初めてランクマッチに潜ったとき、相手のターンが終わるまで5分かかった。
こちらは何もできない。ただ画面を眺めているしかない。相手が10枚以上のカードを展開し、各種召喚のエフェクトが走り続ける。気づいたときにはフィールドが制圧モンスターで埋め尽くされていた。「これが現代の遊戯王か」と思いながら、デッキトップをめくったところで投了を選んだ。
それでも翌日また起動した。対抗できる手札誘発を調べて、デッキを少し変えて、また負けて、また調べる。この繰り返しのなかに、確かに手ごたえがある。遊戯王マスターデュエルとはそういうゲームだ。
2022年1月19日にPC/コンソール/スマートフォン向けに同時リリースされたYu-Gi-Oh! Master Duelは、リリース初週でSteamの同時接続数が26万2,000人を超え、当時の歴代最高記録に迫る勢いを見せた。20年以上のOCGの歴史をそのままデジタルに移植するという試みが、遊戯王ファンだけでなく「カードゲームとはなんぞや」という人たちまで引き込んだ。世界累計ダウンロード数は2024年時点で6,000万を突破している。
その熱狂から4年が経った2026年現在、Steam同接は約1万5,000人前後で推移している。最盛期と比べれば落ち着いたが、基本無料のカードゲームとしてはまだ相当な規模だ。世界大会も継続して開催され、プロシーンも健在。コンテンツも定期的に更新され、環境は季節ごとに変わり続けている。
このゲームを始めようか迷っている人、昔やっていたけど離れてしまった人、遊戯王のルールをまったく知らないけれど興味がある人——そのすべてに向けて、マスターデュエルのすべてを正直に書く。
こんな人に読んでほしい

- 遊戯王のアニメや漫画が好きで、実際にカードゲームを体験してみたい人
- 物理カードのOCGは買えないけれど、デジタルで遊戯王をやってみたい人
- MTGアリーナや他のデジタルカードゲームを経験していて、遊戯王との違いを知りたい人
- 基本無料でカードゲームを楽しみたいが、課金なしでどこまでできるか気になる人
- かつてOCGをやっていて、マスターデュエルで復帰しようか迷っている人
遊戯王マスターデュエルとは何か——OCGをそのままデジタルに
マスターデュエルを一言で説明するなら「遊戯王OCGの公式デジタル版」だ。KONAMIが開発・運営しており、物理カードゲームとしての遊戯王OCG(オフィシャルカードゲーム)のルールをそのままデジタル上で再現している。
重要なのは「そのまま」という点だ。マスターデュエルは遊戯王という名前を使った別ゲームではなく、OCGのルールを忠実に実装したデジタル移植として設計されている。チェーン処理、カードの効果テキスト、禁止・制限リスト——これらはすべてOCGと同じ仕組みの上に成り立っている(一部リミットレギュレーションはOCGと異なる「MD独自の制限」が存在するが、基本ルールは共通だ)。
遊戯王のルールを知らない人向けに整理しておくと、このゲームの基本はシンプルだ。プレイヤーは8,000のライフポイント(LP)を持ち、先に相手のLPを0にしたほうが勝ち。フィールドに召喚したモンスターで相手のモンスターを倒し、直接攻撃でダメージを与えていく。魔法カードで場を有利にし、罠カードで相手の行動を妨害する。
ただし「基本はシンプル」だが「深さは底なし」だ。モンスターの召喚方法だけで通常召喚・特殊召喚・エクシーズ召喚・シンクロ召喚・リンク召喚・ペンデュラム召喚・融合召喚と7種類以上ある。カードの効果が複雑に絡み合い、「チェーン」という処理順の概念があり、「スペルスピード」という優先度のルールがある。これを人間同士が正確に処理するのは至難の業だが、デジタルならゲームが自動で処理してくれる。
物理の遊戯王でよく起きる「このカードの効果ってどうなるの?」という処理トラブルが一切ない。複雑なルールの遊戯王をほぼバグなく処理できているのが本当に素晴らしい
引用元:note 無課金プレイヤーのレポートより
マスターデュエルのすごさは、この複雑さをプレイヤーが気にしなくて済む仕組みにある。相手がカードを発動したとき、こちらがチェーンできるカードがあれば自動でポップアップが出る。処理順は問わずにゲームが自動で解決する。相手のターン中に動けるタイミングもゲームが教えてくれる。だから「ルールに慣れていない初心者でも、まず動かしてみることができる」という入口の広さが生まれている。
リリース当初から世界規模でプレイヤーを集められた理由のひとつは、この「敷居の低さ」にある。遊戯王OCGは世界中にファンがいるが、物理カードを買うにはコストがかかる。デジタル版なら基本無料で始められ、スマートフォンでもPCでもプレイできる。クロスプラットフォーム対応のため、PC・スマホ・コンソールのプレイヤーが同じサーバーで対戦する。
6,000万人が体験したデッキ構築の楽しさ

