「Total War: ROME II」炎上から復活した歴史ストラテジーの決定版

Total War: ROME II – Emperor Edition — ローマ帝国の興亡を指揮する歴史ストラテジーの決定版

2013年9月、発売から数時間で歴史ストラテジーゲームのコミュニティが燃え上がった。「Total War: Rome II」のSteamレビューがみるみる下がり、「圧倒的に不評」に近いところまで転落した。AIが敵と味方の区別をつけられない。フレームレートが数十台から一桁まで落ちる。ユニットが崖から飛び降りる。それだけならまだ良かったが、最も批判を集めたのは「ゲームとしての根本的な部分」が壊れているという声だった。

それから1年、Creative AssemblyはPatched 15という最終的なアップデートとともに「Emperor Edition」を無償提供した。政治システムの抜本的な見直し、戦闘AIのリビルド、内政建設チェーンの全面再設計。2013年のローンチ時とは別のゲームと言っていいくらいの改善が行われた結果、2026年現在のSteamレビューは「好評」87%(総レビュー数53,000件超)というところまで回復している。

これは「炎上から復活した」というサクセスストーリーではなく、もともとのゲームのアイデアがそれだけ強かったという話でもある。紀元前272年の地中海世界、ローマを中心に30以上のプレイアブル派閥が覇を争う大スケールのキャンペーンは、発売当初から「ポテンシャルだけは感じる」と言われていた。そのポテンシャルが、Emperor Editionという形でついて完成した。今この記事で取り上げる価値は十分にある。

目次

「Total War: ROME II」公式トレーラー

こんな人に読んでほしい

Total War: ROME II - Emperor Edition その他アクション スクリーンショット1
  • 古代ローマの歴史が好きで、自分でローマ軍団を指揮してみたい人
  • ターン制の大局観とリアルタイムの戦術、両方を一つのゲームで楽しみたい人
  • 発売当初の評判を聞いて敬遠していたが、今さら始めるのが怖い人
  • HUMANKIND やCivilizationに飽きて、もっと戦闘に比重を置いたストラテジーが遊びたい人
  • MODで遊び尽くしたいコアゲーマー
  • Steam定価の80%オフセールを狙っている節約派ゲーマー

Total War: ROME II – Emperor Editionとはどんなゲームか

一言で説明するなら「ターン制の歴史キャンペーンとリアルタイム戦術戦闘を組み合わせた、古代地中海世界の覇権ストラテジー」だ。大きなキャンペーンマップの上で都市を管理し、外交を操り、軍団を動かすターン制のパートと、実際に戦闘が始まったときに数千人規模の軍勢をリアルタイムで指揮するパートが、シームレスに組み合わさっている。

舞台は紀元前272年。地中海世界にはローマ、カルタゴ、マケドニア、エジプト、パルティアをはじめとする複数の勢力が並立している。プレイヤーは30以上のプレイアブル派閥のいずれかを選んでキャンペーンを開始し、軍事・外交・内政の3本柱を操りながら地中海世界の覇者を目指す。

ゲームの基本構造はTotal Warシリーズ共通のものだが、ROME IIでは特に「政治システム」が大きく強化された。プレイヤーが属する派閥だけでなく、国家内部に複数の政治勢力が存在し、それぞれが権力を求めて動く。うまく管理しないと内戦が勃発し、せっかく征服した領土が内側から崩壊することもある。

グランドキャンペーン:紀元前272年からの地中海覇権争い

メインのグランドキャンペーンは紀元前272年を起点とし、ローマをはじめとする30以上の勢力がプレイアブルとして用意されている。文化圏でいうと、ローマ・イタリア系、ヘレニスティック(ギリシャ・マケドニア)、カルタゴ・ポエニ系、東洋・パルティア系、蛮族(ガリア・ゲルマン・ダキア)系に大別される。どの派閥を選ぶかで、使える兵種・建設できる建物・外交の起点がまったく異なる。

ローマでプレイすると派閥内部の政治が複雑で、元老院の意向を無視して動くと内部分裂のリスクが高まる。ガリアやブリタニアのような蛮族系派閥は政治的に単純な代わり、経済基盤が弱く軍の維持費に苦労する。カルタゴは交易が強力だが、イタリア半島に陣取るローマとの正面衝突をいつかは避けられない。この「派閥ごとの固有の強みと弱み」がリプレイアビリティの核だ。

勝利条件は3種類用意されている。軍事的な制圧で決める「Military Victory」、交易と経済力で頂点を目指す「Economic Victory」、文化的影響力を広める「Cultural Victory」。それぞれで目指すべき戦略が変わるため、同じ派閥でも勝利条件を変えるだけで別ゲームになる。

ローマでプレイして10時間、ようやくカルタゴを滅ぼしたと思ったら、自国の政治家が内戦を起こして崩壊した。でもその「内戦を防ぎながら外征する」という二正面作戦こそがローマ史の醍醐味だと気づいた。

引用元:Steamレビュー

キャンペーンの進行はターン制で、1ターンが半年(春もしくは秋)を表す。ターンを進めるたびに食料・財政・治安・公衆衛生といった数値が変動し、建物の建設・軍の徴兵・外交交渉・内政への介入などを組み合わせながら管理する。一見すると項目が多くて複雑だが、チュートリアルはしっかり作られており、基本的な流れは数時間で習得できる。

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Imperator Augustus:カエサル暗殺後の内戦を再現したキャンペーン

Emperor Editionに含まれる「Imperator Augustus Campaign Pack」は、ROME IIの中でも特別な位置づけのコンテンツだ。舞台は紀元前42年、カエサルの暗殺から数年後の混乱期。第二次三頭政治として知られるオクタウィアヌス・マルクス・アントニウス・レピドゥスの三者が権力を争い、ローマ史上最大の内戦が展開していた時代だ。

このキャンペーンのプレイアブル派閥は10あり、ローマ内部の三者に加えて、エジプト(クレオパトラのプトレマイオス朝)、パルティア、ダキア、マルコマンニ族、イケニ族(ブリタニア)、アルメニアなどから選択できる。それぞれが全く異なる外交上の立ち位置と軍事的強みを持っている。

