「MONSTER HUNTER RISE」翔蟲が変えた14武器×百竜狩猟の世界

初めてモンスターハンターライズを起動した夜、気づいたら朝になっていた。

「なんか軽そうだな」という第一印象は、ものの10分で消え去った。マガイマガドに初めて挑んで、予測できない動きに何度もカートして、それでも「もう一回」と手が動く。あのループに入った瞬間、このシリーズが長年愛されている理由が分かった気がした。

モンスターハンターライズは2021年3月にNintendo Switchで発売され、同年10月にSteam版が配信された。発売から1年でシリーズ最速の1,000万本出荷を達成したモンスターハンターワールドの記録に続き、ライズも瞬く間に1,300万本を超えるセールスを記録した。カプコンのタイトルとしては圧倒的な実績だ。

2022年6月には大型拡張コンテンツ「サンブレイク」が配信され、Switch・Steamの両方で同時リリースされた。このサンブレイクが本当に良くて、ライズ本体だけで満足していたプレイヤーたちをもう一度引き戻した。三期団というまったく新しい勢力が登場し、マスターランクという新しい難易度帯が追加され、ストーリーも大きく広がった。

「ハンティングアクションの集大成」というよりは、「シリーズのいいとこ取りをしつつ新しい何かを加えた」というのがライズの正直な印象だ。ワールドの重厚さとは違う方向性で、軽快さとスピードを前に出した。縦横無尽に飛び回る「翔蟲(かけりむし)」という新アクションがあることで、過去作とは別物の気持ちよさがある。

ここでは、ライズがどんなゲームなのか、どこが他のモンハンと違うのか、そして何がそこまで人を夢中にさせるのかを全部書いていく。これから始めようか迷っている人にも、ワールドで止まっていてライズに乗り換えようか悩んでいる人にも、参考にしてほしい。

目次

翔蟲アクションとシリーズの転換点——ライズが変えたもの

モンスターハンターライズを語るうえで、翔蟲(かけりむし)の話は避けて通れない。

翔蟲とはハンターの腕に巻きついている虫で、2匹を使ったワイヤーアクション「翔蟲アクション」が本作の一番の目玉だ。地面に設置されてジャンプのテンポを掴む足場のような使い方もできるし、空中で発動して水平方向に飛んだり、崖の上まで一気によじ登ったりもできる。過去作で「高低差に弱い」とされていたモンスターとの立ち回りが、翔蟲ひとつで劇的に変わった。

「翔蟲はチート」という声も一時期あった。確かに最初のうちは、翔蟲でどこへでも行けるせいで難易度が下がったように感じる部分もある。でもそれは表面だけの話で、上位・マスターランクになってくると、翔蟲をどのタイミングで使うかの判断が勝敗を分けてくる。「回避に翔蟲を使うか、攻撃に使うか」「モンスターが傷ついた部位に飛び乗るために翔蟲をとっておくか」——この判断がプレイヤーの深さを作っている。

翔蟲を使った派生アクション「翔蟲アクション(各武器固有)」も大きなポイントだ。武器ごとに固有の翔蟲アクションが設定されていて、操虫棍なら空中から急降下攻撃、大剣なら上空から叩きつけるような技が使える。全14種の武器がそれぞれ違う形で翔蟲を活用する設計になっていて、「この武器の翔蟲アクション、意外に強い」という発見が何度もあった。

翔蟲アクション使いこなせてくると別ゲーになる感覚ある。最初は「ただのワイヤー」思ってたけど使いどころを覚えてから面白さが3倍になった

引用元:Steamレビュー

モンスターハンターシリーズは過去作によって「重さ」の感触がかなり変わる。旧来の作品(トライ、3G、4、4G時代)では、攻撃のモーションが長く、一発入れた後の隙が大きく、「重くて硬い」戦闘スタイルが特徴だった。ワールドでこれが少し緩和されて機動性が上がり、ライズでさらに大きく変わった。

ライズの戦闘は全体的にテンポが速い。モンスターの攻撃をかわす「ジャスト回避」が容易になり、各武器にアグレッシブな攻撃動作が増え、隙を詰めやすくなった。「攻め続けることで報酬が得られる」設計に寄っている。これをポジティブに取る人と「重さが失われた」と取る人に分かれていて、旧来のシリーズファンが反応に温度差を見せていたのも面白い現象だった。

