「Subnautica: Below Zero」極寒の星で深海と陸地を探索するサバイバル続編

Subnautica: Below Zero — 極寒の星で深海と陸地を探索するサバイバル続編

はじめてSubnautica: Below Zeroをプレイした夜のことは今でも覚えている。前作のSubnauticaで深海恐怖症を拗らせながらも「これ以上の没入感を持つサバイバルゲームは当分出てこない」と思っていたところに、続編がやってきた。

舞台は同じ惑星「4546B」。でも今回は水中だけじゃない。凍てついた陸地、猛吹雪が吹き荒れるツンドラ、そして前作以上にカラフルで奇妙な深海世界が待っている。研究者として行方不明になった姉を探すというストーリーが軸にあって、前作より明確に「語りかけてくる」作品になった。

この記事ではSubnautica: Below Zeroの全貌を、実際にプレイした体験を交えながら詳しく書いていく。前作との違い、良い点も気になった点も、正直に全部まとめる。


目次

「Subnautica: Below Zero」公式トレーラー

Subnautica: Below Zeroはどんなゲーム?

Subnautica: Below Zero その他アクション スクリーンショット1

Subnautica: Below ZeroはUnknown Worldsが開発した一人称視点のサバイバル・探索ゲームだ。2019年に早期アクセスを開始し、2021年5月に正式版がリリースされた。前作Subnauticaの舞台と同じ惑星4546Bを舞台にしているが、物語の主人公は前作とは異なる人物「ロビン・グロスマン」。

ゲームの基本的な流れは前作と同じ——惑星に不時着した主人公が、限られた資材から道具や潜水艇を自作し、食料と酸素を確保しながらより深い海域へと探索を広げていく。でも今回は惑星の極地が舞台なので、水の中だけでなく凍った陸地での探索もある。寒さという新しい生存要素が加わり、水中と陸地を行き来しながら謎を解き明かしていく設計になっている。

Steamレビューは約6万件で「非常に好評」(全体の約81%が好評)。前作と比べると評価は若干低めだが、それは「前作が傑作すぎた」という文脈での話であり、単体のゲームとして見れば間違いなく高品質なサバイバルゲームだ。

前作との基本的な違い

前作Subnauticaを遊んだことがある人なら、「続編は何が変わったの?」というのが最初の疑問だろう。大きく変わった点をまとめると——

まず舞台が「水中のみ」から「水中+陸地」に拡張された。前作は墜落した宇宙船から脱出する形で惑星に降り立ち、ほぼ水中だけで展開したが、今作は凍てついた北極圏のような陸地エリアが複数追加されている。陸地には独自の生態系と資源があり、探索の幅が広がった。

次に、ストーリーが大幅に強化された。前作はストーリーが比較的希薄で「探索そのものが楽しい」という設計だったが、今作はロビンが音声で独白したり、AIのアルという存在と対話したりと、明確なキャラクターが語りかけてくる。日本語ローカライズも完全対応なので、ストーリーの細かいニュアンスが伝わりやすい。

そして生存要素に「寒さ」が加わった。陸地では体温が下がり、防寒装備が必要になる。水中でも浅い海域より深い海域の方が水温が低い。この体温管理が前作にはなかった要素で、探索の緊張感がさらに増した。

「前作はただ怖くて楽しい潜水体験だったけど、今作は寒さと孤独感が加わって、より過酷な惑星に来てしまった感が出てる。ストーリーも前作より入り込める」

引用元:Steamユーザーレビュー

深海探索の第一歩——序盤の流れを詳しく解説

Subnautica: Below Zeroを起動してから最初の数時間は、このゲームの醍醐味を学ぶ時間でもある。序盤の流れを詳しく書いておくと、初めてのプレイヤーも心構えがしやすいはずだ。

ゲーム開始直後の状況

ゲームは輸送ポッドが惑星に墜落する瞬間から始まる。ロビンは基地の施設から何とか脱出し、浅瀬に投げ出された状態からスタート。インベントリには基本的なサバイバルツールキットが少しだけある。まず最初にやることは「ナイフと素材スキャナーを作ること」だ。

ナイフがあると植物を切って食料になる植物性素材を集められる。素材スキャナー(通称「ハンドスキャナー」)があると周囲の生物と資源をスキャンしてデータバンクに追加できるようになる。このスキャン習慣が後々の攻略に大きく関わってくる。

序盤のエリア「ケルプフォレスト」は比較的安全で、慣れない操作を練習するのに向いている。ただし完全に安全ではない。アクアティックパニッシャーという中型の肉食魚が潜んでいて、こちらを敵視したらものすごいスピードで突進してくる。逃げ方を学ぶ最初の機会がここだ。

最初の夜

このゲームには昼夜サイクルがある。夜になると海中の視界が激減し、生物発光する生物だけが暗闇の中に浮かび上がる。初めての夜は「この暗さは何事だ」という驚きとともに、探索より身の安全を優先せざるを得ない状況になりがちだ。

潜水艦型の一時拠点(シーグライダー)が確保できていれば、水面近くで一晩やり過ごすことができる。ゲームの最初の数時間は「夜をどう乗り越えるか」という生存の基本を学ぶ時間になっている。

探索範囲の拡大

装備が整うにつれて、探索できる範囲が広がる。最初は水深30メートル程度しか潜れないが、酸素タンクのアップグレードを作ることで水深50メートル、100メートルと少しずつ深く潜れるようになる。

探索範囲が広がるたびに新しいバイオームが現れ、新しい資源と生物が見つかり、データバンクの情報が増え、次のクラフトのレシピが解放されていく——この連鎖がSubnauticaの中毒性の正体だ。「もうちょっとだけ深く潜ってみよう」が止まらなくなる構造は、今作でも健在だ。