歴史的に有名な人物を自分で動かす体験は格別だ。オクタウィアヌスとしてプレイすると、歴史通りに地中海の覇者「アウグストゥス」を目指す正史ルートも取れるし、逆にマルクス・アントニウスとしてアクティウムの海戦でオクタウィアヌスを打ち破る「if」の歴史を作ることもできる。こういった「歴史の分岐を自分で動かせる」体験は、歴史ゲームならではの魅力だ。

キャンペーンの規模はグランドキャンペーンに匹敵するとCreative Assemblyが明言しており、プレイ時間の面でもコンテンツの密度の面でも、独立した拡張パックに相当する内容がEmperor Editionでは最初から含まれている。

戦闘システム:数千人の古代軍をリアルタイムで指揮する

Total War: ROME II - Emperor Edition その他アクション スクリーンショット2

ROME IIの戦闘は、数十から数百の「ユニット」(各ユニットが数十〜数百人の兵士で構成)を操るリアルタイム戦術だ。歩兵・弓兵・騎兵・戦象・砲兵(投石器)といった兵種が、古代戦争の知識に則った形で設計されている。

戦場を覆う土埃の中で、ローマ軍団兵が密集陣形を組んで敵の重装歩兵とぶつかる瞬間、画面の向こうに本物の古代戦争のスケール感がある。最大で数万人規模(最高グラフィック設定時)の兵士が一つの戦場に描画されるビジュアルは、他の歴史ゲームと比較しても頭一つ抜けている。

兵種と戦術の組み合わせ

ROME IIの戦術設計は「兵種相性」を軸にしている。槍兵は騎兵に強く、剣兵は槍兵の混乱した隊列を崩しやすく、騎兵は弓兵を追い回す。しかしこれは表面的なじゃんけんに過ぎず、その下に地形・隊形・士気・フランク(側面攻撃)という要素が重なって、実際の戦闘は複雑な計算式になる。

特にフランク攻撃の概念が戦術の核心だ。正面から押し合っている歩兵の列に、騎馬隊が側面や背後から突入すると、士気が急激に低下して敵ユニットが崩壊・逃走する。「釘付けにした後で包囲する」という古代戦争の基本戦術を、ゲームの中で自分の手で実行できる。カンナエの戦いでハンニバルがローマ軍を二重包囲した作戦を、自分でカルタゴ側として再現できるのはこのゲームの醍醐味の一つだ。

隊形の使い分けも重要だ。ローマ軍団兵は「テスト亀(タートル)」隊形を取ることで防御力が上がるが機動力が落ちる。密集(ファランクス)槍兵は正面からの攻撃にはほぼ無敵だが、側面を突かれると脆い。ゲリラ戦術を使う森林系派閥の弓兵は、森の中に隠れて奇襲することで大きなダメージを与えられる。

敵の重装歩兵を正面の槍兵で押さえておいて、後方に隠していた騎馬隊を回り込ませて包囲した瞬間、敵が一気に崩れた。まさにカンナエだと思った。

引用元:Steamレビュー

海戦:古代の艦隊戦も再現

ROME IIの特徴の一つが、本格的な海戦の実装だ。ガレー船(三段櫂船)を中心とした艦隊を操り、地中海の制海権を争う。海戦の戦術は陸戦とは異なる独自の判断が必要で、接舷して乗り込む「接舷戦闘」、弓や投石器による遠距離砲撃、体当たり(ラム攻撃)を使い分ける。

さらにROME IIでは陸海の同時展開が可能なシナリオも存在する。上陸作戦を行う場合、輸送船を護衛しながら艦隊を海岸に接近させ、陸兵を上陸させつつ海から砲撃で援護するという複合作戦を一手に指揮できる。これはシリーズ史上でもROME IIで特に強化された部分で、E3 2013のデモでも「陸海同時作戦」が最大の売り物として紹介されていた。

制海権を持っていると、沿岸の敵都市を封鎖したり、軍団の輸送ルートを確保したりと、キャンペーン全体の戦略に大きな影響が出る。地中海を支配したカルタゴが強かった理由が、ゲームを通してリアルに体感できる。

包囲戦:城壁を越えて都市を攻略する

都市や要塞を攻略する包囲戦も、ROME IIの戦闘の重要な要素だ。投石器や攻城槌(バッタリング・ラム)、攻城塔を使って城壁を突破し、守備隊を制圧するか、市街地に突入して白兵戦で制圧するかを選択できる。

守る側としては、城壁の上に弓兵を展開して攻撃側をなぎ倒しつつ、城門を突破されそうになったら予備の歩兵を投入する。攻める側は投石器で弓兵の位置を潰してから梯子を城壁にかける。この包囲戦の立体的な攻防が、野戦とはまた異なる緊張感を生む。

包囲戦には「即時攻撃」と「包囲による兵糧攻め」の2択が用意されている。即時攻撃は損害を覚悟で力押しするが、包囲を維持すれば守備側の食料が尽きて自動的に降伏するか、不利な条件で戦闘に応じてくる。兵力差があっても時間と食料の計算で「戦わずして勝つ」選択肢を取れるのは、孫子の兵法を体現したような設計だ。

攻城塔を活用した戦闘は特に記憶に残る。城壁と同じ高さの塔を城壁に寄せて、部隊を直接城壁上に送り込む作戦だ。塔が城壁に届いた瞬間に歩兵が一斉に突入する光景は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」のヘルム峡谷の戦いを彷彿とさせる迫力がある。ただし塔の接近中は投石器で壊されるリスクがあり、「投石器を先に潰すか、塔を急いで動かすか」という判断が求められる。

士気システム:強い軍も崩れるときは崩れる

ROME IIの戦闘で最も重要な要素の一つが「士気」だ。どんなに強力なユニットでも、士気が限界まで低下すると「ルーティング(崩走)」を起こして逃げ出す。士気は兵力の損耗・フランク攻撃を受けること・友軍の崩走を目撃すること・大将の戦死などで急落する。

