Dave the Diver(デイヴ・ザ・ダイバー)レビュー——昼は深海、夜は寿司屋、気づいたら30時間溶けていた話
「次の1回だけ潜ったら寝よう」と思ったのに、気づいたら朝の4時だった。Dave the Diver(デイヴ・ザ・ダイバー)はそういうゲームだ。
昼は水深250メートルの深海を銛と銃を持って探索し、夜は同じ日に捕まえた魚でバンチョ寿司という小料理屋を切り盛りする。この二つがひとつのゲームに詰め込まれている。「まったく別のゲームが交互に来るってどういうこと?」と最初は思うかもしれない。でも実際に手を動かすと、なぜそれが正解なのかがすぐわかる。片方に疲れたころにもう片方が始まる、この設計がとにかく巧みだ。
2023年6月28日にSteamでリリースされたDave the Diverは、開発元MINTROCKET(NEXONのサブブランド)が少数精鋭チームで作り上げた海洋アドベンチャーゲームだ。リリースから1週間で販売本数100万本を突破し、Steam全言語レビュー13万件超で「圧倒的に好評」の評価を獲得した。メタスコアは89点。IGNが9点、PC Gamerが91点と、各メディアがこぞって高評価を付けた2023年を代表するタイトルの一本だ。
ゲームの種類は「海洋アドベンチャー」とカテゴライズされているが、実際には探索アクション・経営シミュレーション・ストーリー主導のRPG・ローグライト・ミニゲーム集が混然一体となった作品だ。ジャンルで語るよりも「全部入り」という表現のほうが正確かもしれない。そのうえで2,400円という価格帯に収まっているのだから、プレイヤーが熱狂したのも当然だと感じた。
プレイ動画
Dave the Diverは現在もアップデートが続く現役タイトルです。2025年4月には龍が如くとのコラボDLC「一番の休日」がリリースされ、2025年末には新フィールドを舞台にした新DLC「IN THE JUNGLE」の配信も予定されています。
こんな人に読んでほしい
- 海や深海生物が好きで、水中探索を体験してみたい人
- アクションと経営シミュレーションの両方を一本で楽しみたい人
- ストーリーがしっかり作り込まれたゲームを探している人
- 2〜3時間単位の「サクッと区切れるゲーム」が欲しい人
- ドット絵アニメーションや細かい演出が好きな人
- 日本文化・寿司・和食が好き、または興味がある人
- 2,400円でコスパの良いゲームを探している人
- コラボコンテンツが充実したゲームを長く遊びたい人
Dave the Diverとはどんなゲームか——二つのゲームが同居する構造

ゲームの主人公はデイヴ。ぽっちゃり体型の無口なダイバーで、旧友コブラに「うちの店の食材を潜って取ってきてくれ」と頼まれてブルーホールという謎の海にやってくる。コブラが立ち上げようとしているのが「バンチョ寿司」という寿司屋で、世界一の腕を持つ寿司職人バンチョと組んで、デイヴが海から食材を届けるという役回りだ。
このブルーホールがただの海ではない。潜るたびに地形が変化し、海中遺跡や謎の生物が出現する不思議な場所で、その謎を解き明かすことがゲームのメインストーリーになっていく。
ゲームの基本サイクルは1日2回のダイブと、夜の寿司屋営業だ。
- 昼(ダイブパート):海に潜り、銛や銃で魚を仕留める。深さは最大水深250メートルで、深く潜るほど大型の魚や危険な生物が増える。酸素ゲージを管理しながら効率よく食材を集めることが求められる
- 夜(寿司屋パート):昼に集めた食材でバンチョ寿司を営業する。客の注文を受けながらスタッフを動かし、売上を伸ばしていく経営シミュレーション
この昼と夜の切り替えが、飽きるタイミングを巧みに消してくれる。ダイブが続いて緊張感が高まっても「次は落ち着いた経営フェーズだ」とわかっているから、適度にリセットされる。反対に、経営パートの単調さを感じはじめる前にまた翌朝のダイブが始まる。この繰り返しのテンポ設計が本当によく計算されていると感じた。
ダイビング→寿司屋→ダイビング→寿司屋のループが気持ちよくて、気づいたら6時間経ってた。「もう1回だけ潜ろう」が全然止まらない。
出典:Steamユーザーレビュー
ストーリーもしっかり作り込まれている。序盤は「寿司屋の食材を取るだけかな」と思いながら進んでいると、海中に文明の痕跡が見つかり始め、魚人族(マーメン)が登場し、ブルーホールの謎が少しずつ明かされていく。進むほど世界観が広がる感覚があり、「もう少しだけ先が見たい」という動機でゲームが進む。
基本情報
| タイトル | Dave the Diver(デイヴ・ザ・ダイバー) |
|---|---|
| 開発・発売 | MINTROCKET(NEXONのサブブランド) |
| リリース日 | 2023年6月28日(Steam)、2023年10月26日(Nintendo Switch)、2024年(PlayStation 4/5) |
| ジャンル | 海洋アドベンチャー / アクション / 経営シミュレーション |
| 対応プラットフォーム | PC(Steam)、Nintendo Switch、PlayStation 4/5 |
| 価格 | 2,400円(通常版) |
| プレイ人数 | 1人 |
| 対応言語 | 日本語あり |
| Steam評価 | 圧倒的に好評(13万件超、97%以上推薦) |
| メタスコア | 89点 |
ダイブパートの詳細——潜るたびに変わるブルーホールの設計

Dave the Diverのダイブパートで最初に驚かされるのが、ブルーホールの地形が毎回ランダムに変化するという仕組みだ。ローグライト的な要素が盛り込まれており、何十回潜っても「ここに何がいる」を完全に予測できない。この不確かさが、探索に飽きない理由のひとつになっている。地形だけでなく、特定のイベントや珍しい生物の出現もランダム性があるため、「今日は運が良かった」「また来よう」というリプレイ動機が自然と生まれる設計になっている。
深さはざっくり3層に分かれていて、それぞれに棲み着く生物の種類が異なる。
- 0〜50メートル(浅瀬エリア):アジ、マグロ、サンゴ礁の魚など比較的おだやかな層。序盤の資金源になり、ゲームに慣れていくための助走区間でもある
- 50〜130メートル(中層エリア):大型魚が増え始める。ヒラメ、マンタ、ウツボなど。強い武器と装備の重要性を実感し始めるのがこのエリアだ
- 130〜250メートル(深海エリア):アオザメ、オナガザメ、深海生物が出現。ボス級の大型生物との遭遇も増え、酸素管理の圧力も高まる
武器は銛から始まり、ライフル、ショットガン、スリープダーツ(生け捕り用)と徐々に種類が増えていく。生け捕りにした魚は市場での売値が高く、自前の養殖場で育てることもできる。どの魚を捕るか、仕留めるか生け捕りにするかによって夜の経営パートへの影響が直接変わるため、ダイブ中の判断が常に重要になる。
酸素ゲージの管理も緊張感を生む要素だ。深く潜るほど消費が早くなり、ゲージが尽きると捕まえた魚の大半を失って浮上することになる。「あと少し深く行ってみたい、でも酸素が……」という葛藤が毎ダイブ続くため、探索に中毒性が生まれる。
魚種が本当に豊富で、潜るたびに新しい発見がある。深海エリアに初めて到達したとき、未知の生物が多すぎてちょっとした恐怖を感じた。でもそれが楽しい。
出典:Steamユーザーレビュー
武器の強化システムも中毒性を高めている。ダイブで素材を集め、武器開発担当のダフというキャラクターのもとへ持ち込むことで武器を強化・改造できる。序盤は威力の低い銛で素早い魚を追いかけることに苦労するが、装備が整ってくると同じ深さが格段に楽になる。この成長実感が「もう1回潜りたい」を後押しする。
海中世界の密度も高い。ただ魚がいるだけでなく、海中遺跡、隠し通路、特定条件でしか現れないレアな生物など、探索欲を刺激する要素が随所に散りばめられている。海洋生物の種類は100種以上と言われており、初めて見る生物に出くわすたびに図鑑が更新されていく感覚は、単純に楽しい。
水中探索の緊張感をもっと突き詰めたゲームも存在する。サバイバル要素が強い水中探索ゲームとして、ホラー色の強い体験に興味があればこちらも候補になる。

バンチョ寿司パートの詳細——食材と経営が直結する設計の巧みさ

夜のバンチョ寿司パートは、昼に集めた食材を最大限に活かすための戦略フェーズだ。
寿司を握るのはバンチョという世界一の腕を持つ寿司職人。デイヴは食材を届け、客の注文を管理し、スタッフを動かす役割を担う。営業中は複数のテーブルから注文が入り続け、スタッフを適切に動かしながらテーブルを回転させていく。放置しすぎると客の満足度が下がり、SNSの評価が落ちる。
このSNS評価システムが面白い。特定のメニューを出したり、高評価の接客をしたりするとフォロワーが増え、次第に来客数が増加する。新しい食材をダイブで手に入れると、バンチョがその食材を使った新メニューを開発してくれる。昼に獲ってきた珍しい魚が夜の目玉メニューになるという流れが、ダイブパートへの動機にもなる。
寿司屋パートは最初「ミニゲーム感覚」かと思ったら意外とちゃんとした経営SLGになってた。食材の質でメニューの評価が変わるから、ダイブパートとの繋がりをちゃんと感じられる。
出典:Steamユーザーレビュー
経営要素はメニュー開発だけでなく、席数の増設、スタッフの雇用と育成、農場での食材栽培にまで及ぶ。農場は中盤以降に解放され、海から取ってきた以外の食材(野菜、調味料など)を自給できるようになる。これによって寿司以外の料理もメニューに加えられるようになり、レストランの幅が広がっていく。
一方、正直に書くと、経営パートの深さはあくまでゲームループの一部として設計されていて、純粋な経営SLGとしての複雑さを期待すると物足りなさを感じる。選択肢の幅は限られており、「どう経営するか」より「スムーズに営業を回すか」に重点が置かれている印象だ。ストーリーが進むにつれて強制的なイベントが増え、純粋な経営フェーズの時間が削られていく傾向もある。
それでも昼夜の循環が生む一体感は本物で、「今日のダイブがよかったから夜が楽しみ」という感覚はゲーム全体を通して持続する。コレクション収集と施設経営を同時に楽しめるゲームが好きなら、博物館経営という独自の切り口で似た充実感が得られる作品も参考になる。

ドット絵と演出のクオリティ——インディー予算を感じさせない作り込み

Dave the Diverを語るうえで外せないのが、ビジュアルと演出の完成度だ。
基本的には3Dの海中背景にドット絵キャラクターが動くスタイルだ。この組み合わせが絶妙で、海の奥行きと広さを3Dで表現しながら、キャラクターの動きや表情をドット絵特有の「記号的な可愛さ」で描いている。海中の光の揺らめき、深海に近づくにつれて暗くなる水中の色合い変化、夜の寿司屋の賑やかな照明など、グラフィックの演出だけで「今どんな場所にいるか」が直感的にわかる。
特筆すべきは、特定のイベントやシーンで流れるドット絵アニメーションの作り込みだ。武器開発担当のダフというキャラクターが登場するシーンでは、謎のアニメソングとともに凝ったドットアニメーションが展開される。バンチョが特別な寿司を握るシーンも同様で、「また始まった!」と思いながらもつい見てしまう中毒性がある。
ドット絵の演出が本当に好き。武器作るたびにあのアニメが流れるの毎回楽しみにしてた。2,400円でこのクオリティはおかしい。
出典:Steamユーザーレビュー
ストーリーの要所に挟まれるカットシーンのクオリティも高い。2Dアニメーション調のシーンと3Dゲームプレイが自然につながるよう設計されており、NEXONというゲーム大手のバックアップがあるとはいえ、このレベルの演出が一本のゲームに詰め込まれていることに純粋に驚いた。
BGMも評価が高い。海の透明感を感じさせる探索中の落ち着いたサウンドトラック、寿司屋営業中の賑やかな楽曲、深海エリアの緊張感ある音楽——シーンごとに雰囲気が切り替わる設計が、プレイ体験全体の質を底上げしている。サウンドトラックを単体で聴きたいと思ったゲームは久々だった。
My 2023 best game I’ve ever play. Very fun and very addictive, that I’ve to play every morning before going to work ?. Thanks Mint Rocket for delivering this game to the community. #DavetheDiver
ミニゲームとサブコンテンツの量——本編クリア後も60時間以上

Dave the Diverのボリュームを支えているのが、本編の合間に挟まれるミニゲームとサイドコンテンツの量だ。
メインストーリーをクリアするだけでも、初回プレイなら25〜35時間程度かかる。さらにサイドミッション、図鑑コンプリート、コレクション要素、農業、NPCとの交流など、やれることが尽きない。「寄り道しながら遊ぶと60時間以上は余裕」という声がプレイヤーから多く上がっていた。
主なサブコンテンツを整理すると:
- マリンカ収集:海中に隠れた生き物のカードを集めるコレクション要素。全種類集めるには深海の全域を探索する必要がある
- 養殖場:生け捕りにした魚を育てて食材として活用できる。市場よりも安定した食材供給が可能になる
- 農業パート:海産物以外の食材も農場から調達できる。農場の整備も経営の一部として機能する
- サイドミッション:魚人族の村を舞台にしたミッションや、個性的なNPCからの依頼など。メインストーリーとは別の視点でブルーホールの謎に触れられる
- 魚図鑑:発見した魚の情報が記録されていく。全魚種を図鑑に記録するために深海のすみずみを探索することになる
最初は「まあ10時間くらいで終わるゲームかな」と思ってたのに、気づいたらトロフィーを埋めようとして40時間超えてた。サブコンテンツが多すぎる(良い意味で)。
出典:Steamユーザーレビュー
2,400円という価格帯でこのボリュームを提供していることは、プレイヤーの価格評価を一段と高くしていた。「コスパが異様に良いゲーム」という評価がSteamレビューでも頻繁に目に付く。本編クリアだけでも25〜35時間、サブコンテンツ込みで60時間以上、さらにDLCを含めれば軽く80時間を超えるプレイ時間が得られる計算になる。時間単価で考えれば映画や他のエンタメと比べても圧倒的なコストパフォーマンスだと感じた。
コレクション要素のあるアドベンチャーゲームとして近い体験ができる作品も存在する。探索と収集が絡み合うゲームが好きなら、こちらも視野に入れてみてほしい。

ストーリーの評価——コメディから急転するシリアスな後半

Dave the Diverのストーリー構成は、序盤と後半でトーンが大きく変わる。
序盤はほぼコメディタッチだ。ぽっちゃり体型のデイヴが海に潜って寿司の食材を集め、個性的な仲間たちと掛け合いをする展開は軽くて読みやすい。バンチョは職人気質で無口、コブラは陽気で嘘つきなキャラクター、ダフはアニメ・サブカルに染まったオタク気質と、キャラクターの個性がくっきりしている。序盤の会話は笑えるシーンも多く、「これは明るい冒険ゲームだな」という印象を持ちながら進んでいく。
ところが中盤から、ブルーホールの謎が本格的に動き始める。魚人族の存在、かつて海底に存在した文明の痕跡、水環境をめぐる勢力間の衝突——序盤の寿司屋立ち上げゲームという印象を覆すほど、後半のストーリーはシリアスな展開を見せる。特定のキャラクターとの別れ、過去の出来事の真相など、ゲームを進めるごとに感情を揺さぶる展開が増えてくる。
序盤のコメディタッチが好みで買ったら、終盤に突然感動的な展開が来てびっくりした。泣きながら寿司屋やることになるとは思わなかった。
出典:Steamユーザーレビュー
この急激なトーンシフトについては賛否が分かれる。「後半のストーリーが良すぎて泣いた」という声がある一方で、「後半はダイビングより強制的なストーリー進行が多く、序盤の自由なプレイ感が薄れた」という声もある。個人的には、そのギャップ自体がゲームの個性になっていると感じた。序盤に「これは軽いゲームだ」と思わせておいて、後半で感情的な深みを見せる構成は計算されたものだろう。
キャラクターの描き方については、日本人として遊ぶと特有の視点が生まれる。バンチョというキャラクターは「世界一の寿司職人」として描かれており、その職人気質と寡黙さは「韓国チームが想像する日本の職人像」として機能している。正確な再現ではないかもしれないが、愛情を持って作られていることはプレイ中に伝わってくる。
ストーリー主導のアドベンチャーゲームとして近い体験を求めるなら、孤島という閉じた空間で生活しながら選択と運命を積み重ねるナラティブRPGも候補になる。

日本文化への解像度——寿司表現が妙にリアルな理由
Dave the Diverを日本人として遊んで驚くのが、寿司と日本食への描写の丁寧さだ。
バンチョが握る寿司のレシピや調理描写が細かい。単に「魚→寿司」ではなく、食材の新鮮度や調理法(炙り、漬け、昆布締めなど)によってメニューの質と評価が変わってくる。特定の魚を特定の方法で調理することで解放される「特別メニュー」も存在し、メニュー開発の楽しさを下支えしている。
韓国のゲームなのに寿司の描写がめちゃくちゃ丁寧。「漬けマグロ」とか「炙りサーモン」とか出てきたとき、ちゃんと調べてるな〜って思った。
出典:Steamユーザーレビュー
これはNEXONが韓国の大手ゲーム企業であることと無関係ではないだろう。日本のゲームカルチャーへの親しみが深い韓国の開発チームが、日本の食文化を丁寧にリサーチして落とし込んだ結果だと推測できる。「全てが正確な和食の表現ではないけれど、日本文化を愛している人が作ったゲーム」という温度感がプレイ中ずっと伝わってくる。
食材の産地や旬の概念も一部ゲーム内に織り込まれており、単なる「魚を捕って出す」以上の文化的な深みが感じられる。バンチョが食材を見て「この魚はこう調理するのが最適だ」と判断するシーンは、和食における素材の活かし方への敬意が感じられる描写だ。日本人プレイヤーとして「ここまで描いてくれているのか」と素直に嬉しくなる瞬間がいくつもあった。
後述する龍が如くとのコラボDLCも、この文脈で見ると自然な流れだ。韓国のゲームチームが日本のゲームカルチャーの象徴的なシリーズとコラボするという構図は、Dave the Diverが単なる「日本文化風」ゲームではなく、その文化への深いリスペクトを持って作られている証左でもある。
日本の食文化を核にしたゲームとして、料理と経営の掛け合わせという点で近い体験ができる作品もある。
The Game Awards 2023の「インディー論争」——業界に問いを投げかけたノミネート

Dave the Diverはゲームの中身だけでなく、ゲーム業界に対するひとつの問いを投げかけたことでも話題になった。
The Game Awards 2023で「Best Independent Game(最優秀インディーゲーム)」にノミネートされたのだが、これに対して海外のゲームコミュニティが一斉に反発した。MINTROCKETはNEXON(従業員7,000人超、資産規模1兆円以上の大企業)のサブブランドであり、「インディー」と呼ぶには無理がある——というのが反発の理由だ。
The Game AwardsのGeoff Keighley氏は「インディーという言葉の定義は広く、チームの規模や精神性で判断している」と弁明したが、議論は収まらなかった。注目すべきなのは、MINTROCKET開発責任者の黄在鎬(ファン・ジェホ)氏自身が「自分たちのゲームはインディーではないと思う。本当のインディー開発者のチャンスを奪うような真似はしたくなかった」と明言したことだ。「ノミネートは自分たちが申請したわけではない」とも付け加えており、問題の根がTGAの選考基準にあることを示唆した。
この発言はゲームコミュニティから好意的に受け取られた。開発者自身が「自分たちはインディーじゃない」と言い切れる誠実さへの評価は、ゲームへの評価とは別の文脈でMINTROCKETへの信頼を高めた。
Best Independent Gameの受賞はSea of Stars(Sabotage Studio制作)が獲得した。Dave the Diverは同年のSteam Awardsで「Casual Game」部門を受賞し、2024年のBAFTAゲーム賞ではGame Design賞を獲得している。
この論争は「インディーゲームとは何か」を問い直すきっかけになった。チームが小さくても、大企業の資本・バックアップがあればインディーと呼べるのか——Dave the Diverはその問いをゲームコミュニティ全体に突きつけた形になった。
BAFTAのGame Design賞は、ゲームメカニクスやシステム設計の優秀さを評価する賞だ。「昼と夜のゲームループ」「ダイブのたびに変わる地形」「食材が経営に直結するシステム」という設計の巧みさが、専門家の目にも評価されたということだろう。こういった賞は往々にして話題性や売り上げで決まりがちだが、このゲームがそうではなく純粋な設計評価で受賞しているのは意味のあることだと思う。
MINTROCKETというスタジオの成り立ちも興味深い。NEXONはオンラインゲームで知られる韓国の大手ゲーム企業だが、MINTROCKETはその中で「少数精鋭のアイデア主導チーム」として設立されたサブブランドだ。Dave the Diverの開発チームは20名前後という小規模体制で、大企業の資本とインディー的な創造自由度を両立させるという独自の立場を築いた。この構造がインディー論争を生んだ一因でもあるが、それと同時に「大企業の資本があっても作家性を失わない開発体制はどうあるべきか」という問いを業界に投げかけた。
受賞歴を改めて整理すると、Steam Awards 2023のCasual Game部門、BAFTA 2024のGame Design賞に加え、各メディアの年間ベストゲームリストへの選出が続いた。メタスコア89点という数字は、単一ジャンルに特化したゲームではなく複合ジャンルのゲームとして見ると特に高い評価と言える。複数のゲームプレイ体験を詰め込みながら散漫にならず、各要素の完成度を保ったまま一本のゲームとして成立させたことへの評価が、この数字に凝縮されている。
2024年9月にMINTROCKETはNEXONコリアの100%子会社として正式に法人化された。Dave the Diverの成功を受けてスタジオの規模と独立性が強化された形であり、今後の新作への期待も高まっている。黄在鎬氏は「次のプロジェクトもDave the Diverと同様に、ひとつのジャンルに縛られない体験を作ることを目指す」と述べており、MINTROCKETが「複合体験ゲーム」という独自カテゴリーを切り開く存在であり続けようとしていることが伝わってくる。
批判的な声も正直に——ゲームの弱点はどこか
Steam評価が「圧倒的に好評」でも、否定的なレビューが存在する。ここでは筆者が実際に感じた点も含めて正直に書く。
最もよく見られる不満がボス戦の単調さだ。「安全地帯に逃げて、隙に1発撃って、また逃げる」を繰り返すだけのボスが中盤以降いくつか存在する。アクション性に期待して購入すると物足りなさを感じる可能性がある。ボスの攻撃パターンが単純で、覚えるほどの工夫がないという声が一定数見られた。
ボス戦がダルいのだけは否定できない。同じパターンを繰り返すだけで、攻略というより作業感があった。
出典:Steamユーザーレビュー
後半に入ってからのマップ往復も批判の対象だ。「何度も同じ場所を行き来する」「移動がめんどくさくなる」という声は確かに的を射ている。テンポが落ちる中盤のダレ感は、特に序盤の快調なプレイ感を知っているだけに惜しい。
純粋な「経営シミュレーション」として深みを期待していると拍子抜けすることもある。寿司屋パートはあくまでゲームループの一部として設計されており、経営の自由度や複雑さはそれほど高くない。「Stardew Valleyのような経営の奥深さを期待していた」というレビューも目に付いた。
また、後半のストーリーが強制的な進行になりがちで、自由なダイブやレストラン運営を楽しむ時間が減っていくという声もある。シナリオに引きずられる形でゲームプレイが制限される場面が増えるのは、確かに感じた点だ。
後半はほとんどストーリーのレールに乗ってるだけで、序盤の「自分で何をするか決める」感が薄れた。ゲームの自由度が高い序盤が一番楽しかった。
出典:Steamユーザーレビュー
ただ、これらの弱点を差し引いても全体の完成度は高い。「寄り道が多いのに本筋がある」「軽い気持ちで始めて気づいたら徹夜していた」というプレイ体験は、弱点を補ってあまりあるものがある。批判的なレビューを含めても97%以上が推薦という評価は、弱点はあるにしても体験全体としての満足度が高いことを示している。
DLCとコラボコンテンツの充実——リリースから2年以上たっても広がり続ける

Dave the Diverの魅力のひとつが、リリース後も積極的にコンテンツが追加されている点だ。
2023年12月には釣りアドベンチャー「DREDGE」とのコラボDLCが配信された。DREDGEはホラー色のある釣りゲームで、Dave the Diverとは世界観の方向性が異なるが、「水」と「謎」をテーマにした作品同士として親和性が高く、両タイトルのファンから歓迎された。このコラボではブルーホールにDREDGE特有の不気味な雰囲気を持つ生物や要素が取り込まれ、普段とは異なる緊張感でダイブを楽しめた。
2024年5月にはゴジラコラボDLCが登場した。「ブルーホールにゴジラが現れる」というインパクト抜群の展開で話題をさらい、期間限定の無料配布というサービス精神の高さも評価された。入手したプレイヤーは以降も無期限でプレイ可能というリリース形式だった。ゴジラという深海の巨大存在はDave the Diverの世界観との相性が抜群で、「最初に見たとき声が出た」というプレイヤーの反応が多数報告された。
ゴジラDLCが無料だったのが信じられない。ブルーホールにゴジラ出てきたとき声出た。開発チームのサービス精神がすごい。
出典:Steamユーザーレビュー
2024年10月の「Dave & Friends」アップデートでは、デッキ構築ローグライク「Balatro」のミニゲーム的な遊び、「Potion Craft」のキャラクターからレシピを学ぶコンテンツ、アーティスト「Mxmtoon」の特別コンサートイベントという3つのコラボが一度に追加された。単一のアップデートでこれだけのコンテンツが追加されるのは珍しく、プレイヤーの熱量を持続させる姿勢が伝わってくる。
そして2025年4月には「龍が如く」とのコラボDLC「一番の休日」がリリースされた。春日一番と柏木修がブルーホールを訪れるという内容で、日韓のゲームカルチャーを跨いだコラボとして注目を集めた。価格は800円、期間限定販売(2025年10月10日まで)ながら購入後は永続プレイ可能だ。
さらに2025年末には新DLC「IN THE JUNGLE」の配信が予定されている。ブルーホール以外の新フィールドが追加される初めての大型DLCとなる見込みで、デイヴたちがジャングルを舞台に新たな冒険を繰り広げる内容になるという。リリースから2年以上が経っても新コンテンツが続々追加されているゲームは珍しく、長期的な楽しみ方ができる作品だと言える。
MINTROCKET(2024年9月にNEXONコリアの100%子会社として法人化)は、少数精鋭チームのアイデアを大企業の資本力でバックアップするという形で今後も新作の開発を続けると発表している。Dave the Diverの成功を受けてスタジオとしての注目度は業界内でも高い。
定期的なコラボコンテンツで長く遊べるゲームを探しているなら、似たようなアプローチを取る作品として海洋探索の別視点がある。

動作スペックと対応プラットフォーム——ロースペックPCでも問題なく動く
Dave the Diverは動作が軽量なゲームのひとつだ。最新PCでなくても快適に動作するため、スペック面での敷居は低い。ゲーム自体の作りは3Dの海中背景とドット絵の組み合わせという独特のスタイルだが、レンダリング負荷はそれほど高くなく、高性能GPUに頼らなくても安定して動作する。グラフィック設定の柔軟性も高く、古めのPCでも解像度と品質設定を調整すれば快適なフレームレートでプレイ可能だ。
| 最低スペック | 推奨スペック | |
|---|---|---|
| OS | Windows 7/8/10/11(64bit) | Windows 10/11(64bit) |
| CPU | Intel Core i5-4670 / AMD Ryzen 3 1200相当 | Intel Core i5-8600 / AMD Ryzen 5 2600相当 |
| メモリ | 8GB RAM | 16GB RAM |
| GPU | NVIDIA GeForce GTX 960 / AMD Radeon RX 470相当 | NVIDIA GeForce GTX 1070 / AMD Radeon RX 5700相当 |
| ストレージ | 5GB以上の空き容量 | 5GB以上の空き容量(SSD推奨) |
2015〜2018年頃のミドルレンジPCであれば問題なく動作する。ノートPCでも内蔵GPUに近いスペックで遊べるケースが多く、スペックが心配で購入をためらっている人はほぼ問題ないと考えて良い。ストレージも5GBと軽いため、気軽にインストールして試せる。
Nintendo Switch版(2023年10月26日発売)はポータブル環境での利点が大きい。「ちょっとした時間に潜って、寝る前に寿司屋をやる」というライフスタイルとの相性が抜群で、Switch版発売後に新たなプレイヤー層が増加した。日本国内でもSwitch版でプレイしているユーザーが多い。
PlayStation 4/5版は2024年にリリースされており、コントローラーでの操作に最適化されている。PC版との内容差は基本的にないが、DLCや追加コンテンツへのアクセスはSteam版のほうが早い傾向がある。
「どのプラットフォームを選ぶべきか」の答えは、遊び方で決まる。家で腰を据えてプレイするならSteam、移動中や布団の中でもプレイしたいならSwitch——用途で選ぶのが一番シンプルだ。Steam版はセール時の値引き幅も大きく、価格面での有利さもある。どのプラットフォームを選んでもゲームの体験の質に大きな差はないため、自分の生活スタイルに合った環境でスタートするのが長く楽しめる秘訣だ。
なぜ2023年を代表するゲームになれたのか——設計思想を読み解く
Dave the Diverが2023年に「Game of the Year」候補として並び称される一方、どのジャンルのGOTYにも収まりきらないという現象が起きた。ジャンルを横断する作品ゆえに「最優秀アクション」「最優秀RPG」といった単一ジャンル賞には収まりにくく、それでいてどの賞レースでも名前が挙がり続けるという独特の立ち位置を占めた。海外メディアの評価を整理すると次の通りだ。
- IGN:9/10(「今年これまでにプレイした中で間違いなくベストのゲームのひとつ」)
- PC Gamer:91/100(「アクティビティが詰め込まれ、心の温まる作品」)
- EuroGamer Germany:10/10(「2023年で最も中毒性の高いゲームのひとつ」)
- メタスコア:89点
- Steam Awards 2023:Casual Game部門受賞
- BAFTA 2024:Game Design賞受賞
この評価の高さの背景には、ゲームループの設計思想がある。Dave the Diverは「ひとつの優れたゲームメカニクスを深掘りする」という方向ではなく、「複数の異なる体験をひとつのゲームに詰め込む」という方向を選んだ。これは開発リスクの高いアプローチだ。詰め込みすぎると散漫になり、各要素が中途半端になりがちだからだ。
ところがDave the Diverは、その詰め込みを昼夜のサイクルという明確な構造で整理することで、散漫さを回避した。プレイヤーは常に「次は別の体験が来る」とわかった状態で遊んでいるため、飽きる前にゲームが切り替わる。この設計の正確さがBAFTAのGame Design賞に結びついたと考えると、納得感がある。
これ一本で探索ゲーム、経営ゲーム、ストーリーゲームの全部が体験できる。ジャンル迷子の自分にとって、「どれを買えばいい?」の答えになったゲームだった。
出典:Steamユーザーレビュー
もうひとつ見逃せないのが「ハードルの低さ」だ。難易度設定がないゲームではないが、全体的に理不尽な難しさがなく、初心者でもストレスなく進められる。ダイブで失敗しても大きなペナルティがなく、寿司屋パートは手が空いた時間に操作するだけでも最低限の売上は立つ。この「うまくなくても楽しめる」設計が、プレイヤー層を大きく広げた要因のひとつだろう。
ゲームとしての心理的安全性が高いことは、「疲れて帰宅した日に遊びたいゲーム」という文脈でも評価されていた。ゲームの難易度が高くない分、日常のストレス解消に使いやすいのだ。失敗してもペナルティが軽く、「もう1回試そう」という気持ちになれる設計は、ゲームに使える時間や集中力が限られる社会人プレイヤーにとって特に重要なポイントだと思う。
同ジャンルのゲームと比べてどう違うのか——複合ゲームの先駆者として
Dave the Diverが切り開いたのは「複数ジャンルの複合ゲーム」というカテゴリーだ。これ以前にも似たアプローチのゲームはあったが、ここまで完成度高くまとめたものは珍しかった。複合ゲームは要素を詰め込みすぎると「全部が中途半端」という印象を与えがちだが、Dave the Diverはそれぞれの要素が独立したゲームとして成立するレベルで作り込まれており、掛け合わせることで相乗効果を生んでいる点が他の追随を許さなかった理由だと思う。
水中探索ゲームとして比較されるのが、Subnauticaシリーズだ。Subnauticaは深海サバイバルに特化したゲームで、恐怖感と孤立感の演出が圧倒的だ。Dave the Diverのように「帰宅後に30分楽しむ」という使い方には向かないが、深海の体験をより没入して味わいたいなら選択肢になる。
農場・経営ゲームとして比較されるのがStardew Valleyだ。昼と夜のサイクル、農場管理、キャラクターとの交流という構造はDave the Diverと似た部分がある。ただしStardew Valleyは農業と人間関係の深掘りに注力しており、アクション要素はほぼない。より落ち着いた「スローライフ系」を求めるならStardew Valleyが先にある。
Stardew Valleyが好きな人はDave the Diverも絶対に好きだと思う。ゲームのリズムが似てる。こっちのほうがアクション色が強いけど、ループの気持ちよさが同じ。
出典:Steamユーザーレビュー
釣りゲームとして比較されることもあるが、Dave the Diverにいわゆる「釣り」の要素はほぼない。銛や銃で魚を仕留めるアクション要素が主体であり、釣りの静的な楽しさを求めているなら期待と違う可能性がある。その分、海中を動き回る立体的な探索体験はユニークだ。
Dave the Diverに最も近い体験ができる後継ゲームは、2024年以降で探してもまだ多くない。このゲームが確立したゲームループの形式は独自性が高く、直接の競合になるゲームが存在しないという点で、ジャンルの先駆者的な位置に今もある。
農場経営と人間関係が絡み合うスローライフゲームとして、Dave the Diverとリズムが似ている作品はこちらだ。

プレイを始める前に知っておくといいこと——序盤の過ごし方と攻略のコツ

Dave the Diverは序盤の過ごし方でゲームの印象が大きく変わる。最初の数時間はゲームの仕組みを理解することに時間がかかるが、基本を把握してからが本当に面白くなる。
序盤に意識しておきたいポイントをいくつか整理した。
魚の種類より深さを優先しすぎない。最初は浅瀬の魚で十分な売上を作れる。深く潜ることに焦って酸素切れで帰ってくると、食材が少なく夜の営業が苦しくなる。序盤は浅瀬と中層を安全に回ることを優先したほうが経営が安定する。
武器の強化は早めに進める。ダフのところへ行くのが後回しになりがちだが、武器の性能差は大きい。序盤の銛では大型魚を仕留めるのに時間がかかりすぎるため、武器強化にリソースを集中させると中層以降が格段に楽になる。
生け捕りアイテムを積極的に使う。生け捕りにした魚は売値が高く、養殖場に入れれば食材が継続的に供給される。序盤から意識的に生け捕りの機会を増やすと、中盤以降の経営が安定しやすい。
寿司屋はスタッフを早めに雇う。スタッフがいない状態での営業は手が回らず売上が伸びない。スタッフを2〜3人雇ってからのほうが経営のテンポが上がり、夜のパートが楽しくなる。
サイドミッションを見逃さない。本筋に集中しがちだが、サイドミッションには武器強化素材や新食材の入手が絡むものが多い。こまめにサイドミッションをこなしておくと、後半のストーリー進行が楽になる。
難易度設定に関しては、Dave the Diverは通常プレイで詰まる場所はほとんどない。ボス戦が難しいと感じる場面があっても、武器と装備を整えてから再挑戦すれば大抵は通過できる。「詰まったら装備を見直す」という姿勢で進めれば問題ない。
スタミナ(酸素)管理の具体的なコツとして、ダイブ前に酸素タンクのアップグレードを優先することが挙げられる。タンク容量が増えるだけで潜れる深さと時間が大幅に変わり、探索できる範囲が一気に広がる。また、海中には酸素を補充できるバブルスポットが点在しているため、位置を把握しておくと深場での行動範囲が広がる。ダイビング中はできるだけまっすぐ目的地へ向かい、無駄な遊泳で酸素を消費しないことも意識しておきたい。
寿司ネタの組み合わせと経営効率については、序盤から「高単価の食材を少量出す」戦略より「回転率を上げる」戦略のほうが売上が安定しやすい。客の注文が多いときはスタッフをうまく割り振ることが鍵で、特定のテーブルへの対応が遅れると満足度が下がり、SNS評価に影響する。評価が下がると次の夜の来客数が減るため、序盤の接客品質の維持はのちの経営規模に直結する。
メニュー開発の観点では、レアな食材(深海魚や生け捕り品)ほど解放されるメニューの評価が高い傾向がある。レアメニューは価格も高く設定できるため、深場のリスクを取って食材を獲得することが寿司屋の格を上げることにつながる。「今日は深海に挑戦して高級メニューを開発しよう」という目標を持つだけで、ダイブへの動機がぐっと高まる。
序盤に深海行こうとして何回も酸素切れで死んで、「このゲームむずい」と思ったけど、装備を整えてから行ったら全然違った。最初は浅いところで稼ぐのが正解。
出典:Steamユーザーレビュー
ゲームの外側の魅力——コミュニティと開発チームの姿勢
Dave the Diverを長く楽しめている理由のひとつが、開発チームとプレイヤーコミュニティの関係性にある。
Steamのコミュニティハブには数千件を超えるガイドや攻略情報が投稿されており、プレイヤー同士が情報を共有する文化が根付いている。特に図鑑コンプリートのための魚の出現場所、レアメニュー解放条件、DLCの攻略情報といった細かい情報が豊富で、詰まったときに調べれば大抵の答えが見つかる。日本語のコミュニティも活発で、日本語ガイドも充実している点はとっつきやすさに貢献している。
MINTROCKETはリリース直後から積極的にコミュニティのフィードバックを取り込んでいる。アップデートで修正されたバグや改善された点の多くは、Steamコミュニティや各種SNSからの指摘が元になっている。インディー論争でも開発責任者が自ら声明を出して誠実に対応した姿勢は、多くのプレイヤーに好印象を与えた。
日本語対応もその姿勢の現れだ。日本語ローカライズは翻訳の質が高く、バンチョや登場する寿司メニューの名称も丁寧に日本語化されている。大手ゲームでも翻訳品質が低いものは少なくないが、このゲームは日本語でプレイしていても「これはおかしい翻訳だ」と感じる箇所がほとんどなかった。
コラボコンテンツの選定センスも独特だ。DREDGEとのコラボは「水にまつわるゲーム同士」という文脈で自然だったし、ゴジラコラボは「深海の巨大生物」というDave the Diverの世界観とのリンクが明確だった。龍が如くコラボは日本のゲームカルチャーへのリスペクトを体現したものとして受け取られ、いずれも「コラボのための安易なコラボ」ではなくゲームの世界観と繋がりを持たせているのが評価されている。
龍が如くコラボ、春日一番がダイブスーツ着てるのがツボすぎた。こういうコラボのセンスが好き。両方好きなゲームがクロスするとテンション上がる。
出典:Steamユーザーレビュー
コンテンツの追加頻度と質を維持しながら、コミュニティとの関係を丁寧に築いている開発チームの姿勢は、長期的にプレイヤーを離さない理由になっている。ゲームとしての面白さだけでなく、「このスタジオを応援したい」という感情を持ったプレイヤーが多いのは、そういった背景があるからだろう。
価格据え置きでの継続アップデート、無料配布のコラボDLC、高品質な日本語ローカライズ——これらはいずれもプレイヤーへのリスペクトの表れだ。「ゲームを売って終わり」ではなく「ゲームを入り口にした長期的な関係を築く」という姿勢が、Dave the Diverを2年以上にわたって話題に乗せ続けている原動力になっている。新しいコラボが発表されるたびにコミュニティが盛り上がり、また新規プレイヤーが流入するというサイクルが今も続いている。
長期的にアップデートが続くゲームを楽しみたいなら、同様に開発チームとコミュニティの関係が密なゲームも候補になる。
Steam版とSwitch版の選び方——環境による使い分け

Dave the DiverはPC(Steam)版とNintendo Switch版、PlayStation 4/5版の3プラットフォームで展開している。どれを選ぶかはプレイスタイルによって変わる。
Steam版の強みは解像度の高さと操作の精度だ。4K対応で海中の細かいグラフィックを最大限に楽しめる。マウスによる照準合わせはコントローラーよりも精密で、ダイブ中の魚の仕留めやすさが上がる。DLCや追加コンテンツへのアクセスも早い傾向にある。価格帯はNintendo Switch版と同等の2,400円で、セール時には1,200円前後まで下がることもある。
Nintendo Switch版は2023年10月26日発売で、価格は2,800円(やや高め)。ポータブルプレイが最大の強みで、移動中や布団の中で手軽に遊べる。1回のダイブが10〜15分程度で区切れるゲームループは、スキマ時間のプレイに向いている。実際に日本国内ではSwitch版でプレイするユーザーが多く、「電車の中で寿司屋を経営している」という楽しみ方をしているプレイヤーの声をよく見かけた。
PlayStation版は2024年リリース。コントローラーでの操作感に最適化されており、家庭用ゲーム機での快適なプレイを求めるならこちらが選択肢になる。トロフィー収集という楽しみ方もできる。
「どれにしよう?」と迷っている人に向けてひとこと言うなら、「家で集中して遊ぶならSteam、ライフスタイルに組み込みたいならSwitch」がシンプルな答えだ。ゲームの体験自体は3プラットフォームで大きな差はなく、環境と使い方で選んで問題ない。
2025年時点でDave the Diverをすすめる理由——今始めても遅くない
リリースから2年近くが経った今、Dave the Diverをすすめる理由はむしろ増えている。
ひとつは、リリース直後のバグやバランス問題が解消されていること。初期バージョンで報告されていた進行不能バグや一部の動作不安定は、アップデートを経てほぼ修正されている。今から始めるプレイヤーは、長期間の改善が積み重なった完成度の高いバージョンをプレイできる。
もうひとつは、コンテンツの充実だ。リリース時点では存在しなかったコラボDLCや追加コンテンツが加わっており、基本ゲームのボリュームに上乗せされた状態で遊べる。特に龍が如くコラボDLC「一番の休日」は2025年10月10日まで販売中のため、まだ入手できる状態にある。
セール時の価格帯も見逃せない。Steamのセール時には50%引きで1,200円程度になることがあり、このボリュームのゲームを1,200円で入手できればコスパは圧倒的だ。定価2,400円でも十分すぎる内容だが、セールを狙える環境なら待つ価値はある。ウィッシュリストに追加しておけばセール開始時に通知が届くため、購入タイミングを逃しにくい。
今更やってみたけど全然古くない。むしろ初期バグが直ってて快適。セールで800円で買えたしコスパやばすぎる。
出典:Steamユーザーレビュー
2025年末予定のジャングルDLC「IN THE JUNGLE」を目標にするのも良い動機だ。ブルーホール以外の新フィールドが追加される初めての大型DLCで、メインストーリーをクリアしたプレイヤーにとって新たな目標になる。今から始めて本編を楽しみつつ、DLCリリースに備えるという遊び方ができる。新フィールドの追加はゲームの探索体験を根本から広げる可能性があり、長年のプレイヤーにとっても新鮮な体験になるはずだ。
長く遊べるゲームを探している人に向けて、継続的なアップデートとコンテンツ追加を続けているゲームとして、ローグライク系で同様の姿勢の作品も参考になる。

まとめ——2,400円でこの体験量は反則的だと今でも思う
Dave the Diverは「何かひとつのジャンルが好きな人」よりも、「ゲームとして楽しくあることが最優先」と考えるプレイヤーに強く刺さるゲームだ。
ダイブするたびに変わる地形、寿司屋を少しずつ発展させる充実感、個性的なキャラクターたちとの掛け合い、後半に待ち構えるストーリーの展開——これらが2,400円という価格に収まっていることが、正直いまだに信じられない。Steamレビュー13万件超の「圧倒的に好評」は伊達じゃないと感じた。
弱点を挙げるなら、ボス戦の単調さと後半のダレ感。それは確かにある。でもそれをひっくり返すだけのコンテンツ量とゲームループの気持ちよさが確かにある。「夜中にもう1回だけ潜ろう」を止められなかった体験は、ゲームとして本物の中毒性があった何よりの証拠だ。
リリースから2年以上が経った今でも、Dragon’s Dogma 2やElden Ring DLCが話題になる中に混じってDave the Diverの名前が出てくる。龍が如くコラボで2025年に再び話題になり、2025年末のジャングルDLCでまた注目を集めるだろう。これがゲームとしての真の息の長さの証明だ。
「このゲームは自分向きかどうか」と迷っている人に向けて最後に言うとすれば、Dave the Diverは「ゲームをあまりやらない人」にも「ゲームを毎日やる人」にも等しく刺さる間口の広さがある。難しいことを求めないプレイヤーには心地よいループが、深く掘り下げたいプレイヤーには図鑑コンプリートやコラボDLCの周回という遊び方が用意されている。どんなスタンスで向き合っても、このゲームは応えてくれる。それが「圧倒的に好評」の実態だと思う。
まだ未プレイなら、今からでも十分すぎるほど楽しめる。Steamでセールになるタイミングを狙えばさらにお得に入手できるし、2,400円の定価でも全く後悔しない内容だ。
こんな人に特におすすめ:アクションと経営の両方が好き / 深海や海洋生物に興味がある / ストーリー付きのアドベンチャーゲームを探している / コスパの良いゲームが欲しい / 長くアップデートが続くゲームで遊びたい
Dave the Diverはインディーかどうかの話はおいといて、純粋に2023年を代表するゲームのひとつだと思う。ジャンルを問わず「ゲームが好きな人」なら絶対に刺さる。
出典:Steamユーザーレビュー
デイヴ・ザ・ダイバー
| 価格 | ¥2,400 |
|---|---|
| 開発 | MINTROCKET |
| 日本語 | 非対応 |
| 対応OS | Windows / Mac |
