「Graveyard Keeper」墓守になって農業・錬金術・腐敗まで手を出す中世経営シム

目次

Graveyard Keeper — 墓守になって農業・錬金術・腐敗まで手を出す中世経営シム

最初の死体が転がってきたとき、「これを埋めなきゃ」と思った。でも埋め方がわからない。墓を掘る道具がない。石を削る技術もない。そもそも、なんで現代人の自分がこんな中世の墓地を管理してるんだ——。

Graveyard Keeperは、そういうゲームだ。「墓守を経営する」というフレーズだけ聞くと重く暗そうなのに、蓋を開けてみたら農業して、釣りして、錬金術やって、教会の腐敗に加担して、死体を解体して素材にして、気づいたら60時間溶けていた。

開発はLazy Bear Games(ロシアのスタジオ)、パブリッシャーはtinyBuild。2018年8月にSteamで正式リリース。Steamのレビュー数は約2万4千件で「非常に好評(81%)」。一見地味な数字に見えるかもしれないけれど、このジャンルにしては異例なほど長く売れ続けているゲームで、2024年時点でも定期的にセールで1位を取っている。

この記事では、Graveyard Keeperが「なぜそんなに中毒性があるのか」「どこがStardew Valleyと違うのか」「序盤で詰まる人がなぜ多いのか」を正直に書いていく。購入を迷っている人にも、序盤で止まってしまった人にも参考になるはずだ。

「Graveyard Keeper」公式トレーラー

Graveyard Keeperとはどんなゲームか

Graveyard Keeper その他RPG スクリーンショット1

まず結論から言うと、これは「Stardew Valleyに墓地とダークユーモアを混ぜ込んだ経営シミュレーション」だ。でも単なるパクリじゃなくて、このゲーム独自の「腐敗システム」と「クラフト沼」が別種の中毒性を生み出している。

舞台は中世ヨーロッパ風の小さな村。主人公は現代から謎の力で転送されてきた青年で、村の墓守として働かざるを得なくなる。馬に引かれた荷車から定期的に死体が届き、その死体を適切に処理して墓地の評価を上げながら、村人との関係を深め、元の世界に戻る方法を探す——というのが大まかな縦軸のストーリーだ。

ただ、縦軸のストーリーはあくまで「目的地の看板」で、実際のゲームの中身は横に広がりまくっている。農業、料理、釣り、錬金術、木工、鉄工、建築、採掘、教会の運営、布の生産、紙と本の制作、宝石加工——これだけのコンテンツが詰め込まれていて、それぞれが独立しつつも複雑に絡み合っている。

他の農業経営シムとの決定的な違い

Stardew Valleyをプレイしたことがある人なら、似た匂いを感じるだろう。でも決定的に違う点がある。

Stardew Valleyは「のどかな田舎暮らしで村人と仲良くなる」ゲームだ。方向性がやさしい。疲れているときに癒されに行く場所、という感覚が強い。

Graveyard Keeperは違う。このゲームは「目的のためなら何でもやる」というドス黒いリアリティが根底にある。死体の品質評価を上げるために内臓を摘出して別の素材に加工する。教会の腐敗スコアを上げることで収益が増える。村長から依頼される裏仕事は、だいたい誰かを騙したり搾取したりする内容だ。

でもその「ドス黒さ」を、ゲームはユーモラスに描いている。主人公がまったく倫理観を持っていないのに罪悪感がない、というキャラクター性が絶妙で、「これ笑っていいの?」という独特の感覚を生み出している。

同じ「のんびり経営シム」でも、方向性がまったく違う。TimberbornやFactorioのような「効率化を追求する楽しさ」を、牧歌的な見た目でパッケージングしたのがGraveyard Keeperだ、と言うと少し近いかもしれない。

あわせて読みたい
「Graveyard Keeper」墓守になって農業・錬金術・腐敗まで手を出す中世経営シム
「Factorio」面倒な調達は機械で全部自動化!工場を作って作業の効率化が出来るクラフトゲーム! 「Factorio」は他のクラフトゲームとは一線を画すPCゲームです。工場を作ることで面倒な資源調達や加工が全部自動化できます。汚染度が一定数を超えると原住民が襲って...

序盤の進め方と「なぜ詰まるのか」の正体

このゲームで最もよく聞かれる感想が「序盤が難しい」だ。Steamレビューを読んでいると、「方向性がわからなくて10時間で積んだ」という声と「20時間過ぎたら止まらなくなった」という声が混在している。

この差は何かというと、「技術ツリーの解放順序を理解したかどうか」だ。

技術ポイントは3種類ある

Graveyard Keeperには、技術を解放するためのポイントが3種類ある。赤(信仰)、緑(自然)、青(科学)だ。

これが序盤の詰まりの根本原因で、「必要な技術を解放しようとしたら、持っていない種類のポイントが必要だった」という事態が頻発する。たとえば、死体の品質を上げたいなら解剖学の知識が必要で、解剖学の知識を解放するには青ポイントが必要で、青ポイントを稼ぐには図書館が必要で、図書館を建てるには……という連鎖が延々と続く。

最初の10〜15時間は「なんか作れない」「何が足りないのかわからない」という状態が続くことが多い。ここで「このゲームは自分に合わない」と判断してしまう人が多いのだが、実はこの「わからない感」がこのゲームの設計意図のひとつだ。

攻略情報なしでプレイするなら、「今日は農業エリアを整える」「今日は採掘に集中する」というように一日のゲーム内行動を絞って、少しずつポイントを稼いでいくのがコツだ。完璧主義で全部同時に進めようとすると、どれも中途半端になって行き詰まる。

ゲーム内時間の使い方

ゲームの一日は朝から夜まであり、夜になるとほとんどの村人はいなくなる(幽霊や特殊NPCは夜に出現する)。体力(エナジー)は一定量しかなく、睡眠で回復する。

「今日は何をするか」を毎朝決める感覚は、Stardew Valleyに近い。でもStardew Valleyよりも作業の連鎖が長いため、「今日のうちに終わらない」と気づいてやり直したくなることがある。これも序盤のストレス源のひとつだ。

ただ、このゲームはハードコアな時間制限がない。一日をまるまる農作業に費やしても、翌日に別の作業をすればいい。「毎年の秋祭りに間に合わせなきゃ」というプレッシャーがStardew Valleyにはあるけれど、Graveyard Keeperにはそういうタイトなデッドラインがほぼない。ゆったりと自分のペースで進められる。