このため「敵を正面から全滅させる」だけでなく、「敵の士気を崩壊させる」という勝ち方ができる。弓兵で序盤から士気ダメージを与え続け、フランク攻撃で崩れやすい状態を作ってから騎兵で突入すると、実際に戦闘力がほぼ残っていても敵全軍が崩走することがある。古代戦争の記録に残る「大将が倒れた瞬間に軍が崩壊した」という現象がゲームメカニクスとして再現されている。

逆に防御側が城壁に籠もっている場合、士気は高い状態が維持されやすい。「壁の上から撃てる」という安心感が士気を支えているからだ。包囲戦で城壁を突破された瞬間に守備側の士気が急落し、街路での戦闘に切り替わると形勢が逆転しやすくなる。この「突破後の雪崩」という展開がフォーラムでよく語られる名場面だ。

政治システム:内側から崩壊する危機を防ぐ

ROME IIのキャンペーンで、他のTotal Warシリーズと最も差別化されている要素が「国内政治システム」だ。プレイヤーの勢力内部には複数の政治派閥が存在し、それぞれが独自の権力欲を持って動いている。

ローマでプレイする場合、代表的な派閥は「ポプラレス(民衆派)」「オプティマテス(貴族派)」「グラッキ派」といった名前で設定されている。これらは実際のローマ史に登場した政治勢力をモデルにしており、歴史ファンならニヤリとする作り込みだ。プレイヤーはこのうちの一派閥に属する家長として、他の派閥の影響力を抑えながら国家を動かす。

人物管理が政治の核心だ。有能な将軍や政治家を自派閥に引き込む「勧誘」、家門同士の絆を結ぶ「婚姻」、ライバルの評判を落とす「陰謀」、最終手段としての「暗殺」という行動が使える。特定の人物の影響力が強くなりすぎると、その人物が独自の野望を持ち始め、最終的には内戦のトリガーになることもある。

「外征で勝ちすぎると内側が危うくなる」という構造は、実際のローマ史の縮図でもある。カエサルがガリアを征服するほど英雄視された結果として元老院との対立が深まり、内戦に発展したように、ゲームの中でも「功績を積めば積むほど政敵が増える」という現象が起きる。歴史の因果関係をゲームメカニクスで体験させてくれる設計だ。

征服を重ねてようやく地中海の半分を取った。そしたら自国の将軍が反乱を起こした。歴史の教科書で読んでいた「英雄が国を滅ぼす」という矛盾が、ゲームで初めてリアルにわかった気がした。

引用元:Steamレビュー

外交システム:同盟と裏切りの多国間政治

ROME IIの外交は、複数の勢力が同時に動く多国間外交を採用している。交易協定・軍事通行権・攻守同盟・軍事同盟という段階的な協力関係を結べるほか、他の勢力に支払金を提示して特定の動きを引き出すこともできる。

勢力間の関係は「敵対的」「非友好的」「中立」「友好的」「非常に友好的」という5段階で表される。ある勢力に対して戦争を仕掛けると、その勢力と同盟を結んでいる第三の勢力が参戦してくることがある。地政学的な連鎖反応が起きるため、「今この状況で戦争を仕掛けたら何カ国が動くか」という多国間の力学を読む必要がある。

Emperor Editionで改善された部分の一つが、この外交AIの精度だ。ローンチ時は「意味不明な同盟変更」や「利益のない戦争仕掛け」が頻発していたが、パッチを重ねた結果、AIが現実的な利益計算に基づいた外交を行うようになった。完璧ではないにせよ、「AIがバカすぎて外交の意味がない」という初期の不満は概ね解消されている。

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経済と内政:文明を支える基盤を作る

ROME IIのキャンペーンマップは「州(Province)」という単位で管理される。各州には複数の都市・集落が含まれており、それぞれに建物を建設して機能を持たせる。農業施設で食料を確保し、交易施設で収入を増やし、軍事施設で徴兵できる兵種を増やし、文化施設で同化政策を進める。建設スロットは限られているため、「この都市は農業特化」「この都市は軍事基地」という専門化戦略が求められる。

征服した土地の「文化」管理も重要だ。異文化の住民を多く抱えたまま放置すると反乱リスクが高まる。建物・法律・属州知事の選択を通じて、征服地をローマ文化に同化させる時間が必要になる。拡大しすぎると管理が追いつかなくなる「帝国の過伸張」問題がゲームメカニクスとして組み込まれており、歴史的にも正確な問題意識を体験させてくれる。

食料の管理も軽視できない。軍団が移動する先の州の食料事情が悪いと、兵士の補充が困難になる。食料が十分な州から徴兵して、食料が乏しい前線に展開するとうまくいかない場合がある。食料・財政・文化・治安の4軸を同時に見ながら建設計画を立てる必要があり、この複雑さがCivilizationなどと比較したときの「深さ」の源泉になっている。

人物システム:英雄と謀略が絡む個人の物語

Total Warシリーズの中でもROME IIで特に充実しているのが、キャンペーン中に登場する「個人キャラクター」の扱いだ。各派閥には複数の将軍・政治家・スパイが登場し、それぞれが年齢・能力・派閥への忠誠度・個人の野心を持っている。

将軍は戦闘経験を積むことで能力が成長し、特定の特性(「カリスマ的指導者」「残酷な略奪者」など)を取得する。同じ将軍を長く使い続けると、その将軍自身の物語が生まれていく。「この将軍で20年かけて西地中海を征服した」という個人的な歴史がキャンペーンに積み上がる感覚は、他のストラテジーゲームとは異なる愛着を生む。

スパイを使った謀略システムも独自の楽しさがある。敵派閥の重要人物を暗殺したり、敵都市内部で反乱を扇動したり、敵外交官の交渉を妨害したりという行動ができる。成功確率が表示されるため、「60%の成功率で暗殺を試みるか、もっと確率を上げてから行動するか」という判断が毎ターン求められる。失敗するとスパイが処刑されるリスクもあり、緊張感がある。

