CONTROL Resonant 前作から7年、洋ホラーの気持ち悪さ再び。Remedyの最新作はどう変わったか。ユーザーの声は意外なものだった

目次

「Control」の続編がここまで大胆に変わるとは思わなかった

2019年に発売された「Control」をプレイしたとき、あの独特の感触を忘れることができなかった。ニューヨークの連邦制御局(FBC)、巨大なBrutalist建築の「Oldest House(最古の館)」、そこに潜む超常現象の数々。主人公のJesse Fadenが握る「Service Weapon」という変形する銃を使いながら、テレキネシスで瓦礫を投げつける戦闘の快感。蛍光灯が照らす無機質な廊下を歩くたびに感じる「何かがおかしい」という底知れぬ不気味さ。あれは確かに「他にない体験」だった。

Control以前のRemedyといえば、Alan WakeやMax Payne、Quantum Breakなど、物語と演出に力を入れる「映画的なアクションゲーム」のスタジオというイメージが強かった。しかし2019年のControlはそれをさらに超え、建物そのものが謎であり、ドキュメントを読むことがナラティブになり、Hissという存在が「理解できないもの」としての恐怖を体現していた。ゲームとしての完成度と実験精神の両立という意味で、Remedyが一段階上に行ったと感じた一作だ。

だから2025年12月のThe Game Awards(TGA)でワールドプレミアトレーラーが流れたとき、続編発表そのものの喜び以上に「どこまで変えてきたのか」という興味が先に立った。タイトルは「CONTROL Resonant(コントロール レゾナント)」。開発はRemedyで、共同制作・資金提供にAnnapurna Interactiveが入っている。発売は2026年。

結論から言うと、変わり方がかなり大胆だった。銃はない。Jesseはプレイアブルでない。舞台はOldest Houseではなくマンハッタン全体。ジャンルはTPSではなくアクションRPG。それでも「Controlらしさ」は確かに残っている、という不思議なゲームになっている。この記事ではResonantがどんなゲームで、何が変わり、何が残り、発売前の今どう受け取られているかを丁寧にまとめていく。

 

 

前作「Control」をまだ知らない人へ:丁寧にわかる世界観

Resonantを理解するには前作の背景を押さえておいたほうがいい。Control(2019)は、表向きは普通の連邦機関に見えて、実は超常現象を研究・封じ込める秘密組織「FBC(Federal Bureau of Control)」を描いた作品だ。政府が表に出せない「力を持ったオブジェクト」や「次元の歪み」を静かに管理し、世間から隠し続けるという、X-ファイル的な設定から出発している。

その本部が「Oldest House(最古の館)」。ニューヨーク市にある巨大なBrutalist様式のビルで、外見は地味な政府建物だが、中身は広大すぎる異空間。建物の内部構造が変化し、次元がねじれ、日用品が超常的な「力を持つオブジェクト(Altered Item)」に変わり、人間が怪物に変わる。そこに「Hiss(ヒス)」と呼ばれる次元外生命体が侵入してきたのが前作の物語の核だ。

Hissは声・振動・共鳴として伝播し、感染した人間は行動・意識・肉体を乗っ取られる。彼らは一様に宙に浮き、奇妙な動きをしながら攻撃してくる。怖いのはその表情がほとんど変わらないことで、元は普通のFBC職員だった人たちが静かに敵として立っている。Controlの恐怖は「説明できないもの」の不気味さに徹底的に寄りかかっており、それがゲームとしての独特の魅力だった。

主人公Jesse Fadenは弟・Dylanを探してOldest Houseに乗り込み、Service Weaponと呼ばれる変形する銃を手にしてHissと戦い、戦いの末にFBC長官に就任する。Dylanは前作でFBCに「囚人」として収容されており、超常能力を持つが、物語のほとんどで昏睡状態だった。彼がJesseとどう繋がっているか、なぜFBCに囚われていたのか——この謎が前作を貫く縦軸のひとつだった。

前作のDLCは2本。「The Foundation」はOldest Houseの地下深くに存在する構造体に関わる話、「AWE」はAlan Wakeとのクロスオーバーを直接描いた内容で、Remedyverseというひとつの繋がった宇宙の存在が明示された。Resonantはその積み重ねの上に立っている。

Resonantはその7年後を舞台にする。

物語:マンハッタンが丸ごと超常空間になった世界

7年の間に何が起きたか。Hissは封じ込めを突破した。Oldest Houseから解き放たれ、マンハッタン全域を呑み込んだのだ。建物は歪み、重力は方向を失い、現実の法則が書き換えられた街。超常的な化け物が闊歩する隔離区域——それがResonantの舞台だ。マンハッタンはもはや普通の都市ではなく、FBCが封鎖し管理しようとしているが完全にはコントロールできていない、巨大な「異常区域」になっている。

プレイヤーが操るのはDylan Faden。FBCの囚人から解放され、マンハッタン奪還作戦に協力することになる。変形する超常武器「Aberrant(アバーラント)」を手に、増殖するHiss、Mold(カビ系の異形)、その他の超常的脅威と戦いながら、消息を絶った姉・Jesseを探す旅に出る。

JesseはFBC長官としてストーリーに関わってくるが、プレイアブルではない。開発チームは「Dylanの物語として描くため、プレイヤーを誤解させたくない」と説明している。前作ファンにとっては最初このニュースで落胆した人も多かったが、JesseがDylanをどう助け、どう関わってくるかは本編のお楽しみになっていると思われる。

Dylanというキャラクターは、前作で「囚人」だった事実を引き摺っている。姉のJesseとの関係は単純な家族愛ではなく、複雑な感情が絡んでいる。Jesseが超常世界に飛び込んでFBCの長官になった間、Dylanは同じ組織の中で囚われ続けていた。そこに生まれる「なぜ自分だけが」という感情、あるいは解放された後の方向性のなさ——これがDylanというキャラクターの内面を作っているはずだ。

舞台となる超常マンハッタンは、インセプションの「夢の中で折りたたまれる都市」を彷彿とさせる視覚を持つ。空にそびえる摩天楼が横倒しになり、ビルが宙に浮き、地下鉄の線路が空を走る。重力に逆らって垂直な壁を走り、倒れた高層ビルの側面を足場に戦う——そういった体験がResonantの探索の軸になるという。都市が超常的に再構成された結果として「上下左右が意味を失った世界」になる。前作では廊下と部屋で構成された屋内がメインだったが、今回は開けた空間と歪んだ都市景観が広がる。

