Scritchy Scratchy — スクラッチくじを削りまくるインクリメンタルクリッカー
「1時間だけやろう」と思って起動したのに、気づいたら20時間経っていた。そういうゲームがたまにある。Scritchy Scratchyはそういうゲームだった。
スクラッチくじをテーマにしたクリッカー系インクリメンタルゲームで、マウスを左右に動かして銀色のコーティングを削り、当たりシンボルを揃えていく。操作はそれだけ。なのに手が止まらない。「もう1枚」「もう1枚」と繰り返しているうちに日が暮れていた、という体験談をいくつも見かけた。
デンマークのスタジオLunch Money Gamesが開発し、2026年3月18日にSteamでリリース。価格は704円(税込)。リリース直後から爆発的な人気を獲得し、わずか1週間でSteamレビューが1万6000件を突破。しかも94%が高評価という、インディーゲームとしては破格の数字を叩き出した。ピーク時の同時接続数は約2万3881人を記録している。これは「スクラッチくじを削る」というコンセプトに対してこれだけ多くのプレイヤーが熱狂したということで、ある意味でインディーゲームシーンの驚きのひとつだった。
この記事では、Scritchy Scratchyがなぜここまで人を引き込むのか、ゲームシステムの全体像、チケットの種類と攻略のポイント、そして正直なネガティブ評価まで、できる限り詳しく書いていく。
「Scritchy Scratchy」公式トレーラー
こんな人に読んでほしい

- Cookie Clickerや放置ゲームが好きで、次に何か遊ぶものを探している人
- ギャンブルの雰囲気は好きだけど実際のお金を使いたくない人
- 仕事の合間に「ながらプレイ」できる軽めのゲームが欲しい人
- スクラッチくじを削るあの手触りが好きな人
- 7〜10時間(全実績なら15〜20時間)でさっと遊び切れる、コンパクトなインクリメンタルゲームを探している人
- マイクロトランザクションなしで遊べるゲームを探している人
- Steam Deckで寝転がりながら遊べるゲームが欲しい人
逆に、深いストーリーや複雑な戦略が欲しい人、コンテンツ量を重視する人、「どこまでも続く体験」を求める人には向いていないかもしれない。そのあたりも後で詳しく書く。
Scritchy Scratchyとはどんなゲームか