「序盤の数時間で完全に引き込まれた。気がついたら朝になってた。この感覚、前作と同じだ」

引用元:Steamユーザーレビュー

物語の軸——行方不明の姉を探す旅

Subnautica: Below Zero その他アクション スクリーンショット2

Subnautica: Below Zeroの物語は、研究者のロビン・グロスマンが行方不明になった姉サムを探して惑星4546Bに降り立つところから始まる。サムは企業「Alterra」の研究者として4546Bに駐在していたが、ある事件をきっかけに消息が途絶えた。

ゲームを進めると、姉が何を研究していたのか、なぜ消えたのか、そして企業が何を隠しているのかが少しずつ明らかになる。前作では「生きて脱出する」という明確な目標があったが、今作では「真実を追いながら生き延びる」という二重の目標が設定されている。

もうひとりの重要なキャラクターが、ロビンの頭の中に宿るエイリアン「アル」。彼は高度な知性を持つ宇宙人で、ロビンの体内に宿ることで意思疎通ができるようになった存在だ。アルは惑星4546Bについての情報を持っているが、彼自身も目的を持ってロビンに接触している。このロビンとアルの関係が、今作のストーリーの核心にある。

前作のストーリーは「無人の星で一人ぼっちの恐怖」が際立っていたが、今作はアルという「話し相手」がいることで、孤独感のベクトルが少し変わった。より人間ドラマ寄りの展開になっていて、「探索+物語」のバランスが前作とは異なる。この変化を好む人と、前作の純粋な孤独感を好む人で評価が分かれる部分でもある。

ストーリーの進め方と自由度

ゲームの進行はオープンワールド的で、特定の順番でクエストをこなす強制はほとんどない。探索しながらデータパッドや音声ログを集め、少しずつ物語の全貌が見えてくる。

ただし、前作と比べると「ストーリー誘導」が若干強めになっている。アルが定期的に次の目的地を示唆したり、ロビンが独白で状況を整理したりすることで、「何をすればいいか分からない」という迷子になりにくい設計になった。これは良い変化ではあるが、前作の「完全に自力で謎を解く感」が好きだった人からは「ヒントが多すぎる」という声も上がっている。

「アルが案内してくれるのは親切なんだけど、前作で自力で遺跡を見つけた時の感動はないかも。でもそれはそれで良い体験だと思う」

引用元:Steamユーザーレビュー

新バイオーム——極寒の水中と陸地の多様性

Subnautica: Below Zeroの最大の魅力のひとつが、バイオームの多様性だ。前作でも複数の海域があったが、今作では陸地バイオームが追加されたことで、ゲームの色が大きく変わった。

水中バイオーム

「ケルプフォレスト」は前作でもおなじみの浅瀬エリア。巨大な昆布が茂る中を魚が泳ぐ、比較的安全な序盤のエリアだ。食料確保の起点になる。

「トワイライトゾーン」は中深度の薄暗い海域。生物の密度が下がり、静寂と不安が漂う。このエリアあたりから「もっと深く潜りたい」という誘惑と「でも何がいるか分からない」という恐怖のせめぎ合いが始まる。

「クリスタルゾーン」は今作の目玉バイオームのひとつ。巨大な結晶が林立する幻想的な深海で、透明感のある青白い光の中を進む体験は唯一無二だ。初めてここに到達した時の「なんだここは…」という感情は、サバイバルゲームで久しぶりに感じた純粋な驚きだった。

「プリスタインベイスン」は非常に深い海域で、このゲーム最大の生物が生息するエリア。前作にはいないタイプの巨大生物が登場し、プレイヤーを歓迎(?)してくれる。詳細は自分で確かめてほしいが、初遭遇時のインパクトは前作に引けを取らない。

「ヒドロサーマルベント」は熱水噴出孔が多数ある特殊な海域。高温の熱水が噴き出し、独自の生態系が形成されている。寒い星の中で熱水が噴き出す環境のコントラストが印象的だ。

陸地バイオーム——今作最大の新要素

前作との最大の差別化ポイントが陸地の存在だ。4546Bの北極圏相当の陸地エリアには、水中とは全く異なる生態系がある。

「アークティックケルプフォレスト」は海岸沿いの浅瀬と陸地の境界エリア。半陸生の生物が多く、水中と陸地の両方を行き来しながら探索できる。

「フォレストオブソル」は陸地の中でも最も多様な植生を持つエリア。前作では見られなかった大型の陸生植物が自生し、食料資源も豊富にある。

「グレイシャルベイスン」は氷河が広がる内陸部。ここが陸地探索のクライマックスで、嵐の時には視界がほぼゼロになる猛吹雪が発生する。防寒装備なしで探索すると体温が急低下し、あっという間に行動不能になる。

陸地では潜水艇が使えないため、徒歩または乗り物での移動が基本になる。今作から追加された「スノーフォックス」というホバーバイクが陸地探索の頼もしい相棒になる。スノーフォックスの操作感はなかなか気持ちよく、陸地エリアの広さも相まって「探索してる感」がしっかりある。

「クリスタルゾーンは本当に美しかった。深海の怖さと美しさが両立してて、ゲームの中の風景で感動したのは久しぶり」

引用元:Steamユーザーレビュー

生存メカニクス——前作からの進化と新要素

Subnautica: Below Zeroのゲームプレイの根幹は「生き残ること」だ。食料、水分、酸素の管理は前作と同じだが、新たに「体温」という要素が加わった。

体温管理と防寒装備

陸地では外気温が非常に低く、防寒装備なしで行動すると体温ゲージが急速に低下する。嵐の時はさらに厳しく、体が凍えるほどの寒さの中で目的地を目指す必要がある。

体温を維持するには防寒スーツが必要で、これをクラフトするためにも探索が必要になる。前作では「酸素が切れそうなのに美しい遺跡から離れたくない」という葛藤があったが、今作では「体温が下がってきたのに遺跡の奥に進みたい」という新たな葛藤が生まれる。

面白いのは、深い海域でも水温が低いエリアがあることだ。特定の深度に達すると水温が下がり、長時間滞在すると体温に影響する。ダイビングスーツのアップグレードで耐寒性を高めることで、より深い・より寒い海域への探索が可能になる。

