昭和米国物語(Showa American Story)発売日・ストーリー・世界観を徹底解説

日本がアメリカを買収したら、世界はどうなるか——そんな設問から始まるゲームが、世界中のゲームファンを虜にしている。

公式トレーラー

その名も『昭和米国物語(Showa American Story)』。中国のスタジオNEKCOM Entertainmentが制作するアクションRPGで、2026年にPC(Steam)とPlayStation 5向けに発売予定だ。

2022年の発表時、ゲームの存在が日本のSNSに広がった瞬間、タイムラインが一瞬フリーズした気がした。「え、中国のゲームなのに昭和日本がテーマ?しかも主題歌が大事MANブラザーズバンドの『それが大事』?」——そういうリアクションが飛び交った。笑いながら、でもなぜかウィッシュリストに入れてしまった人は、自分だけじゃないはずだ。

正直に言うと、これはよくある「架空のパラレルワールドもの」じゃない。中国人の開発チームが80年代の日本文化へ抱いた純粋な愛情と、B級映画的な狂気と、本気のアクションRPGとしての設計が、奇妙な化学反応を起こしている。

まだ発売前の作品だから、実際の評価は出ていない。でも発表から3年以上、これだけ継続的に世界中のメディアとファンが追いかけ続けているゲームには、それなりの理由がある。その「理由」を、できる限り丁寧に書いていく。

なお記事内で触れるコメントは、Steamコミュニティ・各種ゲームメディアのコメント欄・SNSなどから収集した実際のユーザーの声をまとめたものだ。まだ発売前のゲームについてこれだけ多くの人が熱量を持って語っているという事実が、このゲームの特異性をよく表している。


目次

こんな人におすすめ / こんな人には合わないかも

こんな人は要チェック

  • 80年代の日本・アメリカのポップカルチャーが好き
  • B級映画的なノリのゲームが大好物
  • ポストアポカリプスの世界を探索するのが楽しい(Falloutシリーズ好き等)
  • ハック&スラッシュ系の爽快感あるアクションが好き
  • 「ぶっ飛んだ設定だけど本気で作られたゲーム」に惹かれる
  • 中国産ゲームの進化ぶりに興味がある
  • 世界観が独特な一人用RPGを探している

こんな人は様子見でもいいかも

  • グラフィックの美しさを最優先するタイプ(B級テイストが前面に出ている)
  • マルチプレイやオンライン要素必須の人
  • シリアスで重厚なストーリーのみを求める人(コメディ要素が強い)
  • すでに発売されている完成品しか買わない主義の人(2026年発売予定)

基本情報

昭和米国物語 ゲームプレイ画面

タイトル 昭和米国物語 / Showa American Story
開発 NEKCOM Entertainment(中国)
パブリッシャー 2P Games / 4Divinity
発売時期 2026年(PC Steam / PlayStation 5)
ジャンル アクションRPG / ポストアポカリプス・ロマンスRPG
主題歌 「それが大事」大事MANブラザーズバンド
価格 未発表
日本語対応 対応予定
公式サイト https://showaamericanstory.com/jp/

「昭和米国物語」とはどんなゲームか——3行で説明すると

詳細に入る前に、「3行で説明してくれ」という人のために整理しておく。

昭和米国物語を3行で

  1. 日本がアメリカを経済支配した架空の1980年代アメリカを舞台にしたポストアポカリプスRPG
  2. 主人公は死から蘇った19歳のスタントウーマン・蝶子。復讐と妹探しを兼ねた北米横断の旅
  3. B級映画テイストのゴアなアクション×生活感あるRPG育成×ノスタルジックなミニゲームが合体

「それだけ聞いても全体像が想像しにくい」という声もわかる。それがこのゲームの特殊さだ。ジャンルの組み合わせが独自すぎて、既存のゲームとの比較が難しい。Falloutの世界観×Beat ‘em up戦闘×80年代B級ホラー演出×RVカスタム育成——それらを合体させて、主題歌が「それが大事」というゲームは、他に存在しない。


「日本がアメリカを買収した世界」——この発想はどこから来たのか

昭和米国物語 世界観

まず舞台設定の話をしないといけない。なぜなら、この設定こそがゲーム全体の魅力の根っこになっているからだ。

時代は「昭和66年」。バブルが崩壊しなかった日本が、圧倒的な経済力でアメリカの大部分を買収した架空の世界だ。

大量の日本人移民がアメリカ大陸に押し寄せ、日本の文化がアメリカに根付いていく。ファストフードの看板が日本語になり、アメリカの街並みに鳥居と電柱が混在する。現地のアメリカ人たちは日本語を話し、日本の様式で生活するようになっていく。

「昭和66年」というネーミングがいい。昭和の元号(日本的なもの)と、アメリカを象徴するルート66の数字を組み合わせている。2つの文化が融合した世界を、タイトル自体が体現している。

こうして誕生した「昭和アメリカ」は、一見すると奇妙なユートピアだ。ところがここに、正体不明の大惨事が降りかかる。世界は荒廃し、ゾンビとモンスターが跋扈するポストアポカリプスの荒野になってしまった。

この世界設定、実は笑えない説得力がある。1980年代の実際の日本は本当にアメリカの不動産を買い漁っていた。ロックフェラーセンターを三菱が買収したのは1989年。「このまま日本がアメリカを経済支配するのでは」という空気が当時あったのは事実だ。そのifストーリーを、中国人のゲームデベロッパーがゲームにした。

ゲームファンの間ではこんな声も上がっていた。

「中国人が作った昭和日本へのラブレター感がすごい。妙なリアリティがある」

── SNS上の反応(2022年1月発表時)

「妙なリアリティ」という表現は的確だと思う。中国からの視点で作られた「日本像」は、日本人の自己認識とは微妙にズレている。でもそのズレが、かえって「客観的な昭和日本の姿」として機能している面がある。

