Teardown|ボクセル世界を全部壊して強盗する計画立案アクション

壁をハンマーで殴り開けた。フォークリフトで金庫を持ち上げようとしたら、金庫が転がって川に落ちた。
「もう一回やり直そう」——そう思ってクイックロードするのが、もう何十回目かわからない。でも今度こそ完璧なルートを見つけた気がする。壁に事前に穴を開けておいて、屋根から車を飛び込ませて、爆発物で扉を吹き飛ばして、3つのアイテムを60秒で全部回収して逃げる。
計画通りに動けた瞬間の快感が、また次の失敗を引き寄せる。これがTeardown(ティアダウン)というゲームの構造だ。
2020年10月にアーリーアクセスを開始し、2022年4月21日に正式リリース。スウェーデンの小規模スタジオTuxedo Labsが開発した、完全破壊可能なボクセル世界を舞台にした強盗パズルアクションだ。Steamでの評価は118,606件中95%が好評の「圧倒的に好評」。独立ゲームフェスティバル(IGF)2021で「Excellence in Design」を受賞し、PC Gamer誌に2022年のベストサンドボックスゲームに選ばれている。
2023年11月にはPS5・Xbox Series X/S版のリリースと同時に、Steam版にも日本語対応アップデートが配信された。DLC「Time Campers」「FolkRace」の追加や、2026年3月のマルチプレイ実装と、継続的に進化しているタイトルでもある。
「ボクセルのゲームってMinecraftっぽいやつ?」「何でも壊せるって言っても限度があるんじゃないの?」「破壊するだけのゲームなの?」——そういった疑問を持ちながら読んでいる人のために、ゲームの全貌を正直に書いていく。
「Teardown」公式トレーラー
「Teardown」公式トレーラー
こんな人にハマる
- 「完璧な計画を立てて実行する」プロセスに快感を感じる人
- パズルゲームが好きで、自由度の高い解法を求めている人
- Minecraftやボクセルゲームが好きな人
- 強盗映画のようなスリルを体験したい人
- 物理演算ゲームで遊ぶのが好きな人
- Steam Workshopでひたすら新コンテンツを遊びたい人
- ストレス発散に何かを壊したい気分のとき
- やり直しを繰り返しながら最適解を探すのが楽しい人
こんな人には合わないかも
- ただ破壊するだけのゲームを期待している人(思ったより頭を使う)
- 60秒という制限時間のプレッシャーが苦手な人
- ストーリーの没入感を求めている人
- グラフィックのリアルさを重視する人
- チュートリアルが丁寧なゲームを好む人
Teardownとはどんなゲームか——全体像

一言で言うなら「完全破壊可能なボクセル世界で強盗ミッションをこなすパズルアクション」だが、この説明ではゲームの本質が伝わらない。
Teardownには、シンプルに見えて奥深いゲームループがある。まずステージに着いたら、自由に探索して準備をする。時間制限はない。どこでも壊せる。壁に穴を開けても、車を移動させても、爆薬を仕掛けておいても、好きなことができる。
そして、最初のアイテムを取った瞬間にアラームが作動する。ここから60秒が始まる。
設定した全アイテムを60秒以内に回収して出口まで脱出する——それがキャンペーンモードの基本構造だ。準備時間は無限、実行時間は60秒。この非対称な設計が、ゲームの面白さを生み出している。
準備フェーズで「どのルートを通るか」「どこに脱出ルートを確保するか」「どの障害物を事前に排除しておくか」を計画する。実行フェーズで計画を実行する。たいていの場合、計画のどこかが崩れて失敗する。どこが悪かったかを分析して、また準備しなおす。
この繰り返しが妙に楽しい。「次こそ完璧にやれる」という手応えが常にある。
ゲームモードは3種類ある。キャンペーンモードはストーリー仕立てのミッション群で、全40ミッション以上。サンドボックスモードは完全自由で何をしてもOKなモード。チャレンジモードは特定の条件でのスコアアタックだ。さらにSteam Workshopでコミュニティ製のMODを無数に追加できる。
準備してる時間が一番楽しい。思い通りのルートで60秒ちょうどに全部回収できた時は本当に気持ちいい
引用元:Steamレビュー
ボクセル破壊システム——「何でも壊せる」の実力
「何でも壊せる」というフレーズは今や多くのゲームが使っているが、Teardownの破壊はレベルが違う。
ゲーム内のほぼすべてのオブジェクトがボクセル(小さな立方体ブロック)で構成されており、1ブロック単位で破壊・削除できる。壁を壊したい場所だけ壊せる。床に穴を開けて落とし穴にできる。屋根を丸ごと吹き飛ばしてヘリポートにできる。柱を壊して建物を倒壊させることもできる。
重要なのが火災の延焼システムだ。木製の建物に火をつけると、隣接するボクセルに燃え広がっていく。うまく使えば複数の建物を一度に焼き払えるが、コントロールを失うとプレイヤーも巻き込まれる。「壁を壊す必要はない、燃やせばいい」という発想が生まれるのがこのゲームの自由さだ。
車両の使い方も特徴的だ。ショベルカーや大型トラックを使って壁ごと突破することもできるし、車を坂道に使ってジャンプ台にすることもできる。「あの建物の屋根まで届くようにこの車をランプにしたい」という発想がそのまま実現できる環境が整っている。
技術面での話をすると、Teardownのボクセル破壊は独自エンジンで動いている。開発者のDennis Gustafsssonは、ポリゴンより破壊処理が実装しやすいボクセルの性質を活かし、さらにリアルタイムレイトレーシングをボクセルシーンに組み合わせることでビジュアルの質感を実現した。ブロック状のグラフィックでありながら、照明と影の処理がリアルで、日が差し込む室内の質感は独特の美しさがある。
ここで一点正直に書いておく。「何でも壊せる」とはいえ、破壊しても壁の残骸は残る。リアルな物理演算で崩れた瓦礫が積み上がるため、壊しすぎると自分が通れなくなることがある。「壁を壊して通路を作ったつもりが、瓦礫で塞がれた」というのは初心者あるあるだ。どこをどう壊すかという「破壊の設計」がプレイヤーに求められる。
破壊の物理演算が本当によくできてる。Red Faction: Guerrillaとか過去の破壊ゲームと比べてもレベルが違う
引用元:Steamレビュー
キャンペーンのストーリーと進行

