MENACE|「Battle Brothers」開発陣が描くSFホラー戦術RPG、その真髄
最初のミッションで全滅した。普通に動かしていたつもりなのに、エイリアンの群れに包囲されて、気づいたときには隊員が全員倒れていた。「あ、これ普通の戦術ゲームじゃないな」と悟ったのはその瞬間だった。
MENACEは2026年2月にSteamのアーリーアクセスで登場した、ターン制戦術RPGだ。開発したのはOverhype Studios——中世ファンタジーの傑作「Battle Brothers」を作った、あのチームである。舞台はSFの宇宙世界。エイリアンの脅威が迫る孤立した星系を舞台に、プレイヤーは共和国海兵隊の指揮官として戦力を率いる。
見た目は未来的なSF戦術ゲームだが、その中身はホラーに満ちている。Mecahnically Enhanced + Neurologically Augmented Combat Enemy——略して「MENACE」と呼ばれる謎の生体機械的異物。人間を改造した屍兵士、自爆する突撃ドローン、重装甲の這い虫型メカ。これらがじわじわと押し寄せてくる感覚は、SFというより純粋なホラーに近い。
発売直後から「Very Positive(非常に好評)」の評価を獲得し、累計25万本以上を売り上げた。Battle Brothersの熱心なファンだけでなく、XCOMシリーズのプレイヤーや純粋にホラー系のSFが好きな人まで幅広く評価されている一本だ。
こんな人に刺さるゲームです

- Battle BrothersやXCOMみたいな「考えて動く」戦術ゲームが好きな人
- SFホラーの世界観が好きな人(スターシップ・トゥルーパーズやバトルスター・ギャラクティカが好きならハマる)
- キャラクターに愛着を持ちながら、死の恐怖を感じるパーマデスゲームが好きな人
- 「ランダム性で負けた」という言い訳が通じない、実力勝負の戦術ゲームが好きな人
- 歩兵の位置取りから戦車・メカの運用まで、複雑な戦術的意思決定を楽しみたい人
- 毎回違う展開になるローグライク的な繰り返しプレイが苦にならない人
- 謎に包まれた敵の正体を少しずつ解き明かすナラティブが好きな人
逆に向かないのは「アクション系のSFを遊びたい」という人だ。MENACEはリアルタイムではなくターン制で、ゆっくり考えながら動く必要がある。毎ターン何十回もの判断が求められるし、失敗したらやり直しが効かない場面も多い。そのシビアさが面白さでもあるのだが、「パッと動かして爽快感を味わいたい」という目的のゲームではない。
MENACEという脅威——世界観と物語
ウェイバック・システムという牢獄
物語の舞台は「ウェイバック・システム(Wayback System)」という宇宙の星系だ。この星系には複数の惑星があるのだが、ここに通じるワープゲートが約100年前に破損してしまった。その結果、中から外には出られない——入ることはできるが、脱出できない一方通行の牢獄になってしまっている。
孤立してから100年。星系は無法地帯と化した。海賊の首領、怪しい大企業、崩壊した惑星政府——そういった勢力が覇権争いをしながら、それぞれの支配区域を維持している。テラン共和国の統治が届かないこの辺境で、人々は自力で生き延びてきた。
そこにプレイヤーが送り込まれる。共和国議会共和国海軍の艦船「TCRN インペタス」に乗り込んだ指揮官として、ウェイバック・システムの秩序回復とワープゲートの修復が命令だ。しかし現地に到着した瞬間から、予想していたよりはるかに深刻な状況が明らかになっていく。
単なる内戦の調停ではない。もっと根本的な脅威が、この星系に牙を向けていた。
MENACEとは何者か
ゲームタイトルにもなっている「MENACE」は、単なるエイリアンではない。正式名称は「Mechanically Enhanced + Neurologically Augmented Combat Enemy」——機械的に強化され、神経学的に拡張された戦闘体という意味だ。
これが何より恐ろしいのは、その起源が完全に謎であることだ。どこから来たのか、何を目的としているのか、誰も知らない。わかっているのは、彼らが生体機械的な存在であり、無関係の派閥全てを等しく敵と見なし、増殖しながら迫ってきているという事実だけだ。
そして最も恐ろしいのは、その部隊構成だ。MENACEの兵士の一部は、かつて人間だった。「シャンブラー(Shambler)」と呼ばれる突撃ユニットは、何らかの形で改造された人間——もはや生者とも死者ともつかない、サイボーグ化された屍兵士だ。目的もなく、ただ前に進み、爆発して死ぬ。その存在そのものがホラーだ。