敵についても変化がある。前作のHissが主な脅威だったのに対し、Resonantでは「Mold(カビ)」「その他の超常的脅威」も登場し、マンハッタンに散らばるResonants(後述)という独自のボスクラス的存在が追加されている。7年間で超常現象が複雑化・多様化した世界観を反映している。

「Jesseじゃないの?」問題:ファンの反応は真っ二つだった

TGAでの発表直後、ファンコミュニティの反応はざっくり二極化した。

ひとつは「Jesseじゃないのはマジで残念」という声。「彼女がControlのアイデンティティだった」「前作で彼女への感情移入が深かっただけに、切り替えが難しい」という意見はRedditでもSteam Discussionsでも目立った。前作のJesseは、鍛えられていない普通の人間がほぼ偶然FBC長官になるという、ある種の「なりたて主人公感」が魅力だった。彼女が独り言として語るモノローグの文学的な質感、超常現象に驚きながらもどこか適応していく姿——そういったもの全部が「Controlらしさ」だと感じていたファンにとって、Jesseの不在は単なるキャスト変更以上の意味を持つ。それが消えることへの喪失感は正直ある。

Steam Discussionsには「So lame Jesse Faden is now in the back burner」というスレッドが立ち、多くの共感コメントが集まった。Jesse不在という事実がわかった直後の反応としては自然だろう。

もうひとつは「Dylanはロア的に筋が通っている」という擁護。前作でずっと眠っていたDylanは、超常能力の高さが一貫して示されていた。「ある意味で前作Jesseより強いかもしれないキャラが、ついに動き出す」という期待感も理解できる。「新しい視点から世界を探索できる機会」と前向きに捉えるファンも少なくなかった。Jesseという結論を見た後の世界を、まだ完全には理解できていないDylanの目線で見るのは、物語上面白い選択でもある。

JesseはFBC長官として物語に登場はする。つまり「前作の主人公が今どうなっているか」は確認できる。ただしそれを「プレイヤーとして動かす」体験は失われる。Remedyはこの選択について「Dylanの物語として完全に機能させるために、Jesseをプレイアブルにすることでプレイヤーを誤解させたくなかった」と説明している。この判断には一定の誠実さがあると思う。

どちらの反応も正当だ。ただ、実際にプレビューを体験したメディアの多くが「Dylanのキャラクターは想定以上に面白い」と報告している点は注目に値する。2026年3月のプレビューでは、GameSpotやVideo Games Chronicleが揃って好意的な評価を出しており、プレビュー後は「発売が待てない」という声に変わったファンも多い。Remedy has stated this is “not a safe sequel”という言葉を信じるなら、Dylanを主人公にしたことには意図的な設計があるはずだ。

戦闘システム:TPSを捨てて「近接格闘アクション」へ全振り

Resonant最大の変更点は戦闘だ。前作の軸だった「Service Weapon(変形する銃)+テレキネシス」の組み合わせは廃止された。遠距離から瓦礫や物体を投げ飛ばすテレキネシスも前作の醍醐味だったが、それも形が変わる。代わりに登場するのが「Aberrant(アバーラント)」という変形するメレー(近接)武器だ。

Aberrantは「生きているような武器」という表現がされており、戦闘中に形状が変化する。Primary Formは素早い連続攻撃向き、Secondary Formはリーチや破壊力重視と切り替えができる。さらにCombo Endersと呼ばれる強力なフィニッシャーも存在し、ビルドによって速さ・射程・ロールを自由に調整できる設計だ。「1つの武器の中に複数の戦い方が内包されている」というコンセプトは、前作のService Weaponが複数の形態に変形したことと通じるものがある。

戦闘スタイルの参照元としてDevil May Cryシリーズが挙がっており、アクロバティックな空中コンボ、複数敵への同時攻撃、地上ダッシュと空中機動を組み合わせたアグレッシブな立ち回りが求められる。Dylanは地上ダッシュ・空中への跳躍・メレーコンボ・処刑(Execution)をシームレスに繋げながら戦う。「複数の敵に対して同時に対処できる」と開発が説明しており、一体ずつ処理するよりもフィールド全体を流れるように動きながら戦うのが基本スタイルになりそうだ。

一点、「パリィ(弾き返し)」は存在しない。これはソウルライク系アクションのトレンドとは意図的に距離を置いた判断だ。代わりに「スローモーションが発動するぎりぎりのドッジ(回避)」がある。タイミングよく回避することで一瞬時が止まり、その間に敵の動きを読んで次の行動を選べるという仕組みだ。これが攻防の核になるという。

攻撃を受け流すより、敵の動きを読んで攻め続けるスタイルが基本になる。開発チームは「プレイヤーに積極的な攻撃姿勢を持ってほしい。Resonantは防御型のゲームではなく、常に前へ出るゲームだ」と語っている。防御と慎重さを軸にしたソウルライク的なアプローチとは真逆の設計哲学だ。

近接アクションといえばスタイリッシュなコンボを追求したゲームが思い浮かぶが、Resonantはそれとも少し違う。Remedyらしい超常的なビジュアルエフェクト——Aberrantの形状変化、Dylanのアビリティが発動する瞬間のエフェクト、歪んだ空間の中での戦闘——が組み合わさることで、単純なコンボゲームではない独自の体験になりそうだ。Xbox Wireが公開した2026年3月のコンバットプレビューでは「Remedy初のメレーアクションゲームとして、システムの完成度が高い」という評価が出ている。

敵「Resonants」からアビリティを奪う成長システム

アビリティの獲得方法も独特だ。マンハッタンに出現する強敵「Resonants(レゾナンツ)」は、同じ超常的な力によって汚染・変異した存在。Hissや超常的な力に飲み込まれ、人間や元のオブジェクトから変質した強大な敵で、ゲームのボス的な役割を担う。彼らを倒すことで新たな戦闘アビリティが解放される。

つまり、倒すべき相手が強くなるほど、プレイヤーも強くなっていく。探索と戦闘が直接キャラクターの成長に繋がる、RPG的なループ設計だ。PS Blogが公開した開発者インタビューでは、ビルドクラフトの深さが強調されており「完璧な戦闘フローを構築するゲーム」と表現されていた。

