「Farming Simulator 25」実在農機150社で本格農業体験するシミュレーター

目次

畑を耕して、種を蒔いて、収穫する。それだけなのに止められない

Farming Simulator 25 未分類 スクリーンショット1

朝5時、ゲーム内の太陽が昇り始める。自分の農場に立って、遠くに広がる小麦畑を眺める。昨日播いた種が、少しだけ芽を出している。今日は肥料を撒いて、午後からは隣の畑を耕そう——。

そんなことを考えている自分に気づいて、ふと我に返る。これ、ゲームだよな?

Farming Simulator 25(ファーミングシミュレーター25)は、2024年11月12日にGIANTS Softwareからリリースされた農業シミュレーションゲームだ。2008年から続くシリーズの最新作で、発売初週に全プラットフォーム合計200万本、3か月で累計300万本を突破している。Steamの最高同時接続数は約135,883人。これはシリーズ史上最大のローンチ記録であり、農業シミュレーションというジャンルの底力を改めて見せつけた数字だ。

正直に言うと、最初は「農業のゲームって何が面白いの?」と思っていた。爆発もないし、敵も出てこない。レベルアップもない。ストーリーすらない。なのに気づいたら4時間が溶けている。夜中の2時に「あと1回だけ収穫してから寝よう」と思って、結局朝を迎えてしまう。このゲームには、そういう不思議な引力がある。

シリーズ累計販売本数は4,000万本を超えた。農業シミュレーターは、もはやニッチなジャンルではない。世界中に膨大なプレイヤーベースを持つ、れっきとしたメインストリームのゲームだ。

この記事では、FS25の何がそんなに人を惹きつけるのかを、具体的な数字とプレイヤーの声を交えて掘り下げていく。前作FS22との違い、新要素の稲作、MODとマルチプレイの話、そして初心者向けの始め方まで——「買おうか迷っている」という人にとって、判断材料になる情報をできる限り詰め込んだ。

「Farming Simulator 25」公式トレーラー

こんな人に読んでほしい

Farming Simulator 25 未分類 スクリーンショット2

  • Farming Simulator 25が気になっているけど、農業ゲームが自分に合うかわからない人
  • 前作FS22をプレイ済みで、25に乗り換えるべきか悩んでいる人
  • マルチプレイで友達と一緒に農業がしたい人
  • MODを入れてとことんカスタマイズしたい人
  • のんびり系のシミュレーションゲームを探している人
  • 「稲作ができる」と聞いて気になった人
  • シミュレーションゲーム全般が好きで、新しい体験を求めている人

Farming Simulator 25とは何か——「農業のすべてをシミュレートする」ゲーム

Farming Simulator 25は、農業経営をまるごと体験するシミュレーションゲームだ。プレイヤーは農場の経営者として、畑の耕作から種まき、肥料散布、除草、収穫、売却という一連の農作業サイクルを回していく。さらに畜産、林業、温室栽培、生産チェーン(原材料の加工から最終製品の販売まで)にも手を広げることができる。やれることは驚くほど多い。

しかも、これらすべてが「リアルな農機を使って」行われる。架空のマシンではなく、世界中の農家が実際に使っている本物の農業機械だ。この点がFS25最大の特徴であり、他の農業ゲームとの決定的な違いでもある。

150以上の実在メーカー、400以上の農機具が登場する異常な物量

FS25の大きな特徴は、実在する農機メーカーのライセンスを正式に取得しているところだ。John Deere、Case IH、CLAAS、Fendt、New Holland、Massey Ferguson、Valtra——農業に詳しくなくても名前くらいは聞いたことがあるかもしれない。こうした世界的ブランドが150以上参加し、400以上の機械やアイテムがゲーム内に登場する。

トラクターだけでも数十種類。それぞれにエンジン出力、最高速度、重量、価格が違う。用途によって最適なトラクターが異なるので、「次はどのトラクターを買おうか」と悩む時間がかなり長い。農機カタログを眺めるような楽しさがある。

プラウ(鋤)、カルチベーター(耕運機)、シーダー(播種機)、スプレーヤー(散布機)、コンバイン(収穫機)——ひとつの作業工程に対して複数の機械が選べる。安い小型機で地道にやるか、大型機に投資して効率を上げるか。この選択が経営戦略そのものになっている。

そして日本のプレイヤーにとって特に嬉しいのが、井関農機(ISEKI)クボタ(Kubota)が登場すること。ISEKIのフラッグシップトラクタ「TJW1233」、田植機「PRJ8D」、コンバイン「HJ6130」がゲーム内で使える。日本の田んぼで実際に走っているマシンが、画面の中でも走る。この感覚はなかなかのものだ。

しかもISEKI自身が「研修に使えるレベル」と太鼓判を押している。電ファミニコゲーマーの記事によると、ISEKIの担当者がFS25の農機の再現度を見て、実際の研修教材としての可能性に言及したという。ゲームがここまでリアルだと、もはや「シミュレーター」という名前に偽りがない。

セガが日本でのパブリッシングを担当しており、ISEKIとのコラボレーションイベントも開催された。松山にあるISEKIの展示施設「ISEKI Dream Gallery MATSUYAMA」では、見学者が実際にFS25をプレイして、ゲーム内に登場する農機を体験できるコーナーが設置されている。ゲームとリアルの農機が融合する、なかなか珍しい取り組みだ。

実際にリアル農家のプレイヤーも感心している。4Gamerの記事では、関東で蕎麦農家を営む筆者の弟がFS25をプレイして、こう語っている。

すごくリアルだね。作物を育てる手順とか、雨の中で収穫すると収量が減るところとか、現実と同じだよ。農機のモデリングもすごい

引用元:4Gamer プレイレポート

「ゲームの農機のモデリングがすごい」とリアル農家に言わせるのは、GIANTS Softwareが農機の再現にどれだけ本気で取り組んでいるかを物語っている。メーカーとの綿密な打ち合わせを重ね、実車のCADデータをもとに3Dモデルを作成しているという話もある。だからこそ、トラクターのボンネットの曲線やタイヤのトレッドパターンまで、現実に極めて近い仕上がりになっている。

