序盤のボスで43回死んだ。それでもやめられなかった理由
「序盤のボスで43回死ねた」——これはデンファミニコゲーマーのライターが実際に書いた言葉だ。43回。普通なら投げ出すレベルの回数だけど、そのライターは44回目に倒したときの快感を「忘れられない」と書いた。
それが、The First Berserker: Khazan(ザ ファースト バーサーカー:カザン)というゲームの本質に近い気がする。
2025年3月に発売されたこのゲームは、韓国のゲームスタジオNeople(ネクソン傘下)が手がけたソウルライクアクションRPG。発売直後からSteamの高評価率が93%に達し、一時期エルデンリング(92%)を超えた。最高同接数は約3.3万人。「今年のベストソウルライク」という声が飛び交った。
ただ、このゲームを語るうえで外せないのが「アラド戦記」との繋がりだ。
アラド戦記(Dungeon Fighter Online / DNF)は世界で8億人以上がプレイしたNEXONの看板タイトル。ベルトスクロールアクションとして始まり、数々のクラスやキャラクターを生み出してきた大型IPだ。カザンは、そのアラド戦記の「スレイヤー」というクラスの祖先——本編から約800年前の伝説の人物を主人公にした物語になっている。
アラド戦記を知らない人でも、カザンという復讐劇の主人公は十分に魅力的だ。でも、長年アラド戦記を遊んできたプレイヤーにとっては「あの世界の始まりを見る」という特別な体験でもある。
この記事では、そんなカザンの世界を——戦闘システムの細かいところから、他のソウルライクとの違い、正直なネガティブ評価まで——できるだけ丁寧に紹介していく。

ゲームの基本情報まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ゲーム名 | The First Berserker: Khazan(ザ ファースト バーサーカー:カザン) |
| 開発 | Neople(ネクソン傘下) |
| 日本パブリッシャー | セガ |
| 発売日 | 2025年3月27日(デラックス版早期アクセス:3月24日) |
| プラットフォーム | PC(Steam)、PlayStation 5、Xbox Series X|S |
| 料金(Steam) | スタンダード版 $59.99 / 8,580円(税込) |
| 日本語対応 | 字幕・UI・日本語吹き替え音声すべて対応 |
| ジャンル | ハードコアアクションRPG(ソウルライク) |
| Steam評価 | 非常に好評(約27,800件、高評価率93%) |
| 最高同接数 | 約32,929人(2025年3月30日) |
アラド戦記との繋がり——これは「ソウルライク」であり「ファンゲーム」でもある

アラド戦記をプレイしたことがある人なら、「スレイヤー」というクラスは知っているはずだ。その強さと孤独感、背負った呪いのような宿命——カザンはそのすべての「始まり」の人物だ。
ゲームの舞台は、アラド戦記本編から約800年前のアラド大陸。カザンはペル・ロス帝国の大将軍として、最強の戦士として君臨していた。帝国の英雄として竜「ヒスマル」討伐にも参加し、人々から称えられる存在だった。
しかし帝国内の陰謀によって、カザンは謀反人の濡れ衣を着せられ雪山へと追放される。そこで死の淵まで追い込まれたとき、カザンの身体に「ブレードファントム」——強大な鬼神が憑依する。
通常なら鬼神に身体を乗っ取られておしまいだ。だが、カザンは強靭な精神力でブレードファントムの支配を跳ね返す。そして「俺の身体を使いたければ、皇帝への復讐を手伝え」と逆に鬼神を使役する契約を結ぶ。
これが物語の出発点だ。
帝国に裏切られ、最愛の親友を奪われ、鬼神を宿した身体で復讐の旅に出るカザン。この物語がどう終わるか——それがアラド戦記の「バーサーカー」クラスの誕生秘話と繋がっていく。