マスターデュエルの核心はデッキ構築だ。40〜60枚のカードでデッキを組み、そのデッキで対戦する。何を入れて何を入れないか、どのカードの組み合わせでどんな展開を目指すか——この思考プロセス自体がゲームの大きな楽しさになっている。
カードはメインデッキとエクストラデッキの2種類に分けられる。エクシーズ・シンクロ・リンク・融合モンスターはエクストラデッキに入り、特定の条件を満たしたときにフィールドに呼び出せる。現代の遊戯王では、このエクストラデッキの使い方がデッキ構築の要になっている。
デッキのテーマは数百種類以上存在する。「青眼の白龍」を使ったブルーアイズデッキ、海竜族を主軸にしたマリンセスデッキ、高速展開で相手のフィールドを制圧するティアラメンツデッキ——遊戯王のカードプールは2024年時点で1万枚を超えており、テーマの多様性は他のデジタルカードゲームと比較しても群を抜いている。
カードの入手方法はパック開封が基本だ。ゲーム内通貨の「ジェム」でパックを買い、欲しいカードを集めていく。また「クラフト」という仕組みがあり、不要なカードを素材に変換して目的のカードを直接生成することも可能だ。この仕組みのおかげで「何百枚開けてもピースパズルが当たらない」というリアルカードゲーム特有の地獄を回避できる。
ジェムはプレイするだけで稼げる。デイリーミッションの達成、ランク戦の昇格報酬、ソロモードのクリア報酬——こうした無課金ルートで毎月数千ジェムが入ってくる。ソロモードを全クリアするだけでも相当な量のジェムが得られるため、最初の1〜2ヶ月は無課金でも十分なカード資産を積み上げられる。
無課金で2年続けた。汎用カードもほぼ揃ったし、環境デッキも毎月1〜2個は作れる。最初はきつかったけど、コツコツやれる人なら課金は正直不要だと思う
引用元:QPゲームズ 無課金2年目レポートより
ただし「最初はきつい」という点は正直に書いておく。始めたばかりのプレイヤーはカード資産が少なく、強いデッキをすぐに組めない。ランク戦に潜れば相手は2年以上プレイしている長期ユーザーかもしれない。最初の1〜2ヶ月は「ソロモードでジェムを稼ぎながら、徐々にデッキを強化する」期間と割り切るのが正解だ。
初心者には「ストラクチャーデッキ」の購入がおすすめされることが多い。ストラクチャーデッキは構築済みデッキで、500ジェムで購入でき、そのまま使っても中級者レベルで戦える。3つ購入するとキーカードを3枚揃えられるため、よく「スト3積み」という表現が使われる。

百英雄伝のようにRPGで複雑な戦術を楽しむゲームとはアプローチが違うが、「最適な手を考える」という思考の楽しさはどちらにも共通している。カードゲームという形でそれを体験したいなら、マスターデュエルはベストな選択肢のひとつだ。
ソロモードという入口——遊戯王の歴史をゲームで学ぶ
マスターデュエルには「ソロモード」と呼ばれるオフラインコンテンツが充実している。CPU相手にデュエルしながらゲームを学べる場として設計されており、初心者がオンライン対戦に挑む前の準備期間として非常に有効だ。
ソロモードは複数の「ゲート」に分かれており、各ゲートにはカードのテーマに沿ったストーリーが用意されている。青眼の白龍ゲートでは白竜を扱うデュエリストの物語が語られ、マリンセスゲートでは海の戦士の旅が展開される。遊戯王のカードは1枚1枚にフレーバーテキストやキャラクターが存在し、テーマごとの世界観が作り込まれている。ソロモードはそれを体験できるコンテンツだ。
「デュエルストラテジー」というコーナーもあり、通常召喚・融合召喚・シンクロ召喚・エクシーズ召喚・ペンデュラム召喚・リンク召喚の各召喚方法をチュートリアル形式で学べる。各召喚方法をクリアするとジェム600個が手に入るため、序盤のジェム稼ぎとしても機能している。
ソロモードの報酬はジェムだけでなく、カードそのものが手に入ることもある。ゲートをクリアしていくと特定のカードやURシャードが報酬として得られ、これをうまく活用することで序盤のデッキ構築を助けられる。
定期的に新しいゲートが追加されるため、長期プレイヤーにとっても更新ごとに楽しめるコンテンツになっている。2024年以降もさまざまなテーマのゲートが追加されており、遊戯王の世界観を掘り下げる機会として評価する声は多い。
ランクマッチの実態——プラチナまでは優しく、その先は別世界