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ただ一点強調しておきたいのは、ライズはモンハンシリーズの入門として非常に優秀という点だ。チュートリアルが丁寧で、序盤の難易度のスロープが緩やか。それでいて終盤のマガイマガド亜種や、サンブレイクのガイアデルム、エスピナス亜種など、ベテランプレイヤーが何度もカートするほどの強敵もしっかり用意されている。「難しすぎてついていけない」と「簡単すぎて飽きる」のどちらにも振れていない、よくバランスが取れた設計だと思う。

14種の武器と戦闘スタイル——自分だけの「型」を探す楽しさ

モンスターハンターライズには14種類の武器が存在する。近距離の大剣・太刀・片手剣・双剣・ハンマー・狩猟笛・ランス・ガンランス・スラッシュアックス・チャージアックス・操虫棍の11種と、遠距離の弓・ライトボウガン・ヘビィボウガンの3種だ。

「14種類もあって迷う」という声をよく聞くけれど、ライズの良いところは試し打ちがしやすい点にある。武器の切り替えにコストがかからず、訓練場(里の鍛冶屋横にある)でいつでも全武器を試せる。試し打ちをして感触を確かめながら自分に合ったものを探せる設計なので、「どれが正解か」より「どれが楽しいか」で選んでいい。

大剣は攻撃動作がゆっくりしていてモーション値が高い、いわゆる「重量武器」の代表格だ。溜め斬りで1000超えのダメージが飛ぶ爽快感は他の武器にない独自の体験で、「攻撃を当てるまでの読み合い」に醍醐味がある。モンスターの行動パターンを覚えて「ここで溜め斬りが入る」と見切ったときの達成感はひとしおだ。

大剣は難しいけど溜め斬り1発決めた時の快感がやばすぎて他の武器に乗り換えられなくなった。チャンス逃してもゆっくり次のチャンス待つ我慢のゲームが好きな人に向いてると思う

引用元:Steamレビュー

太刀はシリーズ通じて人気No.1に近い武器で、ライズでもその傾向は変わらない。見た目のかっこよさと、気刃ゲージを使ったリズム感のある攻撃が特徴だ。ライズで追加された「居合い抜刀気刃斬り」(いわゆる「桜斬り」)は判定が強力で、モンスターの攻撃を弾きながら反撃できる。気刃ゲージの管理と、モンスターのモーションを読んでのカウンターが絡み合う、熟練度が出やすい武器だ。

双剣は手数の多さが売りで、翔蟲との相性も良い。乱舞をばらまきながら翔蟲で回避するプレイスタイルは脳に快感物質が出るタイプの遊び方で、特にガード不能な攻撃が多いモンスター相手では安定しやすい。ただし消耗も激しいので、スタミナ管理と回復アイテムの使い方をしっかり理解する必要がある。

操虫棍はライズで特に強化された武器のひとつだ。翔蟲アクションとの相性が抜群で、空中から攻め続けることが可能。虫「猟虫」を操って印を集めるシステムも独自性が高く、猟虫ごとに性能が変わるので自分なりの育て方もある。見た目のド派手さも操虫棍の魅力で、「空中に浮きながらリーチの長い武器を振り回す」スタイルはとにかく映える。

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ヘビィボウガンは遠距離武器の中でも特に破壊力が高く、散弾や貫通弾を使って離れた位置から一方的に削るスタイルが得意だ。ただしモーションが重くて回避が難しいため、モンスターの攻撃をどう捌くかの知識が求められる。「ガンナーは楽」と思いがちだけど、ヘビィの場合は立ち回りの難易度がけっして低くない。

チャージアックスは「習得に時間がかかるが使いこなせると最強格」という評価が定着している複雑系武器だ。剣と斧のふたつのモードを切り替えながら戦い、ビンに溜めたエネルギーを超高出力解放攻撃(いわゆる「UEDGぶっぱ」)で爆発させる。最初は何をしているのかよく分からないけれど、コンボが分かり始めると急に手が止まらなくなる。コスパ面ではライズで多少使いやすくなったと評価されていた。

