「海に出たら、生き残れ。」——そんな言葉がぴったりのゲームが、2024年9月に登場した。
ポーランドの独立系スタジオ Ice Code Games(『Hard West 2』開発元)が手がけた『Rogue Waters』は、海賊をテーマにしたターン制タクティクス×ローグライトだ。砲撃で敵船を削り、甲板に乗り込んで白兵戦を繰り広げ、仲間を鍛えながらランを重ねる。「どうせよくある海賊ゲームでしょ」と思ったら大間違いで、このゲームには「敵を押し出して海に落とす」という一本軸が通っており、それが思ったよりずっと気持ちいい。
Steam評価は「やや好評」(1,000件超のレビューで約79点)。絶賛とは言えないが、じっくり遊んだプレイヤーからは「Slay the SpireとDarkest Dungeonの良いとこ取り」という声も出ている。そこまで言われるゲームが何を持っているのか、詳しく見ていこう。
本作はポーランド・ワルシャワを拠点とするインディースタジオ Ice Code Gamesが開発し、Tripwire Presents(Killing Floor・Maneater開発元 Tripwire Interactiveのパブリッシング部門)が発売した。PC版は2024年9月30日にSteamとEpic Games Storeで同時リリース。その後2025年2月4日にNintendo Switch・PlayStation 5・Xbox Series X|Sにも展開された。Hard West 2で評価されたターン制タクティクスのノウハウを引き継ぎながら、ローグライトという新しい衣をまとったタイトルだ。
公式トレーラー
Ice Code Games公式チャンネルによるアナウンストレーラー。海戦から白兵戦への流れ、乗組員の個性、ローグライトの周回感が1本に詰め込まれている。
こんな人に読んでほしい
- ターン制タクティクスが好きで、ローグライト要素も欲しい人
- 海賊テーマのゲームを探している人
- Slay the Spire・Hades・Into the Breachのような中毒性あるゲームが好きな人
- 1〜2時間のセッションでサクッと遊べる戦略ゲームを探している人
- 操作難度は低めで、戦術的思考を楽しみたい人
- 海の怪物を仲間にしてバトルに参戦させたい人
ストーリー——復讐と呪いの海へ漕ぎ出す

プレイヤーが操るのは、海賊の女船長「キャプテン・カッター」だ。彼女はある呪いによって永遠の命を持つ不死の海賊王「キャプテン・ブラックボーン」に復讐を誓い、「海の羊飼いの予言(The Sea Shepherd’s Prophecy)」と呼ばれる謎を解き明かしながら航海を続ける。
物語は3幕構成で展開される。単純な復讐劇に留まらず、忠誠・裏切り・海の呪いといった要素が絡み合うドラマが待っている。各ランでランダムに発生するイベントを通じて世界観の断片が少しずつ明かされる仕組みで、1周プレイするだけで全ての謎が解けるわけではない。ランを重ねるごとに新しい台詞や展開が現れる作りになっているため、リプレイにも動機が生まれる。
キャプテン・カッター自身は無口な主人公ではなく、会話にもユーモアと個性が溢れている。乗組員たちも各自の背景を持ち、酒場で雇用するときの一言や戦闘中の掛け声から人柄が滲み出てくる。このキャラクター造形の丁寧さは、同規模のインディーゲームの中でも際立っている部分だ。
物語の舞台は「呪われた海」。かつてはどこにでもある海だったが、キャプテン・ブラックボーンの不死の力と彼に従う海賊たちによって支配されてしまった世界だ。カッターはその呪いを解く鍵が「海の羊飼いの予言」にあると信じ、謎の解明のために各地の島々を巡っていく。途中で出会う異なる海賊団や島の住民との関わりがイベントとして描かれ、その選択次第で乗組員の士気や報酬が変わる。
ただし、海外レビュアーからは「ストーリー展開が予測しやすい」という指摘もある。強いてバランスを言うなら、ゲームプレイに比べてストーリーは少し薄め——キャラクターはユーモアがあって魅力的だが、驚くようなどんでん返しは期待しないほうがいい。それでも「ローグライトゲームにストーリーなんてどうせおまけ」という先入観を覆す骨格はある。世界観設定の密度とキャラクターの個性で読ませる、そういうタイプのストーリーだ。
2フェーズ制の戦闘システム——砲撃から乗り込みへ

Rogue Watersの戦闘は2つのフェーズで構成される。まず「海戦フェーズ(Ship Combat)」、次いで「白兵戦フェーズ(Skirmish)」だ。この二段構えが本作の最大の個性でもある。
海戦フェーズ:砲台の選択と砲撃
3ターンかけて敵船と砲撃戦を行う。自分の船に装備した砲台にはそれぞれ役割があり、「Cannonbreaker(キャノンブレイカー)」は敵の砲台を、「Decksweeper(デッキスイーパー)」は敵の乗組員を、「Shipwrecker(シップレッカー)」は船のモジュールを狙う専門的な砲だ。汎用砲もあるが消費するコマンドポイントが多め、という設計がされている。
この砲撃フェーズの目標は「白兵戦に有利な状態で臨む」ことだ。敵の砲台を壊せば白兵戦前のダメージを減らせるし、敵乗組員を減らせば白兵戦が楽になる。敵船のモジュールを破壊すれば相手が持つ有利なバフを消せる場合もある。逆に言えば、砲撃フェーズを適当にやると白兵戦で大変な目に遭う。砲台の選択と優先目標の判断が問われる、実は奥の深いフェーズだ。
砲撃フェーズでは「どの砲台でどこを狙うか」だけでなく、「敵の次の砲撃をどう受け止めるか」も考える必要がある。敵の砲台が多く残っていると白兵戦前にこちらの乗組員がダメージを受けてしまう。ダメージを受けた乗組員は白兵戦フェーズに持ち越されるため、できるだけ全員無傷の状態で乗り込みたいという葛藤が生まれる。この「損失を減らす判断」が砲撃フェーズの醍醐味だ。
ただし、この砲撃フェーズについてはレビューでも賛否が分かれた部分だ。「命中率のブレが大きすぎてRNG地獄」という声が複数のSteamレビューに見られた。命中を信頼して戦略を立てても、ミスが連続して白兵戦で大苦戦、というシーンは一定の頻度で起こる。運要素が嫌いなプレイヤーにとってはストレスになりうる点は正直に伝えておく。これはFTLのビーム砲ミス、Slay the Spireのドロー不運と同じ「ローグライト特有の運要素」であり、好みが分かれる部分だ。
白兵戦フェーズ:押し出しで制する甲板バトル

乗り込んだあとは、グリッドベースのターン制タクティクスが始まる。ここでのキモは「攻撃は敵を倒すのではなく、押し出す」という発想だ。
通常の攻撃では敵のHPをゼロにしなくても、船の端に追い込んで海に落とせる。つまり「ダメージ量」より「位置取り」が重要になる。柱や障害物を背にして敵の動きを制限したり、仲間と連携してドミノ倒しのように敵を端まで追い込んだりと、同じ盤面でも戦い方が変わってくる。ロープをつかんで大きく跳躍し、遠くの敵に一気に近づく移動技を持つ乗組員もいる。
「Into the Breach」のように読みと位置取りを楽しむゲームが好きな人にはかなりハマる部分だ。「計画通り敵を端まで追い詰めて海に落とした瞬間」の快感は、このゲームにしかないものだと思う。4Gamerのレビュアーも「敵を海に突き落とせた時の爽快感は格別」と評していた。
白兵戦フェーズでは最初にロープや柱などの環境オブジェクトの配置を確認し、「どこに追い込めるか」を考えることが基本戦術になる。例えば右の柱の横に敵を追い込んでおき、次のターンでグラップラーの引き寄せ技を使って船端まで一気に移動させる、という2手3手先を読む戦術が成立する。うまく決まったときの達成感は大きい。
ただし、Into the Breachのような「詰め将棋的な緻密さ」を期待すると少し違うかもしれない。Rogue Watersの白兵戦はもう少しゆるめで、「最悪の手を踏まなければ勝てる」くらいのバランスが多い。これを「気楽でいい」と取るか「物足りない」と取るかで評価が分かれる。このゆるさが「ローグライトの初心者にも敷居を下げている」という見方もあり、ターゲット層を広げるための意図的な選択とも読める。