3つのマップで世界中の農業を体験できる

FS25には発売時点で3つのマップが用意されている。それぞれに地形、気候、栽培できる作物、景観が異なり、まったく違った農業体験ができる。

リヴェルバーグ(Riverbend Springs)は北アメリカの広大な農場を再現したマップだ。見渡す限りの大平原が広がり、大型農機を使った大規模農業が楽しめる。アメリカ中西部のコーンベルトを思わせる風景の中で、小麦やトウモロコシをどこまでも栽培できる。広い畑を大型コンバインで一気に収穫する爽快感は、このマップならではだ。

ハルト・ベルクラント(Haut-Beyleron)は中央ヨーロッパのなだらかな丘陵地帯を舞台にしたマップだ。ブドウ畑やオリーブ畑が美しく、フランスの田舎を彷彿とさせる風景が広がる。起伏のある地形のため、大型機よりも中型・小型の農機が活躍する。ヨーロッパ的な多品種少量栽培を楽しみたい人におすすめだ。

フタン・パンテイ(Hutan Pantai)はシリーズ初の東アジアマップ。台湾のような熱帯的な雰囲気のあるマップで、水田での稲作が楽しめる。水田がすでに整備された状態からスタートでき、田植え機を使った稲作を最初からプレイできる。日本の田園風景に近い雰囲気があり、日本のプレイヤーに圧倒的に人気のマップだ。

AUTOMATONのインタビュー記事によると、GIANTS Softwareがなぜ今作で「アジア推し」に踏み切ったのか、その背景には日本を含むアジア市場へのリーチ拡大があるという。日本の農機メーカーであるISEKIやクボタとの協業が実現したのも、このアジア戦略の一環だ。

25種類の作物と多彩な農業——米もほうれん草も育てられる

栽培できる作物は全25種類。前作FS22から引き続き登場する小麦、大麦、オート麦、トウモロコシ、大豆、ヒマワリ、キャノーラ(菜種)、ジャガイモ、テンサイ、綿花、サトウキビ、ブドウ、オリーブなどに加えて、FS25で新たに追加されたのが以下の作物だ。

  • 米(長粒米・短粒米の2種類)——水田でも乾田でも栽培可能
  • ほうれん草——温室でも屋外でも栽培できる
  • エンドウ豆——豆類のバリエーション追加
  • さやいんげん——同じく豆類の新作物

米は苗をショップで購入するか、自分の温室で育てることもできる。温室での苗づくりから田植え、水管理、収穫まで一貫して体験できるのは、農業シムとしてかなり本格的だ。温室はFS25で新たに追加された施設で、トマトなどの温室作物も栽培できる。天候に左右されない安定した生産が可能なので、収入源の分散にも役立つ。

作物の種類が増えたことで、生産チェーン(加工経路)のバリエーションも拡大している。単に「育てて売る」だけではなく、「育てて加工して付加価値をつけて売る」という経営判断の幅が広がったわけだ。こうした「じっくり育てて収穫する」系の遊びが好きなら、デスクトップの片隅で放置できる農業ゲームにも通じる魅力がある。

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家畜の飼育がさらに充実——子牛が牧場を走り回る

FS25では牛、豚、鶏、羊に加えて、新たにヤギ水牛が登場した。ヤギはヤギ乳を生産し、チーズなどの加工品に利用できる。水牛は東アジアマップ「フタン・パンテイ」の雰囲気にマッチした家畜で、水牛乳からモッツァレラチーズを作ることもできる。

そしてシリーズ初の要素として動物の赤ちゃんが実装されている。繁殖させると子牛、子羊、子豚、子ヤギが生まれ、牧場を駆け回る。正直、これだけでゲームのかわいさが数段上がった。農業ゲームとは思えないほど癒される瞬間がある。子牛がよたよたと歩いている横をトラクターで通り過ぎるとき、不思議と笑顔になってしまう。

家畜の世話は手間がかかる。餌やり、水やり、清掃、繁殖管理——放っておくと生産性が下がるし、最悪の場合は家畜が不調になる。だが、その手間こそが畜産の面白さでもある。自分の牧場で育てた牛から牛乳を搾り、それをチーズに加工して販売する。農場と畜産と加工施設がひとつの経済圏として回り始めたとき、「農場経営者」としての実感が湧いてくる。

生産チェーンの深み——「育てて終わり」じゃない

FS25の生産チェーンは前作からさらに拡充されている。農作物をそのまま売るのではなく、加工施設を経由させることで、売却価格を大幅に上げることができる。

例えば、小麦を収穫して穀物工場で小麦粉に加工し、さらにパン屋でパンにして売却する。トウモロコシを飼料に加工して家畜に食べさせ、牛乳やウールを得て、さらにそれを加工品にする。こうした「原材料から加工品、そして最終製品へ」という多段階の流れを自分で設計・構築できるのが、農場経営の醍醐味だ。

初心者向けの日本語攻略サイト「EfusimWorld」では、「小麦→小麦粉→パン」のルートが最初のおすすめとして紹介されている。このルートなら必要な設備が少なく、収穫から加工・販売までの流れを一通り体験できる。慣れてきたら砂糖やバターも絡めたより複雑なチェーンに挑戦するといい。

生産チェーンの管理には、ファームショップの存在が大きい。FS25では建築モードも改善されており、加工施設の配置や動線の設計が前作より直感的になった。「どの施設をどこに建てるか」という判断が、農場全体の効率に直結する。ちょっとした工場経営の要素もあるわけだ。

FS22からFS25へ——何が変わったのか

Farming Simulator 25 未分類 スクリーンショット3

前作Farming Simulator 22を遊んでいた人にとって、一番気になるのは「25で何が変わったのか?」だろう。率直に言うと、革命的な変化はない。だが着実な、そして確かな進化がある。ここではFS22との具体的な違いを項目ごとに整理していく。

ゲームエンジンとグラフィックの大幅アップグレード

FS25ではゲームエンジンが一新されている。具体的には、ダイナミックシャドウの導入、フォグ(霧)やヘイズ(もや)の表現強化、水面シミュレーションの改善、地表のレンダリングシステムの刷新、ペイントシェーダーの追加などが行われた。技術的にはDLSS(NVIDIA)とFSR(AMD)にも新たに対応している。