ハンマーは頭部への打撃ダメージと気絶値の蓄積が得意で、モンスターを気絶させてから連続攻撃を叩き込む爽快感が特徴だ。シンプルに見えてモンスターの頭を狙い続けるための立ち回りの正確さが問われる、見た目以上に奥深い武器だ。マルチプレイではスタンを取ることでチーム全体を助けられる役割を担い、「縁の下の力持ち」的な満足感もある。

この武器の多彩さがモンスターハンターシリーズを長寿コンテンツにしている一因だと思う。「このモンスターには何の武器が有効か」「新しい武器に乗り換えてみよう」「この武器種でマスターランクSをクリアしてみよう」——遊び方の広がりが無限に近い。

百竜夜行とシステム周り——ライズ独自の要素を整理する

モンスターハンターライズには、通常のモンスター討伐クエスト以外に「百竜夜行」という独自モードがある。

百竜夜行は、複数のモンスターが一斉にカムラの里に押し寄せてくる防衛戦だ。設置型の大砲や石弓などの「拠点兵器」を使いながら押し寄せる大量のモンスターを捌き、最終的に到来する「百竜ノ頂点」と呼ばれる巨大モンスターを撃破するのが目標になる。

個人的にはメインクエストとは別の「息抜き要素」という位置づけで楽しんだ。タワーディフェンス的な感覚で、いつものアクション性から少し外れた楽しみ方ができる。装備に付けられる「百竜スキル」はここで獲得できる素材で作れるものもあり、最終装備を考えるうえで避けて通れないコンテンツでもあった。

百竜夜行は最初「なんでこのゲームにタワーディフェンスが…」って思ったけど慣れたら楽しいし、限定の武器スキルのために周回する動機にもなってる

引用元:Steamレビュー

傀異化モンスターとスキル周りの話もしておきたい。サンブレイクで登場した「傀異化モンスター」は、通常個体より強力で予測しにくい攻撃を持つ。傀異化モンスターを倒すと「傀異化素材」が手に入り、これを使って既存装備を「傀異錬成」で強化できる。傀異錬成はランダム要素を含む強化で、「良いスキルが出るまで何度も回す」いわゆる「錬成ガチャ」の要素があって、エンドコンテンツとしての無限の周回動機を生み出している。

スキルシステムはシリーズを通じて大きく変わっていないが、ライズでは「鎧玉スキル」と「百竜スキル」の組み合わせが新しい要素だ。防具についているスキルを装飾品(護石)で補強しながら、自分の武器・スタイルに合ったスキル構成を作っていく過程は、ゲームの中でも指折りの楽しみだ。

護石の厳選(欲しいスキル組み合わせの護石を入手するための周回)がライズのエンドコンテンツのひとつになっていて、Steamの起動時間が数百時間に届くプレイヤーの多くはここでハマっている。「いい護石が出た」「ずっと欲しかった発動条件の護石が来た」という喜びは、ソシャゲのガチャとは違う種類の達成感があって、課金を必要としない「時間で報われる」設計が好印象だ。

傀異討究クエストはサンブレイクのエンドコンテンツで、特定モンスターの傀異化個体と戦う高難度クエストだ。傀異討究クエストは調査クエストとして解放・共有ができ、プレイヤー間でクエストを持ち寄ってマルチプレイで挑む文化が生まれた。コミュニティ的な盛り上がりはこのあたりから来ているところも大きい。

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里クエストと集会所クエストの両立というシステムもライズの特徴だ。過去作ではソロ向けの「村クエスト」と、マルチ向けの「集会所クエスト」が別々に存在して、最終装備は集会所側にしかなかった。ライズでは「里クエスト」でもほぼすべての素材とモンスターに出会えるようにし、ひとりでもコンテンツを楽しみ切れる設計にした。

これは大きな改善点だと思う。「ソロプレイヤーが集会所に無理やり進出しなくていい」「マルチが苦手な人でも詰まらない」という配慮がある。実際にSteamでもソロで200時間以上プレイしているレビューはかなり多く、ソロコンテンツとしての完成度の高さは間違いない。