アビリティはAberrantの形態強化にも関わるため、武器と能力の両面でキャラクターを育てていく形になる。「今の自分のビルドで挑むか、別のResonantを先に倒してアビリティを増やしてから挑戦するか」というゲームプレイ上の選択肢が生まれる。探索の自由度とキャラクター育成が有機的に繋がる設計は、2026年のアクションRPGとして見ても完成度が高そうだ。

テレキネシスはどこへ行ったのか

前作の代名詞ともいえるテレキネシスが今作でどう扱われているかは、発表時点では詳細が少ない。ただ、「超常能力を使う戦闘」というControlの定義はResonantでも維持されるとRemedyは述べている。Aberrantの変形は「生きた武器」としての超常性を持つし、Dylanのアビリティとして何らかの超常的な力が用意されているはずだ。具体的な能力名や効果の詳細は発売に近づくにつれて明かされてくるだろう。

ゾーン構成:「オープンワールドではない」設計の意図

世界の広さについて「オープンワールドなのか?」と思った人も多いかもしれない。答えはNoだ。Remedyは明確に「Resonantはオープンワールドゲームではない」と述べている。発表映像を見ると広大なマンハッタンが舞台に見えるため、オープンワールドを想像した人も多かったはずだが、設計思想は異なる。

代わりに採用した設計は「大型で独自性のある広大なゾーン群(large, distinct, and expansive zones)」。マンハッタンが複数のゾーンに分かれており、それぞれから中央のHUB(FBCの現地オフィス)に向かって放射状に展開する構造だ。HUBはゲームが進むにつれて進化するベースキャンプの役割を果たし、プレイヤーの拠点として機能する。

重要なのは「各ゾーンが超常力の影響を異なる形で受けている」点だ。あるゾーンはHissに支配されて赤く染まり、別のゾーンはMoldが繁殖して緑色の有機体で覆われている。宇宙的な力によって建築物が溶け合ったゾーン、重力が逆転したゾーン——それぞれが視覚的なアイデンティティと固有のゲームプレイ上の課題を持つ。これはControlのOldest House内部が「機能ごとに雰囲気が異なる」設計を持っていたことの発展形だ。

隠しイベント・サイドアクティビティ・探索による発見が豊富に用意されており、広さよりも密度と没入感を優先した設計だという。Remedyのクリエイティブディレクターは「世界は少ない方がいい。圧倒的な量より、興奮する選択肢の質を優先する」と語っており、数百時間の作業をこなすオープンワールドではなく、一つひとつのゾーンを深く味わうゲームになることを示唆している。

過剰なオープンワールドのお使いリストに疲れたプレイヤーには好ましい選択かもしれない。近年のゲームがオープンワールドの巨大化競争に向かう中、Remedyが「小さく濃い」を選んだのは意図的な判断だ。

2026年3月のShacknewsによるプレビューでは「マンハッタンが超常隔離区域として成立している感触があり、移動・探索が楽しい」という評価が出ており、ゾーン設計への不安は今のところ少ない。また別の記者は「ゾーン間の移動も単純な移動ではなく、超常的な障害を越えていく体験として作られている」と評した。

グラフィック技術:RTX Mega Geometry + パストレーシングでどこまで行く

Remedyはグラフィック技術への投資でも一貫してトップを狙うスタジオだ。Alan Wake 2でパストレーシングを本格的に実装し、映画的な映像表現を実現した。Controlでも当時の最先端であるRTX技術をいち早く採用し、Oldest Houseの無機質な空間に光と影の演出を加えて独特の雰囲気を作り出していた。Control Resonantはその延長線上にある、というよりは「さらに先」に踏み込んでいる。

PC版の主な技術仕様は以下の通りだ。

  • NVIDIA DLSS 4.5 Dynamic Multi Frame Generation(フレーム生成技術の最新版。AIによる補完フレームでより高いフレームレートを実現)
  • Path Traced エフェクト(全光源をリアルタイムで物理シミュレーション。反射・屈折・散乱が物理的に正確になる)
  • RTX Mega Geometry(NVIDIAの次世代レイトレーシング技術。超精細なジオメトリ——つまり非常に細かい建物の形状や瓦礫の断面——に対してリアルタイムでレイトレが適用できる)
  • DLSS Ray Reconstruction(レイトレーシングのノイズ除去をAIが行い、品質を向上させる技術)

現行世代機(PS5・Xbox Series X|S)専用設計で、旧世代機は対象外。前作ControlはPS4やXbox Oneにも対応していたが、Resonantはそれを切り捨てた。その分、現行ハードの性能を限界まで引き出す方向に振っている。これはグラフィックの進化という点では明確なプラスだが、ハードを持っていないユーザーには残念な選択だ。

RTX Mega Geometryは2025〜2026年にかけてNVIDIAが推進する技術で、超高解像度メッシュのリアルタイム描画を可能にする。超常的に変形したマンハッタンの建物——折れた鉄骨、砕けたコンクリート、曲がったガラス——がどれだけ精緻に描かれるか。破壊表現、歪んだ空間のエフェクト類がどれほどリアルに見えるか、PC版で確認するのが楽しみだ。

2026年3月10日には「CONTROL Resonant、NVIDIA DLSS 4.5とパストレーシングで発売」というプレスリリースが出ており、発売前から技術面での準備は整っていることが確認できる。

ただし、これだけの技術を積んでいると気になるのがPC要件だ。Alan Wake 2ですら最高設定だとRTX 4080クラス以上が必要だったことを考えると、Resonantはさらにハードルが上がる可能性がある。公式の推奨スペックはまだ公開されていないが、フルのパストレーシング+RTX Mega Geometryを活かすならRTX 5000番台クラスが視野に入ってくるかもしれない。DLSS 4.5のフレーム生成が実用的なフレームレートを担保してくれるかどうかが鍵を握る。

Mac版(Steam・App Store対応)も発表されており、Remedyがプラットフォーム展開を広げていることも注目点だ。Alan Wake 2もMacに来たことで実績があり、Resonantでも一定の品質でMacプレイが可能になるだろう。