クラフトと技術ツリー

前作と同様に、探索で収集した資源を使って道具、装備、設備をクラフトする仕組みはそのまま引き継がれた。最初は素手で岩を割るような原始的な状態から、最終的には核融合炉で動く海中拠点と大型潜水艇を持つまでに発展する。

今作の新ビークルとして「シートラック」が追加された。前作のシームスとプローンスーツの中間的な存在で、モジュール式の特徴が面白い。シートラックはモジュールを追加することで機能を拡張できる——収納拡張モジュールで荷物スペースを増やしたり、スリープモジュールで艦内で休眠したり、水槽モジュールで魚を飼育したりと、カスタマイズ性が高い。

前作のシームスは「小回りが利く偵察用」で、プローンスーツは「大型の機動スーツ」というキャラクターが明確だったが、シートラックはこれらの中間的な「なんでもできる汎用艇」という性格を持つ。今作では前作の人気ビークル「シームス」が登場しないことに残念がるユーザーも多かった。

「スノーフォックス」は前述の陸地用ホバーバイク。専用のホバーパッドから発進・着艦する仕組みで、慣れるまで少し操作が独特だが、慣れれば陸地探索が格段に快適になる。

「シートラックのモジュール拡張が楽しい。最終的には移動拠点みたいな巨大な連結艇になってて、海中を長距離移動するのがロマンある」

引用元:Steamユーザーレビュー

拠点建設

前作と同様に、Habitatビルダーで海中・陸上に拠点を建設できる。チューブ状の居住モジュールを繋ぎ合わせて自分だけの基地を作る感覚は変わらない。

今作では陸地の拠点建設が加わったことで、「深海基地と陸地基地の二拠点運営」という楽しみ方も生まれた。海中探索の帰還場所となる深海基地と、陸地探索の中継点となる地上基地を整備していくと、惑星全体に根を張っていく感覚が生まれる。

ただし拠点建設のロマンに関しては前作の方が上という意見も多い。前作の深海深くに建設した研究施設のような「完全な海中生活」の圧倒的な没入感と比べると、陸地と海中を行き来する今作の構造は少し分散した印象を与えることもある。これは一長一短で、「より多様な体験ができる」と見るか「前作の純粋な没入感が薄れた」と見るかでプレイヤーの評価が分かれる。

生物——前作と変わらぬ独自の生態系

Subnautica: Below Zero その他アクション スクリーンショット3

Subnauticaシリーズの大きな魅力のひとつが、完全に独自の生態系を持つ惑星生物の設計だ。現実の海の生物をベースにしつつも、4546B独自の進化を遂げた生物たちは見た目も行動もユニークで、スキャンしてデータバンクに登録していくコレクション要素としても楽しめる。

穏やかな生物たち

「ブリネック」は今作を代表する友好的な大型生物。クジラのような巨体を持ち、海中をゆったりと泳いでいる。敵意はなく、プレイヤーの傍を泳いでいても攻撃してこない。この巨大な生物が目の前を横切る瞬間は、今作の中でも特に印象的なシーンのひとつだ。

「アークティックペッパリー」は陸地に生息する大型の草食動物。前足が非常に発達していて、四足歩行と二足歩行を切り替えながら移動する。不思議なビジュアルだが攻撃性はなく、近づいても逃げるだけ。

「クピン」は小型の魚で、集団で泳ぐ習性がある。食料源としても重要で、序盤の生存に大きく貢献する。前作の「ブレイドフィッシュ」に相当する存在だ。

危険な生物たち

「アクアティックパニッシャー」は序盤から登場する中型の肉食魚。見た目は細長く、突進攻撃が鋭い。浅瀬でも普通に遭遇するため、序盤の脅威として機能している。

「グリモール」は今作の中型脅威生物。テリトリーを持っていて、エリアに侵入すると攻撃してくる。倒すより回避した方が安全なケースが多い。

「シャドウレビアタン」は今作最大のトラウマを生む存在。深いエリアに潜む超大型生物で、前作のリヴァイアサン系生物と同様に「見つかったら終わり」という圧倒的な圧力を持つ。初遭遇時の絶望感は前作に引けを取らない。

「アイスワーム」は陸地エリアに生息する巨大なワーム型生物。地中から突然飛び出してスノーフォックスを攻撃してくる。陸地探索の新しい恐怖として機能していて、「水中の怖さとは違う恐怖」をうまく表現している。

生物スキャンとデータバンク

すべての生物はスキャンツールで調べることができ、データバンクに生態情報が追加される。これが単なるゲームデータにとどまらず、Unknown Worldsが丁寧に書き込んだ生態系の物語が詰まっている。スキャンした生物の食性、生態、進化の過程が科学的な文体で記述されていて、読むだけで惑星4546Bへの愛着が深まる仕組みだ。

生物図鑑を全部埋める「コンプリート」を目標にするプレイヤーも多く、「スキャンしたくて危険な場所に突っ込む」という本末転倒な事態もよく起きる。

「ブリネックの傍を一緒に泳いだ時、怖いとかじゃなくて、純粋に感動した。敵じゃない大型生物ってこんなに良いものなんだな、と思った」

引用元:Steamユーザーレビュー

前作との比較——どちらを先にやるべきか

「前作Subnauticaをやっていないが、Below Zeroから始めていいか」という質問は非常に多い。結論から言うと、前作から始めることを強く推奨する。ただし理由は「ストーリーが繋がっているから」ではなく、「体験の順序として前作を先にやった方が圧倒的に感動が大きいから」だ。

前作Subnauticaは、惑星に一人取り残された完全な孤独感と、深海という未知の恐怖が組み合わさった体験が核心にある。ゲームメカニクスも比較的シンプルで、「まず生き残れ」という原始的な緊張感がずっと続く。

