FOR HONOR|騎士・侍・ヴァイキングが斬り合う近接格闘アクション
剣を構えて、相手の動きを読んで、一瞬の隙を突いて斬り込む。
「アクションゲームってもっと気持ちよく斬れるもんじゃないの?」と思っていたとき、FOR HONORに出会った。最初の1時間は正直「なんか難しいな」で終わった。でも2時間目からだんだん見えてきた。相手のガード方向。攻撃のフェイント。スタミナ管理。気づいたら4時間経っていた。
FOR HONORは、Ubisoftが2017年にリリースした近接格闘アクションゲームだ。騎士、侍、ヴァイキング、そして後から追加された武林(中国武術の使い手)の4陣営が入り乱れる設定は荒唐無稽に見える。でも実際に触れると、その世界観の作り込みは本物で、各陣営のキャラクターが持つ武器や戦闘スタイルに確かなリアリティがある。
2017年のリリース時は有料ゲームだった。2021年5月に基本無料化。そして2026年現在も、アップデートが続いている。8年以上続くオンラインゲームというのは、それだけで何かが本物だという証拠だと思う。
ただ、手放しで「全員にすすめる」とは言えない。近接戦闘特化のシステムは、FPS脳やRPG脳の人には最初かなりきつい。「俺は上手いはずなのに全然勝てない」という体験を何度もすることになる。この記事では、FOR HONORの本質――Art of Battleシステムの深さ、4陣営の違い、基本無料化後の実態――を、できる限り正直に書いていく。
こんな人にはハマる、こんな人には合わない

まず結論から伝える。FOR HONORが合う人と合わない人は、かなりはっきり分かれる。
- 対人戦で「読み合い」を楽しめる人。じゃんけん的な駆け引きが好き
- 格闘ゲームのフレーム論より「武器を持って戦う感覚」を求めている人
- 騎士・侍・ヴァイキングのどれかに無条件に惹かれる人
- 1対1の決闘でじっくり相手と渡り合いたい人
- 基本無料で本格的な対戦ゲームを遊びたい人
- ダークな世界観と重厚なビジュアルが好きな人
- 上達の実感があるゲームを求めている人
- 100時間、200時間と積み重ねても飽きないゲームを探している人
- FPSみたいに反射神経だけで勝てるゲームを期待している人
- ランクマで即上位を狙いたい人(学習コストがかなり高い)
- 攻撃が派手でエフェクトが爆発するゲームが好きな人
- チームプレイよりも個人技だけで圧倒したい人(チーム連携も大切)
- サービスの賑わいや同接数を重視する人(ピーク時より大幅に減っている)
- 最初の数十時間を「ボコられる修行期間」として受け入れられない人
- Ubisoft系のランチャー二重起動が気になる人
FOR HONORとはどんなゲームか
世界観:時代も場所も混ざった独自の設定
FOR HONORの世界は、史実を参考にしつつも「現実ではない」ファンタジー的な設定だ。騎士が支配する領地、侍の帝国、ヴァイキングの荒野、そして武林が治める東洋の地が同じ世界に存在する。なぜそれぞれの文明が同じフィールドで戦っているのか――その答えが「大崩壊」と呼ばれる天変地異だ。
数百年前、文明を根底から壊した大崩壊が各地を荒廃させた。生き残った者たちが資源をめぐって争い、各陣営が領土を守るために戦い続けている。その中心にいるのが「アポカリプス」と呼ばれる黒幕的存在。シングルプレイヤーキャンペーンでは、この世界の断片が語られる。
この設定、最初は「なんでもアリすぎる」と思うかもしれない。でも実際に触れると、各陣営の文化的背景がきちんと描かれていて、「なぜこの武器でこの戦い方をするのか」が納得できる。侍の打刀の扱い方、ヴァイキングの盾と斧の組み合わせ、騎士の重鎧と片手剣の使い方。武器ひとつひとつに意味がある。
世界観のビジュアルクオリティも高い。各陣営のマップやキャラクターモデルは、その文明の雰囲気を丁寧に表現していて、「適当に混ぜた」感がない。このへんはUbisoftが長年培ってきたアートディレクションの力だ。
基本的なゲームの流れ
FOR HONORのオンライン対戦は複数のモードで遊べる。中心となるのはドミニオンと、1対1のデュエルだ。
ドミニオンは4対4の陣地制圧モード。マップに3つのゾーンがあり、制圧することでスコアを積み重ねる。ただの陣地取りではなく、マップ中央には大量のAIミニオンが入り乱れている。ミニオンを倒してスコアを稼ぎつつ、敵プレイヤーを撃破して相手チームのスコアを0に追い込む。単純に見えて戦略の幅が広く、「今どこで戦うべきか」の判断が問われる。
デュエルは完全な1対1。スキル勝負の場で、Art of Battleシステムの深さが最も感じられるモード。対戦が終わるたびに「あの攻撃はどう対処するんだ」「なぜあそこでガードが間に合わなかった」と考えさせられる。
他にも2対2の小競り合い、4対4の殲滅戦(デスマッチ型)など複数のモードがある。8年以上の歴史の中でモードは増減を繰り返しており、2026年時点で常設されているのは数モードだ。
Ubisoftが作ったという安心感と不安
開発元のUbisoftは、アサシンクリードシリーズ、レインボーシックスシリーズ、ファークライシリーズなど、大型タイトルを多数持つフランスの大手パブリッシャーだ。FOR HONORもこのUbisoftが送り出した作品で、ゲームそのものの完成度や継続的なサポート体制は、インディースタジオにはできないスケールで提供されている。
ただ、Ubisoftへの信頼度がここ数年で変わってきているのも事実だ。タイトルのサービス終了、会社の組織的な問題、株主との関係など、ゲームプレイとは別のところでニュースになることが増えた。「Ubisoftのゲームを長期的に遊ぶ不安」は、FOR HONORにも影を落としている。
それでも現時点では、FOR HONORへのサポートは続いており、コミュニティも動いている。「いつ終わるかわからない」という不安を持ちつつも、「今は遊べる」という現実がある。
Art of Battle——このシステムがすべての核心

FOR HONORを語るとき、Art of Battleシステムを避けては通れない。これがこのゲームを他の近接アクションと決定的に差別化している要素だ。
