「STALCRAFT: X」チェルノブイリのゾーンを生きる基本無料MMOFPS

「S.T.A.L.K.E.R.の世界をMMOで体験できる」——この一文だけで、ピンと来た人はきっと同志だ。

チェルノブイリ立入禁止区域。ミュータント。アノマリー。放射線。派閥戦争。アーティファクト探し。S.T.A.L.K.E.R.シリーズを遊んだことがある人なら、これらのキーワードを見るだけで「ゾーン」の空気感が蘇ってくるはずだ。廃病院の廊下に差し込む光。ガイガーカウンターの音。霧の向こうに見える影が人間かミュータントかわからない緊張感。

STALCRAFT: X(スタルクラフト X)は、その世界をMMOFPSとして再現したゲームだ。しかも基本プレイ無料。2026年4月時点のSteam同接は約22,954人。2024年の大型更新時には25,307人の同接記録を更新し、前日比2倍以上という爆発的な伸びを記録した。

このゲームの出自がまた面白い。元々は2013年にMinecraftのMODとして始まったプロジェクトで、当時はS.T.A.L.K.E.R.の世界観をマイクラの世界に移植しようとしていた。それが独自エンジンへの移行、スタンドアローン化、法人化、Steam参入という長い道のりを経て、2022年12月にSteamで正式リリースされるに至った。開発チームのEXBOが設立されたのも、もとはゲーム好きのファンが集まったからだ。ファンメイドプロジェクトが公式の看板を背負うまでに10年かけた、という話自体が一種の伝説になっている。

目次

「STALCRAFT: X」公式トレーラー

2024年7月には「STALCRAFT: X」と銘打った大型アップデートが実施され、新ロケーション、新派閥ストーリー、新しい移動システム、経済システムの刷新、グラフィックの全面リニューアルと、ゲームの見た目と中身を一気に作り直した。10周年を記念したこのアップデートは、旧来のプレイヤーにも初見のプレイヤーにも衝撃を与えることになった。

2026年4月現在も定期的にパッチが当たり続けており、「Inside Out」と名付けられたイベントが稼働中だ。ゾーンの空間が歪み、通常とは異なるルールで動くオルタナティブな世界が期間限定で展開される。

この記事では、STALCRAFT: Xの何が面白くて、何が問題なのかを正直に書く。S.T.A.L.K.E.R.ファン向けの解説から、初見の人が知っておくべきこと、ゾーンの仕組み、派閥選択、武器・防具・クラフト、そして課金周りの現実まで、全部まとめた。

すでにSTALCRAFT: Xを知っていて「続けるべきか迷っている」人にも読んでほしい。「今のこのゲームの現状」をできる限り正確に書いたつもりだ。2026年4月時点での情報をベースにしている。

こんな人におすすめ / こんな人には合わない

STALCRAFT: X FPS スクリーンショット1

最初に合う人・合わない人を整理しておく。このゲームは刺さる人にはとても刺さるが、合わない人には序盤で壁を感じる設計になっている。

こんな人におすすめ

  • S.T.A.L.K.E.R.シリーズが好き、またはゾーン世界観に惹かれる人
  • PvPとPvEが混在する「本物のオープンワールド緊張感」を求めている人
  • MMOにFPS要素を組み合わせた珍しいジャンルに興味がある人
  • 派閥を選んでRPG的にストーリーを進めたい人
  • 基本無料でじっくり長く遊べるゲームを探している人
  • フレンドと2〜4人でゾーンを探索したい人
  • アーティファクト収集・クラフト・経済参加まで含めた多層的ゲームプレイが好きな人
  • 「強くなる過程」を自分で積み上げたい人(装備のアップグレードが実感できる)
こんな人には合わないかも

  • 日本語UIが必須の人(現時点で公式日本語非対応)
  • PvPでやられることに強いストレスを感じる人(ゾーンのほぼ全域でキルされる可能性がある)
  • 序盤から終盤まで同じテンションで遊びたい人(中盤以降にグラインド圧が高まる)
  • 射撃ゲームに慣れていない人(FPSとしての基礎力が問われる場面が多い)
  • 課金なしで素早く強くなりたい人(時間をかなりかけることが前提の設計)
  • フレンドなしのソロ専業で遊びたい人(ゾーンはチームの方が圧倒的に有利)

ファンメイドから公式へ——10年間の開発史が作ったゲーム

STALCRAFT: X FPS スクリーンショット2

まずこのゲームの来歴を整理しておきたい。知らないと「また量産型サバイバルMMOか」と誤解しかねない。STALCRAFT: Xの歴史はちょっと特別だ。

2013年——Minecraftのモッダーたちがゾーンを夢見た

プロジェクトの始まりは2013年のMinecraftコミュニティだった。S.T.A.L.K.E.R.の熱心なファンたちが「Minecraftの世界にゾーンを作れないか」というアイデアを持ち寄り、MOD制作を始めた。アノマリー、アーティファクト、放射線、派閥——これらの要素をマイクラの世界に移植しようとする試みだった。

ところが、Minecraftの制約の中ではやりたいことができないと気づいてしまう。「本格的なFPSゲームプレイ」「大規模なオンラインMMO」「リアルな武器システム」——これらはMinecraftのベースでは実現が難しい。チームは独自エンジンの開発という、途方もない決断をする。なぜMinecraftだったかというと、当時の彼らにはゲームエンジンを一から作る知識がなかったからだ。あったのは「このゲームを作りたい」という熱量と、Minecraftで培ったMOD制作の技術だった。まずできる手段で始める、という姿勢はファンプロジェクトらしい出発点だった。

2014年——自前サーバーで最初のプレイヤーを迎える

独自エンジンへの移行を経て、2014年にはロシア語圏のプレイヤーを対象にした最初のサーバーが稼働した。初期のゲームは今とは全く違うビジュアルで、ブロック状のキャラクターが走り回る「まさにマイクラとS.T.A.L.K.E.R.の子供」のような見た目だった。それでも世界観への愛着は本物で、ロシア語圏を中心にじわじわとコミュニティが育ち始める。