特に「地面のリアルさ」が段違いだ。トラクターで畑を走ると、タイヤの下で土が押しつぶされ、轍(わだち)がリアルに残る。舗装路から未舗装路に入ったときのタイヤ音が変わり、ぬかるんだ地面では車体がわずかに沈む。雨上がりの畑には水たまりができ、そこに車両が入ると水しぶきが上がる。

こうした細かい表現の積み重ねが、FS25の「本物感」を支えている。シリーズ13年目のベテランプレイヤーがSteamレビューで「地面に対してのリアルさが増している」「タイヤ痕や道から外れたときの音の再現度が高い」と評価しているのも頷ける話だ。

朝靄のなかを走るトラクター、夕暮れに染まる小麦畑、夜明け前の牧場——FS25のスクリーンショットは、農業ゲームとは思えないほど美しい。風景を眺めるだけでも癒される、という感想がSNSで多く見られるのも理解できる。

天候システムの刷新——竜巻と雹が農業にリスクをもたらす

FS25で最もインパクトのある新要素が、動的天候イベントだ。シリーズ初の試みとして、竜巻(トルネード)と雹(ひょう)がランダムに発生する。これらは作物にダメージを与え、竜巻は木も倒す。ただし、建物や車両、温室、家畜にはダメージが入らない設計になっている。

天気予報のアイコンで事前に確認できるので、不意打ちというわけではない。「明日の午後に竜巻の可能性あり」と表示されたら、収穫を急ぐか、諦めて別の作業に切り替えるか——こうした判断を迫られるのが面白い。発生自体をオフにする設定もあるので、「純粋に農業だけに集中したい」という人は無効化できる。

だがオンにしておくと、農業に「天候リスク」という戦略的な要素が加わって格段に面白くなる。現実の農家が天候と向き合いながら作物を守るように、FS25のプレイヤーも天候を読んで動く必要がある。農業シミュレーターとしてのリアリティが一段上がった印象だ。

車両に小さな水滴が付着するウェットエフェクトも追加されている。雨の中を走ると、フロントガラスやボンネットに水滴が乗る。ゲームプレイに直接影響する要素ではないが、没入感の向上に一役買っている。

海外レビューメディアのGame*Sparkは、FS25を「最新のiPhoneのようなもの」と表現した。

変革はないがなじみはある、まるで最新iPhoneだ

引用元:Game*Spark 海外レビューハイスコア

これは言い得て妙だと思う。前作の良さを全部残したまま、順当にスペックアップしている。革命を求める人には物足りないかもしれないが、シリーズファンにとっては「安心して乗り換えられる」アップグレードだ。そしてiPhoneと同じように、「乗り換えたら前には戻れない」程度の進化は確実にある。

AIヘルパーとGPSステアリング——便利だが課題もある

AIヘルパー機能が刷新されている。少額のゲーム内コストで、AIワーカーに作業を代行させることができる。畑の耕作や収穫を任せている間に、自分は別の作業に集中できる。大規模農場になってくると手が回らない作業が増えるので、AIヘルパーの存在は経営上不可欠だ。

さらにGPS対応のステアリング機能が標準搭載された。トラクターが自動で直線走行してくれるので、広い畑での作業が格段に楽になる。前作FS22では便利MODとして大人気だった「Guidance Steering」の機能が、FS25では公式に取り込まれた形だ。MODを入れなくても最初から使えるのはありがたい。

AIヘルパーの具体的な使い方はシンプルだ。作業させたい農機を選んで、AIヘルパーを起動するだけ。AIが自動的に畑を認識して、端から端まで作業してくれる。複数の畑で同時にAIヘルパーを稼働させることもできるので、「トラクター3台が同時に3つの畑を耕している」光景も実現できる。眺めているだけで楽しい。

ただし、AIヘルパーに関しては不満の声もかなりある。

AIヘルパーにすき込みをさせていたら、突然ゲームが重くなって、マップを横断するような謎の畑破壊が起きた

引用元:Steamレビュー

AIの動作が不安定で、意図しない挙動をすることがあるという報告は多い。畑の形状が複雑だとAIが正しくルートを認識できなかったり、障害物を避けようとして畑の外まで走ってしまったりする。トレーラー付きの農機をAIに任せると、旋回時に隣の畑を踏み荒らすケースもある。

アップデートで改善されてきてはいるが、まだ完全ではない。大事な畑の作業は自分でやったほうが安心だ。特に高価値の作物が育っている畑は、AIに任せるリスクを計算に入れておきたい。

前作から引き継がれなかったもの——FS22ベテランの不満

一方で、FS22のいくつかのDLC内容や便利機能が、FS25では中途半端な形でしか実装されていないという指摘もある。

FS22のいくつかのDLCの内容と便利MODが組み込まれた感じ。でも機能が中途半端で、細かい設定ができなかったり、簡単になりすぎている部分もある

引用元:Steamレビュー

FS22には「Precision Farming」(精密農業)というDLCがあり、土壌の窒素レベルを分析して最適な施肥量を計算する、かなり本格的な農業シミュレーション機能が追加されていた。FS25にもその要素は取り込まれているが、FS22ほど細かい設定ができないという声がある。精密農業でかえって肥料代が高くつくバグも報告されており、調整の余地は残っている。

FS22でMODを大量に入れて遊んでいた人にとっては、25の「素の状態」がやや物足りなく感じるかもしれない。FS22のMOD資産がまだ25に移植されていないものも多い。お気に入りのMODがFS25版を出していなければ、無理に乗り換える必要はない、というのが現時点での正直な評価だ。

QoL(クオリティ・オブ・ライフ)の改善点

細かいが重要な改善点も多い。FS22からFS25への乗り換えで実感できるQoL向上を挙げておく。

  • クエスト画面と全体マップに依頼場所が表示されるようになった(FS22にはなかった)
  • 収穫時の容量バーに品物名が表示されるようになった(何を積んでいるかひと目でわかる)
  • 建築モードのUI改善(施設の配置がより直感的に)
  • チュートリアルの強化(初心者向けのガイダンスが充実)
  • ファームショップの追加(農場内で直接買い物ができる)