一方Below Zeroは、アルという話し相手がいる分だけ孤独感が薄れ、ストーリーの誘導がある分だけ「次に何をすべきか」が分かりやすい。これは悪いことではないが、前作の「完全な未知の世界に放り込まれた感」を先に体験してからBelow Zeroに来ると、「ああ、今作は少し親切になったな」という差分が感動として機能する。

逆に言うと、Below Zeroから始めると前作の純粋な恐怖と孤独感が「こんなに厳しかったのか」という驚きとして体験できる。どちらも素晴らしい体験だが、設計の意図からすると前作→Below Zeroの順番が作られた文脈に合っている。

前作の方が優れている点

多くのプレイヤーが指摘するのは、前作の「完全な孤独感と恐怖」だ。ストーリーが希薄な分、プレイヤー自身が世界を解釈する自由度があった。遺跡の意味、生物の生態、惑星の歴史——すべてが「ヒントはあるが答えは教えてくれない」形で提示されていた。

また前作の最後、脱出の条件が整った時の達成感は、今作では再現できない。「すべてを自力でやりきった」という感覚は前作特有のものだ。

前作の水中ビークル「シームス」への愛着も根強い。小型でスピーディーなシームスは多くのプレイヤーに愛され、今作で廃止されたことへの不満は今も続いている。シートラックは良い代替品だが、シームスの独特の機動性は別物だ。

Below Zeroの方が優れている点

ストーリーの完成度は今作が圧倒的に上だ。ロビンというキャラクターは個性が明確で、アルとの関係性の変化がゲームに感情的な深みを与えている。前作のストーリーが「背景設定」レベルだったとすると、今作は「物語」と呼べる水準に達している。

バイオームの多様性も今作が上。陸地の追加により、水中の美しさと陸地の荒涼とした美しさが対比される構造になっていて、視覚的な体験の幅が広がった。クリスタルゾーンのような「前作にはなかった美しさ」を持つバイオームも複数ある。

日本語ローカライズの完成度も今作の方が高い。前作も日本語対応しているが、今作はキャラクターの声優演技も含めてローカライズの質が高く、ストーリーへの没入感が増している。

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生存系サバイバルゲームが好きで、前作Subnauticaをクリア済みなら、ICARUSもおすすめだ。惑星探索と生存というテーマが共通していて、大気圏外からミッションで降下して資源収集するという独特の設計が面白い。

クラフトの深さ——資源収集から完全な拠点まで

Subnautica: Below Zero その他アクション スクリーンショット4

Subnauticaシリーズの楽しさの大きな部分を占めるのが、何もない状態から少しずつ技術力を高めていくクラフトの過程だ。今作もこの設計は変わっておらず、最終的な技術ツリーの先端まで行くとゲームの世界が全く異なって見えるほどに変化する。

素材収集の流れ

ゲーム序盤の素材収集は水中の岩を手で割ってチタニウムや石英を集めるところから始まる。この原始的な行動が、やがて深海底に建設した巨大な核融合炉動力の海中拠点に繋がるとは、最初はなかなか想像できない。

素材にはいくつかのカテゴリーがある。鉱石系(チタニウム、銅、鉛、銀、金、マグネサイトなど)、有機物系(植物・生物から取れる素材)、合成素材(複数の素材を加工して作るもの)。深い海域に潜るほど希少な鉱石が見つかり、それを使った高性能な装備が作れるようになる。

クラフトメニューは「ファブリケーター」という機械で操作する。最初は携帯型のサバイバルナイフ程度しか作れないが、設計図(データパッドや研究者の録音から見つかる)を集めることで作れるものが増えていく。「この素材を集めたら何が作れるんだろう」という探索モチベーションと、「この設計図があれば次の段階に進める」という目標設定が絶妙に噛み合っている。

深海専用装備の充実

「強化ダイビングスーツ(Reinforced Dive Suit)」は深海探索に必須の防護スーツ。物理的な攻撃に対して耐性を持ち、前作ではレビアタン系の攻撃を数回耐えることができた。今作でも生物の攻撃による即死リスクを減らす重要な装備だ。

「ニトロゲンダイビングスーツ」は窒素を使ったジェット機能で水中での機動力を高める装備。深海での素早い移動が必要な場面で活躍する。前作のプロペルションキャノン(物体を射出する機器)に相当するユニークな使い方ができる機器も今作には存在する。

「クワッドダイビングスーツ(Seatruck)の拡張モジュール」は今作特有の楽しさのひとつ。シートラックに連結できるモジュールの種類は多く、プレイヤーによって全く異なる「自分のシートラック」が完成する。大量の収納スペースを持つ物資運搬型にするか、スリープポッドと水槽を装備した長期探索型にするかは完全に自分次第だ。

海中拠点の発展段階

海中拠点の建設は3段階に分けて考えると分かりやすい。

第1段階は「生存拠点」。最低限の生命維持設備を整えた小さな居住モジュール。酸素を補給できる機器、水を精製できる機器、食料を調理できる機器があれば生存拠点として機能する。ゲーム序盤〜中盤でここまで達成できれば探索の安全基地になる。

第2段階は「研究拠点」。各種クラフト機器(高度なファブリケーター、改造ステーション)を設置して、より高度な装備や道具を制作できるようになる。この段階になると探索できる海域が一気に広がる。

第3段階は「完全拠点」。核融合炉や熱水発電機で独立した電源を持ち、水耕栽培で食料を自給できる。通信アレイや外部カメラを設置して惑星全体を監視できるようになる段階。ここまで来ると「ただのプレイヤー」から「惑星に根を張った探険家」になった感覚がある。

「拠点を作り込むのが楽しすぎる。熱水発電機と水耕栽培が整った時「もうここで一生暮らせる」って思った」

引用元:Steamユーザーレビュー

難易度設定とゲームモード

Subnautica: Below Zeroには複数の難易度設定があり、プレイスタイルに合わせて選べる。

フリーダムモード

食料・水分の管理が不要になるモード。ゲームメカニクスよりも探索やストーリーを楽しみたい人向け。死亡のリスクは残るが、生存管理のストレスがなくなることで探索に集中できる。初心者や、前作をクリア済みで今回は純粋にストーリーを追いたい人に向いている。

サバイバルモード(デフォルト)

食料・水分・酸素・体温のすべてを管理する標準設定。死亡するとインベントリが一部ドロップするが、自分でリスポーンして回収できる。このゲームの本来の緊張感を楽しみたい人はこれ。

ハードコアモード

死亡するとデータが消えるパーマデス設定。このモードでプレイすると、一度の決断がすべてになる重さが加わる。食料が尽きかけている時の「このまま探索を続けるか、拠点に戻るか」という判断が、文字通り命懸けになる。慣れたプレイヤーへの挑戦として用意されているモードだ。

クリエイティブモード

すべての生存要素が無効化され、クラフトも即座に完成するモード。建築や探索に特化したい人向け。ゲームのロア(世界観と物語)を深掘りしたい時や、純粋に美しい基地を建設したい時に使える。

難易度選択の柔軟性は前作から引き継がれた良いシステムで、「怖いゲームが好きだけど生存管理は面倒」という人でもフリーダムモードで探索に集中できる。ゲームの核心である深海探索と物語は全モードで変わらない。

Alterra社とエイリアンの謎——世界観の奥深さ

Subnautica: Below Zeroの世界観は、前作から引き継いだ大きな設定の中に成り立っている。「Alterra」という巨大な宇宙開発企業の存在、惑星4546Bの古代文明「プレカーサー」の遺跡、そして今作で新たに登場するエイリアン「アル」の存在——これらが複雑に絡み合う物語は、ゲームのロア(設定・世界観)として探れば探るほど深みが増す。

Alterra社の正体

前作でも登場したAlterraは、太陽系規模の宇宙開発・採掘企業だ。惑星4546Bにも資源採掘と研究のために多数の研究者を派遣していた。今作の主人公ロビンの姉サムもAlterraの研究者としてこの惑星に来ていた。

Alterraは「ウイルス感染した海洋生物の資源としての採掘」を行っていたとされ、これがサムとの対立の発端になっていた。企業の利益と惑星の生態系保護というテーマは、今作のストーリーの裏に一貫して流れている。この企業批判的なテーマは前作でも存在したが、今作ではより明示的に語られている。

データパッドや音声ログを丁寧に集めていくと、Alterraの内部告発メール、研究者同士の対立、企業の隠蔽工作といった断片的な証拠が積み重なってくる。メインストーリーを追うだけでは見えない「裏のストーリー」が、ロアを探ることで浮かび上がる設計だ。

プレカーサーの遺跡

前作で登場した古代宇宙人「プレカーサー」の遺跡は今作にも存在する。高度な技術で建設された建造物が惑星各地に残っていて、探索の目的地として機能している。

今作のプレカーサー遺跡は前作のものと建築様式が異なり、より有機的なデザインになっている。前作の遺跡が「機能的な研究施設」という印象だったのに対して、今作の遺跡は「生態系との共存を意識した建造物」という印象を受ける。これは作中でも言及される惑星の歴史と関係している。

アルという存在の意味

今作で最もユニークな設定が「アル」だ。ロビンの頭の中に宿る宇宙人として登場するアルは、最初は謎めいた存在として現れるが、ゲームが進むにつれて彼の背景と目的が明らかになる。

アルは単なるナビゲーターではなく、彼自身が解決すべき問題を抱えた存在として描かれている。ロビンとアルは互いに相手を必要としながら関係を深めていくが、その利害関係は途中から変化していく。この関係の変化がゲームのエモーショナルな核心になっていて、エンディングに向けての感情的なクライマックスをうまく作り出している。

アルの存在を「うっとうしい案内役」としか見ないか、「自分も孤独な存在として共感できるキャラクター」として見るかで、今作のストーリー評価が大きく変わる。前作の孤独感に慣れていると最初は違和感があるが、最後まで遊ぶとアルの設計の意図が分かってくる。

「最初アルのことが好きじゃなかったけど、エンディングに近づくにつれて感情移入してた。クリア後に見直したら、序盤から伏線がいくつもあって驚いた」

引用元:Steamユーザーレビュー

グラフィックと音響——没入感を支える表現

Subnautica: Below Zero その他アクション スクリーンショット5

Subnautica: Below Zeroの没入感を支える重要な要素が、グラフィックと音響だ。2021年にリリースされたゲームとして、現在のゲームと比べると最新鋭とは言えないが、水中の表現に関してはいまだに他のゲームが追いつけていない部分がある。

水中グラフィックの完成度

光の屈折、水の濁り、生物発光、植物の揺れ——水中環境の表現は前作から進化していて、特に深海の「暗さの中の美しさ」は圧倒的だ。ライトをつけると照らされた範囲だけが見え、その外は漆黒という演出は、水中探索の緊張感を高める重要な要素だ。

陸地のグラフィックは水中ほどではないが、吹雪の表現は良くできている。視界がゼロに近くなる猛吹雪の中で、コンパスと記憶だけを頼りに拠点を目指す体験は、天候システムの使い方として上手い。

サウンドデザイン

このゲームのサウンドデザインは特筆すべきレベルだ。水中では全く異なる音の世界が広がる——自分の呼吸音、水が動く音、遠くから聞こえる生物の鳴き声。深海に降りるほど音が変わり、より不安な音が聞こえるようになる。

レビアタン系の巨大生物が近づいてくる時の地鳴りのような効果音は、画面に映っていなくても「何かがいる」という恐怖を生み出す。音だけで危険を察知して回避するプレイが自然に生まれる設計になっている。

前作で高い評価を得たSimon Chylińskiによるアンビエントサウンドトラックは今作も継続。水中に潜る時の静けさと、生物のいるエリアに来た時の音楽的変化が、探索の感情を丁寧にサポートしている。

