DREDGE(ドレッジ)——釣りとクトゥルフ神話が融合した不穏なホラー漁業アドベンチャー

DREDGE(ドレッジ)——釣りとクトゥルフ神話が融合した不穏なホラー漁業アドベンチャー

昼間は穏やかな漁師ライフ。魚を釣って、売って、船を少しずつ強化していく。BGMはゆったりしていて、海面の光がきれいで、「あ、これ癒し系ゲームだな」と思い始めた頃に夜が来る。

視界が消える。霧が濃くなる。海の底から何かが迫ってくる気配がする。そして船のライトの届かない暗闇の中で、「何か」が動いているのが見える。

DREDGEを最初に起動したとき、正直なところ「釣りゲーにしては重い雰囲気だな」程度の感覚だった。ところが30分も遊ぶと抜け出せなくなっていた。釣りという平和なゲームプレイと、背後に流れる不穏な物語と、夜になると豹変する海の表情。この3つが絶妙に絡み合っていて、気づけば「次の島まで行ったら寝よう」という思考ループに入ってしまう。

開発はニュージーランドの4人組インディースタジオ・Black Salt Games。2023年3月30日(Steam版は3月31日)にリリースされ、発売24時間以内に10万本を突破、同年10月には100万本を達成した。Steamのレビュー件数は4万4000件超で評価は「圧倒的に好評(95%)」。2024年にはBAFTA(英国アカデミー賞)へのノミネートも果たした。

小規模チームが作った一本のインディーゲームがここまでのヒットを記録した理由は、実際にプレイするとすぐにわかる。単純に、よくできているのだ。

こんな人に読んでほしい
・釣りゲームやのんびり系ゲームが好きだけど、ちょっとした刺激も欲しい人
・クトゥルフ神話やラヴクラフト系ホラーに興味がある人
・インディーゲームの中で「本当に面白いもの」を探している人
・プレイ時間10〜15時間のコンパクトなゲームが好みの人
・ストーリー考察を楽しみたい人
目次

DREDGEとはどんなゲームか——昼は漁師、夜は逃亡者

DREDGEのゲームプレイの核心は「釣り→売る→船を強化する」というサイクルだ。主人公は名もなき漁師で、嵐で座礁した小舟でグレートマロウという港町の近くに流れ着いたところから話が始まる。港長に借金を返済するため漁を続け、その過程で周辺の島々の謎と、自分が足を踏み入れてしまった世界の正体に近づいていく。

昼間のゲームプレイは、おそろしくリラックスしている。魚影を見つけて船を近づけ、釣り竿を下ろし、タイミングよくボタンを押して魚を引き上げる。釣れた魚は船倉のグリッドに配置する——このインベントリ管理がテトリスのように縦横に回転させて詰める仕組みで、「もう1匹入るはず」と試行錯誤しているうちに時間が過ぎる。

問題は夜だ。

日没後の海は根本的に別のゲームになる。霧が濃くなり、視界が狭まり、海面に目が浮かぶ。主人公には「パニック度」というパラメータがあり、夜間に暗闇にいると上昇する。パニック度が高まると幻覚の岩が現れ(実際には何もないのに避けなければならない)、さらに上昇すると巨大な触手や正体不明の生物が船を追いかけてくる。

この「夜になると別のゲームになる」設計こそが、DREDGEが多くのゲーマーを釘付けにした理由の一つだ。

昼は牧歌的な釣りゲーなのに、夜になると突然ホラーゲームになる落差がすごい。この緩急が本当に上手く作られている。

出典:denfaminicogamer.jp DREDGEレビュー

基本情報

タイトル DREDGE
開発 Black Salt Games(ニュージーランド)
パブリッシャー Team17
発売日 2023年3月30日(PC/コンソール)、2023年4月27日(日本語版パッケージ)
対応プラットフォーム PC(Steam/GOG)、PlayStation 4/5、Xbox One/Series、Nintendo Switch
ジャンル 釣り・アドベンチャー・ホラー
日本語対応 あり(テキスト完全対応)
Steam評価 圧倒的に好評(95%、4万4000件超)
クリア時間目安 10〜15時間(図鑑コンプで20時間超)
DLC The Pale Reach(2023年12月)、The Iron Rig(2024年8月)
販売本数 100万本超(2023年10月時点)

釣りシステムの完成度——リズムゲームとパズルの組み合わせ

DREDGEの釣りは、見た目はシンプルだが実際に触ると「よくできてるな」と感じる部分が多い。釣り竿を下ろすと円形のゲージが現れ、回転するカーソルが目印の範囲に入ったタイミングでボタンを押す。成功するほど早く釣り上がり、失敗すると時間がかかる。難しすぎず、かといってオートで終わるほど簡単でもない絶妙なバランスだ。

釣った魚の収納は、船倉のグリッドに対して行う。魚の形はそれぞれ異なり(縦長、横長、L字型など)、テトリスのように縦横に回転させながら詰めていく。船倉を最大限に使い切ったとき、つまり「もう1匹も入らない」状態で港に戻るときの満足感はなかなかのものだ。

釣れる魚は通常種と変異種に分かれる。変異種は奇妙な外見(目が複数ある、体が透明、触手が生えているなど)をしており、通常の魚より高値で売れる。図鑑への登録も別扱いで、「コンプしたい」という気持ちを煽ってくる。この変異魚の存在が、DREDGEの世界観——クトゥルフ神話的に「この海はおかしい」というテーマ——を釣りシステムの中に自然に組み込んでいる。