マスターデュエルのランク戦は「ルーキー」から始まり、「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」「ダイヤモンド」「マスター」まで31段階ある。シーズン制で毎シーズン報酬のジェムやカードが配られ、達成したランクに応じてもらえる報酬が変わる。
ランク構造のポイントは「降格がある区間とない区間」の設計だ。各ランク内の「Tier5」は降格がないため、Tier5のうちにデッキを試して調整できる。また、ダイヤモンドとプラチナ間、プラチナとゴールド間といった主要ランクをまたいだ降格は発生しない仕様になっており、一定以上のランクを維持しやすい設計になっている。
ゴールド〜プラチナ帯までは環境デッキを組んでいなくてもある程度戦える。ここまでは「遊戯王を楽しむ」場所として機能している。問題はダイヤモンド以上だ。
ダイヤモンド帯に入ると、使用デッキの質が一気に変わる。環境Tier1のデッキが並び、1ターンに複数の妨害モンスターを立てる展開型デッキが主流になる。この環境についていくためには「手札誘発」と呼ばれる妨害カードが必須になり、デッキを組む難易度とカード資産の必要量が跳ね上がる。
2025年の環境では高速展開型のデッキが強い傾向が続いており、先攻を取って大量展開し制圧するスタイルが上位を占める。マスターランク帯になると、数手先を読んだプレイングと緻密なデッキ構築が求められるため、カジュアルに楽しみたい層とガチ勢の間に明確な断絶がある。
プラチナまでは好きなデッキで楽しく遊べた。ダイヤモンドに上がった瞬間から体感が別ゲーになった。環境デッキを組む覚悟が要る
引用元:ゲームの箱庭 マスターデュエルレビューより
ランクマッチはBO1(1本勝負)が基本だ。物理カードゲームの大会はBO3(3本勝負)が主流だが、マスターデュエルは1回の試合で勝敗が決まる。この形式は「素早く対戦できる」反面、「先攻・後攻の運の影響が大きい」という特性を生む。

Metaphor: ReFantazioのような緻密なターン制RPGでは「手順を考えて実行する」楽しさがあるが、マスターデュエルのランクマッチも「相手の妨害をくぐり抜けて展開する」思考の積み重ねに近い部分がある。ただし、運の要素が介在するのがカードゲームの本質でもある。
遊戯王マスターデュエルが世界で爆発した理由
2022年1月のリリース直後、マスターデュエルはSteamのチャートを席巻した。同時接続26万人超はValheimやDyson Sphere Programと並ぶレベルで、カードゲームとしては異常な数字だった。なぜここまで爆発したのか。
理由のひとつは「20年分の積み重ね」だ。遊戯王OCGは1999年に日本でサービスを開始し、2024年時点でギネス世界記録に「世界で最も多く販売されているトレーディングカードゲーム」として登録されている。全世界に巨大なファンベースが存在していた。そのユーザーたちが「ついに公式のデジタル版が来た」という期待を持って一斉にDLした。
「公式」という看板の重さも大きい。遊戯王のデジタルカードゲームには過去にもさまざまな作品があったが、OCGルールを完全に再現した本格的なデジタル版は実質初めてだった。非公式のシミュレーターで遊んでいたプレイヤーが「公式クオリティ」を求めて移ってきたという流れもある。
クロスプラットフォーム対応も重要だった。Steam(PC)・PS4/PS5・Xbox・Nintendo Switch・iOS・Android、すべてのプラットフォームで同じサーバーを使える。遊戯王ファンがいるすべての環境をカバーしたことで、プレイヤー基盤が最大化された。
グラフィックと演出のクオリティも期待以上だった。各モンスターのカードアートが3Dアニメーションで動き、召喚エフェクトは各召喚方法ごとに異なる演出が用意されている。「遊戯王のカードがこんなふうに動くのか」という感動が、リリース当初のSNSを賑わせた。
遊戯王のカードアートが3Dで動く演出が本当にかっこいい。自分が使っているテーマのカードたちが生き生きと動いているのを見るだけで満足感がある
引用元:神ゲー攻略 マスターデュエル評価・レビューより
また、ソロモードの充実によって「まずは無料で試せる」導線が整っていた。対戦以外のコンテンツが豊富なため、デジタルカードゲームに不慣れなプレイヤーでも段階的にゲームを学べる設計になっていた。
Steam版の評価は「やや好評」(約6万件レビュー)を維持しており、日本語レビューは「賛否両論」(約2,873件)という状況だ。最盛期の爆発的な数字と比べると落ち着いたが、基本無料タイトルとして継続的にユーザーが残っているのは、ゲームの基礎的な完成度の高さを示している。