アラド戦記を知っている人なら、ラストに向かうにつれて「ああ、そういうことか」という感慨があるはずだ。知らない人でも、一人の男が裏切りを乗り越えて復讐を遂げる骨太な物語として十分に楽しめる。
「アラド戦記を知らなくても全然楽しめた。カザンというキャラが魅力的すぎる」
——Steam日本語レビューより
ストーリーはアニメ調の高品質なカットシーンで語られる。キャラクターの表情や動きが丁寧に作り込まれており、感情移入しやすい。ゲームプレイ中に発見できるコーデックス(資料)を読み込んでいくと、世界観がさらに深く理解できる仕組みになっている。

戦闘システムの核心——「気迫」と「ジャストガード」が全てを決める

カザンの戦闘システムは、一見するとシンプルに見える。攻撃して、防いで、避ける。しかし実際に動かしてみると、驚くほど深いシステムが待っている。
3つのリソースを同時管理する
プレイヤーが常に気にしなければならないリソースが3つある。
HP(体力)は言うまでもなく0になったら死亡する基本のリソース。気迫はスタミナに相当するもので、攻撃・防御・回避のたびに消耗する。そして闘気(ファイティングスピリット)は、強力なスキルや特殊技を発動するための専用リソースだ。
この中で最も重要なのが「気迫」だ。気迫が尽きると「脱力状態」になり、その瞬間は大ダメージを受けやすい。敵も同じで、敵の気迫を削り切ると脱力状態にでき、「ブルータルアタック」という致命的な一撃を叩き込める。
つまり戦闘の本質は「相手の気迫を先に削り切るか、自分の気迫を維持し続けるか」という削り合いになる。ただ攻撃し続ければいいわけじゃない。かといって守り続けても気迫が尽きる。攻守のバランスを常に意識しながら立ち回る必要がある。
ジャストガードが戦いを変える
カザンの戦闘でもっとも重要なテクニックが「ジャストガード」だ。
敵の攻撃をギリギリのタイミングでガードすると、自身の気迫をほとんど消費せずに攻撃を受け流せる。単純な防御だと気迫が大量に削れるが、ジャストガードが決まれば気迫をほぼ温存したまま次の攻撃に移れる。
さらに「ジャスト回避」も習得できる。攻撃の直前に回避すると特殊なカウンター効果が発生し、チャンスを作れる。
これらのジャストアクションは、習得すると戦闘の流れが劇的に変わる。最初は難しくても、敵の攻撃パターンを覚えていくにつれて「次はジャストガードできそう」という予測が立ち、少しずつ成功率が上がっていく。この学習曲線が絶妙に設計されていると多くのプレイヤーが評価している。
「ソウルライクなのに死ぬほどイライラしない不思議なゲーム。ちゃんと上達してる実感がある」
——日本語ユーザーレビューより
「気力タイプ」と「怪力タイプ」——敵によって戦い方が変わる
敵には大きく分けて2つのタイプがある。気迫タイプは気迫を削り合うことで有利を取れるタイプで、ジャストガードや攻撃を重ねて相手の気迫をゼロにすることが攻略の核心になる。怪力タイプは物理的な防御力が高く、攻め方を変える必要がある。
同じボスでも後半に入ると行動パターンが変化し、フェーズが変わることで一気に難しくなる。これはダークソウルやブラッドボーンでも見られる定番の演出だが、カザンでは特に変化が劇的で、「前半で掴んだコツが後半では通用しない」ことも多い。
バーストアタック——特殊な赤オーラ攻撃への対処
ボス戦で重要になるのが「バーストアタック」だ。これは敵が発動する特殊な攻撃で、赤いオーラを纏って繰り出される大技。普通の防御や回避では防げない。
対処法は「バーストカウンター」——専用の入力でカウンターを返すことだ。成功すれば大きなチャンスタイムが生まれるが、失敗すれば壊滅的なダメージを受ける。このシステムが戦闘に緊張感を生み出している。
3種類の武器——プレイスタイルを決める重要な選択