この時期のSTALCRAFTは日本ではほぼ無名で、プレイしていた人は相当なゲームマニアだったはずだ。それでも口コミで広がり続け、ロシア・ウクライナ・ベラルーシのゲーマーの間で「あのゾーンMMO」として知られるようになっていく。コミュニティが育つにつれ、開発チームも規模を拡大していった。

開発チームは会社組織として正式に設立され、名前を「EXBO」とした。モッダーの集まりが、ゲームスタジオになった瞬間だ。趣味でゲームを作っていた人たちが、そのゲームで食べていけるようになった——これはゲーム業界の中でも珍しい類の成功体験だ。

開発の規模が大きくなると同時に、課題も増えていった。エンジンの最適化、チーター対策、コンテンツの持続的な追加——ファンプロジェクト時代には存在しなかった「商業ゲームとしての要求水準」に対応しなければならなくなった。この変化の過程で生まれた課金設計の問題は、後に詳しく述べる。

2022年12月——Steam参入で世界デビュー

2022年12月10日、Steam参入。英語対応版を加えたことで世界中のプレイヤーにリーチできるようになり、S.T.A.L.K.E.R.ファンを中心に爆発的に広まった。Steamでのリリース直後から「これは本物だ」「ゾーンの雰囲気を完璧に再現している」という声が英語圏のコミュニティから上がり始めた。

Steamのレビュー総数は2026年4月時点で9万6千件以上に達しており、「Mostly Positive(概ねポジティブ)」の評価を受けている。日本語非対応でこれだけのレビュー数を集めているのは、英語圏・ロシア語圏の支持の厚さを示している。ただし英語レビュー単体で見ると「Mixed(賛否両論)」に近い分布になっており、地域によって評価が分かれているのが現状だ。

当時のゲームはまだビジュアル面で荒削りな部分が多かった。ブロック状のキャラクターモデルが「マイクラっぽすぎる」という批判もあった。「世界観は好きだけど見た目が受け付けない」という理由で離れたプレイヤーも少なくなかった。そこで開発チームは大きな決断をする——全面リニューアルだ。

2024年7月——「STALCRAFT: X」更新、10周年のリブート

サービス開始から10周年となる2024年7月10日、「STALCRAFT: X」と銘打った過去最大規模のアップデートが投入された。変更点は多岐にわたる。

新ロケーション(プレイエリアの大幅拡張)、派閥ごとに分岐する新ストーリーライン、アドバンスド移動システム(パルクールや新アクション)、サウンドの全面刷新、そしてグラフィックの完全なオーバーホール——ブロック状だったキャラクターモデルは現代的なFPSに見劣りしないビジュアルへと生まれ変わった。

この更新によってSteam同接が25,307人を記録し、前日比2倍以上の跳ね上がりを見せた。「見た目も中身も変わった」というメッセージが既存プレイヤーにも新規プレイヤーにも届いた結果だった。ゲームのタイトル自体を「STALCRAFT: X」に改名し、新しいゲームとして再出発する意思表示でもあった。

特筆すべきは、この更新でストーリーコンテンツが大幅に強化されたことだ。それまでは「雰囲気が良いMMO」という評価が多かったSTALCRAFT: Xに、派閥ごとに異なる物語が追加された。これによって「ただ装備を揃えるだけのゲーム」から「世界観に入り込めるゲーム」への脱皮が実現した。

「S.T.A.L.K.E.R. 2で世界観の沼にハマってしまった方はSTALCRAFT: Xというボクセルなタフコフなシューターを触ってみてほしい。基本無料で日本語化されてないけど、情報は割とあるので普通にプレイできるはず。僕はこれで去年の正月休みが終わった」

引用元:Twitter @nurupo_ship8

S.T.A.L.K.E.R. 2(2024年11月リリース)をプレイしてゾーンの世界観に引き込まれた人が、その延長でSTALCRAFT: Xを見つけるパターンは2025年以降かなり増えている。「S.T.A.L.K.E.R. 2をクリアした後もゾーンにいたかった」という動機でSTALCRAFT: Xを始めたというプレイヤーのコメントが、Steamのディスカッションに多く見られる。EXBOもこの流れを意識してか、S.T.A.L.K.E.R. 2のリリースを祝うトリビュート映像を公式に公開している。

ゾーンの設計思想——PvPとPvEが常時混在するオープンワールド

STALCRAFT: Xのゲームプレイを理解するうえで最も重要なのが、「ゾーン」という空間の設計思想だ。ここを理解しないと「なぜあそこで死んだのか」「なぜあそこは安全なのか」がわからないままになる。

ゾーンは単純に「バトルフィールド」でも「探索マップ」でもない。その両方が同時に存在しているフィールドだ。

フィールドにはPvPとPvEが常時混在している。ミュータントが徘徊する危険地帯を歩いていたら、他のプレイヤーに狙撃される。アーティファクトを採取しに行ったら、同じ目的の別のプレイヤーと鉢合わせする。拠点に帰ろうとしたら、拠点付近でバンディットの待ち伏せに遭う——こういうことが普通に起きる。

これはEscape from Tarkovのようなエクストラクションシューターとは異なる設計だ。Tarkovはレイドごとに独立したインスタンスで行われるが、STALCRAFT: Xはフィールド全体が常時稼働するMMOの形をとっている。他のプレイヤーが何をしているか、どこにいるかが世界に影響し続ける。

特に重要なのは、同じゾーンにいるプレイヤーが常に本当の「他者」として存在するという点だ。NPCのように決まったルーティンで動かない。スクリプトに従って行動しない。「敵」として出会った相手が何を考えているか、こちらを追ってくるか、諦めるか、仲間を呼ぶか——まったく読めない。この予測不能性がゾーンの緊張感を作っている。