主人公は経営難に陥った解体業者だ。お金がなくて、まともな仕事もない。そこに怪しい依頼が来る。「やばいとは思うけど、金がないから受けるか」——こういうノリで話が始まる。
最初は「廃建物の解体」とか「いらない機械の処分」みたいな、ギリギリ合法っぽい仕事だ。でも徐々に依頼の内容がグレーになっていく。会社のサーバーを盗んでこい、競合他社の車を全部破壊しろ、証拠となる書類を持ち出せ——気づいたら完全に犯罪者になっている。
面白いのは主人公のキャラクター性だ。道徳的にはアウトな依頼でも、主人公はほとんど気にしない。「まあ金になるし」というノリで引き受け続ける。この図太さがゲームのトーンを軽くしていて、プレイヤーが「こんな依頼受けちゃっていいの?」と罪悪感を持たずに楽しめる雰囲気を作っている。
ストーリーが進むにつれて、依頼人の関係やその背景が少しずつ明らかになっていく。登場人物たちはみんなどこか癖があって、依頼のメールのやり取りだけで人物像が伝わってくる。ガッツリしたストーリーを期待すると物足りないが、「スパイス的なストーリー」としては十分楽しい。
キャンペーンは難易度が段階的に上がっていく。序盤は「倉庫にある機械4台を60秒で全部破壊して逃げる」くらいのシンプルな内容だが、後半になると「複数の建物にまたがる10個のアイテムを回収して、特定の場所に持って行く」といった複雑なミッションが出てくる。マップの構造も複雑になり、準備に費やす時間が長くなっていく。
ゲームが進むと新しいツールやアップグレードが手に入る。スプリンクラーで壁に水をかけて火を消せるようになったり、瞬間接着剤で物を固定できるようになったり、爆発物の種類が増えたりする。ただ、これには批判的な意見もあって、「後半で手に入ったツールで序盤のミッションをやり直してみると楽勝になりすぎて興ざめ」という声も一定数ある。ゲームの設計としてはアップグレードで達成感を演出したいのだろうが、過去のミッションの難易度が相対的に意味をなさなくなるという問題はある。
60秒で全部回収できた時の達成感はヤバい。難解なパズルを解けた時に似た感じがする
引用元:Steamレビュー
キャンペーン以外でも楽しみたい人には、サンドボックスモードがある。特定のマップで制限なしに自由に遊べる。何も考えずに建物を破壊したり、火を広げて全部焼き尽くしたりという「純粋な破壊ゲーム」としての体験はサンドボックスで楽しめる。キャンペーンの制約から離れて、自分だけのカオスを作りたい時に便利なモードだ。
ゲームの進行方法が自由なのも地味に良い。ストーリーミッションが複数同時に受注できる状態になることがあり、「どの順番でやるか」をプレイヤーが選べる。詰まったミッションを後回しにして別の依頼を先に片付けることもできる。
序盤の進め方——初めてプレイする人へ
Teardownは「チュートリアルが薄い」ゲームなので、最初の1〜2時間で戸惑う人が多い。序盤の進め方をまとめておく。
最初のミッション——まずステージを全部歩いて把握する
最初のミッションでいきなりアイテムに触らないことが大事だ。アラームが鳴る前は完全に自由に動ける。まずステージ全体を歩き回り、「目標アイテムの位置」「出口(脱出車両)の位置」「障害物の種類」を把握する。
次に「最短ルートはどこか」を考える。目標アイテムが複数ある場合、出口に近い順番で最後に取るものから逆算して計画するのが基本だ。最初に遠いアイテムから取り始めると、時間が足りなくなりやすい。
ルートが決まったら、途中の障害物を事前に排除する。壁を壊す、車を移動させる、橋を確保する——これを準備フェーズで全部やっておく。そして最初のアイテムに触る。ここからが60秒の勝負だ。
クイックセーブの使い方が鍵
Teardownで最も重要な操作のひとつがクイックセーブ(F5)とクイックロード(F9)だ。準備が進んだ段階でこまめにセーブしておくことで、失敗しても「最初からやり直し」にならない。
「壁に穴を開けた段階でセーブ」「車を移動させた段階でセーブ」という形で、進捗を積み上げていける。60秒の実行フェーズに入る直前にセーブしておけば、失敗後すぐにルートを変えて再挑戦できる。
逆に言うと、クイックセーブを使わないと無駄な時間が大量に発生する。「何度やっても最初から歩き直し」という状態で疲弊する前に、クイックセーブを積極的に活用してほしい。
スプレーカンで経路をマーキングする
大きなマップや複雑なステージでは、走る経路をスプレーカンで地面に書いておくのが有効だ。60秒の実行フェーズでは焦って判断を間違えることが多い。地面に矢印を描いておくだけで、本番で迷わず動ける。
この「準備中にルートを可視化する」という発想は、慣れたプレイヤーが自然に身につけているものだ。最初は「スプレーカンってペンキを塗るだけ?」と思うかもしれないが、使い方を覚えると手放せなくなる。
「壊せばいい」だけではない素材の違い
ゲーム内の素材にはいくつかの種類があり、壊しやすさが違う。木材はハンマー数発で壊せる。石膏ボードも木材と同じくらい脆い。コンクリートはハンマーだと時間がかかり、爆発物の方が効率的だ。金属はさらに硬く、ハンマーでは時間がかかる。ガラスは最も脆く、一撃で割れる。
準備フェーズで「この壁はコンクリートだから爆発物を使おう」「ここは木製だからハンマーで十分」という判断ができると、ツールの使い方が効率化される。爆発物には限りがあるので、必要な場所で使い、ハンマーで十分な場所はハンマーを使うという使い分けが大事だ。
最初の3ミッションは全然わからなくて詰んだと思ったけど、スプレーカンとクイックセーブを覚えてからは急にサクサク進み始めた
引用元:Steamレビュー
ツールと装備——破壊の道具たち