カザンで使える武器は3カテゴリー。どれを選ぶかでゲームプレイが全然違う体験になる。
刀斧(ソードアックス)——骨太でスタイリッシュ
重厚感のある武器で、リーチと威力のバランスが良い。動きがやや重いが、ひとつひとつの攻撃に重みがある。「ベルセルク」のガッツのような剣士感を味わいたい人向け。
スキルの「血の剣舞」が特に強力で、エピックランク以上になると威力が大きく跳ね上がる。ダークファンタジー感が最も強い武器タイプとも言える。
大剣——豪快な一撃を叩き込む
3種の中で最大のリーチと単発威力を持つ。スロウな代わりに、一撃の重さは格別。「追罰:殺意」というスキルが搭載されており、エピックランク以上での威力が圧倒的。
ジャストガードから繋ぐカウンター攻撃が気持ちよく決まる武器で、「防御して大振りを叩き込む」スタイルが好きなプレイヤーに刺さる。
槍——スピード型の圧倒的コンボ
3種の中で最も攻撃速度が速い。「月光ノ構え」というスキルは3連続攻撃後に15秒間の残像攻撃バフが付与され、圧倒的なDPSを叩き出せる。使いこなすと戦闘がまるでアクションゲームのようにテンポよく展開する。
ただし、リーチが短めなため距離感の管理が重要。機動力を活かして素早く動き回るプレイスタイル向き。
「刀斧・大剣・槍で全然違うゲームになる。3周遊べる」
——Steam日本語レビューより
スキルツリーはいつでもリセット可能
各武器にはそれぞれ独立したスキルツリーがある。スキルポイントを振り分けてアクションを強化していくわけだが、このゲームの嬉しい仕様が「スキルポイントのリセットが無料でいつでも可能」という点だ。
ソウルライクゲームで「スキル振り間違えた」という後悔をした人は多いはず。カザンでは気軽に試行錯誤できる。「槍を試したけどやっぱり刀斧の方が合ってた」と気づいたら、ポイントを戻してまたやり直せる。この自由度は、他のソウルライクと比べても特に評価が高い部分だ。

成長システム——「ラクリーマ」と「ファントム能力」
カザンの成長システムは、大きく分けて「ステータス成長」「スキルツリー」「ファントム能力」の3本柱で構成されている。
ラクリーマで5つのステータスを自由に育てる
「ラクリーマ」はこのゲームにおける経験値であり通貨のような存在だ。敵を倒すことで獲得でき、チェックポイント(鬼剣)で消費してステータスを上げる。
強化できるステータスは以下の5種:
- 力:物理攻撃力の基本
- 技術:スキル・クリティカル関連
- 敏捷:回避・速度系の強化
- 体力:HP上限と防御力
- 精神:気迫・闘気に影響
どこに振るかはプレイヤーの自由。攻撃寄りにするか、防御を固めるか、速度を上げるか——自分の得意なプレイスタイルに合わせてカスタマイズできる。
そして重要なのが「ボス戦で負けてもラクリーマの一部が経験値として残る」仕様だ。一般的なソウルライクでは死亡するとラクリーマを失う場面もあるが、カザンではボス戦での敗北も無駄にならない。43回死んでも、その43回がカザンを少しずつ強くしてくれる。
さらに、ジャストガードやジャスト回避などの精密操作が決まるとスキルポイントも獲得できる。「上手くプレイした分だけ成長できる」という仕組みが、プレイヤーの上達意欲を引き出している。
ファントム能力——装備する鬼神で戦い方が変わる
カザンの身体には鬼神「ブレードファントム」が宿っている。ゲーム中では複数のファントムを入手でき、どれを装備するかで戦いの特性が変わる仕組みだ。
序盤は少ないが、ゲームが進むにつれてファントムの種類が増えていく。攻撃力重視のもの、防御的な効果を持つもの、特定の武器タイプとの相性がいいものなど多彩。ビルドを組む際の重要な要素のひとつになっている。
ファントムポイントを使って「覚醒」させることで能力がさらに強化される。覚醒させたファントムは独自のアクションやオーラ効果をもたらし、上位の強化で戦闘スタイルが大きく変化することもある。