ガードの方向を自分で選ぶ
多くのアクションゲームでは、「ガード」は1ボタンで出せる。盾を構えれば正面の攻撃はだいたい防げる。FOR HONORは違う。
このゲームでは、ガードする方向を左・上・右の3方向から自分で選ぶ。そして攻撃も、左・上・右のどこから打ち込むかを選ぶ。攻撃が来る方向と違う方向でガードしていたら、ガードは機能しない。これだけで、このゲームの対人戦の意味が変わってくる。
最初は「なんで防いでも食らうんだ」ってなった。ガードって一方向に固定されてるんじゃないの?と思ったら、方向があるって知って衝撃だった。そこからゲームへの見え方が変わった。
引用元:Steamレビュー
相手が上段から来るなら上でガード、左から振ってくるなら左でガード。この「どこから来るか」を読む駆け引きが、FOR HONORの戦闘の基礎になっている。マウスやスティックを動かすことでガード方向をリアルタイムで切り替える操作感は、他のゲームでは得られない独特の体感だ。
スタンス切り替えとフェイント
攻撃する方向を選ぶとき、プレイヤーは「スタンス」に入る。スタンスに入ると、相手には「あなたが今どこから攻撃を振ろうとしているか」が見える。つまり、スタンスに入った瞬間に相手はガード方向を合わせにくる。
ここで使えるのがフェイント(見せかけ攻撃)だ。上段スタンスに入ったように見せかけて、直前でキャンセル。相手が上段にガードを合わせた瞬間に、今度は左から実際に振る。このフェイントと実際の攻撃の組み合わせが、FOR HONORの読み合いの核心になっている。
格闘ゲームに例えるなら、ストリートファイターの崩し択やグラップラーのつかみフェイントに近い感覚だ。ただし、コマンド入力ではなく「どの方向に動いているか」という直感的な操作で行われる点が独特だ。
フェイントを多用するプレイヤーは「フェイカー」と呼ばれる。フェイント多用は強いが、行動を読まれると逆に崩される。フェイントを多く使うほど相手に読まれやすくなるというリスクリワードのバランスが、試合の駆け引きをより深くする。
ガードブレイクという第三の選択肢
攻撃とガード以外に、もうひとつの選択肢がある。ガードブレイクだ。
ガードブレイクは、相手のガードを物理的に崩す動作。成功すれば相手は体勢を崩し、無防備な状態になる。でも相手もガードブレイクに反応できる。タイミングよくガードブレイクのボタンを押すと、ガードブレイクを「返せる」。
つまり戦闘の選択肢は、
- 攻撃(左・上・右を選ぶ)
- ガード(左・上・右を選ぶ)
- ガードブレイク(相手のガードを崩す)
この3すくみになっている。攻撃はガードで防げる、ガードはガードブレイクで崩せる、ガードブレイクはガードブレイクで返せる。この基本的な3択の読み合いに、フェイントや回避、各キャラクター固有のスキルが加わって、対人戦の深さが生まれる。
スタミナ管理の重要性
攻撃もガードブレイクも、スタミナを消費する。スタミナが切れると、ほとんどの行動ができなくなる「バテた」状態になり、大きなリスクを背負う。攻め続けるだけではだめで、相手のスタミナを削る戦術、自分のスタミナを温存する動きが求められる。
スタミナ管理を覚えるまでが一番しんどかった。攻め続ければ勝てると思ってたら、急にバテて一方的にボコられた。スタミナを見ながら戦うって、格ゲーのゲージ管理に近い感覚だった。
引用元:Redditコミュニティ投稿
スタミナは「相手をバテさせる」ための武器にもなる。ガードを繰り返せばスタミナを消耗させられるし、連続攻撃でスタミナ切れを誘うことも戦術のひとつだ。このスタミナ管理の概念は、最初はピンとこないが、慣れてくると試合の流れを読む重要な軸になる。
ヘビーアタックとライトアタックの使い分け
攻撃には「ライトアタック」と「ヘビーアタック」の2種類がある。ライトアタックは速いが威力が低い。ヘビーアタックは遅いが威力が高く、タメから出すと相手がガードしても一定量のスタミナを削れる。
「速いライトを連打するか」「遅くても重いヘビーで崩しにいくか」という選択も、読み合いの一部だ。ライトを多用すると予測されやすくなり、ヘビーが遅すぎると回避されやすい。この攻撃の速度と威力のトレードオフが、キャラクター選択にも影響する。
コンボとチェーンアタック
ライトとヘビーを組み合わせて連続攻撃するコンボ(チェーン)も存在する。最初の攻撃を防がれても、次の攻撃へとつなぐ「チェーン」を使えば、防御側に続けてプレッシャーをかけられる。
ただし、チェーンはキャラクターごとに固定されており、全員が同じコンボを使えるわけではない。「このキャラクターはライトを2回連打からヘビーにつなげる」「あのキャラクターはヘビーからガードブレイクに派生できる」という固有パターンを覚えることが、各キャラクターの習熟に必要になる。
4陣営の違い——どれを選ぶかでプレイスタイルが決まる
FOR HONORの最大の魅力のひとつが、4つの陣営それぞれの個性だ。騎士、侍、ヴァイキング、武林。どの陣営もキャラクター数が複数おり、それぞれ戦闘スタイルが大きく異なる。
騎士陣営——重厚な守りと反撃のスタイル
騎士陣営のキャラクターは、西洋の中世騎士をモチーフにしている。重鎧を纏い、大きな盾や両手剣、戦槌などを扱う。全体的に防御力が高く、相手の攻撃を受け止めてからカウンターを返すスタイルが多い。
代表キャラクターのひとつがウォーデン。片手剣と盾を組み合わせた基本的なスタイルで、FOR HONOR入門として最もよく勧められるキャラクターだ。攻守バランスが良く、Art of Battleの基本を学ぶのに向いている。ウォーデンの「シュルダービルダー」という突進技は直感的で使いやすく、実戦投入しやすい。
コンカラーは盾と連枷(フレイル)の組み合わせ。守りに特化した動きで、相手の攻撃をしっかり捌いてから確実なダメージを入れる戦い方。積極的に攻めるより、じっくり待てるプレイヤーに向いている。フレイルの動きは他の武器と違う独特の間合いを持ち、初見では対処しにくいという評判もある。