6つの乗組員クラス——誰を連れていくかがカギ

乗組員は6つのクラスから採用できる。料理人(Cook)、スピアメイデン(Speamaiden)、グラップラー(Grappler)など、それぞれ固有のスキルセットを持っており、戦術的な役割も大きく異なる。
乗組員は「スペシャリスト(固有名付きの強力なユニット)」と「ポーン(一般兵士)」に分かれる。スペシャリストは強力なアビリティと追加効果を持ち、コンボを組める要となる存在だ。例えばグラップラーは敵を引き寄せる技を持ち、スピアメイデンは複数マスを貫通する突き攻撃が得意。組み合わせ次第で、引き寄せ→押し出し→海落としという連続技が決まる。
乗組員のクラス選択はゲームプレイに直結する。例えばグラップラーを2人編成して「1人が引き寄せ、もう1人が押し出す」という流れを作ることもできるし、スピアメイデンを後衛に置いて前列と後列をまとめて攻撃することもできる。どのクラスを組み合わせるかによって、同じ敵相手でも全く違う解法が生まれる。「この組み合わせでどう戦うか」を考える時間が、Rogue Watersの中毒性の根幹にある。
乗組員は戦闘で経験値を積むと新しいスキルを習得し、さらに装備アイテムでも強化できる。特定の装備と能力の組み合わせを見つけると「このキャラが1人で敵を壊滅させられる」レベルになることもある。これをポジティブに楽しむか「バランス崩壊」と感じるかは人それぞれだ。
「このキャラが強すぎてほかを使わなくなる」という偏りが起きやすいというレビューもあったが、15段階の難易度設定で調整できるため、縛りプレイ的な楽しみ方もできる。「使ったことがないクラスを主力にして高難度に挑む」というやり込みをしているプレイヤーも多い。また、ランごとにどの乗組員が酒場で採用可能かはランダムに決まるため、「好きなクラスが来るまで粘る」か「来たクラスで臨機応変に戦略を組む」かという選択も毎回発生する。
「スペシャリストの組み合わせを試していくうちに、気づいたら3時間経ってた」
引用元:Steamレビュー(19時間プレイ)
海の怪物を召喚する——クラーケン・マーメイド・ジャイアントスネイル

Rogue Watersのユニークな要素のひとつが、「海の怪物の解放と召喚」だ。航海中に特定の怪物が捕囚されている場所に遭遇し、それを助け出すことで信頼関係を築ける。信頼を得た怪物は、白兵戦中に1ランにつき1回だけ召喚できるようになる。
クラーケンは周囲の敵を押しつぶし、マーメイドは敵を任意の方向に押し流すことができる。この2体だけでも十分インパクトがあるが、3体目のジャイアントスネイルについては実際に試してほしい。どれも「ここだ」という場面で使うと非常に気持ちいい。
クラーケンは「強すぎるけど楽しすぎる」とレビューで頻繁に言われており、正直に言えばゲームバランス的に少しやりすぎかもしれない。それでもこの「伝説の海の怪物を呼び出して敵を粉砕する」というロマンは、本作でしか味わえない体験だ。
怪物を3体全て仲間にするためには複数ランをこなす必要があり、「どの怪物を連れていくか」という戦略上の選択肢にもなっている。クラーケンで敵をまとめてノックバックするか、マーメイドで精密に1体を海へ追い出すか。プレイヤーのスタイルによって好みが分かれる部分だ。

ローグライトの循環——海賊の巣でランを重ねる

各ランは「マップ選択→戦闘/イベント→報酬獲得→海賊の巣(Pirate Lair)での強化」という流れで進む。FTLに近い構造で、マップ上のノードを選びながらゴールを目指していく。
海賊の巣はゲームの拠点になる場所で、ここで船のモジュールや乗組員の能力をアップグレードする。ランごとの報酬(ゴールド・ブループリント・強力なアイテム)を使って強化が進んでいくため、最初のうちは難しくても徐々に楽になる設計だ。
船のモジュールは砲台の種類・船体の防御力・特殊能力を付与するものなど複数カテゴリがあり、どれを優先するかによってそのランの戦略が変わる。「砲台を強化して白兵戦前に敵の数を減らす」方向と「白兵戦フェーズ用に乗組員の能力を強化する」方向、どちらが好みかを選べる。
ただし、この「強化するほど楽になる」設計が諸刃の剣でもある。メタプログレッションが進みすぎると、途中から「苦労しなくなった」と感じる声が出てきた。Steamレビューでは「3〜4ランもあればクリアできる。その後の目標がなくなる」という意見もある。ローグライト中毒の人間からすると、周回動機を維持するコンテンツが少し薄い印象はある。
「プレステージシステムがほしい。クリア後にやることがない」
引用元:Steamレビュー(41時間プレイ)