MMOとFPSの融合という観点でいうと、これはかなり難しいジャンルへの挑戦だった。MMOはプレイヤーが長時間滞在することを前提に設計されるが、FPSは瞬間的な判断と反射が重要になる。STALCRAFT: Xはこの二つを「ゾーン」という空間の中で無理なく共存させることに成功している。探索・採集・取引・派閥活動といったMMO的なアクティビティと、遭遇戦・アーティファクト争奪・ミュータント狩りといったFPS的な緊張感が、同じフィールドの中で自然に混在している。

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エミッション——ゾーンの天変地異

ゾーンには定期的に「エミッション」と呼ばれる現象が発生する。放射線が急激に高まる嵐のようなもので、屋外にいるプレイヤーは即座にダメージを受け、放置すれば死ぬ。エミッションの予告はゲーム内で音と画面演出で知らされるが、「気づいた時には手遅れ」というケースも珍しくない。

エミッションが来たら、地下バンカーやトンネルに避難しなければならない。ゾーン内の各地域には緊急避難用のシェルターが点在しており、探索中に必ずマーキングしておくことが上級者の習慣になっている。「マップを覚えていないとエミッションに追い付かれる」という体験が、地形への習熟を自然に促す設計になっている。

このエミッションという仕組みは、ゲームに「共通のリスク」を作り出している。どんなに装備が強いプレイヤーでも、エミッション中に屋外にいれば死ぬ。同じシェルターに逃げ込んだスタルカーとバンディットが一時停戦状態になることもある。このような偶発的な交流がゾーンの「生きている感覚」を作っている。

そしてエミッション後には大きなチャンスが来る。アノマリー周辺にアーティファクトが出現するのだ。エミッション後10分が経過してアノマリーへの立ち入りが安全になってから約45分間が、アーティファクト採取の黄金時間とされている。このタイミングを狙う多くのプレイヤーが同時にアノマリーに向かうため、競争と戦闘が同時に発生する。エミッション後の45分は、STALCRAFT: Xで最も「ゾーンらしい」時間だという声は多い。

アノマリーとアーティファクト——ゾーン探索の核心

アノマリーはゾーン内に点在する異常地帯で、重力系・生化学系・熱系・電磁系の4種類がある。それぞれ外見が異なり、挙動も違う。重力系は近づくと体が浮き上がり、そのまま放置されると吸い込まれて重傷を負う。生化学系は生物毒で、熱系は燃焼ダメージを与え、電磁系は電撃でダメージを与える。

アーティファクトはアノマリーから生成される特殊なオブジェクトで、プレイヤーに特殊な能力を付与する。移動速度の向上、最大HPの増加、放射線耐性の強化、体力回復の加速——効果は多様で、装備ビルドの重要な要素になっている。ただし多くのアーティファクトは自体が放射線や毒素を帯びているため、装備するには解毒剤や放射線対策アイテムが必要になる。「強いアーティファクトほど副作用が強い」という設計は、単純な「強いものを付けろ」にならないビルドの複雑さを生んでいる。

「アーティファクト採取のルーティンを覚えるまでが一番面白かった。エミッションのタイミングを待って、アノマリーに突っ込んで、他のプレイヤーと目が合って逃げる——あのヒリヒリ感はここにしかない」

引用元:Steamレビュー

ミュータントゾーン——縄張りと難度の関係

ゾーン内の特定エリアにはミュータントの縄張りが設定されており、マップ上でアイコンによって示されている。縄張りに入ると縄張りの種別に応じたミュータントが出現し、長時間滞在するほど強力なミュータントが湧くようになる。

ミュータントの種類はS.T.A.L.K.E.R.シリーズから引き継いだものが多い。ゾンビ化した人間、スニーク系の見えにくい生物、近距離特化の突進型、遠距離から攻撃してくる変異生物——それぞれに有効な武器と戦術がある。ミュータント素材は武器・防具のクラフトに使われるため、定期的に狩りに出るプレイヤーも多い。

ミュータント狩りにはEXP弾(炸裂弾)が有効で、プレイヤーへの射撃に使うAP弾(徹甲弾)とは使い分けが必要だ。「ミュータントを倒したら弾が切れていて、その後に他のプレイヤーと遭遇した」というケースが序盤では頻発する。資源管理がゾーン探索の大きな要素になっている。

セーフゾーンとその外側

拠点(セーフハウス)の周辺は基本的にPvPが禁止されており、ここでは安全に装備を確認したり、NPCトレーダーと取引したり、他のプレイヤーと話したりできる。しかし拠点を一歩出ると、そこは誰でも攻撃できる空間になる。

この境界線の存在が、ゲームプレイのリズムを生んでいる。拠点でしっかり準備して出発し、ゾーンを探索して戦い、生還してまた拠点に戻る。Tarkovのレイドとは違い、死ぬと装備の一部を失うが全滅することはなく、生き残るほど戦利品が増えるという設計だ。

また、拠点には商人NPCが常駐しており、ここで基本的な装備・弾薬・消耗品を入手できる。NPCとの「バーター取引」も存在し、特定のアイテムを持参すると、市場では手に入りにくいレアな装備と交換してもらえる。このバーターシステムは、ゾーンで何を集めるかの動機付けになっており、探索活動に方向性を与えている。

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派閥選択——スタルカーかバンディットか、10時間後の自分が変わる

STALCRAFT: X FPS スクリーンショット3

STALCRAFT: Xはチュートリアルを終えた後、最初の大きな選択肢に直面する。スタルカーとバンディット、どちらの派閥につくかだ。これは単なる「どっちの見た目が好きか」ではない。物語とプレイヤー体験が大きく分岐する、本当の意味での選択だ。

スタルカー陣営

スタルカーは「法と秩序・仲間への忠誠」を重んじる生存者たちだ。ゾーンの研究・探索を軸に活動し、対話と協力を基本とする。ゲーム世界では「秩序を守る側」として描かれており、安全な取引と情報収集に長けたNPCが多い。

スタルカーを選んだ後は、さらにRise(先駆者系)Frontier(開拓者系)のサブ派閥を選ぶことになる。Riseはより組織的・規律的なグループで、Frontierはフロンティア精神旺盛な独立系プレイヤーに近い雰囲気だ。クエストの内容や拠点へのアクセスがサブ派閥によって変わる。