「昭和アメリカ」の景色——トレーラーで確認できるビジュアルの数々

この設定がどれほど丁寧に作り込まれているか、トレーラーで確認できるビジュアルを見ると一目でわかる。

自由の女神が着物を着ている。砂漠の真ん中に鯉のぼりが泳いでいる。街頭には日本語の看板が並んでいるが、その下にはアメリカのネオンサインが残っている。荒廃した道路の脇にお地蔵さんが置かれている。廃墟になった高速道路を、日本製らしい車のボディに英語のグラフィティが書かれた車両が走っている。

このビジュアルの積み重ねが「昭和アメリカ」という世界の説得力を生んでいる。「日本がアメリカを支配した結果こうなった」というロジックが、一枚一枚のビジュアルに込められている。

ゲームの三大テーマは「暴力・ロマン・コメディ」だ。この3つが同居しているのが、このゲームの最大の特徴かもしれない。暴力的なゾンビ戦闘と、荒廃したアメリカを旅するロードムービー的なロマンと、「こんな世界あるわけないだろ」という笑い——これが一本のゲームに共存している。

東洋経済オンラインは「日本がアメリカを支配した世界を描く中国製ゲーム——日本文化の奇想天外なパロディが話題に」という見出しでこのゲームを紹介した。「奇想天外なパロディ」は正しい。でもそれが「バカにした笑い」ではなく「愛情からくる笑い」だという点が、他のパロディゲームとは違う。


主人公・千草蝶子という人物

昭和米国物語 戦闘シーン

主人公の名前は千草蝶子(Chouko Chigusa)、19歳のスタントウーマン。

スタントウーマンというのが面白い設定だ。本物の格闘技術を持ちながら、映画の撮影現場で「演じる」ことを生業にしていた女性。B級映画的な世界観のゲームの主人公として、これ以上ない職業選択だと思う。

蝶子は何者かに暗殺される。しかし、なぜか死から蘇った。記憶もない。自分を殺そうとした犯人も、理由もわからない。気づけばポストアポカリプスになった荒廃したアメリカの街に立っている。

彼女が旅に出る理由は2つ。自分を殺した犯人への復讐と、行方不明の妹を探すこと。このシンプルな動機が、北米大陸を横断する大冒険の起点になる。

スタントウーマンという設定は、ゲームプレイにも直結している。蝶子は元々アクション映画のような戦闘を夢見ていた女性だ。ゾンビや怪物と戦う現実が、皮肉なことに「夢を叶えている」状況になっている。そのギャップが、本作のコメディ的なトーンを支えている。

バトルでは蝶子のスタントマンとしての身体能力が活きる。高速で動き回り、アクロバティックに攻撃を叩き込む。その様子はまさに「B級アクション映画の主人公そのもの」だ。

蝶子の「超人的な能力」——死から蘇ったことで何かが変わった

蝶子は死から蘇ったとき、何らかの超人的な能力を得た。それが何なのか、なぜそうなったのか——これがゲームのストーリーの核心に関わる謎のひとつだ。

ゲームの描写を見ると、蝶子は通常の人間では到底できないような戦闘をこなしている。巨大なドリルを軽々と扱い、数十体のゾンビを一気になぎ払う。スタントウーマンとしての訓練だけで説明できるレベルじゃない。

「なぜ蝶子は死から蘇ったのか」「彼女を殺した黒装束の集団の正体は何か」「大惨事とは何だったのか」——これらの謎が、北米横断の旅を進める動機になっている。ポストアポカリプスの世界を旅しながら、徐々に真実が明かされていく構成のようだ。

敵対勢力——ゾンビだけじゃない

荒廃した昭和アメリカで蝶子が相手にするのはゾンビだけじゃない。確認されている敵対勢力には以下のものがある。

  • ゾンビ・モンスター・怪獣——大惨事後に蔓延る異形の存在
  • 勇士団——秩序崩壊後の荒廃したアメリカで台頭した武装集団
  • 柴田組——昭和アメリカに根付いたヤクザ組織。日本の組が文化ごとアメリカに移植された存在
  • 謎の黒装束の集団——蝶子を殺した張本人たち。その正体と目的がストーリーの中心

「ゾンビ・怪獣・ヤクザ」が同じ世界に共存しているというのが、昭和アメリカの世界観をよく表している。日本の組織犯罪文化がアメリカに根付いたことで、「ヤクザ」という存在がポストアポカリプスの荒廃世界でも生き延びているわけだ。


ゲームプレイ:ハック&スラッシュ × B級スプラッター × 生活RPG

このゲームのジャンルを一言で説明するのは難しい。「ハック&スラッシュアクションRPG」が最も近いが、それだけじゃ収まらない。

バトルシステム——直感的で、派手で、ゴア

戦闘はリアルタイムのアクション形式。近接武器と遠距離武器を使い分けながら、押し寄せる敵の群れをなぎ払っていく。

武器のバリエーションが面白い。ショットガンなどの銃火器はもちろん、巨大なドリルを振り回すシーンがトレーラーに映っていた。ゾンビの首をゴルフボールに見立てて打つミニゲームも存在する。80年代のB級ホラー映画的な「やりすぎ感」が、戦闘の随所に散りばめられている。

戦闘の「ゴア表現」は本作の大きな特徴のひとつだ。血飛沫が飛ぶ、手足が吹っ飛ぶ、そういう過激な描写が80年代アクション・ホラー映画のノリで描かれる。グロさで不快にさせるというより、「こういうの求めてた!」というカタルシスに向かっている感じがする。

一方で操作感は「直感的で速い」ことが開発者の明言しているコンセプトだ。コンボの入力難度を高くせず、初心者でもスタイリッシュな立ち回りができるように設計されているという。

RV(キャンピングカー)システム——荒廃したアメリカを走る移動要塞

本作のもう一つの目玉が、蝶子の「家」であり「移動手段」でもある巨大キャンピングカーだ。

このRVはただの乗り物じゃない。カスタマイズとアップグレードが可能な拠点として機能する。探索で集めたリソースを投入して改良していくと、蝶子の能力も上昇していく。

アメリカ横断の旅を「移動要塞」で進むというビジュアル、そしてその移動要塞を自分流にカスタムする体験——これはポストアポカリプスRPGの定番要素だが、本作では80年代アメリカの景色の中でそれをやることになる。荒廃したハイウェイ、錆びたガスステーション、崩れかけたドライブインシアター。そういう風景をRVで走り抜ける体験には、独特のロマンがある。

Living Activities——戦闘以外の「生活」が蝶子を育てる

本作には「Living Activities(生活活動)」と呼ばれるゲームプレイ要素が存在する。

探索と戦闘で集めたリソースを使って、武器を強化したり、新しいコスチュームを入手したり、経験値を稼いだりする。それだけでなく、「ノスタルジックなミニゲーム」がふんだんに用意されているという。

開発者が「ノスタルジック」と表現するのは、80年代のアメリカ・日本の文化に根ざしたゲームコンテンツということだろう。ゾンビのヘッドをゴルフで打つのはトレーラーで確認されているが、他にどんなミニゲームが隠れているのか、現時点では詳細は明かされていない。それが楽しみのひとつでもある。

セミオープンワールド——複数の「昭和アメリカの都市」を探索する

ゲームの舞台は北米大陸全体だが、構造としては「複数の都市がサンドボックスとして機能するセミオープンワールド」だ。

確認されている都市には以下のものがある。

確認されている昭和アメリカの都市

  • New Yokohama——ハリウッドをモデルにした都市。映画産業が昭和文化と融合
  • San Francisco——実在の都市が昭和化した姿
  • Las Vegas——ギャンブルの街が昭和テイストに染まったら
  • Neo Tokyo-4——テキサス州オースティンがモデル。名前からして笑える

「New Yokohama」「Neo Tokyo-4」というネーミングのセンスが好きだ。横浜とニューヨーク、東京とテキサスが合体している。2つの文化が混ざり合ったら何が生まれるか、というゲームのテーマがそのまま地名に反映されている。

都市間の移動はRVでのドライブか、ファストトラベルで行う。キャンピングカーの他にもバイクなど様々な乗り物があるようだ。

「ロードムービー」としてのゲームデザイン

bestfinggamesのプレビューでは、本作を「ロードムービースタイルのアクションRPG」と表現していた。これは的確な表現だと思う。

RVに乗って荒廃したアメリカを横断しながら、各都市で人々と出会い、戦い、謎を解いていく——その構造は確かにロードムービー的だ。目的地があって、その途中で人生が変わるような出来事が起きる。移動の過程が物語の核心になっている。

このゲームをFalloutと比べる人は多いが、Falloutとの決定的な違いはこの「ロードムービー感」だ。Falloutは「広い廃墟を自由に探索する」感覚が強いが、昭和米国物語は「目的を持って移動する旅」の感覚が強い。蝶子には明確な目的地と動機がある。

ストーリーとサイドクエストの比重

開発者が明言しているコンテンツの配分は「ストーリー40%・戦闘30%・探索30%」だ。RPGとして、ストーリー体験に重きを置く設計になっている。

ただし、サイドクエストの存在感も大きい。メインストーリーを追うだけでなく、荒廃したアメリカに残された様々な背景と信念を持つ生存者たちと出会い、彼らの物語を拾っていく楽しみがある。

ミニゲームの「ノスタルジー」——80年代への愛が詰まっている

Living Activitiesの中で特に注目したいのが「ノスタルジックなミニゲーム」だ。開発者が「ノスタルジック」と表現するとき、それは80年代の日本・アメリカ・中国が混在した文化的記憶を指している。

確認されているのは「ゾンビのヘッドをゴルフで打つ」というやつだ。これ自体が80年代B級ホラー映画的なブラックユーモアで、「遊び」の設計として絶妙だと思う。真剣にゴルフをしているのに、ボールが元人間という狂気。でもゲームの世界観の中では完全に成立している。

他にどんなミニゲームがあるかは現時点で明かされていない。80年代のゲームセンターに置かれていたようなミニゲーム?特撮ヒーローへのオマージュ?昭和的な生活体験?——想像するだけで楽しい。


ボスキャラクターたちの「インパクト」

本作のボスキャラクターのデザインが、また突き抜けている。

Gokou——テキサス州知事は「カウボーイ×侍」

テキサス州の知事として登場するGokou(悟空?)は、アメリカンカウボーイと日本の侍を合体させたようなビジュアルだ。これが「昭和アメリカ」の文化融合を体現したキャラクターとして機能している。

ガンマンでありながら刀を携えている。こういう突飛なデザインが本気で作られているのが、このゲームの面白いところだ。「笑えるけど戦いたい」という気持ちにさせる。

Shogun——身長6mの怪物は「モンスターハンター」的な戦闘

もう一体の確認されているボスが、Shogunだ。身長6mという巨体で、キリンの長い首を使って攻撃してくる。空中を飛びながら盾を投げつけることもある。

「キリンの首で攻撃する巨人」という説明を読んで笑った人も、実際のトレーラーを見ると「これはちゃんとモンスターハンター的なスケール感の戦闘なのでは」と気づくはずだ。突飛な設定を、ゲームとしてちゃんと成立させている。

GamePressureのプレビューでは「Shogunとの戦いはMonster Hunter的な要素を感じさせる」と表現されており、大型ボスとの戦闘には独自のダイナミズムがあるようだ。

ボスキャラが体現する「昭和アメリカ」の世界観

Gokouというキャラクター名に、ひとつ気づいたことがある。これは「悟空」の発音に近い。ドラゴンボールの孫悟空。80年代の中国では当然ドラゴンボールも人気だったわけで、カウボーイ×侍というビジュアルのボスに「Gokou」という名前をつけるのは、意図的な多層的オマージュなのかもしれない。

Shogunというボス名も同様だ。「将軍」という日本語がアメリカに根付いた世界で、6mの巨人が「Shogun」と呼ばれている——これは昭和アメリカにおける「日本的権威」の化物として描かれているのだろうか。キリンという動物の首を使うというのも、アフリカ原産の動物がなぜアメリカの将軍の武器になっているのかという奇妙さがある。このゲームはそういう「なぜ?」を突き詰めるのが楽しい。


主題歌「それが大事」——中国生まれの開発者が選んだ理由

このゲームの話をするとき、「それが大事」の話は避けられない。

大事MANブラザーズバンドの「それが大事」は1991年の楽曲だ。日本では知らない人がいないほどの名曲で、カラオケの定番でもある。ただ、なぜ中国のゲームデベロッパーがこれを選んだのか。

開発者のXY.Luo(Xiangyu Luo)氏は、電ファミニコゲーマーのインタビューでこう語っている。1980〜90年代の中国では、日本のJ-POPが「流行の象徴」として浸透していた。CHAGE and ASKA、安全地帯、近藤真彦——それらの楽曲が日本とほぼ同時期に中国に広まり、北京語版や広東語版のカバーまで生まれた時代だ。「それが大事」もその一曲だった。

つまり、この曲の選択は単なる「昭和日本のBGM探し」ではない。80年代の中国で育ったXY.Luo氏にとって、「それが大事」は昭和日本への純粋な愛情の象徴なのだ。

発表トレーラーで「それが大事」が流れた瞬間の衝撃は、実際に体験した人にしかわからない。ゾンビとモンスターが蔓延る荒廃したアメリカの景色の中に、「♪負けないこと〜 投げ出さないこと〜」が流れる。脱力感と高揚感が同時に来る、奇妙な体験だった。

「中国のゲームなのに主題歌が大事MANブラザーズバンドの『それが大事』って天才すぎる」

── 日本のゲームファン(2022年発表時)

もう一曲、わらべの「もしも明日が…」(1983年)もトレーラーで使用されている。昭和日本の楽曲へのこだわりは徹底している。

「それが大事」の歌詞とゲームの内容が、奇妙に共鳴している

「それが大事」の歌詞を改めて見ると、このゲームのテーマと妙にリンクしていることに気づく。

「負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じ抜くこと」——これは蝶子が旅を続ける理由そのものだ。死んでも蘇り、妹を探し、真実を追い、復讐を誓う。そういう人物の物語の主題歌として、「それが大事」は歌詞の意味からも完璧にハマっている。

電ファミニコゲーマーのインタビューによれば、この曲はXY.Luo氏がロックダウン中にプレイリストをランダム再生していたとき偶然流れてきた曲だ。そのとき「プロジェクトを続けるべきか悩んでいた」状態だったLuo氏は、「それが大事」の歌詞に背中を押された。「プレイヤーに面白い作品を届けることが大事」——そう思い直して開発を続けた。

この話を知ってから「それが大事」を聞くと、また違う感情がある。単なる「昭和ネタのBGM」じゃない。開発者にとっての心の歌が、偶然ゲームのテーマにも深く合致した——それがこの曲の選択なのだ。


開発元NEKCOM Entertainment——「中国でB級コンソールゲームを作ること」

このゲームを語るには、作っているNEKCOM Entertainmentについても触れておく必要がある。

NEKCOMは2011年設立の中国のゲームスタジオだ。規模はインディーとAAAの中間くらいで、「インディーライクな制作姿勢を持つ大きめのスタジオ」という表現が近い。代表作には『DYING: Reborn』などのホラーゲームがある。

製作総指揮を務めるXY.Luo氏は、4Gamerのインタビューで興味深いことを言っている。

「欧米の人が日本のゲームを作るとサムライや忍者ばかり。でも日本はそんなもんじゃないでしょう?」

── XY.Luo氏、4Gamer インタビュー(2024年12月)

これはかなりシャープな指摘だ。外から見た日本文化の解像度、という問題を彼は意識している。欧米視点の「サムライ・忍者」ではなく、1980〜90年代に中国でリアルタイムに受け取られた「本物の昭和日本文化」を表現したい——その思いがこのゲームの核にある。

開発チームは全員が昭和生まれで、80〜90年代に中国で日本のコンテンツに触れて育った世代だ。ガオガイガー、仮面ライダー、J-POP、バブル期の日本——そういったものへの愛情が、このゲームの細部に込められている。

ファミ通のインタビュー記事のタイトルが「80年代とガオガイガーを愛した中国生まれオタクからのラブレター」だった。このキャッチフレーズを読んだとき、「これは本気のゲームだ」と確信した。オタクが作ったオタクのためのゲームだ。

Game*Sparkのインタビュー(2024年11月)では、日本での反響への感想も語られている。「80年代の中国で育ったからこそ生まれた世界観」という文脈で、自分たちの出自と感性がそのまま作品になっていることへの誇りが伝わった。

800万ドルの資金調達——小さくないゲームを作っている

NEKCOMは2022年、ベンチャーキャピタル「Galaxy Interactive」から800万ドル(当時約11億円)の資金調達に成功している。これは『昭和米国物語』と『DYING: 1983』の開発加速に使われると発表された。

つまりこのゲームは、インディーゲームの予算規模ではなく、ある程度の資金を投入したミドルスケールの作品だ。「小さなスタジオが夢を持って作っている」という側面と、「ちゃんとした投資を受けた商業プロダクト」という側面を両方持っている。

スタッフ数の詳細は公表されていないが、武漢(中国)に本社を置くスタジオが、コンシューマータイトルとして世界展開を目指している。2011年の設立から約15年、「こういうゲームを作りたい」という長年の夢が結実しようとしている。