どれも地味だが、プレイの快適さに直結する改善ばかりだ。「依頼場所がマップに表示される」だけで、「どこに行けばいいかわからない」というストレスが大幅に減る。こうした細かい改善の積み重ねが、FS25を「シリーズ最高のプレイ体験」にしている。

FS25の農業体験——なぜ「畑を耕すだけ」が面白いのか

ここからは、FS25のゲーム体験そのものについて掘り下げていく。農業シミュレーターが初めての人にとって、「農業ゲームの何が楽しいのか」は最大の疑問だろう。ボスも敵もストーリーもないゲームが、なぜこんなに人を惹きつけるのか。

リアルタイムで動く農場の「手触り」がたまらない

FS25をプレイして最初に感じるのは、操作の「手触り」の良さだ。

トラクターのエンジンをかける。ディーゼルエンジン特有の低い振動音が響く。アクセルを踏む。ゆっくりと動き出す。畑に向かう途中、砂利道でタイヤが砂利を弾く音がする。畑に着いたら、プラウ(鋤)を下ろして耕し始める。金属の刃が土に食い込み、黒い土がひっくり返される。直線を保って畑の端まで行ったら、切り返して次の列へ。

地味だ。地味なのだが、この一連の動作がたまらなく気持ちいい。畑全体を綺麗に耕し終わったとき、まるで塗り絵を完成させたような達成感がある。派手なアクションゲームでボスを倒したときとはまた違う種類の、静かだけれど深い満足感だ。

専用コントローラを使うとさらに没入感が増す。Thrustmasterなどが専用のステアリングコントローラを出しており、TGS2024(東京ゲームショウ)ではISEKIの田植え機の専用コントローラ体験会も行われた。ハンドルを回して、レバーを操作して田植えをする。ゲームの世界がぐっと近くなる体験だ。

ある初心者プレイヤーがnoteにこう書いている。

初めて仮想就農してみたけど、ハマってしまった。チュートリアルもなく放り出される感じがリアルで、少しずつわかっていく過程が楽しい

引用元:note ユーザーブログ

「チュートリアルもなく放り出される」というのは、FS25のチュートリアルが改善された現在でも一部のプレイヤーが感じることだ。このゲームは基本操作は教えてくれるが、「何を目指すか」は教えてくれない。明確な「クリア」がない。代わりにあるのは「今日は何をしようか」という自由だ。

小麦畑を拡張してもいい。牛を買ってもいい。林業に手を出してもいい。新しいトラクターのカタログを眺めてニヤニヤしてもいい。何をするかは完全にプレイヤーの自由。この自由度の高さが、プレイヤーごとにまったく異なる農場を生み出している。

四季の移り変わりと農作業のサイクルが生むリズム

FS25には四季がある。春に種を蒔き、夏に育て、秋に収穫し、冬は機材の整備や次の季節の計画を立てる。このサイクルが、ゲームに自然なリズムを生んでいる。

作物ごとに最適な播種時期と収穫時期が違う。小麦は秋蒔きで翌夏に収穫。トウモロコシは春蒔きで秋に収穫。キャノーラ(菜種)は夏蒔きで翌春に収穫。米は春に田植えをして秋に収穫する。こうした農業カレンダーを頭に入れながら、複数の畑を同時に管理していく。

「今月は小麦を収穫しつつ、空いた畑にトウモロコシを播いて、牛の餌も確保して——」と考えているうちに、気づけば数時間が経っている。農業のサイクルには、人をゲームに引き込む不思議な力がある。「あと1シーズンだけ」が止められなくなるのは、CivilizationシリーズやFactorioに似た中毒性だ。

天候も重要な要素で、雨の日に収穫すると品質が下がる。「明日から3日間雨の予報だ。今日中に小麦を全部刈り取れるか?」——こういう判断の積み重ねが、農業経営の奥深さにつながっている。時間を加速させる機能があるので、「作物が育つのをずっと待つ」必要はない。だが、加速しすぎると大事な作業タイミングを逃すこともある。このバランス感覚が面白い。

お金の流れと経営判断——ただの作業ゲームじゃない

FS25は農業経営ゲームでもある。収穫した作物を売って利益を得て、新しい農機を買ったり、農地を拡張したり、加工施設を建設したりする。

作物の売値は時期によって変動する。「今は小麦の相場が安いけど、来月には上がるかもしれない」——サイロ(貯蔵施設)に作物を保管しておいて、高値のタイミングで売却する。こういった価格の読みも、経営の重要な要素だ。

加工品にすると付加価値がつく。小麦をそのまま売るよりも、小麦粉にして売ったほうが高い。さらにパンにすればもっと高い。ただし加工施設の建設コストと稼働コストがかかるので、「加工して売るほうが本当に得なのか?」を計算する必要がある。この経営判断の繰り返しが、FS25のもうひとつの楽しさだ。

契約(ミッション)システムもある。「この畑を耕してくれ」「この作物を収穫してくれ」「肥料を散布してくれ」といった依頼を受けて報酬をもらえる。自分の農場以外の畑で作業ができるので、まだ自分の畑が小さい序盤でも稼ぐ手段がある。初心者が序盤の資金難を乗り越えるのに重宝する仕組みだ。

契約で「借りた」農機を使えることもある。自分ではまだ買えない高級なコンバインを、契約の間だけ使わせてもらえる。「いつかこれを自分のものにする」というモチベーションにもなるし、「この農機、思ったより使いにくいから買うのはやめよう」という判断もできる。試乗してから購入を決められるわけだ。

稲作の体験——日本人プレイヤーが沸いた新要素

FS25で日本のプレイヤーが最も盛り上がったのが、稲作の実装だ。シリーズで初めて「お米」が作れるようになった。

稲作の流れはこうだ。まず苗を用意する(ショップで買うか、温室で育てる)。次に田植え機で水田に苗を植える。水管理を行い、稲が育つのを待つ。そして秋になったらコンバインで収穫する。収穫した米はそのまま売ることもできるし、加工に回すこともできる。