一言で言うと「デジタルスクラッチくじを自動化していくゲーム」だ。
ゲームが始まると、まず皿洗いの仕事をしてお金を稼ぐところからスタートする。稼いだお金でスクラッチチケットを購入し、マウスを動かして銀色の部分を削り取っていく。シンボルが3つ揃ったら当たり、賞金を受け取る。外れでも次を買えばいい。
この「削る」という操作感が、実物のスクラッチくじを削るあの触感にかなり近い。マウスを左右に動かすだけのシンプルな操作なのに、削れていく銀色の部分、少しずつ現れるシンボル、そして「当たった!」の瞬間の快感がしっかり再現されている。Kotakuのレビュアーも「実際のチケットを削る感覚に非常に近い」と評していた。
稼いだお金はアップグレードに使える。削るスピードを上げるコイン、当選確率を高める運のアップグレード、より高額なチケット。そして中盤になると「スクラッチボット」が登場する。これが自動的にチケットを削り続けてくれる機械で、ここからゲームの密度が一気に変わる。
Cookie Clickerを知っている人なら、クッキーを焼くおばあさんを雇って工場を建てていくあの感覚に近いものを想像してもらうといい。Scritchy Scratchyでは「自分の手でチケットを削る」から「ロボットに任せる」へのシフトがある。でもCookie Clickerと違うのは、完全な放置には危険が伴うことだ。
ゲームには「罠カード」と呼べるチケットが存在し、完全に露出させてはいけないシンボルが隠れている。ボットに任せっぱなしにすると、こういった危険なシンボルを踏んで大きなペナルティを受けることがある。自動化しながらも時折監視が必要になるという設計が、完全放置型のゲームとは一線を画す要素になっている。
ゲームの三つのコアスタッツ
ゲームを進める上で意識しておくべきスタッツが三つある。
運(Luck)が最も重要だ。チケットの当選確率、ジャックポットを引く確率、あらゆるアクションの結果に影響する。序盤から終盤まで、このステータスへの投資が最優先となる。初心者ガイドの多くが「まず運に全振りしろ」と書いているのも納得だ。運が高いとジャックポットを引く回数が増え、その分ジャックポットポイント(後述)も貯まりやすくなる。好循環を生むスタッツなので、序盤に集中投資する価値が高い。
コインサイズは、スクラッチに使う仮想コインの大きさを指す。コインが大きいほど一度に削れる面積が広がり、作業効率が上がる。生活の質を上げる補助スタッツという位置づけで、中盤以降に余裕ができたら上げていくイメージが多い。
スクラッチ範囲も同様に生活の質向上系。マウスを動かしたとき削れる範囲が広がるので、チケット1枚を処理する時間が短くなる。「コインサイズ」と「スクラッチ範囲」はどちらも「速く削れるようになる」という方向性なので、プレイスタイルに合わせてどちらを先に上げるかを選ぶといい。
この三つを状況に応じてバランスよく育てていくのが、序盤から中盤の基本的な戦略となる。ゲーム自体は「カジュアルなクリッカーゲームに見えて、実際には経済シミュレーター」という評価がある。衝動的にお金を使いすぎると後で詰む場面があり、ちゃんとシステムを理解しているプレイヤーを報酬する設計になっている。
皿洗いミニゲームとスタート資金
ゲームの最初は皿洗いの仕事から始まる。皿を洗うたびに数ドルが入ってくる。スクラッチチケットが解放されると、皿を連続で2枚割る可能性が生まれるという少し奇妙なルールが加わる。これも実績解除に関わっていて、意図的に皿を割るテクニックが攻略の一部になっている。
「Honest Work(正直な仕事)」という実績は、皿洗いだけで2000ドルを稼ぐことが条件だ。つまり最初のうちはスクラッチカードを買わずにひたすら皿を洗い続けることを求められる場面もある。これは実績コレクターにとっては面白い縛りプレイになる。
また、破産した場合は電話で6000%という高利のローンを借りることができる。これが「回復ツール」として用意されているわけだが、借りすぎると取り返しのつかない状況になる。ゲームのFAQには明確に「ローンは回復ツールであり、資金戦略として使うべきではない」と書かれている。
4つのカタログと17種類のチケット
Scritchy Scratchyには、4つのカタログに分かれた合計17種類のスクラッチチケットが存在する。カタログが進むにつれてチケットの価格が上がり、リスクと報酬の幅も大きくなっていく。
カタログ1:入門期
最初に解放されるカタログだ。チケットの価格は10ドルから始まる。
Two Winは最も安いチケット(10ドル)で、ゲームの仕組みを学ぶための入門用だ。報酬は小さいが、スクラッチくじの基本操作を覚えるのに使う。
Mini Scratch(100ドル)はその次のステップ。価格が上がる分、当たりの額も増える。
Quick Cash(1万ドル)がカタログ1の主力チケットだ。中程度のリスクで安定したリターンが得られる。多くのガイドが「序盤はこれだけ買え」と推薦しており、まず運のアップグレードを上げながらQuick Cashを回すのが定石の動きになっている。
Lucky Catはこのカタログの「罠カード」だ。キャラクター名はタマともいい、特定のシンボルを踏むと大きなペナルティを受ける。自動化との相性が悪く、手動でスクラッチするか、後述の「Pickyアップグレード」を取得するまでは避けた方が安全とされている。
カタログ1の最後に登場するのがFinal Chanceだ。これを削ることでカタログ1が完了し、カタログ2へ進む。このカードは高額で、削って結果が出るまで緊張感がある。ここで失敗する(つまり「死亡」する)ことでファイナルデスカウンターが加算され、4回失敗すると特殊バフが解放される仕組みがある。
カタログ2:中盤の本格化
カタログ2に入ると価格帯が一気に跳ね上がる。最安チケットで2000万ドル、Final Chanceは5兆ドルという数字になる。序盤のお金の単位とはまったく別世界だ。
このカタログの多くのカードが「Very High Risk(超高リスク)」カテゴリに入る。自動化に任せると損失が出やすくなるため、手動スクラッチの比重が増える。特にSand Dollarsはカタログ2で安定した収入を生むと評価が高く、ここで稼いで上位チケットへの投資を続けるのが攻略の流れになる。
カタログ3:高リスクゾーン
カタログ3ではBerry Picking(ベリー集め)とThrift Store(古着屋)が高リスクゾーンの主役になる。
特にBerry Pickingは「手動でのみスクラッチすること」と強く推奨されている。このチケットには大きなペナルティシンボルが潜んでいて、自動化ボットに任せると重大な損失を受けることがある。「ベリー集めフェーズを乗り越えるのが中盤の最大の試練」という声がコミュニティによく挙がっていた。
カタログ3ではBank BreakとXmas Countdownが比較的安定した選択肢として挙げられる。
カタログ4:終盤の数字インフレ
カタログ4に到達するころには、数字の単位がseptillion(10の24乗)やoctillion(10の27乗)の領域に達している。序盤に稼いでいた数十ドルから想像もできない数字だ。このスケールの変化が、インクリメンタルゲームの面白さのひとつでもある。
カタログ4はTrick Or Treat以外のほぼ全カードが高リスクカテゴリに入る。終盤で最も強力なチケットとして評価されているのがBooster Packで、「Picky Eater」というプレステージアップグレードを取得した後でこそ真価を発揮する。
プレステージシステムとジャックポットポイント