「イヤホンで夜中にプレイするのが最高。水の音、生物の声、自分の呼吸音。完全に深海にいる感覚になれる」

引用元:Steamユーザーレビュー

深海探索の恐怖演出——このゲームが怖い理由

Subnauticaシリーズが他のサバイバルゲームと一線を画す要素のひとつが、恐怖演出の巧みさだ。モンスターが直接攻撃してくる恐怖ではなく、「見えない何かがいる」という原始的な恐怖を使っている。

音による恐怖の先出し

特定のバイオームに近づくと、画面には何も映っていないのに音が変わり始める。遠くからゆっくりとした唸り声、地鳴りのような低音、水が大量に動く音——これらが聞こえてきたら、周囲を見渡すよりも「何かが来る」と分かる前に逃げ始めた方が良いことが多い。

Subnautica: Below Zeroではシャドウレビアタンのアンビエントサウンドが特に恐ろしい。彼らが遠くにいるだけで独特の音が聞こえ、それが徐々に近づいてくる経験は、ホラーゲームのそれに近い。

視界の制限という恐怖

深海では光がなければ何も見えない。携帯ライトを持っていても、照らせる範囲はごく限られている。ライトの届かない暗闇の向こうに何がいるか分からない——この状況が延々と続く。

前作で「テレポーテーションレビアタン」が暗闇から突然現れてプレイヤーを瞬間移動させるという恐怖演出があったが、今作のアイスワームも同じ手法で使われている。地中から突然出現して視界に入ってくる登場の仕方は、音では事前察知できない分だけ純粋な「驚き」の恐怖になっている。

孤独という恐怖

ゲームとして「怖い」と感じる要素は上記だが、Subnauticaの恐怖には「孤独」という感情的な恐怖も含まれる。広大な惑星の深海に、たった一人でいる。助けを求める相手もいない。脱出手段も今は持っていない。

今作はアルという同行者がいるため前作より孤独感は薄まっているが、それでも「この惑星に人間は自分一人」という事実は変わらない。特に探索が深海の奥へ進むほど、無線すら届かない場所に踏み込んでいく感覚が生まれる。

ゲーム内に「無線通信」という概念が存在していて、特定の深度より深くなると通信が途絶える演出がある。陸地の拠点やシートラックとの通信が切れた状態で、暗い深海をひとり泳ぐ体験——この設計の意図は「孤独」そのものを体感させることだ。

「深海でライトを消してみたら、本当に何も見えなくなった。この虚無感は他のゲームでは体験したことがない」

引用元:Steamユーザーレビュー

ネガティブな評価も正直に——気になる点

Subnautica: Below Zeroは素晴らしいゲームだが、前作と比べてバジェットが「非常に好評(81%)」と数字が下がった理由は正直に言うと存在する。前作への思い入れが強いプレイヤーほど感じやすい点をまとめる。

前作の孤独感が薄れた

最もよく聞かれる批判が「アルがうるさい」という意見だ。前作では本当に一人ぼっちで、環境音と自分の思考だけが友だった。今作ではアルが頻繁に話しかけてきて、その賑やかさが前作の「宇宙の孤独」を希薄にしていると感じるプレイヤーは多い。

アルというキャラクターの設計は前作の孤独感とある種の矛盾を抱えている。面白いキャラクターではあるのだが、「Subnauticaはあの孤独感が本質だった」と思っているプレイヤーには合わない部分になっている。

早期アクセス期間の迷走の痕跡

Below Zeroは2019年から約2年間の早期アクセス期間中に、ストーリーの方向性が一度大幅に変更された。初期バージョンでは主人公は現在のロビンではなく、全く異なるストーリーが用意されていた。正式版では現在の形に再構築されたが、早期アクセス版をプレイしていたユーザーは「あのストーリーの方が良かった」という意見も残している。

ゲーム全体の完成度は正式版では整理されているが、「前の方向性の方が良かった」という声はSteamレビューにも散見される。これは制作過程の迷走が影響を与えた部分だ。

前作にあった「シームス」がない

前作のシームス(小型潜水艇)への愛着は根強い。小回りが利いて素早く、深い海域の偵察に向いていたシームスは多くのプレイヤーの相棒だった。今作のシートラックは汎用性が高く使いやすいが、シームスの代替品としては物足りないと感じるファンも多い。

この点はリリース当初から継続して指摘されていて、シームスの不在は今作の数少ない「退化した点」として語られることが多い。

マップの広さと密度のバランス

前作と比べてマップが若干小さく、探索の密度が異なるという指摘もある。ただしこれは人によって評価が分かれる点で、「コンパクトで完成度が高い」と見るか「物足りない」と見るかはプレイスタイルによる。

陸地エリアの追加により総面積では前作と同等程度だが、水中探索の純粋なボリュームでは前作が上という意見が多い。前作の海域は非常に広く、探索しきるまでに多くの時間がかかった。

「アルは好きなんだけど、あのキャラがいることで前作の「この星には自分しかいない」感が出なくなった。どっちが良いかは人による」

引用元:Steamユーザーレビュー

Subnautica 3(次回作)の展望

Subnautica: Below Zero その他アクション スクリーンショット6

Unknown Worldsは2024年にSubnauticaの次回作となる「Subnautica 3」の開発を発表した。詳細は現時点ではほとんど公開されていないが、前作2作の評価を踏まえた完全新作になることが示唆されている。

前作2作のプレイヤーベースは非常に忠実で、シリーズへの期待値は高い。Subnautica 3への期待として語られるのは「前作2作の孤独感の再現」「より広いマップと多様なバイオーム」「戦闘要素を入れないでほしい(探索ゲームの純粋さを保ってほしい)」といった声が多い。

特に「戦闘システムを入れないでほしい」という声は興味深い。前作2作とも基本的に戦闘がなく(生物に一方的に襲われるが、プレイヤーから攻撃する手段が限られている)、その「逃げるか隠れるかしかない」という設計がこのシリーズ独自の恐怖を生んでいると評価されている。

Subnautica 3のリリース時期はまだ未定だが、前作2作からのサバイバルゲームの進化を踏まえた作品になることへの期待は大きい。Below Zeroが示した「ストーリーとキャラクターの充実」と「前作の孤独感の再現」がどう両立されるかが、次回作の最大の注目点だろう。

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こんな人に向いている——プレイ前のチェックリスト

Subnautica: Below Zeroが向いている人と、そうでない人をまとめておく。

ハマりやすい人

前作Subnauticaをプレイして面白かった人は間違いなく楽しめる。前作の世界観と生物が好きで、続きが見たい人には前作の余韻を活かしながら新しい体験ができる。

キャラクターが語りかけるストーリードリブンなゲームが好きな人にも向いている。ロビンとアルの掛け合いは前作にはなかった感情的な豊かさを持っていて、ストーリーに乗っていける人には強い没入感を提供する。

深海の神秘的な美しさが好きな人。水中グラフィックの完成度は依然としてトップクラスで、「深海を探索する体験」の純粋な完成度は2026年現在でも数少ない作品のひとつだ。

サバイバルゲームが好きだが「戦闘重視じゃないもの」を探している人にもおすすめ。このゲームの生存要素は探索と資源管理が中心で、戦闘スキルよりも知識と計画が生死を分ける。FPSや格闘ゲームが得意でなくてもプレイできる設計だ。

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合わない可能性がある人

前作の孤独感と恐怖こそがSubnauticaだと感じていた人は、今作のアルの存在が邪魔に感じる可能性がある。これは好みの問題だが、前作の体験がベースにある人ほど違和感を覚えやすい。

水中探索の長時間プレイが苦手な人にも向かない。前作もそうだが、このゲームは「水の中に長くいる」体験を繰り返す設計で、閉所恐怖症的な感覚や深海恐怖症がある人は身体的な不快感を覚えることがある。

アクション重視のサバイバルゲームを求めている人にも合わない。武器を持って敵を倒して進む系のゲームではなく、探索と管理が主体のゲームだ。前作2作を通じて戦闘はほぼ「逃げる」一択で、これを「物足りない」と感じる人には向いていない。

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プレイ時間とボリューム

Subnautica: Below Zero その他アクション スクリーンショット7

Subnautica: Below Zeroのボリュームについて、具体的な時間感覚を整理する。

メインストーリーだけを追うなら20〜25時間程度でクリアできる。ただし「スキャンできる生物は全部スキャンしたい」「拠点をもっと充実させたい」「すべてのデータパッドを読みたい」という欲が出ると40〜60時間はあっという間に溶ける。

前作と比べると若干コンパクトな設計で、「ストーリーをメインに遊ぶなら20時間程度」という感覚は前作より短い。前作は探索だけで50時間超のプレイヤーが多かった。この点はボリューム的な物足りなさとして指摘されることがある。

一方でコンパクトな分、ストーリーの密度は高く、「だれる区間がない」という意見も多い。前作の中盤以降は「次の目的地が分からなくて彷徨う時間が長い」という体験があったが、今作はアルのナビゲーションによって停滞時間が短くなっている。

ハードコアモードでのパーマデスプレイは総プレイ時間が大幅に増える。一度死ぬとやり直しになるため、準備と慎重な行動が必要になり、同じマップでも全く異なる緊張感で遊べる。

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実際のユーザーの声——Steamレビューを読み解く

Steamレビューで好評と不評、それぞれどんな意見が多いかを整理する。

好評の傾向

「前作が好きなら買って後悔しない」という意見が最も多い。続編として世界観の継続性があり、新しいバイオームと生物を楽しめる点が高く評価されている。

「ストーリーが前作より面白い」という評価も多い。特にアルとロビンの関係性の変化に感動したというレビューが目立つ。前作のストーリーが希薄だったと感じていた人には今作の物語の充実度が刺さっている。

「日本語対応が完璧で没入できた」という意見も多い。日本語音声も含めたフルローカライズは、ストーリー重視の今作において重要な強みだ。

不評の傾向

「前作の孤独感がなくなった」という批判が最も多い。アルの存在が前作の本質を壊しているという意見は、不満のレビューのほぼ全てに含まれている。

「前作より短い」「物足りない」という声も多い。前作で100時間以上遊んだプレイヤーが多く、今作の20〜30時間でのクリアに物足りなさを感じるケースが多い。

「シームスがない」は根強い不満として継続して出てくる。前作のシームスへの愛着はファンコミュニティの中でも非常に強い。

「前作のファンとして今作もプレイした。アルのことは最初うっとうしいと思ってたけど、最後まで遊んでみると彼の存在が今作のテーマと繋がってて、評価が変わった。2周目はより楽しめた」

引用元:Steamユーザーレビュー

「前作の孤独感と恐怖は唯一無二だった。今作はその代わりにストーリーを充実させた選択だと思うけど、私は前作の方向性が好きだった」

引用元:Steamユーザーレビュー

インディーサバイバルゲームの系譜の中で

Subnautica: Below Zeroは、インディーサバイバルゲームの文脈でどう位置づけられるか。このゲームが2021年にリリースされた当時と現在でも、「水中サバイバル探索ゲーム」というニッチを完全に掌握している。他のサバイバルゲームが戦闘や建築、Co-opに力を入れる中で、このシリーズは「一人で未知の環境と向き合う探索体験」に特化したスタンスを維持した。

Valheimが2021年に登場してサバイバルクラフトの新基準を作り、PalworldやRustといった作品が大量プレイヤーを集める中で、Subnauticaシリーズは「大勢で遊ぶサバイバル」とは違う方向性を歩んでいる。シングルプレイヤー向けの深い没入体験という路線は今後も継続されそうだ。

比較として挙げられることが多いのはArkやRustだが、これらとは根本的に方向性が違う。ArkやRustは「他のプレイヤーとの競争や協力」が楽しさの核心だが、Subnauticaは「惑星という環境そのもの」と向き合うゲームだ。