短粒米と長粒米の2種類を育てることができるのも細かい。短粒米はいわゆる日本米(ジャポニカ米)のイメージに近く、長粒米はタイ米やインディカ米のイメージだ。栽培方法は基本的に同じだが、用途や売値が微妙に異なる。

東アジアマップ「フタン・パンテイ」では、最初から水田が用意されている状態でスタートできるので、田植えから即スタートできる。ISEKIの田植機「PRJ8D」で田植えをして、ISEKIのコンバイン「HJ6130」で収穫する。日本の農村風景がゲームの中で再現されているのを見ると、なかなか感慨深いものがある。

Game*Sparkの記事では、リアルの米農家がFS25の稲作をプレイして、ゲームの再現度の高さを伝えている。田植えの手順、水田の管理、収穫のタイミング——基本的な流れが現実の稲作にかなり近いそうだ。もちろんゲームなので簡略化されている部分はあるが、「稲作の雰囲気」を味わうには十分すぎるクオリティだ。

バグだらけのゲームなのに米作りやめられない

引用元:Steamレビュー

このレビューは、FS25の良いところと悪いところを端的に表している。バグは確かにある。でも稲作が面白すぎて、バグがあってもプレイし続けてしまう。それだけの吸引力が、この新要素にはある。

AUTOMATONの記事によると、FS25でなぜ「アジア推し」になったのかについて、GIANTS Softwareのスタッフは日本の農機メーカーとの関わりの深まりや、アジアのプレイヤーからのリクエストの多さを理由に挙げている。稲作の実装は、アジアのプレイヤーに対するGIANTS Softwareからの回答だったわけだ。

農業シミュレーションとは全然方向性が違うけれど、「シミュレーション」というジャンルの面白さで言えば、家をリフォームするゲームにも同じような「作業が気持ちいい」感覚がある。手を動かして何かを作り上げる、その過程自体が楽しい——という共通点だ。

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MODとマルチプレイ——FS25が何年も遊べる理由

Farming Simulator 25 未分類 スクリーンショット4

Farming Simulatorシリーズが2008年から15年以上にわたって続いている最大の理由は、MODコミュニティの存在だ。FS25でもそれは変わらない。むしろ、MODとマルチプレイの両方が充実しているからこそ、このゲームは「何年でも遊べる」のだ。

公式ModHub——コンソールでもMODが使える稀有なゲーム

GIANTS Softwareは公式のMOD配布プラットフォーム「ModHub」を運営している。ゲーム内のメニューから直接MODを検索・ダウンロード・導入できるので、MOD導入のハードルが極めて低い。ファイルを手動でダウンロードしてフォルダに配置する必要がないのだ。

そして驚くべきことに、PCだけでなくコンソール版(PS5/Xbox)でもModHubのMODが使える。コンソールでMODが使えるゲームは珍しい。MODに興味はあるけどPCを持っていない——というプレイヤーでも、PS5やXboxでMODを楽しめる。これはFS25の大きなアドバンテージだ。

ただし、ModHub上のMODはGIANTS Softwareの審査を通過したものに限られる。審査基準を満たさないMODは掲載されない。これは品質保証のための仕組みだが、「自由度が制限される」と感じる人もいるだろう。

外部MODサイトの充実ぶり

公式ModHub以外にも、非公式のMOD配布サイトが多数存在する。mod-network.com、modhub.us、fs25.net、farmingsimulator25mods.com、modland.net——FS25のMODコミュニティは巨大で、新しいMODが毎日のように公開されている。

MODの種類は多岐にわたる。新しい農機、新しい車両、新しいマップ、新しい作物、新しい建物、便利ツール、UIの改善、グラフィック向上——文字通り何でもある。日本の農機をさらに追加するMOD、日本風のマップを作るMOD、リアルな日本の田園風景を再現するMODなど、日本のプレイヤー向けのMODも存在する。

ただし、外部サイトのMODはGIANTS Softwareの審査を通っていないので、品質や安全性はまちまちだ。信頼できるサイトから、評価の高いMODを選んで導入するのが無難だ。また、MODの組み合わせによっては競合が発生してゲームが不安定になることもある。MODを大量に入れる場合は、少しずつ追加して動作確認しながら進めたほうがいい。

FS22には何年もかけて蓄積された膨大なMODがあった。FS25はまだ発売から1年ちょっとなので、MODの絶対量ではFS22に及ばない。特定のMODを愛用していた人は、FS25への移植状況を確認してから乗り換えたほうがいい。ただし、MOD制作者の多くがすでにFS25への移行を進めており、主要なMODはかなりの数がFS25版を出している。今後もMODの充実は加速するだろう。

マルチプレイ——友達と一緒に農場を経営する楽しさ

FS25のマルチプレイは、通常のホスト方式で最大6人。専用サーバー(GPORTALなど)を利用すれば、PC版では最大16人での同時プレイが可能だ。コンソール版は最大6人まで。

マルチプレイの面白さは、役割分担にある。ひとりが畑を耕している間に、別の人が収穫した作物を運搬し、さらに別の人が家畜の世話をする。もうひとりが加工施設の管理を担当する。大規模農場を友達と分業して回す感覚は、ソロプレイとはまったく違う楽しさがある。

「ひとりだとやることが多すぎて手が回らない」という問題が、マルチプレイだと「みんなで手分けすれば効率的に回せる」に変わる。大型の収穫作業では、コンバインを操縦する人、穀物を運搬するトレーラーを運転する人、空いた畑を次の作物のために耕す人——というチームワークが生まれる。これがたまらなく楽しい。

ボイスチャットで「そっちの小麦どんくらい残ってる?」「あと半分くらい」「じゃあトレーラーもう1台回すわ」なんて会話をしながらの農作業は、なかなかシュールだけれど最高に楽しい時間だ。

クロスプラットフォームプレイにも対応しているので、PCとPS5のプレイヤーが一緒に遊ぶこともできる。ただし、MODの互換性など一部制限がある場合もあるので、事前に確認しておくと安心だ。

「友達と一緒に何かを作り上げる」という体験は、他のシミュレーションゲームにも通じるものがある。壊す方向のシミュレーションだけど、こちらも協力プレイが楽しいゲームだ。