インスパイア元がとにかく「ツボを突いてくる」

Remedyが公式に語った影響元のリストを見たとき、「これを作ったチームはどんな映画・小説・アニメを愛しているのか」がダイレクトに伝わってきた。単なる「クリエイターが好きな作品」のリストではなく、ゲームの世界観・物語・雰囲気に直接結びついているのがわかるラインナップだ。

  • 映画「インセプション」
  • アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」
  • ドラマ「X-ファイル」
  • ドラマ「FRINGE/フリンジ」
  • ドラマ「トワイライト・ゾーン」
  • ドラマ「ツイン・ピークス」
  • 小説「House of Leaves(奇妙な家)」
  • 小説「Annihilation(サザーン・リーチ第1部)」
  • 小説「路傍のピクニック(ストルガツキー兄弟)」

エヴァンゲリオンの影響が個人的には最も気になった。「孤立した個人が宇宙規模の恐怖と向き合う」「現実が崩壊していく中での人間ドラマ」という軸が共通点だろうか。Dylanという主人公像——姉への複雑な感情、囚われ人から解放された経緯、超常能力と向き合う葛藤——にエヴァ的な「傷ついた少年が世界の崩壊に巻き込まれる」構造が重なって見える気がする。Engadgetのインタビューでは「Resonantはより大きな世界へ踏み出す物語で、エヴァンゲリオンにインスパイアされている」という言及がされており、スケールの大きさと内面ドラマの深さの両立がResonantのテーマであることが伝わってくる。

インセプションの「物理法則が無視された都市」も超常マンハッタンのビジュアル設計に直結している。クリストファー・ノーランが描いた「夢の中で都市が折りたたまれる」映像は世界観構築のヒントになったはずで、縦横上下を失った超常的な都市を舞台にするResonantとの親和性は高い。

路傍のピクニックは「人間には理解できない存在が残したものの中を歩く恐怖」を描いたSF小説の傑作で、Hissという「理解不能な存在」の概念と相性がいい。ストルガツキー兄弟の原作はタルコフスキーの映画「ストーカー」の原作としても有名で、人間が入ってはいけない場所に足を踏み入れることの危険と誘惑を描いている。Oldest Houseやマンハッタンという「入るべきでない場所」に踏み込むControlシリーズのテーマと一致する。

サザーン・リーチ(特に第1作「Annihilation」)は「Area X」という謎の隔離区域が舞台で、人間が理解できない生態系・ルールの中で主人公たちが迷い込む。Controlの世界観と重なりが多い。映画化版(アレックス・ガーランド監督)の独特のビジュアルとResonantの映像は確かに雰囲気が近い。

X-ファイルとFRINGEは、政府機関が超常現象を調査するという直接的な設定の元祖で、FBCの世界観の出発点がここにあるのは明らかだ。ツイン・ピークスの「日常の中に潜む異常」と「謎が謎を呼ぶ物語構造」も、Controlが持つ「職場に潜む超常」という設定の空気感に通じる。

House of Leavesはより直接的に「建物の内部が外部より大きい」という設定を使った実験的な小説で、Oldest Houseのコンセプトはここから来ている部分があると思われる。

これらを全部知っているファンはResonantの世界観がどれほど分厚くなるか想像できるし、知らなくても「超常的な恐怖と美しさが混在するスタイリッシュな世界」として楽しめるはずだ。

RemedyverseとFBC: Firebreakとの繋がり

Remedyが構築する共有世界観「Remedyverse」は、Alan Wake・Control・Quantum Breakが繋がり合う大きな物語の枠組みだ。単なる「クロスオーバーイースターエッグ」のレベルを超え、Alan Wake 2のDLCでJesse Fadenが直接登場するなど、世界観の統合が進んでいる。Control Resonantはその中でどこに位置するのか整理しておく。

時系列で並べると以下の通り:

  1. Control(2019)——FBCがOldest Houseの危機に対処。JesseがFBC長官に就任
  2. FBC: Firebreak(2025年発売)——前作から6年後、Oldest Houseを舞台にしたチームプレイPvEシューター。Hissはまだ内部に存在し、FBCが対処中
  3. CONTROL Resonant(2026年発売予定)——前作から7年後、Hissがマンハッタン全体に拡散した後の世界

Firebreakは「Oldest Houseの危機は続いている」ことを示しており、Resonantへの繋ぎとなる位置づけだ。Firebreakをプレイしていなくても、Resonantはスタンドアローンとして機能するとRemedyは述べている。ただやっておくと「なぜマンハッタンがここまで侵食されたのか」という文脈がより深く理解できる。

Firebreakは3人チームのPvEシューターとして、ソロ派には少し敷居が高い作りだが、World設定ファイルやキャラクターを通じてResonantとの繋がりを感じられる要素が含まれているらしい。Control本編→Firebreak→Resonantとプレイすることで、FBC世界の全貌が見えてくる設計になっている。

Alan Wakeシリーズとの繋がりも依然として続いている。Alan Wake 2の中にはControlキャラクターとの接点があり、ResonantでもRemedyverseのどこかに引っかかりが出てくる可能性がある。「隠しリファレンスを探す」のがRemedyゲームの裏の楽しみ方のひとつだ。

「安全な続編ではない」——Remedyの覚悟と再定義

TGA後の各インタビューでRemedyが繰り返した言葉がある。「Resonantは安全な続編ではない。我々は境界を押し広げたい」。

前作のTPSシステムを完全に捨て、舞台を屋内から野外のマンハッタンへ拡張し、主人公を交代させた。これだけの変更をやってのけるのは、確かに安全じゃない。失敗のリスクを冒してでも「Controlとはどういうゲームかを再定義する」という意志が感じられる。

一方でRemedyは「これはControlだ」という主張もしている。その定義が面白い。Xbox Wireのインタビューでは「Controlを定義するのは、超常的な脅威、環境の破壊、超常能力を使う戦闘、そしてRemedyらしい物語だ」と語っており、「銃があるかどうかは本質ではない」ということを示している。確かに前作を「TPS」として好きだった人もいれば、「世界観・雰囲気・物語」として好きだった人もいる。後者にとってはResonantは十分にControlかもしれない。

この「定義の再確認」は勇気があると思う。続編というのは往々にして「前作ファンの期待に応える」ことが優先されがちだ。前作が好評だったTPSシステムを維持し、Jesseを主人公にして、Oldest Houseに近い舞台で作れば批判は最小化できた。それをやらなかったのは、Remedyが「前作と同じものを作る意味はない」という判断をしたからだろう。