バンディット陣営

バンディットはゾーンで暴力と略奪を生業とする集団だ。法律の外側で生きる犯罪者や逃亡者が多く、予測不能な行動力が持ち味。NPCは粗野で取引の条件も癖があるが、独自のルートや戦術を持つ。

バンディット陣営を選ぶとCovenantかMercenariesのどちらかに分かれる。Covenantは組織化されたバンディット集団で、Mercenariesは依頼を受けて動く傭兵系だ。どちらも「アウトローとしてゾーンを生き抜く」という方向性は同じだが、ストーリーの内容と出会うキャラクターが大きく異なる。

この選択が長期的に意味すること

この派閥選択は単なる外見や始まりの装備の違いではない。ストーリークエストの内容が分岐し、特定のゾーン・NPC・クエストラインへのアクセス可否が変わる。

北部エリアのストーリーは「一度しかプレイできず、どちらか一方の派閥ルートしか選べない」という作りになっており、プレイヤーの選択が物語の結末を決定する。スタルカーでプレイして全ストーリーを見た後、バンディットでキャラクターを新規作成して「あの分岐点でどうなっていたか」を確かめるという遊び方をしているプレイヤーも多い。

「バンディットを選んだことを初めは後悔したけど、独自のストーリーを全部見終わった後にはこっちで良かったと思った。スタルカーで最初からやり直してみたいとも思ってる」

引用元:Steamレビュー

この設計は、プレイヤー間に「スタルカー派 vs バンディット派」という自然な対立軸を生む。単なるゲーム内の陣営争いではなく、「自分はどういうプレイヤーか」というアイデンティティに近い選択だ。PvPで向き合ったとき、相手がどちらの派閥かを見ると戦闘に意味が生まれる感覚がある。

実際に選んだプレイヤーたちの感想を見ると、「バンディットはゾーンを支配する側の気分がある」「スタルカーの方が仲間意識が生まれやすい」という声が多い。どちらを選んでも「間違い」はないが、友達と一緒にプレイするなら同じ派閥を選ぶことで協力関係が生まれやすい。逆に「友達とあえて別派閥にして、対立させながら遊ぶ」という楽しみ方をしているグループもある。

メインクエスト以外にも、各エリアに配置されたサイドクエストがある。サイドクエストは序盤の装備・資金調達に役立つだけでなく、ゾーンの住人たちの背景やキャラクター像を深掘りする内容になっており、世界観への没入感を高める役割を果たしている。主要ストーリーだけを一直線に追うより、各地のサイドクエストを拾いながら進むことで、ゾーンへの理解と愛着が自然に積み重なっていく。

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武器・防具・クラフト——ゾーンで生き延びるための装備システム

STALCRAFT: XはFPSとしての武器感触が良いゲームだ。弾丸に重さがあり、銃ごとに反動の癖が違い、撃ち合いに気持ち良さがある。ただし武器を選ぶ際にはFPSゲームとしての射撃感触だけでなく、複数の実用的な要素を考慮する必要がある。

武器の射撃方式はシングル(単発)・セミオート・フルオートから選択でき、状況に応じて切り替えることで弾薬消費と精度のバランスをコントロールできる。フルオートは近距離での掃射に強いが弾消費が激しく、遠距離ではシングルが基本になる。この使い分けはどのFPSでも同じだが、STALCRAFT: Xでは弾薬の残量管理が生死に直結するため、より意識的な運用が求められる。

武器選択の判断軸

武器を決める際に見るべきポイントは、コスト・DPS(秒間ダメージ)・射程・口径・そして「どのくらいの期間使い続けられるか(コスパ)」だ。単純に「強い武器」を選べばいいというわけではなく、今の自分の装備レベルと進行エリアに合わせた選択が求められる。

火力についていうと、プレイヤーへの射撃にはAP(徹甲弾)が有効で、ミュータント狩りにはEXP(炸裂弾)が推奨される。同じ銃でも弾の種類を使い分けることが生存率に直結する。これはS.T.A.L.K.E.R.シリーズの「弾薬管理」の精神に近い設計だ。

ゲームの進行に合わせて標準的とされる武器の例として、序盤ではAS VAL(近距離で安定したアサルトライフル)、中盤ではFN F2000(信頼性の高いアサルト系)、火力重視ならPKP(口径の大きい機関銃)が名前として挙がることが多い。ゲームが進むにつれて使える武器の幅が広がるが、それだけクラフト素材の調達コストも上がっていく。「強い武器を使えるようになった時点で、その武器を維持するコストも重くなっている」という設計は、永遠の背中を追う感覚を生む。

Apex Legendsのような競技FPSと比べると、STALCRAFT: Xの射撃感はリアル系に振れている。弾の落下や反動を無視した「飛んでいく弾」ではなく、物理的な重さを感じる射撃感だ。最初は「当たらない」と感じるかもしれないが、慣れてくると「当てる楽しさ」が出てくる。

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防具と感染耐性

ゾーンの北に進むほど「感染」の脅威が増す。防護値(Protection)が感染耐性に直結しており、100の防護で1段階の感染から守れる。北部では3段階の感染が常態化するため、防護値300以上の装備が求められる。装甲プレートを別途購入してスーツに取り付けることで生存率を大きく改善できるため、スーツを入手した後のプレートの確保が序盤の重要な目標の一つになる。

クラフトの深さ

武器のアタッチメント(スコープ・サプレッサー・グリップ・マガジン等)はほとんどがクラフト可能で、素材の多くはゾーン内で採取するか、他プレイヤーとのトレードで手に入れる。装備のカスタマイズは外見のカスタマイズにも繋がっており、「誰かと全く同じ見た目」にはなりにくい設計だ。

クラフトの材料はミュータント素材・採掘素材・他プレイヤーから買った部品など多様で、「何を優先して集めるか」という判断が常に問われる。Conan Exilesのようなサバイバル建築ゲームとは違い、ここでのクラフトはFPS的な武器強化と密接に結びついている。