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アップデートとDLCの手厚い継続サポート

GIANTS Softwareは発売後も精力的にアップデートを続けている。その頻度と内容を見ると、このスタジオのサポート体制の手厚さがよくわかる。

発売直後のv1.3.0.0アップデートで多数のバグ修正とQoL改善が行われ、その後も2025年2月にはv1.6で5種類の農機を追加する無料アップデート第1弾が配信された。5月にはv1.9でさらに3種類の農機と1種類の車両、プレイヤーの新衣装が追加されている。いずれも無料だ。

有料DLCとしては、2025年5月に「MacDon Pack」、6月に「Plains & Prairies Pack」が配信された。「Plains & Prairies Pack」にはシリーズ初登場のFordブランドから2種類の農機が含まれている。Fordのトラクターをゲーム内で走らせられるのは、農機好きにはたまらないだろう。

そして大型拡張パック「Highlands Fishing」が2025年11月に配信予定で、スコットランドの高地をイメージした新マップ「Kinlaig」が追加される。釣りの要素も入るようで、農業以外のアクティビティの幅が広がりそうだ。

「Year 1 Season Pass」を購入すれば、「Highlands Fishing」と3つの追加パックがまとめて手に入る。長く遊ぶつもりなら、Season Passを買っておくのがコスパ的に良い選択だ。

こうした継続的なサポートがあるからこそ、FS25は発売から1年以上経った今でもSteamで安定した同接数を維持できている。

初心者ガイド——FS25を始めるならこう遊べ

Farming Simulatorシリーズに触れるのが初めてという人向けに、スムーズなスタートの切り方を詳しく紹介しておく。このセクションだけ読めば、迷わずプレイを始められるはずだ。

難易度は「イージー」、農場設定は「新人農家」で始めよう

まず難易度はイージーで始めよう。恥ずかしいことではない。シリーズのベテランプレイヤーでも、新作の仕様を覚えるためにイージーから始める人は多い。

FS25の難易度設定は、単に「数字が変わる」だけではない。イージーなら収入が多く、作物の成長が早く、AIヘルパーのコストが安い。農業の基本サイクルを短時間で一通り体験できるので、ゲームの全体像を把握するのに最適だ。慣れてきたらノーマルやハードに切り替えればいい。

農場設定では「新人農家」を選ぶと、最初から農地と基本的な農機が揃った状態でスタートできる。トラクター、プラウ、シーダー、スプレーヤー、コンバイン——最低限必要な農機が一式揃っている。何を買えばいいかわからない初心者にとって、これは大きな助けだ。

反対に「農場マネージャー」や「白紙の状態」を選ぶと、土地と資金だけ渡されて「さあ好きにやれ」と放り出される。これは上級者向けだ。最初のプレイでこれを選ぶと、何をすればいいかわからなくて挫折する可能性が高い。

マップは好みで選んでいい——ただし稲作ならフタン・パンテイ

3つのマップにはそれぞれ特徴がある。

大型農機で広い畑をガンガン回したいなら北アメリカの「リヴェルバーグ」。ヨーロッパの美しい農村風景のなかでのんびり多品種栽培をしたいなら「ハルト・ベルクラント」。稲作をやりたいなら東アジアの「フタン・パンテイ」。

ただし、初心者にとって一番わかりやすいのはリヴェルバーグかもしれない。平坦な地形で畑が広いので、トラクターの操作に慣れやすい。起伏のあるマップだと、坂道でトラクターが滑ったり、プラウの角度がずれたりして、初心者には少しストレスになることがある。

最初の作物は小麦がおすすめ——「小麦→小麦粉→パン」ルート

初心者におすすめの最初の作物は小麦だ。理由はシンプルで、工程が最も簡単だからだ。

小麦の栽培サイクルはこうだ。まず畑を耕す(プラウまたはカルチベーター)。次に種を蒔く(シーダー)。肥料を撒く(スプレーヤー)。除草する(除草剤散布または除草機)。そして収穫する(コンバイン)。収穫した小麦はトレーラーに積んで売り場に運ぶ。

これだけでも十分なのだが、もう一歩踏み込むなら「小麦→小麦粉→パン」の生産チェーンに挑戦してみてほしい。穀物工場を建設して小麦を小麦粉に加工し、さらにパン屋を建設してパンにして売却する。このルートなら必要な設備が少なく、収穫から加工・販売までの流れを一通り体験できる。

日本語攻略サイト「EfusimWorld」には、初心者向けのおすすめ作物やルートが詳しく解説されている。困ったときはこうした攻略情報を参考にしながら進めるといい。

車両で畑を踏んでも大丈夫な設定にしておこう

農場の細かい設定で、「車両による作物の破壊」をオフにしておくことをおすすめする。

FS25ではトラクターで作物の上を走ると作物が破壊される。これはリアルな要素だが、初心者がトラクターのコーナリングに慣れないうちは、畑の端で旋回するたびに作物を踏みつぶしてしまう。せっかく育てた作物が自分のミスで台無しになるストレスは、初心者にとってはかなり大きい。

この設定をオフにしておけば、畑の上をトラクターで走っても作物にダメージが入らない。操作に慣れてからオンに切り替えればいい。いきなりハードな設定で始めるよりも、段階的に難易度を上げていくほうがゲームを長く楽しめる。

契約(ミッション)で資金を稼ぐのが序盤のコツ

序盤の資金不足を解消するには、契約システムを活用しよう。マップ上に表示される依頼マーカーを確認して、自分の農機でこなせそうな契約を受ける。報酬がもらえるだけでなく、他人の畑で作業することで操作スキルも上がる。一石二鳥だ。

契約によっては農機をレンタルできる場合もある。自分では買えない高性能な農機を一時的に使えるのは、序盤の大きなメリットだ。「このコンバイン、作業効率がすごいな。いつか自分のを買おう」——こういうモチベーションが生まれるのも契約システムの魅力だ。

シミュレーションゲーム全般が好きなら、生活シミュレーションの定番もぜひ触れてみてほしい。農業とはまた違うけれど、「自分だけの空間をつくる」という点では共通する楽しさがある。