ラウブレッカーは2丁の斧を持つ騎士。騎士陣営の中では珍しく攻撃的なスタイルで、素早いコンボが特徴だ。重鎧を纏いながら手数の多い攻撃を繰り出す、見た目と中身のギャップが面白いキャラクターだ。
ブラックプライアーは後から追加された騎士系ヒーロー。重装鎧の修道士的なビジュアルで、防御から一転してアグレッシブに攻めに転じる独特のスタイルが人気だ。コミュニティで「見た目がかっこいい騎士ヒーロー」として常に名前が挙がる。
侍陣営——速度と精度を武器にする
侍陣営は、日本の戦国時代をモチーフにしたキャラクターたちだ。打刀、薙刀、弓などを扱い、他の陣営と比べると軽装で素早い動きが多い。
ケンセイは打刀の正統派侍キャラクター。攻守のバランスが良く、侍陣営の入門として位置付けられている。特徴的なのが「鍔迫り合い」に近いガードブレイクからのコンボで、侍らしい「間合い」の概念を体感できる。
シュゴキは鎧武者スタイル。侍陣営の中では防御力が高く、重い攻撃を持つ。ゆっくりと相手を削る戦い方で、速度よりも確実性を重視するプレイヤーに合う。体力が高いため、序盤から積極的に動けるのもシュゴキの強みだ。
アラミュシャは薙刀を使う女性キャラクター。長いリーチを活かしたゾーニング(距離管理)が得意で、相手の間合い外から一方的に攻撃できる。ただし、接近戦になると弱点が出やすい。「接近させない」という戦術を徹底できる人に向くキャラクターだ。
オロチは忍者スタイルで、FOR HONORで最も速いキャラクターのひとり。フリップや回避からの攻撃が特徴で、すばしっこい動きで相手を翻弄する。ただし体力は低め。攻撃的に動ける反面、ミスをするとすぐに致命傷になるリスクがある。ハイリスク・ハイリターンのキャラクターだ。
侍陣営を選んだのは単純に「侍が好きだから」だった。でも触れてみると、他の陣営と全然違う戦い方が要求されて、ちゃんと「侍らしい」設計になっているのが面白かった。特にアラミュシャで薙刀を振っていると本当に「日本の薙刀術」を意識して作ったんだなと伝わる。
引用元:Steamレビュー
ヴァイキング陣営——力押しとスタミナ勝負
ヴァイキング陣営は、北欧の海賊・戦士をモチーフにしている。大きな斧や盾を使い、パワーファイターが多い印象だ。強力な攻撃力を持つキャラクターが揃っており、スタミナを消耗させながら圧倒するスタイルが多い。
レイダーは両手斧を使うヴァイキングの代表キャラクター。重い攻撃とスタミナダメージを組み合わせて、相手をバテさせてから仕留める戦法が基本だ。シンプルに見えて、スタミナ管理の理解を深めるのに適したキャラクターでもある。初心者向けとして紹介されることも多い。
ベルセルカーは双斧使いのアタッカー。名前の通り攻撃的なスタイルで、回転系の攻撃が多く、フリーフローなコンボが特徴だ。派手な動きが好きな人に人気がある。攻撃に回り込みが多く、集団戦でも奮闘できる設計になっている。
ウォーロードは盾と片手斧の組み合わせ。頭突きや投げを使ったアグレッシブな防御キャラクターで、近距離での崩しが得意だ。体力も高めで、正面から圧をかけるスタイルに向いている。対人戦での威圧感がヴァイキング陣営の中でも特に強い。
ハイランダーは両手剣(クレイモア)を使うスコットランド戦士スタイル。「守り」と「攻め」で構えを切り替えるスタンス変更システムを持つ独特のキャラクターだ。守りのスタンスでは防御と牽制、攻めのスタンスでは独自のコンボを繰り出す。切り替えのタイミングが重要で、使いこなすには練習が必要だが、動かしていて楽しいと評判が高い。
武林陣営——後から追加された中国武術の使い手
武林(ウーリン)は、2018年のDLC「武林」で追加された第4の陣営だ。中国の武術・武器をモチーフにしており、当初は4キャラクターのセットとして登場した。
武林が持つ独自のスタイルは、他3陣営とは一線を画す動きが多い。中国の武器である長柄武器(ハルバード)、二本刀、弓などを使い、柔軟で流動的な動きが特徴だ。後から追加された陣営だけあって、バランス調整の面では「追加当初が強すぎた」という批判もあった。2026年現在は調整が進んで落ち着いている。
武林に属するヒーローとして有名なのが花木蘭だ。2021年に追加された彼女は、実装直後からコミュニティで話題になった。「強すぎる」「バランスが崩れる」という声から始まり、ネーフ(弱体化)を経て現在に至る。このサイクル自体がFOR HONORの歴史の一部になっている。
ティエラシャンは武林の中でも特に独特なキャラクターだ。チェーンブレードとも呼べる中国武器を使い、リーチの変動するトリッキーな攻撃が特徴。対策を知らない相手には圧倒的に戦える一方、対策されると動きを読まれやすい。
武林陣営のキャラクターは動きが独特で、他陣営への対策を練ってきたプレイヤーにとっても「見慣れない動き」として脅威になりやすい。4陣営の中で最も個性的な選択肢と言っていい。
ドミニオン——FOR HONORの看板モード
4対4の陣地制圧、でも単純じゃない
FOR HONORには複数のオンラインモードがあるが、最もプレイヤー人口が多く、メインとして設計されているのがドミニオンだ。
4対4のチーム対戦で、3つの拠点(A・B・C)を制圧してスコアを積み重ねる。スコアが1000に達したチームが「制圧勝利」フェーズに入り、相手チームを全員キルし続けて逃げ場をなくすと勝利となる。
ただ単純な陣地制圧ではなく、マップにはAIのミニオン(一般兵士)が大量に存在する。ミニオンを倒してスコアを稼ぎつつ、敵プレイヤーとの戦闘もこなす。この「ミニオン処理 vs プレイヤー戦」のバランスが、戦況の分かれ目になることも多い。
集団戦と1対1の混在
ドミニオンで面白いのは、「集団戦」と「1対1」が同じマッチ内に混在することだ。
3人で1つの拠点を制圧しつつ、もう1人が別拠点で単独で戦っている。その拠点が突破されたら応援に向かう。そして中心の拠点では4対4の乱戦になっている。このカオスな状況の中で「今どこに行くべきか」「誰を倒せばチームに利益が大きいか」を判断するのが、ドミニオンの醍醐味だ。
ドミニオンは最初「どこに行けばいいんだ」ってなる。でも慣れてくると、マップ全体の状況を見ながら動けるようになって、そこからが本当の面白さだった。チームの勝利に自分が貢献している感覚が得られる。