墓地経営の核心——死体品質スコアを上げる

Graveyard Keeper その他RPG スクリーンショット2

このゲームの看板コンテンツは「墓地経営」だが、初見だとその仕組みが直感的ではない。

馬に引かれた荷車が定期的に死体を運んでくる。この死体には「品質スコア」がついていて、このスコアが墓地全体の評価に影響する。品質が高い死体ほど高い評価の墓石に埋葬でき、墓地の評価が上がると新しいイベントや報酬が解放される。

死体品質をどうやって上げるのか

死体は放置しておくと腐敗が進んで品質が下がる。なので、届いたらなるべく早く処理する必要がある。

品質を上げる方法はいくつかある。死体から腐った内臓を取り出して新鮮な内臓と交換する(解剖)、骨格を固定する処置を施す、肌の状態を整える——といった「死体の手入れ」作業を行うことで、スコアが改善される。

これを最初に説明されたとき、「え、死体の内臓を取り出すの?」と引いた人も多いはずだ。自分もそうだった。でも実際にゲームとしてやってみると、「内臓=素材」という感覚になってくる不思議さがある。このゲームの倫理観の麻痺具合が、一種の没入感を生み出している。

取り出した臓器は捨てるだけでなく、料理の材料になったり(食料品屋に売る)、錬金術の素材になったりする。「廃棄ゼロでどこかに使い道がある」というデザインが気持ちいい。

「死体から内臓取り出してパイにして売ってることに気づいたとき、自分でも笑えてきた」

— Steamレビューより

墓地の評価と腐敗スコア

墓地には「白スコア」と「赤スコア」という二軸の評価がある。白は墓地の清潔さや装飾の質、赤は死体の処理状態に影響される。どちらも高いほど墓地の総合評価が上がる。

墓石の質を上げるには石工のスキルが必要で、良い石を採掘する必要があり、採掘効率を上げるには鉄の道具が必要で……という連鎖がここでも発生する。でも、少しずつ解放されるたびに「あ、今日はここまで来れた」という達成感があるのが、このゲームの上手いところだ。

農業・料理・錬金術——広すぎるサブコンテンツ

Graveyard Keeperの「広すぎる」という評価は、サブコンテンツの量に由来する。農業・料理・錬金術だけでも、別のゲームが1本成立するレベルの深さがある。

農業は意外とシンプルだが奥がある

農業は最初から解放されているコンテンツで、序盤の収入源と食料確保の両方を担う。畑を耕して種を植えて水をやって収穫する、という流れはシンプルだ。でも、fertilizer(肥料)を使うことで収穫量が変わったり、特定の植物は錬金術の素材になったりと、農業を「どこまで深掘りするか」は自由に選べる。

自分のプレイでは、序盤は農業をメインの収入源にしていた。野菜を収穫して食料品屋に売り、売上で道具を買い、道具で採掘効率を上げ、採掘した石で墓石を作る——この循環ルートが安定するまで、農業が全体の土台だった。

料理は地味だが侮れない

料理は食料の確保だけでなく、村のイベント(教会の礼拝など)で必要になる食料を作るためにも重要だ。ただし料理に必要な素材の入手ルートが複雑で、「釣りで魚を取る→料理する→村の礼拝で使う」というように複数のコンテンツをまたぐことが多い。

このゲームにおける釣りは、Stardew Valleyほど複雑じゃない。待って引いて釣れる、というシンプルな仕組みだ。でも釣れる魚の種類が豊富で、レシピとの組み合わせを考えるのが楽しい。

錬金術は後半の核

錬金術は序盤はほぼ使わないが、中盤以降に急速に重要度が増してくる。スキルポイントを効率よく稼ぐためのアイテム作成、死体の品質改善、農業の強化——錬金術はほぼすべての進行に絡んでくる。

錬金術ワークショップを建てて、素材を集めて、レシピを解放して——という準備が大変なのだが、ひとたびフル稼働させると「全部がつながった」感覚になる。このゲームの設計の肝は「すべてが連鎖している」ことで、錬金術はその連鎖の中心に位置している。

「錬金術が回り始めた瞬間、このゲームの全体像がわかった気がした。設計が複雑すぎてびっくりした」

— Steamレビューより

教会運営と「腐敗」システム

このゲームの独自要素として特に面白いのが「教会運営」と「腐敗システム」だ。

墓地の隣には教会がある。定期的に礼拝を行うことで村人から献金を集められる。礼拝の質(信仰スコア)が高いほど収入が増える。ここまでは普通のゲームっぽい話だ。

腐敗スコアが高いほど「おいしい」

ところがこのゲームには「腐敗スコア」というシステムがあって、腐敗スコアが高いほど一部の選択肢と収益が増える。

具体的には、腐敗スコアが高い状態で礼拝を行うと、村人を熱狂的な状態にできる。熱狂した村人は奇妙な行動を取り始めるが、そのぶん献金額が増える。つまり「腐敗した宗教で村人を搾取する」という行為が、ゲームとして合理的な選択肢として提示されている。

このシステムに気づいたとき、「え、これやっていいの?」という感覚があった。でもゲームはまったく咎めない。むしろ腐敗を活用することで進行が楽になる局面がある。

「道徳的に正しい選択をしたほうが得か、腐敗した選択をしたほうが得か」というジレンマが随所に仕込まれていて、これがGraveyard Keeperのゲームデザインの面白い部分のひとつだ。

村長・占い師・行商人との関係

このゲームには複数のNPCが登場し、それぞれが固有のクエストを持っている。村長は行政的な依頼を持ち込んでくるが、その内容が大抵グレーだ。「この記録書を書き換えてくれ」「この死体の処理を内密に頼む」といった感じ。

占い師は謎めいた情報を提供してくれるキャラクターで、メインストーリーの鍵を握っている。行商人は素材の入手先として重要で、序盤は彼から必要な素材を買うことが多い。

NPCとの関係は、贈り物やクエストの達成によって深まる。関係が深まると新しい会話や取引が解放される。Stardew Valleyほど感情的な深さはないが、それぞれのキャラクターが世界観に合ったユーモアとシニシズムを持っているのが面白い。

「村長の依頼が毎回えぐい内容なのに、断れない主人公が妙にリアル」

— Steamレビューより

クラフトシステムの深さと「沼」になる理由

Graveyard Keeper その他RPG スクリーンショット3

Graveyard Keeperを語るうえで避けられないのが、クラフトシステムの複雑さだ。

このゲームのクラフト連鎖は「Factorioの簡易版」と表現する人が多い。原材料→中間素材→完成品、という流れが何段階にも重なっていて、目的のアイテムを作るために必要な素材のリストが「あなたの在庫にはなく、その素材を作るためにさらに別の素材が必要で……」という連鎖が続く。

「こんなにクラフト連鎖を追うゲームが好きなんだ」と気づいたら、本格的な工場建設ゲームも視野に入ってくる。Factorioはその極北といっていい存在で、惑星に降り立った宇宙飛行士が最終的に核エネルギーを使う超巨大工場を建設するまでを描くゲームだ。難易度は高いが、Graveyard Keeperで「全体のつながり」を理解する喜びを覚えた人なら、Factorioにも同じ喜びを見出せる可能性が高い。

石ひとつから始まる長い連鎖

たとえば「石の墓石」を作りたいとする。まず採掘場に行って石を採掘する。次に石工台で石を削って墓石の形にする。でもそのためには石工の道具が必要で、道具を作るには鍛冶場が必要で、鍛冶場を建てるには特定の建築素材が必要で……。

一見面倒に見えるが、この連鎖の各ステップに「達成感の種」が埋め込まれている。「ついに鍛冶場が完成した」「初めて鉄製の道具を作れた」「より良い墓石が作れるようになった」——これが積み重なると止まらなくなる。

「あと一個だけ作って寝よう」と思ったら2時間経っていた、という体験がこのゲームには頻繁に起きる。

紙と本の制作という意外なコンテンツ

あまり語られないが、紙と本の制作はこのゲームで特に好きなコンテンツのひとつだ。

紙は木の皮から作れる。その紙を使って本を作ると、技術ポイントと交換できる。つまり「素材の採取→加工→ポイント変換」というサイクルを回すことで、効率よく技術解放を進められる。

最初「本を作る?このゲームで?」と思ったが、やってみると「工場みたいなサイクルを組む」感覚になる。木を取る人を作って、皮を処理する人を作って——ではなく、一人でこのサイクルを回すので手間はかかるが、効率が上がるにつれて達成感も増す。この「資源を別の価値に変換するサイクル」が好きな人は、Factorioでも同じ快感を感じられるはずだ。

「腐敗した食料品」を売る道徳的なグレーゾーン

このゲームの面白さのひとつに、「プレイヤーに道徳的な選択をさせる」設計がある。

食料品屋に食料を売ることができるが、品質が低い(腐った、または人体由来の素材を使った)食料も売れる。村人はそれを買って食べる。ゲームはそれを咎めない。

「人の内臓から作ったパイを村人に売っている」という状況が普通に発生するのだが、ゲームはそれをコミカルに描いているので罪悪感があまりない。むしろ「このゲーム、どこまでやらせるつもりだ?」という笑いが来る。

こういったダークユーモアが随所に散りばめられていて、「道徳的に正しいゲームを求める人」には向かないが、「シニカルな笑いが得意な人」にはものすごく刺さる。

「最初は罪悪感あったけど30時間後には普通に臓器パイを量産してた」

— Steamレビューより

DLCとアップデートの歴史

Graveyard Keeperは2018年のリリース後、いくつかのDLCが追加された。ゲーム本体だけでもボリュームは十分だが、DLCを入れると体験の幅がさらに広がる。

Better Save Soul — 酒場と新キャラクター

最初のDLCは「Better Save Soul」。ゲームの世界観とリンクしたユーモアのあるタイトルで、主に酒場コンテンツと新しいNPCが追加された。酒場では宿泊客を受け入れたり、ドリンクを提供したりすることで収入を得られる。

このDLCで追加されたのは「横のコンテンツ」だ。メインの進行には必須ではないが、やり込み度を上げたい人には楽しいエリアになっている。酒場の常連客たちの会話がまたシニカルで面白い。

Stranger Sins — 歓楽街と夜の経済

「Stranger Sins」は歓楽街(キャバレー的な施設)の追加が目玉。このゲームの「腐敗した経済」というテーマをさらに深掘りするDLCで、夜の時間帯に活動するNPCとの取引や、新しいクラフトレシピが追加された。

ゲームのダークユーモア路線が特に好きな人には、このDLCが最もおすすめできる。

Game Of Crone — 政治と派閥

「Game Of Crone」はゲーム全体のエンディングに関わる大型DLCで、村の政治システムと複数の勢力(貴族・商人・教会など)の力関係が追加された。どの勢力を支持するかで結末が変わる。

本編だけではやや唐突に感じたエンディングが、このDLCによって「どういう世界観のゲームだったのか」が明確になる感覚があった。DLCの中では最もストーリー的な深みがある。

全部まとめたバンドル版もある

本編+全DLC3本のバンドルパッケージがSteamで販売されていて、セール時には大幅に割引される。初めてプレイするなら本編単体で試して、気に入ったらバンドルを狙う、というのが無難だ。本編だけで60〜80時間は遊べるので、DLCを買い足すのは本編を十分楽しんでからでも遅くない。

キャラクターと世界観——誰がこのゲームを作ったのか

Graveyard Keeper その他RPG スクリーンショット4

Graveyard Keeperを作ったのはLazy Bear Gamesというロシアのインディースタジオで、このゲームが実質的な代表作だ。パブリッシャーはtinyBuild——「Hello Neighbor」や「Potion Craft」でも知られる、インディーゲームのパブリッシングを得意とするレーベルだ。

スタジオ名の「Lazy Bear(怠け熊)」と、ゲーム内に出てくる怠け者の主人公のキャラクター性が妙にリンクしている。主人公は異世界に飛ばされてきた青年で、「元の世界に帰りたい」という動機はあるが、全体的に行動原理が「これをやれば儲かるから」という経済的合理性で動いている。道徳的な悩みをほぼ持たない。

なぜ現代人が中世の墓守になるのか

ゲームの冒頭、主人公は現代の街を歩いていて、車にはねられる。次の瞬間、中世風の村にいる。謎の存在「ドンキー(ロバ)」から「ここでしばらく働いてもらう」と告げられ、前任の墓守の仕事を引き継がされる。

「なぜ自分がここにいるのか」「どうすれば帰れるのか」という問いかけがゲームの縦軸になっているが、ストーリーはあくまで薄味で、メインはサンドボックス的な経営体験だ。ストーリーを強く求める人には物足りないかもしれないが、「ストーリーはふんわりあればいい、とにかく経営したい」という人には丁度いいバランスだ。

世界に散りばめられたユーモア

ゲームの世界観は全体的にシニカルで、現代社会への皮肉が随所に仕込まれている。村の神父は献金のことしか考えていないし、貴族は自分の体裁しか気にしていないし、行商人は常に「もっと高く売れないか」を考えている。それぞれのキャラクターが「現実にいそうなダメな大人」として描かれていて、笑いながら「あるよな……」と思わせてくれる。

特に主人公の「まあ、稼げるならいいか」という達観した態度が、プレイしていて気持ちいい。普通のRPGだったら「そんな依頼は受けられない!」と正義感を見せるシーンで、Graveyard Keeperの主人公は「いくらくれるの?」と言う。このキャラクター性がゲーム全体のトーンを統一していて、個人的にはかなり好きだ。

技術ツリーの全体像——3色のポイントをどう使うか

このゲームの技術解放システムを理解していないと、序盤に確実に詰まる。改めて整理しておく。

赤ポイント(信仰)の稼ぎ方

赤ポイントは主に「信仰」に関連する技術の解放に使う。教会関連、宗教的なアイテム、礼拝の強化などが赤ポイントで解放される。

稼ぎ方は、聖書や宗教的な書物を読むこと(ゲーム内で「本を読む」アクションがある)、礼拝を成功させること、特定のNPCとの会話など。序盤は赤ポイントが最も稼ぎにくいポイントで、「信仰系の技術を解放したいのに赤ポイントが全然足りない」という状況が生じやすい。

効率的に稼ぐには、教会の礼拝を定期的に行い、礼拝クオリティを上げることが重要だ。礼拝クオリティは「提供する食料の質」「信仰スコア」「腐敗スコア」などに影響される。

緑ポイント(自然)の稼ぎ方

緑ポイントは農業、採掘、木工など「自然に関わる作業」で稼ぐ。このポイントが一番稼ぎやすく、序盤は緑ポイントが余りやすい。農業作業(種まき・収穫)、木の伐採、採掘、釣りなどで獲得できる。

緑ポイントで解放できる技術には、農業の拡張、木工のレシピ、採掘ツールの強化などが含まれる。序盤に農業から始めると緑ポイントが自然に溜まるので、農業・木工・採掘系の技術を先に解放しておくのが効率的だ。

青ポイント(科学)の稼ぎ方

青ポイントは錬金術、医学、工学などの「科学的な知識」系の技術に使う。稼ぎ方は「本を作って読む」「錬金術の実験をする」「解剖を行う」などで、やや手間がかかる。

でも青ポイントで解放できる技術が最も重要度が高い。死体の品質向上、錬金術のレシピ、高度なクラフトのアンロック——いずれも中盤以降の進行に欠かせない技術が青ポイント系に集中している。

結果的に「青ポイントをどう効率よく稼ぐか」がゲーム進行のボトルネックになりやすい。図書館を早めに建設して、本の生産ラインを作ることが中盤の攻略の鍵になる。

技術解放の優先順位

初見プレイでどの技術を先に解放すべきか、という問いに対する答えは「墓地の評価を上げることに直結する技術から」だ。具体的には、石工の基礎技術(より良い墓石を作るため)、農業の拡張(収入安定のため)、図書館の解放(青ポイントの安定供給のため)の3つを最初に目指すのがおすすめだ。

「何でもいいから全部解放したい」という衝動で動くと、中盤に「必要なポイントが足りない」という状態になりやすい。何に使うためのポイントか、というゴールを決めてから稼ぐほうが効率的だ。

ストーリーの核心——元の世界に戻るための条件

Graveyard Keeper その他RPG スクリーンショット5

Graveyard Keeperのストーリーは薄味だが、メインクエストを追っていくと中盤以降に「あ、このゲームはこういうことを言いたかったのか」という瞬間がある。ここではネタバレを避けつつ、ストーリーの大筋だけ紹介する。

「帰る」ためには何が必要か

主人公が元の世界に帰るためには、複数のNPCの協力が必要だ。ドンキーはヒントを与えてくれるが、具体的な方法は教えてくれない。占い師は情報を持っているが、何かを要求してくる。神父は教会の運営を手伝ってくれるが、その見返りを求めてくる。

それぞれのNPCとの関係を深め、クエストを進めることで「帰還の条件」が少しずつ明らかになっていく。この「謎解き」的な要素がゲームを最後まで進める動機になっている。

エンディングは複数ある

ゲームのエンディングは1種類ではなく、プレイヤーの選択によって複数の結末に分岐する。どの勢力(貴族・教会・商人など)に肩入れしたか、腐敗スコアをどう管理したか、などが結末に影響する。

DLC「Game Of Crone」を導入することで、この分岐がさらに複雑になる。本編だけのエンディングより、DLC込みのほうがストーリーの完成度が高い、という評価がユーザーの間では多い。

ストーリーよりも「世界の空気感」が面白い

正直なところ、このゲームのストーリー自体は複雑ではない。「謎の力で飛ばされた青年が、諸々の条件を満たして帰る」という骨格だ。面白いのはストーリーの展開よりも、その途中で交わす各キャラクターとの会話のユーモアと、世界の「ちょっとおかしい空気感」だ。

中世の村なのにキャラクターの価値観が現代的だったり、「なんでそれが当たり前になってるの?」という奇妙な常識が随所にあったりする。このゲームの世界観を「好きだ」と感じると、作業系のコンテンツをやっている間も「この村はどういう世界なんだろう」という興味が持続する。

「The Farmer Was Replaced」との意外な共通点

Graveyard Keeperの「クラフト連鎖を最適化する楽しさ」という側面は、The Farmer Was Replacedというゲームにも似た性質がある。こちらはプログラミングで農業を自動化するゲームだが、「効率的な連鎖を設計する」という思考の喜びが共通している。

あわせて読みたい
「Graveyard Keeper」墓守になって農業・錬金術・腐敗まで手を出す中世経営シム
「The Farmer Was Replaced」コードを書いて農場を自動化するプログラミングゲーム The Farmer Was Replaced|コードを書くだけで農場が動く、プログラミング農業ゲームの快感 「農業ゲームをやりたいけど、ただ畑を耕すだけじゃ物足りない」——そう思っ...

どちらも「手順を最適化することで気持ちよくなる」タイプのゲームで、Graveyard Keeperの「どの順番で素材を集めると効率的か」を考えるのが好きな人には、The Farmer Was Replacedも合うはずだ。こちらはPythonに似たプログラミング言語でAIに農業作業を自動実行させるゲームで、「効率化を突き詰める」という観点でGraveyard Keeperと通じるものがある。

マルチプレイはない——完全なソロゲーム

Graveyard Keeperはマルチプレイ非対応の完全なシングルプレイゲームだ。ここは人によって評価が分かれるポイントで、「友達と一緒にプレイしたかった」というレビューが一定数ある。

ただ、このゲームの設計を考えると、マルチプレイがないのは合理的だと思う。プレイヤーが「何をする日か」を一人で決めて、効率を考えながら動く、という感覚の面白さが核になっているゲームだからだ。複数人でプレイすると、むしろその「自分だけの経営感覚」が薄れてしまう可能性がある。

「友達と一緒に農業経営がしたい」という需要なら、Co-opに対応している別のゲームのほうが向いている。Gas Station Simulatorのようなスタイルが好みの人は、Graveyard Keeperでは少し物足りないかもしれない。

あわせて読みたい
「Graveyard Keeper」墓守になって農業・錬金術・腐敗まで手を出す中世経営シム
「Gas Station Simulator」砂漠の廃スタンドを一から再建する経営シム Gas Station Simulator ― 砂漠の廃ガソリンスタンドを一から再建する本気の経営体験 最初の1時間、ひたすらほうきで砂を掃いていた。 砂漠のど真ん中に打ち捨てられたガ...

釣りと木工——見落としがちなコンテンツの面白さ

Graveyard Keeper その他RPG スクリーンショット6

Graveyard Keeperにはメインコンテンツ以外にも、やり込む要素が散りばめられている。その中でも釣りと木工は、「あ、こんなのもあったのか」と気づいたときに嬉しくなるコンテンツだ。

釣りは素朴だが侮れない

ゲームに登場する池で釣りができる。Stardew Valleyのような複雑なミニゲームはなく、竿を投げて待って、魚が食いついたらボタンを押すだけのシンプルな仕組みだ。

「シンプルすぎて面白くないのでは?」と思う人もいるかもしれないが、釣りで獲れる魚の種類が豊富で、料理レシピとの組み合わせが楽しい。特定の魚を特定の方法で料理すると、高値で売れるアイテムになる。また、釣りで緑ポイントが稼げるため、農業だけに頼らず技術解放を進める手段としても使える。

「今日は畑の水やりが終わったので釣りに行く」という「その日の余暇」的な使い方ができるのが、このコンテンツの位置づけとして上手い。経営シムの中でのリフレッシュになる。

木工は序盤の土台

木工は序盤から使える加工スキルで、木材から建築素材、家具、箱、道具の柄などを作れる。アイテムの種類が多く、最初のうちは「これ何に使うの?」と思うレシピも多いが、中盤以降に「あ、これあのクラフトに必要だったんだ」と気づくことが多い。

木工に必要な木材は、ゲームマップ上の木を伐採することで入手できる。斧の質によって一度に得られる木材量が変わるため、早めに鉄の斧を入手しておくと効率が大幅に上がる。

また、木工台を複数設置することはできないため、同時並行で複数のアイテムを作ることができない。「木工台が混んでいる」という状況は発生しないが、「時間がかかるアイテムを作っている間に別のことをする」という時間の使い方を覚えると効率が上がる。

採掘エリアと資源の流れ

採掘はこのゲームで最も重要な資源調達手段のひとつだ。墓石に使う石、鉄工に使う鉄鉱石、錬金術に使う金属素材——これらのほとんどが採掘で手に入る。

採掘場の場所と効率化

採掘場はゲームマップの端にあり、最初は遠く感じる。でも中盤以降は採掘場に通う頻度が増えるため、「今日は採掘の日」というルーティンが自然に生まれる。

採掘効率は道具の質に大きく左右される。最初は木の道具しか使えないが、鉄の道具を作ると採掘量が増え、さらに上位の素材で作った道具では一回の採掘でかなりの量が取れるようになる。「道具を良くする→採掘が速くなる→素材がたくさん手に入る→さらに良い道具が作れる」というアップグレードの循環が、クラフト系ゲームの醍醐味だ。

石の種類と用途の違い

採掘で手に入る石には複数の種類がある。普通の石、大理石、花崗岩など、それぞれ用途が違う。墓石の素材として使える石の種類が決まっていて、「もっと良い墓石を作りたいのに必要な石が採れない」という状況が序盤に起きやすい。

採掘場のどこを掘ると何が出るか、というのはゲームの中で少しずつ覚えていく形になる。「この辺りを掘ると花崗岩が出やすい」という経験則が蓄積されていくのが、このゲームの学習曲線の面白い部分だ。

資源管理の基本——倉庫を整理する

採掘で大量の素材を持ち帰ると、倉庫(チェスト)がすぐにいっぱいになる。このゲームの倉庫管理はやや不便で、アイテムを素材ごとに分類して保管するには手作業で整理する必要がある。

個人的に一番おすすめのやり方は、素材の種類ごとにチェストを分けておくことだ。「木材専用チェスト」「石材専用チェスト」「農産物専用チェスト」という具合に整理しておくと、後でクラフトに必要な素材を探すときに時間が節約できる。序盤から習慣にしておくと、後半になって「どこに何を置いたっけ?」という迷子が防げる。

お金の稼ぎ方と経済システム

Graveyard Keeperのお金(シルバーコイン)は複数の方法で稼げる。序盤にどの収入源を優先するかで進行ペースが変わる。

食料品屋への販売

最も安定した収入源が食料品屋への販売だ。農業で作った野菜、釣りで取った魚、料理したアイテムを食料品屋に持っていくと買い取ってもらえる。買い取り価格は品質によって変わるため、良質なアイテムを作るほど収入が増える。

ただし食料品屋の在庫上限があり、同じアイテムを大量に持ち込んでも全部は売れないことがある。複数種類のアイテムをバランスよく作って持ち込むのが効率的だ。

教会の礼拝による献金

礼拝を行うことで村人から献金を集められる。礼拝の頻度は週に一度が基本で、礼拝の質(提供する食料と信仰スコア)によって収入が変わる。序盤は礼拝クオリティが低いため大きな収入にはならないが、中盤以降は礼拝が主要な収入源のひとつになる。

クラフトアイテムの販売

行商人に特定のクラフトアイテムを売ることもできる。高品質な素材から作ったアイテムは単価が高く、まとめて売ると大きな収入になる。ただし行商人は特定の曜日しか来ないため、在庫を計画的に準備しておく必要がある。

墓地の評価を上げることの経済的メリット

墓地の評価が上がると、葬儀の依頼が増えたり、より高い報酬のクエストが解放されたりする。直接的な収入源ではないが、墓地経営を丁寧にやっていると経済的なメリットが後からついてくる設計になっている。

「とにかく目先の収入を稼ぐ」より「墓地の評価を上げながら長期的な収入基盤を作る」というアプローチのほうが、ゲームの後半が楽になる。これは現実の経営に通じるものがあって、個人的に好きな設計だ。

「腐った食べ物」と品質管理の話

Graveyard Keeper その他RPG スクリーンショット7

このゲームの食料品には「品質」という概念があり、低品質または腐った食料は売値が下がる(が、売れる)。ここがGraveyard Keeperの道徳的グレーゾーンのひとつだ。

腐った食べ物でも売れる

農業で収穫した野菜も、時間が経てば腐る。腐った野菜を食料品屋に持ち込んでも、買い取ってもらえる。価格は低いが、廃棄するよりは収入になる。

「腐ったものを村人に売っているのか」という気持ちになるが、ゲームはそれを当然のこととして扱っている。村人も文句を言わない。腐敗した食材を加工して料理にすれば、さらに見た目は普通になる(でも品質は低いまま)。

このシステムが「現実社会のある種の経済活動への皮肉」として機能しているようで、ゲームをプレイしながら「この状況、現実でもあるよな……」と思う瞬間がある。そういうメッセージ性が込められているゲームだと解釈すると、ダークユーモアとしての深みが増す。

品質を上げるためのアプローチ

食料品の品質を上げるには、素材の品質を上げること、より良いレシピを使うこと、料理スキルを向上させることが必要だ。肥料を使った農業、より質の高い釣り道具、解放した料理レシピ——これらが組み合わさって食料品の品質が上がる。

高品質な食料を礼拝で提供すると信仰スコアが上がり、収入が増え、さらに高品質な食料を作るための技術が解放される。「質を上げる→収入が増える→さらに質を上げられる」という好循環を作れると、ゲームの後半が楽になる。

日本語対応の状況

Graveyard Keeperは日本語に対応している。テキスト翻訳の品質は全体的に良好で、ゲームシステムの理解に困ることはほぼない。ただ、一部の固有名詞やアイテム名の翻訳が少し独特な表現になっていることがあり、「これ何のこと?」と思う瞬間が稀にある。

基本的には問題なく日本語でプレイできるので、英語が苦手な人でも安心して始められる。

パフォーマンスと動作環境

Graveyard Keeper その他RPG スクリーンショット8

Graveyard KeeperはUnityで作られた2Dゲームで、動作はかなり軽い。推奨スペックが「Intel Core i5 / 8GB RAM / GeForce GTX 670」という時代を感じるスペックで、それ以下のPCでも動く。ノートPCや古めのゲーミングPCでも問題なく動作する。

ただ、長時間プレイしているとセーブデータが大きくなり、ロードに少し時間がかかることがある、という声がある。2020年以降のPCであればほぼ気にならないレベルだ。

古いゲームなのでセールでの入手がしやすく、Steamでのセール時には本編が80〜90%オフになることもある。ウィッシュリストに入れておいて、セールを待つのが最もコスパが高い。

「始め方がわからない」人への序盤ガイド

「とりあえず始めてみたけど何をすればいいかわからない」という人のために、序盤の流れを整理しておく。

まず死体を埋めることに集中する

ゲーム序盤の最優先事項は、届いた死体をとにかく埋めることだ。品質は低くても構わない。まず埋めることで墓地の評価が少しずつ上がり、新しいクエストが解放される。

品質を上げようとして解剖の技術を先に解放しようとすると、必要なポイントが足りずに詰まることが多い。「まず埋める→クエストを進める→必要な技術が自然に解放される」という流れに乗るのが一番スムーズだ。

農業を早めに整える

農業エリアは最初からアクセスできるので、早めに畑を整えておくのがおすすめだ。野菜を育てて食料品屋に売ることで安定した収入を確保できる。この収入が序盤の「何もできない時期」の資金源になる。

最初は小さな畑でいい。3×4マスくらいの畑に人参と蕪を植えておけば、序盤の資金には十分だ。

NPCの「曜日スケジュール」を覚える

このゲームのNPCは固定の曜日にしか会えないことが多い。行商人は火曜と土曜、村長は金曜、など。クエストを進めたいのに対象のNPCが今日いない、という事態が序盤によく起きる。

曜日ごとのNPCのスケジュールは、ゲーム内の手帳で確認できる。最初のうちは手帳を頻繁に開く習慣をつけておくと、「あのNPCはどこ?」という迷いが減る。

焦らないことが一番大事

繰り返しになるが、このゲームは焦ると詰まる。「今日は農業だけ」「今日は採掘と石工」というように、一日一つのテーマを決めてやるのが精神的に楽だ。全部同時に進めようとすると、何も終わらない日が続いてモチベが下がる。

「最初の5時間で積んで、1年後に再開したら急に楽しくなった。序盤を乗り越えると別ゲーになる」

— Steamレビューより

Graveyard Keeperと「農業ゲーム」というカテゴリの話

Steam上でGraveyard Keeperは「農業シミュレーション」「経営シミュレーション」「インディー」といったタグがついている。このカテゴリ設定が「農業ゲームだと思って買ったら違った」という感想を生み出すことがある。

農業要素は何割か

正直なところ、農業要素だけなら全体の2割程度だ。農業が中心になるのは序盤だけで、中盤以降は採掘、鍛冶、錬金術、宗教、政治——と経営の軸が広がっていく。「農業ゲームを期待したのに」というレビューが一定数あるが、それはこのゲームの訴求の仕方が少し誤解を招きやすいからかもしれない。

正確に言うなら「農業も含む中世経営シム」だ。農業ゲームではなく、農業が収入手段のひとつになっている経営ゲームだと思って買うのが正しい期待値設定だ。

Stardew Valleyとの比較は正確じゃない

「Stardew Valleyが好きな人に」という紹介の仕方を見かけることがあるが、これも半分正解で半分ミスリードだと思う。Stardew Valleyは「村人との関係構築」「のどかな田舎暮らし」「季節の変化」が中心にある。Graveyard Keeperはその要素が薄く、代わりに「クラフト連鎖の深さ」「道徳的なグレーさ」「謎解き的なストーリー進行」が前面に出ている。

Stardew Valleyが「癒し」なら、Graveyard Keeperは「クラフトの達成感」だ。根本的な楽しみ方が違う。どちらが良い悪いではなく、求めているものが違う。この違いを理解したうえで選ぶと、「思っていたのと違った」という落胆を防げる。

実は「パズル的な楽しみ」が大きい

このゲームを一番正確に表現するなら「パズルとクラフトが融合した経営シム」だと思う。「この素材を手に入れるためにはどうすればいいか」「どの順番で技術を解放するのが効率的か」「今日の行動をどう組み合わせれば最大効率になるか」——これらは全部パズルだ。

Graveyard Keeperが好きになる人には「ルービックキューブを解くのが好き」「最適なルートを探すのが楽しい」という傾向がある、という印象がある。パズル的な思考が得意な人は、このゲームの「制約の中で最適解を探す」感覚にハマりやすい。

このゲームの不満点も正直に書く

Graveyard Keeper その他RPG スクリーンショット9

Graveyard Keeperは好きなゲームだが、不満点もある。購入を検討している人には正直に伝えておきたい。

序盤の説明不足

一番多い不満がこれだ。「何をすればいいかわからない期間」が長すぎる、という声はSteamレビューでも頻繁に見られる。特にゲーム慣れしていない人にはきつい。チュートリアルはあるが、「なぜその作業が必要なのか」が説明されないことが多く、目的意識を持ちにくい。

攻略情報なしで遊びたい場合は、ある程度「手探りで進む期間」を受け入れる覚悟が必要だ。逆に、攻略wiki(英語)を参照しながら進めると、詰まるポイントがかなり減る。

後半の繰り返し感

60時間を超えたあたりから、「同じ作業の繰り返し」感が出てくる。クラフトの連鎖がある程度解明されてしまうと、「次のステップに必要な素材を集めて、作って、使う」というサイクルがひたすら続く。ここが「このゲームの底が見えた」と感じる人と「まだまだやれる」と感じる人の分かれ目だ。

NPCのスケジュール待ちが地味にストレス

特定のNPCに特定の曜日しか会えない、という仕様がストレスになることがある。「クエストを進めたいのに、このNPCが来るのは3日後」という状況が頻繁に発生する。その3日間を何に使うかを考えるのがゲームの設計意図だが、タスクが明確じゃないときに「暇な3日間」になりやすい。

セーブ方法が独特

このゲームは「ベッドで寝る」ことでセーブされる。任意のタイミングでセーブができないため、「やった作業が保存されてない」という事故が起きやすい。特に序盤は「寝ることでセーブされる」と気づかずに進めてしまい、かなりの進捗が消える、という報告が多い。最初にこれを知っておくだけで、大きなストレスを防げる。

Graveyard Keeperに似たゲームとの比較

「Graveyard Keeperが好きだった人に向いているゲーム」「Graveyard Keeperが難しかった人に向いているゲーム」を整理しておく。

もっとのんびりしたいならCookie Clicker

「経営の自動化と数値の成長を眺めるのが好き」という要素だけを抜き出したいなら、Cookie Clickerのほうがシンプルに楽しめる。Graveyard Keeperの「クラフト連鎖を追う楽しさ」に比べて、Cookie Clickerはより気軽に始められる放置系の気持ちよさがある。

あわせて読みたい
「Graveyard Keeper」墓守になって農業・錬金術・腐敗まで手を出す中世経営シム
「Cookie Clicker」クッキーを焼くだけで10年愛されるインクリメンタルの元祖 Cookie Clicker ― クッキーを焼き続けるだけのゲームがなぜ10年以上愛されるのか 最初の一回クリックしたとき、正直「これで終わりか」と思った。画面の左側に大きなク...

もっと都市・集団を管理したいならICARUS

「サバイバル要素×クラフト×経営」という組み合わせが好きで、さらにスケールを大きくしたいならICARUSが近い。Graveyard Keeperが「ひとりで中世村を切り盛りする感覚」なら、ICARUSは「過酷な環境でサバイバルしながらミッションをこなす」感覚だ。

あわせて読みたい
「Graveyard Keeper」墓守になって農業・錬金術・腐敗まで手を出す中世経営シム
「ICARUS」セッション制で惑星に降りるCo-opサバイバルクラフト 「宇宙ステーションから惑星に降り立ち、資源を集め、嵐が来る前に軌道上に帰還する」——そんな一文だけで、もうハートを掴まれた人は少なくないはずだ。 2021年12月4日...

都市経営をもっと本格的にやりたいならCities Skylines II

「経営して街を成長させる」という要素をさらに大規模にやりたいなら、Cities Skylines IIが選択肢になる。Graveyard Keeperの「自分のペースで小さく積み上げる」スタイルとは方向性が違うが、「経営の達成感」を求める人には響く。

あわせて読みたい
「Graveyard Keeper」墓守になって農業・錬金術・腐敗まで手を出す中世経営シム
「Cities: Skylines II」100万人都市を育てる深すぎる都市建設シム Cities: Skylines II|100万人都市を育てる深すぎるシム 道路を一本引いた。住宅区画を設定した。最初の市民が引っ越してきた。 「ちょっと待って、この道路、もうちょ...

牧歌的な経営シムがほしいならSuper Auto Pets方向

「Graveyard Keeperのダークユーモアが苦手だった」という場合は、Super Auto Petsのようなカジュアルな方向のゲームのほうが合うかもしれない。戦略性は保ちつつ、重さがない。

あわせて読みたい
「Graveyard Keeper」墓守になって農業・錬金術・腐敗まで手を出す中世経営シム
「Super Auto Pets」動物を並べるだけで沼にハマる無料オートバトラー 無料で、動物が可愛くて、ルールは5分で覚えられる——そういうゲームが「深い」なんて、最初は信じていなかった。 Super Auto Petsを最初に起動したとき、正直「これ子ど...

Graveyard Keeperの評価が「賛否両論」な理由

Steamのレビュー評価は「非常に好評(81%)」だが、同ジャンルの人気作と比べると「賛否両論」に近い数字だ。なぜこの数字なのかを考えると、ゲームの特性がよく見えてくる。

序盤で離脱する人が多い

1〜5時間でプレイをやめた人のレビューが「難しすぎる」「何をすればいいかわからない」という低評価になりやすい。逆に20時間以上プレイした人のレビューは高評価が多い。つまり「序盤を乗り越えられたかどうか」で評価が割れている。

この構造は、ICARUSやFactorioにも似ている。「最初の壁が高いゲーム」は序盤での離脱率が高く、結果として低評価レビューが一定数集まりやすい。

ダークユーモアが合わない人がいる

「死体の内臓を取り出してパイにする」「腐敗した宗教で村人を搾取する」というゲームの方向性が、単純に「趣味じゃない」という人もいる。これは好み次第で、ゲームの品質とは別次元の話だ。

後半のボリュームに不満を持つ人がいる

「序盤は楽しかったが後半は繰り返しになった」という評価も一定数ある。60〜80時間のゲームとしては十分なボリュームだが、「もっと長く遊びたかった」と感じる人もいれば「後半は作業感があった」と感じる人もいる。

Graveyard Keeperはこんな人に向いている

Graveyard Keeper その他RPG スクリーンショット10

ここまで読んできて、Graveyard Keeperが自分に向いているかどうか判断できると思う。念のため整理しておく。

向いている人は、クラフトの連鎖を追うのが好きな人、ダークユーモアに免疫がある人、のんびり自分のペースで進めたい人、Stardew Valleyをもっとシニカルにしたゲームが気になる人、セールで安く買って長く遊べるゲームを探している人だ。

向いていない人は、明確なチュートリアルを求める人、マルチプレイで友達と一緒に遊びたい人、道徳的にグレーなゲームデザインが苦手な人、短時間でサクッとクリアしたい人だ。

「Stardew Valleyより真っ黒い農業シム。でも意外と笑える。序盤を乗り越えたら一気にはまった」

— Steamレビューより

Graveyard KeeperとFactorio——「全部がつながる」設計思想の共通点

Graveyard Keeperをある程度やり込んでから、Factorioを少しプレイしてみたことがある。ジャンルも見た目も違うのに、ゲームを進めたときの「あ、これが全部つながったのか」という感触がよく似ていた。

Factorioは惑星で工場を建設するゲームだが、その核心は「複雑な連鎖を設計して、全体が効率よく回ったときの快感」だ。Graveyard Keeperの「農業→料理→礼拝」「採掘→鍛冶→工具」「木材→紙→本→技術ポイント」という連鎖の設計思想と、根本的に似ている。

スケールはFactorioのほうが圧倒的に大きく、複雑さもFactorioが上だ。でも「全体のシステムを俯瞰したときの気持ちよさ」という体験の質は近い。Graveyard Keeperを楽しめた人で、より大規模なシステムを管理したくなったらFactorioは自然な次のステップになると思う。

もう少しカジュアルな路線で「コロニー経営」を楽しみたい場合は、Timberbornのほうが入りやすい。ビーバーたちが水資源を管理しながら街を発展させていくゲームで、Graveyard Keeperに近いスケールのクラフト経営体験が得られる。

あわせて読みたい
「Graveyard Keeper」墓守になって農業・錬金術・腐敗まで手を出す中世経営シム
「Timberborn」ビーバーで水を制して街を築く都市建設サバイバル 川の水が引いていく。土が乾いていく。丹精込めて育てた畑が、音もなく枯れていく。そして、画面の中のビーバーたちが次々と倒れ始める。 「また干ばつで全滅した」——Ti...

Graveyard Keeperをプレイして思ったこと

Graveyard Keeperを初めてプレイしたのは、ちょうど仕事が忙しい時期だった。「Stardew Valleyみたいに癒されるゲームが欲しい」と思って買ったのだが、最初の10時間は「癒し」じゃなくて「焦り」だった。

何を作ればいいかわからない。技術ポイントが足りない。死体が届くのに埋める準備ができていない。そのうちNPCから「早くあれをやれ」的なクエストが積み上がってきて、パニックになった。

「このゲーム、向いてないかも」と思いかけたある夜、試しに「今日は農業だけやろう」と決めた。畑を耕して、水をやって、収穫して、売って。ただそれだけをやった。すると「今日の目標が達成できた」という穏やかな満足感があった。

次の日は「採掘だけやろう」にした。その次は「石工だけ」。そうやって一つずつ積み上げていくうちに、気づいたら全体像が見えてきた。「あ、このゲームは急がないゲームなんだ」という理解が来たとき、一気に楽しくなった。

30時間を超えたあたりで、初めて「良い品質の死体を良い墓石に埋葬できた」瞬間があった。墓地のスコアが一段上がって、新しいイベントが解放されて、「ああ、やっとここまで来た」と思った。あの達成感は、序盤の苦労があったからこそだ。

Graveyard Keeperは、「最初の壁を越えたあとに本当の楽しさがある」タイプのゲームだ。焦らずに、自分のペースで少しずつ積み上げていける人にはハマるゲームだと思う。

まとめ——Graveyard Keeperは「序盤の我慢代」が払える人向け

Graveyard Keeperは、決して万人向けのゲームではない。序盤の説明不足、マルチプレイなし、ダークな世界観——これらが組み合わさって、合わない人にはとことん合わない。でも「合う人」にはこれ以上ないゲームだ。

でも、合う人には「また起動してしまうゲーム」になる。クラフトの連鎖を追う面白さ、墓地が少しずつ整っていく達成感、シニカルなユーモアとのんびりした世界観の不思議な組み合わせ——これはGraveyard Keeperにしかない体験だ。

セールで本編だけ買って試してみるのが最もリスクが低い選択肢だ。Steamのウィッシュリストに入れておいて、50〜80%オフのセールを待つのがおすすめ。「合わなかったら損した」ではなく「序盤10時間を乗り越えてから判断する」という気持ちで始めると、このゲームの本当の面白さに出会える確率が高くなる。

ひとつ最後に言えるのは、Graveyard Keeperを一度本当にハマって遊んだ人は「またいつかやりたい」とずっと思い続けるゲームだということだ。クリア後も「DLCをちゃんとやっていなかった」「別のルートで進めてみたい」という気持ちが残る。そういう「ゲームがずっと頭の片隅に残り続ける」体験は、良質なゲームの証明だと思う。ダーク経営シムという独自のニッチを確立したこのゲームが、2018年のリリースから現在も売れ続けているのは、そういう力があるからだろう。

Graveyard Keeperでハマった「クラフト経営」の感覚をさらに追いたい人は多い。このゲームの「素材の連鎖を組む」系統の楽しさが好きなら、FactorioやTimberbornといった経営・建設ゲームに手を広げるのが自然な流れだ。どちらも「複雑なシステムが動いたときの達成感」を重視したゲームで、Graveyard Keeperで培ったクラフト思考が活きる。

Graveyard Keeper

Lazy Bear Games
リリース日 2018年8月15日
サービス中
価格基本無料
開発Lazy Bear Games
販売tinyBuild
日本語非対応
対応OSWindows / Mac / Linux
プレイ形式シングル
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次