装備品——ランク制のドロップシステム
敵を倒すことで装備品がドロップする。レアリティはコモン・アンコモン・レア・エピック・レジェンダリーなどのランク制で、高ランクの装備は固有スキルや追加効果を持つ。
武器には「補正値」があり、どのステータスとの相性がいいかが変わる。たとえば力補正が高い武器なら「力」を上げるほど威力が増す。ビルドを組む際はステータスと武器補正の相性を意識する必要がある。
周回プレイで強力な装備を集め、ビルドを洗練させていく——この部分はハック&スラッシュの血を引くディアブロ系の楽しさに近い。

難易度設計——「難しいが理不尽ではない」という絶妙なバランス

カザンの難易度設計は、コミュニティでもよく議論される話題だ。「エルデンリングより難しい」という意見がある一方で、「詰みにくいから適切な難しさ」という評価も多い。
難易度の選択肢
ゲームには複数の難易度オプションが用意されている。イージー・ノーマル・ハードコア(エキスパート)の選択肢があり、ゲーム中でも変更可能だ。
ただし注意が必要なのは、「イージーモードでも難しい」という声が一定数あること。ソウルライク入門として期待するには少し敷居が高いかもしれない。それでもノーマルと比べると体感できる差はあるので、苦手な人はまずイージーから始めるのがおすすめだ。
「詰みにくい」設計の工夫
カザンが他のソウルライクと一線を画す部分のひとつが「詰みにくい設計」だ。
まず、ボスの部屋の直前にチェックポイント(鬼剣)が設置されている。何度も死んでも、毎回ボスのすぐ前から再挑戦できる。エルデンリングやダークソウルのように「また長い道のりを歩いてボス部屋まで戻る」という消耗戦がない。
次に、前述の通りボス戦での死亡もラクリーマの一部が残る。ゼロスタートになることがなく、挑戦するたびにわずかでも成長できる。
さらに、スキルの無料リセットと組み合わさることで、「ビルドを変えてリトライ」という試行錯誤が促進される。「今のビルドがこのボスに向いていないかも」と気づいたら、すぐに変更して再挑戦できる。
「難しいけど詰みにくい設計が好き。負けてもラクリーマもらえるのが優しい」
——日本語ユーザーレビューより
「ボス直前でリスポーンするのが神仕様。仁王シリーズみたいな長い道のり歩かされない」
——日本語ユーザーレビューより
エルデンリングやLies of Pとの難易度比較
Steamのコミュニティでは他ソウルライクとの比較が盛んに行われた。
多数の意見をまとめると、おおよそこんなイメージになる:
- ノーマル:エルデンリングと同程度〜やや難しめ
- ハードコア(エキスパート):Lies of PやSekiro級の難しさ
- ゲームプレイの近さ:仁王・Lies of P・ニンジャガイデン系(マップ探索の自由度はエルデンより低い)
重要な違いとして、カザンはエルデンリングのような広大なオープンワールド探索がない。マップは比較的コンパクトで、ボス戦にフォーカスした構造になっている。探索の喜びよりも「ボスとの戦い」に集中したいプレイヤーに向いている設計だ。
ボス戦の設計思想
ゲーム開発者のインタビューによると、ボスは「最初は絶対に勝てないと思わせる」デザインを意識しているという。しかし死ぬたびにパターンが分かっていき、ラクリーマで少し強くなり、スキルで対策を立てれば「必ず勝てる」ようにバランスを取っているとのことだ。
ボスは序盤に相当な難易度のものが出てくる。いきなり高難易度のボスと戦わされる洗礼は、まさに「死にゲー」の洗礼だ。でもそこを越えると、後は同じ難しさが続くのではなく、プレイヤーの成長とともに適切な難易度で挑戦し続けられる設計になっている。

マップとステージ構成——線形設計の功罪