引用元:Steamコミュニティ
集団戦の複数攻撃ルール
1対1の読み合いが面白い一方で、集団戦では「多対1」の状況が当然発生する。FOR HONORでは、包囲されると「ガンクド」状態になりやすく、複数の敵に同時に対応することはほぼ不可能だ。
これは批判の対象になることもある。「1対3で袋叩きにされても楽しいのか」という疑問は正当だ。ただ、ドミニオンはそもそも団体戦ゲームなので、「多対1を避ける」「孤立しない」という立ち回りを学ぶことも、ゲームの一部として設計されている。
チームメイトとの連携が大切で、「2人でひとりを倒す」「1人で複数を引きつけてチームメイトが拠点を取る」など、集団戦ならではの動き方がある。この連携の成功体験が積み重なると、ドミニオンがより深くなる。
ファクションウォーと世界規模の陣営対立
ドミニオンや各モードで勝利すると、所属陣営に「戦争資産」が貯まる仕組みがある(ファクションウォー)。世界中のプレイヤーの結果が集計されて、どの陣営が「今週の覇者か」が決まる。
大きなゲームプレイへの影響はないが、「自分が騎士陣営の勝利に貢献している」という帰属意識が生まれる。週次のランキングを確認して「今週はヴァイキングが優勢だ」という情報がコミュニティで共有されるのも、FOR HONORの独特の文化だ。

シングルプレイヤーキャンペーンの存在

オンラインだけじゃない、ストーリーモード
FOR HONORにはシングルプレイヤーキャンペーンがある。オンライン対戦ゲームにシナリオモードが用意されているのは、Ubisoftらしいアプローチだ。
キャンペーンでは、3陣営(当初は騎士・侍・ヴァイキングの3つ)それぞれのストーリーを追う。世界を混乱に陥れた謎の組織と黒幕「アポカリプス」との戦いが描かれ、キャラクターごとの事情や動機が明かされる。
シナリオとしての完成度は「そこそこ」という評価が多い。ゲームの世界観を理解するには最適だが、単体で「物語が面白い」というよりは、Art of Battleシステムをオフラインで練習する場として活用されることが多い。
Art of Battleの練習場として
キャンペーンは、オフラインでArt of Battleを学ぶのに使える。
AIの難易度が設定できるため、最初は低難易度で動きを覚えて、慣れたら難易度を上げていく。オンラインで対人戦に放り込まれる前に、ガードの方向、フェイント、ガードブレイクの返し方を体で覚えておくと、最初のオンライン体験がかなりマシになる。
チュートリアルと合わせて、キャンペーンの序盤をクリアしてからオンラインに出ることを強くすすめる。「チュートリアルだけでオンライン行ったら何もわからなかった」という新規プレイヤーの声は多い。
AIドミニオンモード
対人戦のドミニオンと同じルールで、相手チームをすべてAIにして遊べるモードもある。オンライン対戦に出る前のウォームアップとして使えるが、AIの動きはある程度パターンが読めるため、対人スキルの向上には限界がある。
「最初はAIドミニオンで慣れてから対人へ」という入り方が、最も挫折しにくいルートだという声をよく見かける。
基本無料化後の現状——2026年時点のFOR HONOR
2021年5月の基本無料化とその影響
2021年5月、FOR HONORは基本無料(Free to Play)化した。それまでは有料ゲームとして販売されていたが、Steam・Ubisoft Connect経由で無料でダウンロードできるようになった。
基本無料化の直後、プレイヤー数は急増した。Steamの同時接続数は2017年のリリース初期以来の数字に戻った時期もある。新規プレイヤーが大量に流入し、コミュニティが一時的に活性化した。
ただ、基本無料化によって増えたのは「新規プレイヤー数」だけではなく「中途離脱率」もだった。無料で入れるということは、気軽に入れる反面、Art of Battleの高い学習コストに当たって離脱する人も増えた。「無料で始めた人の多くが、最初の数時間で離脱する」という問題は、基本無料化以降も解決されていない根本的な課題だ。
現在の課金体系
基本無料化後のFOR HONORの課金体系はこうなっている。
ゲーム自体は無料でダウンロードして遊べる。ただし、無料で使えるヒーロー(キャラクター)は限られる。追加ヒーローはゲーム内通貨「スチール」を使って解放するか、現金でのDLC購入が必要だ。
スチールはゲームをプレイすれば自然に貯まるが、全ヒーローを解放しようとすると相当な時間がかかる。現金購入と組み合わせれば早く揃えられる。コスメティック(外見変更アイテム)も豊富で、これがFOR HONORの主な収益源になっている。
無料で始めたけど、気に入ったヒーローをすぐ使いたくて課金した。スチールで解放できるのは知ってたけど、時間がかかりすぎる。でも始められるハードルが低くなったのは本当によかったと思う。
引用元:Steamレビュー
プレミアムエディションやスターターエディションなどのバンドルも用意されており、最初にまとめて購入するとヒーロー解放が楽になる。2026年現在、Steamでセール時に大幅値引きされることも多い。「まず無料で試して、気に入ったらセール時にバンドルを買う」という入り方が費用対効果の面では最も良いと思う。
2026年時点のプレイヤー数
正直に書く。FOR HONORのプレイヤー数は、2017年のリリース時と比べると大幅に減少している。
Steamのデータを見ると、2017年のピーク時には同時接続7万人を超えた時期もあった。2021年の基本無料化で一時的に回復したが、2026年現在の通常時の同時接続数は数千人台で推移している。
ただ、「人がいない」というほどではない。ドミニオンなら比較的早くマッチが見つかる。ただし、レーティングの高い帯域ではマッチング待ちが長くなることがある。1対1のデュエルも、時間帯によっては多少待つことがある。
「基本無料のゲームとしてのプレイヤー規模」という視点で見ると、もう少し大きくてもいいと思う。ただ、コアプレイヤーが根強く残っているのも事実で、「過疎で遊べない」という状況ではない。日本時間の夜21時前後が最もプレイヤーが多い時間帯という声が多い。
なぜFOR HONORは8年続いているのか
類似ゲームがほとんど存在しない
FOR HONORが8年以上続いている最大の理由のひとつは、「これと同じゲームが他にない」という事実だ。
近接格闘に特化した対人ゲームという市場は、FOR HONORが確立したと言っていい。Mordhauや Chivalry 2など、中世武器の戦闘を扱うゲームは他にもあるが、FOR HONORのように「キャラクター選択式の対人近接格闘+4陣営の世界観」はなかなか見当たらない。
代替品がないため、「この感覚を求めるならFOR HONORしかない」というプレイヤーが離れにくい構造になっている。ダークファンタジー系の近接戦闘が好きな層からは、同じようなゲームが出てきたとしてもFOR HONORへの思い入れが消えないという声が多い。

Ubisoftの継続的なサポート
FOR HONORは2017年のリリース以降、継続的にコンテンツが追加されてきた。
新ヒーロー(現在40人超)、新モード、新マップ、シーズナルイベント。「年4回のシーズン制」で運営が進んでいき、各シーズンに新要素が投入される。このサイクルが8年間続いている。
Ubisoftのゲームは「リリース後に放置される」というイメージを持つ人もいるかもしれない。でもFOR HONORに限っては、開発チームが継続的にコミュニティの声を拾いながらアップデートを続けてきた。
バランス調整の頻度も高く、強すぎるヒーローの弱体化、弱すぎるヒーローの強化が定期的に行われる。すべてのプレイヤーが満足するバランスなど存在しないが、「放置されている」わけではない。「このヒーローが強すぎる」という声に対して数週間以内に調整が入るサイクルは、8年間維持されてきた。
コミュニティの結束
FOR HONORのコミュニティは、良くも悪くも「濃い」。
長年のプレイヤーが多く、Redditやコミュニティフォーラムでは深いゲームプレイ分析が日常的に行われている。「このキャラクターのこのコンボに対するカウンターは何か」「このマッチアップをどう乗り越えるか」という具体的な議論が活発だ。
YouTubeやTwitchでも、FOR HONORの攻略解説動画は継続的に投稿されている。日本語コンテンツはやや少ないが、英語の動画でも字幕や視覚的な説明で理解できるものは多い。「わからないことはYouTubeで探す」という習慣がこのゲームの攻略には欠かせない。
一方で、新規プレイヤーへの「圧」を感じる場面もある。「なんでこんな基本もわかってないんだ」という空気は、コミュニティの熟練度が上がるほど生まれやすい。新規フレンドリーかどうかは、人によって評価が分かれるところだ。
プレイヤーたちのリアルな声

続けているプレイヤーたちの理由
FOR HONORを長く続けているプレイヤーたちに共通するのは、「上達の実感」だ。
Art of Battleは確かに難しい。でも、練習すれば必ず上達が見える。昨日まで防げなかったフェイントを防げるようになった、あの強いプレイヤーに初めて勝てた――そういう体験の積み重ねが、長期プレイの原動力になっている。
3000時間やってるけど、まだ上手くなれると思う。それがFOR HONORの底の深さだと思う。「もう完全に理解した」とならないゲームって、なかなかない。
引用元:Steamレビュー
最初の50時間は本当にきつかった。何をやってもベテランにボコられる。でも100時間超えたあたりから、相手の動きが少し読めるようになって、それからが楽しかった。その「読めた」瞬間の気持ちよさが癖になる。
引用元:Steamコミュニティ
このゲームは1試合終わるたびに「次はこうしよう」と思える。負けた理由が毎回見えるから、進んでる感がある。これが他のゲームと違う感覚だと思う。
引用元:Steamレビュー
離脱したプレイヤーたちの声
一方、FOR HONORを途中でやめたプレイヤーたちの声も正直に紹介する。
学習コストが高すぎる。チュートリアルを終わらせてオンラインに出たら、全員が何をやってるかすら理解できなかった。Art of Battleを理解するまでが一つのゲームになってしまってる。
引用元:Steamレビュー
ガンク(多対1の袋叩き)が嫌いで辞めた。1対1は楽しいんだけど、ドミニオンで1人になったら終わり。集団戦でのフェアさという概念がない。
引用元:Steamコミュニティ
プレイヤー数が少なくて、マッチングで強い人と当たりやすい。初心者のうちは毎回ボコられる時間が長すぎた。無料だから始めたけど、続けるのはしんどかった。
引用元:Steamレビュー
これらの批判はどれも的外れではない。FOR HONORは確かに「始めやすい」ゲームではない。でも続けた先に見えるものがある、という設計になっている。「最初の100時間を乗り越えられるかどうか」が、FOR HONORとの付き合い方を決める分岐点になっている。
日本人プレイヤーの視点
侍陣営が好きで始めた日本人として、ケンセイのモデリングとアニメーションへのこだわりがちゃんと感じられて嬉しかった。「なんとなく侍っぽい」じゃなくて、居合抜きや型の動きが入ってる。
引用元:Steamレビュー
日本語対応しているのがありがたい。UIもテキストも全部日本語で遊べるので、英語が苦手でも問題ない。ただ日本語の攻略情報が少ないので、英語のYouTubeで勉強するのが結局一番早かった。
引用元:Steamコミュニティ
ヒーロー40人超のロースター——飽きない多様性
陣営ごとの個性とヒーロー数
FOR HONORのヒーローは2026年現在、40人を超えている。4陣営それぞれに10人前後のキャラクターが在籍し、定期的に新ヒーローが追加され続けている。
それぞれのヒーローが独自の戦闘スタイル、固有のスキル(フィートと呼ぶ)、固有のアニメーションを持つ。「単に見た目が違うだけ」ではなく、使い心地が根本的に異なる。
重装甲でゆっくり戦うキャラクターを使っていた人が、軽装で速度重視のキャラクターに乗り換えると、ほとんど別ゲームをやっている感覚になる。このキャラクター間の多様性が、長期プレイの大きな原動力になっている。
新キャラクターの追加サイクル
新ヒーローは、各シーズンのメインコンテンツとして追加されることが多い。歴史上の武将や神話上の戦士をモチーフにしたキャラクターが多く、追加されるたびにコミュニティで「このキャラの元ネタは?」という考察が盛り上がる。
ただし、新ヒーローが追加された直後は「強すぎる」という問題が起きやすい。新キャラをプレイしてもらうために少し強めに設定される傾向がある、とコミュニティでは言われている。数週間〜数ヶ月でバランス調整が入るのが通例だ。「新キャラは最初強い時期があるので、その間に慣れておく」というある種の攻略法を活用するプレイヤーもいる。
プレイスタイルで選ぶヒーロー選択
FOR HONORのヒーロー選択において、最初に考えるべきは「どんな戦い方が好きか」だ。
攻撃的に前に出て手数で圧倒したいなら、オロチ(侍)やベルセルカー(ヴァイキング)。守りを固めて相手のミスを待つなら、コンカラー(騎士)やシュゴキ(侍)。独特の変則的な動きで相手を翻弄するなら、武林の一部キャラクター。
「見た目で選ぶ」のも正解だ。自分が気に入ったキャラクターを使い込む方が、長期的には上達も早い。モチベーション維持に見た目のテンションは大切だ。「このキャラクターを使いこなしたい」というこだわりが、練習時間を増やす最大のモチベーションになる。
カスタマイズの深さ——外見を作り込む楽しさ

装備とエフェクトのカスタマイズ
FOR HONORには深いビジュアルカスタマイズ要素がある。
各ヒーローの武器、鎧、シンボル(家紋的なもの)、処刑モーション(勝利時の止めを刺すアニメーション)などを細かくカスタマイズできる。装備のパーツは多数あり、組み合わせによって「どこにも同じ見た目はいない」状態を作ることができる。
鋼鉄(ゲーム内で素材のように扱われる)のランクを上げると、ヴィジュアルの解像度が上がる。同じ兜でも、低ランクのものと高ランクのものでは質感が全然違う。この「装備を育てる」感覚も、長期プレイの楽しみのひとつだ。
自分のヒーローをカスタマイズするのが楽しくて、それだけで何時間も費やした。他のゲームのキャラクターエディットとは違う、「戦士を仕上げていく」感覚がある。重鎧の傷や汚れの表現がリアルで、「こいつは長く戦ってきた」という質感が出る。
引用元:Steamコミュニティ
処刑モーションのインパクト
FOR HONORの特徴的な要素のひとつが「処刑モーション」だ。
試合中、相手を倒した際に特定の条件を満たすと、処刑モーション(フィニッシャー)を発動できる。各ヒーローに複数の処刑モーションが用意されており、ゲーム内通貨や課金で追加購入できるものもある。
処刑モーションは数秒間のアニメーションだが、演出のクオリティが高く、「どの処刑を使うか」もカスタマイズの楽しみのひとつになっている。「見た目のかっこよさ」という点でFOR HONORは同ジャンルの中でも頭ひとつ抜けている。
ただし、処刑モーション中は無防備状態になるため、集団戦では使うとリスクがある。「かっこいい処刑を決めたいが、使えるタイミングが1対1に限られる」という葛藤もFOR HONORらしい設計だ。
紋章エディターとシンボルカスタマイズ
ヒーローに貼り付けられる「紋章(シンボル)」も細かく作成できる。複数のシンボルを重ねて独自の家紋を作るエディターは、FOR HONORの隠れた楽しみとして知られている。
RPGのキャラクタークリエイトほど自由度は高くないが、「自分だけの騎士団」「自分だけの侍一族」を表現するための素材は十分にある。
マップとロケーションの多様性
多彩な戦場
FOR HONORのマップは、各陣営の領地に対応した多様なロケーションがある。
騎士の石造りの城、侍の日本風の砦、ヴァイキングの雪原の砦、武林の東洋風の宮殿。マップごとにビジュアルの雰囲気が大きく異なり、毎回同じ景色でプレイする単調さがない。
崖や奈落(落下死ゾーン)がマップに組み込まれており、相手を崖から突き落とすキルも可能だ。「崖キル」は戦術のひとつとして確立されており、崖際の攻防もFOR HONORの面白さのひとつになっている。
マップの環境ギミック
一部のマップには環境ギミックがある。火が燃えていて触れるとダメージを受けるエリア、落ちると即死の奈落、重いトラップなど。これらのギミックをうまく使うかどうかも、上級者と初心者を分ける要素のひとつだ。
特に奈落(崖からの落下)は、ゲームバランス上の論点になることもある。「落とすのがうまいプレイヤーに対してどう対策するか」という議論はコミュニティで定期的に起きる。「崖際を押すプレイスタイル専門」のプレイヤーが一定数いて、対策を知らないと何度も同じやられ方をすることになる。
FOR HONORのマップは追加が続いており、2026年時点で20マップ以上が存在する。各マップに得意な陣営・不得意な陣営があるという議論もコミュニティで盛んだ。
FOR HONORとDark Souls III——ソウルライク系の剣戟ゲームとの違い
近接格闘を楽しみたい人が候補として挙げることがある、Dark Souls IIIとFOR HONORの違いについて触れておく。
Dark Souls IIIは言わずと知れたフロム・ソフトウェアの傑作ソウルライクアクションRPGで、剣や盾を使った緊張感のある近接戦闘が核心にある。特にPvP(対人戦)での剣戟は、FOR HONORとよく比較される。
ただし、根本的な方向性は異なる。Dark Souls IIIはアクションRPGであり、キャラクタービルドや装備選択が戦闘に大きく影響する。FOR HONORは純粋な格闘対戦ゲームで、スキルの読み合いだけが勝負を決める。
「対人での剣戟の緊張感を楽しみたい」という点では共通するが、「RPG的な育成と装備選択を楽しみたいか」「純粋な格闘スキルの読み合いを楽しみたいか」で向いている作品が変わる。
FOR HONORに最も近い近接格闘の楽しさを持つゲームとして、マウント&ブレード ウォーバンドを挙げるプレイヤーもいる。ウォーバンドも武器を使った対人戦が楽しめる歴史的な近接戦闘ゲームで、FOR HONORとは設計思想がかなり異なるが、「剣や斧で人と戦う」感覚を追い求めるプレイヤーが両方を語ることは多い。

FOR HONORとNARAKA BLADEPOINT——近接武器ゲームの比較

NARAKA BLADEPOINTも近接格闘を中心に据えたゲームで、FOR HONORとよく比較される。
NARAKA BLADEPOINTは中国の仙侠風世界観のバトルロワイヤルで、日本刀や大刀などを使った近接戦闘が特徴だ。鉤縄(グラップリングフック)を使った立体的な移動と近接・遠距離武器を組み合わせた戦闘スタイルは、FOR HONORとは全く異なる。
FOR HONORが「固定のキャラクターを選んで対人ラウンド制で戦う」のに対して、NARAKA BLADEPOINTは「バトルロワイヤル形式で最後の1人を目指す」という違いがある。

「刀剣を使ったアクション対戦」を楽しみたいという動機は同じでも、ゲームの実際の体験はかなり違う。両方試して自分に合う方を選ぶのがいいと思う。
FOR HONORが「内側からじっくりキャラクターを育てていく近接格闘」を楽しめるゲームであることは間違いない。NARAKA BLADEPOINTとの最大の違いは、「1対1の読み合いの深さをとことん追求する設計かどうか」という点だ。
FOR HONORの問題点——正直に書く
マッチメイキングの問題
FOR HONORで最もよく挙がる問題がマッチメイキングだ。
プレイヤー数が減少した現在、特定の時間帯や特定のモードでは、経験値が大きく異なるプレイヤーが同じマッチに入ることがある。「始めたばかりのプレイヤー対3000時間のベテラン」という組み合わせは、FOR HONORのような技量格差が大きく出るゲームでは特につらい。
新規がボコられて辞めていく構図が変わってない。せっかく無料で入ってきた人が最初の数時間で折れる。マッチメイキングの改善が8年経っても完全には解決してない。
引用元:Redditコミュニティ投稿
Ubisoftも新規プレイヤー向けの「新規限定マッチ」的な仕組みを過去に試みてきたが、プレイヤー数の問題から理想的な実装は難しい状況が続いている。
学習コストと「壁」の高さ
FOR HONORの学習コストは、同ジャンルと比べても高い。
格闘ゲームのように「コマンドを覚える」という壁ではなく、「相手の動きを読む」という感覚的な壁だ。この壁を乗り越えるまでの時間、ほぼ一方的にボコられる。この体験が「新規が定着しない」問題の根本にある。
Ubisoftも新規プレイヤー向けのサポートを継続的に改善してきているが、Art of Battleの本質的な難しさは変えられない。それがFOR HONORの魅力でもあるからだ。「簡単になったらFOR HONORじゃなくなる」という意見が、コミュニティの中には根強くある。
接続問題とサーバー品質
FOR HONORは以前、P2P(ピアツーピア)接続を採用しており、接続の安定性に問題があった。一方がホストになる構造で、ホストのラグが試合全体に影響した。「相手がネット回線を意図的に不安定にして優位に立つ」という問題も報告されていた。
2018年のアップデートでDedicated Server(専用サーバー)が導入され、接続品質は大幅に改善した。ただ、地域によっては今でも遅延を感じる場合があり、「サーバーが安定していない」という声は完全にはなくなっていない。
Ubisoft Connectの存在
FOR HONORはUbisoftのゲームなので、SteamでもUbisoft Connect(Ubisoftのゲームランチャー)を通じてプレイする必要がある。
「二重ランチャーが面倒」という声は、Ubisoftゲームに共通する批判だ。Steamから起動すると自動でUbisoft Connectが立ち上がり、アカウント連携が必要になる。初回の設定は多少手間だが、一度設定すれば以降は比較的スムーズだ。
Ubisoft Connect自体の動作が重い、または不安定な場合があるという声も散見される。「ゲームを起動しようとしたらUbisoft Connectでエラーが出た」という経験をしたプレイヤーは少なくない。
Warhammer Darktideとの共通点——武器で斬る快感
近接武器による戦闘が楽しいゲームとして、Warhammer Darktideも同じ棚に並べることができる。
Darktideはチーム協力型のシューターで、近接武器と銃器の両方を使って大量の敵を倒すゲームだ。FOR HONORとは全く異なるゲームモードだが、「武器で敵を斬る」という体験の満足度は共通して高い。

ただし、Darktideがコープ(協力プレイ)中心であるのに対して、FOR HONORは対人戦が主体だ。「ヒリついた読み合いを楽しみたい」ならFOR HONOR、「仲間と協力して敵の大群を倒したい」ならDarktideという使い分けになる。近接武器に惹かれる人が両方試してみるのも面白い選択肢だ。
Eternal ReturnやOff The Gridとの比較——対人戦ゲームの多様性

対人戦ゲームとしての文脈で、Eternal ReturnやOff The Gridと比較されることもある。
Eternal Returnはバトルロワイヤル×サバイバルの組み合わせで、対人戦の比重はFOR HONORとは全く違う。FOR HONORが「純粋な近接格闘の読み合い」に特化しているのに対し、Eternal Returnはキャラクター育成とサバイバル要素が混ざる。

Off The Gridはサイバーパンク世界のバトルロワイヤルで、銃器が中心の戦闘だ。「対人戦の駆け引き」という意味では共通点があるが、FOR HONORの近接格闘とは全く別の体験になる。

「近接格闘の読み合い」に特化したゲームを求めるなら、やはりFOR HONORは現時点でほぼ唯一に近い選択肢だ。他のジャンルと比較したとき、このゲームの「代替品のなさ」が逆に強みになっていることがわかる。
FOR HONORのこれから——2026年以降の展望
継続するアップデート
2026年時点で、FOR HONORはまだアップデートが続いている。Ubisoftがいつまでサポートを続けるかは公式発表はないが、少なくとも現時点では毎シーズンのコンテンツ追加が続いている状況だ。
ただ正直に書くと、大型展開への期待感は薄くなっている。新ヒーロー追加やシーズナルイベントは続いているが、「これが来たら大きく変わる」というほどの施策は見えていない。ゲームとしての完成度は高いが、コミュニティを大幅に拡大するような動きは現時点では確認できない。
競合タイトルの登場可能性
「FOR HONORと同じコンセプトのゲームが出てきたら」という仮定は、コミュニティで定期的に話題になる。近接格闘に特化した対人ゲームへの需要は確実にあり、それを正しく実装できれば大きな市場があるはずだ。
ただ、Art of Battleの洗練度に匹敵するシステムを作り上げるのは容易ではない。FOR HONORの8年間のバランス調整の歴史は、そのシステムの複雑さと完成への道のりを示している。後発タイトルが同じ体験を提供するには、相当な時間と開発コストが必要になる。
Ubisoftがサポートを継続する限り、FOR HONORはこのジャンルの筆頭タイトルであり続けるだろう。
コミュニティの継続的な活動
プレイヤー数そのものより、コミュニティの「質」がFOR HONORの継続を支えている面が大きい。Reddit、Discordサーバー、YouTubeの攻略コミュニティは2026年時点でも活発に動いていて、新規プレイヤーの質問に答える文化が根付いている。
「初心者だけど質問していいですか」という投稿に丁寧に答えるベテランの姿は、コミュニティの健全性を示している。もちろん全員がそういうわけではないが、攻略コミュニティの厚さはFOR HONORの大きな資産だ。
新規プレイヤーに伝えたいこと——最初の壁の越え方
チュートリアルとキャンペーンを先にやる
FOR HONORを始めるなら、チュートリアルとキャンペーン序盤を先にクリアすることを強くすすめる。
特にチュートリアルは全部やること。「こんな動き、実戦で使う?」と思うものも含めて、一通りやっておく。Art of Battleの基本的な概念——ガードの方向、ガードブレイク、その返し方——を手に覚えさせることが最初の目標だ。
チュートリアルを終えたらキャンペーンの序盤ミッションを数本クリアしよう。ここでAIを相手にフェイントやチェーンアタックを試してみると、オンラインで見知らぬ人を相手に試すよりずっと学習効率が上がる。
最初の陣営・ヒーローの選び方
最初は各陣営のスターターヒーローから選ぶ。ウォーデン(騎士)、ケンセイ(侍)、レイダー(ヴァイキング)あたりは、初心者向けとして設計されており、基本的なスキルを学ぶのに向いている。
「見た目で好き」と思ったキャラクターを選ぶのも正解だ。テンションが上がるキャラクターを使うと、負け続けても「もう一回やろう」という気持ちになりやすい。
注意したいのは、複数のキャラクターを同時進行で学ぼうとすること。最初は1キャラクターに絞って、そのキャラクターのコンボ、ガードブレイクのタイミング、フェイントの出し方を集中して練習した方が上達が早い。
最初に覚えるべき戦術的な考え方
FOR HONORで最初に習得すべき戦術的な考え方をいくつか挙げる。
まず「崖の近くで戦わない」。崖際で戦うと、相手のガードブレイクで落とされやすい。最初のうちは崖から離れた場所で戦うことを意識するだけで、不要な死が減る。
次に「スタミナを見る」。自分のスタミナバーを意識的に見る習慣をつける。スタミナが残り少なくなったら、攻撃を控えてスタミナの回復を待つ。スタミナ切れでバテるのは、最初の段階では最も避けるべき状況だ。
そして「死んだら理由を考える」。「また死んだ」で終わらず、「なぜ死んだか」を毎回考える。「フェイントに引っかかった」「ガードブレイクを返せなかった」「スタミナが尽きていた」という具体的な敗因を積み上げていくことが、FOR HONORの成長の核心だ。
負け続けることを受け入れる
最初の50〜100時間は、多く負けることを覚悟してほしい。これはゲームが理不尽なのではなく、Art of Battleの学習曲線がそういう設計になっているからだ。
重要なのは「なぜ負けたか」を考え続けること。「ガード方向が間に合わなかった」「フェイントに引っかかった」「スタミナを使いすぎた」——敗因が具体的に見えてきたとき、上達が始まる。
「負けても悔しくない」ゲームより「悔しいから次が来る」ゲームの方が長く続く。FOR HONORはその「悔しい」を生み出すのがうまいゲームだと思う。
引用元:Steamレビュー
まとめ——FOR HONORは「選ぶ覚悟」が必要なゲーム
FOR HONORは万人向けではない。これははっきり言える。
Art of Battleシステムの学習コストは高く、最初の数十時間は「なぜ勝てないか」すら分からない期間が続く可能性がある。マッチメイキングの問題、プレイヤー数の減少、Ubisoft Connectの二重ランチャー――批判できる点は確かにある。
でも、Art of Battleを理解した先に見えるもの――相手の攻撃を読んでガードを合わせ、フェイントを返して崩し、スタミナ管理を意識しながら1対1を制する体験――これは他のゲームではなかなか得られない。「武器を使った対人格闘でここまで読み合いが深いゲームは他に知らない」と言うプレイヤーが、8年経っても一定数いる理由は、確かにそこにある。
騎士・侍・ヴァイキング・武林。どれかが心に刺さるなら、試してみる価値は十分にある。基本無料なので、試すコストはゼロだ。
「最初の壁を越えられるか」――それがFOR HONORを楽しめるかどうかの、たったひとつの条件だ。壁の向こうには、8年分の積み上げが待っている。
フォーオナー
| 価格 | ¥4,180 |
|---|---|
| 開発 | Ubisoft Montreal, Ubisoft Quebec, Ubisoft Toronto, Blue Byte |
| 販売 | Ubisoft |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows |
| プレイ形式 | シングル / マルチ |