プレイヤーが使えるツールは複数あり、それぞれ用途が異なる。使い方の幅がミッションクリアの効率を左右する。
基本ツールのスレッジハンマーは近接の破壊に使う。木や石膏ボードなら数発で穴が開く。コンクリートや金属は時間がかかるが壊せる。ゆっくりやりたい時や特定の場所だけ壊したい時に使う。
スプレーカンはペンキで壁に目印をつけるツールで、一見地味だが計画中のルートを可視化するのに便利だ。大きなマップで「どこに穴を開けるか」を事前にマーキングしておけば、本番で迷わない。
爆発物(パイプ爆弾、C4、グレネードなど)は広範囲の破壊に使う。扉や厚い壁を一気に吹き飛ばすのに効率的だが、爆風で自分が吹き飛んだり、回収対象のアイテムまで巻き込んで壊してしまうリスクがある。「思ったより爆発範囲が広かった」という事故はよくある。
ショットガンは遠距離から穴を開けられる。窓を割ったり、薄い壁を撃ち抜いたり。直接的な破壊力よりも「届かない場所に穴を開ける」使い方が主になる。
グレネードランチャーはアーチ軌道で爆発物を飛ばせる。届かない場所に爆発物を投げ込む用途に使い、壁の向こう側を事前に破壊しておくのに便利だ。
ゲームに登場する車両も重要なツールだ。ゲーム内にはトラック、ショベルカー、フォークリフト、スポーツカーなど様々な車が登場し、それぞれ使い道が違う。ショベルカーでバケットを使って大量の瓦礫をすくい取ったり、フォークリフトで重い荷物を持ち運んだり、大型トラックで壁に突っ込んだり。「この車はどこに使えばいい?」という発想が自然に湧いてくる。
後半で手に入るウィンチは特に使い方が多い。ロープで物と物を繋いで引っ張るツールで、「遠くにある重い金庫を手元に引き寄せる」「車を壁に繋いで引っ張って穴を開ける」という使い方ができる。見た目はシンプルだが、工夫次第で応用が広い。
ウィンチの使い方に気づいた瞬間に世界が広がった感じがした。「こんな使い方できるの?」っていう発見がずっと続く
引用元:Steamコミュニティ
キャンペーンマップを詳しく見る——舞台と雰囲気
Teardownのキャンペーンは、スウェーデン的な雰囲気の小さな町や工業地帯を舞台にしている。マップのトーンは北欧の夏を思わせる明るい色調で、木造の倉庫、石造りの建物、錆びた工場、湖畔の住宅街など、日常的な風景の中に強盗ミッションを遂行するという落差がゲームの面白さを支えている。
序盤のマップ——慣れるためのステージ群
ゲーム序盤に登場するのは比較的シンプルな構造のマップだ。単一の建物か、2〜3棟の建物が隣接する程度の規模で、目標アイテムの数も少ない。「廃屋の解体」「小さな倉庫からの機械回収」「ガレージからの車両奪取」といったミッションが並ぶ。
この序盤のステージで大事なのは「ボクセル破壊に慣れること」だ。木製の壁がどのくらいの力で壊れるか、爆発物がどのくらいの範囲に影響を与えるか、車を使って何ができるか——これらを感覚として覚えることが、後半の複雑なミッションへの準備になる。
中盤のマップ——立体的な構造が出てくる
ゲームが進むと、マップの立体構造が複雑になる。倉庫の2階、屋上、地下室など、縦方向への移動が求められるステージが増える。「屋根を壊して上から侵入する」「床を壊して下に落ちる」という縦方向の移動が有効な場面が出てくる。
また、目標アイテムが複数の建物に分散して配置されるようになる。ひとつの建物のアイテムを取ったら次の建物へ移動し、そこでもアイテムを取って出口に向かう——という動線を事前に設計することが求められる。準備の時間がかかるようになり、「今のルートは本当に最短か?」という最適化の面白さが出てくる。
後半のマップ——大型施設と複雑な地形
後半のマップは、工場、港湾、研究施設、セキュリティが厳重な屋敷など、大型で複雑な構造物が登場する。マップ全体を把握するだけで数分かかる大きなステージもあり、準備フェーズが長くなる。
一部のミッションでは「アラームを鳴らさずに特定のアイテムを回収する」「アイテムを壊さずに輸送する」など、追加の条件が課されることもある。単純に「壊して取って逃げる」では対応できない変則的な目標が出てくる。このあたりから賛否が分かれてくる——「複雑になって楽しくなった」という意見と「自由度が減って窮屈になった」という意見が交差する地点だ。
夜間ミッションの特徴
一部のミッションは夜間に設定されている。視界が暗くなり、プレイヤーのライト頼りで動くシチュエーションだ。昼間と同じマップでも夜になると全然別の印象になり、緊張感が上がる。敵対的なNPCがいないゲームなので「暗いと危険」ということはないが、ルートの確認がしにくくなる。準備時の下見がより丁寧に必要になる。
夜間マップのビジュアルは、リアルタイムレイトレーシングの恩恵が特に顕著に出る場面だ。ライトが照らす範囲の光と影のコントラスト、遠方のぼんやりした光源の表現が、ボクセルゲームとは思えない質感を持っている。
ビジュアルとサウンド——ボクセルの美しさ