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プレイヤーたちのリアルな声——良い点と悪い点を正直に

Farming Simulator 25 未分類 スクリーンショット5

FS25のSteam評価は「非常に好評」で、約32,000件以上のレビューが寄せられている(肯定率約85%)。高い評価だが、手放しの絶賛ばかりではない。プレイヤーの本音を、良い面と悪い面の両方から見ていこう。

評価されている点——グラフィック、稲作、QoL

まず、グラフィックの進化を評価する声は圧倒的に多い。前作FS22と比較して、地面、天候、光の表現が大幅に向上している点が好評だ。「朝靄の中を走るトラクターが美しい」「夕暮れの小麦畑がスクリーンショット映えする」といった感想がSNSに多く見られる。

収穫時の容量バーに品物表示が標準対応してるのが地味にありがたい。FS22では見にくかったUI周りが全体的に改善されている

引用元:Steamレビュー

UI/UXの改善はシリーズ経験者から特に評価されている。クエスト画面のマップ表示、容量バーの品物表示、GPS自動走行、ファームショップ——FS22ではMODで対応していた「あったら便利」な機能が、FS25では標準搭載されている。「やっと公式で対応してくれた」という安堵の声が多い。

稲作の追加も日本のプレイヤーから大きな支持を集めている。「日本の稲作主体の農業が体験できるのが嬉しい」「ISEKIの農機が出てくるのが感動」という声は、レビューやSNSで数多く見られる。電撃オンラインのプレイレポートでも、カッコいい農機を乗り回す楽しさと、稲作の充実度が特に高く評価されている。

GAME Watchのインプレッション記事では、「農作業に向き合う独特な癒やしを満喫できる」と表現されている。日々を忙しく過ごす現代のゲーマーにとって、FS25の農業体験は一種のリラクゼーションとして機能しているようだ。畑を耕す作業の反復が、瞑想的な心地よさにつながるという指摘は面白い。

Gamerのプレイレポートでは、「農業はゲームでも大変だ。でもその先には自由と達成感が待っている」とまとめている。この「大変だけど楽しい」という二律背反こそが、FS25の本質なのかもしれない。

不満に感じられている点——バグ、進化の小ささ、AI

一方で、ネガティブな声も確実にある。正直に書いておく。

最も多い不満はバグだ。発売当初からバグ報告が絶えず、セーブデータの破損、AIヘルパーの暴走、テクスチャーのバグ、見えない障害物にぶつかって車両がひっくり返るバグなどが報告されている。

ホットスポット画面からアタッチメント・農機具へのアクセスが悪く、誤動作しやすい。精密農業でかえって肥料代が高くつくバグもある

引用元:Steamレビュー

5ch(旧2ちゃんねる)のFS25スレッドでも、バグに関する報告や情報交換が活発に行われている。「リログで直る場所と直らない場所がある」「AIヘルパーが畑全体を横断するような謎の破壊をする」「見えない出っ張りにぶつかって車がひっくり返る」——こうした報告が数多く寄せられている。

特にセーブデータ関連のバグは深刻だ。数十時間かけて育てた農場のデータが破損するリスクがある。対策として、こまめにセーブすること、複数のセーブスロットを使い分けること、バックアップを取っておくことが推奨されている。noteにバグ情報をまとめている有志のプレイヤーもいて、「データ破損するバグの回避方法」を詳しく解説してくれている。コミュニティの助け合いが、バグの多さを補っている面もある。

もうひとつの大きな不満は、「FS22からの進化が少ない」という指摘だ。Yahoo!知恵袋でも「レビューを見るとバグが酷すぎるけど、買う価値はあるか?」という質問が上がっている。回答者の意見は「バグは多いがアップデートで改善されている」「FS22と25で迷うなら25を買えばいい」「MOD重視ならFS22のほうがまだ充実している」と分かれている。

Steamのフォーラムでも「19 vs 22 vs 25」「FS 22 or 25」といった比較議論が活発だ。結論を言えば、「新規プレイヤーなら25一択。FS22をMODたっぷりで遊んでいる人は、MODの移行が完了するまで22でも十分」というのが多数意見だ。

ただし、GIANTS Softwareの対応は迅速だ。発売から半年で10回以上のアップデートが配信されており、バグ修正と新機能追加を並行して進めている。開発チームが迅速に改善に動いてくれている点は、プレイヤーからも認められている。バグの多さに辟易しつつも、「このスタジオはちゃんと直してくれるから」という信頼感でプレイを続けている人は多い。

Farming Simulator 25の「居場所」——数字で見る現在地と今後の展望

最後に、FS25が今どういうポジションにいるのかを数字で整理し、今後の展望についても触れておく。

販売と同接の推移

2024年11月12日の発売以降、FS25の歩みはこうなっている。

  • 発売初週:全プラットフォーム合計で200万本突破
  • 発売3か月:累計300万本突破(2025年2月発表)
  • Steam最高同接:約135,883人(2024年11月17日、発売5日後)
  • 現在の同接数:約26,000〜41,000人(時期により変動)
  • シリーズ累計:4,000万本以上

AUTOMATONの記事タイトルが端的にこの盛り上がりを表している——「Steamで連日プレイヤー数10万人超えの大盛況」。発売直後の1週間は毎日のようにピーク同接が10万人を超えていた。農業シミュレーションでこの数字は前代未聞だ。

発売直後のピークからは同接数が落ち着いているが、これはどのゲームでも同じ自然な推移だ。重要なのは、発売から1年以上経った現在も安定して数万人がプレイし続けていること。ピーク時の約135,000人から約26,000〜41,000人への減少率(約70〜80%)は、オンラインゲームとしてはむしろ健闘していると言える。

セガの公式発表によると、「累計400万本を突破した」という情報もある。発売3か月で300万本、その後も着実に売れ続けて400万本に到達したわけだ。長期にわたって売れ続けるのは、シリーズの知名度とMODコミュニティの力、そしてDLCによるコンテンツ追加の効果だろう。

シリーズの進化を振り返る——FS17からFS25へ

Farming Simulatorは2008年の初代から始まり、FS13、FS15、FS17、FS19、FS22、そしてFS25と進化を続けてきた。2〜3年おきに新作がリリースされる安定したサイクルで、そのたびにグラフィック、物理演算、コンテンツが改善されている。