カザンのマップ設計は、ソウルライクとしては比較的線形(一本道)に近い。エルデンリングのような「どこへでも行ける」自由度はなく、ステージをひとつずつクリアしながら進んでいくタイプだ。
良い部分:無駄が少ない
一本道設計の利点は、迷わずに進めること。どこへ行けばいいかわからなくなる「迷子状態」がない。ステージの目的が明確で、ボス戦に向けて集中力を高めながら進めるテンポがある。
各ステージには探索要素もあり、隠しアイテムや収集物を見つける楽しさはある。ただしエルデンリングの「そこに何かある気がする」という探索の吊り橋効果には及ばない。
課題部分:発見の喜びが薄い
一部の批評家や海外レビュアーは「マップが直線的すぎて、探索の驚きが少ない」という点を指摘している。隠し扉を見つけたときの「やった!」感や、完全に自由に世界を歩き回る感覚は薄め。
ただし、これは「どんなソウルライクを期待するか」によって評価が分かれるところだ。「ボス戦とその準備に集中したい」という人には、コンパクトな設計は逆にありがたい。「広大な世界を探索したい」という人には物足りない可能性がある。
サイドミッションについて
メインストーリー以外にサイドミッションも存在する。ただ「繰り返し感が強い」という声もあり、追加コンテンツとしての面白さはメインに比べると落ちるという評価が目立つ。
サイドミッションで入手できる装備や素材は有用なものもあるが、「ストーリーを追いたい」プレイヤーはメインを優先して問題ない設計になっている。
グラフィックと音楽——韓国産ゲームの底力

アニメ調の高品質カットシーン
本作の見どころのひとつがカットシーンの質だ。アラド戦記のスタジオらしく、キャラクターの動きや表情が丁寧に作り込まれている。特に主要なボス戦前後の演出は力が入っており、物語への没入感を高めてくれる。
カザンというキャラクターは、その風貌からして圧倒的な存在感がある。傷だらけの身体、静かな怒りを秘めた目——ビジュアルだけでキャラクターの歴史を物語るような造形だ。
インゲームグラフィック
戦闘中の動きはスムーズで、エフェクトも派手で爽快感がある。ただし一部のプレイヤーからは「アクション中の背景描写が粗くなる瞬間がある」という指摘もある。高速な戦闘中は特に気になりやすい部分で、グラフィックの品質に若干のムラがある。
Steam Deckでの動作も確認済みで、最適化も一定レベルで行われている。
サウンドデザイン
ボス戦のBGMは特に評価が高い。緊迫感のある楽曲が戦いの没入感を高め、「ボス戦の体験」として完成度の高い演出になっている。
効果音もソウルライクらしく、ジャストガードが決まったときの金属音、ブルータルアタックが炸裂したときの重低音など、操作フィードバックが気持ちいい。

Steam評価とコミュニティの反応——なぜエルデンリングを超えたのか

発売直後から高評価が続いたカザン。Steamでの高評価率が一時93%に達し、あのエルデンリング(92%)を上回ったことが話題になった。
なぜこれほど高い評価を得られたのか。複数の要因が考えられる。
理由1:「面白いと思った人が買っている」
カザンはアラド戦記という強力なファンベースを持つIPを背景に持ちながら、明確な「ソウルライク」として宣伝された。つまり購入者の多くが「難しいゲームを楽しめる人」というプレイヤー層だ。期待していた体験を得られたプレイヤーが高評価を付けた結果、レビューの傾向が良くなりやすい。
理由2:「詰みにくい」設計が挫折を防いだ
多くのネガティブレビューの原因になりがちな「理不尽な難しさ」や「進行不能バグ」が少ないことも要因のひとつ。ボス前リスポーン、死亡時のラクリーマ保持、スキルの無料リセット——これらの「親切設計」がプレイヤーの挫折を防ぎ、クリアまで楽しんでもらえた。
理由3:アニメカットシーンの完成度
「ゲームの難しさは覚悟してたけど、ストーリーとカットシーンが予想以上に良かった」という声が多い。アクションゲームとしての完成度に加え、物語としての完成度が評価を押し上げた。