Teardownのビジュアルについて、もう少し詳しく触れておきたい。
ボクセルゲームと聞くと「Minecraftみたいに粗いグラフィック」を連想する人が多いが、Teardownは違う。ボクセルのサイズがMinecraftより遥かに小さく、細部の表現が細かい。人間の手のひら程度のオブジェクトも、複数のボクセルで構成されて形状が表現される。
そこにリアルタイムレイトレーシングによる照明処理が加わる。光が窓から差し込む室内の描写、炎が揺れる光が周囲を染める様子、水面の反射——これらが「ブロックで作られた世界」の上でリアルに機能している。
サウンドも地味に良くできている。木材が割れる乾いた音、コンクリートが砕ける重い音、金属が歪む甲高い音——素材ごとに破壊音が違う。爆発の音は空間に広がり、遠くから聞こえる爆発の余韻が心地いい。BGMはゲームのトーンに合わせて落ち着いたアンビエント系が多く、「作業に集中できる音楽」として機能している。
視覚的に印象的なのが炎の演出だ。木製の建物に火をつけると、炎がボクセル単位で隣接する素材に広がっていく。燃え広がる速度は素材によって違い、乾いた木材は早く燃え、湿った木材や石材は燃えにくい。炎の光が暗い空間を照らし、煙が立ち上る——この演出はゲームの中で最も「見ていて飽きない」場面のひとつだ。
ただし、炎の演出はパフォーマンスへの負荷が高い。広範囲に延焼が広がると、フレームレートが顕著に落ちる場合がある。「炎を最大限活用したい」という場合は、PCスペックに余裕を持たせた方がいい。
ボクセルゲームなのにこんなに綺麗なのか、と最初に見た時驚いた。特に夕方の光の差し込み方が好き
引用元:Steamレビュー
チャレンジモード——スコアタの深み
キャンペーンとサンドボックス以外の3つ目のモードがチャレンジモードだ。ゲームプレイの質が問われるスコアアタック系のモードで、キャンペーンをクリアした後も長く楽しめるコンテンツになっている。
チャレンジモードには複数の種類がある。
Fetchチャレンジはキャンペーンと同じ「目標アイテムを制限時間内に全部回収する」形式だが、タイム計測があってスコアが記録される。最短タイムを目指すためにルートをどこまで最適化できるかが問われる。キャンペーンのミッションとは違い、同じマップで何度も記録を更新できる。
Survivalチャレンジは、ランダムな位置に配置される目標を次々と回収し続けるモードだ。ヘリコプターによる追跡がある(追跡が来るミッションの場合)なか、次の目標の位置を即座に把握して動き続ける判断力が必要になる。時間が経つほど難易度が上がる設計で、どこまで生き残れるかを競う。
Mayhemチャレンジは、60秒でどれだけ多くのボクセルを破壊できるかを競うモードだ。こちらは純粋な「破壊の量」がスコアになるため、一番爽快感が強い。爆発物を惜しみなく使い、車両で建物に突っ込み、炎を広げて大量破壊を目指す。「パズルゲームとしてのTeardownが合わない」という人でも、Mayhemだけは楽しめるかもしれない。
チャレンジモードはグローバルリーダーボードと連携している。「世界中のプレイヤーと同じマップで記録を競う」という要素があり、キャンペーンとは違う緊張感がある。上位プレイヤーの動画を見ると「そんな使い方があるのか」という発見があり、自分のプレイの改善に役立てられる。
なぜ「圧倒的に好評」なのか——人気の理由を分析する