マップとイベント——毎回変わる航海の選択

各ランのマップはプロシージャル生成(手続き型)で作られ、戦闘・イベント・補給などのノードを選んで進んでいく。ストーリーノードを選べば本筋が進み、通常ノードでは乗組員の補充や装備の入手ができる。何を優先するかという選択が、最終的な勝敗に影響する。マップ上には「嵐が来る前に通過しなければいけないエリア」のような時間的プレッシャーがある場面もあり、「全部のノードを周りたいが時間が足りない」という判断が求められることもある。
イベントは選択肢形式のものが多く、リスクを取るかリターンを取るかの判断が常に求められる。「ここで強力な装備が手に入るが、戦闘が1回増える」「このルートは安全だが報酬が少ない」といった悩ましい局面が繰り返し訪れる。戦闘以外のイベントでは、謎の島に上陸するかどうか、商人から高価な品を買うかどうか、見捨てられた船の積み荷をあさるかどうか、といった選択が登場する。このあたりはFTL系のゲームが好きな人には馴染み深い感覚だろう。
ただし、「毎回同じ感じに感じる」という批判も根強い。FTLやSlay the Spireと比べると、イベントの多様性やランを重ねた時の変化幅が少し狭いという指摘が海外レビューでも見られた。「5〜6回プレイしたら大体のパターンが見えてくる」という意見も複数あり、長時間プレイヤーが飽きを感じるタイミングが早めに来やすい側面はある。
一方で、「毎回同じルートを使い回せる」という見方もできる。ローグライトに慣れてくると、「このイベントで何が起きるか」をある程度読めるようになり、それがプレイヤーの熟練感につながる場合もある。全てがランダムすぎると逆に計画が立てにくくなるため、このバランスを「ちょうどいい」と捉えるかどうかは人によって違うだろう。また、ランを重ねるにつれてアンロックされる要素もあるため、最初の数ランとある程度慣れてからのランでは体験が異なってくる。

難易度の幅——初心者から上級者まで15段階

Rogue Watersは15段階の難易度設定を持っており、難しくなるほど報酬も増える仕組みになっている。海賊の巣でのアップグレードが進むにつれて新しい難易度が解放されるため、「同じゲームを違う緊張感で遊べる」構造だ。最初は一番低い難易度で始めて、クリアできるようになったら1段階上げる、という丁寧な階段が用意されている。
ローグライトに慣れていないプレイヤーは低い難易度で仕組みを学べるし、逆に「Hadesですら物足りなくなった」というベテランには高難度モードが用意されている。この間口の広さは、同ジャンルのゲームの中でも特に親切な設計だと思う。「初めてローグライトに挑戦する友人に勧められるゲーム」という評価をしているSteamレビュアーも複数いた。
難易度が上がると単純に敵が強くなるだけでなく、報酬の構造や特殊ルールも変化する。「同じゲームをただ難しくしたもの」ではなく、戦略の組み立て方自体が変わってくる設計になっているため、「もっと挑戦的なプレイがしたい」というモチベーションが生まれやすい。難易度9以上では乗組員のロスが著しく響くようになり、「誰を守り誰を使い捨てにするか」という厳しい判断が増えてくると報告されている。
ちなみにゲームには「アンドゥ(やり直し)」ボタンも存在する。これをポジティブに捉えるか「緊張感が薄れる」と捉えるかは人それぞれだが、タクティクスゲームでは誤クリックが致命的になりやすいので、ありがたい機能だという意見が多い。「誤操作で仲間を失うことがなくなった」「試行錯誤がしやすくなった」という声がSteamレビューに多く見られた。
「タクティクスゲームにアンドゥボタンがあることに感動した。これだけで買う価値がある」
引用元:Steamレビュー(9時間プレイ)