クラフトを本格的に進めるためにはWikiを参照することが強く推奨される。各アタッチメントの効果、必要素材の入手先、武器ごとの互換性——これらを全部ゲーム内だけで把握するのは難しい。「Wikiなしには始まらないゲーム」という感想が多いのは事実だが、逆に言えばWikiを読みながらビルドを考える楽しみがあるゲームでもある。

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プレイヤー経済とオークション

STALCRAFT: XにはMMOらしい本格的なプレイヤー間取引の仕組みがある。オークションハウスで他のプレイヤーが出品した装備を現地通貨(ルーブル)で購入できる。序盤から「商人プレイ」をしてルーブルを稼ぎ、その資金で強い装備を買う——というプレイスタイルも十分に成立する。「強くなるために強くならなければならない」という装備格差は問題として残るが、商人プレイは一つの回避策になっている。

ウィープ(進行度リセット)がないという点も特徴だ。Tarkovのように定期的にすべてがリセットされることはない。積み上げた装備・資金・クラフト素材は永続する。これは長期プレイヤーにとっては大きなモチベーションになるが、新規参入者には「古参との差をどう埋めるか」という問題にもなる。「ウィープなし」の設計は安心感を生む一方で、格差の固定化という側面も持つ。

ただし、ゲームの装備体系は「上位を揃えれば下位は不要」というほど単純ではない。特定の役割・状況に強い中位装備が存在し、「最高レアリティの装備でなくても戦える」という設計になっている。これはゲームの寿命を延ばすうえで重要な設計判断だ。

「クラフトが深すぎて最初は何から手をつけていいかわからなかったけど、Wikiを見ながら少しずつ覚えていくのが楽しかった。コミュニティガイドが充実してるのは助かった」

引用元:Steamレビュー

Operations——2025年実装の純PvEモードが変えたもの

STALCRAFT: X FPS スクリーンショット4

STALCRAFT: Xは長らく「PvPが中心すぎる」という批判を受け続けてきた。実際、既存のゲームプレイの大半はPvPと絡む形で設計されており、純粋にPvEを楽しみたいプレイヤーにとって「やることがない」時間が生まれやすかった。

その状況を打開するために2025年に実装されたのが「Operations(オペレーションズ)」だ。

Operationsの概要

Operationsは3人チームで挑む専用PvEモードで、ゾーンの深部に隠された場所へ潜入し、ダンジョン攻略形式でミッションをこなしていく。AIが制御するエリア固有の敵、各ミッションに設定された複数の目標、プレイを難化させるモディファイア、ミニボス——これらを通じてチームワークと判断力が問われる設計になっている。

設計の核心は「戦略とチームワークが要求される」という点だ。敵の位置を把握し、状況に合わせて素早く判断し、3人の役割分担を意識して動く——単純な「撃ち合い」ではなく、戦術的な動きが求められる。Operationsのミッションでは、他のプレイヤーに邪魔される心配なく、純粋にPvEの難度と向き合える。「PvPのストレスなしにゾーンの深部を探索したかった」というプレイヤーにとって、待ち望んでいたコンテンツだ。

Operationsを通じて入手できる専用装備やアーティファクトも存在し、通常のゾーン探索とは異なる報酬が用意されている。Operation Breachで始まったシリーズは段階的にコンテンツが増えており、ゲームのPvE比率を高める重要な軸になっている。

The Game Awards 2024でのトレーラー公開

2024年12月のThe Game Awards 2024でOperationsのトレーラーが公開され、会場でも大きな反響を呼んだ。STALCRAFTの名前がTGAという大舞台に登場したこと自体が、ゲームの規模感の変化を象徴している。

「STALCRAFT: Xに純粋なPvEコンテンツが来た」というニュースは、それまで「PvPが苦手で距離を置いていた」プレイヤーを多数呼び込むきっかけになった。Operation Breachから始まるシリーズとして段階的にコンテンツが追加される予定で、2025年8月にオープンテストサーバーが稼働し、その後継続的にアップデートが入っている。

「Operations来てからガチで毎日ログインしてる。PvPで理不尽にやられる心配なく純粋にゾーン探索できるのがありがたい」

引用元:Steamコミュニティ

Inside Out——ゾーンが「ひっくり返る」季節限定コンテンツ

2026年4月現在稼働中の「Inside Out(インサイドアウト)」は、期間限定のハードコアPvEレイドイベントだ。通常のゾーンとは異なるルールで動くオルタナティブな世界が展開され、そこでしか手に入らないアーティファクトや専用装備が存在する。

Inside Outのエリアでは通常の道が閉ざされ、新しい道が開く。見慣れたゾーンのマップが全く違う様相を見せる、という演出になっている。ハードコアなボス・特殊なアノマリー・通常ゾーンにはない謎の生物——これらと向き合いながら、限定アーティファクトを持ち帰ることが目的だ。

季節ごとにこういったイベントコンテンツが投入される設計になっており、2025年4月にはBack to the Inside Out(春イベント)、2024年11月にはBlack Raid(秋イベント)が開催されている。ログインし続けることに意味を持たせる仕組みとして、定期的なプレイヤーを引き止める効果を発揮している。

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課金システムの現実——「時間を売る」モデルのメリットとデメリット

STALCRAFT: Xの課金については、良い面と悪い面の両方を正直に書く。「基本無料だから気楽」と思って始めたら、後で複雑な気持ちになる可能性があるからだ。

公式の説明:「Pay for Time」モデル

EXBOは自社の課金モデルを「Pay for Time(時間のための支払い)」と呼んでいる。ゲーム内のあらゆるアイテムは「無課金でも入手可能」であり、課金者にしか手に入らないアイテムは原則として存在しない——これが公式の立場だ。

課金要素には主にプレミアム購読、シーズンパス、各種ブーストアイテムがある。プレミアム購読はアイテム入手速度や経験値ボーナスを提供し、シーズンパスは期間中に解放できる報酬の種類を拡張する。