118,000件以上のレビューで95%が好評というのは、ゲームとしてかなり特別な数字だ。なぜここまで高評価なのかを考えてみる。
自由度と制約のバランスが絶妙
「何でも壊せる自由度」と「60秒という制約」の組み合わせが機能している。
純粋に「何でも壊せるだけ」のゲームは飽きが来やすい。最初は爽快でも、目的がないと単調になる。Teardownはそこに「60秒で全アイテムを回収する」という具体的な目標を置いた。この目標があるから、破壊が「目的」ではなく「手段」になる。
逆に、もし制約だけで自由度がなければ、ただのパズルゲームになってしまう。Teardownの面白さは「ここを壊せばいい」という正解が一つではないことにある。プレイヤーがそれぞれ違うルートを開拓し、それが全部正解になりうる設計になっている。
この「無限の準備時間」と「60秒の実行制限」の非対称設計は、コロンブスの卵的な発明で、今のゲームデザインとして見ても独自性が高い。
失敗がストレスにならない設計
クイックセーブとクイックロードがいつでも使える。ミッション中にいつでもセーブでき、失敗してもすぐに直前の状態に戻れる。
これが重要な設計判断だと感じる。失敗したら最初からやり直しというゲームは、緊張感はあるが疲弊する。Teardownは失敗を「学習のチャンス」として位置付けていて、「また試してみよう」という気持ちになりやすい。
実際、準備フェーズで丁寧にセーブしておけば、「ここまでの準備は正しかった、あとはルートを変えるだけ」という形で試行錯誤ができる。失敗のコストが低いことで、プレイヤーが積極的に実験できるようになっている。
物理演算の気持ちよさ
ボクセルが壊れる時の物理演算が心地いい。木造の壁を壊すと木片が飛び散り、コンクリートは砕けてブロックが落ちる。火は隣接するボクセルに燃え広がり、炎の広がりが視覚的に美しい。
「壊した瞬間の感触」があるゲームは意外と少ない。多くのゲームで「壊れるアニメーション」はあっても、「物理的に壊れていく感覚」を与えられるゲームは限られる。Teardownのボクセル物理演算は、破壊体験に実質感を与えている。
「自分が賢くなった気分」になれる
Teardownで長時間遊んでいると、ある変化に気づく。最初は「どうすればいいかわからない」だったミッションが、いつの間にか「ここを先に壊しておけば、あのルートで行ける」という発想が自然に出てくるようになる。
プレイヤーが「空間把握力」と「逆算思考」を自然に鍛えられる仕組みになっている。ゲームを通じて自分のプレイが上手くなっていくのが実感できる。この成長感がリピートプレイを生む。
最初はなんでこんなに難しいんだと思ったけど、気づいたら逆算でルートを考えるのが当たり前になってた。純粋にパズルゲームとして優れてる
引用元:Steamレビュー
Tuxedo Labsの開発姿勢
開発者のDennis Gustafsssonは2017年に前スタジオを解散させた後、ボクセル破壊技術の研究に2年以上を費やしてTeardownを作り上げた。アーリーアクセスでの18ヶ月間、プレイヤーのフィードバックを受けながら継続的にアップデートを加えた。
ユーザーがMOD制作しやすいようにLuaスクリプトによる拡張機能を初期から搭載し、Steam Workshopとの統合も丁寧に実装した。結果として2023年9月時点で6,000本以上のMODがワークショップに投稿されている。
「開発者がゲームコミュニティと向き合って作り続けている」という姿勢がプレイヤーに伝わっているのも、高評価を維持している要因のひとつだと思う。
Saber InteractiveによるTuxedo Labs買収(2022年7月)については複雑な意見もある。一部のプレイヤーは「大企業に買収されてゲームの方向性が変わった」「コンソール対応で物理演算の品質が調整された」という懸念を表明しており、v1.5以降のアップデートを批判する声も一定数存在する。実際にはその後もDLC追加やマルチプレイ実装が進んでおり、開発自体は活発だが、初期のインディー感を好んでいたプレイヤーには複雑に映る部分もある。
MOD文化——6,000本が生み出す無限のコンテンツ
Teardownのロングテール人気を支えている柱のひとつが、Steam WorkshopのMOD文化だ。
ゲームはLuaスクリプトでのMOD制作を公式サポートしており、プレイヤーが自分でマップ、ツール、ゲームモード、ビジュアルを作って公開できる。2023年9月時点で6,000本以上が投稿されており、現在もコンスタントに増え続けている。
MODの種類は大きく分けて「新マップ追加」「新ツール・武器追加」「ゲームモード変更」「ビジュアル変更」の4カテゴリになる。
特に人気なのが新マップMODだ。コミュニティが作った独自のマップが数百〜数千本あり、スタイルも多様だ。日本の街並みをモチーフにしたマップ、SF設定の宇宙ステーション、ファンタジー風の城塞都市など、公式マップにはない世界観のコンテンツが揃っている。ゲームの舞台が実質的に無限に広がる。
新武器・ツールMODでは、核爆弾、ポータルガン、巨大ロボット操縦システムといった公式では実装されない「やりすぎ」なアイテムが揃っている。もちろんゲームバランスは完全に崩壊するが、サンドボックスで使うものとしては最高に楽しい。
ゲームモード変更MODでは、「ゾンビの大群から逃げながらミッションをこなすモード」「バトルロイヤル形式のチャレンジ」「タワーディフェンス」など、全く別のゲームになるほど変化するMODもある。
MODの導入は簡単だ。Steam WorkshopのページでMODを見つけて「サブスクライブ」ボタンを押すだけ。次回ゲームを起動した時に自動でダウンロードされて適用される。複数のMODを組み合わせることも可能だが、競合する場合もあるので注意は必要だ。
公式キャンペーンを一通りクリアした後も、MODのおかげで「もうやることがない」という状態にならない。これがTeardownのスチームレビューに「プレイ時間100時間」「200時間」というユーザーが珍しくない理由だ。
本編クリアしてからMODに手を出したら、また100時間溶けた。コミュニティの作るマップのクオリティが想像以上に高い
引用元:Steamレビュー
MODが気になっている人には、まず本編のキャンペーンを一通りクリアしてからワークショップを覗くことをすすめる。本編のゲームシステムへの理解が深まっていると、MODの面白さがわかりやすくなるし、コミュニティが作ったマップの「こんな発想もあるのか」という驚きが大きくなる。
同じく物づくりとコミュニティコンテンツを楽しめるゲームとして