ペルソナ3 Reloadのように「既存ファンの期待に応える完成度」という点でマスターデュエルと共通点がある。20年以上のファンが「自分たちの遊戯王」を正しい形でデジタルで体験できた——それが6,000万ダウンロードの根拠だ。
課金システムの実態——ジェムと無課金の現実

マスターデュエルは基本無料で、課金要素はジェムの購入が中心だ。ジェムはパック購入に使うほか、一部の特別パックやアイテムの購入にも使用する。課金しなくてもゲーム内でジェムを稼ぐことができ、プレイを継続すれば無課金でも環境デッキを組めると多くのプレイヤーが証言している。
無課金でジェムを稼ぐ主な方法はいくつかある。
ソロモードのクリア報酬は最も効率が良い。デュエルストラテジーを全コンプリートするだけでジェムが数千単位で手に入る。ソロモードの各ゲートも報酬が設定されており、序盤は優先してソロモードを進めるのが定石になっている。
デイリーミッションとウィークリーミッションも安定したジェム源だ。毎日ログインしてミッションをこなすだけで月数百〜数千ジェムが貯まる。
ランク戦の昇格報酬とシーズン終了時の報酬もある。一定のランクに到達するとシーズン終了時にジェムが付与されるため、ランクマッチを続けるインセンティブになっている。
「デュエルパス」という期間限定パスも存在する。無料版と有料版(ゴールド)があり、ゴールドパスはジェムや限定カード・スキンが手に入る。課金するならバトルパス的な位置づけのこのデュエルパスがコスパの良い選択肢とされている。
課金額の感覚としては、欲しい高レアリティカード(UR)を1枚ピンポイントで生成するのに必要なURシャードを集めるには相当な量のジェムが必要だ。「絶対にこのカードが欲しい」という場合は数千円〜数万円規模の課金が発生しうる。ただし環境デッキを組むための必須カードは、クラフト(素材変換)と無課金ジェムで賄えるケースが多い。
無課金6ヶ月で初のマスター1達成。正直かなりきつかったけど、汎用カードを優先して揃えれば無課金でもランクは上げられる。ジェムの使い道を間違えなければ課金は不要
引用元:QPゲームズ 無課金6か月目レポートより
課金で強くなるタイプのゲームではなく、課金でカードを揃える時間を短縮するタイプだ。同じカードを持っていれば課金者と無課金者の対戦条件は同じ。デッキの強さで勝負できる設計は、カードゲームとして正しい方向性といえる。
先攻ソリティアと「後攻が辛い」問題
マスターデュエルを語るうえで避けられない問題が、先攻・後攻の非対称性だ。
遊戯王OCGは先攻プレイヤーが「相手が何もできない状態で」大量展開できる仕組みになっている。先攻1ターン目に手札から10枚以上のカードを展開し、フィールドに「相手のあらゆる行動を止める」モンスターを複数並べるプレイ——これが「ソリティア」と呼ばれる現象だ。
後攻プレイヤーは先攻の展開を止める手段として「手札誘発」カードを使うが、誘発が引けなかった場合は相手の展開をひたすら眺めるだけになる。このとき5分以上かかることも珍しくない。その後、制圧されたフィールドに対して突破を試みるが、複数の妨害を超えるのは非常に困難だ。
後攻引いて手札誘発が1枚も来なかったとき、相手の5分以上のターンを見ているしかない。この時間が本当につらい。ゲームとして楽しいとは言いがたい部分がある
引用元:Yahoo!知恵袋 マスターデュエル関連質問より
先攻・後攻の決定はコイントスで行われ、コイン表のプレイヤーが先攻か後攻かを選択できる。先攻が有利なため、多くのデッキは先攻を選ぶ。この「先攻有利」という構造はOCGのルールレベルの問題であり、デジタル版だけで解決できるものではない。
KONAMIはこの問題に対していくつかの施策を打ってきた。後攻専用の強力なカード(「墓穴の指名者」「三戦の才」など)の実装、特定の強力な展開カードの禁止・制限指定、シーズンごとのリミットレギュレーション改定——それでも「先攻が有利」という基本構造は変わっていない。
この点は正直にネガティブとして書かざるを得ない。遊戯王というゲームの楽しさを体験するには「先攻を取れたら展開する」「後攻でも捲れる手段を用意する」という両面の構築力が必要で、それを身につけるまでの学習コストが高い。初心者が最初に感じる「なんで自分だけ何もできないんだ」という不満は、このゲームの最大の課題だ。
それでも続けてしまう理由——デッキを組む喜びの正体

先攻ソリティアの問題、カード資産の偏り、ランクマッチの厳しさ——ネガティブな要素を並べてもなお、マスターデュエルはプレイヤーを引き止め続ける。なぜか。
答えはデッキ構築の楽しさにある。何百種類もあるテーマの中から自分が好きなものを選び、40〜60枚のデッキに落とし込む作業は、一種のパズルだ。相手のデッキを読んで対策を入れ、先攻展開の手順を練り、限られたカード資産の中で最適解を探す——この過程がやめられない。
遊戯王のカードプールは他のデジタルカードゲームと比べても圧倒的に広い。MTGアリーナやハースストーンと違い、数十年分のカードがほぼすべて収録されている。好きなアニメキャラが使っていたデッキ、思い出のカード、自分だけのコンボ——やりたいことの数だけデッキの選択肢がある。
子どもの頃に好きだった「サイバードラゴン」デッキをそのまま組めるのが感動だった。あのカードがこんなに強くなっているとは思わなかった
引用元:ゲームの箱庭 マスターデュエルレビューより
勝ちやすい環境デッキを組む必要はない。ソロモードで楽しむだけでもいいし、フレンドと遊ぶだけでもいい。「ランクはどうでもいいから好きなデッキを使いたい」という需要に、マスターデュエルは応えられる。ランクを度外視して好きなテーマで楽しむプレイヤーは、数年経った今でも一定数いる。

Sea of Starsのように「特定の楽しさに特化して、それが刺さる人に深く刺さる」というゲームがある。マスターデュエルも同様だ。デッキ構築とカードゲームの駆け引きが好きな人には、このゲームの深さは何百時間でも楽しめるものになっている。
カード同士のシナジーを発見したとき、難しい後攻からの逆転を成功させたとき、練り込んだコンボが初めて綺麗に決まったとき——その瞬間の達成感は、間違いなく本物だ。
世界大会とeスポーツ——競技シーンの現在地
マスターデュエルは競技シーンを持つゲームでもある。KONAMIは「Yu-Gi-Oh! Master Duel World Championship」を開催しており、世界中の精鋭プレイヤーが頂点を争う大会が毎年行われている。
大会形式はBO3(3本勝負)のサイドデッキあり形式だ。ランクマッチのBO1と違い、大会では3本のうち2本を先に取ったほうが勝ちで、2・3本目には「サイドデッキ」からカードを15枚入れ替えられる。相手のデッキを見た後でカードを入れ替えるこのサイドデッキの仕組みが、大会における深さをさらに増している。
世界大会の参加権を得るためのオンライン予選がマスターデュエル内で行われるため、上を目指すプレイヤーにとってはランクマッチとは別に「大会モード」が存在する形になっている。
競技シーンが存在することは、長期的なゲームの健全性にもプラスだ。上位プレイヤーの対戦動画や解説が継続的に生まれ、初心者が学べるコンテンツが増え続ける。YouTubeやTwitchでのマスターデュエル配信は、日本語・英語問わず今も活発だ。
正直なネガティブ評価——離れていったプレイヤーの声

良いことばかり書いていても正直ではないので、ネガティブな声もまとめて書く。
最も多い不満は前述の先攻ソリティア問題だ。「後攻を引いて手札誘発が来なかったゲームは、自分は何もせずに終わる」という体験は、カードゲームとしての楽しさを根本から損ねる瞬間がある。この問題はOCGのルール設計に起因するもので、マスターデュエルだけの問題ではないが、デジタルゲームとして新規ユーザーが体験する最初の障壁になっていることは否定できない。
先攻で展開された制圧盤面を見ながら、何もできずに投了する。この体験を数回繰り返して引退した。遊戯王自体は好きなんだけど、ゲームとしての公平感が低い
引用元:note 引退プレイヤーの記事より
カードプールの広さゆえの「覚えることの多さ」も課題だ。1万枚以上のカードが存在し、相手が何のデッキを使っているかを把握するだけでも相当な知識量が必要になる。対戦中に相手のカードの効果を確認できる機能はあるが、試合の流れの中でカードテキストを読んで判断するのは初心者には難しい。
相手のカードの効果がわからなくて、とりあえずチェーンしたら実は乗せてはいけないタイミングだった、みたいなことが最初は連発する。遊戯王の知識がゼロだと学習コストが高い
引用元:まじっく ざ げーまー マスターデュエルレビューより
Steam最近のレビューが「賛否両論」になっている背景には、プレイヤー離れへの懸念もある。「引退ラッシュ」という言葉がコミュニティで使われることも増えており、長期プレイヤーが環境のマンネリや先攻ソリティア問題を理由に離れていく現象が2024〜2025年にかけて観測されている。
マッチングの速度は、プラットフォームや時間帯によってばらつきがある。深夜帯や過疎サーバーでは待ち時間が長くなることがある。クロスプラットフォームのおかげでプレイヤープールは広いが、特定のランク帯では対戦相手を見つけるのに時間がかかるケースも報告されている。
初心者が最初にやること——おすすめの始め方
マスターデュエルを今から始めるなら、最初にやるべきことを具体的に書いておく。
まず「デュエルストラテジー」をすべてクリアする。ソロモードのメニューから入れる各召喚方法のチュートリアルで、クリアするとジェムが合計数千単位で手に入る。遊戯王のルールを体で覚えながら資産を稼げる最初の一歩だ。
次にソロモードのゲートを進める。好きなテーマのゲートから始めていい。報酬のカードとジェムを集めながら、各テーマのカードの動きを学べる。
ストラクチャーデッキを1〜3個購入する。500ジェム(×3=1,500ジェム)で揃えられるストラクチャーデッキは、序盤のデッキとして十分な強さを持つ。特に初心者向けとして評価が高いのは「サイバードラゴン」や「エルドリッチ」系などのシンプルな動きをするデッキだ。
ランク戦はゴールド帯あたりを目安に始める。ルーキー・ブロンズは初心者でも戦いやすい環境だが、ソロモードでゲームに慣れてからのほうが楽しめる。

龍が如く8のように「入口は広くて、やり込めばどこまでも深い」という設計は、マスターデュエルにも当てはまる。最初の学習コストを乗り越えれば、その先には数百時間でも楽しめる世界が広がっている。
まとめ——遊戯王マスターデュエルはこういうゲームだ
遊戯王マスターデュエルを一文で表すなら「20年分のカードゲームの歴史を、基本無料でデジタル体験できる場所」だ。
良い点を正直に言えば、遊戯王OCGのルールを忠実に実装した完成度の高さ、6,000万人が認めた基礎的なクオリティ、無課金でも環境デッキを組める課金設計、ソロモードという充実した入口、クロスプラットフォーム対応による幅広いプレイ環境——これだけの要素が揃っているカードゲームは他にない。
正直に言えば問題もある。先攻ソリティアによる公平感の欠如、1万枚超のカードプールがもたらす学習コストの高さ、最初の1〜2ヶ月のカード資産の薄さ——これらは始めてすぐに体感する壁として存在する。
それでもこのゲームを勧めたい人は明確だ。遊戯王のカードに思い入れがある人、デッキ構築の試行錯誤が好きな人、カードゲームの駆け引きを本気で体験したい人。この条件に当てはまるなら、マスターデュエルは間違いなく最良の選択肢のひとつだ。
Steam同接が26万人から1万5,000人に落ちた今も、このゲームはプレイヤーを大量に抱えた現役タイトルだ。世界大会も続き、新カードも届き、デュエルは今日も世界中で行われている。
操作性が良くなり続けているし、新テーマも追加され続けている。神アプデが続いているゲーム。遊戯王が好きなら絶対やるべき
引用元:スマホゲームNavi マスターデュエル評価記事より


Yu-Gi-Oh! Master Duel
| 価格 | 基本無料 |
|---|---|
| 開発 | KONAMI |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