問題:シーズンパスの構造

問題はシーズンパスの設計だ。シーズンパスには500レベル分の報酬があり、その報酬には強力な装備が含まれている。通常プレイではすべてのレベルを解放するには時間がかかるが、課金によってパスの報酬を一気に解放することができる仕組みになっている。

「シーズンパスで500レベルを一気に課金で開けられるのは実質的にPay to Winだと思う。強い装備がその中に含まれているから。無課金でも同じ装備は手に入るけど、それに100時間かかるなら意味が違う」

引用元:Steamレビュー

EXBOの反論は「プレイヤー間のオークションでルーブルを稼げば、無課金でも強い装備は買える」というものだ。確かにその通りで、シーズンパスのアイテムもプレイヤー間で売買される。しかし「ルーブルを大量に稼ぐこと自体がグラインドであり、そのグラインドを回避するために課金する人がいる」という構造は変わらない。

エンドゲームのグラインド問題

別の批判もある。終盤(北部エリア)に進むと、1段階上の武器・防具を揃えるのに100〜200時間以上のグラインドが必要になるという報告が複数ある。「週5日、1日3〜4時間やっても追いつかない」という声も出ている。

「ゲームが時間を不当に要求してくる」という声は、英語圏のレビューで特に目立つ。Steamの英語レビューは「Mixed(賛否両論)」だが、日本語・ロシア語圏のレビューは「Mostly Positive(概ねポジティブ)」という分布になっており、文化圏によって評価が分かれているのも興味深い。

「課金しなくてもゲーム自体は楽しめるけど、エンドゲームに近づくほど時間を使いすぎる感じがある。週5日、1日3〜4時間やっても足りないって思うタイミングが来る」

引用元:Steamレビュー

一方で擁護の声も

「最初の150〜200時間は無課金で十分楽しめた」「課金はあくまで選択肢で、強制はされない」「時間さえかければ無課金でエンドゲームに届く」という意見も多い。プレイヤーのスタイルと許容度による部分が大きく、「無課金でもフルプレイできるか」という問いへの答えは「できる、ただし時間がかかる」というものになる。

2026年2月にはEpic Games Storeで「STALCRAFT: X Starter Edition」が期間限定で無料配布され、大量の新規プレイヤーが流入した。この無料配布はゲームへの入口を大きく広げると同時に、「試してみたら思ったより面白かった」という新規プレイヤーの増加にも繋がった。スターターエディションはゲーム本体の体験を十分に含んでおり、課金なしでも序盤の進行は問題なく行える。

バランスとチーター問題

課金関係とは別に、PvPバランスの問題も批判を受けている。「課金者の紫装備 vs 無課金の緑装備」という一方的な状況が北部エリアでは生まれやすい。また、チーター(不正プレイヤー)の問題は開発チームがアンチチート強化を続けているが、完全な解決には至っていないとコミュニティの一部から指摘されている。

EXBOは「千件に一件の死亡がチーターによるもの」という内部統計を公表したことがあるが、「体感とズレがある」という声もある。高ランク帯でのチーター遭遇報告はコミュニティフォーラムに継続的に見られる。

EXBOのCEOが批判に対してSNSで直接反論するスタイルは、ファンからは「開発者がちゃんとコミュニティを見ている」と評価される一方、「反論が攻撃的に見えることがある」という指摘もある。開発者とプレイヤーの距離が近いのはファンプロジェクト出身のゲームスタジオらしい特徴だが、批判の受け止め方については改善の余地があるという意見も出ている。

日本語非対応の壁——どこまで乗り越えられるか

STALCRAFT: X FPS スクリーンショット5

STALCRAFT: Xには現時点で公式日本語対応がない。これは日本人プレイヤーにとってのハードルだが、完全に無理かというとそうでもない。

アイコンと数値で判断できる範囲

武器・防具・アイテムはアイコンと数値で判断できる部分が多い。「どの武器が強いか」「どの防具の防護値が高いか」はアイコンと数字を見れば大体わかる。英語が読めなくても、基本的な戦闘と探索は問題なく行える、という評価が日本語圏のプレイヤーからも出ている。

問題になるのはクエストと会話

課題はクエストテキストとNPCとの会話だ。ストーリークエストの内容を理解するためには英語(またはロシア語)の読解が必要になる。ゲームの世界観とストーリーを深く楽しみたい場合、英語力がある程度問われることになる。

有志のリソース

日本語圏のコミュニティは小規模ながら存在しており、有志の攻略記事・wikiが整備されてきている。STALCRAFTの公式wikiも英語で充実しており、Google翻訳を使いながらでも大体の情報は拾えるという報告が多い。Steam上のガイドも豊富で、「初心者が最初の10時間で知っておくべきこと」のような日本語ガイドも有志によって書かれている。英語の壁は存在するが、コミュニティが作ってくれたリソースを活用することで、その壁はかなり低くなる。

「英語が苦手でも意外と遊べた」「アイコンと数値を読めればクラフトと戦闘は問題なかった」という声がある一方で、「ストーリーを全く理解できないのが残念だった」という声もある。ストーリーへの関心度合いによって、日本語非対応の影響は大きく変わると言えるだろう。

日本人プレイヤーが実際にプレイした体験として、「最初の数時間は設定を把握するのに時間がかかったが、その後はアイコンと状況判断でほぼ問題なく動けた」という報告がいくつかのブログ・掲示板で確認できる。ゾーンの文法——アノマリーは光る、ミュータントは走ってくる、他のプレイヤーはどこからでも来る——を体で覚えれば、言語の壁は想像よりも低い。

ただし、派閥ストーリーのクエストをきちんと楽しもうとすると、英語読解は必須になる。STALCRAFT: Xのストーリーは「任務をこなす」だけでなく、NPCとの対話や選択肢を通じて深まる部分があり、そこを読み飛ばすのはもったいない。S.T.A.L.K.E.R.のロアに深く興味がある人ほど、英語力のハードルを感じることになるだろう。