DLC「Time Campers」と「FolkRace」

Teardownには現在2本のDLCが配信されており、シーズンパスとしてまとめて購入することもできる。
Time Campers
西部劇とタイムトラベルを組み合わせた独特のコンセプトのDLCだ。現代の主人公がキャンピングカーのタイムマシンで19世紀アメリカに飛んでミッションをこなす設定で、本編とは雰囲気が大きく違う。マップのデザインが木造の酒場、金鉱、砂漠の要塞など、西部劇らしい構造物になっていて、ボクセルの破壊が新鮮に感じられる。
本編キャンペーンとは独立したストーリーで、Time Campersだけで7〜8時間程度のプレイ時間がある。本編のゲームシステムを理解した上でプレイすると、新しいマップ環境での挑戦が楽しい。
FolkRace
2024年6月19日に配信されたDLCで、本編の強盗ミッションとは全く異なるレース&クラッシュコンテンツだ。AI操作の対戦相手と破壊しながら走るレースに挑む内容で、3つの新マップと数十のチャレンジが含まれている。
FolkRaceはTeardownの「破壊物理演算」を別の角度から楽しむDLCだ。本編では破壊が「侵入のための手段」だったが、FolkRaceでは「レースを有利に進めるための手段」になる。相手の車を破壊したり、コース上の障害物を吹き飛ばしたりしながら走る爽快感は、本編とは違う体験ができる。
ただし、FolkRaceについてはレビューが賛否に分かれている。「本編の雰囲気と全然違う」「強盗系のコンテンツを期待していた」という不満もある一方で、「破壊しながらのレースが新鮮で楽しい」という好意的な意見も多い。本編を気に入っていても、DLCは別の体験として切り分けて考えた方がいいかもしれない。
マルチプレイ実装——2026年3月の大型アップデート
長年コミュニティから要望が多かったマルチプレイが、2026年3月についにPC(Steam)版に実装された。最大12人でのオンラインセッションに対応し、プライベートロビーとパブリックロビーの両方が使える。
対応コンテンツはキャンペーン、サンドボックス、そしてコミュニティ製MODコンテンツの一部だ。キャンペーンを友人と協力プレイで挑んだり、サンドボックスで一緒にカオスを起こしたりという体験が可能になった。
マルチプレイの実装にあたって開発者は、MODとの互換性確保のためにAPIを更新している。コミュニティ製コンテンツのマルチプレイ対応を進めることで、ワークショップのMODもマルチプレイで楽しめるように整備中だ。
ただし、現時点では実装したてということもあり、ラグや同期問題などの不具合報告もある。大型アップデートとして注目度は高く、コミュニティの期待値も高い。今後のパッチで安定性が上がっていくことが予想される。
友人と一緒に強盗ミッションを計画して実行するというのは、ゲームとして直感的に楽しそうだ。ソロでの「計画立案と60秒の実行」という構造が、マルチプレイでどう変化するか——「誰がどこを担当するか」という役割分担が生まれることで、ゲームに新しい側面が出てくるはずだ。
正直なネガティブポイント——こういう点は覚悟して買ってほしい

「圧倒的に好評」だからといって万人向けではない。正直に書く。
「破壊するだけのゲーム」を期待すると拍子抜けする
タイトルと宣伝の「何でも壊せる」というフレーズから、「ひたすら壊して楽しむゲーム」を想像すると違和感を覚える可能性がある。
実際のTeardownは、本質的にはパズルゲームに近い。「60秒で全アイテムを回収するルートを設計する」というゲームだ。何でも壊せるのは事実だが、それは「手段」であって「目的」ではない。純粋に「何もかも破壊してすっきりしたい」という目的ならサンドボックスモードで最初の数十分は楽しめるが、それ以上を求めるとコンテンツが足りなく感じる。
Steamのネガティブレビューを見ると、「キャンペーンのうち本当に楽しかったのは2〜3割だけ。多くのミッションは制限時間が厳しすぎて開発者の想定ルートをなぞるだけになった」という意見がある。これは一定程度的を射ていると思う。後半のミッションは複雑になりすぎて、「自由な発想でどうにでもなる」ではなく「正解に近いルートを見つけなければクリアできない」という難しさに変質している部分がある。
60秒制限が苦手な人には向かない
60秒というタイムプレッシャーは、このゲームの核心的な面白さでもあるが、苦手な人には苦手だ。準備に時間をかけても、本番で焦ると失敗する。「焦ると頭が真っ白になる」という人は、このゲームのコアのループが楽しめない可能性がある。
また、一部のミッションは「60秒制限はないが、重い荷物を何往復も運ばなければいけない」という別種の苦痛があるという指摘もある。破壊よりも運搬が中心になるミッションは、単調に感じるプレイヤーもいる。
チュートリアルの薄さ
ゲームのチュートリアルはかなりあっさりしている。基本操作はすぐ覚えられるが、「どのツールをどう組み合わせると効率的か」「物理演算の挙動をどう活かすか」といった応用は、自分で試行錯誤して発見するしかない。ゲームを理解する前に詰まって離脱するプレイヤーも一定数いる。
ただ、この「発見する喜び」こそがゲームの醍醐味という側面もある。チュートリアルが薄いことを短所と見るか、自分で探索する余白と見るかは、プレイヤーのゲームスタイルによる。
v1.5以降の物理演算の変化
2023年11月のv1.5アップデート(コンソール版リリースと同時)について、一部のPC版ユーザーから「物理演算の挙動が変わった」「以前と比べて動きが不安定になった」という報告がある。Saber Interactiveによる買収後のアップデートということもあり、コミュニティの一部には複雑な感情がある。
現在は修正パッチが当たっており、深刻な問題は解消されている部分も多いが、初期のアーリーアクセス版の挙動を懐かしむ古参プレイヤーがいることも事実だ。
他のゲームとの比較——Teardownの立ち位置
「破壊」をテーマにしたゲームは他にもあるが、Teardownの立ち位置は独特だ。
一番よく比較されるのがRed Faction: Guerrillaだ。2009年に発売された古典的な破壊ゲームで、建物の構造的な崩壊をリアルに再現した物理演算が当時衝撃的だった。Red Factionは「建物が構造的に崩れる」という体験を提供したゲームだが、Teardownはそれをボクセルとリアルタイムレイトレーシングで2020年代のレベルに引き上げた。Metacriticのレビューでも「Red Factionを超えた破壊表現」と評された。
工場自動化や論理的思考という観点では、