最高同接数3.3万人の意味
2025年3月30日に記録した最高同接数32,929人は、ソウルライクとしては十分な数字だ。発売直後の勢いとして、新規IPとしては上々のスタートを切ったと言える。
比較すると、Lies of Pが約18,000人、ウォーロン: フォールン・ダイナスティが約14,000人程度だったことを考えると、カザンはその上をいく同接数を記録した。
「このゲームは難しいが、理不尽じゃない。死ぬほど死んだけど、倒したときの達成感が半端ない」
——Steamレビューより
「Lies of P以来最高のソウルライクだ。エルデンリング以来これほど引き込まれたゲームはなかった」
——Steamレビューより
正直な評価——ここが惜しい・ここが課題
93%の高評価といっても、当然ネガティブな意見もある。フェアなレビューのために、課題点もちゃんと書いておく。
課題1:一部ボスのHP量が多すぎる
「スポンジ耐久性」と呼ばれる問題——つまり一部のボスはHPが高すぎて、攻略パターンを掴んだ後でも「ひたすら殴り続ける消耗戦」になる場面がある。これは体験を単調にする要素で、特に中盤以降で気になるという声がある。
「ボスのHP量が多すぎてスポンジ叩いてる感じがする場面がある」
——Steamレビュー批判コメントより
課題2:レベルデザインの直線性
前述の通り、マップ設計が一本道気味なことへの批判がある。「探索の楽しさが少ない」「発見する喜びが欠けている」というレビューが英語圏でも多数見られる。エルデンリングのような「寄り道が豊富なオープンワールド」を期待するとがっかりするかもしれない。
課題3:サイドミッションの繰り返し感
サイドミッションは「特定の敵を倒す」「アイテムを集める」という内容が多く、メインとの差別化が薄いという指摘がある。DLCや追加アップデートへの期待が高まる部分だ。
課題4:DNF未プレイ者への世界観説明不足
アラド戦記を知らないプレイヤーの中には、「世界観の背景がよくわからない」という声もある。ゲーム内のコーデックスを読んでいけば補完できる部分もあるが、入門者フレンドリーな説明が少ないと感じる人もいるようだ。
課題5:序盤の難易度の壁
ソウルライク入門として試みる人には、序盤のボスがかなり厳しい洗礼になる。「イージーモードでも難しい」という声は現実で、完全な初心者向けではないことは理解した上で購入を検討してほしい。

日本語対応について——完全ローカライズの安心感
日本では珍しいことだが、カザンは日本語吹き替え音声まで対応している。字幕だけでなく、キャラクターが日本語で話してくれる完全ローカライズだ。
日本のパブリッシャーはセガが担当しており、ローカライズの質も高い。カザンの台詞回しは渋くてかっこよく、日本語版でも十分に主人公の魅力が伝わってくる。
PS5の日本版パッケージも販売されており、Steam以外でもプレイ可能だ。Steam Deckでも動作確認済み。アップデートで日本語吹き替えが追加されたほか、字幕品質が11言語で改善されるアップデートも実施された。
海外ゲームでは日本語対応が不十分なケースも多いが、カザンについては心配無用。テキスト量も多いゲームだが、翻訳の精度も全体的に高い。
他ソウルライクとの比較——どんな人に向いているか
カザンを他のソウルライクと比較しながら、「どんな人に向いているか」を整理してみたい。
カザン vs エルデンリング
- マップ:エルデンリングは広大なオープンワールド。カザンは線形に近いコンパクトなステージ制
- 難易度:ノーマルではほぼ同程度。エキスパートはカザンの方が厳しいとの声も
- 戦闘テンポ:カザンの方が速め。アクション要素が強い
- 探索要素:エルデンリングの方が圧倒的に豊富
