初めてMORDHAUの戦場に放り込まれたとき、何が起きたかを正直に書く。
2019年の春。64人対戦の「Frontline」モードで、中世の城壁前に立っていた。周囲には鎧をまとった味方が群がっていて、対面からも同じくらいの人数が押し寄せてくる。ロングソードを構え、目の前に飛び込んだ。振りかぶった一撃は——空を切った。横から飛んできたバルディッシュに頭を持っていかれ、即死。リスポーンして突撃。今度はフェイントに引っかかって剣を振り下ろしたところを刺された。3回目、4回目、5回目。何が起きているかすら分からないまま、スコアボードの底に沈んでいた。
でも不思議なことに、やめられなかった。
MORDHAU(モルダウ)は、スロベニアの小さなインディースタジオ「Triternion」が作った中世マルチプレイ近接戦闘FPSだ。2019年4月29日にSteamでリリースされ、発売直後に同時接続6万人超を記録。Kickstarterで約30万ドルを集めて開発された、たった10人のチームが作ったゲームがこの数字を叩き出した。
あれから7年。2026年現在の同時接続は約671人。全盛期の100分の1以下。数字だけ見れば「終わったゲーム」に見えるかもしれない。でもMORDHAUの戦場では、今この瞬間も剣が交差し、フェイントが飛び交い、リュートの音色が響いている。この近接戦闘システムの手触りは、7年経った今でも他のどのゲームにも真似できていない。
この記事では、MORDHAUの何がそこまでプレイヤーを惹きつけるのか、そして何が問題なのかを、プレイヤーの声を交えながら徹底的に書いていく。中世の剣戟に興味があるけど踏み出せない人にも、昔やっていて久々に気になった人にも、読んでもらいたい。
「MORDHAU」公式トレーラー
こんな人に読んでほしい

この記事は2万文字を超えるボリュームがある。目次から気になるセクションに飛んでもらっても構わないが、まず「自分に関係あるか」を確認してほしい。
中世の剣戟アクションに惹かれている人
映画『ブレイブハート』や『キングダム・オブ・ヘブン』を見て「この戦場に立ちたい」と思ったことがあるなら、MORDHAUはその欲求にもっとも近い答えを出してくれるゲームだ。64人が入り乱れる攻城戦は、画面越しでも汗が噴き出すほどの臨場感がある。甲冑の金属音、剣がぶつかる衝撃、雄叫び——中世の戦場をPC画面に再現したゲームとしては、間違いなくトップクラスの完成度を持っている。
ただし「簡単に無双できるゲーム」ではない。チュートリアルは最低限で、実戦で叩きのめされながら覚えていく部分が大きい。その覚悟があるかどうかが、MORDHAUを楽しめるかどうかの分かれ目になる。
Chivalry 2を遊んで「もっと深い戦闘がしたい」と思った人
近接戦闘系のマルチプレイゲームといえば、Chivalry 2が最大のライバルだ。Chivalry 2はカジュアル寄りで、パリィも比較的簡単。大規模戦のスペクタクルを楽しむ設計になっている。
対してMORDHAUは、戦闘の奥深さで勝負するタイプだ。攻撃の方向、タイミング、フェイント、モーフ、ドラッグ、アクセル——一つひとつのテクニックを身につけるたびに世界が変わる。「近接戦闘の格闘ゲーム」と表現する人もいるくらいで、FPS視点でありながら格ゲー的な読み合いが成立する。この深さを求めているなら、MORDHAUしかない。
FPSに疲れた人
銃を撃つゲームはたくさんあるけど、剣を振るゲームはそう多くない。Call of DutyやVALORANTで「また同じことの繰り返しだな」と感じている人にとって、MORDHAUは全く別の体験を提供してくれる。エイム力よりも読み合いと駆け引き。反射神経よりも状況判断。銃声の代わりに響くのは、鋼と鋼がぶつかる音だ。

MORDHAUとは何か ― 10人のインディーチームが作った「本物の剣戟」

MORDHAUの話をする前に、このゲームがどうやって生まれたかを知っておくと、プレイの感動が一段深くなる。
スロベニアの大学院生が一人で始めたプロジェクト
MORDHAUの原点は、スロベニアのプリモルスカ大学でコンピュータサイエンスの博士課程に在籍していたMarko Grgurovicが、一人で作り始めたプロトタイプ「Project Slasher」にさかのぼる。ゲーム開発の経験はゼロ。Unityで動くプロトタイプを2年かけて作ったものの、クオリティに納得がいかず、すべてをUnreal Engineで作り直す決断を下した。
この「全部やり直す」という判断が、MORDHAUの品質を決定づけた。Unreal Engine 4の物理演算とグラフィック性能を活かして、剣の軌道一つひとつに物理的な重みを持たせる戦闘システムを一から構築していった。
開発には世界中からメンバーが集まった。オーストリア、カナダ、デンマーク、ドイツ、ポーランド、スペイン、スウェーデン——共通言語は英語で、共通の想いは「Chivalry: Medieval Warfareよりもっとリアルな中世戦闘を作りたい」ということだった。最終的にTriternionという10人のチームとして結実する。
Kickstarterで24時間以内に目標達成
2017年3月、TriternionはKickstarterキャンペーンを開始した。目標額に対して24時間以内に達成。最終的に約30万ドル(当時のレートで約3,300万円)を集めた。Chivalry: Medieval Warfareのコミュニティがこぞって支援したのが大きい。「Chivalryの開発元は新作(Chivalry 2)を作る気配がない。ならこの新しいチームに賭けよう」——そんな空気があった。
2年の開発期間を経て、2019年4月29日にSteamで早期アクセスではなく正式リリース。発売初日から64人対戦が安定して動き、同時接続は瞬く間に6万人を突破。100万本を超えるセールスを記録した。10人のチームが作ったゲームが、この規模のヒットを飛ばしたこと自体が、インディーゲーム史に残る出来事だ。
「Mordhau」の名前の由来
ゲーム名の「Mordhau」(モルドハウ、あるいはモルダウ)は、中世ドイツの剣術用語だ。剣の刃ではなく、柄を握って刃の部分を手で持ち、柄頭(ポンメル)で相手を殴るという実在した技法を指す。重装甲の相手に対して、斬撃よりも打撃のほうが有効だったためだ。
ゲーム内でもこの「Mordhau grip」は実装されている。ロングソードを逆さに持ち替えて、甲冑の隙間を柄頭で殴る。歴史的な剣術を忠実にゲームに落とし込むこだわりが、タイトルそのものに表れている。
戦闘システム ― なぜMORDHAUの剣戟は「別格」と言われるのか
MORDHAUを語るうえで避けて通れないのが、その戦闘システムだ。このゲームの評価は良くも悪くも戦闘システムに集約される。「史上最高の近接戦闘」と絶賛する声と、「難しすぎてついていけない」という嘆きが同居する。その両面を詳しく書いていく。
240度の攻撃方向 ― マウスが剣になる
MORDHAUの戦闘でまず驚くのは、攻撃の自由度だ。左右の水平斬り、上段からの振り下ろし、下段からの突き上げ、そして刺突。マウスの動きがそのまま剣の軌道になる。
右に振りながらマウスを右にドラッグすれば、スイングが加速する(アクセル)。逆にマウスを引けば、スイングが遅くなる(ドラッグ)。この微妙なタイミングの差が、相手のパリィを崩す鍵になる。「同じ横斬りなのに、到達するタイミングが毎回違う」——これだけで、戦闘の読み合いは一気に深くなる。
パリィ(受け流し)は攻撃が当たる瞬間に右クリック。タイミングが合えば相手の攻撃を弾ける。さらにパリィ直後に攻撃を返す「リポスト」は、通常より速い反撃が出せるので、攻守の切り替えが瞬間的に起きる。
Best melee fighting physics that I have ever seen in a game yet. 一つひとつの斬撃に重さがあって、ヒットしたときの手応えが最高。こんな近接戦闘を実現したゲームは他にない。
引用元:Steamレビュー
フェイント、モーフ、チェンバー ― 読み合いの深淵
攻撃の方向だけでも深いのに、MORDHAUにはさらに「フェイント」「モーフ」「チェンバー」という上級テクニックが存在する。
フェイントは攻撃モーションの途中でキャンセルすること。横斬りのモーションを見せておいて、相手がパリィのタイミングを合わせた瞬間にキャンセルし、改めて攻撃を振る。格闘ゲームのフェイントとまったく同じ概念だが、一人称視点でリアルタイムにこれをやるから、体感の緊張感が段違いだ。
モーフは攻撃を別の種類に切り替えること。横斬りを始めて、途中で刺突に変化させる。相手は横斬りのタイミングでパリィしようとするが、刺突は軌道もタイミングも違うから、パリィが間に合わない。
チェンバーは、相手の攻撃と同じ方向に自分も攻撃を合わせることで、パリィの代わりに攻撃そのもので受け止める高等技術。チェンバーに成功すると、そのまま反撃に転じられる。リスクは高いが、決まったときの爽快感は格別だ。
そしてこれらの技術は、すべて組み合わさる。フェイントからのモーフ、ドラッグを効かせたリポスト、チェンバーからのフェイント——。テクニックの組み合わせは膨大で、上級者同士のデュエルは、もはや剣を使ったチェスのような読み合いになる。
16ポイントのロードアウトシステム
MORDHAUのキャラクターカスタマイズは、RPGの装備選びに近い奥深さがある。各ロードアウトには16ポイントの装備ポイントが割り当てられ、武器・防具・パークのすべてをこのポイント内で収める必要がある。
ロングソード(11ポイント)を持つなら、防具は軽めにするしかない。逆にフルプレートアーマーで全身を固めるなら、武器は安いものに限られる。弓(11ポイント)と近接武器を両立させるなら、防具はほぼ裸同然になる。
この取捨選択がプレイスタイルの個性を生む。重装騎士、軽装の剣士、弓兵、投擲特化、盾持ちの壁役——。16ポイントという制約が、無限のビルドバリエーションを生み出している。
パークも個性的だ。「Bloodlust」は敵を倒すたびにHP全回復。連戦に強くなるが、コストが5ポイントと重い。「Dodge」は緊急回避が使えるようになるが、3ポイント消費。「Friendly」は味方へのダメージを半減する。大規模戦で味方を巻き込みがちな武器には必須のパークだ。
こうしたビルドの自由度と、それに伴うトレードオフの面白さは、FPSよりもRPG的な楽しさに近い。「自分だけの戦い方」を構築していく感覚がある。「制約の中で最適解を探す」という点では、Limbus Companyのパーティ構築にも通じる楽しさだ。

武器の個性 ― ロングソードからフライパンまで
MORDHAUに登場する武器は数十種類。ロングソード、メッサー、バスタードソード、ツヴァイヘンダー、バルディッシュ、ハルバード、ウォーアックス、メイス、ポールアックス、モーニングスター、レイピア、ショートスパー、ロングボウ、クロスボウ、投げ斧、そしてフライパン。
そう、フライパンで人を殴れる。
リーチも振りの速さもダメージもバラバラで、武器ごとに完全に異なる戦い方が求められる。ツヴァイヘンダーの圧倒的なリーチで敵を薙ぎ払うのと、レイピアの素早い刺突で翻弄するのでは、同じゲームとは思えないほどプレイフィールが変わる。
さらに多くの武器には「代替グリップ」が存在する。ロングソードを逆手に持ち替えてMordhau gripにすれば、重装甲の相手に有効な打撃武器に変わる。バルディッシュの柄を短く持てば、室内戦で扱いやすくなる。一つの武器に複数の使い方がある。
投擲武器のバリエーションも面白い。投げ斧はもちろん、ショートスパーを槍投げのように投げられるし、煙幕手榴弾や火炎瓶も存在する。近接戦闘がメインでありながら、射程外からのプレッシャーも忘れていない。
ゲームモード ― 攻城戦から吟遊詩人まで

MORDHAUの魅力は1対1のデュエルだけじゃない。多彩なゲームモードが、プレイヤーの気分やスキルに合わせた遊び方を提供している。
Frontline ― 64人の大規模領土戦
MORDHAUの看板モードといえばFrontlineだ。32対32、最大64人のプレイヤーが2チームに分かれ、マップ上の拠点を奪い合う。各チームには1,000ポイントのチケットがあり、拠点の確保状況に応じてポイントが増減する。相手のチケットをゼロにするか、全拠点を制圧すれば勝利。
Frontlineの醍醐味は、大規模戦ならではの混沌だ。前線では何十人もの兵士が入り乱れ、弓矢が飛び交い、攻城兵器が火を噴く。カタパルトで味方ごと敵を吹き飛ばす上級者、馬に乗って敵陣を駆け抜けるランスチャージ、梯子をかけて城壁に登る攻城戦。一つのマッチの中に、映画のワンシーンのような瞬間がいくつも生まれる。
マップによっても戦闘の雰囲気がガラリと変わる。「Camp」では森林と川辺での泥臭い遭遇戦、「Grad」では城壁をめぐる激しい攻防、「Taiga」では広大な雪原での騎馬突撃が味わえる。同じFrontlineでもマップが変われば戦い方が変わるから、「このマップは弓兵が強い」「ここは騎兵が活きる」といった知識が蓄積されていく楽しさがある。
騎馬戦闘もFrontlineの華だ。馬にまたがり、ランスを構えて敵陣に突撃する。すれ違いざまに槍を突き刺すランスチャージの破壊力は圧巻で、成功すれば一撃で相手を倒せる。ただし馬は耐久力が有限で、弓矢や投擲武器に弱い。無計画に敵陣に突っ込めばあっさり落馬させられる。馬の機動力を活かして敵の側面から崩す、味方の歩兵が押し込んだところを騎馬で追撃する——騎兵としての戦術眼が試される。
工兵プレイも面白い。建築ツールとスパイクバリケードを装備すれば、前線にバリケードを構築して味方の防衛ラインを作れる。バリスタやカタパルトの操作も可能で、遠距離から敵の密集地帯に石弾を撃ち込む快感は筆舌に尽くしがたい。ただしカタパルトの着弾点は大雑把で、味方を巻き込む事故が頻発する。「FF(フレンドリーファイア)カタパルト」はMORDHAUあるあるの一つだ。
ただし初心者にとっては地獄でもある。何が起きているか分からないまま横から斬られ、後ろから刺され、上からカタパルトの石が降ってくる。最初の数十時間は「戦場の雰囲気を楽しむ」くらいの気持ちでいたほうがいい。
Invasion ― 攻城戦の醍醐味
Invasionは攻守に分かれた目標型のモード。攻撃側は段階的な目標をクリアしてマップを進み、防衛側はそれを阻止する。最大64人参加可能。
Frontlineとの違いは、マップの進行がリニアな点だ。城門を破壊して、中庭に突入して、最終目標の王を暗殺する——というように、攻撃側は段階的に目標を達成していく。映画的な展開が自然に生まれるモード設計で、個人的にはFrontlineよりもInvasionのほうが「MORDHAUの体験」として完成度が高いと感じる。
防衛側で城壁の上から弓矢を浴びせたり、煮えたぎった油を落としたり。攻撃側で雲梯を立てて突撃したり。「攻城戦を体験する」という意味では、これ以上のゲームモードはなかなかない。
Invasionマップの「Feitoria」は特に評価が高い。中世ヨーロッパの街並みを再現した大規模マップで、路地裏での接近戦、広場での乱戦、教会をめぐる攻防と、場面がめまぐるしく切り替わる。攻撃側は街を占拠しながら進軍し、最終的に教会の中のVIP(重要人物)を排除する。このVIPは実際のプレイヤーが操作していて、特殊な装備で強化されている。VIPを守る防衛側と、VIPを倒しに行く攻撃側の最終決戦は、Invasionモードの最高潮だ。
「Castello」マップでは、巨大な城塞の内部と外部で攻防が繰り広げられる。城門をバタリングラムで破壊し、中庭に突入し、城主の間を占拠する。防衛側は城壁の上からの射撃、門前でのバリケード構築、城内での狭い通路を利用した迎撃と、立体的な防衛戦が楽しめる。
Horde(デーモンホード)― PvE協力プレイ
2024年4月のアップデートで大幅刷新されたのがHordeモードだ。リリース5周年に合わせて「Demon Horde」に進化。通常の人間の敵に加えて、悪魔のような異形の敵が出現するようになった。新武器の「ブランダーバス」(ラッパ銃)、インベントリシステム、スキルツリーの調整なども追加されている。
Hordeは味方との協力で押し寄せるNPCの波を凌ぐモードで、PvPのプレッシャーがない分、初心者がMORDHAUの戦闘に慣れるのに最適だ。味方に斬られる心配もないし、NPCの行動パターンを覚えながら、フェイントやパリィの練習ができる。2024年のアップデートで新マップも4つ追加され、飽きにくくなった。
PvPが苦手な人にとっては、MORDHAUの「もう一つの楽しみ方」として十分に機能している。友達と一緒に悪魔の大群を相手にする夜は、対人戦とはまた違う盛り上がりがある。

Duel(デュエル)― 1対1の真剣勝負
MORDHAUの戦闘システムが真価を発揮するのは、実はDuelモードだ。ランクマッチの1対1。言い訳の余地がない、純粋な実力勝負。
大規模戦では「横から斬られた」「味方が邪魔した」という不確定要素が多いが、Duelではそれがない。自分のテクニック、読み、判断——すべてが可視化される。上手い相手に負けたとき、何が足りなかったかが明確に分かる。だからこそ上達実感があり、だからこそ中毒性がある。
ランク戦以外にも、コミュニティサーバーでカジュアルなデュエルを楽しむ文化がある。「デュエルサーバー」と呼ばれる専用サーバーでは、戦いたい相手に近づいてフローリッシュ(武器を回す挨拶モーション)をすると、相手も応えてくれる。暗黙の「決闘の申し込み」だ。このアナログな作法が、MORDHAUコミュニティの独特の空気を作っている。
Teamfight(3対3)― チーム連携の妙
2024年時点でランクマッチにはDuelに加えてTeamfight(3対3)も用意されている。1対1の読み合いに加えて、「味方との挟撃」「ターゲットの切り替え」「数的有利の作り方」といったチーム戦ならではの駆け引きが加わる。
個人技だけでは勝てないのが3v3の面白さだ。味方が作った隙を突く、相手の背後に回り込む、盾持ちがヘイトを集めている間に横から斬る。FPSのチーム戦とはまた違う、近接戦闘ならではの連携が求められる。
キャラクタークリエイトとカオスな文化 ― MORDHAUの「もう一つの顔」
MORDHAUの魅力を語るうえで、戦闘システムと同じくらい重要なのが「カオスなコミュニティ文化」だ。このゲームには、中世剣戟アクションの看板からは想像もつかない、独特の遊び方が根付いている。
自由すぎるキャラクタークリエイト
MORDHAUのキャラクタークリエイトは驚くほど自由だ。ヘルメット、肩当て、胸甲、腕甲、脚甲、ブーツ——それぞれを個別に選び、色まで自由に指定できる。十字軍の騎士から、バイキング風の戦士、東洋風の軽装剣士まで、ほぼ何でも再現できる。
だが、この自由度がカオスの源泉でもある。フルプレートの重騎士がフライパン一つで戦場を闊歩していたり、全裸にヘルメットだけの男がモーニングスターを振り回していたり。「中世ヨーロッパの戦場」のはずが、見た目は完全に仮装大会だ。
キャラクターのボイスも選択でき、勇壮な叫びから甲高い狂人のような声まで揃っている。戦場でひたすら奇声を上げながら突っ込んでくる裸の男——MORDHAUではこれが日常の光景だ。
Mordhau honestly has to be the best medieval fighting game I’ve ever played. Great weapon variety, lots of special perks you can choose, cool armor you can wear, and you can even use a pan to beat people to death.
引用元:Steamレビュー
リュート弾き(吟遊詩人)という生き方
MORDHAUで最も有名な文化現象が、「リュート弾き」(Bard)だ。
ゲーム内の楽器「リュート」は一応武器として扱えるが、ダメージは申し訳程度。まともに戦えるシロモノではない。ところが有志のMODを使うと、外部のMIDIファイルを読み込んでリュートで実際に曲を演奏できるようになる。
64人の大規模戦の最中に、戦場の片隅でリュートを弾いている人がいる。周囲では味方と敵が殺し合っているのに、一人だけ穏やかにメロディを奏でている。しかも驚くことに、多くのプレイヤーはリュート弾きを攻撃しない。「吟遊詩人は殺すな」というのが、MORDHAUコミュニティの暗黙のルールになっている。
演奏される曲もカオスだ。中世の教会音楽ではなく、「Despacito」やアニメのOPが流れてくる。戦場のど真ん中で「千本桜」を弾いているリュート奏者を見たときは、さすがに笑った。
この「戦わなくても居場所がある」という空気が、MORDHAUの独特の温かさだ。殺伐とした対人戦の合間に、こういう遊びが自然発生するゲームはそうそうない。

大規模戦の「お祭り感」
Frontlineの64人戦は、真剣勝負であると同時に一種の「お祭り」でもある。投石器で味方ごと吹き飛ばす人、馬で味方をはねまわる人、敵陣のど真ん中でリュートを弾く人、建築ツールで意味不明なバリケードを作る人。
あるSteamレビューに「体育のサッカーみたい」と書いてあったが、言い得て妙だ。ガチでやっている人もいれば、適当に楽しんでいる人もいる。その混沌そのものが、MORDHAUの魅力になっている。
日本のプレイヤーにも「ボイスラインとエモートで遊ぶ」「おかしなビルドで笑わせる」という層がいて、5chスレッドでもネタビルドの話題は定番だ。「中世の戦場」なのに、やっていることは「みんなでバカをやる」——このギャップが、MORDHAUの愛されポイントでもある。
なぜMORDHAUは人気を集めたのか ― 6万人同接の裏側

2019年の発売直後、MORDHAUは爆発的なヒットを飛ばした。10人のインディーチームが作ったゲームが、なぜここまで多くのプレイヤーを惹きつけたのか。その理由を掘り下げる。
Chivalryの「正当な後継」を待ちわびた層
MORDHAUの成功の背景には、Chivalry: Medieval Warfareの存在がある。2012年にリリースされたChivalryは中世近接戦闘マルチプレイの先駆者だったが、開発元のTorn Banner Studiosはアップデートを停滞させ、新作の情報もなかった。(Chivalry 2が発表されるのは2019年6月、つまりMORDHAUの発売後だ。)
「Chivalryは好きだけど、もうずっと放置されている」「もっとリアルで深い戦闘がしたい」——そんなフラストレーションを抱えていたプレイヤーが、MORDHAUに一気に流れ込んだ。Kickstarterの支援者の多くがChivalryコミュニティ出身だったのも、その証拠だ。
配信映えするカオス
2019年はTwitchの影響力が急速に拡大していた時期だ。MORDHAUの大規模戦は配信映えの塊だった。64人が入り乱れる混沌、予測不能なキル、リュートの演奏、全裸の狂人——どの場面を切り取っても「面白い画」になる。
YouTubeにも大量のクリップが投稿された。「全裸男がフライパンで3キル」「リュート弾きが戦場で生き残る」「カタパルトで味方10人を吹き飛ばす」——こういうクリップがバイラルで広がり、「なんだこのゲーム、やってみたい」と新規プレイヤーを呼び込んだ。
Redditのr/Mordhauサブレディットも、発売直後から急速に成長した。プレイ・オブ・ザ・ゲーム的なクリップの共有、ネタビルドの見せ合い、初心者向けの攻略ガイドが活発に投稿された。特にキャラクタークリエイトのスクリーンショットを貼るスレッドは毎週盛り上がり、「中世版コスプレ大会」のような様相を呈していた。シュレックやキャプテン・アメリカを再現するプレイヤーが話題になるなど、ゲーム外でもエンターテインメントとして機能していたのが、MORDHAUの強みだった。
「スキルが目に見える」達成感
MORDHAUの戦闘は、上達が自分で実感できる。初心者のころはパリィすら間に合わなかったのが、フェイントを見切れるようになり、ドラッグで相手のパリィを崩せるようになり、チェンバーで攻守を切り替えられるようになる。
この上達曲線の急勾配こそが、MORDHAUの中毒性の正体だ。昨日できなかったことが今日できるようになる。先週負けた相手に今週は勝てる。スキルが数字ではなく「体感」で分かる。これは銃のリコイルパターンを覚えるFPSとは根本的に異なる種類の達成感だ。
When you really master it you feel like a complete bad ass. 最初の10時間は地獄だけど、そこを超えたら全く別のゲームが見える。上級者に勝てた瞬間の快感は他のゲームじゃ味わえない。
引用元:Steamレビュー
MORDHAUの現在地 ― 同接671人の戦場で何が起きているか
全盛期に6万人を超えた同時接続は、2026年4月現在で約671人まで減少している。この数字の推移と、その背景にある事情を正直に書く。
プレイヤー数の推移 ― 栄枯盛衰の7年間
MORDHAUのプレイヤー数の推移を時系列で見ると、一つのインディーゲームが辿る典型的な――しかし極端な――軌跡が浮かび上がる。
2019年4月の発売直後に同時接続60,195人のオールタイムピークを記録。しかしその後は急速に減少し、2019年末には1万人台、2020年には5,000人前後で推移。2021〜2022年は2,000〜3,000人で安定していたが、2023年以降は1,000人を割る月が増え始めた。
2023年4月にEpic Games Storeで無料配布されたタイミングでは一時的にプレイヤーが増加したが、定着率は高くなかった。2023年7月のコンソール版(PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S)リリース、2024年6月のPC・コンソール間クロスプレイ実装でも一時的な盛り上がりはあったものの、恒常的なプレイヤー増にはつながっていない。
2026年4月時点では、ピーク時で800〜900人、オフピークで300〜400人という規模。日本時間のゴールデンタイムにはアジアサーバーで数十人が遊んでいる程度だ。
開発リソースの現実
プレイヤー数減少の背景には、開発体制の変化がある。Triternionのメインチームは現在、次回作の開発にリソースを集中させている。MORDHAUのアップデートを担当しているのは、もともとMODコミュニティ出身の契約スタッフ2名のみ。
つまり、MORDHAUに大規模なコンテンツアップデートが来る可能性は低い。新しいInvasionマップや大規模なゲームモード追加、戦闘システムの根本的な変更は予定されていない。2024年のDemon Hordeアップデートや、DLCアーマーセットの追加は行われているが、いずれも小〜中規模の更新だ。
この状況を「開発者の怠慢だ」と批判する声もあるが、10人のインディーチームが7年間ゲームを維持しつつ、次の収益源(新作)を作らないといけない事情は理解できる。Triternionは大手パブリッシャーのバックアップがないスタジオだ。ビジネスとして見れば、次回作に注力する判断は妥当だと思う。
開発者2人しか残ってないのに、それでも月1回はバグ修正やバランス調整のパッチが出る。大手のゲームでも放置されるものが多い中、この規模のスタジオがここまで面倒を見てくれるのはありがたい。
引用元:Reddit r/Mordhau
コンソール版とクロスプレイ ― 新たな層の流入
2023年7月にPS4/PS5とXbox One/Xbox Series X|Sでリリースされ、2024年6月にはPC・コンソール間のクロスプレイが実装された。これによりすべてのプラットフォームのプレイヤーが同じサーバーで遊べるようになった。
クロスプレイは純粋にプレイヤー人口の底上げに貢献している。PC版だけでは過疎気味だったサーバーにコンソールプレイヤーが加わることで、マッチメイキングの待ち時間が改善した。
ただしPC対コンソールの操作格差は無視できない。MORDHAUの戦闘はマウスによる微細な角度調整が重要で、コントローラーではどうしても精度が落ちる。上級者のPC勢に対して、コンソール勢は不利になりがちだ。これはMORDHAUの戦闘システムの性質上、避けられない問題ではある。
コミュニティの毒性 ― 避けて通れない話題
MORDHAUを語るうえで、コミュニティの毒性(toxicity)の問題は避けて通れない。2019年のPC Gamerの記事で、テキストチャットにおける人種差別的な発言やヘイトスピーチの横行が報じられ、大きな議論を呼んだ。
Triternionは「小さなチームで、コミュニティの有害な要素を抑え込むのに苦労している」と認めた。その後、チャットフィルターの導入やモデレーション体制の強化が行われたが、完全な解決には至っていない。
正直に書くと、2026年現在でも一部のサーバーではチャットの雰囲気が悪い。ただしプレイヤー数が減った分、常連プレイヤーの比率が上がり、デュエルサーバーのような場所ではむしろ紳士的な空気がある。「殺した後にフローリッシュで敬意を示す」「初心者に技術を教える」といった文化が、コアコミュニティには根付いている。
コミュニティの良い面と悪い面、両方が同居している。これはMORDHAUに限った話ではなく、オンラインゲーム全般に言えることだが、MORDHAUの場合はチャットが特に目立ちやすい構造になっている分、問題が可視化されやすいのは事実だ。

MORDHAUの弱点 ― プレイヤーが離れた理由を正直に

MORDHAUを愛しているプレイヤーでも、認めざるを得ない弱点がある。6万人から671人への減少には、それなりの理由がある。ここでは美化せず、正直に書く。
初心者の壁が高すぎる
MORDHAUの最大の問題は、新規プレイヤーの定着率の低さだ。
チュートリアルは「左クリックで攻撃、右クリックでパリィ」くらいの基本しか教えてくれない。フェイント、モーフ、ドラッグ、アクセル、チェンバーといった実戦で必須のテクニックは、自分で調べるか、上級者に教わるか、何百回も殺されて体で覚えるしかない。
しかもプレイヤー数が減った今、マッチングで当たるのはほぼ全員が経験者だ。数千時間プレイした猛者と、初日の初心者が同じサーバーに放り込まれる。結果、初心者は何もできずに殺され続け、「このゲーム無理だ」と離脱する。
昔は初心者同士でワイワイやれて楽しかったけど、今は古参しか残ってない。新規が入ってきても上級者にボコボコにされて辞めていく。悪循環だよ。
引用元:Steamレビュー(日本語)
この「上級者だけが残る→初心者が定着しない→さらにプレイヤーが減る→マッチングが偏る」というスパイラルは、スキルベースのマルチプレイゲームが陥りがちな罠だ。MORDHAUはまさにこの典型例になっている。
コンテンツアップデートの遅さ
2019年の発売以降、マップや武器の追加ペースは決して速くなかった。Frontlineマップの数は限られており、数百時間遊ぶと同じマップの繰り返しに飽きが来る。
先述のとおり、現在のMORDHAU開発チームは実質2名。大規模コンテンツの追加は期待できない。2024年のDemon Hordeアップデートは良いテコ入れだったが、PvPモードの新マップは長く追加されていない。
コミュニティからは「マップエディタを公式で公開してくれれば、MODコミュニティが自分たちでコンテンツを作るのに」という声がある。実際、Steam Workshopを通じたMODの活動は活発で、カスタムゲームモードやスキンが多数公開されている。公式のアップデートが止まっても、コミュニティが自走できる仕組みがもっと整っていれば、状況は違ったかもしれない。
アジアサーバーの過疎
日本からプレイする場合、アジアサーバーの人口が少ないのは切実な問題だ。ゴールデンタイムでもアジアサーバーに人が集まらず、北米やヨーロッパのサーバーに接続すると100ms以上のPingになる。近接戦闘ではこのラグが致命的で、パリィのタイミングがシビアなMORDHAUでは0.1秒の遅延が勝敗を分ける。
日本のMORDHAUコミュニティは2019〜2020年がピークで、以降は縮小の一途だ。Steamの日本語レビュー数は228件で、全体の0.25%に過ぎない。5chのスレッドもpart21で止まっている。
ただし、クロスプレイの実装でアジアリージョンのプレイヤー総数は若干増えた。コンソール版のアジアプレイヤーがPC版と一緒に遊べるようになったことで、以前よりはマッチが成立しやすくなっている。
パフォーマンスの問題
64人対戦時のフレームレートの不安定さも、長年の課題だ。大規模戦で多数のプレイヤーが密集するとフレームレートが60fpsから25fpsまで急降下することがある。CPUへの負荷が大きく、ミッドレンジのPCでは快適なプレイが難しい場面もある。
Unreal Engine 4ベースのゲームとしては最適化の余地が残っているが、開発リソースが限られている現状では大幅な改善は見込みにくい。
Frontlineで人が密集すると急にカクつくのだけは勘弁してほしい。近接戦闘でフレーム落ちは死を意味する。
引用元:Steamレビュー
MORDHAUと似たゲームたち ― 「中世戦闘」の系譜
MORDHAUが好きなら——あるいは興味はあるけど別の選択肢も見てみたいなら——近い体験ができるゲームをいくつか紹介したい。ただし一覧表を並べるのは味気ないので、それぞれMORDHAUとの関係性とともに語る。
Chivalry 2 ― MORDHAUの最大のライバル
中世近接戦闘マルチプレイといえば、Chivalry 2は避けて通れない。2021年にリリースされ、MORDHAUの直接的な競合だ。
Chivalry 2はMORDHAUよりもカジュアル寄りの設計で、パリィが簡単、攻撃の当たり判定も広い。「とにかく大規模戦のカオスを楽しみたい」ならChivalry 2のほうが取っつきやすい。64人対戦の規模感やオブジェクティブモードの演出力はChivalry 2が上回る場面もある。
ただし戦闘の深さでは、MORDHAUに軍配が上がる。ドラッグ、アクセル、モーフ、チェンバーといった高度なテクニックの自由度と精度は、MORDHAUのほうが圧倒的に高い。「剣を振る動作そのものの手応え」を求めるなら、MORDHAU一択だと個人的には思う。
War Thunderとの意外な共通点
ジャンルは全く違うが、War ThunderとMORDHAUには共通する魅力がある。それは「リアルさを追求した結果、独自のゲーム体験が生まれている」という点だ。War Thunderの弾道シミュレーションがリアルだからこそ生まれる緊張感は、MORDHAUの剣撃物理がリアルだからこそ生まれる緊張感と根っこが同じだ。
どちらも「リアル志向が生んだ唯一無二の手触り」を武器にしている。War Thunderがミリタリーシムの頂点にいるように、MORDHAUは中世近接戦闘シムの頂点にいる。
Gray Zone Warfare ― 「ハードコアなマルチプレイ」という共通項
Gray Zone Warfareは2024年にリリースされたミリタリーFPSだが、MORDHAUと共通するのは「妥協のないハードコアさ」だ。どちらも「カジュアルに遊べる」とは口が裂けても言えないが、その分、上達したときの達成感が桁違いに大きい。
MORDHAUの近接戦闘スキルが「体育会系」なら、Gray Zone Warfareの戦術判断は「頭脳派」。タイプは違うが、「ガチでやり込むことが前提のマルチプレイ」が好きな人は、両方刺さると思う。

Red Dead Redemption 2 ― 中世ではないが「時代劇」として
「歴史的な世界観に浸りたい」という動機でMORDHAUに興味を持った人には、Red Dead Redemption 2も勧めたい。ジャンルはオープンワールドRPGで、MORDHAUとはゲーム性が根本的に違うが、「過去の時代を丁寧に再現した世界に没入する」という体験は共通している。
MORDHAUの中世ヨーロッパ、RDR2の19世紀アメリカ西部——どちらも「その時代に生きている」と感じさせてくれるゲームだ。RDR2のシングルプレイを堪能した後に、MORDHAUのマルチプレイに飛び込むというのは、なかなか贅沢な楽しみ方だと思う。

MORDHAUを今から始めるなら ― 初心者サバイバルガイド

「MORDHAUをやってみたい。でも初心者は殺されまくるんでしょ?」——その通りだ。殺される。何十回、何百回と殺される。でも「殺されるのが前提」と分かっていれば、心の持ちようは変わる。ここでは、初心者が最初の壁を乗り越えるためのガイドを書く。
まずはHordeモードから
いきなりFrontlineに飛び込むのはおすすめしない。まずはHorde(Demon Horde)モードで、NPCを相手にMORDHAUの戦闘の基本を覚えよう。パリィのタイミング、リポストの感覚、攻撃方向の切り替え——対人戦のプレッシャーなしに練習できる。
仲間と協力して波を凌ぐ楽しさもあるから、「MORDHAUの雰囲気を味わう入門」としてはHordeが最適だ。
デュエルサーバーで「1対1」を学ぶ
Hordeでひととおりの操作に慣れたら、次はコミュニティのデュエルサーバーに行ってみよう。意外に思うかもしれないが、大規模戦よりも1対1のほうが初心者にとっては学びが多い。
大規模戦では「何に殺されたか分からない」ことが多い。デュエルなら、自分の何が悪かったかが明確に分かる。パリィのタイミングが遅かったのか、フェイントに引っかかったのか、攻撃の方向が読まれたのか。
デュエルサーバーでは上級者が初心者に技術を教えてくれることもある。近づいてフローリッシュをすれば戦いの合図。負けてもリスペクトを示してくれる人が多い。MORDHAUのデュエル文化は、このゲームの最も紳士的な側面だ。
最初の武器はロングソードかメッサーがおすすめ
武器選びに迷ったら、ロングソード(11ポイント)かメッサー(11ポイント)から始めるのがいい。どちらもリーチ、振りの速さ、ダメージのバランスが良く、MORDHAUの基本的な戦い方を学ぶのに最適だ。
ロングソードは代替グリップ(Mordhau grip)があるので、重装甲の相手にも対応できる汎用性がある。メッサーは片手持ちで盾との併用もでき、守りが堅い構成を作りやすい。
逆に最初はツヴァイヘンダーやハルバードのような大型武器は避けたほうがいい。振りが遅いので、フェイントに対応しづらい。リーチの長さはメリットだが、接近されると何もできなくなる。
パリィとリポストだけで最初の100キルを
フェイントもモーフもドラッグも、最初は全部忘れていい。まずは「パリィしてリポスト」、これだけを確実にできるようにする。
相手の攻撃を右クリックで受け止めて、すぐに左クリックで反撃。これがリポストだ。リポストは通常の攻撃より速く出るので、相手が連続攻撃を仕掛けてきても割り込める。
「パリィ→リポスト」だけで戦っていると、最初は勝率3割くらいかもしれない。でもこの基本動作が体に染み込んだとき、次のステップ(フェイントの見切り、ドラッグの活用)への扉が開く。
キーバインドの見直しを
MORDHAUのデフォルトキーバインドは必ずしも最適ではない。特に攻撃方向の切り替えをマウスの動きだけでやるか、キーバインドに割り当てるかで操作感が大きく変わる。
多くの上級者は攻撃方向をキーに割り当てている。「Q」で左斬り、「E」で右斬り、「マウスホイール上」で上段斬りのように設定すれば、意図した方向に確実に攻撃を出せる。最初のうちに自分に合ったキーバインドを見つけておくと、上達速度が段違いだ。
YouTubeの解説動画を活用する
MORDHAUのチュートリアルが不親切な分、コミュニティが作った解説動画が充実している。「Mordhau beginner guide」「Mordhau advanced techniques」で検索すれば、フェイントの見切り方、ドラッグの使い方、フットワークの基本を丁寧に教えてくれる動画がいくつも見つかる。
特におすすめなのは、デュエルの実況解説動画だ。上級者が「今なぜフェイントを入れたのか」「相手のどの動きを見てパリィのタイミングを計ったのか」をリアルタイムで解説してくれる。テキストで読むよりも、動画で実際の戦闘を見ながら学ぶほうが圧倒的に身につきやすい。
日本語の解説動画は数が限られるが、ニコニコ動画やYouTubeに有志が投稿した日本語字幕付きガイドが存在する。「MORDHAU 初心者」「MORDHAU 攻略」で検索してみてほしい。
フレンドリーファイアに注意
MORDHAUにはフレンドリーファイア(味方への誤射・誤斬)がある。大型武器を横に振り回せば、味方にも当たる。特にツヴァイヘンダーやバルディッシュのような長物は、乱戦で味方を巻き込みやすい。
味方を斬りすぎるとチームキックの投票が発動し、最悪の場合サーバーから追放される。前述の「Friendly」パークを付けると味方へのダメージが半減するので、大規模戦に慣れないうちは装備しておくと安心だ。
逆に言えば、フレンドリーファイアがあるからこそ、「味方の位置を把握しながら攻撃する」という意識が生まれる。この制約が戦場にリアリティを与えている側面もある。適当に振り回すのではなく、「味方の間を縫って敵だけに当てる」精密さが求められる。これもMORDHAUの奥深さの一つだ。
Steamレビューの「やや好評」を読み解く
MORDHAUのSteamレビューは、全体で「やや好評」(80%が好意的、約9万件)。直近30日間は75%が好意的だ。この数字をどう読めばいいか、整理しておく。
好意的なレビューの傾向
ポジティブレビューで最も多いのは「戦闘システムへの称賛」だ。「中世近接戦闘ゲームとして最高峰」「剣を振る感触が他のどのゲームとも違う」「一撃の重みが素晴らしい」——戦闘の手触りそのものに惚れ込んでいるプレイヤーが多い。
次に多いのが「カスタマイズの自由度」への評価。装備の組み合わせで自分だけのキャラクターを作れること、パーク選択によるビルドの多様性が高く評価されている。
そして「コミュニティの面白さ」。リュート弾き、ネタビルド、ボイスラインの掛け合い——真剣勝負とお遊びが同居する独特の空気感を愛しているプレイヤーは多い。
One of the most unique, funny and entertaining game I’ve ever played. スキルカーブは急だけど、マスターしたときの達成感は他のゲームでは得られない。戦場のカオスも最高に楽しい。
引用元:Steamレビュー
否定的なレビューの傾向
ネガティブレビューの筆頭は「初心者お断りの環境」。プレイヤーが減って熟練者しか残っていないため、新規が全く楽しめないという声が多い。「昔の好意的なレビューを信じて買うな。あの頃は初心者同士で楽しめたけど、今はもう別のゲームだ」という日本語レビューは的を射ている。
次に「アップデートの遅さ」。新マップや新武器の追加頻度が少なく、長期間プレイしていると飽きが来るという不満。開発リソースが次回作に移行していることを考えれば仕方ない面もあるが、プレイヤーの不満としては正当だ。
「ネットワークの問題」も目立つ。Pingスパイクの頻発、攻撃が当たっているのにダメージが入らない「ゴースト攻撃」現象、サーバーの不安定さ。近接戦闘の精密なタイミングが要求されるゲームだからこそ、ネットワーク品質への要求は高い。
開発がもう実質的にこのゲームを見捨ててる。2人しか残ってないって話じゃん。好きだったからこそ悲しい。ポテンシャルはあったのに、活かしきれなかった。
引用元:Steamレビュー
レビュースコアの本質
MORDHAUの80%という数字は、「ゲームそのものの出来は良いが、取り巻く環境に問題がある」という状態を反映している。戦闘システムの評価は一貫して高い。問題は、その素晴らしい戦闘システムを楽しむための「入口」(初心者支援)と「持続性」(コンテンツ更新)が不足していることだ。
「やや好評」という評価は、MORDHAUの実態をかなり正確に表していると思う。「最高のゲーム」でも「ダメなゲーム」でもなく、「光る部分は唯一無二だが、構造的な問題を抱えている」——それがMORDHAUだ。
日本からプレイする場合の注意点

MORDHAUを日本からプレイする場合、いくつか知っておくべきことがある。
日本語対応について
MORDHAUは公式に日本語対応している。以前はコミュニティ製の日本語化MODに頼っていたが、Patch #21で公式に日本語UIが実装された。メニューやアイテムの説明は日本語で表示される。
ただしゲーム内チャットは英語が主流だ。日本語を打てる環境なら日本語も使えるが、通じる相手は少ない。ボイスチャットは基本的に英語圏のサーバーでは英語になる。
サーバー状況と回線
アジアサーバーの人口は少ない。ゴールデンタイムでもFrontlineやInvasionのフルマッチが立たないことがある。北米西海岸サーバーなら比較的Pingが低く(80〜120ms程度)、人も多いので、現実的にはここがメインの遊び場になる。
ただし100ms前後のPingは、MORDHAUの戦闘ではかなりのハンデになる。パリィの受付フレームは決して長くないから、ラグがあると反応が間に合わないことがある。逆に言えば、アジアサーバーに人がいるときは、低Pingで遊べる貴重なチャンスだ。
日本のMORDHAUコミュニティは小さいが、DiscordサーバーやSNSで活動しているプレイヤーはいる。同じ時間帯にプレイする仲間を見つけられれば、アジアサーバーでの対戦やデュエルが成立しやすくなる。
PC要求スペック
MORDHAUの推奨スペックは、CPU: Intel Core i5-6600K / AMD Ryzen 5 1400以上、GPU: GeForce GTX 1060 / Radeon RX 580以上、メモリ: 16GB以上。2019年のゲームなので、2026年現在のミドルレンジPCなら十分動く。
ただし64人対戦時のフレームレート安定性は前述のとおり問題がある。設定を下げてでもフレームレートを安定させたほうが、対人戦では有利だ。「見た目の美しさ」よりも「入力の反応速度」を優先する設定がおすすめだ。
MORDHAUの未来 ― Triternionの次回作と、それでも続く戦場
MORDHAUの今後について、分かっていることと推測できることを整理する。
Triternionの次回作
Triternionがスロベニアのスタジオで次回作を開発中であることは、Steam掲示板で公式に認められている。ただしタイトル、ジャンル、リリース時期は2026年4月時点で未発表だ。
可能性として最も高いのは「MORDHAUの精神的続編」——つまり、MORDHAUの戦闘システムをベースにしつつ、グラフィック、コンテンツ量、初心者支援、ネットワーク品質を改善した新作だろう。MORDHAUで培った「中世近接戦闘の手触り」は、Triternionの最大の資産だ。それを捨てるとは考えにくい。
もし次回作がMORDHAU 2のようなものになるなら、MORDHAUのプレイ経験は無駄にならない。戦闘の基本(パリィ、リポスト、フェイント、ドラッグ)は、おそらく次回作にも引き継がれるだろう。今MORDHAUで技術を磨いておくことは、将来への投資になり得る。
ちなみに、Triternionの次回作についてはコミュニティの間で「中世テーマは維持するのか」「近代に移るのか」「ファンタジー要素は入るのか」といった憶測が飛び交っている。Demon Hordeアップデートで悪魔やファンタジー要素を導入したのは、次回作の方向性を探るテストだったのではないかという見方もある。Adventurer Pack DLCのファンタジー寄りのアーマーデザインも、その傍証として挙げられることが多い。
MODコミュニティという希望
MORDHAUの公式アップデートが縮小する中で、MODコミュニティの存在感は増している。Steam Workshopには多数のカスタムマップ、武器スキン、ゲームモードが公開されていて、公式では体験できない遊び方が広がっている。
スターウォーズのライトセーバーMOD、ロード・オブ・ザ・リングの世界を再現するマップMOD、バトルロイヤル系のカスタムモード——ユーザーの創造力が、MORDHAUの寿命を延ばしている。Triternionが公式SDK(開発キット)をもっと整備してくれれば、MODコミュニティはさらに活性化するだろうが、現状の開発リソースでは難しいのかもしれない。
それでも「ユーザーが自分たちでコンテンツを作る」という文化が根付いていることは、MORDHAUの強みだ。同じインディーマルチプレイゲームでも、MODに対応していないゲームはコンテンツ枯渇で過疎が加速する。MORDHAUにはまだ、コミュニティの力で延命する余地が残っている。
MORDHAUは「終わったゲーム」なのか?
同接671人。数字だけ見れば「過疎」だ。でもMORDHAUの場合、671人の中に数千時間のベテランがゴロゴロいる。彼らにとってMORDHAUは「今でも他に代わるものがない」ゲームだ。
中世近接戦闘のスキルベースのマルチプレイゲームというジャンルは、選択肢がほとんどない。Chivalry 2はカジュアル寄りだし、Mount & BladeシリーズはMORDHAUほどの戦闘深度はない。For Honorは格ゲー寄りで、MORDHAUの一人称視点の没入感とは方向性が違う。
つまりMORDHAUは、「代替品がないから生き残っている」ゲームだ。この独自ポジションは、Triternionの次回作が出るまで(あるいは誰かが同等以上の戦闘システムを作るまで)揺るがない。
7年間いろんなゲームに浮気したけど、結局MORDHAUに戻ってきてしまう。この戦闘を超えるものがないんだよ。開発が実質終わってるのは分かってる。でも、剣を振るこの感覚だけで、まだやめられない。
引用元:Reddit r/Mordhau
まとめ ― 「不完全な傑作」としてのMORDHAU
MORDHAUを一言で表すなら、「不完全な傑作」だと思う。
戦闘システムは間違いなく歴史に残るレベルだ。マウスの動きが剣の軌道になり、パリィ、リポスト、フェイント、モーフ、ドラッグ、チェンバーが織りなす読み合いは、7年経った今でも他のどのゲームにも真似できていない。10人のインディーチームが、ゲーム開発未経験の大学院生からスタートして、この品質の戦闘システムを作り上げた。それだけで尊敬に値する。
キャラクターカスタマイズの自由度、16ポイント制のビルドシステム、リュート弾きという文化現象、大規模戦のカオスと紳士的なデュエルの共存。MORDHAUには、計算では作れない「コミュニティが育てた面白さ」がある。
一方で、初心者の壁の高さ、コンテンツ更新の停滞、アジアサーバーの過疎、コミュニティの毒性——これらの問題は事実として存在する。6万人から671人への減少は、ゲームの出来だけでは維持できない「運営力」の限界を示している。
それでも、MORDHAUの戦場ではまだ剣が交差している。セールのたびに新規プレイヤーが流入し、デュエルサーバーでは礼儀正しい剣士たちが技を競い、Frontlineの戦場ではリュートの音色が響いている。
「剣を振るという体験」で言えば、MORDHAUは2026年現在でも最高峰のゲームだ。
チュートリアルは不親切で、最初の数十時間は理不尽な死の連続だろう。でもそこを乗り越えたとき、他のどのゲームにもない「中世の剣士として戦場に立つ」感覚が待っている。その体験だけで、MORDHAUは買う価値がある。
Triternionの次回作がいつか発表されるまで、この不完全な傑作は「代替品のないゲーム」として戦い続けるだろう。671人の戦場は、まだ生きている。

MORDHAU
| 価格 | ¥3,400 |
|---|---|
| 開発 | Triternion |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | マルチ |