シリーズ初期を知っている人なら、FS17の時代を覚えているかもしれない。あの頃と比べると、FS25の進化は目覚ましい。グラフィック、農機の種類、マップの広さ、作物のバリエーション、生産チェーンの深さ——あらゆる面でスケールアップしている。

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GIANTS Softwareはスイスに本拠を置く開発会社で、Farming Simulatorシリーズ一本でここまでの規模に成長した。従業員数は200人を超えている。ひとつのシリーズに特化して15年以上開発を続けるスタジオは珍しい。農業シミュレーションに対する専門性と情熱は、ゲーム業界でも屈指だろう。ISEKIやクボタとのコラボレーション、実在メーカー150社以上のライセンス取得、リアル農家からも認められる再現度——すべてがその真剣さの表れだ。

今後の展望——DLCロードマップと長期サポート

2025年11月配信予定の大型拡張パック「Highlands Fishing」を含め、GIANTS Softwareは明確なロードマップを示している。Year 1 Season Passには「Highlands Fishing」と3つの追加パックが含まれており、少なくとも発売から1年間は有料コンテンツの追加が保証されている。

無料アップデートも継続されている。農機の追加、バグ修正、QoL改善——これらが定期的に配信されることで、ゲームは少しずつ、だが確実に良くなり続けている。GIANTS Softwareの過去の実績を見ると、FS22でも発売後2年以上にわたってDLCとアップデートが提供された。FS25でも同様のサポート期間が期待できる。

MODコミュニティの成熟も、今後のFS25の魅力を大きく左右するだろう。FS22のMODが順次FS25に移植され、さらにFS25独自のMODが増えていくことで、ゲームのプレイ体験はますます広がっていく。1年後、2年後のFS25は、今とはまた違った姿になっているはずだ。

どんな人にFS25をおすすめするか——率直な結論

率直に言おう。

農業シミュレーターを初めてプレイするなら、FS25は最良の選択肢だ。シリーズ最高のグラフィック、稲作を含む25種類の作物、公式ModHub、クロスプラットフォーム対応のマルチプレイ、充実した初心者サポート。入門に必要なものが全部揃っている。

FS22を遊び尽くしたプレイヤーは、MODの移行状況次第だ。素の状態のFS25は十分に楽しいが、FS22で愛用していたMODがFS25にまだ移植されていないなら、急ぐ必要はない。セール時に買っておいて、MODが充実してきたら本格的に移行するのも手だ。実際にSteamでは定期的にセールが行われており、20%オフで購入できるタイミングがある。

バグが気になる人は、もう少し待ってもいい。GIANTS Softwareのアップデート頻度は高いので、時間が経つほど安定する。ただし、現時点でもプレイアブルな状態にはある。致命的なバグに遭遇する可能性はゼロではないが、こまめなセーブで回避できるレベルだ。

マルチプレイ目的なら文句なしにおすすめだ。友達と一緒に農場を経営する体験は、他のゲームでは味わえない。最大16人(PC専用サーバー時)での協力プレイは、農業シミュレーターの楽しさを何倍にも増幅してくれる。

「シミュレーションは好きだけど、農業じゃなくて別のテーマがいい」という人もいるだろう。そういう場合は、手を動かして空間を作り変えていく系のシミュレーションも選択肢に入る。FS25の「コツコツ作業する気持ちよさ」に似た感覚が味わえる。

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まとめ——農業ゲームが教えてくれること

Farming Simulator 25は、「何もしなくても時間が過ぎていく」ゲームだ。

畑を耕す。種を蒔く。水をやる。肥料を撒く。天気を気にしながら収穫する。それを売って、少しだけ農場が大きくなる。翌日、また畑に出る。

ひとつひとつの作業は地味だ。華やかさはない。インスタ映えする必殺技も、泣ける演出も、手に汗握るラスボス戦もない。でも、その地味な作業の積み重ねが、いつの間にか「自分の農場」を形作っている。最初は小さな畑ひとつだったのが、トラクターが3台に増え、牛小屋ができ、パン工場が稼働し始める。気づけば自分だけの農業帝国が広がっている。

4Gamerの記事で、リアル農家の弟さんが「農業って暇なときはガチで暇なんだよね」と言っていたのが印象に残っている。でもその「暇」の中にこそ、農業の本質がある。種を蒔いたら、育つのを待つしかない。その待つ時間に、次の季節の計画を立てる。どの畑に何を植えるか。新しい農機を買うか、加工施設に投資するか。FS25は、農業という営みの「待つこと」と「考えること」と「動くこと」のバランスを、驚くほど忠実に再現している。

発売初週200万本、累計300万本超、Steam最高同接135,883人。この数字が示しているのは、「農業ゲームは退屈」という先入観が完全に間違っていたということだ。世界中の何百万人もの人が、バーチャルな畑を耕すことに夢中になっている。そこには、アクションゲームやRPGとは異なる、だが確実に存在する「ゲームの面白さ」がある。

まだFS25を触ったことがないなら、まずはイージーモードで小麦を育ててみてほしい。種を蒔いて、芽が出て、穂が実って、金色の畑が風に揺れて、コンバインで一気に刈り取る。その一連の体験を終えたとき、「もうちょっとだけ」と思ったら——もうあなたはバーチャル農家だ。次はトウモロコシを育てたくなる。その次は牛を飼いたくなる。そして気づけば、画面の中に自分だけの農場が広がっている。

バグという雑草はまだ残っている。だがGIANTS Softwareは確実に、定期的に、畑を整備し続けてくれている。この農場は、まだまだ成長の途中だ。

のんびり系のゲームが好きなら、シミュレーションというジャンルには本当に幅広い作品がある。農場を耕す代わりに、画面の中で別の世界を楽しむのも、忙しい日常の息抜きとしては意外と贅沢なものだ。

Farming Simulator 25

GIANTS Software
リリース日 2024年11月12日
サービス中
価格¥3,948-20% ¥3,158
開発GIANTS Software
日本語非対応
対応OSWindows / Mac
プレイ形式シングル / マルチ
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