グラフィックとサウンド——カラフルな海賊世界の演出

ビジュアルはカラフルで活気のある熱帯海賊ワールドで、アイソメトリック(斜め見下ろし)視点の甲板バトルは見通しがよく戦況が把握しやすい。Hard West 2の西部劇調ダークアートとは対照的に、明るく親しみやすいアート方向を選んでいる。
キャラクターは個性的な見た目のものが多く、乗組員ひとりひとりのポートレートや会話にも力が入っている。海の怪物のデザインも印象的で、クラーケンが甲板に降臨する瞬間は初見で「おっ」となること間違いない。各乗組員クラスもビジュアルから役割が伝わる丁寧なデザインで、新しいキャラを雇用するたびに「こいつはどんな戦い方をするんだろう」というわくわく感がある。
BGMは海賊らしい冒険感のある音楽で、戦闘中はテンポが上がる。特別すごいというわけではないが、プレイ中に邪魔にならない、ちょうどいい雰囲気だ。ボイスアクティングは主要キャラは丁寧に仕上がっているが、一部の脇役は少し気になる品質のものも含まれるとの批判もあった。全体的には予算内でできることを丁寧にやった印象だ。
ユーザーの声——評価が割れる理由を考える

Steamで全体的に「やや好評」に落ち着いた理由は、ゲームの中心にある「タクティクスかローグライトか」という定義の違いにある気がする。
タクティクスゲームとして遊んだ人は「Into the BreachやXCOMほど緻密ではない」と感じ、ローグライトとして遊んだ人は「Slay the SpireやHadesほど中毒性がない」と感じやすい。ちょうどその間のゾーンで遊んでいるゲームなので、純粋などちらかのファンにはなんとなく物足りない部分があるのは否定できない。
一方で「この2つのジャンルをいいとこ取りしたゲームが欲しかった」というプレイヤーには刺さる。特にSlay the Spireのようなローグライトは好きだけど、戦闘にもう少し戦術的な動きが欲しいと思っていた人には、かなり合っている可能性がある。「最初の1周で約10時間、その後も高難度で遊び続けている」というプレイヤーもいた。
「Slay the SpireとDarkest Dungeonのベストアイデアを組み合わせた傑作。特にタクティクスゲームに珍しくアンドゥがあるのが最高」
引用元:Steamレビュー(9時間プレイ)
「タクティクスゲームの皮をかぶったローグライト。見た目に惑わされたが、実際はメタプログレッション頼みのゲームだった」
引用元:Steamレビュー(3時間プレイ)
「ゲームシステム、基地管理、船の戦闘、全ての要素が等しくフレッシュで考え抜かれた印象。20時間プレイで値段分の価値は十分にあった」
引用元:Steamレビュー(18時間プレイ)

Hard West 2との比較——Ice Code Gamesの挑戦
Ice Code Gamesの前作『Hard West 2』はターン制タクティクスで、西部劇×オカルトという独特の世界観が評価されていた。Rogue Watersはそこからローグライト要素を大きく取り入れた進化版と言える。Hard West 2が「1本のキャンペーンを丁寧に楽しむゲーム」なら、Rogue Watersは「何度でも繰り返せるループゲーム」という方向性の違いがある。
Hard West 2ではキャンペーンの流れに沿って固定のスクワッドを率いる構造だったのに対し、Rogue Watersでは乗組員を自分で採用・育成するメタプログレッションが加わり、周回プレイの動機づけが強くなった。一方でHard West 2の「1本のしっかりしたキャンペーン」を好んでいたプレイヤーからは「ローグライト化で物語の重さが薄れた」という声も出ている。両方の意見は正直どちらも正しく、単純にどちらが好きかという好みの問題だ。
Ice Code Gamesのタクティクス設計の腕前はRogue Watersでも健在で、特に乗組員のスキル相互作用と盤面の読み合いは前作から磨かれた部分だ。Hard West 2を遊んでいた人はRogue Watersのビジュアルや雰囲気の転換に戸惑うかもしれないが、コアゲームプレイの感触は確実につながっている。
Ice Code Gamesとしては今後の展開も期待されており、DLCや難度追加などのコンテンツ拡充がコミュニティから求められている。現時点では「クリア後のやりこみが少ない」という批判があるが、アップデートによって改善されていく可能性もある。2025年2月のコンソール版リリース以降も開発チームによるサポートは続いており、ユーザーからのフィードバックを受けたバランス調整も行われている。