プログラミング的思考と自動化という点では、

サバイバルアクションという観点では

戦術的アクションが好きな人には

経営シムという観点では

開発の背景——1人のプログラマーのこだわりから生まれた技術

Teardownの開発背景は、ゲームを理解する上で知っておく価値がある話だ。
開発者のDennis Gustafsssonは、スウェーデンのモバイルゲーム会社Mediocreを共同設立した人物だ。「Cut the Rope」系の人気モバイルゲームを手がけていたが、2017年にMediacreを閉じた後、ずっと研究したかった技術に取り組み始めた——ボクセルの物理破壊だ。
Gustafsssonは2年以上かけて独自エンジンを開発した。ボクセルを選んだ理由は、ポリゴンと比べてリアルタイムの破壊処理が実装しやすかったからだ。複雑な衝突判定を回避でき、リアルタイムでボクセルを生成・削除する処理が比較的シンプルに実装できる。
さらに、ボクセルシーンの「幾何学的な単純さ」が、リアルタイムレイトレーシングとの相性が良かった。ポリゴンベースのシーンでレイトレーシングを行うには膨大な計算コストがかかるが、ボクセルではレイが当たったかどうかの判定が単純化できる。結果として、当時のゲームPCでリアルタイムレイトレーシングが実用的に動く破壊シミュレーションが実現した。
2019年に技術デモをTwitterに投稿したところ、「何でも壊せるボクセルゲーム」として大きな反響を呼んだ。プレイヤーの期待が高まる中で、ゲームとして成立させるための「ゲームデザインの難題」に直面した。
「何でも壊せる自由な世界に、どうやってゲームとしての目的を持たせるか」——この問題への答えが「60秒のタイムアタック強盗ミッション」だった。無限の準備時間と制限された実行時間という非対称設計は、このジレンマを解決するために生み出されたゲームデザインだ。
2020年10月のアーリーアクセス開始から18ヶ月間、Gustafsssonはプレイヤーのフィードバックを受けながら継続的にゲームを改善し続けた。アーリーアクセス中の平均プレイ時間は18時間に達し、正式リリース直後に96%という圧倒的な好評率を記録した。
2022年7月にSaber Interactiveに買収されてからは、より大きなリソースでコンソール対応、DLC開発、マルチプレイ実装が進んだ。インディースタジオとしてのDennis個人の開発から、より大きな組織的なプロジェクトへの移行だ。この変化についてはコミュニティの評価が分かれているが、ゲームとしての継続的な進化は止まっていない。
最初の技術デモを見た時から「これは絶対面白くなる」と思ってた。発売したら期待通りだった
引用元:Steamレビュー
スペックとパフォーマンス——動作要件
Teardownは独自開発のボクセルエンジンを使っており、PCの要求スペックは一般的なインディーゲームより高め。特にボクセルの破壊処理とリアルタイムレイトレーシングはGPUに負荷がかかる。
Steamの推奨スペックはGPUとしてGeForce GTX 1080 / AMD RX 5700相当以上が目安になる。実際のプレイでは、フレームレートはマップや破壊量によって大きく変動する。特に延焼が広がっている時や大量のボクセルを一度に処理する場面ではフレーム落ちが起きやすい。
最低動作スペックでは動くが、快適にプレイするには推奨スペック以上があった方がいい。設定でボクセルの品質やレイトレーシングの精度を落とすことで中程度のスペックでも動作する。グラフィック設定に「ボクセルの精度」「レイトレーシングの品質」「影の解像度」などの項目があり、それぞれ段階的に調整できる。見た目の綺麗さとフレームレートのバランスは自分のPCスペックに合わせて調整するといい。
ノートPCでのプレイはGPU性能に依存する。内蔵グラフィックでは動作しない可能性が高い。ゲーミングノートであればGeForce RTX 3060以上を目安にしてほしい。デスクトップPCであれば同等以上のGPUで快適に動作する。
RAM(メモリ)も重要だ。ゲーム内でボクセルデータをリアルタイムに処理するため、16GB以上が推奨される。8GBでも動作はするが、大きなMODマップや多くのMODを同時に入れている状態では不安定になることがある。
Teardownで「上手くなる」感覚——成長の記録