「Eldritch Abomination(エルドリッチ・アボミネーション)」——ラヴクラフト的な「理解できない恐怖」という表現で評されることが多いのも頷ける。MENACEは理解できないから怖い。対処できても、その正体は依然として謎のままだ。
複雑な政治状況と三つ巴の戦い
プレイヤーが直面するのはMENACEだけではない。ウェイバック・システムには「バックボーン(The Backbone)」という海賊連合、「ダイス・オブ・ザ・ゴッズ(Dice of the Gods)」という謎の勢力、そして巨大な民間企業の三者が鼎立している。
プレイヤーはこれらの勢力から依頼を受けながら、それぞれとの関係を維持しなければならない。単純に「正義の味方」として動けるわけではなく、依頼を誰から受けるか、どの勢力の評判を優先するかという判断が常についてくる。
「敵は複数いる。しかしどこかと手を組まなければ、強大な敵には立ち向かえない」——この構造が、単なる戦術ゲームに以上の複雑さと深みを与えている。
戦闘システム——「思考の戦い」の核心

ターン制の仕組み——XCOMとは根本的に違う
MENACEはターン制戦術ゲームだが、XCOMと同じものだと思って遊ぶと痛い目に遭う。根本的な設計が違う。
XCOMは「こちら全員動く→敵全員動く」という一括交互制だ。全員を動かしてから相手のターンになる。MENACEは違う。こちらの分隊、敵の分隊、こちらの分隊、敵の分隊——という形で、部隊単位で交互に行動する仕組みになっている。「ある分隊で攻撃してから別の分隊で続ける」というコンボが制限され、毎ターンの決断により重みが増す。
それぞれの分隊は「アクションポイント(AP)」を持っており、このポイントで移動、射撃、装備使用などの全行動を行う。APをどこに使うかが常に問われる。強敵に全弾叩き込むか、安全な位置に退くか。それとも味方の援護に回すか。
制圧(Suppression)システム——弾が当たらなくても怖い
MENACEの戦闘で最も特徴的なのが制圧システムだ。射撃が命中しなくても、弾丸が近くをかすめるだけで敵は「制圧状態」になる。制圧された分隊はAPが減少し、行動の自由を奪われる。さらに弾丸を叩き込み続ければ「ピン止め状態」になり、ほとんど動けなくなる。
これが何を意味するか。機関銃手を持つ分隊を敵陣に向けてばら撒き、制圧している間に突撃部隊が側面から詰めていく——そういった連携が戦術の中心になる。「当てなくてもいい、怖がらせればいい」という発想がゲームに組み込まれている。
逆に言えば、こちらも制圧される。遮蔽物を使わずに突っ込めば、あっという間に分隊全体がピン止めされて動けなくなる。その間に敵の増援が来て、包囲されて壊滅——というのが負けパターンの典型だ。
弾薬管理——撃ちまくれない理由
好き放題撃てると思ったら間違いだ。MENACEでは弾薬が有限で、しかも重量がある。重すぎると「エンカンバード(Encumbered、過積載)」状態になり、分隊の機動力が落ちる。強力な武器を大量に積めば積むほど、機動力を失う。
ミッション中に弾薬を補充する手段は限られており、手持ちの弾薬を使い切ったら本当に困ったことになる。「ここで機関銃を撒き散らすべきか、温存しておくべきか」という判断が常にゲームプレイに絡んでくる。
射線と遮蔽——立体的な戦場
敵の射線に無防備な状態で立てば撃たれる。当たり前のことだが、MENACEではこれが非常に厳密に処理されている。遮蔽物(岩、建物の壁、車両など)の後ろに隠れれば命中率が下がる。部分的に隠れていれば部分的な防御効果がある。
問題は、遮蔽物が常にあるわけではないことだ。開けた平地を横断しなければならない場面、建物の入口を突破しなければならない場面——そういう局面で、どう被害を最小化しながら前進するかが問われる。煙幕グレネードで視界を遮る、先行する分隊で制圧して動きを止める、側面から回り込む。選択肢は複数あり、どれが正解かはその場の状況次第だ。
視界と夜戦——見えない恐怖
MENACEには視界システムがある。霧の中、夜間、密林の中——視認距離が下がる状況では、敵が近くにいても見えないことがある。「わかっているはずの場所に敵がいない」「いつの間にか後ろに回られていた」という事態が起きる。
特に夜間や雨の中での戦闘は、視認距離が極端に狭まり、戦況把握が難しくなる。「どこから来るかわからない」という緊張感はホラーゲームそのものだ。Forest(森林)バイオームでは密生した木々が視線を遮り、少し動くたびに新しい敵が視界に飛び込んでくる。
部隊構成——歩兵、戦車、メカのシンフォニー
分隊(Squad)の基本構造
プレイヤーが操作するのは「分隊(Squad)」単位だ。一つの分隊には最大8人の兵士と、その分隊を率いる「スクワッドリーダー(Squad Leader)」がいる。スクワッドリーダーはただのユニットではなく、分隊の能力全体を左右する核心的な存在だ。
分隊には様々な役割がある。突撃を担う歩兵分隊、長距離からの狙撃を行う部隊、重機関銃で制圧するサポート部隊、医療を担当する後方部隊。これらを組み合わせて戦力を構成する。
車両部隊——戦場の重量級
MENACEを単なる歩兵ゲームと違うものにしているのが、車両の存在だ。戦場にはジープ(軽装偵察車)から装甲兵員輸送車、多連装ロケット砲(MLRS)、重戦車まで多種多様な車両が登場する。
重戦車の主砲一発は建物を吹き飛ばせるほどの火力を持つが、動きが鈍い。ウォーカー(二足歩行型メカ)は機動力が高く、素早い脅威への対応が得意だが、装甲は重戦車ほど厚くない。トラックやジープは弱いが、兵員を素早く移動させるのに有用だ。
車両部隊を率いるのは「パイロット」という専用のスクワッドリーダーだ。歩兵のリーダーとは異なるスキルセットを持ち、車両の性能を最大限に引き出すことができる。
武装の幅広さ——フレームワーク(Flamthrower)からEMPまで
装備できる武器は膨大だ。アサルトライフル、LMG(軽機関銃)、狙撃ライフル、ショットガン——基本的な歩兵装備に加え、フレームスロワー(火炎放射器)、グレネードランチャー、EMPキャノンといった特殊装備も存在する。
装備はただ強力なものを積めばいいわけではない。重量制限の問題がある。また、特定の武器は特定の状況でしか有効に機能しない。市街地戦ではショットガンが強いが、開けた平地ではすぐ射程の外から撃たれる。フレームスロワーは制限された空間で無類の強さを誇るが、味方を巻き込むリスクも高い。
アクセサリーというスロットもあり、ドローン、グレネード、スモーク弾など追加の装備を持ち込める。何を持ち込むかという段階から戦術的思考が始まる。
装甲の役割——単なるHPではない
歩兵の防具は単純な「防御力」以上の意味を持つ。重い装甲を着れば防御力は上がるが、機動力が落ちてAPが減る。軽装甲は動きやすいが被弾時のダメージが大きい。「装甲を厚くするか、動きやすさを優先するか」という選択が、各分隊のキャラクターを作る。
スクワッドリーダーシステム——キャラクターへの愛着と喪失の痛み

スクワッドリーダーとは
MENACEで最も感情移入させられるのが、スクワッドリーダー(以下SL)の存在だ。彼らは単なるゲームユニットではなく、それぞれ独自のバックストーリーを持つキャラクターだ。元海兵隊員、気さくな狙撃手、信心深いメカパイロット——様々なバックグラウンドを持った人物たちが、あなたの部隊を彩る。
SLは「1つ星」から「3つ星」まで等級がある。星が高いほど初期能力が高く、より優秀な選択肢を持つが、採用コストも高い。優秀な人材を揃えようとすればするほど、組織としての規律(オーソリティ)が一時的に低下するという設計も面白い。人材採用は組織に負担をかける、という現実的な問題が、ゲームシステムに落とし込まれている。
パーク(スキル)ツリーと成長
SLはミッションを生き延びるたびに経験値を蓄積し、昇進(プロモーション)することができる。昇進するたびに固有のパークを選択できる。
パークの例を挙げると——「重火器の重量ペナルティを無視する」、「同じ敵を繰り返し狙うほど命中率が上がる」、「負傷時に戦闘力が下がらない」、「仲間の分隊が近くにいるほど制圧抵抗力が上がる」、といったものがある。どのパークを選ぶかで、そのSLが「こういう戦い方をするキャラクター」として個性が確立されていく。
さらに、戦闘中の行動でも能力値が向上する可能性がある。射撃を続ければ武器スキルが、積極的に前進すれば機動力が上がる可能性がある。これが「成長するキャラクター」としての愛着を生む。
属性(Attribute)と成長可能性(Growth Potential)
各SLには武器スキル、精神力、体力などの属性がある。そしてそれぞれの属性に「成長可能性(Growth Potential)」という値が設定されている。この値が高い属性ほど、対応する行動によって成長しやすい。
つまり「このSLは武器スキルの成長可能性が高いから、積極的に射撃を繰り返させれば優秀な射手に育つ」という方針で育成できる。逆に成長可能性の低い属性は、いくら鍛えても伸びにくい。このシステムが「各SLの個性」を強調し、一律に同じ育て方をしても効率が悪いという設計を生んでいる。
パーマデスと「安定化」の緊張
MENACEにはパーマデスがある。SLが率いる分隊が全滅した場合、SL自身も「瀕死状態(bleeding out)」になる。この状態で別の分隊がそこに到達して「安定化(stabilize)」させれば、SLは生き延びる。しかし誰も助けに来られなければ——SLは永遠に失われる。
長時間かけて育てたキャラクターが死ぬ。パーマデス系ゲームを遊んだことがある人ならわかる、あの喪失感がMENACEにもある。「ここで助けに行くべきか、でも今行けば自分の分隊も危険に晒される」という判断を迫られる瞬間が、このゲームで最も緊張する場面のひとつだ。
一方で「全員を死なせないように慎重に動いていたら、知らないうちに保守的すぎて攻撃力不足になっていた」というジレンマもある。大胆にならなければ勝てないが、大胆になれば失う。このバランスがゲームを通じてプレイヤーを悩ませ続ける。
キャンペーン構造——オペレーション制のローグライク
オペレーションという単位
MENACEのキャンペーンは「オペレーション(Operation)」という単位で構成されている。一つのオペレーションは複数のミッションが連鎖した形になっており、分岐路を選択しながら進んでいく。
分岐路では「こちらのルートは難しいが報酬が大きい」「あちらは易しいが資源が少ない」という選択が繰り返される。受け入れるリスクと期待されるリターンを計算しながら、どのルートを選ぶかが重要な戦略的判断になる。
オペレーション内ではセーブができない。ミッションを始めたら最後まで戦い切るしかない。途中でやめることはできないし、ミスをなかったことにもできない。これが「毎ターンの決断に重みを持たせる」設計の根幹だ。
ミッションの多様性
ミッションの種類は50種類以上ある。敵拠点の排除、特定エリアの制圧・確保、VIPの救出・護衛、補給物資の回収、後退戦(退路を切り開きながら撤退する)など、目的が毎回違う。同じ地形でも目的が変われば戦術は変わる。
プロシージャル(手続き的)生成によってマップと作戦が生成されるため、同じキャンペーンを二度プレイすることはない。「あのミッションをもう一回やりたい」という場面が出てきても、全く同じ形では再現されない。これが繰り返しプレイの楽しさでもあり、攻略パターンの暗記が通用しない理由でもある。
艦船管理——戦闘と戦闘の間
ミッションとミッションの合間、プレイヤーは拠点となる艦船「TCRNインペタス」の管理を行う。新しいSLの採用、装備の購入・補充、艦船のアップグレード——これらを限られた資源の中でやりくりしていく。
採用にはオーソリティ(権威)が必要で、これは戦績や評判によって増減する。優秀なSLほどオーソリティを多く消費し、採用後も一定期間オーソリティが下がる。つまり「良い人材を大量に採用する」ことはできないし、「一人の天才に頼りすぎる」ことも危険だ。バランスの取れた組織を維持することが求められる。
ブラックマーケット——謎の商人との取引
表のルートでは手に入らない特殊な装備を求めるなら、ブラックマーケットを利用する必要がある。ここでは現金ではなく「物々交換」が基本だ。不要になった装備や戦場で回収した物資を差し出し、欲しいものと交換する。
ブラックマーケットのラインナップはオペレーションごとにリフレッシュされる。「今回は欲しいものがなかった」という場合もあるし、「今すぐ必要ではないが、これは後で役立ちそうだ」というものを先買いしておく戦略もある。
敵の種類——MENACEの恐ろしさを知る

人間勢力との戦い
プレイヤーが戦う相手はMENACEだけではない。ウェイバック・システムの既存勢力との交戦も起きる。彼らは人間なので、プレイヤーと同じ戦術を使ってくる。制圧してくる、側面を狙ってくる、建物を盾にしてくる。
人間勢力の敵は「わかりやすい」脅威だ。その行動には論理がある。しかしMENACEと違い、彼らは交渉の余地がある相手でもある。どう折り合いをつけるかがキャンペーンの政治的な側面に絡んでくる。
MENACEとの戦いが違う理由
MENACEとの交戦は、人間勢力との戦いとは根本的に違う。彼らは人間的な論理で動かない。恐怖を知らず、命令系統もなく、死を恐れない。一部のユニットは自爆を目的として突撃してくる。
そして彼らの単位火力は凄まじい。「コンストラクト・ソルジャー」と呼ばれる重装甲ユニットは、平均的な人間の5倍以上のHPを持ち、しかも装甲も厚い。これが複数体で押し寄せてくる。正面から撃ち合えば弾薬が先に底をつく。制圧システムを使って動きを止め、側面から高火力を叩き込む——そういう工夫が必要だ。
主なMENACEユニット
ドローンは弱いが数が多い。MENACEの中では最も基本的なユニットで、汎用性が高い。これをさっさと排除しないと、増援として続々と来る。
シャンブラーはかつて人間だった突撃ユニットだ。一ターンで驚くほど長い距離を詰めてくる。接触されると爆発し、周囲の分隊に壊滅的なダメージを与える。見た目の遅さに騙されないこと——動き始めたら手が届く前に排除しなければならない。
ガンクローラーは素早く動き回る戦闘車両型ユニットで、頑丈な上に重武装だ。歩兵だけで相手をするのは難しく、こちらも車両を投入するか、対戦車装備を持ち込む必要がある。
コンストラクト・ソルジャーは遅いが圧倒的に固く、火力も高い。射線に入るだけでも危険なのに、正面から撃ち合うのは自殺行為だ。煙幕と側面回りを組み合わせた慎重な処理が求められる。
三つの惑星——戦場の多様性
凍てつく氷の惑星
一つ目の惑星は極寒の世界だ。雪に覆われた地形で、開けた場所が多い。遮蔽物が少ない分、長距離射撃と制圧の重要性が増す。視界は良好だが、それはこちらも敵に見えているということだ。
凍てつく世界の静寂の中、白一色の景色に見え隠れするMENACEの姿は、ホラー映画の一場面のようだ。音が少ないだけに、戦闘が始まったときの轟音が際立つ。
灼熱の砂漠惑星
二つ目は砂漠の惑星だ。岩場の起伏を利用した遮蔽物の確保が肝になる。砂嵐が視界を遮ることもある。乾いた赤茶色の風景の中に、機械と肉が混じり合ったMENACEが这い回る光景は、独特の不気味さを持つ。
岩の陰から陰へと素早く移動しながら戦う「レアガード(後衛)戦術」が砂漠では特に有効だ。広い空間は敵の長射程ユニットに有利なので、岩陰を繋いで移動するルートを事前に考えておくことが重要になる。
密林の森林惑星
三つ目は針葉樹に覆われた森の惑星だ。三つの中で最も視界が狭く、最も油断ならない環境だ。木々が視線を遮り、敵が数歩先まで近づいてから初めて見える場面が頻発する。
「森は怖い」という直感的な恐怖をゲームがうまく活用している。日本のホラー映画的な「見えない何かが迫ってくる」感覚——MENACEが木の間から突然現れる瞬間は、何度経験しても慣れない。偵察ドローンを先行させて視界を確保しながら進む慎重さが特に要求される惑星だ。
Battle Brothersとの比較——血統の証

精神的続編としてのMENACE
MENACEを作ったのは、Battle BrothersというPCゲームで知られるOverhype Studiosだ。Battle Brothersは2017年に発売された中世ファンタジーの傭兵戦術RPGで、高い難易度と戦略的な深みで熱狂的なファンを持つ作品だ。MENACEはその「精神的続編」として位置づけられる。
設定は全く違う。中世ファンタジーから宇宙SFへ。剣と盾から銃と戦車へ。しかし根底に流れる設計哲学は同じだ——「緊張した戦術的決断」「キャラクターへの愛着と喪失」「乱数に左右されない実力の必要性」。
Battle Brothersと似ているところ
パーク(スキル)ツリーの設計はBattle Brothersのそれに非常に近い。昇進のたびに固有のパークを選び、キャラクターの専門性を高めていくシステム。「この人はこういうキャラクターだから、このパークが合っている」という選択の楽しさは共通している。
「失敗に対して誠実であること」という姿勢も共通だ。MENACEは判断ミスに対して容赦なく罰を与える。セーブロード(ミッション中のセーブができない)の制限も、Battle Brothers的な「自分の決断に責任を持つ」という設計の継承だ。
Battle Brothersと違うところ
最大の違いはスケールだ。Battle Brothersはせいぜい数十人の傭兵団を率いる話だったが、MENACEは歩兵から戦車・メカまで含む大規模な部隊を指揮する。一度の戦闘に登場するユニット数が桁違いに多い。
また、Battle Brothersのキャラクターはランダム生成の「名もなき兵士」だったが、MENACEのSLは固定された個性を持つキャラクターだ。最初から名前があり、バックストーリーがあり、セリフがある。愛着の持ち方が違う——Battle Brothersが「育てた兵士への愛着」なら、MENACEは「最初から魅力のあるキャラクターへの愛着」だ。
Battle Brothersプレイヤーからは「MENACE の方が少し取っつきやすい」という声が多い。ただし「取っつきやすい」は「ぬるい」とは違う。ノーマル難易度でも初心者には厳しい場面が多く、「最低難易度から始めること」を攻略サイトが推奨しているほどだ。
XCOMとの比較——似て非なるもの
「XCOMっぽいゲームですか?」という質問への答え
Steamのコミュニティでは「XCOMとどう違うの?」という議論が繰り返し起きている。MENACEのページをXCOMのタグで検索するプレイヤーも多く、「XCOMの後継を探している人」がMENACEに辿り着くパターンは多い。
結論から言えば——「似ているが、根本的に違う別ゲーム」だ。どちらもターン制の戦術ゲームで、育成要素があり、キャラクターが死ぬことがある。しかしゲームの設計哲学が違う。
XCOMとの核心的な違い
XCOMは「全員動く→敵全員動く」という全体交互制だが、MENACEは「一部隊→一部隊」の交互制だと先述した。しかしそれだけじゃない。
XCOMは確率に基づく命中システムを採用している。70%の命中率で外れることがあり、それが戦術的なギャンブルを生んでいる。MENACEは命中に関しても「位置関係」「遮蔽の状態」「分隊の能力値」など実際の状況に基づいた計算がより強く働く設計になっている。「確率が低いから外れた」ではなく「この状況から撃つのが間違いだった」という評価が下されやすい。
XCOMはエラーを隠すための手段が豊富だ(タイムシフト、セーブ連打など)。MENACEはそれをシステム的に排除している。ミッション中のセーブ不可、パーマデス——これはミスをなかったことにさせない意図的な設計だ。
どちらが優れているかではなく
XCOMの方が「緩めに遊べる」という評価は概ね正しい。MENACEの方が「シビアで実力が問われる」という評価も概ね正しい。どちらが優れているというよりは、プレイヤーが何を求めるかの話だ。
XCOM 2のプレイヤーがMENACEに移行して「会社規模の戦闘が小隊規模から大隊規模に拡張された感覚で最高」と言うのもわかるし、「難しすぎてXCOMの方が良かった」と言うのもわかる。どちらかを遊んだことがある人は、MENACEをやれば「あのゲームと似ているが、こうも違うのか」という発見があるはずだ。
Steamレビューで見るプレイヤーの声

MENACEは発売後すぐにSteamで「非常に好評(Very Positive)」を獲得し、90%以上の好評率を維持している。実際にどんな感想が多いのかを見てみよう。
「Battle BrothersからXCOMの会社スケール戦闘に乗り換えた人間として、これは夢が叶った感じ。歩兵と戦車の連携がここまで気持ちよく機能するゲームはなかった」
Steamレビュー(プレイ時間約80時間)
「難しい。本当に難しい。でもその難しさが実力の問題であって、運の問題じゃないから悔しくても納得できる。ミスをした瞬間に『あ、ここが間違いだった』とわかるのが良い」
Steamレビュー(プレイ時間約45時間)
「MENACEという敵の設定がとにかく不気味。人間が改造されたシャンブラーが集団で突撃してきたとき、正直ゾクっとした。SFなのにホラーの気分を味わえる」
Steamレビュー(プレイ時間約30時間)
「アーリーアクセスにしては完成度が高い。UIがちょっとわかりにくいのと、チュートリアルが不足しているのが難点だが、コアゲームプレイは最高」
Steamレビュー(プレイ時間約55時間)
「スクワッドリーダーへの愛着が半端ない。長時間育てた人物を失ったとき、ゲームをやめて少し落ち込んだ。それがいいゲームの証拠だと思う」
Steamレビュー(プレイ時間約120時間)
「Battle Brothers好きなら絶対買い。あのゲームの重厚さを持ちながら、スケールが大きく現代的になった感じ。Overhype Studiosの成長を感じる」
Steamレビュー(プレイ時間約90時間)
批判的なレビューとして多いのは「チュートリアルが不十分」「UIが複雑でとっつきにくい」という点だ。戦術の深みに魅了されながらも、最初の壁が高いという声は一定数ある。それでも「難しいから嫌い」ではなく「難しいけど楽しい」という評価になっているのが、このゲームの底力だ。
アーリーアクセスの現状と今後の展望
現時点での完成度
MENACEは2026年2月にアーリーアクセスとして発売された。アーリーアクセスにしては完成度が高いという評価が多く、「コアのゲームプレイは既に完成している」という声が多い。しかし「少し壊れていて、でもとても楽しい」という表現も聞こえてくる——アーリーアクセス特有の「発展途中だからこそ生まれる面白さ」がある段階でもある。
パフォーマンスの問題(重い場面がある)やUIの複雑さは現時点での既知の問題であり、開発者も認識している。
ロードマップで予定されている内容
開発者Overhype Studiosが公開したロードマップによれば、アーリーアクセス期間中に以下の追加が予定されている:
- 新しい惑星とバイオームの追加(現在3つ)
- 新しいミッションタイプの追加
- さらに多くのスクワッドリーダーキャラクター
- 装備・武器の拡充
- 完全なストーリーの実装
特に「完全なストーリーの実装」が注目点だ。現時点ではウェイバック・システムの謎やMENACEの正体が完全には明かされていない。アーリーアクセス期間中に徐々に追加されていく予定で、「謎の解明」という楽しみが今後さらに深まることが期待される。
アーリーアクセスで買うべきかどうか
これは難しい問いだ。「コアゲームプレイは完成している」という評価は本当だと思う。しかし同時に「完成版を待つ方が体験が豊か」という側面もある。どちらが正解かは、プレイヤーの性格による。
「今すぐ遊んで開発者にフィードバックしながら一緒に作り上げたい」タイプなら今すぐ買い。「完成品を一気に体験したい」タイプなら正式リリースを待つのも一つの選択だ。ただし現時点でも数十時間楽しめる内容は既に入っているし、好評率90%以上を維持していることを考えると、今購入することへの不安は少ない。
システムスペック——どんなPCで動くか

最小スペック
- OS:Windows 10 64bit
- CPU:Intel Core i7-6700K / AMD Ryzen 5 1600X
- RAM:16GB
- GPU:NVIDIA GTX 1070 8GB / AMD RX 5700 8GB
- ストレージ:10GB
- DirectX:Version 12
推奨スペック
- OS:Windows 10/11 64bit
- CPU:Intel Core i7-8700K / AMD Ryzen 5 3600X
- RAM:16GB
- GPU:NVIDIA RTX 2070 8GB / AMD RX 6700 XT 12GB
- ストレージ:10GB
- DirectX:Version 12
ターン制ゲームとしてはやや重めの要求スペックだ。戦場の規模が大きく、多数のユニットを同時に処理するためにそれなりのスペックが必要になる。現行のゲーミングPCであれば問題なく動くレベルだが、少し古いPCの場合は確認してから購入することをおすすめする。Steam Deck(携帯型ゲーミングPC)でも動作確認されているが、一部の設定を下げる必要があるという報告がある。
初心者へのアドバイス——最初の壁を乗り越えるために
難易度はノーマルから始める(当たり前のことが一番重要)
MENACEでは「ノーマルが最低難易度」なのだが、そのノーマルでも普通に難しい。上位難易度(チャレンジング、それ以上)は最初から選ばないことを強く勧める。仕組みを理解してから難易度を上げるのが正しい順序だ。
「ゲームに慣れていない状態でどれだけ難しくしても面白くない」というのはゲーム全般に言えることだが、MENACEは特にそれが当てはまる。メカニクスが複雑なので、まずノーマルで動かし方を覚えることに集中しよう。
制圧を使うことを覚える——射撃の目的は「殺す」だけじゃない
最初のうちは「敵を倒す」ことだけを考えてしまいがちだが、制圧の概念を早く理解したほうがいい。命中しなくても近くを弾が通ればAPを奪える。LMGを持つ分隊を一つ確保して、敵の動きを封じながら他の分隊が動く——この基本を身につけるだけで、生存率が劇的に上がる。
遮蔽物の選択に命がかかっている
移動するたびに「次の遮蔽物はどこか」を意識することが習慣になるまで、何度もやられると思う。遮蔽物がない場所に立ち止まることは、自殺行為に近い。移動の最終地点は必ず岩や壁の後ろにすること。これだけで生存率が全然違う。
スクワッドリーダーを大切に——でも死なせることも受け入れる
パーマデスがあるので「SLを絶対に失いたくない」という心理になるのはわかる。しかしあまりに慎重になりすぎると、有利なポジションを取れなくて戦況が悪化する。リスクを恐れすぎるよりも「このリスクは許容できる」という判断を素早く下せるようになることが上達の鍵だ。
また、SLを失ったときに「あのミッションでどう動けばよかったか」を振り返る習慣を持つといい。同じミスを繰り返さないための学習機会だ。
ブラックマーケットは定期的にチェック
オペレーションのたびにブラックマーケットのラインナップが変わる。今すぐ必要でなくても、「後で役立ちそうな特殊装備」を発見したら確保しておく価値がある。特に対戦車装備、EMPキャノン、煙幕弾などは「いざというとき」に欠かせない装備だ。
視界と偵察を軽視しない
偵察ドローンや先行分隊を使って視界を確保してから動くのが基本だ。特に森林バイオームでは「見えてから反応する」では遅い場面が多い。前進する前に視界を広げ、次の行動を考えてから動く習慣が重要だ。
弾薬の温存を意識する
ミッション中は弾薬の補充が難しい。序盤の雑魚に撃ちまくって弾切れになると、後半の重要局面で弾がない、という悲惨な状況になる。近距離まで引きつけてから撃つ、制圧は少ない弾数でも効果があるバースト射撃を使う、などの工夫で消費を抑えよう。
MENACEの好きなところ、そして正直に言う欠点

好きなところ——なぜこのゲームが刺さるのか
戦闘後の達成感が本物だ。難しいミッションを、何度か死にかけながらも知恵を絞って乗り越えたとき——あのカタルシスはなかなか他のゲームで味わえない。「勝てた理由が自分の判断にある」という実感が、MENACEの最大の魅力だと思う。
世界観の不気味さも良い。MENACEという謎の存在、ウェイバック・システムという閉じた牢獄、腐敗した星系の政治——設定の細部に宿る暗さが、単なるミッションクリアゲームでなく「この世界で何が起きているのか」という好奇心を刺激し続ける。
スクワッドリーダーたちへの愛着も、このゲームの得意分野だ。固定されたキャラクター性を持ちながら、プレイヤーの選択によって成長していく彼らを見ていると、「自分の部隊を作っている」という感覚がある。全員を生かして作戦を成功させたときの満足感は格別だ。
正直に言う欠点
チュートリアルが不十分だ。説明なしに複雑なシステムが目の前に広がる。Wikiと攻略サイトに頼ることを前提にしないと、最初の数時間は何をしているかわからないまま消耗する。「遊びながら覚える」にしても、その壁が高すぎる。これはアーリーアクセス期間中に改善されることを期待したい。
UIが複雑で視認性が低い場面がある。情報量が多いのはいいことだが、それを整理して表示する設計がまだ洗練されていない部分がある。どこにどの情報があるかを把握するだけで、相当な時間がかかる。
パフォーマンスの問題も現時点では残っている。大規模な戦闘で処理が重くなる場面がある。ターン制なので爆速マシンが必要というわけではないが、推奨スペック以下のPCだと快適さが損なわれる可能性がある。
さらに、「ストーリーの完成版がまだない」という点はアーリーアクセスとして織り込み済みではあるが、「世界観の謎が今すぐ全て知りたい」というプレイヤーには少し物足りないかもしれない。世界設定は魅力的なだけに、早く完全版を遊びたいという気持ちになる。
最後に、「人を選ぶ難易度」は欠点というより特徴だが、念のため記しておく。ノーマル難易度でも初心者には手強い。「ゆるくSFゲームを楽しみたい」という目的のゲームではない。難しさを楽しめる人向けだ。
似たゲームも合わせて紹介
Battle Brothers——原点にして精神的な親
MENACEの開発チームOverhype Studiosの前作。中世ファンタジーの傭兵団を率いるターン制戦術RPGで、MENACEの「DNA」がこちらに詰まっている。SFより中世ファンタジーが好きな人、またはMENACEに深まった後でそのルーツを知りたい人に強くおすすめする。難易度はMENACE以上に過酷とも言われる。

XCOM 2——SF戦術ゲームの定番
地球がエイリアンに支配された世界で、レジスタンスを率いて戦うターン制戦術RPGの定番作。MENACEとは設計思想が違うが、「SF+ターン制+成長するキャラクター」という共通要素を持つ。MENACEが難しすぎると感じたらXCOMから入るという順序もあり。
Aliens: Dark Descent——リアルタイムのエイリアン戦術ゲーム
映画「エイリアン」の世界を舞台にしたリアルタイム戦術ゲーム。ターン制ではないがエイリアンとの戦いという意味でMENACEと近い雰囲気を持つ。ホラー的な緊張感とグロテスクな敵の設計が光る。
Starship Troopers: Terran Command——バグとの戦争
映画「スターシップ・トゥルーパーズ」を原作にしたRTS(リアルタイムストラテジー)。圧倒的な数の敵に対して部隊を動かす感覚はMENACEに近いものがある。バグ(昆虫型宇宙人)との戦闘の絶望感はホラー的でもある。
まとめ——宇宙の深淵から来たホラー戦術RPG
MENACEを一言で表すなら「思考のホラーゲーム」だと思う。直接的に驚かせてくるホラーではなく、「理解できない存在が迫ってくる」「誤った選択が取り返しのつかない結果を招く」「仲間が永遠に失われる」——そういう静かな恐怖が積み重なっていく。
Battle Brothersの作り手が宇宙という新舞台を得て、自分たちの強みを全て発揮したゲームだ。シビアで、複雑で、取っつきにくいが——それを超えたところに「戦術の醍醐味」という別世界が広がっている。制圧と射線と弾薬管理と位置取りが噛み合ったとき、あの感覚はなかなか他では味わえない。
アーリーアクセスという段階ではあるが、90%以上の好評率と25万本以上の販売本数が示す通り、既に多くのプレイヤーに認められている。チュートリアルの薄さとUIの複雑さという初心者の壁はあるが、それを乗り越える価値は十分にある。
ウェイバック・システムという牢獄の中、謎のMENACEと対峙しながら徐々に真実に近づいていく——その体験に興味を持ったなら、ぜひ飛び込んでみてほしい。きっと「最初のミッションで全滅した」という洗礼を受けることになるだろう。でもそこから始まる、という感じのゲームなのだ。
MENACE メナス
| 価格 | ¥3,980 |
|---|---|
| 開発 | Overhype Studios |
| 販売 | Hooded Horse |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル |

