期の問題

ローグライトの宿命として、プレイを重ねるほど「見たことがある」状況が増えていく。礎石の効果も建物の組み合わせも、数十時間遊べばある程度のパターンが見えてくる。「また同じような序盤のルーティンから始まる」という感覚が、一部のプレイヤーには飽きとして映る。

ただし、これはプレスティージュが低い段階で起きやすい問題だ。プレスティージュを上げていくほど、制約が増えて「いつもの戦略が通じない」状況が生まれる。「難度を上げてから本当の面白さが始まった」という声が多く、「まだやれることがある」と感じる時点まで難度を上げ続けることで、マンネリを回避できる設計になっている。プレスティージュ0のままで「繰り返しで飽きた」と言っているプレイヤーは、実はまだゲームの本番に辿り着いていない可能性が高い。

また、DLCによる新種族・新バイオームの追加が、この問題への継続的な答えになっている。Keepers of the StoneでカエルとCoastal Grovesが、NightwatchersでコウモリとRocky Ravineが加わり、それぞれ既存の戦略では通用しない新しい変数が生まれた。開発チームが「飽きを防ぐためにコンテンツを継続追加する」姿勢を示しているのも評価できる。

プレスティージュ高難度のバランス問題——「選択肢を減らす」難度調整への異議

プレスティージュが15〜20に達すると、制約の積み重なりがシステム的に楽しくなくなるという批判がある。特に「礎石の選択肢が減る(リロール回数が減らされる)」という制約は、ローグライトの核心的な楽しみ——運と判断を組み合わせてビルドを作る——を損なう、という意見が上級プレイヤーの間で根強い。

「難度を上げるなら、もっと強い制約を課すべきであって、『選択肢を奪う』という方向性は違う」というのがこの批判の核心だ。例えば嵐を強くしたり、資源を減らしたり、注文の要求量を増やしたりするのは「プレイヤーの腕が試される難度」だが、「礎石を選べる回数を減らす」のはゲームそのものの楽しみを奪う難度、という見方だ。

これは開発チームも認識しており、複数のパッチでバランス調整が行われている。完全に解決されたとは言えないが、「プレスティージュ10〜15が一番楽しい」というのが熟練プレイヤーの間で広く共有されている認識だ。プレスティージュ20に挑戦するのは「完全クリアを目指すやり込みプレイヤー向け」であり、一般的なプレイヤーはそこまで到達しなくても十分にゲームを楽しめる。

視覚情報の複雑さ——UI学習コストと初心者への壁

生産ラインや資源の流れ、住民の需要・供給バランスをリアルタイムで把握するためのUI情報量は多い。どの建物が何を作っていて、倉庫に何がストックされていて、次に何が不足するかを同時に見なければいけない。これは熟練するほど「脳内モデル」ができてくるが、習熟する前は「何が起きているのか分からない」状態になりやすい。

Update 1.2では「生産・消費トレンドを追跡するウィンドウ」が追加され、改善が図られた。このウィンドウを活用すれば「今の入植地でどの資源が過剰でどれが不足しているか」が一目でわかるようになった。それでもUIの密度が高いことは事実で、「細かい数字を追いかけることが苦手な人には向かない」という評価は正直なところ正しい。

ただしこのUIの複雑さは、ゲームの奥行きの裏面でもある。多くの情報が画面にあるということは、その分だけ最適化の余地があるということだ。熟練プレイヤーが「まだここを改善できる」「このボトルネックに気づいていなかった」という発見を重ねられるのは、情報量が多いUIの恩恵でもある。

プレイヤーの声

Against the Storm プレイヤーの声 – 住民と資源の管理画面

最初の5時間は何が楽しいのかよく分からなかった。でも10プレイ目あたりから急に「あ、こういうゲームか」と全部が繋がった瞬間があって、そこからは止まらなくなった。ローグライト特有の「もう1回だけ」が完全にある。累計150時間超えてもまだ新鮮な驚きがある。今のプレスティージュ12だけどまだまだ上げたい。

— Steamレビュー(プレイ時間150時間以上のプレイヤー)

都市建設ゲームはいくつか遊んできたけど、いつも中盤以降が退屈になる問題があった。このゲームはその問題が存在しない。毎プレイが立ち上げ期で、毎回違う制約の中で最適解を考えるのが楽しい。シティビルダーとしての「面白い部分」だけを取り出した感じ。Cities: SkylinesもFrostpunkも好きだった自分が今一番時間を使っているのがこのゲームというのが全てを物語っている。

— Steamレビュー(シティビルダー経験者のプレイヤー)

ビーバーが木こり小屋で木を切ってる様子をずっと眺めていられる。礎石の選択で「次はこれを試してみよう」と思う瞬間が最高。Slay the Spireをやってた人なら絶対刺さると思う。難度が上がるにつれてゲームとして本格的になっていく感覚がいい。プレスティージュ8あたりからゲームが変わった気がした。

— Steamコミュニティフォーラム(Slay the Spireとの比較レビュー)

チュートリアルが終わった後も「何をすればいいのか分からない」状態が数プレイ続いた。ゲームを理解するまでの壁が高い。でも一度分かってしまえば「なぜ他のゲームにこれがなかったのか」と思うくらい完成度が高い。最初の5〜10時間を耐えられる人なら確実に刺さる。その壁だけが唯一の問題だと思う。

— Steam日本語レビュー(初心者目線のプレイヤー)

プレスティージュ20を達成したところ。これだけ難度が上がると「礎石の選択肢が減る」ことが相当きつく感じる。それ以外の難度調整は好きだったが、選択肢を減らす方向のデバフはローグライトのコアな楽しみを削ぐと思う。開発には次のアップデートで改善してほしい。でもゲーム全体としては大好きだから評価はポジティブにした。

— Steamコミュニティ(上級プレイヤーのフィードバック)

Nightwatchers DLCのコウモリ種族が最高に好き。「弱者が去ると残ったメンバーのやる気が上がる」という設定、ダークだけど面白い。新バイオームのRocky Ravineは鉱石しかなくてかなり特殊だが、新しい戦略を強制されて思考が刺激される。DLCの価値は十分にあると思う。無料アップデートと抱き合わせでコンテンツ量も多い。

— Steamレビュー(Nightwatchers DLCプレイヤー)

正直、最初に買ってから3ヶ月ほど積んでいた。チュートリアルで挫折したのが原因。でもある日Youtubeでプレイ動画を見てもう一度試したら、今度は全然違う体験になった。「見て学ぶ」ことが大事だと思う。ゲーム自体の設計は最高。チュートリアルだけが惜しい。

— Steam日本語レビュー(一度積んでから再プレイしたプレイヤー)

Against the Stormに似た8本のゲーム

Against the Storm 類似ゲーム紹介 – ローグライトシティビルダーの世界観

1. Frostpunk 2

Frostpunkシリーズは「過酷な環境での都市生存管理」というジャンルの名作だ。Against the Stormと共通するのは「圧力と締め切りの中での意思決定」というコア体験。Frostpunk 2では前作から大きく拡張された政治・派閥システムが加わり、住民の満足度管理が単純な資源管理以上の複雑さを持つ。Against the Stormと異なるのはローグライト要素がないこと——一つのシナリオを深く掘り下げるタイプだ。凍てついた世界で「発電機の燃料を最後まで確保できるか」という根源的な恐怖を体感したい人向け。Against the Stormのダークな世界観が好きなら間違いなく刺さる。

2. Banished

2014年発売の古典的シティビルダーだが、Against the Stormの「シンプルながら深い資源管理」と共通するDNAを持つ。孤立した集落を食料・住居・人口のバランスを保ちながら育てる。ローグライト要素はなく、一つの集落を長期で育てるタイプ。Against the Stormが「何度でも新鮮にリスタートできる」設計なのに対し、Banishedはじっくりワンゲームをやり込む設計。資源管理の本質的な楽しみを原点で体験したい人向け。Against the Stormの「生産ラインが分かってきた」段階から、さらにじっくり向き合いたくなった人に特にオススメ。

3. RimWorld

AIストーリーテラーが生成するランダムイベントで語られる、SF植民地シミュレーション。Against the Stormと同様に「住民ごとの個性と管理」「多様な資源と生産ライン」「予測不能なランダム要素への対応」という要素を持つ。RimWorldはより自由度が高く、物語的な展開が多く、プレイ時間も長い。「管理できない状況が次々に来て崩壊する」ナラティブが好きな人に特に向く。DLCが多く、長期間コミュニティが活発なのも強み。Against the Stormの「1〜2時間完結」に慣れた後、もっと長い物語が欲しくなったら選ぶべき一本。

4. Slay the Spire

ジャンルは違うが「ローグライト×デッキ構築」の名作として、Against the Stormを好きな人が最もよく引き合いに出す作品だ。「礎石(Cornerstone)の選択」という体験は、Slay the Spireの「カードドラフト」と本質的に同じ楽しみを持つ。毎ランダムな引きに合わせて最適なビルドを組み上げる思考が好きなら、Against the Stormのローグライト部分も直感的に楽しめるはずだ。「Slay the Spireが好きだがシティビルダー要素も欲しい」という人へ、または逆に「Against the Stormが好きだがカードゲームも試したい」という人へ。

5. Northgard

バイキングテーマのリアルタイム戦略+都市建設。Against the Stormと同様に「限られた資源・季節変化・複数のクランと固有能力」という設計を持つ。毎ゲームの目標達成型のミッションストラクチャーも似ている。RTS要素があるためより戦闘的だが、「小規模コロニーの管理」という体験の方向性は近い。マルチプレイ対応もあり、友人と対戦・協力もできる。Against the Stormで「もう少し戦闘と外交の要素が欲しい」と感じたプレイヤーにオススメ。

6. Oxygen Not Included

Klei Entertainment制作のSFコロニー管理シミュレーション。「資源の流れと生産ラインを緻密に管理する」という体験の深さは、Against the Stormよりさらに高難度だ。気圧・熱・気体・液体の物理シミュレーションが組み込まれており、「管路設計」というパズル的な要素が核心にある。Against the Stormが「毎1〜2時間のサイクル」なのに対し、ONIは「100時間規模のキャンペーン」型。「Against the Stormの生産ライン管理が楽しかった。もっと深くパズル的にやり込みたい」という人向けの次のステップ。

7. Hades II

ジャンルは全く異なるアクションローグライトだが、「周回ごとにキャラクターが成長し、毎回の選択でビルドが変わる」というローグライトの楽しみを共有している。Against the Stormが「管理・戦略・パズル」系のローグライト体験なら、Hades IIは「アクション・実行・反射」系のローグライト体験だ。ローグライトそのものが好きで、シティビルダーとアクションゲームの両方を楽しみたい人に。世界観も共通してダークファンタジー的な深みがある。

8. Dwarf Fortress(Steam版)

「全てのローグライトとコロニー管理ゲームの源流」と呼ばれる伝説的な作品。2022年にSteam版がリリースされ、グラフィックが大幅に改善されて遊びやすくなった。Against the Stormよりはるかに複雑で、学習コストも桁違いだが、「入植地の管理・住民の個性・資源管理・生産ライン」という Against the Stormの楽しみのすべての元祖的な体験がある。「Against the Stormを完全に理解した。もっとエクストリームなものが欲しい」という上級者向けの最終目標的な一本。

初心者が知っておくべき5つのこと——最初の壁を低くするために

Against the Storm 初心者向けポイント – 序盤の入植地建設

Against the Stormは「最初の10時間が最大の関門」というゲームだ。チュートリアルだけでは理解しきれない部分が多く、「なぜ失敗したのか分からない」という状態で諦めてしまうプレイヤーが一定数いる。そこで、経験者が口を揃えて「最初に知っておけばよかった」と語るポイントをまとめた。

1. 木こり小屋の設定を確認する

初心者がやってしまいがちなミスのひとつが、木こり小屋(Woodcutter’s Camp)のデフォルト設定を変えないままにすることだ。初期設定では「すべての木を対象にする」モードになっており、放置していると住民が危険なグレード(未開地)の木まで伐採しに行き、意図せず危険なイベントを引き起こすことがある。最初の設定で「グレードを避けてマークした場所のみ」に変えておくことを、多くの熟練プレイヤーが推奨している。これだけでYear 1(最初のシーズン)の安定度が格段に上がる。

2. 複合食品の生産を序盤の目標にする

生食料だけで入植地を維持しようとすると、住民の満足度(Resolve)が低いままで推移し、難度が上がると確実に詰まる。早めの段階で「複合食品を1種類は作れる生産ラインを整える」ことを目標にするといい。Resolve(満足度)が高い状態を維持すると、住民が増えやすくなり、多くの仕事をこなせるようになり、女王への評判も積み上がりやすい。「まずは生食料→次に複合食品1種類→それを安定させてから次のステップ」という優先順位で動くと序盤が安定する。