40歳のときに自派に引き込んだ将軍が、20年後に最大の戦場で活躍した。その将軍が老齢で亡くなったとき、ゲームなのに妙に感傷的になった。

引用元:Steamコミュニティ

ローンチ炎上からEmperor Editionへ:なぜここまで落ちてここまで上がったのか

Total War: ROME II - Emperor Edition その他アクション スクリーンショット3

2013年9月3日、Total War: ROME IIが発売された。前作ROME: Total War(2004年)から9年ぶりのローマを舞台にしたメインシリーズ作ということもあり、期待値は異常に高かった。予約注文数はシリーズ最高記録を更新し、メディアのプレビューでは「歴史ストラテジーの次世代標準」と絶賛されていた。

蓋を開けてみると、地獄だった。

最も批判された問題の筆頭はAIだ。友軍が崖から飛び降りる。敵ユニットが謎の挙動で海に歩いていく。包囲戦で守備側のAIが城壁の上に上がれずに地上をうろつく。これらは「笑える不具合」というレベルではなく、ゲームとして成立しない致命的な問題として受け取られた。

パフォーマンス面も深刻だった。当時のそこそこのスペックのPC(GTX 670相当)で中程度の設定でプレイしても、大規模戦闘では15fps以下まで落ちるという報告が相次いだ。UI上での兵士の数と実際に描画される兵士の数が大幅に乖離しており、「表記上の数字と実際のビジュアルが一致していない」という根本的な不誠実さも問題になった。

プレイアブル派閥のロック解除を有料DLCとして後出しする商法も批判を集めた。グランドキャンペーンで本来プレイできるはずの派閥が、DLC購入しないと選択できない状態で発売されたことを「最初から切り分けて売るつもりだったのではないか」と疑う声が多かった。

発売初日にプレイした。AIが意味不明な動きをして戦闘が成立しなかった。返金したかったが当時SteamはRefund制度がなかった。腹が立ったが、それでも「ポテンシャルはわかる」と思っていた。

引用元:Steamレビュー

Creative AssemblyのCreative DirectorであるMike Simpsonは、発売直後にフォーラムで謝罪声明を発表した。「Rome IIは複雑な大作であり、PCのハードウェア多様性に対してテストが不十分だった。それは完全に我々の責任だ」と認めた上で、修正パッチの計画を提示した。この謝罪は誠実と評価される一方、「謝罪ではなく修正が欲しい」という声も強かった。

Patch 1からPatch 15まで:1年間の復興作業

発売後の1年間、Creative Assemblyは毎月のようにパッチをリリースし続けた。Patch 1で最も報告の多いクラッシュを修正。Patch 2で戦闘AIの挙動を改善。Patch 3でパフォーマンスを向上。この繰り返しが15回行われた。

転換点になったのはPatch 7あたりから、という評価が多い。「ようやくゲームとして遊べるレベルになった」という声がSteamレビューやフォーラムで増え始め、レビュースコアが「不評」から「賛否両論」に改善された。

そして2014年9月、最終パッチとなるPatch 15のリリースと同時に「Emperor Edition」が発表された。ROME IIを持っているプレイヤーには無償でアップグレードが提供され、新規購入者はEmperor Editionを購入することになった。

Emperor Editionの主な改善点は以下の通りだ。政治システムをほぼ一から再設計し、派閥内政治が機能するようになった。建設チェーン全体を見直し、建物の効果バランスが整理された。戦闘AIが「意味のある判断」をするようになった。視覚的なクオリティも細部まで改善され、兵士のアニメーション・テクスチャ・エフェクトが強化された。

Emperor Editionで2周目を始めたら、全然違うゲームになっていた。AIが普通に戦術を使うし、政治システムも面白い。1年待った甲斐があった。

引用元:4Gamer 読者レビュー

2018年の第二の炎上:女性将軍問題

ROME IIの炎上史には、2018年にもう一つの章がある。アップデートで女性将軍キャラクターが追加されたことに対し、「歴史的に不正確」「強制的なジェンダー政治だ」という批判がコミュニティで噴出し、一時的にSteamレビューが「圧倒的に不評」に転落した。Creative Assemblyがコミュニティスレッドをガイドライン違反として閉鎖したことで、さらに「言論封鎖」という批判も加わった。

この問題は純粋にゲームの質とは別の次元での炎上だったが、Steamの評価システム上ではすべて同じ「不評」として反映されるため、スコアに影響を与えた。現在の評価87%という数字は、この騒動後の「不評爆撃」を乗り越えた結果として見る必要がある。

DLC展開:さらなる時代と派閥を追加

Emperor Editionには最初から複数のDLCが含まれているが、その後もCreative Assemblyは有料の拡張コンテンツをリリースし続けた。ここでは主要なものを紹介する。

Wrath of Sparta:ペロポネソス戦争の時代を再現

紀元前432年、ペロポネソス戦争勃発の時代を舞台にした独立キャンペーン。スパルタ・アテネ・コリントス・ボイオーティアの4派閥がプレイアブルで、22州78地域のギリシャ世界を舞台に戦う。

古代ギリシャの文明らしく「オリンピック競技会」の概念もゲームに組み込まれており、オリンピア・ピュティア・イストミア・ネメアの各大会が年間カレンダーに沿って開催される。大会での勝利が文化的影響力や外交関係に影響するという、歴史的な要素をゲームメカニクスに昇華させた試みだ。グランドキャンペーンには登場しなかった「ホプリタイ(重装歩兵)が全軍の主力」という古代ギリシャ式の戦術を体験したいなら、このDLCが最適だ。

Empire Divided:3世紀の危機とローマ帝国の分裂

2017年11月リリースの「Empire Divided」は、270年ADを舞台にした後期ローマを描くキャンペーンパックだ。「3世紀の危機」として歴史に刻まれる時代、次々と廃位される無能な皇帝たちと簒奪者の乱立によってローマ帝国が経済崩壊の瀬戸際に立たされている。

10のプレイアブル派閥には、ローマ帝国本体・ガリア帝国(事実上西部ローマ)・パルミラ(東方の独立国家)・ゴート族・ペルシャ系のサーサーン朝が含まれる。プレイヤーはこの混乱を収拾してローマ帝国を再統一するか、逆に分裂に乗じて自勢力を拡大するかを選べる。

Empire Dividedで追加された新要素として特筆すべきは「疫病・カルト・盗賊」の3つのシステムだ。アントニヌスの疫病に相当する大疫病がキャンペーン中に発生し、各州の人口・収入・士気を蝕む。秘密結社的なカルトが社会の不安定要因として機能する。街道の安全を脅かす盗賊集団が物資補給に影響する。これらがグランドキャンペーンにはない固有の緊張感を生んでいる。

Empire Dividedは本体よりむしろこっちの方が深い。ローマ帝国の末期感がゲームメカニクスで完璧に再現されていて、滅びゆく帝国を守るプレイ感が独特。

引用元:Steamコミュニティ

DLCの多さへの不満:「えげつない切り売り」という声も

正直に書くと、ROME IIのDLC商法は批判を受けている。スパルタやアテネのような歴史的に著名なギリシャ都市国家がDLCとして切り分けられており、「本来はゲーム本体に含まれるべきコンテンツを後から有料で売っている」という感覚を持つプレイヤーが多い。すべてのDLCを購入すると本体価格を優に超えるコストになる。

ただし、Steam定期セールでは本体が80%オフになることが多く、DLC込みのバンドルもセール対象になる。「セールで一気に買う」という戦略を取れば、コストパフォーマンスは大幅に改善できる。慌てて定価で買わず、セールを待つことを強くすすめる。

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MODコミュニティ:Emperor Editionをさらに進化させる

Total War: ROME II - Emperor Edition その他アクション スクリーンショット4

ROME IIのもう一つの柱が、Steam Workshopを中心とした充実したMODコミュニティだ。Steam Workshopには数千本のMODが登録されており、ゲームのほぼあらゆる要素を改変できる。

Divide et Impera(DEI):歴史的リアリズムの極致

MODコミュニティで最も尊重されているのが「Divide et Impera(DEI)」だ。「分割して征服せよ」というラテン語のこのMODは、ROME IIを歴史的リアリズムの方向に全面的に作り直す「全体改造MOD(トータルオーバーホール)」だ。

DEIの改変範囲は驚異的だ。2,000種類以上のユニットを最初から新設計。建物システムを完全に再構築。AIの戦術判断を抜本的に改変。独自の「人口システム」を実装し、兵を失うと補充が困難になるリアルな消耗戦を演出。独自の「軍改革システム」でローマ軍の歴史的な装備変化を再現。「兵站(補給)システム」で、補給線から切り離された軍が弱体化するメカニクスを追加。これらが組み合わさって、バニラのROME IIとは別ゲームと言っていい深さが生まれている。

DEIはCreative Assemblyからも公式に高い評価を受けており、2014年・2015年のCA公式「ベストオーバーホールMOD」「最も革新的なMOD」「プレイヤーズチョイス」を受賞している。難易度は高く、新規プレイヤーには敷居が高いが、ゲームに慣れたプレイヤーが「もっと深く、もっとリアルに」という方向を求めるなら必須のMODだ。

Radious Mod:遊びやすさとバランスを重視

DEIと双璧をなす人気MODが「Radious Mod」だ。こちらはDEIとは方向性が逆で、「バニラをより遊びやすく、よりテンポよく」することを目指している。ターンが短く、キャンペーンの進行が速く、戦闘がよりダイナミックで派手になる。

「歴史的リアリズムよりも純粋なゲームとしての面白さ」を優先するプレイヤーにはRadiousが向いている。MODが初めてという人や、「まずはカジュアルに楽しんでみたい」という人にも入りやすい。DEIを試してみたいが難しすぎると感じた場合、Radiousで感覚をつかんでからDEIに移行するという順序が多くのプレイヤーに推奨されている。

日本語化MOD:公式対応なしでも遊べる

ROME IIは公式の日本語対応をしていない。しかしSteam Workshopには有志制作の日本語化MODが複数公開されており、サブスクライブするだけでゲーム内テキストを日本語に変換できる。完全対応ではなく一部英語が残る部分もあるが、ゲームを理解するには十分なレベルだ。

またゲームのエンサイクロペディア(マニュアル)は「Total War: Rome II エンサイクロペディア日本語版」として有志がほぼ完全に翻訳・公開しているため、英語が苦手でも情報収集に困ることはほとんどない。日本のTotal Warコミュニティ「Japan: Total War」が長年にわたって日本語化対応とコミュニティ活動を続けてくれており、その恩恵を受けられる。

ユーザーの声:好きなところと不満なところ、両方

Steam総合レビュー87%(53,000件超)という数字の中身を、実際のコメントから掘り下げてみる。好評・不評それぞれに共通するパターンがある。

プレイヤーが最も評価している部分

繰り返し登場するのは「スケール感と没入感」への言及だ。「数千人の兵士が戦場に広がる光景は他のゲームでは体験できない」「土埃と叫び声の中で戦列が崩れる瞬間の臨場感が最高」という声が、国内外のレビューで一致している。

「内政の深さ」への評価も高い。「外征と内政のバランス管理がチェスに似ていてずっと考え続けさせられる」という感想が多く、単純なアクションではなく「頭を使うパズル」としての魅力が評価されている。

大軍を操る心地よさを味わえるゲームは他にはない。敵に見えない場所に騎馬隊を隠して弓で敵を誘い込み、囲んで殲滅する地形を活かした戦いができる。こういう戦術的な自由度が最高。

引用元:Steamレビュー

「MODの充実度」を評価する声も目立つ。「MODを入れることで何百時間でも遊べる」「DEIを入れたら別ゲームになって、もっと深みにはまった」という感想が多く、MOD資産があるからこそ古いゲームでも現役として楽しめているという認識が広まっている。