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前作Subnauticaを知らない人へ——シリーズの流れ

Subnautica: Below Zero その他アクション スクリーンショット8

Below Zeroを語る上で、前作Subnauticaの存在を避けて通ることはできない。ただ、前作の内容を詳しく知らない状態でこの記事を読んでいる人もいると思うので、シリーズの流れを簡単に整理しておく。

前作Subnauticaとは

前作Subnauticaは2018年に正式版がリリースされた、Unknown Worldsの初のSubnauticaシリーズ作品だ。Steamでは10万件以上のレビューで「圧倒的に好評」という異例の評価を持ち、独立したインディー開発スタジオ発のゲームとしては異例の成功を収めた。

ストーリーは宇宙船が惑星に墜落し、一人の生存者として完全に水で覆われた惑星での生存を試みるというもの。武器らしい武器はなく、戦闘よりも探索と生存管理が中心のゲームプレイ。巨大な海洋生物から逃げながら、深海の謎を解き明かしていく体験は多くのプレイヤーに衝撃を与えた。

前作のSteamセールでは2,000円以下になることもあり、コストパフォーマンスの観点からも「とりあえず前作を先にやれ」とおすすめしやすいゲームだ。前作もBelow Zeroも、今から始めるには非常に良い時期だと思う。両方合わせても5,000円程度で、合計100時間以上の体験が待っている。

シリーズを通じた世界観の連続性

前作とBelow Zeroは同じ惑星4546Bが舞台だが、主人公もストーリーも全く別物だ。前作の主人公「ライダー」が経験したことの「後日談」に関連する情報が今作のデータパッドに含まれているが、前作未プレイでも理解できる形で書かれている。

ただし前作をプレイしていると、データパッドや音声ログの内容が格段に面白くなる。「前作の主人公が発見したあの施設がどうなったか」「あの生物は今作でどんな扱いか」という文脈が読めるからだ。前作ファンへのファンサービス的な要素が随所にあって、シリーズを通してプレイしたプレイヤーへの報酬になっている。

「前作をやってからBelow Zeroをやると、あちこちで「あ!」という発見がある。逆に今作から始めた場合は前作をやり直すと新しい発見がある。どちらからでも楽しめる設計になってる」

引用元:Steamユーザーレビュー

技術的な側面——PCスペックとパフォーマンス

Subnautica: Below Zeroは2021年リリースのゲームであり、必要スペックは現在の水準からすると控えめだ。推奨スペックのGTX 1080 / RX 5700程度があれば、フルHD・60fpsでの快適プレイが可能だ。

ただし注意点として、大規模な拠点を建設したり、生物が密集するバイオームに長時間滞在すると、ミドルレンジのGPUでも若干フレームレートが落ちることがある。これは前作から続くエンジンの特性で、完全には解消されていない。

SSDへのインストールを推奨する。HDDでもプレイ可能だが、新しいバイオームへ移動する際のロード時間が長くなる。深海探索の没入感を維持するためにも、SSDへのインストールが体験の差になる。

VRへの対応は現時点ではない。前作もVRには対応しておらず、MODコミュニティでVR対応を試みた作品はあるが公式ではない。水中一人称視点のゲームとしてVR適性は非常に高そうだが、公式対応は実現していない。

MODコミュニティと追加コンテンツ

Subnautica: Below ZeroのMODコミュニティは活発で、Nexus Modsを中心に多数のMODが公開されている。

人気MODの傾向としては「UIの改善」「新しいビークルの追加」「生物の追加」などが多い。特に前作から消えたシームスを追加するMODは需要が高く、複数のバージョンが公開されている。

難易度調整系MODも人気で、「リソースの出現量を変える」「酸素消費速度を変える」といった微調整が可能になる。公式の難易度設定だけでは満足できない人への対応として、MODコミュニティが補完している。

Unknown Worlds自身はMODに対してオープンな姿勢を持っていて、MOD開発者向けのツール整備も行われている。ただし前作と比べてMODの種類と数は多くない。前作の方がコミュニティが大きく、MODの選択肢も豊富だ。

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シミュレーション系でじっくり遊べるゲームとしては、Gas Station Simulatorも面白い。世界観は全く異なるが、「自分のペースで環境を整備していく」という没入感はSubnauticaの拠点構築と似た心地よさがある。

まとめ——前作をやった人はほぼ必買

Subnautica: Below Zeroは「前作が大好きな人のための続編」として、高水準な体験を提供している。前作の世界観と生態系を引き継ぎながら、ストーリー、陸地探索、新バイオーム、新生物という形で体験を拡張した。

批判の多くは「前作と比べると」という文脈での話で、単体のゲームとして評価すれば今でも水中探索ゲームのトップクラスに位置する。クリスタルゾーンの美しさ、シャドウレビアタンの恐怖、ロビンとアルのストーリー——これらは今作独自の体験として記憶に残る。

前作Subnauticaをクリアしていて、「あの世界にまた戻りたい」と思っている人は買って後悔しない。前作未プレイで今作から入ることも不可能ではないが、体験の深さを考えると前作から順番にプレイすることを推奨する。

Unknown Worldsが開発中のSubnautica 3への期待を高めるためにも、まず前作2作をプレイしておくことには意味がある。このシリーズが作り上げてきた「水中サバイバル探索」というジャンルの歴史を体験してから次回作を待つ——それが今このシリーズと向き合う最良の順番だろう。

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Subnautica: Below Zeroは2021年リリースから数年が経過した今でも、同ジャンルの中で特別な位置を占めている。前作が「孤独と恐怖の体験」なら、今作は「孤独な星で出会う絆の物語」。どちらが上かではなく、2作セットで体験してこそ完成するシリーズだと思う。

サブノーティカ:ビロウゼロ

Unknown Worlds Entertainment
リリース日 2021年5月13日
サービス中
価格¥4,300
開発Unknown Worlds Entertainment
日本語非対応
対応OSWindows / Mac
プレイ形式シングル
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