2026年3月時点のプレビュー評価は概ね好意的だ。Video Games Chronicleは「前作からの大幅な転換を心配すべきか?」という問いに対し「心配しなくてもいい理由がある」という方向でまとめていた。「アクションファンが求めていたものになっている」「Remedyが初のメレーアクションゲームを作ったとは思えないクオリティ」という声も多い。

ここが気になる:正直に言うと不安な部分もある

期待しているからこそ、引っかかる点も書いておきたい。

ひとつはダイアログの品質だ。発表当初のトレーラーで一部のセリフ回しが「ありきたりで薄い」という批判が出た。MCU的なクィップ(軽口)系の台詞が散見されたという指摘で、Remedyの作品が持つ独特の文学的な雰囲気と合わない、という声だった。特に前作のJesseは独り言として語るモノローグが文学的な質を持っており、「キャラクターの内面が言葉ににじみ出る」という体験ができた。あの深みがDylanでも実現されるかどうかは、トレーラーのセリフだけでは判断できない。

これに対してRemedyは「ナラティブ品質へのコミットは変わらない。Control Resonantも例外ではない」と回答している。The Gamerのレポートによると、開発チームはダイアログへの批判を把握しており、誠実に向き合っている姿勢を示した。最終的な判断はプレイするまで持ち越しだが、Remedyがその点を認識していること自体は安心材料だ。

もうひとつは発売時期の不透明さだ。2026年3月時点でアルファ段階という報道があり、Q2発売が本当に実現するかはまだわからない。Remedyのゲームは品質重視で知られているが、その分延期も珍しくない。Alan Wake 2も当初のスケジュールから変動があった。大作が集中する2026年の中で、完成度を担保しながらスケジュールを守れるかは見守る必要がある。

もっとも、こういった「不安」はRemedyへの信頼があるからこそ感じる類のものでもある。Alan Wake 2でも「大丈夫か?」と思いながら待っていたら、最終的にゲームオブザイヤー候補に上がる傑作だったように。Remedyが「大丈夫」と言って出してきたものが大丈夫でなかったことは、過去を振り返ると多くない。

前作Controlを未プレイの人に:今から追いかける価値はある

Resonantが気になっているが前作をやっていない、という人も多いかもしれない。結論から言うと「今すぐやる価値がある」。

前作Controlは現在SteamやEpic Games Storeで入手可能で、セール時は非常に安く買える。プレイ時間の目安は本編クリアで15〜20時間前後。長すぎず、短すぎない。ゲームとしての完成度が高く、サイドミッションや収集要素もあるが、本編だけでも十分に完結した体験ができる。

Oldest Houseという舞台の作り込み、Jesseのキャラクター造形、Service Weaponで戦う独特の感覚、そしてHissという脅威の不気味さ——これらを体験しておくことでResonantのDylanの立ち位置や、世界がどれほど変わったかをより深く理解できる。「前作を知っている人が受ける衝撃」をもらいながらResonantをプレイするのと、初見でResonantから入るのでは、体験の密度が変わる。

DLCの「The Foundation」と「AWE」も、Remedyverseの繋がりが好きな人には面白い。Foundationは前作ではあまり掘り下げられなかったOldest Houseの深部に関わる話で、建物という「場所そのもの」への理解が深まる。AWEはAlan Wakeとのクロスオーバーが直接的に描かれており、Remedyverseを追いかけるなら必見だ。Jesse以外の視点からFBCの世界を見られる貴重なコンテンツでもある。

FBC: Firebreakも2025年に発売済みで、チームメンバーを集めてOldest Houseの異変に対処するPvEシューターとして楽しめる。マルチプレイ前提なのでソロ派には少し敷居が高いが、世界観の補完としては面白い。完全に見知らぬ人とプレイすることに抵抗がなければ、Resonantを前に触れておく価値はある。

Annapurna Interactiveとの共同制作が意味するもの

ResonantにはAnnapurna Interactiveが共同制作・資金提供で関わっている。Annapurnaといえば、Journey・Outer Wilds・Stray・What Remains of Edith Finch・Twelve Minutes など、アート性と物語性を重視したインディー・インディー寄りのタイトルのパブリッシングで知られる。あるいはゲーム業界以外でも、映画「ビッグ・アイズ」「ミスタームーンライト」をはじめとするAnnapurna Picturesの存在で知っている人もいるだろう。

RemedyのようなAAA規模のスタジオとAnnapurnaがこれほど深く組むのは初めてのケースだ。2024年8月に開発費の折半で合意したという経緯だが、これがゲームの方向性にどう影響しているかは興味深い。単純な資金提供だけでなく、「共同制作」という形を取っているため、クリエイティブ面でも何らかの影響があるはずだ。

Annapurnaが得意とする「体験としての没入感」「感情に訴えるナラティブ」「プレイヤーが考えさせられる余白」という要素が、RemedyのSFホラー的世界観と組み合わさることで、単純なアクションゲームを超えた何かになる可能性がある。少なくとも「ただ敵を倒して終わり」にはならないだろう。Outer WildsやWhat Remains of Edith Finchが示したような「ゲームでしか体験できない感情的な体験」が、AAA規模のアクションRPGとして実現されるかもしれない。

資金面での安定も大きい。Remedyは独立系スタジオとして505 GamesやEpic Gamesと組んできたが、今回は開発費の半分をAnnapurnaが負担する形で、より大きいスケールに挑める環境が整っている。Alan Wake 2でもEpic Gamesの全額出資という珍しい形を取ったが、Resonantはさらにスケールが大きくなっている。

他の2026年注目アクションRPGと比べてみる

2026年はアクション系の大作が豊作な年だ。その中でResonantがどう差別化されているか考えてみたい。

近接格闘アクション路線ということで、同じジャンルの作品と比較されることが増えそうだ。「アクロバティックな近接コンボ」という点ではPhantom Blade ZeroやBlack Myth: Wukongとの比較が自然に出てくる。ただし超常能力・環境ギミック・Remedyらしいナラティブが絡む点では明らかに別物で、単純なコンボアクションとは方向性が違う。ResonantはDMC的な爽快感とホラーSF的な世界観の融合を目指しているのであって、コンボランク制のスタイリッシュアクションではない。