カザン vs Lies of P(ライズ・オブ・P)
- 世界観:Lies of Pはピノキオモチーフのダークファンタジー。カザンはDNFのアジアンファンタジー
- 戦闘:どちらもガードとパリィ重視。カザンの方がアクション要素が多い
- 難易度:ほぼ同程度という意見が多い
- ストーリー:Lies of Pは童話的。カザンは骨太な復讐劇
カザン vs 仁王シリーズ
- 装備ドロップ:どちらもランダムドロップ型の装備収集あり
- 武器種:仁王の方が圧倒的に多様。カザンは3種に絞られている
- ボス前の道のり:カザンはボス直前リスポーンで快適。仁王は長い道のりを歩くことも
こんな人に向いている
- ソウルライクが好きで、次の名作を探している
- ボス戦に特化した濃密な体験を求めている
- アラド戦記のファンで、世界観の深掘りに興味がある
- スキルリセット自由など、試行錯誤しやすい設計が好き
- 日本語吹き替えで骨太なアクションを楽しみたい
こんな人には向いていないかも
- ソウルライクが苦手で、高難易度が嫌いな人
- エルデンリングのような広大な探索を期待している人
- 完全初心者でアクションゲーム経験が少ない人
PCスペックと動作環境
Steam版のシステム要件についても確認しておこう。
最低動作環境
- OS: Windows 10 64bit
- CPU: Intel Core i5-8600K / AMD Ryzen 5 2600
- メモリ: 16GB RAM
- GPU: NVIDIA GeForce GTX 1070 / AMD Radeon RX 5700
- ストレージ: 60GB
推奨動作環境
- OS: Windows 10/11 64bit
- CPU: Intel Core i7-8700K / AMD Ryzen 7 3700X
- メモリ: 16GB RAM
- GPU: NVIDIA GeForce RTX 2080 / AMD Radeon RX 6800
- ストレージ: 60GB
比較的現世代のPCなら動く仕様になっている。最低要件のスペックでも快適にプレイできる設計で、PCゲーム初心者でも入りやすい。Steam Deckでの動作も確認済みだ。
デモ版(体験版)の情報——購入前に試せる
カザンは製品発売前の2025年1月17日から体験版が配信された。この体験版には非常に嬉しい仕様が含まれていた。
体験版のセーブデータが製品版に引き継ぎ可能という点だ。体験版でやり込んだ部分が無駄にならない。「試して気に入ったら買う」という選択ができる上に、試した時間が活きる。この仕様を評価するプレイヤーは多かった。
体験版の時点からゲームの完成度が高く、「これは買う」と確信したプレイヤーが続出。Steamの事前予約数にも貢献したと思われる。
現在は体験版が提供されているかどうかSteamで確認してみてほしい。デモが続いていれば、まず試してからの購入が最もおすすめだ。
「デモでも完成度が高すぎて逆にヤバい。これは買う」
——発売前の日本語ユーザーコメントより
DLCと今後のアップデートについて
デラックス版にはDLCコンテンツが含まれている。発売後もアップデートが実施されており、字幕品質の改善、日本語吹き替えの追加といったローカライズの強化が行われた。
今後のDLCや追加コンテンツについては公式SNSで随時情報が出ている。アラド戦記という豊かなIPを背景に持つため、追加ストーリーの可能性はあるとされているが、2025年時点での正式発表は未確認だ。
ゲームの評判が良かっただけに、コミュニティではDLCや続編への期待が高まっている。
総評——ソウルライクを愛するすべての人に届けたい一本
The First Berserker: Khazanは、ひとことで言えば「丁寧に作られたソウルライク」だ。