Teardownで長く遊んでいると、明確に「プレイが上手くなっていく」体験ができる。この成長の軌跡を辿ると、ゲームの設計の意図が見えてくる。
初期フェーズ:試行錯誤と「こんな使い方できるのか」の連続
最初の数時間は、ひたすら失敗と発見の繰り返しだ。ハンマーで壁を叩いてみたら意外と速く壊れた、爆発物を使ったら思ったより広範囲が吹き飛んだ、車で壁に突っ込んだら建物が倒れた——こういう発見が次々と来る。
この段階では「攻略」よりも「実験」の方が正確な表現だ。ゲームがどこまでやらせてくれるかを確かめている感覚で、ミッション失敗してもそれほど悔しくない。むしろ「こんな壊れ方するんだ」という発見の方が印象に残る。
中期フェーズ:「最適化」への意識が芽生える
ゲームに慣れてきたころから、「どうすればもっと早くクリアできるか」という最適化への意識が出てくる。60秒という制限時間の中で、どのルートが最短か、どのツールを使えば準備が速いか——という逆算思考が自然に働き始める。
この段階で「スプレーカンで経路を描く」「準備の要所でクイックセーブする」といったテクニックを覚えていることが多い。ミッション失敗の理由が「どこが悪かったか」という分析ベースになり、単なる運の問題ではなく設計の問題として捉えられるようになる。
上級フェーズ:「複数の解法」を持てるようになる
さらに経験を積むと、同じミッションに対して複数の攻略方法を思いつけるようになる。「このルートでも行けるし、あっちのルートの方が安全かもしれない」という比較ができるようになる。
この段階になると、チャレンジモードのタイムアタックが格段に面白くなる。「前回は50秒でクリアしたけど、この壁を先に壊しておけば45秒でいけるのでは?」という細かい最適化の余地が見えてくる。1秒を削るために新しいルートを発見する喜びは、他のゲームではなかなか味わえない。
長くTeardownをプレイしたプレイヤーが口をそろえるのが、「気づいたら現実でも建物の構造を見て『ここを壊したら』と考えてしまう」というコメントだ。ゲームを通じて空間把握力と逆算思考が鍛えられ、それが日常に滲み出るほどの影響を与えているという、ゲームとしては最大の称賛だと思う。
「Teardownが私に合うかどうか」チェックリスト
ひとつ正直に言っておくと、Teardownは「チュートリアルが薄い」という特性上、最初の1〜2時間で面白さがわからずに辞めてしまうプレイヤーが一定数いる。でも、その壁を越えると急に面白さが見えてくる。最初の数ミッションは「どうすればいいかわからない」という状態が続くが、それを突破した瞬間に「このゲームはそういうゲームだったのか」という理解が来る。その理解が来るまでが長いという批判はあるが、来た後の体験は本物だ。
ここまで読んで「自分に合うかどうかまだわからない」という人のために、具体的な質問を並べる。
「脱出ゲームやルーム・ブレイクアウトが好き」「パズルゲームで詰まっても諦めず考え続けられる」「試行錯誤して答えを見つけるプロセスが楽しい」——これらにひとつでも当てはまるなら、Teardownは高確率でハマる。
「アクションゲームは好きだけどパズル系は苦手」「ゲームに入り込むにはリアルなグラフィックが必要」「明確なストーリーで没入したい」——これらに当てはまるなら、合わない可能性がある。
「破壊ゲームを遊んでみたいけど、どれを選んでいいかわからない」という人には、とりあえずTeardownを選んでおけば後悔しない。破壊ゲームというジャンルでは現時点でトップクラスの完成度だし、MODによるコンテンツ量も保証されている。
サバイバルと建築の両方が好きな人には

まとめ——Teardownはどんなゲームか、正直に言う
Teardownは「破壊ゲーム」という見た目をしているが、本質は「空間設計パズル」だ。
「60秒という制約」と「無限の準備時間」という非対称な設計が、単なる破壊ゲームにならない深みを作っている。ステージを隅々まで探索して、どこをどう壊せばどのルートが通れるかを計算して、実行フェーズに臨む。うまくいかなければ何が悪かったかを分析してやり直す。このループが、気づいたら数時間経っていたという体験を生む。
「何でも壊せる」というのは本当だ。ただ、それが面白さの理由ではなく、面白さのための環境だ。壊せることで「どこを壊すか」という設計の自由度が生まれ、その自由度が60秒制限のパズルとして機能する。この構造の美しさが、Teardownが単なるアイデア一発勝負のゲームではなく、何十時間でも遊べるゲームになっている理由だ。
ネガティブな点も正直に書いた。後半ミッションの難易度の上がり方、一部のミッションの作業感、チュートリアルの薄さ——これらは本物の欠点として存在する。でも、それを差し引いても、このゲームのコアにある「計画→実行→失敗→改善」のループは、他のゲームで簡単には体験できない種類の楽しさを提供している。
118,000件中95%が好評という数字は、伊達じゃない。
独立ゲームフェスティバルの「Excellence in Design」受賞も、このゲームの設計の完成度を業界が認めた結果だ。1人のプログラマーがボクセル物理演算の研究から始めて作り上げたゲームが、世界中の100万人以上のプレイヤーに遊ばれているという事実は、純粋にすごいと思う。
「強盗映画みたいな完璧な作戦を自分で立てて実行したい」——その欲求を持っているなら、Teardownはその体験を提供してくれる。
作戦の準備を楽しんでほしい。壁を壊す前に、何度でも計画を立て直してほしい。完璧な60秒を実現した時の達成感は、このゲームでしか得られない種類のものだから。
アーリーアクセス開始から正式リリース、コンソール版展開、DLC追加、そしてマルチプレイ実装と、Teardownは5年以上かけて継続的に進化している。250万人以上のプレイヤーが遊んでいるゲームには、それだけの理由がある。買って損はないと、自信を持って言える一本だ。
1000時間プレイしたけどまだ飽きてない。MODで新しいマップが毎週増えてくるし、マルチプレイも来たし、本当に終わりがないゲーム
引用元:Steamレビュー
都市建設やじっくりした計画ゲームが好きな人には

Teardown
| 価格 | ¥3,960 |
|---|---|
| 開発 | Tuxedo Labs |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