Phantom Blade Zeroは独自の武器システムと滑らかなアクションで高い評価を受けている。Resonantのメレーシステムと比べてみると、各スタジオのアプローチの違いが面白い。

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独特の世界観とナラティブを重視する点では、昭和米国物語も近い雰囲気を持つ。現実と非現実の境界が曖昧な世界を主人公が歩くという軸が共通しており、Resonantに引かれるプレイヤーはこちらも要チェックだ。

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Resonantで超常マンハッタンを歩く「体験」を想像してみる

情報が増えてきた今、Resonantがどんな体験を提供しそうか想像してみると——。

出発点はFBCの現地拠点。超常的な力に染まった各区画を探索し、敵を倒してアビリティを拡張し、Jesseの手がかりを求めてゾーンを渡り歩く。戦闘は前作の「遠距離でオブジェクトを投げ続ける」から、「接近してAberrantで畳み掛ける」スタイルへ。空中を跳び、ダッシュし、敵の動きを読みながらCombo Enderで終わらせる。

ビルが横倒しになった街角で、Resonantsと呼ばれる強敵と対峙する。倒せばアビリティが解放される。戻ったHUBでビルドを整え、次のゾーンへ向かう。その繰り返しの中に、断片的にDylanとJesseの物語が積み重なる。敵の残した記録や環境に散らばるドキュメントが、Hissが広がった世界の歴史を語ってくれる——前作で大量のFBCドキュメントを読み込んだような楽しみ方は今作でも期待できる。

超常マンハッタンのビジュアルを想像するだけで、少しワクワクしてしまう。Alan Wake 2のノルウェーの森が映画的な光と影で構成されていたように、今度は都市の廃墟と超常的変形が舞台になる。パストレーシングとRTX Mega Geometryが描く「折れ曲がった摩天楼に差し込む夕日」のような場面は、きっとスクリーンショットを撮りたくなる瞬間を作ってくれる。

前作では「ゲームのコントロール感」という言葉遊びが使われていた。超常能力でオブジェクトをコントロールし、FBCの組織をコントロールし、自分自身の恐怖をコントロールする——プレイヤーは何かをコントロールできているのか、それとも何かにコントロールされているのか。Resonantでは「Resonance(共鳴)」というタイトルが何を意味するのか。Dylanの力が超常的な力と共鳴するのか、Hissが世界全体に共鳴として広がることを意味するのか。タイトルに込められた意図が気になる。

Dylanという主人公:「囚人」から「解放者」へ

Resonantの物語を考えるとき、Dylanというキャラクターの設計がどれほど巧妙か、改めて考えてみたい。

前作Controlでのダイランは、ほとんどの時間を昏睡状態で過ごす。しかし彼の存在感は薄いどころか、むしろ物語の中で最も謎めいた存在として際立っていた。Jesseが弟を探してOldest Houseに来たという事実は物語の骨格を作っており、彼がなぜFBCに収容されているのか、なぜ超常能力を持つのか、Hissとどう繋がっているのかは前作を通じて少しずつ明かされた。しかし全てが解明されたわけではない。

Resonantは「囚人だったDylanが、なぜFBCに協力することになったのか」という問いから始まる。Oldest Houseから解き放たれたHissを封じ込めるためにFBCがDylanを解放した——という大まかな経緯はわかっているが、Dylanにとってそれは「使われている」のか「自分の意志で戦う」のかは曖昧なままだ。姉Jesseへの感情も単純ではない。Jesseが探してくれた結果FBCと関わることになったとも言えるし、FBCに囚われた原因とも捉えられる。

エヴァンゲリオンのシンジがエヴァに乗る動機が揺れ続けるように、DylanがAberrantを持って戦う動機が物語を通じて変化・深化するとしたら、それはRemedyが好むナラティブ設計と一致する。前作Jesseが「普通の人間が異常な状況に投げ込まれる」物語だったのに対し、Dylanは「元から超常的だったが封じ込められていた人間が解き放たれる」物語だ。主人公の立ち位置が根本的に異なる。

この差がゲームプレイにも反映されている。Jesseのテレキネシスは「体験しながら習得していく」感覚があったが、Dylanの場合は「もともと力はあった、それをどう使いこなすか」という方向性になりそうだ。成長の質感が変わる。Aberrantという「生きた武器」がDylanの超常能力の延長として機能するというコンセプトも、彼が「力と一体化した存在」であることを示している。

FBCというorganizationの変化:世界が広がった組織の在り方

前作ControlではFBCはOldest Houseの内部で完結した組織として描かれていた。表向きは地味な政府機関、実際は超常現象の封じ込めを担う秘密組織——その「隠れた秘密」という側面が緊張感を生んでいた。

Resonantの時点では状況が根本的に変わっている。Hissがマンハッタン全域に拡散した今、FBCは「秘密を保てる規模」ではなくなっている。市民がいなくなった(あるいは超常的な影響を受けた)マンハッタンをFBCが封鎖・管理しているという設定は、組織の性格を変えるはずだ。Oldest Houseという「内部の秘密」を守る組織から、都市規模の災害に対応する「外部向けの組織」へと変化せざるを得ない。

JesseがFBC長官として登場するのは、この変化した組織のトップという立場を意味する。前作でFBC長官になったばかりのJesseが、7年間でどのように組織を変えてきたのか。あるいは変えられなかったのか。その痕跡が各ゾーンや設定ドキュメントに残っているとしたら、前作ファンには見逃せない要素になる。

「Controlらしさ」とは何か:Remedyが示した答え

戦闘システムも舞台も主人公も変わった中で、Remedyは「それでもControlだ」と主張している。その根拠を整理すると、次のような要素が挙げられる。

まず「超常的な脅威と環境の異常」。前作でもOldest Houseは常に変形・再構成され、日常的なオブジェクトが異常な力を持つ。Resonantでも超常的に変形したマンハッタン、ゾーンごとに異なる超常現象、Resonantsという「変異した存在」がその役割を果たす。世界そのものが敵であり謎である、という体験はControlの核だ。

次に「超常能力を使う戦闘」。前作のService Weapon+テレキネシスが廃止されても、Aberrantという「生きた武器」とDylanのアビリティが超常能力の体験を提供する。武器の形が変わっただけで、「異常な力で戦う」という本質は維持されている。