S.T.A.L.K.E.R.ファンが見るべき理由——「ゾーンに人が住んでいる」体験

S.T.A.L.K.E.R.シリーズは本質的に「一人でゾーンを生き延びる」ゲームだ。Shadow of Chernobyl、Clear Sky、Call of Pripyat、そして2024年リリースのS.T.A.L.K.E.R. 2——どれも孤独なサバイバーとしてゾーンと向き合う体験が核にある。ゾーンは孤独で、広大で、美しく、残酷だ。それがS.T.A.L.K.E.R.の本質だった。

STALCRAFT: Xはその体験に「他者」という要素を加えた。同じゾーンに何十人もの他のプレイヤーが存在し、それぞれが自分の目的で動いている。敵として出会うこともあれば、仲間として危機を乗り越えることもある。

「ゾーンに人が住んでいる」感覚——これはS.T.A.L.K.E.R.シリーズのシングルプレイでは体験できないことだ。NPCのルーティンと違い、プレイヤーの行動は完全に予測不能だ。廃病院に踏み込んだら先客がいて、向こうも驚いて銃を向けてくる。このリアクションはAIには出せない。「人がいる」という事実だけで、ゾーンの重さが変わる。

S.T.A.L.K.E.R.シリーズのシングルプレイでは「自分だけのゾーン」を独占できる代わりに、世界が静的になる部分がある。NPCは決まったルートを歩き、決まったタイミングで現れる。STALCRAFT: Xのゾーンは違う。今日のプレイと昨日のプレイは全く違う状況になっている可能性がある。昨日安全だった廃工場に今日は別の派閥が陣取っているかもしれない。昨日誰かが開けたアーティファクトのルートを、今日は別のプレイヤーが先に抑えているかもしれない。この「生きている世界」の感覚は、MMOとしてのSTALCRAFT: Xの最大の強みだ。

世界観の共通点と差異

STALCRAFT: XはS.T.A.L.K.E.R.シリーズと版権上の関係はない。しかしアノマリー、アーティファクト、エミッション、ミュータント、派閥戦争という要素の一致は偶然ではなく、明確な影響関係の反映だ。

ゾーンの外見も雰囲気も、S.T.A.L.K.E.R.を知っている人なら即座に「あれだ」と思う。廃墟、工場、沼地、森の道、アノマリーの光——これらが作り出す雰囲気はゲームが変わってもゾーンの本質を保っている。

違いもある。S.T.A.L.K.E.R.はシングルプレイのストーリー駆動型ゲームで、プレイヤーの行動が物語の流れを決める。STALCRAFT: Xはオープンなオンライン世界で、ストーリーはあるが「物語の主人公は自分だけではない」という構造になっている。S.T.A.L.K.E.R. 2の「一人で謎を解いていく」感覚とは別の楽しさがある。どちらが優れているという話ではなく、「ゾーンを探索する」という欲求に対して異なる回答を提供している、という関係だ。

「ゾーン仲間」を作れる

S.T.A.L.K.E.R.はシングルプレイゲームだから、友達に勧めても「一緒に遊べない」ことが多い。STALCRAFT: Xはそこを解消している。S.T.A.L.K.E.R.が好きな友達と一緒にゾーンに潜れる。アーティファクト採取に協力できる。エミッションを一緒に乗り越えられる。この「共有できる体験」は大きな付加価値だ。

チームでOperationsに挑む体験は特に強い。3人で謎の場所に潜入し、強化されたAI敵と戦いながらミッションをこなしていく——この緊張感はシングルプレイのS.T.A.L.K.E.R.とは全く違う種類の面白さだ。

Fallout 76もポスト・アポカリプスMMOとして似た方向性を持つゲームだが、世界観の方向性はかなり異なる。Fallout 76がアメリカの廃墟とレトロフューチャーなユーモアを持つゲームであるのに対し、STALCRAFT: Xはチェルノブイリという実在の場所を舞台に、重さとリアリティを重視した雰囲気を持つ。同じポストアポカリプスでも、テイストは正反対と言っていい。

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2024年以降のゾーン人口

S.T.A.L.K.E.R. 2が2024年11月にリリースされてからSTALCRAFT: Xへの流入が増えたことは複数のメディアが報告している。「S.T.A.L.K.E.R. 2をクリアしたけどまだゾーンにいたい」というプレイヤーにとって、STALCRAFT: Xは自然な次の選択肢になっている。同じ「チェルノブイリを舞台にしたサバイバル」でありながら、シングルとMMOという全く異なる体験を提供しているため、二つのゲームは競合ではなく補完関係にある。

EXBOもこの流れを意識して、S.T.A.L.K.E.R. 2のリリースを祝うトリビュート映像を公式に公開した。ゲームとして直接の競合関係にあるわけではなく、むしろ「ゾーンという世界観を広めていく仲間」として位置づけている。

Last Oasisのような過酷なサバイバルMMOとも比較されることがあるが、STALCRAFT: Xの世界観はよりコアなゲーマー向けのリアル路線だ。「フロンティア的な世界で生き抜く」という共通点はあるが、銃とゾーンの文脈はユニークな立ち位置を確保している。

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良かった点・悪かった点——正直まとめ

ここまで書いてきた内容を、シンプルに整理する。良い点も悪い点も、忖度なしで全部並べる。

良かった点

ゾーンの雰囲気が圧倒的に良い。チェルノブイリを模した廃墟・森・工業地帯を歩くだけで、独特の緊張感がある。BGMが控えめで環境音が主体なのも、没入感を高めている。「ゾーンに足を踏み入れた感覚」は、このゲームにしか出せない。

FPSとしての銃の手触りが良い。弾丸に重さがあり、銃ごとに反動の癖が違い、撃ち合いに気持ち良さがある。Apex Legendsのような超速の撃ち合いではなく、一発の重みを感じる射撃感だ。