今でも残る不満点

最も多い不満は「AIの限界」だ。Emperor Editionで大幅に改善されたとはいえ、「長期キャンペーンになると外交AIの判断が不合理になる」「戦闘AIがまだ奇妙な動きをすることがある」という声は残っている。完璧ではない、という正直な評価だ。

「DLC課金の多さ」への不満も根強い。「本体の値段より全DLCの合計金額の方が高い」「セール以外で買うのはコスパが悪い」という指摘は、フォーラムやレビューで繰り返される。これはプレイヤーが完全に正しい指摘であり、本音で言えば「セール待ち」推奨だ。

「ローカライズ対応なし」は日本人プレイヤーには依然として課題だ。有志の日本語化MODで対応はできているが、公式サポートではないため、アップデートによって一時的にMODが機能しなくなることがある。英語ができないと多少困るタイミングが出てくることは正直に書いておく必要がある。

Emperor Editionになってから本当に良くなった。ただAIはまだ完璧じゃない。外交AIが特に、長期になるとおかしな動きをすることがある。MODで補完するのが前提という感じ。

引用元:Steamコミュニティフォーラム

他のゲームとの比較:似ているようで違う個性

Total War: ROME II - Emperor Edition その他アクション スクリーンショット5

ROME IIはその性質上、複数のジャンルのゲームと比較されることが多い。どこが似ていて、どこが違うのかを整理する。

HUMANKINDやCivilization VIと比べると

ターン制の文明発展という大枠は共通しているが、ROME IIはCivilizationに比べて「時代の幅が狭い代わりに、その時代の深度が格段に高い」ゲームだ。CivilizationシリーズはBC4000年から現代・未来まで扱うが、ROME IIは基本的に古代ローマ時代(紀元前3〜2世紀)に特化している。その分、軍事・外交・内政の細部がずっと細かく作られている。

また最大の違いは「戦闘の解像度」だ。Civilizationの戦闘はユニット同士が接触してダイスを振る抽象的な計算だが、ROME IIは実際の地形の上で数千人の兵を動かすリアルタイム戦術になっている。「ターン制のマクロ管理」と「リアルタイムの戦術」の両方が好きな人にはROME IIが、純粋に文明の流れを楽しみたい人にはCivilizationが向いている。HUMANKINDはCivilizationに近い文明史全体を俯瞰するスタイルで、ROME IIとは目指しているものが異なる。

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Broken Arrowや現代戦RTS系と比べると

リアルタイム戦術というジャンルでBroken Arrowと共通しているが、時代・スケール・戦略の深さが根本的に異なる。Broken Arrowは「マルチプレイの対戦」と「現代兵器のリアリティ」が軸で、1ゲームが数時間で完結する。ROME IIは「ソロキャンペーンの長期戦略」が軸で、1キャンペーンが数十〜数百時間かかる。

「現代兵器の操作感に興味がある」なら断然Broken Arrow、「古代の歴史を長期スパンで体験したい」ならROME IIという明確な棲み分けがある。操作の複雑さもBroken Arrowは「ユニットを選んで動かす」シンプルさを意識した設計なのに対し、ROME IIは隊形・地形・士気・フランク攻撃といった要素が組み合わさった複合的な判断が求められる。どちらが優れているという話ではなく、「戦術的思考をどのスケールで楽しみたいか」の好みの問題だ。

Going Medievalやコロニーシム系と比べると

「文明を育てる」という点でGoing Medievalやコロニーシムと重なる部分があるが、ROME IIはより「軍事」と「政治」に比重が置かれている。コロニーシムの「市民の個人生活を管理する」細かさはなく、代わりに「複数の勢力との外交・戦争」という国家レベルの操作に集中している。ROME IIでは1人の兵士の幸福度を管理するのではなく、数千人規模の軍団の士気と補給を管理する。コロニーシムが「密室の積み木遊び」なら、ROME IIは「広大な世界を動かすチェス」に近いイメージだ。

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人気の理由:なぜ2026年でもプレイされ続けているのか

2013年リリースのゲームが、13年後の今も定期的にSteamのセールで上位に来て、毎月数千人がプレイし続けている。その理由を整理すると3つに収束する。

理由1:スケールと歴史的魅力の組み合わせが唯一無二

古代ローマを舞台に数千人規模の軍勢をリアルタイムで指揮する体験は、ROME II以外では得られない。同ジャンルとして比較できるゲームがほとんどなく、「ライバル不在のカテゴリ」で居続けている。

歴史好きにとって「自分でハンニバルの戦術を試す」「アクティウムの海戦の結果を変える」「ローマではなくカルタゴとして地中海を制覇する」という体験は、本や映画では絶対に得られないものだ。歴史への興味が深いほど、このゲームの価値が上がる。

理由2:MODという無限の追加コンテンツ

Steam Workshopに登録されたMODは数千本を超え、新しいMODが今でも定期的に公開されている。Divide et ImperaのようなトータルオーバーホールMODは、バニラとは別の完成度の高いゲームとして機能する。本体を1回クリアしてもMODで別の方向性を試す、という循環がプレイヤーを引き留め続けている。

あるプレイヤーは「バニラで200時間プレイした後、DEIを入れたら500時間溶けた」と語っている。MODを入れることで単純に遊び時間が数倍になるゲームは珍しくないが、ROME IIのMODコミュニティの充実度は特別なレベルにある。

理由3:定期的な大幅値引きによる新規流入

Steam定期セールで本体が80%オフになることが確認されており、この価格帯での新規参入が絶えない。数百円で買えるゲームで100時間以上楽しめると知れば、コスパの良さから購入する人が多い。新規プレイヤーがコミュニティに流入し続けることで、フォーラムやWikiの情報も更新され続けている。

セールで400円くらいで買った。500時間プレイした。1時間あたりのコスパを計算したら驚異的な数字になって笑った。ゲーム史上最高の買い物だったかもしれない。

引用元:Steamレビュー

推奨スペックと実際のパフォーマンス

Total War: ROME II - Emperor Edition その他アクション スクリーンショット6

ROME IIは2013年のゲームということもあり、現代の標準的なPCならほぼ問題なく動く。推奨スペックのGPUはGeForce GTX 560 Ti / Radeon HD 5870相当と、今となっては非常に低い基準だ。現代のミドルレンジ以上のGPUであれば最高設定でもスムーズに動作する。