そして「Remedy的な物語」。これが最も抽象的で最も重要な要素だ。前作の「普通の人間が普通でない組織に飛び込む」という物語構造、断片的なドキュメントやビデオを通じて世界観が積み上がる語り方、主人公の内面独白が物語の質感を作るアプローチ——これらがResonantにも存在するかどうかは発売後の評価待ちだが、少なくともRemedyの意図としては維持しようとしている。

この「定義」はファンにとって賛否が分かれるだろう。「銃がないとControlじゃない」という人もいれば「Oldest Houseがないとダメ」という人もいる。だが開発チームが示した定義は、ゲームシステムや舞台ではなく「体験の質」に置かれている。その意志を信じるかどうか、というのがResonantをプレイするかどうかの分岐点かもしれない。

発売前チェックリスト:Resonantを最大限楽しむための準備

Resonantが発売するまでにやっておくと体験が深まること、具体的にまとめてみる。

1. 前作Control本編をクリアする

Dylan・Jesse・FBC・Hissの背景理解に必須。DLCのAWEまでやると理想的。本編クリアで15〜20時間程度。セール時に安く買えるのでこのタイミングで。

2. Alan Wake 2を触れておく

RemedyverseでControlと直接繋がっている。パストレーシングの映像クオリティの参考にもなる。Control AWEとの繋がりを感じながらプレイすると一層面白い。

3. FBC: Firebreakを試してみる

時系列上でResonantの直前。ストーリーの繋がりあり。マルチプレイ前提だが、ソロでも一部楽しめる。世界観の橋渡しとして機能する。

4. PCスペックを確認する

公式推奨スペックが発表され次第チェック。RTX系GPUの有無でグラフィック品質に大きな差が出る可能性。DLSS 4.5対応カード(RTX 4000番台以降)があると恩恵が大きい。

5. 「エヴァンゲリオン」を見る

冗談ではなく、Remedyが公式に影響元として挙げている。世界規模の脅威・孤立・不可解な存在という軸を共有しているので、プレイ中に見え方が変わるかもしれない。テレビ版・新劇場版どちらでも。

6. 「Annihilation(アナイアレイション)」を観る/読む

Alex Garland監督の映画版(2018年)がNetflixなどで視聴できる。謎の隔離区域「Area X」を探索する物語で、Resonantの超常マンハッタンを歩く感触の参考になる。小説(小川哲訳が読みやすい)も面白い。

ゲームは「安全な続編ではない」——それは2026年において褒め言葉だ

2026年は大作ゲームが集中する年だ。その中でResonantが生き残るには、「Controlの続編」というブランド力だけでは不十分かもしれない。Remedyが銃を捨て、Jesseを主人公から外し、マンハッタンに舞台を広げた決断には、そういった市場的な判断もあるだろう。「前作と同じことをやっても、前作ほど注目されない」というのは続編が常に直面する問題だ。

ただ、それ以上に感じるのは「Remedyが本当にやりたかったことをやっている」感触だ。インセプション・エヴァ・House of Leavesに影響を受けた世界を、自分たちのエンジン・技術・物語でリアルに作る。そのための「Control」というブランドを使った、という見方もできる。

ファンとして「Jesse使いたかったな」という気持ちは正直ある。でもRemedyが好きな理由のひとつは「前作と同じことをしない」姿勢で、それが今回も健在だと思うと、期待の方が大きくなってくる。Alan Wake 2もAlan Wake(2010)と全く異なる構造のゲームだったが、それがAlan Wake 2の傑作たる理由のひとつだった。

プレビューを読んで今一番強く思うのは、Remedyがこのゲームを「作りたくて作っている」ということだ。資金的にAnnapurnaが入ったことでスケールが広がり、現行世代機のみに絞ることでグラフィックが進化し、メレーアクションへの転換で戦闘が新しくなった。これだけの変化を一気にやるには、相当な確信がないと踏み切れない。その確信がどこから来ているのかを、プレイして確かめたいと思っている。

2026年Q2。Dylanとともに超常に染まったマンハッタンを歩く日を待ちたい。

発売後、どう評価されるか:期待される指標

ゲームが発売された後、何を見て評価するかの軸を考えてみる。

まず「Dylanというキャラクターが前作のJesseと同等以上の存在感を持てるか」。単なる「新しい主人公」ではなく、前作の世界観を理解した上でDylanならではの物語が語られるかどうかが、ナラティブ面での評価軸になる。

次に「メレーアクションとしての完成度」。Remedyが初めて挑む近接戦闘システムがどれほど洗練されているか。比較対象としてDMCやNier:Automataのような先行作が頭をよぎるが、Resonantがそれらとは別の「超常メレー」として独自の立ち位置を確立できるかどうかだ。

そして「グラフィックと世界観の説得力」。超常マンハッタンがビジュアル・ゲームプレイ両面で「そこにある世界」として成立しているかどうか。前作のOldest Houseは建物としての一体感が素晴らしかった。今作の都市スケールでその密度が維持できているかが鍵だ。

ゾーイ・デ・ベラというキャラクター:Dylanの「アンカー」役

前作Controlでは、FBC職員のポーリン・ヒルデイがJesseの案内役として機能していた。口うるさいがどこか愛嬌があり、Oldest Houseという異常な空間の中でプレイヤーに「普通の感覚」を取り戻させる役割を担っていた。ResonantではゾーイFBC・デ・ベラ(Zoe De Vera)がその役割を引き継ぐ形になる。

ゾーイはFBCのフィールドエージェントで、Dylanのハンドラー兼ガイド。超常的な力を持つDylanを「組織の外から支援する」立場にある。Dylanが内から世界と戦うなら、ゾーイは外側から彼を地に足つけさせる存在だ。FBCという組織の意思とDylanの個人的な動機の間に立つキャラクターという意味では、単なるガイド役以上の物語上の機能を持つことになりそうだ。

前作でJesseが独り言形式で内省を語り、ポーリンが実務的な現実を突きつけるという対話構造があったように、ResonantではDylanの超常的な内面とゾーイの現実的な視点の対比が、ナラティブの核のひとつになるかもしれない。彼女が「FBCに従う人間」として描かれるのか、それともDylanを真に理解しようとする人間として描かれるのか——そこが彼女の魅力を決めるだろう。