マルチプレイとコミュニティ——野良でもフレンドとでも

モンスターハンターライズのマルチプレイは最大4人で、集会所クエストでオンラインマッチングができる。過去作と比べてマッチングの仕組みがシンプルになり、フレンドとのセッションへの合流が素直にできるようになった。

里クエストは基本的にソロ向けだが、集会所のクエストは野良マッチングも可能だ。ロビーに入ってクエストを貼り、部屋に入ってきた人と一緒に討伐する流れはシリーズを通じて変わらない。Steamのグローバルなプレイヤー層と遊べるという点も、Switch版との大きな違いだ。

日本語のコミュニティはDiscordサーバーやRedditの日本語フォーラムにも複数あり、「この武器のスキル構成どう思う?」「傀異討究クエストのクリア動画あげたから見て」というやり取りが2024年時点でも続いていた。サンブレイクのアップデートが一段落した後もコミュニティが息づいているのは、純粋にゲームの完成度の高さを示していると思う。

モンハンは一人でも楽しいけど友人4人で素材集めしながらワイワイするのが最高。距離が離れていても同じモンスターをみんなで倒してる一体感は独特。ライズはマッチングがスムーズで遊びやすくなった

引用元:Steamレビュー

4人でのマルチは戦略性が一気に変わる。ソロではひとつひとつ見極めながら攻撃するスタイルが中心だが、4人になるとモンスターが怯んだり、ダウンした状態になる頻度が上がって、大技を連発する展開になりやすい。特に気持ちいいのが「全員で同時に大技を当てて一気に削り切る瞬間」で、あれは4人じゃないと味わえない体験だ。

一方で、マルチで「強い人に運んでもらって素材だけ入手する」いわゆる「キャリー」問題はどのモンハンでも話題になる。ライズでも集会所クエストに強い装備で野良に来る初心者と、逆に装備をガチって臨んでいる人が混在することがあり、温度差が生じることはある。ただ、コアな部分でトラブルになるケースは少なく、モンハンのマルチ文化全体としては温かみのある雰囲気が維持されているほうだと思う。

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面白いのは、Switch版とSteam版でマルチプレイのコミュニティの温度感が若干違う点だ。Switch版はカジュアル層が多く、Steam版はより熱量の高いプレイヤーが集まる傾向がある。Steam版のレビューを見ると、操作面での高評価(翔蟲の操作がコントローラーで快適、キーボード&マウスでも十分遊べる)が多い一方で、「Switch版との人口分散がある」という指摘もあった。

クロスプレイについては、Switch版とSteam版はマルチプレイできない点は注意が必要だ。それぞれのプラットフォームで独立したオンラインコミュニティになっている。友人がSwitch版を持っているならSteam版では一緒に遊べないので、購入前に周りのプレイヤーが何で遊んでいるかを確認しておくといい。

ストーリーと世界観——カムラの里と三国の物語

モンスターハンターライズの舞台は「カムラの里」という東洋風のファンタジー集落だ。過去作はヨーロッパ的な石造りの拠点が多かったが、ライズは和のテイストを全面に押し出している。カムラの里の建物は木造、装備のデザインは甲冑・着物・刀を意識したものが多く、登場する人物もいかにも東洋的な名前と衣装を持つ。

ストーリーはハンターとして百竜夜行と呼ばれる大規模なモンスター群の来襲から里を守る任務を軸に展開する。メインクエストを進めるほど里の人々との関係が深まり、「里を守らなければ」という感情移入がしやすい設計になっている。

サンブレイクではカムラの里から離れ、「エルガド」という異国の拠点が新たに登場する。傀異症という新たな脅威と、それに立ち向かう三期団との邂逅がストーリーの軸で、規模感がライズ本体より大きく、RPG的な満足感がある。サンブレイクの追加シナリオは全体的に好評で、「本体より面白い」という声もSteamのレビューに散見された。

サンブレイクのラストバトルは久々にモンハンでゾクっとした。ストーリーに期待してなかっただけに余計に刺さった。EDのムービー見ながらしばらく動けなかった

引用元:Steamレビュー

拠点の住人も個性豊かで、特にカムラの里の「案内嬢」フィオレーネと「オトモアイルー」のアイルー・ガルクの掛け合いは、ゲームの息抜きとして機能していた。フィオレーネはシリーズでも珍しい「プレイヤーと一緒に成長するNPC」的な描写があり、メインクエストのエンディングシーンでは感情的になったプレイヤーが多かった。