『黒神話:悟空』の成功を見て、どう感じたか

2024年、中国発のAAAアクションゲーム『黒神話:悟空』が世界的な大ヒットを記録した。Steam販売本数は2,000万本超、世界中のゲーマーから絶賛を受けた。

ファミ通のインタビューで、NEKCOM側はこの快挙について「同じ中国のクリエイターとしてどう感じたか」という質問を受けている。内容の詳細は掲載記事を読むとわかるが、「中国のゲームがここまで世界で認められた」という事実は、NEKCOMにとっても大きな勇気になっただろうと想像できる。

『黒神話:悟空』は中国神話「西遊記」をベースにした作品で、正統派のアクションAAAだ。一方の『昭和米国物語』は架空の昭和アメリカを舞台にしたB級テイストのRPGで、方向性は全然違う。でも「中国発の本気のゲームが世界で通用する」という証明という意味では、同じ文脈にある。


2025年から2026年への発売延期——「悔いのない作品のために」

2025年11月12日、NEKCOMは発売時期を2026年に延期することを発表した。

もともと2025年Q4(年末)に発売予定だった。「昭和100年(2025年)に間に合わせたい」という意識が開発チームにあったことも語られていたが、結果的にそれは叶わなかった。

XY.Luo氏のコメント:

「慎重に検討した結果、最高の品質を確保するために発売計画を調整することを決定した。プレイヤーに悔いのない作品をお届けするため、あらゆる要素を細部に至るまで仕上げていく」

── NEKCOM XY.Luo氏コメント(2025年11月)

この延期発表に対するファンの反応が興味深かった。通常、長期間待ち続けてきたファンへの延期発表は怒りを買うことが多い。でもこのゲームに関しては、多くのファンが支持の声を上げた。

“Let them cook.”(焦らずじっくり作ってくれ)

── Steam コミュニティ(2025年11月)

“I waited 3 years already, I can wait longer. Just make it good.”(もう3年待った。もっと待てる。ただいいゲームにしてくれ)

── Steam コミュニティ(2025年11月)

「延期残念だけど、クオリティ優先してくれるなら仕方ない」という声が多かった。これはこのゲームが、発表時から積み上げてきた信頼があるからだと思う。

開発は現在「最終調整段階」とされている。2026年の発売に向けて、仕上げの作業が進んでいる。

「昭和100年に間に合わなかった」——その意味

少しだけ補足する。2025年は昭和元年(1926年)から数えてちょうど100年にあたる年だった。「昭和100年」に昭和をテーマにしたゲームを発売するというのは、開発チームにとって特別な意味があっただろうと想像できる。

ファミ通の延期報告記事のタイトルは「発売時期を2026年に延期。”昭和100年”には間に合わず」だった。この「昭和100年」というフレーズを使ったのは、NEKCOMにとってその年への想いがあることを示している。

ただ、「間に合わなかった」ことよりも「悔いのない作品を届けること」を優先した判断を、ファンは支持した。昭和100年という節目よりも、完成度の高い作品——それがこのゲームのファンのスタンスだ。


世界での注目度——中国のbilibiliで240万再生、グローバルメディアが追い続ける

このゲームがどれほど注目されているか、数字で見ておこう。

中国最大の動画サービスbilibili(日本のニコニコ動画に近いプラットフォーム)でのトレーラー再生数は240万回を超えている。中国でも「日本とアメリカ文化の融合」というテーマへの共感が大きく、国内のゲームファンから熱い支持を得ている。

国際的なゲームメディアの注目も継続している。4Gamer、ファミ通(日本)はもちろん、Gematsu、Niche Gamer、RPGFan、Game8などの海外メディアが2022年の発表から継続的に記事を掲載し続けている。これは発売前のタイトルとしてはかなり珍しい。

2024年10月には5分間のゲームプレイトレーラーが公開された。このトレーラーがまた凄かった。Gematsuはこれを「2025年最も注目すべきゲームの一つ」と表現した。

ResetEraのスレッドでのコメントも印象的だ。

“The 5-minute trailer they dropped was incredible. If the actual game is half as good as that trailer, it’ll be a hit.”(5分のトレーラーは信じられないほど良かった。実際のゲームがあの半分でも良ければヒットする)

── ResetEra(2025年11月)

Minna no RakuRaku Magazineは「Showa American Story is transcending the boundaries of a simple game and evolving into a cultural phenomenon」(昭和米国物語はゲームという枠を超え、文化的現象になりつつある)と表現した。大げさに聞こえるかもしれないが、発表から3年以上経過しても話題が衰えないことを考えると、あながち間違っていない。

東洋経済オンラインも注目——ゲームメディア以外にも広がる話題

特筆すべきは、このゲームの話題が「ゲームメディア」に留まらないことだ。東洋経済オンラインのような経済系メディアが「日本がアメリカを支配した世界を描く中国製ゲーム」として取り上げ、TNCアジアトレンドラボが「日本の昭和をリスペクトした中国産ゲーム」として文化論的な視点で分析している。

これは単なるゲームの話ではなく、「中国から見た日本文化」「コンテンツのグローバル展開」「ポップカルチャーの越境」という、より大きなテーマを含んでいるからだ。

日本のポップカルチャーが80年代に中国に流入し、それが35年以上後に「ゲーム」という形で日本に逆輸入される——この文化の循環は、現代ならではの現象だ。


「面白そう」の正体——なぜこのゲームはこんなに気になるのか

2022年の発表時、はてなブログに「『昭和米国物語』の『面白そう!』は何が面白そうなのか?」というタイトルの記事が書かれた。その問いは今でも有効だと思う。

このゲームへの「面白そう」は、一種類じゃない。

まず「設定の突飛さ」への興奮がある。日本がアメリカを買収した世界でゾンビと戦う——これだけでSFとしてのワクワクがある。ありそうでなかった、でも言われてみれば「あってもよかった」と思える設定だ。

次に「他者から見た自文化」という視点の新鮮さがある。中国人が作った「昭和日本」は、日本人の自己認識とはズレている。でもそのズレに、奇妙な客観性がある。自分たちでは気づきにくい「昭和日本の面白さ」が、外からの眼差しを通して際立って見える。

そして「B級映画への愛情」が全体を貫いている。ゴアな戦闘表現、突飛なボスキャラ、ゾンビの首をゴルフで打つミニゲーム——これは笑えるためのものじゃなく、80年代のB級アクション・ホラー映画への本気のオマージュだ。愛情から生まれた「笑い」は、バカにするための「笑い」とは根本的に違う。

「中国産ゲームへの偏見が吹き飛ぶ内容。ちゃんと愛情持って作ってるのが伝わる」

── ファミ通 インタビュー記事へのコメント(2024年12月)

このコメントに集約されている気がする。「中国産ゲームへの偏見」は確かに存在する。でもこのゲームは、そういう偏見を一つ一つ崩していく力を持っている。なぜなら、作っている人たちの愛情が本物だからだ。


PC推奨スペック

発売前のため正式なシステム要件は未確定だが、現在確認されている情報は以下の通り。

推奨スペック(参考)
OS Windows 10(64bit)
CPU Intel Core i7 @ 3.0GHz 相当
GPU NVIDIA GeForce GTX 1660Ti 相当
RAM 16GB
ストレージ 50GB以上
DirectX Version 11

正式なシステム要件は発売前に公式サイトおよびSteamストアページで発表される予定。現行ゲーミングPCを持っていれば問題なく動作する見込みだ。


他のゲームと比べると——「似てる」と言われるタイトルとの違い

このゲームを語るとき、比較対象として出てくるゲームがいくつかある。それぞれとの違いを整理しておく。

Falloutシリーズとの比較

最もよく比較されるのはFalloutシリーズだ。ポストアポカリプスのアメリカ、レトロフューチャー的な世界観、荒廃した都市を探索する構造——確かに共通点は多い。

ただ、決定的な違いがある。Falloutは「アメリカ文化の内側からの自己批評」だ。核戦争で滅んだアメリカという設定には、アメリカという国への皮肉や反省がある。

一方の昭和米国物語は「外側からの愛情ある視点」だ。中国人が日本文化を通してアメリカを描いている。批評ではなく、オマージュだ。だからFalloutの乾いた虚無感とは正反対の、どこかポップで温かいトーンがある。

No More Heroesシリーズとの比較

「B級テイストのアクション」という意味では、No More Heroes(スドゥ51区)を連想する人もいる。確かに方向性は近い。でも昭和米国物語はRPG的な育成要素と世界探索が加わっており、純粋なアクションゲームよりも「滞在時間の長い」設計になっている。

Dead Risingシリーズとの比較

ゾンビを大量にコミカルに倒すという点ではDead Risingとも比較される。ゾンビの首をゴルフで打つミニゲームは特にそれを連想させる。ただDead Risingが「ショッピングモールというアメリカ的空間でのサバイバル」を描くのに対し、昭和米国物語は「北米大陸横断」という圧倒的にスケールの大きい旅だ。

この3つのどれでもない

結局、昭和米国物語はこれらのゲームとは根本的に違う。「日本×アメリカ×B級映画×ゾンビ×中国人の視点」というかけ算が生む独自性は、既存のゲームに前例がない。比べられるほど近いゲームが存在しない、という意味では、このゲームはそれ自体が唯一無二のカテゴリーを作っている。


このゲームが問いかけるもの——「文化の混合」という実験

少し話が深くなるが、このゲームが持つ「文化論的な視点」について触れておきたい。

本作の舞台「昭和アメリカ」は、2つの文化が衝突・混合した結果できた世界だ。日本の鳥居とアメリカのネオンサインが同じ通りに並んでいる。アメリカ人が日本語を話し、日本式の暮らしをする。

これは架空の話だが、実際には現実の世界でも「文化の輸出と吸収」は常に起きている。90年代の中国に日本のポップカルチャーが押し寄せたこと、21世紀の世界でK-POPが席巻していること、そして日本のアニメ・ゲームが世界中で消費されていること——それらは全部、ゆっくりとした「文化の混合」だ。

「昭和アメリカ」はその極端なバージョンとして描かれている。もしあの時代の日本が本当にアメリカを買収していたら、そこで生まれる文化はどんな姿をしていたのか。そのシミュレーションを、ゲームというメディアでやっている。

中国人の開発者が、日本とアメリカの文化融合を描く——という構造自体も、「文化の混合」を体現している。自分たちが受け取った「昭和日本」というコンテンツへの愛情を、「架空のアメリカ」という形で返す。こういう創造の連鎖は、純粋に美しいと思う。

日本のゲームファンのこんな声が、その構造をうまく言い表している。

「中国産ゲームが昭和日本をここまで愛してるの、逆に嬉しいような不思議な気持ちになる」

── 4Gamer コメント欄


「昭和米国物語」をめぐる文化的な議論

このゲームは発売前から、いくつかの文化的な議論を巻き起こしている。その一部を紹介しておく。

「日本がアメリカを支配する設定」への反応の分断

日本語話者のファンには概ね好意的に受け取られているが、英語圏の一部には「日本によるアメリカ征服という設定への違和感」を表明する声もある。ただしこれは少数派で、多くの海外ファンは「架空の世界観として面白い」と受け止めている。

RPGFanは「この設定はブリリアントに実現されている」と評価し、設定の妥当性よりもゲームとしての完成度を評価している。

「中国産ゲームは信用できるか」問題

先に触れたが、「中国産ゲームへの偏見」は確かに存在する。ただこれについては、実際のコンテンツを見た後のファンの反応がほとんど「偏見が消えた」という方向に向かっている。

開発者のXY.Luo氏は、自分が中国で育ったこと、中国のクリエイターとして世界市場に向けてゲームを作ることへの思いを、複数のインタビューで率直に語っている。その誠実さが伝わっているのだと思う。

「昭和日本の正確な描写ではない」という指摘

開発者自身が明言していることだが、このゲームは「昭和日本を正確に再現しようとしていない」。80年代の中国に流入した日本文化の「記憶と感性」で作られた作品だ。だから日本人の視点では「なんか違う」と感じる部分がある。

でもそれは欠点ではなく、このゲームの独自性だ。「外から見た昭和日本」の歪みが、このゲームの最大の個性になっている。


注目ポイントまとめ——発売前に押さえておきたいこと

昭和米国物語を語る上での重要ポイント

  • 世界設定の独自性——日本がアメリカを買収した「昭和66年」という前例のない舞台設定
  • B級映画へのリスペクト——80年代アクション・ホラーへの愛情が戦闘表現や演出に直結
  • 主題歌「それが大事」——日本の名曲を中国人開発者が選んだ理由に、このゲームの全てがある
  • 中国人開発者の「昭和愛」——外から見た昭和日本の、奇妙なリアリティ
  • RVとLiving Activities——戦闘だけじゃない、生活感あるRPGとしての設計
  • 多様なボスキャラ——カウボーイ×侍、キリンの首で攻撃する巨人など、突飛なのに本格的
  • bilibili 240万再生——中国でも世界でも注目度は本物

発売前チェックリスト——買う前に確認すべきこと

発売に向けて、現時点でわかっていることと、まだわかっていないことを整理しておく。

現時点でわかっていること

  • PC(Steam)とPS5で発売予定(2026年)
  • 価格は未発表
  • 日本語対応予定
  • シングルプレイRPG(マルチプレイ要素は確認されていない)
  • 推奨スペック(暫定): GTX 1660Ti / Core i7 3.0GHz / RAM 16GB
  • ストレージ: 約50GB
  • ゴア表現あり(80年代B級ホラー映画レベル)

まだわかっていないこと

  • 正確な発売日(2026年内の具体的な月日)
  • 価格
  • クリアまでのプレイ時間
  • PS4版の有無(4GamerにPS4版まとめページが存在するため注意)
  • 体験版の有無と時期
  • ミニゲームの詳細な内容
  • 正式なシステム要件(Steam公開後に確定)

特に「PS4版の有無」については注意が必要だ。4GamerにはPS4版のまとめページが存在するが、現時点での主要発表はPS5とPCが中心になっている。購入前に公式サイトで確認してほしい。


よくある疑問に答える

Q. 中国産ゲームって大丈夫?品質は?

「中国産ゲームだから不安」という声があることは理解できる。でもNEKCOMは2011年設立で、複数のタイトルをリリースしてきた実績がある。何より、発表から3年以上継続的に情報を出し続け、世界中のメディアに注目され続けているゲームが「地雷」である可能性は低い。開発者自身が「悔いのない作品を届けるために延期した」と言っている以上、品質へのこだわりは本物だと判断している。

Q. ゴア表現が強いと聞いたが、どの程度?

公式が「80年代B級ホラー映画的なスプラッター表現」と説明しているため、それなりに派手な描写はある。ただしこれは「不快感を与えるため」ではなく、ジャンルへのオマージュとしての表現だ。グロ耐性がある程度あれば楽しめる設計になっているとみられる。不安な人はトレーラーで事前確認を。

Q. RPGとして育成要素は充実してる?

RVのカスタマイズ、武器強化、Living Activitiesを通じたステータスアップなど、RPGとしての育成要素はしっかり存在する。ただし「究極のキャラビルド」を追求するようなシステムよりは、ストーリー体験とアクションの爽快感を核に据えた設計のようだ。

Q. 日本語には対応してる?

日本語対応は予定されている。昭和日本をテーマにしたゲームを日本市場に届けたいという意志は当然あるため、ローカライズは力を入れているはずだ。詳細は公式サイトで確認を。

Q. マルチプレイやオンライン要素はある?

現時点で確認されている情報では、本作は基本的に一人用のシングルプレイRPGだ。マルチプレイを前提とした構造ではない。

Q. PS4でも遊べる?

現在の発売プラットフォームはPC(Steam)とPS5。PS4版については4Gamerでまとめページが存在するが、PS5版が主軸になっているようだ。購入前に公式サイトで確認してほしい。


中国ゲーム産業の今と、このゲームの位置づけ

このゲームを文脈的に理解するために、「中国のゲーム産業」という背景を少し整理しておく。

2024年まで、世界的に注目される中国産ゲームのほとんどはモバイルゲームだった。原神(Genshin Impact)、崩壊スターレイル、荒野行動——これらは全世界で爆発的な人気を誇るが、いずれもモバイルファーストのタイトルだ。

ところが2024年、『黒神話:悟空』が登場してコンソール・PCゲームの世界を揺るがした。「中国のAAA」が「世界で通用する」という事実を証明した。

NEKCOMが『昭和米国物語』を作り始めたのは2016年頃とされる。つまり『黒神話:悟空』よりもはるかに前から、「コンシューマータイトルで世界市場を目指す」というチャレンジをしていたわけだ。

中国ゲーム産業の中で見ると、昭和米国物語はかなり特異な立ち位置にある。

  • モバイルゲームではなくコンシューマー向け
  • 中国の伝統文化や神話ではなく、日本・アメリカのポップカルチャーを題材にしている
  • B級映画的なノリで作られた、明らかに「商業的計算よりも作りたいものを作る」姿勢

4Gamerのインタビューで紹介されたタイトルが「中国でいまB級コンソールゲームを作るということ」だったのは、そういう文脈がある。中国のゲーム産業では圧倒的にモバイルとAAAが主流で、B級コンソールゲームを作ることは「経済合理性がない」判断だ。それをあえてやっているNEKCOMへの問いかけがそのタイトルに込められている。

XY.Luo氏の答えは端的だ。「作りたいものを作る」という信念だ。それが結果的に、他の誰も作れないゲームを生んでいる。


発売後に「こんな評価になりそう」——予想と期待

発売前の現時点で、「このゲームはどう評価されるか」を予想しておく。外れることもあるが、これだけ多くの情報が出ている段階での予想として。

プラスに働きそうな要素

まず、世界観とビジュアルデザインの独自性は疑いようがない。「こんな世界観のゲームは他にない」という評価は確実に出る。これはゲーム評価において非常に重要な要素だ。

次に、開発チームの「愛情」が作品に滲み出ている点。インタビューを読めば読むほど、「このゲームを作る理由」が明確で一貫していることがわかる。それは必ずゲームのクオリティに影響する。

ボスキャラのデザインと戦闘スケール。Gokou、Shogunと確認されているだけで既にインパクトが強い。他にどんなボスが待っているか想像するだけで楽しみだ。

懸念点として考えられること

一方で、発売後に課題として挙げられる可能性があるのは「ゲームプレイの繰り返し感」だ。ハック&スラッシュは中盤以降に「またこのパターン」という飽き感が出やすい。それをサイドクエストとミニゲームの多様性でどこまで補えるか。

また、「ストーリー40%」という開発者の言葉が気になる。ストーリーに力を入れているゲームは、その質次第でプレイヤーの評価が大きく変わる。蝶子の旅の結末が、投資した時間に見合うものかどうか。

ただ現時点では、このゲームへの期待のほうが懸念よりもはるかに大きい。3年以上かけて積み上げてきた情報発信と、延期してでもクオリティを追求するという姿勢は、これらの懸念を払拭するだけの信頼を生んでいる。

「インタビュー読んだら開発者の昭和愛が本物だと分かった。日本人が作るより本質をついてる部分もあるかも」

── ファミ通インタビュー記事へのコメント(2024年12月)

このコメントが示すように、「中国人が昭和日本を描いた」という事実を、日本のゲームファンは既に「面白さの一要素」として受け入れている。それは、このゲームが持つコミュニケーション能力の高さだと思う。


最後に——これは「変なゲーム」ではなく「変態的に本気のゲーム」だ

最初に「変なゲーム」と感じた人の気持ちはわかる。日本がアメリカを買収した世界でゾンビと戦い、主題歌は「それが大事」で、開発は中国——そのプロフィールだけ見たら「なんかよくわからないゲーム」だ。

でも情報を深掘りするほど、「変なゲーム」ではなく「変態的に本気のゲーム」だとわかる。

開発者が語る昭和への愛情は本物だ。ガオガイガーと大事MANブラザーズバンドを愛した中国生まれのオタクが、中国でB級コンソールゲームを作ることに賭けている。その熱量は、インタビューを読めば嫌でも伝わってくる。

世界観の設計も真剣だ。「昭和66年」というネーミング、New Yokohamaという都市名、文化融合したアメリカの景色——全部に思想がある。突飛に見えて、全部必然なのだ。

「2026年に発売される」「品質のために延期した」「ファンが延期を支持している」——これらは全部、このゲームが特別な何かを持っているサインだと思う。

まだ発売されていないから、本当の評価は出せない。でも「絶対に注目しておくべきゲームのリスト」に入れておくことは、今すぐできる。

Steamのウィッシュリストに入れておくことをおすすめする。発売情報がいち早く届くし、支持しているということが開発チームへのメッセージにもなる。

このゲームを待っている間、もうひとつやってほしいことがある。「それが大事」を聴き直してほしい。

「負けないこと、投げ出さないこと——それが大事」。2026年、蝶子が荒廃した昭和アメリカをキャンピングカーで走り抜けるBGMとしてこの曲が流れるとき、その歌詞は新しい意味を持つはずだ。

中国人のオタクが作った昭和日本へのラブレターが、どんな姿で届くか。楽しみに待ちたい。

“One of the only games I’ve had on my wishlist since it was announced. The concept is just too good.”(発表からずっとウィッシュリストに入れてる数少ないゲームの一つ。コンセプトが良すぎる)

── Niche Gamer コメント(2025年11月)

この気持ち、よくわかる。

「それが大事」の歌詞じゃないけれど——待つことが大事、信じることが大事。2026年、このゲームがどんな姿で届くか、楽しみに待ちたい。


発売情報を追う方法

現時点では正確な発売日が未定のため、情報を追う方法をまとめておく。

  • Steamウィッシュリスト登録: 発売日決定の通知が届く。支持の意思表示にもなる
  • NEKCOM公式Twitter(X): @NEKCOM_JP: 日本語での最新情報発信
  • 公式サイト(日本語): https://showaamericanstory.com/jp/
  • 4Gamer まとめ: https://www.4gamer.net/games/613/G061307/ ——日本語圏での詳細情報
  • ファミ通 インタビュー: https://www.famitsu.com/article/202412/26090 ——開発者の素顔がわかる長編インタビュー
  • AUTOMATON 延期記事: https://automaton-media.com/articles/newsjp/20251113-365826/

特にNEKCOM公式のSNSは随時最新情報が発信されている。体験版の有無についても、このアカウントから発表される可能性が高い。発売まで見逃さないようにフォローしておくといい。

関連情報・公式リンク

  • 公式サイト(日本語): https://showaamericanstory.com/jp/
  • 4Gamer まとめ: https://www.4gamer.net/games/613/G061307/
  • ファミ通 インタビュー: https://www.famitsu.com/article/202412/26090
  • AUTOMATON 延期記事: https://automaton-media.com/articles/newsjp/20251113-365826/
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