Remedy Entertainmentというスタジオについて

CONTROL Resonantを作るRemedyという会社について、少し掘り下げておきたい。フィンランドのエスポーに本拠を置くインディペンデントなゲームスタジオで、1995年設立というかなり長い歴史を持つ。Max Payne(2001年)のブレットタイムシステムは当時業界に衝撃を与えたし、その後もAlan Wake・Quantum Break・Control・Alan Wake 2と、一作ごとに別のアプローチで「物語とゲームプレイの融合」を試みてきたスタジオだ。

特徴的なのは「前作と同じことをしない」という姿勢だ。Max Payneで確立したサードパーソンシューターのフォーマットをAlan Wakeで崩し(当初はオープンワールドで開発していたが最終的に一本道に変更)、Alan Wakeの「走って戦う」構造をQuantum Breakのタイムパワーで変え、Controlでテレキネシス主体のシューターを確立したと思ったらResonantでそれも捨てる。「Remedyは続編が出るたびに別のジャンルになる」という評価は笑えない真実だが、それがRemedyのゲームを「次が気になる」存在にしている。

Alan Wake 2(2023年)はその最たる例だった。2010年のオリジナルとは全く異なるホラー演出、チャプター構造、実写映像の多用——それでいて「Alan Wakeだ」と感じさせる何かがあった。あの作品がGOTY候補になったことはRemedyの方向性を裏付けたと思う。Resonantはその次の一手で、しかも規模は歴代最大になっている。

規模の大きさはAnnapurna Interactiveとの協業体制から読める。開発費の50%を出資するという関係はパブリッシャーとデベロッパーの通常の関係を超えており、Annapurnaのクリエイティブな方向性への影響力も一定以上あると見られる。「Annapurnaが得意とする感情に訴えるナラティブ」と「Remedyの超常的なゲームプレイ」がどう融合するか——その化学反応がResonantの未知数の部分だ。

PC版はどんな人向け?スペック面での考察

RTX Mega Geometry・パストレーシング・DLSS 4.5という組み合わせを見ると、PC版で最高設定を目指すにはかなりのスペックが必要になることは間違いない。Alan Wake 2がパストレーシングを有効にした場合にRTX 4080でも苦戦していたことを思えば、Resonantでフル機能を動かすにはRTX 5000番台以上が実用的な選択肢になりそうだ。

ただし、DLSS 4.5の存在は大きい。Dynamic Multi Frame Generation(DMFG)はAIでフレームを補完することで、実際のGPU負荷より大幅に高いフレームレートを得られる技術だ。これを使えばRTX 4070クラスのGPUでも快適な動作が期待できる可能性があるし、RTX 3000番台でも一定の品質でプレイできるかもしれない。公式推奨スペックが発表されるまで断言はできないが、「高スペック推奨だがDLSSのサポートが手厚い」というAlan Wake 2と似た傾向になりそうだ。

パストレーシングをオフにした場合の品質がどうなるかも気になる。Alan Wake 2はパストレーシングなしでも十分美しい映像を持っていたが、Resonantが超常的に変形した都市を描く際にどれほどライティング表現に依存しているかによって、その差が大きくも小さくもなる。低スペック環境でも「Controlとしての体験」が成立するかどうかは、発売後のレビューで確認すべきポイントになる。

Mac版の存在も見逃せない。Apple Silicon(M3以降)を搭載したMacではMetalを使ったグラフィックが向上しており、Alan Wake 2のMac版が一定の品質を確保できていたことは希望になる。WindowsほどのRTXフル活用は難しいが、エントリー向けの選択肢としてMacが選べることは間口の広さに繋がる。

Resonantが問う「ホラーとアクションの間」

前作ControlはSFホラー的な要素が強い作品だった。Oldest Houseの静寂と異常、Hissに感染した元職員たちの不気味な動き、突如変化する空間構造——「恐ろしいとは何か」をゲームとして体験させる設計があった。Alan Wake 2はさらに純粋なホラーに近づいており、RemedyがホラーとSFの境界で常に実験していることは明らかだ。

Resonantでその軸がどちらに向くか、は現時点では明確ではない。メレーアクション主体のゲームシステムはホラーとは相性が悪いように思えるが、超常的に変形したマンハッタンという舞台、「理解できない存在」としてのHissやResonants、そしてDylanという「異常な力を持ちながらも人間としての脆さを持つ主人公」——これらはホラー的な体験を成立させる要素になりえる。

「戦える恐怖」と「戦えない恐怖」の配分が、Resonantの空気感を決める。前作では強大な敵に対しても「テレキネシスで瓦礫を投げつければ勝てる」という手応えがあったが、今作でも「Aberrantがあれば大丈夫」という安心感が保たれるのか、それとも理解できない存在との対峙が「勝てるかどうかわからない」恐怖を生むのか。この設計次第でResonantがホラー寄りになるかアクション寄りになるかが変わる。

個人的な期待は「アクションとして爽快感があるが、世界観の層が剥がれるとゾッとする」体験だ。戦闘中は気持ちよく動けて、その合間にドキュメントを読んだり環境を観察したりすると「このマンハッタンに何が起きているか」の恐ろしさが滲み出てくる。前作でもそのバランスは巧みだったので、Remedyがそこを維持してくれると信じたい。

まとめ:CONTROL Resonantはこんな人に刺さる

最後に、Resonantがどんな層に向いているかまとめておく。

  • 前作Controlが好きで世界観の続きを追いたい人
  • Remedyのゲーム全般(Alan Wake・Quantum Break)のファン
  • スタイリッシュな近接アクション+キャラ育成が好きな人
  • 超常・SFホラー・ナラティブ重視の作品が好きな人
  • NVIDIAのRTX技術でグラフィックの限界を見たいPC勢
  • エヴァ・インセプション・X-ファイルが刺さる人
  • 「大きすぎないオープンワールド」「量より質の探索」が好みの人
  • アクションRPGのビルドクラフトが好きな人

逆に、前作のTPS戦闘スタイルが絶対条件の人、Jesseを主人公として続きを遊びたい人、オープンワールド型の自由な探索を期待している人には、まず発売後の評価を待ってから判断するのが良さそうだ。

2026年Q2予定。続報に注目していきたい。

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