Scritchy Scratchyの核心となる進行システムが「プレステージ」だ。これがゲームに長時間プレイさせる仕組みの骨格になっている。
ジャックポットポイントの仕組み
ゲームを進めていくと「ジャックポットポイント(JP)」が貯まっていく。チケットでジャックポットシンボルを揃えることで獲得できる。スーパージャックポット(青い星マーク)はさらに大量のJPをもたらすが、当選確率はかなり低い。
JPはプレステージ後にしか使えない特殊なポイントだ。貯めておいて、リセット時に好きなアップグレードに使う。「より多くJPを稼ぎたい→当たりを増やしたい→運を上げたい」というモチベーションサイクルが自然に生まれる設計になっている。
プレステージの手順と恒久アップグレード
あるていど進んだら、プレステージボタンを長押しすることで現在の進行状況をリセットし、プレステージ画面に移行する。ここで貯めたJPを使って恒久アップグレードを購入できる。
恒久アップグレードは次のラン以降もずっと効果が続く。代表的なものをいくつか紹介する。
Starter Kit(1JP)は「スクラッチボットを持った状態でスタートする」というアップグレードだ。これがあると2周目以降の序盤が劇的に速くなる。最優先で取るべき筆頭候補とされている。
Jackpot Power(2〜32JP、段階アップグレード)はジャックポットから得られるJP量を増やす。後々のラン効率を上げるために早めに投資したいアップグレードだ。
Tool Belt(1〜16JP)は皿洗い仕事に使う道具を最初から持った状態にする。序盤の稼ぎが安定する。
Clean Freak(10〜384JP)は序盤のゲームプレイ収入を全体的にブーストする。投資するJPに対するリターンが大きいアップグレードのひとつだ。
後半になると高額なアップグレードも解放される。Pet Lover(50JP)はキャラクター「Mundo」と一緒にスタートできる。Fully Automated(350JP)は最初からSubscription Botを持った状態でゲームが始まる。これを取得すると後半ランのスタートダッシュが別格になる。
また、Picky(250JP)は前述の「危険なスクラッチを自動でスキップする」機能をボットに与えるアップグレードだ。これを取得した後のボット運用は格段に安全になり、高リスクチケットも安心して自動化できるようになる。攻略コミュニティでは「最重要アップグレードのひとつ」と評価されている。
プレステージの加速感
プレステージを重ねるごとに同じ区間を走るのが速くなっていく。1周目は5〜7時間かかるものが、恒久アップグレードを積み重ねた5周目以降は30分程度で終わる、という体験談が複数ある。
この加速感こそがインクリメンタルゲームの醍醐味だ。「また最初からやり直しか…」という気持ちにならず、「今度はもっと速くできる、何をアップグレードしようか」というワクワク感で次のランを始められる設計は、よく練られていると思う。
4回の死亡と自動解放バフ
Final Chanceカードで4回失敗する(ゲーム内では「死亡」と表現される)と、自動的に4つの特殊バフが解放される。これらは「+全チケット25%ボーナス」「初期資金の増加」などの効果があり、購入するのではなく失敗することでアンロックされる仕組みだ。
「死亡」をネガティブなものとして扱わず、むしろ「死亡することで強くなれる」という逆説的な設計が面白い。最初のランで全力を出して死亡してしまっても「それでいい、バフが解放されたから」と思えるようになっている。
ソウルマシンと後半コンテンツ
4サイクルを終えると「マシン(The Machine)」というガジェットが解放される。これがゲームの後半フェーズの核となるシステムだ。
マシンはお金を注入してソウルという特殊な通貨を生み出す装置だ。5サイクル目以降はこのソウルの蓄積が重要になる。ソウルをラストチャンスチケットに使うことで当選確率を上げていく。確率は「1%」と書いてあるが、これが当選確率を1%まで引き上げられるということで、そこに到達するためにソウルをどう使うかが後半の戦略の核になる。
マシン段階では「いかに効率よくソウルを生産するか」という経営シミュレーター的な要素が加わる。序盤は「削って稼ぐ」というシンプルな体験だったのが、後半は「どのリソースをどこに投入するか」というマネジメントの側面が出てくる。ゲームの深さが変化する転換点だ。
約200ソウルポイントを貯めることで後半フェーズの完成を目指す、という目安がコミュニティで共有されている。このフェーズに突入すると、プレイ時間が一気に伸びる傾向がある。
Scritchy Scratchyが人気を集めた理由

リリースから1週間で1万6000件のレビュー、94%好評。ピーク同時接続2万3881人。これはインディーゲームとしてはかなりの数字だ。なぜここまで話題になったのかを分析してみる。
スクラッチくじという絶妙な選題
スクラッチくじは、宝くじの中でも特にシンプルで即時性のある体験だ。「削る→結果がわかる→また削る」という超短サイクルのドーパミンループが最初から設計に組み込まれている。
実際のスクラッチくじには金銭的なリスクがあり、毎日買い続けるのはさすがに抵抗がある。でもゲームならその罪悪感がない。Kotakuのレビュータイトルが「スクラッチくじを罪悪感なしに楽しめるゲーム」だったのは、そのまま多くのプレイヤーの気持ちを言い当てていた。ギャンブルの高揚感だけを抽出して、財産的なリスクを取り除いた体験が704円で手に入るというのが、この作品の価値提案の核心だ。
また、マウスで実際に削る操作感が本物のくじを削る感触を再現しているのも大きい。タッチスクリーンのないPCゲームにおいて、あの「削る」という行為をうまく翻訳した点で、開発チームのセンスを感じる。
ゲームの長さが絶妙
主要コンテンツを一通り体験するのに5〜7時間、全実績を解除するなら15〜20時間という設計は、インクリメンタルゲームとしてかなりコンパクトな部類に入る。Cookie Clickerのような「無限に時間を吸われる」タイプではなく、「ひとまず全実績を解除して満足して終われる」コンテンツ量がある。
はてなブログで感想を書いていたプレイヤーは「クッキークリッカーのような老舗クリッカーはほぼ無限に時間が吸われますが、これくらいのゲームになら暇つぶしで実績回収も簡単」とコメントしていた。実際にそのプレイヤーは「1時間のつもりが20時間かけて全実績を解除してしまった」と書いているので、「簡単」の基準は人によるのだけれど。
忙しい社会人にとって、704円で7〜10時間の体験を完結させられるというのはかなりありがたいコンテンツ量だ。「遊び始めたら永遠に終わらないゲームは怖い」という人でも、このゲームなら踏み込みやすい。似たようなコンパクト設計のゲームは他にもあって、Revolution Idleなどもその系統に入る。

アクセシビリティへの配慮
Scritchy Scratchyが独自に評価されている点が「手首への配慮」だ。マウスを左右に動かし続けるという操作は、長時間続けると手首への負担が蓄積する。開発チームはこの問題を認識した上で、スクラッチの必要量を調整するアクセシビリティオプションを用意している。
ゲームを楽しんでほしいという気持ちと、プレイヤーの身体的な健康を同時に考えてくれる姿勢は、小さなインディーゲームとして誠実だと思う。Steamレビューで40時間プレイしたAmjaraというユーザーも「手や手首に痛みがある人向けのアクセシビリティオプションが優秀」と明記して推薦していた。
Excellent accessibility options for users with wrist or hand pain. Easy to pick up and play. Suggested as ideal for Steam Deck.
引用元:Steamレビュー @Amjara(プレイ時間40.6時間)
Steam Deck推奨というコメントも興味深い。大画面のPCで腰を据えてやるゲームというより、ソファで横になりながらポチポチとやるのに向いている。Steam Deckなら画面タッチでスクラッチできるので、マウスより直感的な操作感になるかもしれない。
ジャズの音楽とビジュアルデザイン
ゲームのBGMはClothing Clubというアーティストが手がけたスムースジャズだ。スクラッチくじのギャンブル的な雰囲気と、リラックスしたジャズの組み合わせは一見ちぐはぐに聞こえるかもしれないが、プレイしてみると不思議とハマる。「ゲームの退廃的なギャンブル前提と美しくコントラストをなしている」という評価があった。
チケットのビジュアルも丁寧に作られており、それぞれ独自のテーマとデザインを持っている。削ったときのエフェクト、シンボルが揃ったときの演出、ジャックポットが出たときの派手な表示など、視覚的なフィードバックがしっかりしている。地味な操作を飽きさせないための工夫が随所に見られる。
ゲームのタグにも「Relaxing(リラックス)」が入っていて、実際に「作業BGMとして流しながら削ってた」という感想が英語圏でも日本語圏でも多く見られる。「深く考えずにやれる」という良い意味でのマインドレス性が支持されている。
マイクロトランザクションのなさ
ゲームにマイクロトランザクション(課金要素)はない。Supporter Pack DLCという任意の支援パックは存在するが、ゲームプレイに影響しないものだ。704円一本で全コンテンツが遊べる。
スクラッチくじというギャンブル系のテーマを扱っておきながら、ゲーム内課金を一切設けない設計は誠実さを感じる。「ガチャ要素はないのか」「課金で強くなれるのか」という心配をせずに遊べる。
Scritchy Scratchyの正直なネガティブ評価
中毒性が高くて人気があることは間違いない。でも手放しで褒めるだけでは正直じゃないので、ちゃんとネガティブな点も書いておく。
中盤のグラインドが単調になる
序盤のドーパミンラッシュが落ち着いた中盤以降、「同じことの繰り返し感」が出てくる。Steamレビューで6/10を付けたEtienneというユーザーは「中盤のグラインドがひどく、ゲームプレイの進化がほとんどない。ゲームが基本的なアイドルゲームの仕組みに頼るようになっていく」と書いていた。推薦はしているものの、その評価は率直だった。
Significant mid-game grinding with minimal gameplay evolution. The game defaults more and more to basic idle game mechanics with some themed visuals.
引用元:Steamレビュー @Etienne(プレイ時間約9時間)
全実績を狙うと同じパターンの繰り返しが顕著になってくる。最初の数時間の新鮮さがなくなってきたときに、どこまで耐えられるかはプレイヤー次第だ。「スクラッチくじを削る」という行為そのものへの飽きが来る前にゲームを終えられるかどうかが、評価の分かれ目になっているように思う。
自動化の品質向上が遅すぎる問題
品質向上系の機能(ホットキー、自動化の精度向上など)がゲーム後半の高コストアップグレードとしてロックされていて、序盤〜中盤の手首への負担が大きい。「アクセシビリティオプションを用意している」と前述したが、ホットキー機能が後半にしか解放されないという構造的な問題はEtienneのレビューでも指摘されていた。
また、ボットが自動でスクラッチする際のパターンが非効率で、手動でやる方が速いケースがある。自動化に任せたいのに自動化が追いつかないというもどかしさは、アイドルゲームとして改善の余地がある部分だ。
ただし、この「自動化が完璧でない」という設計は意図的でもある。完全放置ができてしまうと、危険なシンボルを踏み続けてゲームが成立しなくなる。あえてプレイヤーの監視を要求することで「ながら放置ゲーム」に全振りしない設計になっている。
技術的なバグ
カーソルがフリーズしてコイン画像が画面に残ったままになるバグが報告されている。メニューを開いて戻ると解消されるものの、プレイの集中感が切れてしまう。また自動化の最中にカードが処理しきれずに詰まることもある。ゲームプレイを根本的に妨げるものではないが、ポリッシュが足りない部分はある。
開発チームはリリース後もアップデートを続けており、バグ修正に積極的に取り組んでいるという報告がある。小規模スタジオの開発体制としては誠実な対応だと思う。
運要素による理不尽な展開
Steamのコミュニティには「1万ドルの資産があったのに、一瞬でマイナス1億2000万ドルのローンを背負ってゲームを閉じた」という報告があった。これはLucky Catキャラクターや特定のシンボルによる連続ペナルティが重なったケースだ。
スクラッチくじというコンセプト上、運の要素は切っても切り離せない。でも「いくら戦略を立てても運次第でゲームオーバーになる」という理不尽さへの不満は、ネガティブなレビューに繰り返し登場するテーマだ。「運要素のコントロール不能感が強い」と感じるプレイヤーには、このゲームのリスク設計が合わないかもしれない。
全実績コンプリートの苦行感
全実績解除は15〜20時間かかる。中には「ジャックポットを初手で引く」「連続で皿を2枚割る」「ラストチャンスの賞金を受け取らずに5分間待機する」など、かなり特殊な条件の実績がある。これらを意識的に狙うために、あえてやりにくい立ち回りをする場面が出てくる。実績コンプリーターにとっては歯ごたえがあるが、軽い気持ちで始めた人には「こんなにやらないといけないのか」と感じることもあるかもしれない。
ゲームの構造を深掘り:なぜ止まれないのか

Scritchy Scratchyのゲームデザインを少し深く考えてみると、いくつかの行動心理学的な設計が見えてくる。これは批判ではなく、うまく設計されているという話だ。
超短サイクルの報酬ループ
スクラッチくじは、1枚削るのに数十秒〜1分程度しかかからない。「結果を見るまでの時間」が極端に短く、外れても「次の1枚」という選択が即座に来る。この短サイクルが延々と続くことで、「もうやめよう」というタイミングを見つけにくくなる。
「もう1回だけ」「もう1枚だけ」という言葉は、スクラッチくじの本質的な中毒性の表れだ。1枚の判断コストが低いため、「あと10枚買おう」という意思決定が軽くなる。気づいたときには100枚削っていた、というのがゲーマーたちの証言に繰り返し登場する。
可変比率強化
当たりの出るタイミングが不規則なことが、行動を継続させる最も強力なメカニズムだ(心理学では「可変比率強化スケジュール」と呼ばれる)。「次こそ当たるかも」という期待が手を止めさせない。ジャックポットという大当たりが存在することで、その期待値がさらに高まる。
スロットマシンが最も依存性の高いギャンブルとして知られているのも、この可変比率強化スケジュールを採用しているからだ。Scritchy Scratchyはこの心理的な仕組みをゲームに取り込んで、財産的なリスクなしに体験できるようにしている。
段階的な自動化による達成感
最初は手動で1枚ずつ削っていたものが、スクラッチボットを導入することで「勝手に増えていく」段階に移行する。この変化のタイミングが設計の妙で、手動での作業が「少し単調になってきたな」と感じ始める頃にボットが解放される。達成感と新鮮さのバランスが取れている。
さらにボットが増え、自動化が進んでいくにつれて、「自分が何もしなくても数字が増えていく」という快感が生まれる。この「自分の判断で作った自動化システムが動いている」という感覚は、Cookie Clickerを始め多くのインクリメンタルゲームが狙っている体験で、Scritchy Scratchyもそれをスクラッチくじのテーマで実現している。
プレステージによる循環
「リセットして強くなる」という構造は、インクリメンタルゲームの定番だが、Scritchy Scratchyのプレステージは特にテンポがいい。最初のランで積み上げたものがリセットされる喪失感より、恒久アップグレードで強くなれる期待感が上回るように設計されている。「また最初からやるのか」ではなく「今度はもっと速くできる」という気持ちにさせてくれる。
プレステージ後に取得できる恒久アップグレードのラインナップが適切に設計されていて、「次のランではあのアップグレードを取ろう」という具体的な目標を持ってリセットできる。目的なくリセットさせる設計ではなく、「このアップグレードを取るためにプレステージする」という意図的な選択に感じられるのがいい。
Scritchy Scratchyのユーザーたちの声
Steamコミュニティやレビューには、ゲームの中毒性を物語るコメントが多く集まっている。
Every tiny win feels like winning the lottery.
引用元:Steamコミュニティ
「小さな勝利のひとつひとつが宝くじに当たったみたいな感覚」という表現は、このゲームのドーパミン設計をよく表している。実際の宝くじと違って、外れたとしても財産が失われるわけではない。でもその「当たった!」の感触はリアルに近い。
number go up and the happy haha chemical make brain happy
引用元:Steamコミュニティ
これは笑いながら書いているコメントだが、インクリメンタルゲーム全般に言える真理でもある。数字が上がるのを見るだけで脳が報酬を感じる。Scritchy Scratchyはその仕組みをスクラッチくじという身近な体験に落とし込んだことで、インクリメンタルゲームに馴染みのない人にも入りやすい入口になっている。
Friends and family converted to it. Despite appearing shallow, it offers surprising depth that drives continued play.
引用元:Steamレビュー @Amjara(プレイ時間40.6時間)
40時間プレイしたAmjaraは、複数の友人・家族をこのゲームに引き込んだと書いている。「表面的には浅く見えるが、プレイし続けさせる意外な深みがある」という評価は、Scritchy Scratchyの二面性をよく表している。
一方、先述した「1万ドルの資産が一瞬でマイナス1億2000万ドルのローンになった」という報告は、笑えるようで笑えない体験談だ。ゲームの運要素の荒さを示す事例で、こういった「急転直下のゲームオーバー」に対してネガティブな評価を付けたユーザーも少なくない。
日本語のプレイ感想でも「1時間のつもりが20時間経っていた」という報告があった。コンパクトに終わるはずのゲームが、プレステージを繰り返すうちにどんどん引き込まれていく、あの感じ。インクリメンタルゲーム好きにはわかってもらえると思う。
また「クッキークリッカーのような老舗クリッカーはほぼ無限に時間が吸われますが、これくらいのゲームになら暇つぶしで実績回収も簡単」というコメントも印象的だった。インクリメンタルゲームの先輩格であるCookie Clickerと比較して、Scritchy Scratchyのコンパクトさを評価する声は日本のプレイヤーからも多く聞かれた。
Scritchy Scratchyの開発背景