MMOとして機能しているプレイヤー経済がある。アーティファクト採取・クラフト・トレードが有機的に繋がっており、「何をやっても意味がある」状態になりやすい。ゾーンで採取した素材が、誰かの装備になって、また別の誰かに売られる——この流通の輪がゲームに奥行きを与えている。

コンテンツが定期的に更新される。2026年4月現在もパッチノートが毎月出ており、10年以上サービスを継続してきた開発チームの持続力が伺える。OperationsのようなPvEコンテンツの追加も、ゲームの間口を広げている。

派閥ごとのストーリーが本格的だ。単純な「どちらを選ぶか」ではなく、選択によって見えるゾーンが変わる設計は、周回プレイへの動機を自然に生む。

コミュニティの密度が高い。攻略Wiki、Steamガイド、コミュニティフォーラムと、プレイヤーが作った情報資源が豊富だ。「困ったら調べる場所がある」という安心感がある。

悪かった点

チーター問題が完全に解決されていない。EXBOはアンチチートを強化してきているが、高ランク帯での遭遇報告はコミュニティに今も存在する。特定のクランに複数のチーターがいるという報告も出ており、完全な解決は難しい問題として残っている。

PvPバランスに課題がある。装備格差が大きく、「課金者の紫装備 vs 無課金の緑装備」という一方的な状況が北部エリアでは生まれやすい。バランス調整への批判は英語圏のレビューで継続的に見られる。

日本語非対応。日本人プレイヤーにとって英語でのプレイが基本になる。アイコンと数値で大体は判断できるが、ストーリーの内容理解は英語力が問われる。

移動距離が長い。「南部から北部への移動に時間がかかりすぎる」という指摘が複数ある。ファストトラベルの制限が厳しく、移動コストがゲームの摩擦になっていると感じるプレイヤーも多い。南部のCordonから北部のBARまで徒歩で15分以上かかるという報告もあり、「移動が苦行」という声は序盤から終盤まで継続する問題だ。

エンドゲームのグラインドが重い。北部に到達してから先の装備強化に必要な時間・素材量が急激に増加するため、「別のゲームになった感覚」を覚えるプレイヤーがいる。

「序盤から中盤は本当に面白い。ゾーンの雰囲気、アーティファクト収集、派閥ストーリー——全部楽しかった。でも北部に行ってから急に別ゲーみたいになる感じがした。ベテランとの装備差が壁みたいに感じた」

引用元:Steamレビュー

「雰囲気・世界観・FPS感は最高。課金とグラインド設計さえ改善されればもっと広く勧められるゲームだと思う。でも序盤の100〜150時間は無課金で十分すぎるほど楽しめた」

引用元:Steamレビュー

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まとめ——「ゾーンで生きるMMO」を一度は体験してほしい

STALCRAFT: Xを一言で表すなら、「ゾーンという世界観の中に本物のMMO経済と緊張感あるFPSを詰め込んだゲーム」だ。

10年間のファンプロジェクトが作り上げた世界観の密度は、商業ゲームとは違う熱量がある。アノマリー、エミッション、派閥戦争、アーティファクト採取、ミュータント狩り——これらが全部同じフィールドで同時に動いているゲームは珍しい。開発者自身がS.T.A.L.K.E.R.のファンだったという出自が、世界観への姿勢に表れている。ゾーンの作り込みに「愛」がある、という感想は多くのプレイヤーが共通して語る部分だ。

S.T.A.L.K.E.R.ファンに刺さる世界観・雰囲気。プレイヤー主導の経済システム。派閥ごとに分岐するストーリー。PvPとPvEが混在するリアルなゾーン体験。2025年から追加された純PvEモード「Operations」。これだけの要素が基本無料で遊べる。

一方で、課金絡みのグラインド設計・北部エリアでの装備格差・チーター問題・日本語非対応——これらは今も続く課題だ。完璧ではない。「良いゲームだけど、粗削りな部分がある」という正直な評価が一番しっくりくる。

Steam同接約22,954人という数字は、この規模のPCゲームとしては十分に活発なコミュニティを示している。サービス終了の気配は今のところない。むしろ2025〜2026年はOperationsやイベントコンテンツの充実で拡張期にある。2026年4月のInsdie Outイベントが終わった後も、次のコンテンツが来るだろうと信じられる開発ペースが続いている。

最後に、あらためてこのゲームを誰に勧めるか整理する。

S.T.A.L.K.E.R.シリーズが好きで「ゾーンで誰かと冒険したい」と思ったことがある人は、迷わず触れてほしい。アーティファクト採取・エミッション・派閥戦争という馴染みのある要素が、MMOとして実装されているのを体験するだけで価値がある。

FPSゲームは遊ぶけどMMOは敷居が高いと感じている人にも試してほしい。STALCRAFT: Xは「MMO的な要素が分かりやすい形で組み込まれたFPS」として機能しており、MMOのとっつきにくさより先に「FPSとしての面白さ」が来るゲームだ。

課金ゲームへの疑念が強い人は、まず無課金で序盤だけ試してみてほしい。「課金を迫られる前に飽きるかどうか」を確かめてから、続けるかどうかを考えれば十分だ。序盤の50〜100時間で世界観・システム・ゾーンの空気感は十分に体験できる。

ゲームを続けていくうちに、「このゾーンでの時間は自分の時間だ」という感覚が生まれてくる。スタルカーとして秩序を守り、バンディットから逃げ、アーティファクトを持ち帰り、拠点でルーブルを数える——このルーティンの中に、他のゲームにはない種類の充実感がある。

「ゾーンで、誰かと、リスクを背負いながら冒険したい」——その感覚に刺さるなら、まず試してほしい。基本無料なので序盤を体験するだけなら金銭的リスクはゼロだ。序盤100時間で飽きたとしても損にはならない。課金を迫られる前に、まずゾーンの空気を吸ってみてほしい。STALCRAFT: Xは試す価値が十分にある。ゾーンはあなたを待っている。

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STALCRAFT: X

EXBO
リリース日 2022年12月9日
サービス中
価格基本無料
開発EXBO
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式マルチ
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目次