3. グレードはYear 2まで急がない

未開地(グレード)を早く開けば開くほど、森の敵意(Hostility)が高まる。Year 1(最初のシーズン)にグレードを開きすぎると、解決できないイベントが積み重なり、嵐のシーズンに手が追いつかなくなる。熟練プレイヤーのアドバイスの中で最も多いのが「Year 1はグレードを急がない。Year 2に入ってから備えができた上で対処する」だ。セーフグレード(低リスク)は早めに開いて資源を確保するのはいいが、ダンジャラスグレード(高リスク)はある程度の余裕ができてから開くのが無難だ。

4. 礎石(Cornerstone)の選択はビルドを決める

礎石が提示されたとき、「なんとなく強そうなもの」を選ぶのではなく、「今の入植地の方向性に合うもの」を選ぶことが重要だ。例えばビーバーが多い入植地で「木材生産+30%」の礎石が出たら迷わず取るべきだが、トカゲ中心の構成でビーバー向け礎石を取っても効果が薄い。「今回の種族構成・バイオーム・設計図のセットに合う礎石を選ぶ」という視点が、プレイの質を上げる最も手っ取り早い方法だ。最初のうちはピンとこないかもしれないが、プレイを重ねるほど「この礎石はこの状況で強い」という判断が身についてくる。

5. 失敗プレイからの学びを大切にする

Against the Stormでは、失敗したプレイから学べることが多い。「なぜ住民が離れたのか」「なぜ燃料が底をついたのか」「なぜ女王の評判が積み上がらなかったのか」——失敗の理由を一つひとつ振り返ることで、次のプレイで同じミスをしなくなる。メタ進行では失敗しても資源の一部が残るので、「完全にゼロからやり直し」ではない。失敗は「成長のための投資」として設計されている。「なぜ失敗したか分からない」という場合は、Steamコミュニティの攻略スレッドや初心者向けガイドを参照するのもよい。コミュニティが非常に友好的で、初心者の質問にも丁寧に答えてもらえる雰囲気がある。

まとめ:「都市建設の発明」と呼んで過言ではない一本

Against the Storm まとめ – Steam97%好評のローグライトシティビルダー

Against the Stormは、ジャンルの融合という観点で本当に稀有な成功例だ。ローグライトとシティビルダーを「くっつけた」だけでなく、「どちらのジャンルの本質的な楽しみを損なわずに共存させるか」という設計の問いに、丁寧に答えている。

1〜2時間で完結するプレイサイクル。毎回異なるバイオーム・種族・設計図・礎石の組み合わせ。嵐が来るという「締め切り」のリズム。女王の評判という「ゴール」と不満という「ペナルティ」の二重圧力。グレードイベントという「物語的な彩り」。メタ進行という「成長の積み上げ」。プレスティージュという「無限の挑戦の階段」。これらが精巧に噛み合って、「もう1回だけ」という衝動を何時間も維持する。

Steam97%という数字は伊達ではない。批評家の89点も伊達ではない。150万本という販売本数も、口コミの連鎖なしには達成できない数字だ。「プレイした全員が友人に勧めたくなるゲーム」——そういう種類の作品だと思う。実際、このゲームのレビューに「友人に薦めた」「家族にも試させた」という言葉が多く含まれているのが印象的だ。

チュートリアルの壁は確かにある。最初の数プレイは意味が分からないかもしれない。でも10プレイほど重ねて「全部が繋がった瞬間」を経験した人は、そこからは確実にハマる。それだけの深さがある。「最初の壁が高い」は事実だが、「その壁を超えた先にあるものの価値」もまた事実だ。

都市建設ゲームをやり尽くした人も、ローグライトが好きな人も、この2ジャンルのどちらにも触れたことがない人も——Against the Stormは広い範囲のゲーマーに刺さる設計を持っている。PC版だけでなく、2025年6月からはSwitch・PS5・Xbox版も展開されており、プレイ環境の選択肢も広い。

「楽しい部分だけが続く」——これほど強いキャッチコピーを実際に体現しているゲームは、そう多くない。そして「楽しい部分だけが続く」設計を作るために、どれだけ精巧なゲームデザインが必要か——それを思うと、このゲームに込められた技量と愛情が見えてくる気がする。

間違いなくプレイする価値のある一本だ。

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