ただし注意点として、大規模戦闘(最大ユニット数・最高グラフィック設定)を選んだ場合、現代のGPUでも負荷が高くなることがある。兵士の描画数を最大にしたときの計算量はゲームエンジンの設計上の限界が出る部分で、高解像度+最大ユニット数で60fps維持を目指すなら、それなりのCPUパワーが要求される。

ストレージはゲーム本体で約35GB、DLCをすべて追加すると60GB以上になる。SSD推奨だが、ゲームプレイ中のローディングは比較的短く設計されているため、HDD環境でも大きなストレスは感じない。

今でも動くか不安な人への結論として:2015年以降のゲーミングPC相当のスペックなら問題なし。2020年以降のPCなら最高設定でも余裕がある。

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Total War: ROME IIが描く古代世界の文化的多様性

ROME IIの魅力の一つは、古代地中海世界の文化的多様性をゲームメカニクスに落とし込んでいる点だ。ローマ・ギリシャ・カルタゴ・パルティア・バルバロイ(蛮族)という5つの文化圏は、それぞれ異なる建物ツリー・固有ユニット・政治体制・勝利条件を持っている。

ローマ文化圏では、共和政の政治制度が軍事的拡張を支えた歴史的な構造が再現されている。元老院への説明責任、将軍の凱旋式、プロコンスル(属州総督)への任命という歴史的な制度がゲームのシステムとして実装されている。「共和政が帝政に変わる」歴史的な転換点をゲームで体験するImperator Augustusキャンペーンは、この文化的設計の集大成だ。

ヘレニスティック文化圏(ギリシャ・マケドニア・セレウコス朝・プトレマイオス朝)は、哲学と文化を軸にした勝利条件に強みを持つ。「Cultural Victory」を目指すなら、ギリシャ文化圏の派閥は有利な位置に立てる。ただし政治的に細分化されており、外交的な統一が難しいという弱みもある。

パルティアや東方系派閥は騎馬弓兵を中心とした機動戦が得意で、「決戦を避けて消耗させる」というパルティア式の戦術をゲームで体験できる。正面衝突の強さでローマに劣る代わりに、広大なステップを利用した機動戦で優位を作れる。歴史的にローマがパルティアに何度も苦杯をなめた理由が、プレイを通じて体感できる。

蛮族系派閥(ガリア・ゲルマン・ブリタニア・ダキア)はラッシュ戦術と伏兵が強く、序盤に一気に隣接した文明圏を荒らすプレイスタイルが基本になる。経済基盤は弱いが、戦士の個々の戦闘能力は高い。「文明の建設ではなく略奪の連続」という独特なプレイ体験は、他の文化圏とまったく異なる。この「どの文化を選ぶかで基本戦略が変わる」という設計が、100時間プレイしても飽きない要因になっている。

歴史上の有名な戦いをゲームで追体験する

ROME IIのキャンペーンを進めていると、歴史の授業で習った戦いが自然に再現される形になることがある。ローマでプレイすると、カルタゴとの戦争でいずれハンニバル・バルカを擁するカルタゴ軍と正面からぶつかることになる。カンナエの戦い(紀元前216年)でローマが受けた二重包囲の恐怖を、今度は自分がローマ側として体験するか、カルタゴ側として試みるかを選べる。

ギリシャ系でプレイすると、ファランクスを軸にしたマケドニア式重装歩兵の圧倒的な正面戦闘力と、その側面の脆さを同時に管理する必要がある。アレクサンドロス大王がなぜ斜進陣形を使ったのか、なぜ騎兵を決定的な突撃に用いたのかが、プレイを通して実感できる。歴史の教科書で読んだ説明が「そういうことか」と腑に落ちる瞬間がある。

スパルタでプレイするWrath of Spartaキャンペーンでは、テルモピュライの戦いで描かれたような「少数の重装歩兵による地形を活かした防衛戦」がゲームシステム上で有利な戦術として機能する。スパルタの史実の強みと弱みがゲームメカニクスとして表現されており、歴史ゲームとしての完成度を感じさせる。

カルタゴでプレイしてローマとの第二次ポエニ戦争に入った。ハンニバルの二重包囲をカンナエ付近の地形で試したらまさに機能した。教科書で読んだ戦術が実際に使えることに興奮した。

引用元:Steamコミュニティフォーラム

初心者向け:始め方と最初の30時間

Total War: ROME II - Emperor Edition その他アクション スクリーンショット7

ROME IIは情報量が多く、初めてのプレイヤーには最初の数時間が壁になることがある。実際にどう始めるかの指針をまとめておく。

最初のプレイはローマ一択

30以上のプレイアブル派閥の中から最初に選ぶなら、迷わずローマを選ぶことをすすめる。チュートリアルがローマを前提に設計されているため、ゲームの基本的な流れを学びながら進められる。ローマは軍事的に強力で経済基盤も安定しており、「初期の失敗で詰む」リスクが他の派閥と比べて低い。

DEIやRadiousのMODは、バニラで最低10時間は遊んでから導入することを推奨する。ゲームの基本的な仕組みを理解せずにオーバーホールMODを入れると、設定の変化が多すぎて何が何だかわからなくなる。

序盤でつまずくポイントと対処法

初心者が最も多くつまずくのは「財政破綻」だ。最初から大きな軍団を維持しようとすると、軍の維持費が収入を超えて毎ターン赤字になる。序盤は小規模な軍で近隣を制圧しつつ交易施設を整備し、収入が安定してから軍を拡大する順序が正しい。軍団の維持費は規模に比例して増大するため、「軍を大きくすれば安全」という考え方は財政を直撃する。

次によくあるミスは「補給線を無視した遠征」だ。軍団を本拠地から遠く離れた場所に展開し続けると、補充が困難になり弱体化する。兵站を意識した段階的な拡張が、長期キャンペーンを安定させるコツだ。特に蛮族派閥でプレイするとこの問題が顕著で、戦線が伸びすぎると管理しきれなくなる。