開発はデンマークのLunch Money Gamesが担当し、パブリッシャーはFunday Gamesだ。ゲームのクレジットにはHannibal SigfussonとConstantinという開発者の名前がある。Deep Rock Galactic: Survivorの開発者も一部関わっているとされており、それが話題になった一因でもある。
ゲームはSteam版(PC/Mac)と同時にAndroid版もリリースされている。Steam版の方が知名度が高いが、スマートフォンでのタッチスクリーン操作はマウスよりも実際のスクラッチくじに近い感覚が得られるかもしれない。
Steam版の価格は704円(税込)で、リリース記念の20%オフセールが4月2日まで実施されていた。現在は通常価格での販売となっている。デモ版(App ID: 4124780)も配信されており、本購入を迷っている人はまず試してみることができる。
開発チームのサポート体制についても触れておく。ゲームリリース後もバグ修正やアップデートへの対応が続いており、コミュニティからの指摘に対して開発チームが迅速に動いてくれている。小規模なスタジオが作った作品として、プレイヤーとの距離の近さが感じられる部分だ。
itch.ioでの先行公開と経緯
Scritchy Scratchyはitch.ioでも公開されており、Steam版の前からインディーゲーム界隈での評判を少しずつ積み上げていた。itch.ioでの評価がSteam上陸の土台になったと考えられ、デンマーク発の小さなスタジオが世界規模での話題を作るまでの道筋が、インディーゲームの良い成功事例のひとつになっている。
Scritchy Scratchyのここが惜しい:改善してほしい点
ゲームを十分楽しんだ上で「ここがもっとよければ」と思う点もある。開発チームへのフィードバックとして書いておく。
チュートリアルの不足
ゲームの説明が最小限で、「これはどういう仕組みなのか」が最初わかりにくい部分がある。特にプレステージのタイミングや、なぜFinal Chanceを自動化してはいけないのかといった重要なルールが、ゲーム内でははっきり説明されない。コミュニティのガイドを参照しながらプレイするスタイルが事実上必須になっているのは、ゲーム単体としては弱いと思う。
特に日本語話者にとっては、英語のガイドを読み解きながらプレイするという二重の負担がある。ゲーム自体は日本語対応しているが、コミュニティのガイドのほとんどが英語なので、そこのギャップが少し残念だった。
ボットの挙動の不透明さ
スクラッチボットが「どういう条件でスクラッチを進めたり止めたりしているのか」がわかりにくい。ゲーム内のUIでボットの行動原理が説明されていないため、「なぜ今これを自動化してしまったのか」という疑問が生まれやすい。Pickyアップグレードを取得した後でも、ボットが予期しない行動をするケースがある。
ボットの動作設定を細かくプレイヤー側がコントロールできるオプションがあれば、後半の自動化フェーズの満足度が上がると思う。
セーブとリロードの問題
特定の状況でUIが完全にフリーズするバグが報告されており、ソフトロック(操作不能状態)になる可能性がある。こういった場合にセーブデータを失わずに回復できる手段が限られている点は、プレイ時間を積み上げてきた後だと特に辛い。バックアップセーブの仕組みや、フリーズからのリカバリーオプションの充実を期待したい。
中盤コンテンツのバリエーション
前述した通り中盤のグラインドは単調になりやすい。各カタログの間に短いイベントや、特別なチケットが出現する「運命の一枚」的な演出があれば、中だるみを防げると思う。序盤と終盤のゲームプレイは評価が高い分、中盤が「橋渡し」に留まっているのがもったいない。
Scritchy Scratchyの音楽と演出について

ゲームのBGMと演出は、プレイ体験全体の印象に大きく影響している。ここは単独のセクションで触れておく価値がある部分だ。
Clothing Clubのジャズサウンドトラック
Clothing Clubというアーティストが制作したスムースジャズのBGMは、このゲームの大きな差別化要素のひとつだ。「スクラッチくじを削りまくる」というやや非文明的(?)な行為に、洗練されたジャズが流れているギャップが不思議な居心地よさを生んでいる。
プレイヤーの中には「音楽が良くて作業BGMに使っている」という人も少なくない。実際にゲームを閉じた後でも口ずさんでしまう、という体験談もあった。インクリメンタルゲームのBGMとして異例なくらいクオリティが高い。
チケットを削る効果音
銀色のコーティングを削る際の「シャカシャカ」という効果音が、本物のスクラッチくじを削る感触をうまく再現している。音と映像が連動して「削っている感」を演出しているため、マウス操作だけでも手触り感が生まれる。
ジャックポットが当たったときの派手な効果音とエフェクトも評価が高く、「あの演出のために削り続けてしまう」というコメントがある。報酬の瞬間を盛り上げる演出として機能している。
ミニマルだが丁寧なビジュアル
ゲームのビジュアルはピクセルアート寄りのシンプルなデザインだが、各チケットのデザインが個性的で「次はどんなカードが出るんだろう」という期待感を演出している。Lucky Catのデザインとキャラクター性、クリスマス系チケットのXmas Countdownの雰囲気など、チケットひとつひとつに作り手の遊び心が感じられる。
グラフィックが高精細でなくても「見ていて楽しい」と感じられるのは、デザインのセンスによるところが大きい。リソースが限られたインディースタジオとしての判断として、ピクセルアートを選んだことは正解だったと思う。
こういうゲームが好きな人への参考作品
Scritchy Scratchyをクリアして次に何を遊ぼうか、という人や、こういう系統のゲームが好きだとわかった人に向けていくつか紹介する。直接ジャンルが同じものだけでなく、「削る・積み上げる・自動化する」という体験に近いゲームも混ぜてある。
Cookie Clickerは、このジャンルを代表する作品のひとつだ。スクラッチくじという「コンパクトな体験」が終わったあとに、今度は「どこまでも続く体験」に挑戦したい人に向いている。Scritchy Scratchyの方が短く完結する設計になっている分、Cookie Clickerの終わりのなさがかえって新鮮に感じられるかもしれない。逆に「Scritchy Scratchyは短すぎた、もっとやり込みたい」と感じた人こそ、Cookie Clickerへ進むべきだと思う。クッキーの数がseptillionを超えたあたりから現れる謎めいたゲームプレイ要素も、インクリメンタルゲーム好きにはたまらないはずだ。

BananaはSteamで異常なほど大量のプレイヤーを集めたアイドルゲームの一種で、バナナのカードを集める非常にシンプルなゲームだ。Scritchy Scratchyのような「何かを繰り返して数字を積み上げる」という感覚が好きな人は確認してみてほしい。基本無料で遊べる上に、ゲーム内アイテムにトレード価値が生まれているという独自の経済圏が面白い。

The Farmer Was Replacedは、農場の自動化にPythonライクなプログラミングを使うというユニークなアイドルゲームだ。Scritchy Scratchyと同様に「自動化」がテーマの中心にあり、でも自動化を実現する手段がコーディングという点でまったく違うアプローチをとっている。「ボットに任せる」という体験が好きで、かつプログラミングへの関心がある人には強くおすすめしたい。

Super Auto Petsは、動物キャラクターを組み合わせてデッキを作るオートバトラー系のゲームで、ジャンルは異なるけれど「戦略を組んで放置する」という感覚が共通している。Scritchy Scratchyのような「手を離しても勝手に動く」という快感が好きな人は確認してみてほしい。こちらも基本無料から入れるので試しやすい。
CORN Mazeも「シンプルな操作でどこまでも進んでいく」系統のゲームで、カジュアルに遊べるものが好きな人に合う。Scritchy Scratchyで「ゆっくり積み上げていく系が合っているとわかった」という人の次の一手として覚えておいてほしい。

Climber Animals Togetherも、カジュアルでリラックスできる系統のゲームが好きな人に向いている。Scritchy Scratchyで「気軽にプレイできるものが好きだとわかった」という人にとって、気分転換になる選択肢のひとつだ。

Scritchy Scratchyとインクリメンタルゲームの世界

Scritchy Scratchyは、インクリメンタルゲームというジャンルの中でどういう位置づけにあるのかを少し整理しておく。
インクリメンタルゲーム(増分ゲーム、クリッカーゲームとも呼ばれる)は2013年にCookie Clickerが大ヒットして以降、Steamやブラウザゲームの世界で確固たる地位を築いてきた。「数字が増えていくのを眺めているだけで楽しい」という一見シンプルな快感が、驚くほど多くの人を引き込む。
このジャンルには大きく分けて二つの方向性がある。ひとつは「永遠に続く」タイプで、Cookie Clickerがその代表格だ。プレイ時間に上限がなく、どこまでもスケールアップしていく。もうひとつは「コンパクトに完結する」タイプで、Scritchy Scratchyはこちらに属する。明確な終点があり、達成感を持って終われる設計だ。
どちらが優れているという話ではなく、プレイヤーのライフスタイルや気分によって求めるものが変わる。仕事が忙しくて「無限に続くゲームに手を出せない」という時期には、Scritchy Scratchyのようなコンパクトな作品が特に刺さる。
また、インクリメンタルゲームはジャンルの幅が広い。スクラッチくじ、農場、宇宙開発、生物進化など、テーマは千差万別だが「数字を積み上げて自動化していく」という核は共通している。Scritchy Scratchyがスクラッチくじというテーマを選んだのは、身近な体験を題材にすることでインクリメンタルゲームに馴染みのない人にも間口を広げる狙いがあったと思う。実際、「普段こういうゲームはやらないけど、スクラッチくじが好きで試した」という層にもリーチできている。
ゲームのSteamタグを見ると「Gambling(ギャンブル)」「Clicker(クリッカー)」「Idle(アイドル)」「Relaxing(リラックス)」「Capitalism(資本主義)」「Old School(オールドスクール)」など多様なタグが並んでいる。これらが示すように、Scritchy Scratchyはひとつのジャンルに収まりきらない複合的なゲームだ。スクラッチくじという体験を核に、インクリメンタルゲームの文法で組み立てられ、リラックスとギャンブルの高揚感を同時に提供している。この組み合わせが新鮮だったからこそ、短期間でこれだけの評価を集めたのだと思う。
Super Auto PetsのようなSteam上の人気カジュアルゲームを普段から楽しんでいる人が、Scritchy Scratchyに食指を動かすのも自然な流れだ。「気軽に遊べて、でも少し戦略性もある」という共通項がある。カジュアルゲームが好きな人はぜひ確認してみてほしい。

攻略のポイントをざっくり整理
細かい攻略よりも「こういうことを意識しておくと詰まりにくい」というポイントを整理しておく。
序盤:運に全振りする
最初のランで最も重要なのは運(Luck)への投資だ。これを後回しにすると当たりが出にくく、お金の増え方が鈍くなる。アップグレードのお金がないときでも、まず運を上げることを優先したい。Quick Cashチケットを主力にしながら運を上げ続けるのが定石の動きだ。
ローンは緊急回避用
お金が尽きたとき、電話で6000%の高利ローンを借りる誘惑に駆られる。でもこれはあくまで「一時的に詰まったときの回復手段」だ。「このローンで一発逆転を狙えるかも」という発想は危険で、返せない額まで膨らませると取り返しのつかないことになる。ローンを借りたら最優先で返済することを意識したい。
高リスクカードは手動で
Lucky Cat、Berry Picking、カタログ4のほぼ全カードなど、「高リスク」に分類されたチケットは自動化に任せずに手動でスクラッチするのが基本だ。Pickyアップグレード(250JP)を取得するまでは、ボットを使う場合でも高リスクカードを買わないのが安全策になる。
Final Chanceは絶対に自動化しない
カタログの最後に登場するFinal ChanceカードはJPを増やす重要な節目だが、絶対に自動化してはいけない。このカードで失敗すると1ラン分の進行がリセットされるレベルの損失になる可能性がある。時間をかけてでも手動でスクラッチすること。
プレステージのタイミング
最初のランはプレステージを急がない。JPをある程度貯めてからプレステージすることで、次のランで有用なアップグレードを複数取れる状態になる。最初のラン終了時に取れる最重要アップグレードとしてはStarter Kit(1JP)が挙げられる。これだけでも取っておくと2周目以降が楽になる。
実績を意識した立ち回り
全実績を目指す場合、一部の実績は「わざと悪い選択をする」ことが条件になっている。たとえば「皿を連続で2枚割る」「ローンを取得する」「ラストチャンスの賞金を5分間受け取らない」など。これらを見落とすと後から改めてやり直す手間が発生するので、実績一覧を確認しながら進めることをおすすめする。
Snake Eyesは序盤に手を出さない
チュートリアル的な段階で解放されるSnake Eyesというチケットがあるが、初心者ガイドの多くが「序盤は買うな」と明記している。このチケットはリスクが高く、まだ資金が少ない段階では損失がカバーできない。「見た目が面白そうだから試してみた」という判断が命取りになることがある。後で余裕ができたときに手動で試す、という立ち回りが推薦されている。ゲームの説明がそこまで親切でないため、コミュニティのビギナーズガイドをチラ見しながら序盤を進めると詰まりにくい。
最初のランはプレステージしない方がいい場合もある
一般的にはJPを貯めてからプレステージする方が効率的だが、最初のランは全体の流れを把握する目的で「最後まで走り切る」経験を積むのも価値がある。「プレステージして早く強くなろう」と急いで、結果として何がどう変わったのか把握しないまま2周目に入ると、かえって迷子になるケースがある。まず一通りゲームの流れを体験してから、2周目以降はJP効率を意識したプレイに切り替えるのが順当な道筋だ。
正直なまとめ:Scritchy Scratchyを買うべきか
答えは「どんな人か」によって変わる。でもそれを踏まえた上で、正直に言うと「インクリメンタルゲームが好きなら間違いなく買い」だと思う。
704円でこのドーパミンループを体験できるのは普通にコスパがいい。7〜10時間で一通り楽しめて、全実績なら15〜20時間プレイできる。Cookie Clickerなどの「永遠に終わらないタイプ」に疲れた人が、コンパクトに完結する体験を求めているなら特におすすめだ。
一方で、複雑な戦略、深いコンテンツ、ストーリーを求めるなら向いていない。このゲームの本質は「シンプルな操作の繰り返しが生み出す中毒性」であって、深みよりも気持ちよさを売っている。それを理解した上で買うのが正しい。
中盤のグラインドが単調という批判は正当で、特に全実績を目指すと「もう飽きたかも」と感じる場面は来る。でも94%の人が推薦しているのは、その単調さを上回る何かがあるからだ。あの「削る」という操作と、シンボルが揃う瞬間の快感は、他のゲームではなかなか味わえない体験だと思う。
デモ版が無料で試せるので、迷っているなら先にデモをやってみるのが一番手っ取り早い。あの「削る感覚」がしっくりきたなら、きっと本編も楽しめる。逆にデモを数分やって「これで1時間もやれないな」と感じたなら、本編を買っても同じ結果になる。
ひとつ言えるのは、6000件以上のSteamレビューのうち94%が高評価というのは、運で出せる数字じゃないということだ。スクラッチくじのゲームでこの評価は、きちんと狙ったものを狙ったとおりに作り上げた開発チームの力によるものだと思う。短い体験かもしれないが、その短さの中に密度がある。
最後に一言
このゲームを遊んでいる間、「あと1枚だけ」という言葉を何回つぶやいたかわからない。それがScritchy Scratchyの正体だ。あと1枚だけ。そしてまたあと1枚。スクラッチくじのあの感覚を安全な場所で繰り返せるゲームが、704円で手に入る。それだけでこのゲームの存在意義は十分だと思う。
「1時間だけやろう」と思って20時間経っていた人たちの証言が、このゲームの全てを語っている。友達と一緒に笑いながらワイワイ遊ぶタイプのゲームではない。でも、夜ひとりで黙々とチケットを削り続けるあの時間には、他にはない静かな充実感がある。「一人で黙々とやるゲームの良さ」がコンパクトに詰まっている作品だと思う。
インクリメンタルゲームを最後にプレイしたのがいつか思い出せない人も、「久しぶりにこういうのやってみようか」と感じている人も、Scritchy Scratchyは入口として悪くない選択肢だ。デモから入れるし、気に入ったら704円。気に入らなかったらそれはそれ。スクラッチくじと同じで、削ってみるまでわからない。

Scritchy Scratchy
| 価格 | ¥704 |
|---|---|
| 開発 | Lunch Money Games |
| 販売 | Funday Games |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac |
| プレイ形式 | シングル |