難しいが理不尽じゃない。負けるほど強くなれる設計。ボス直前リスポーンの快適さ。スキルの無料リセット。アニメ調の高品質カットシーン。完全日本語ローカライズ。
これだけの要素を揃えながら、「ソウルライクとしての本質的な面白さ」——挑戦して、失敗して、学んで、成長して、倒す——をしっかり維持している。それがSteam93%という高評価に繋がったのだと思う。
欠点もある。マップが一本道気味でエルデンリングのような探索の自由度はない。一部ボスのHP量が多い。サイドミッションの繰り返し感。でもこれらは「致命的な欠点」ではなく「惜しい部分」であり、ゲームの根幹を楽しむ妨げにはならない。
アラド戦記を知っている人には「世界観の始まりを体験する特別感」があり、知らない人には「骨太な復讐劇のソウルライク」として純粋に楽しめる。どちらのプレイヤーにも届く懐の深さがある。
ソウルライクが好きで、「次の名作」を探しているなら——カザンはその答えになれる一本だと思う。
序盤のボスで43回死んでも、44回目に倒したときの快感は忘れられない。そういうゲームだ。
「ボスの攻撃パターンを覚えて少しずつ上達していく感覚が最高。チェックポイントがボス直前にあるから嫌になりにくい」
——Steamレビューより
よくある質問(FAQ)
Q. アラド戦記を知らないと楽しめませんか?
A. 知らなくても十分に楽しめます。カザンというキャラクターの復讐劇として独立して成立しています。アラド戦記ファンには追加の楽しさがある、という形です。
Q. ソウルライク初心者でも遊べますか?
A. イージーモードがありますが、難易度は高めです。ダークソウルやエルデンリングで挫折した経験がある方には少し難しいかもしれません。ただし「詰みにくい設計」があるので、慣れてきたら楽しめる可能性は高いです。
Q. PS5版とSteam版の違いはありますか?
A. ゲーム内容は同一です。PS5版はDualSenseのハプティックフィードバックに対応しており、コントローラーの振動がより細かく表現されます。
Q. Steam Deckで動きますか?
A. 動作確認済みです。日本語吹き替えにも対応しています。
Q. デラックス版と通常版の違いは何ですか?
A. デラックス版は通常版より3日早くプレイできる早期アクセス権と、追加DLCコンテンツが含まれています。
Q. オンラインマルチプレイ要素はありますか?
A. 基本的にシングルプレイのゲームです。ボス戦でNPC(霊体)を呼び出すエルデンリング式の補助機能はありますが、他プレイヤーとのリアルタイム協力は主軸ではありません。
Q. クリアまでの時間はどのくらいですか?
A. メインストーリーのみで30〜50時間前後が多いようです。難易度やプレイスタイルによって大きく変わります。全武器種を試したり、サイドミッションをこなすともっと長くなります。

まとめ
The First Berserker: Khazanは、2025年のソウルライクシーンに颯爽と登場した韓国産の力作だ。
アラド戦記という8億人規模のIPをベースに、Neopleが本気でソウルライクを作ったらどうなるか——その答えが詰まった一本。Steamの高評価率が物語るように、そのクオリティは本物だ。
難しさと親切さのバランスが絶妙で、「死んでも楽しい」という体験を提供してくれる。ボス戦を中心に据えた構成は、ソウルライクの面白さの核心を射抜いている。
完璧ではない。マップの一本道感、一部ボスのHP量、サイドミッションの薄さ——これらは今後の改善や続編に期待したい部分だ。でも現時点でも、ソウルライク好きなら間違いなく満足できる完成度に仕上がっている。
気になる人はまず公式サイトかSteamのページをチェックしてみてほしい。体験版があれば試してからの購入が一番だ。
最後にもう一度言おう——序盤のボスで43回死んでも、44回目の快感は忘れられない。そういうゲームだ。