政治面では、序盤から他の派閥の影響力を意識することが重要だ。「ゲーム後半になったら気にしよう」と放置していると、特定の政治家の影響力が異常に高まって内戦のリスクが蓄積している状態になる。毎ターン政治画面を確認する習慣をつけると後半が楽になる。大きな戦果を挙げた将軍の影響力が急上昇することが多いため、功績を立てた将軍の政治的動向には特に注意を払う必要がある。

外交については、初心者が意外と軽視しがちな「貿易協定」を早期に結ぶことを推奨する。交易協定は毎ターンの収入を安定的に上乗せしてくれるため、軍事的に弱い序盤の財政を支える重要な手段だ。戦争するより交易した方が長期的に得になるケースが多く、「全方位で戦争しながら帝国を広げる」スタイルは上級者向けだ。

最初の10ターンで財政破綻した。でも2周目は同じ失敗をしないよう逆算して動いた。このゲームはミスから学ぶプロセス自体が面白い。

引用元:Steamレビュー

戦闘で覚えておくべき基本

戦闘の初心者向けアドバイスとして最も重要なのは「騎馬隊を最初から使わない」ことだ。騎兵は側面攻撃や追撃で大きな効果を発揮するが、初心者が正面から突撃させると簡単に溶ける。まず歩兵でぶつかり合う主戦線を安定させてから、その隙に騎兵を敵の側面・背後に回り込ませる「包囲パターン」を覚えることが最初のステップだ。

弓兵の運用も戦闘序盤から重要だ。弓兵を最後列に配置して敵に射かけさせ、特に敵の弓兵・投石器から先に潰していく優先順位を守ると、戦闘が安定しやすい。弓兵を放置して敵の弓兵に撃たれ続けると、歩兵の士気が下がって崩走するという「弱い負け方」が起きやすい。

地形活用は中級者への登竜門だ。丘の上に部隊を配置すると射程と視界が伸びるため、高地を確保してから迎え撃つ戦術が基本になる。川や森を左右の壁として活用し、フランクを切られないよう地形で側面を守るポジショニングが機能し始めると、同じ部隊でも勝率が大幅に上がる。

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マルチプレイ:協力キャンペーンと対戦

ROME IIにはシングルプレイ以外に、2人協力キャンペーンと対人戦闘の2つのマルチプレイモードがある。

2人協力キャンペーン

友人と2人でキャンペーンを同時にプレイできる協力モードが用意されている。各自が別の派閥を選び、同盟を組みながら共通の敵に立ち向かう構成だ。「一人でやると孤独な長期キャンペーンを、友人と役割分担しながら進める」という体験は、シングルプレイとは質の違う楽しさがある。

ただしオンライン協力キャンペーンは「ターンを交互に処理する」仕様のため、お互いのターン処理を待つ時間がある。プレイ時間の拘束が長くなるため、フレキシブルに遊べる友人との方が続けやすい。

対戦(Battle Multiplayer)

戦闘のみを切り出した対人戦も可能で、自分の軍勢を事前に組んで相手と戦う。シングルプレイの戦闘と異なり、相手が人間なので戦術の読み合いが発生する。ただし2026年現在では対戦ロビーの活気が発売当初と比べて低下しており、ランダムマッチングでは待ち時間が長くなることもある。フレンドと遊ぶ前提か、または特定のコミュニティで対戦相手を見つける方法の方が現実的だ。

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まとめ:炎上と復活を経て残った「本物」

2013年のローンチ時に燃えて、2018年に別の理由でもう一度燃えて、それでも2026年の今も数万人がSteamレビューを書き、MOD作者が新作を投稿し続けているゲームはそう多くない。Total War: ROME II – Emperor Editionは、その数少ない例だ。

炎上からの復活という物語だけを取り上げると、「バグだらけのゲームを開発が修正した」という話になる。でも本質的な魅力は別のところにある。「古代地中海の覇権争いを、数千人の兵士をリアルタイムで動かしながら体験する」という体験は、13年経った今も代替が存在しない。その体験の質がEmperor Editionで十分に完成したことで、ゲームの評価が定着した。

正直に言うと、AIはまだ完璧ではない。DLCの商法は批判に値する。日本語公式対応もない。それでも「歴史ストラテジーが好きで、古代ローマの歴史に少しでも興味があるなら」という条件が揃った人にとって、このゲームはセール価格なら文句なくすすめられる。Divide et ImperaというMODが存在する限り、コンテンツの深さで他のゲームに負けることはない。

1,000時間以上プレイしたユーザーがSteamに一定数いる。その人たちが何を見出したのかは、プレイしてみれば自分でわかる。最初のキャンペーンでローマ軍団がカルタゴ軍をぶつかり合う瞬間、その「スケール感」が気に入ったなら、あとは長い旅が始まるだけだ。

発売当初からプレイしていて、炎上も経験した。Emperor Editionで本当に別ゲームになった。今でもたまに起動してDEIで遊んでいる。こういうゲームがずっと残り続けてほしい。

引用元:Steamレビュー(1,200時間プレイヤー)

古代ローマという最高の舞台と、13年分の改善と、コミュニティが積み上げたMOD資産。この3つが揃っているゲームは、今のSteamライブラリの中でも特別な存在だ。

Total War: ROME II - Emperor Edition

CREATIVE ASSEMBLY, Feral Interactive
リリース日 2013年9月2日
サービス中
同時接続 (Steam)
5,779
2026/04/12 アジア圏ゴールデンタイム計測
レビュー
86,446 人気
87.4%
全世界
非常に好評
86,446件のレビュー
👍 75,580 👎 10,866
76.8%
やや好評
69件のレビュー
👍 53 👎 16
価格¥6,580
開発CREATIVE ASSEMBLY, Feral Interactive
販売SEGA, Feral Interactive
日本語非対応
対応OSWindows / Mac
プレイ形式シングル / マルチ
世界観・テーマ 歴史
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