オトモアイルー・オトモガルクについても触れておきたい。ライズではソロプレイ時にアイルーとガルクの2体を連れて行けるようになり、アイルーは回復や攻撃サポート、ガルクは乗り物として移動速度を上げてくれる役割を担う。ガルクに乗りながら素早く移動するのはライズ独自の快感で、移動の気持ちよさをさらに押し上げている要素だ。アイルーとガルクの装備も別途揃えられるので、ここもコレクション的な楽しみがある。

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ライズの世界観は装備デザインにも色濃く反映されていて、和テイストのシリーズ特有の「変なコンセプトを意匠として活かした武器・防具」がたくさん存在する。「このモンスターの素材でこんな甲冑が作れるのか」という驚きが毎回あって、見た目だけで装備を揃えたくなるコレクション要素がある。ファッションハンターと呼ばれる「強さより見た目重視で装備を選ぶ」スタイルはシリーズの文化として根付いていて、ライズでもその文化は息づいていた。

モンスターのバリエーションと狩猟体験——印象に残ったハンティング

モンスターハンターライズ(サンブレイク含む)には、新規モンスターと過去作からの復活モンスターを合わせて100体以上が登場する。このボリュームは過去のシリーズと比較しても充実していて、「どれだけ遊んでも新しい相手が出てくる」という感覚を維持できている。

新モンスターの中でも特に印象に残ったのはマガイマガドだ。ライズのメインモンスターとして扱われているこの鬼蛛とでも言うべき存在は、長い腕と奇怪な動きで翻弄してくる。「百竜の頂点」という設定を持ちながらも、ストーリーの中に感情的な文脈があって、単なるボスモンスター以上の存在感がある。

ビシュテンゴはニホンザルをモデルにしたモンスターで、雪山のフィールドで縦横無尽に飛び回る。翔蟲を使って空中を追いかけながら攻撃するシーンがとにかくスピード感があって、ライズのコンセプトをよく体現したモンスターだと感じた。

ナルハタタヒメは「天を統べる女王」という設定を持つ雷属性の巨大モンスターで、その名の通り格の違うスケール感がある。攻撃範囲が広く、ライズ終盤の関門として多くのプレイヤーが苦労させられた。初めてクリアしたときの達成感はシリーズでも上位に入ると思う。

ナルハタタヒメ初見は絶望した。あんな攻撃全部覚えられるわけないじゃんって。でも10回くらい挑んでいつの間にかパターン把握してたとき、これがモンハンの楽しさだと思い出した

引用元:Steamレビュー

サンブレイクで追加されたモンスターの中でとりわけ評判が高いのはエスピナスだ。外見がとげとげしいドラゴン系のモンスターで、サンブレイク序盤のアイコン的存在。攻撃パターンが読みにくく、サンブレイク開始直後に多くのプレイヤーが壁にぶつかった。亜種の「エスピナス亜種」「エスピナス希少種」も難易度が高く、シリーズファンの間でも強モンスターとして話題になった。

ガイアデルムはサンブレイクのラスボスで、その演出と戦闘の完成度が非常に高い。「傀異化」という本作テーマを体現した存在で、第2形態への変形演出とBGMの変化が特に好評だった。ラスボスとして正しいインパクトを持っていて、サンブレイク全体のクライマックスを締めくくるのにふさわしい相手だった。

過去作からの復活組では、ガランゴルムとドドブランゴが特にSteamのプレイヤーから「久しぶりに再会できてうれしい」という声が多かった。初めてライズで遊ぶ若いプレイヤーには新モンスターとして映るが、旧来のファンには「あ、懐かしい!」という感情を呼び起こすキャスティングになっている。こういう過去作ファンへの配慮がモンスターハンターシリーズの層の厚さを作っている。