Balatro・Slay the Spire 2との違い——ローグライトの多様化
近年のローグライト市場は急速に多様化しており、デッキ構築・ローグライクアクション・ローグライト都市建設など、さまざまな形に進化している。Rogue Watersが占めるポジションは「タクティクスRPG型ローグライト」で、盤面を読む楽しさとランを重ねる楽しさを組み合わせたゲームだ。このニッチはDungeon Drafters、Gloomhavenなどのゲームが開拓してきた領域でもある。
Balatroのようなデッキ構築型は「カードの組み合わせを考える」脳の使い方が中心で、Rogue Watersは「空間的な位置取りを考える」脳の使い方が中心になる。どちらが好きかによって向き不向きが変わるが、「この2種類を交互にプレイしている」というユーザーも多い。プレイ時間の長いゲームを1本だけ選ぶより、異なるプレイ感のゲームを複数持っておく方がバランスよく楽しめるというのは、ローグライトプレイヤーに共通した感覚だと思う。
Slay the Spire 2のようなCo-op対応デッキ構築との大きな違いは、Rogue Watersが完全シングルプレイ専用な点だ。友達と一緒に遊びたい場合は海賊テーマの協力ゲームを選ぶ必要があるが、1人でじっくり戦略を練りたい場合にはRogue Watersの集中した体験が合っている。Steam DeckやNintendo Switchのポータブル環境でも遊べる軽さも、ソロプレイとの相性がいい理由のひとつだ。

まとめ——海賊タクティクスローグライトの実力
Rogue Watersは、タクティクスゲームの取っつきにくさをローグライトの「じゃあもう一回」精神で包んだゲームだ。1ランあたり1〜2時間で完結するセッション感と、砲撃→白兵戦という二段構えの戦闘は、似たゲームにない独自の体験を作り出している。
「敵を押し出して海に落とす」という発想だけで、戦術の選択肢を大きく広げることに成功した点は本当に賢い設計だと思う。攻撃の「威力」よりも「位置取り」を重視するゲームは珍しく、XCOM系やHades系のどちらにも完全には当てはまらない独自路線を歩んでいる。この独自性こそが、「ローグライト疲れ」を感じていたプレイヤーに新鮮な体験を提供できる理由でもある。
一方で「砲撃フェーズのRNG」「周回後半の難易度の緩さ」「クリア後コンテンツの薄さ」は実際にある弱点だ。ローグライトに慣れたプレイヤーが長く遊び続けるには、もう少しコンテンツが欲しいというのが正直な感想だ。この部分が改善されれば、「やや好評」から「非常に好評」に変わりうるポテンシャルは持っている。
総合すると、Rogue Watersは「ローグライト×タクティクスを気軽に楽しみたい人」に向いたゲームだ。入門としての敷居の低さ、プレイ1回あたりのテンポのよさ、海賊というテーマの親しみやすさ——この3つが揃うゲームは意外と少ない。ターン制タクティクスの入門として、あるいはローグライト好きの新しい選択肢として、手に取る価値は十分にある。
定価でも3,400円(セール時は1,000円前後)という価格を考えれば、5〜15時間遊べるゲームとしてコストパフォーマンスは悪くない。海賊をテーマにした戦術ゲームが好きな人、ローグライトの入門として「難しすぎないタクティクスゲーム」を探している人には、迷わず勧められる作品だ。
2025年2月にはNintendo Switch・PlayStation 5・Xbox Series X|Sにも展開し、コンソールでも評判を集めている。Steam Deckでもプレイしやすい設計との評価もあり、寝転びながらの短時間プレイにも向いている。PCとコンソールどちらでも遊べるようになった今、まず試してみる価値は十分にある。
Rogue Waters
| 価格 | ¥3,400-67% ¥1,122 |
|---|---|
| 開発 | Ice Code Games |
| 販売 | Tripwire Presents |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル |