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素材収集と武器・防具の強化の流れは、ライズでも変わらず「このモンスターを倒せばこの装備が作れる」という明確な動機付けがされている。「次の装備を作るために今のモンスターを周回する」→「新しい装備が揃ったら次のモンスターに挑む」という正のフィードバックループが完成していて、これがモンハンシリーズの根幹だ。

ライズではさらに「傀異錬成」によるエンドコンテンツのループが加わり、「ベストな錬成結果を求めて傀異化モンスターを周回する」という動機が最終盤に現れる。このループはかなり深くて、Steam上での高プレイ時間(300時間、500時間という報告)はほとんどがこの傀異錬成ループで積み上がっている。

Steamでのプレイ環境とパフォーマンス——PC版ならではの話

2021年1月にSteam配信されたモンスターハンターライズは、発売直後からSteamの同接数で上位に入り込むほどの盛り上がりを見せた。PC版としての完成度も高く、グラフィック設定の幅が広いため、ローエンドのマシンでも遊べるし、ハイスペックなPCでは解像度とフレームレートを上げたリッチな体験ができる。

推奨スペックはCPUがCore i7-4770かRyzen 5 1600、GPUがGTX 1060かRX 5500XT、RAM 8GB程度で、2021年当時のミドルクラスPC以上なら問題なく動く設定だ。フレームレートの上限設定がなく、高性能GPUを積んでいれば120fpsや144fps以上で遊べるのも嬉しい点だ。

Switchからの乗り換えだったけど60fps以上で動かすだけで別ゲーみたいに気持ちよくなった。翔蟲アクションが特にヌルヌル動いて感動した

引用元:Steamレビュー

MODについても触れておきたい。Nexus Modsにはライズ向けのMODが大量に公開されていて、見た目のスキン変更、UIの改善、難易度調整など多岐にわたる。公式のMOD対応タイトルではないので自己責任になるが、シングルプレイでの見た目カスタマイズを楽しんでいるプレイヤーは多い。オンラインマルチプレイでのMOD使用は他のプレイヤーへの影響がある場合があるため推奨されていない点は注意が必要だ。

コントローラーとキーボード&マウスどちらでも快適に遊べる設計になっている点も評価が高い。Switch版と同じボタン配置をコントローラーで再現できるので、Switch→Steam移行でも戸惑いが少ない。一方でキーボード&マウスプレイヤーも十分対応できるキー配置で、FPSやMMOに慣れたPC中心プレイヤーが入りやすい環境だった。

一点問題として指摘されているのは、Steam版のオンラインについてだ。シリーズ最大人気作のモンハンワールドと比較すると、Steam版ライズのオンライン人口は少ない時間帯があり、特に集会所のマッチングで待ちが出ることがある。これは2023年以降の傾向で、サンブレイクの更新が一段落してプレイヤーが一部離れたことが原因だ。とはいえ、ピーク時間帯には問題なくマッチングできるし、フレンドとのプライベートセッションにはまったく影響しない話だ。

ゲームパスへの対応はなく、購入は本体とサンブレイクで別売りになっている。セールではかなり大幅に値下がりすることもあるので、Steamのウィッシュリストに入れておいてセール時に購入するのが賢いやり方だ。

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ライズの良いところと気になるところ——本音で書く

ここまで良い面を中心に書いてきたが、正直に気になる点も書いておきたい。

まず「ライズ本体の序盤はやや簡単」という点だ。翔蟲があることで回避が容易で、下位・上位を通じてカートしにくい。特にモンハン経験者には「難易度が低い」と感じる局面が多い。これは設計の意図(ライズを入門作にしたい)から来ている面もあるが、やりごたえを求めて始めた人が拍子抜けするケースがある。

この点はサンブレイクで大きく改善されていて、マスターランク以降は難易度が急に上がる。でも「ライズ本体の数百時間ぶん」を遊んでからサンブレイクというのは、過去作を知っている人には「やや遠回り」に感じることもある。「サンブレイクまでセットで買う」か「ライズ本体だけ買って様子見する」かは悩みどころだ。

ライズ本体だけだと物足りないかもと思ったけどサンブレイク入れたら一気に沼にはまった。最初からセット版買えばよかった

引用元:Steamレビュー

次に「ワールドとの比較で評価が分かれる」問題だ。ライズのSteamレビューでは「ワールドが好きならライズも好きになれる」という評価と「ワールドのほうが世界の作り込みが上」という評価が共存している。ワールドはフィールドの生態系の作り込みが特に評価されていて、モンスターが本当に「生きている」ように見える密度があった。ライズはフィールドの雰囲気は和テイストで個性的だが、「生態系の密度」という観点ではワールドに軍配が上がるという意見は納得できる。

「百竜夜行が微妙」という声も根強い。前述したようにタワーディフェンス的な要素は好みが分かれる。メインクエストとの分断感があって、「やらされている感」を感じるプレイヤーもいた。エンドコンテンツとしての百竜ノ頂点は面白いけど、それに至るまでのフローに冗長さを感じる人がいたのは事実だ。

サンブレイクの傀異錬成は「ガチャ感がある」という批判も一部にある。欲しいスキル構成が出るまで素材を使い続けるリソース管理とランダム性の組み合わせは、長時間プレイを促進する設計だが、「確率に翻弄される作業感」を感じるプレイヤーもいた。

ただ総じて見ると、ネガティブな意見の多くが「自分がライズに期待していたものと違った」というズレから来ている印象で、ライズ・サンブレイクをそれ自体として評価すると完成度は高い。Steamのレビュー評価が「非常に好評」を維持している事実が、それを端的に示している。

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モンスターハンターライズ サンブレイクのここがすごい——拡張の完成度について

サンブレイクは「有料DLC」という言葉では表現しきれないくらいのボリュームがある。ストーリーの長さ、新モンスターの数、新アクション「入れ替え技」の追加、新しいフィールド——どれをとってもほぼ独立した一本のゲームに近いコンテンツ量だ。

入れ替え技はサンブレイクで追加された武器の大幅強化要素で、各武器に追加の技を設定できるシステムだ。ベースの武器アクションに加えて、2つ以上の「入れ替え技」の中から自分のスタイルに合ったものを選べる。同じ武器を使っていても、入れ替え技の選択で立ち回りが変わるので、「自分だけの武器スタイル」を作り込む楽しみが増した。

たとえば大剣なら、入れ替え技の選択で「溜め斬りに特化した型」か「コンボの途中で翔蟲アクションを挟む型」かを選べる。同じ武器を使うプレイヤー同士でも「あの人は別の入れ替え技セットを使ってるのか、面白い」という会話が生まれたし、コミュニティでの情報交換も活発になった。

入れ替え技が追加されてから自分の使う武器の研究がまた始まった感覚。「これとこれを組み合わせたらもしかして」って試行錯誤するのが楽しい。製品寿命を伸ばすのがうまいと思う

引用元:Steamレビュー

サンブレイクのモンスターラインナップも質が高い。エスピナス、ガランゴルム亜種、リ・ライズした古龍たちに加え、過去の人気モンスターが多数復活した。「あのモンスターがマスターランク難易度で帰ってくる」というだけでプレイヤーが戻ってくる動機になっていて、プロデュースとして上手いと思う。

音楽についても触れておきたい。ライズ・サンブレイクのBGMは全体を通じて質が高く、特にボスバトル曲の盛り上がりは秀逸だ。マガイマガドの戦闘BGM「琥珀の血盟」、ナルハタタヒメの「天廻流転」、ガイアデルムの第2形態BGMなど、バトルの高揚感を大きく引き上げている楽曲が多い。BGMを聴くためだけにもう一回そのモンスターと戦いたくなるくらい、楽曲の印象が強い。

フォトモードについても書いておく。ライズにはフォトモードが実装されていて、戦闘の合間や拠点でのんびりしている時間に好きなアングルで画像を撮れる。装備の見た目にこだわるファッションハンターにとってはありがたい機能で、SNSへのスクリーンショット投稿文化とも相性がいい。カムラの里の景色や、自分がデザインした装備を記念写真として残すプレイヤーが多く見られた。

こんな人にすすめたい——プレイヤータイプ別の正直な話

モンスターハンターライズが特に刺さると思うのは、以下のタイプのプレイヤーだ。

まず「アクションゲームが好きで、長期間遊べるコンテンツを探している人」だ。ライズは本体とサンブレイクを合わせると、丁寧に遊んで300〜500時間は充実したコンテンツがある。スキル構成の研究、傀異錬成の周回、全武器種のマスターランク攻略など、「やること」が尽きない。「1本で長く遊べるゲームがコスパ的に好き」という人には最適解に近い。

「フレンドと一緒に遊ぶゲームを探している」層にも強くすすめられる。4人で協力してモンスターを討伐する体験はモンハンシリーズならではのもので、「力を合わせて強敵を倒した」達成感は共同体験として記憶に残る。オンラインゲームでありがちな「一人が無双して他はついていくだけ」になりにくいバランスも良くて、全員が活躍できる設計になっている。

「RPG・育成要素が好きだけどガチなFPSはちょっと…」という人にも向いている。ライズのアクションは練習すれば上達できる難易度設計で、エイム力を競うゲームではない。むしろ「モンスターの動きを覚える」「スキルを理解して最適な装備を作る」という攻略思考型のプレイヤーが楽しみやすい。

逆に「ストーリー重視のRPGが好き」な人には注意が必要だ。モンハンのストーリーはシリーズ全般を通じてあくまで「ハンティングをする動機付け」程度の深さで、ドラマチックな物語展開を期待すると肩透かしを食らう可能性がある。サンブレイクはシリーズの中では比較的ストーリーが充実していて改善されているが、「ストーリー目当て」で選ぶゲームではないことは理解しておきたい。

「ソロ専門で遊びたい」人にも問題なくすすめられる。前述のように里クエストだけでも豊富なコンテンツがあり、マルチプレイを強制されるような場面はほとんどない。モンハンは「一人でも楽しいし、友達がいればもっと楽しい」ゲームとして設計されていて、プレイスタイルを押し付けてこない。

最後に「過去のモンハン経験者でライズを未プレイの人」へ。シリーズの中での立ち位置は「ワールドの弟分」的な感じで、ワールドとは別の良さがある。翔蟲の爽快感はワールドにはない体験で、「モンハンシリーズのさらに別の顔」を見られる作品だ。ワールドのほうが重厚と感じる人もいるが、ライズのスピード感とサンブレイクの充実度は、また別の楽しさとして受け取れると思う。

まとめ——ライズはなぜ今も遊ばれ続けるのか

モンスターハンターライズが長く遊ばれ続けている理由は、「遊んだぶんだけ返ってくる」設計にあると思う。モンスターの動きを覚えるほどカートが減り、スキルを理解するほど安定した狩猟ができ、武器を磨くほど戦いがエレガントになる。「上手くなった実感」が常にあって、それが次の挑戦への動力になっている。

翔蟲という新アクションがシリーズの文脈に自然に溶け込んでいて、「新しいことをやっているのにモンハンらしい」という絶妙なバランスがあった。新参者にとっての入り口の広さと、ベテランが飽きないエンドコンテンツの深さが同居しているのは、設計として本当によくできていると思う。

サンブレイクまで含めると、コンテンツ量は現在のゲーム市場でも上位に入る。入れ替え技の追加で武器の研究余地が広がり、傀異錬成でエンドコンテンツの底が深くなった。「やることが尽きない」という状態が最終装備を揃えた後も続くのは、製品寿命を延ばすうえで非常に賢い設計だ。

アクションゲームが好きで、長く遊べるコンテンツを探しているなら、ライズは間違いなく候補に入れるべきタイトルだ。セット版がセール時にかなり安くなることもあるので、Steamのウィッシュリストに入れておいて機会を見計らうのがおすすめの買い方だ。

最初の夜に朝になっていた体験は、きっと誰かも通る道だと思う。翔蟲を覚えて、好きな武器を見つけて、好きなモンスターができて——そのプロセスが、ライズという体験の本質だ。

モンスターハンターライズ

CAPCOM Co., Ltd.
リリース日 2022年1月12日
サービス中
同時接続 (Steam)
11,893
2026/04/11 アジア圏ゴールデンタイム計測
レビュー
121,241 人気
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非常に好評
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価格¥3,990-80% ¥798
開発CAPCOM Co., Ltd.
日本語非対応
対応OSWindows
プレイ形式シングル / マルチ
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