釣ったと思ったら変異種で思わず「なんだこれ」と声が出た。図鑑に登録されるたびに世界観が深まる感じがして、釣りが単なる金稼ぎじゃなくなっていく。

出典:KeepGamingOn DREDGEレビュー

竿や網には種類があり、通常の釣り竿のほかに、タコや甲殻類向けの底引き網、特定の深さに対応したディープロッドなどが存在する。進行に伴って装備の幅が広がり、釣れる魚の種類も増える。図鑑を埋めたいプレイヤーには、この多様性が「もう少しだけ」の動機づけになる。

同じく「のんびり系に見えてやり込める」ゲームとして、農場経営と釣りを組み合わせたStardew Valleyも根強い人気を誇る。

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船強化の快感——漁師から船長へ

魚を売って得た資金と、海に漂う廃船や漂流物から回収した素材を組み合わせることで、船を段階的にアップグレードしていく。強化できる要素は大きく分けてエンジン(移動速度)、釣り竿スロット、インベントリ(船倉のサイズ)、ライト(夜間の視界)、そしてキャビン(追加のロッドや特殊装備を積むためのスロット)などだ。

序盤は小さな漁船でグレートマロウ周辺しか動けないが、エンジンを強化するたびに行動範囲が広がり、それまで届かなかった島や海溝にアクセスできるようになる。「新しいエリアに行けるようになった」という解放感は、DREDGEのゲームループを回し続ける大きなモチベーションの一つだ。

特に後半になると、船倉の管理が戦略的になってくる。魚・素材・装備が混在する中で、テトリス的なスペース最適化をしながら漁に出る。限られたスペースをどう使うか——この判断がDREDGEのゲームプレイに、単なる釣りゲー以上の緊張感を与えている。

船倉のパズルが地味にハマる。釣れたはいいけど入らない、じゃあこっちを回転させて…の試行錯誤が楽しい。満載で帰港するときの達成感がいいんだよな。

出典:Steamユーザーレビュー

終盤には「廃スキャナー」「魚を引き寄せる灯台装置」「特殊な引き揚げ装置」といった個性的な装備も登場し、プレイスタイルに幅が生まれる。

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夜の海のパニックシステム——これがDREDGEのホラーの正体

夜釣りは高リスク・高リターンだ。昼には姿を見せない魚や変異種が夜の海には出現し、良い値がつく魚が釣れることもある。だが長時間の夜間航行は「パニック度」を上昇させ、最終的には幻覚や化け物の出現を招く。

パニック度が上がると何が起きるか。最初は霧が濃くなる程度だが、やがて海面に無数の目が浮かぶようになる。さらに進むと存在しないはずの岩が見え始め(幻覚)、それを避けながら航行しなければならない。最高レベルに達すると、巨大な触手や正体不明の生物が船を追いかけてくる。

この演出が絶妙なのは、「ゲームオーバーになる恐怖」と「雰囲気の演出」の両方を同時にこなしているからだ。パニック状態で追われながら港を目指す、あのひりつく感覚は、夜を迎えるたびに少し緊張する。

夜釣りしようとしたら霧の中から何かが現れてパニックになった。明け方に港に逃げ込んだときの安堵感が本物だった。

出典:4gamer.net DREDGEプレイレポート

パニック度を下げる手段としては、ランタンの光に当たる(港の近くに停泊)、特定の装備を使う、薬を購入する、などがある。昼の間に必要なものを済ませておき、夜は港付近の比較的安全な場所でこなす——このスケジュール管理が、DREDGEの遊び方の核心に近い。

開発チームはインタビューで「自分たちはホラーが得意なわけではないが、不穏な雰囲気は作れる」と語っている。これが本作の絶妙な落とし所で、「ガチガチのホラーゲームじゃないけど夜は怖い」という体験が、怖いゲームが苦手なプレイヤーにも受け入れられた理由だと思う。

ストーリーと世界観——クトゥルフ神話が土台にあること

DREDGEの物語は表面上シンプルだ。漁師が謎の港町に流れ着き、謎めいた人物(「あの人」と呼ばれる収集家)に依頼を受けながら各海域に点在する遺物を集める——それだけといえばそれだけ。しかし各島の住人との対話、見つかる日誌の断片、そして収集家の正体と目的が少しずつ明らかになっていくにつれ、「これは何かがおかしい」という感覚が積み重なっていく。

世界観の根底にはH.P.ラヴクラフトのコズミックホラーが流れている。インスマス的なフィッシャーマンの集落、深みに潜む名状しがたい存在、「海への回帰」というモチーフ——クトゥルフ神話に親しんでいる人には刺さる要素が随所に仕込まれている。ただし、直接的な名前は出てこないし、あくまでも「暗示」と「雰囲気」で語る作りになっているため、クトゥルフを知らなくても十分に楽しめる。

インスマス要素やディープワン、海への回帰などクトゥルフ神話好きならさらに刺さると思われる。SAN値ピンチになるとめっちゃ襲われるのでしっかり睡眠は取らせよう!

出典:X(@Heinagare_T)

エンディングは2種類。通常エンディングと、特定の条件を満たしたときに見られるトゥルーエンディングがある。どちらも「答え合わせ」感はなく、むしろ余韻と考察の余地を残す形で終わる。クリア後に「あのセリフはそういう意味だったのか」と振り返るプレイヤーが続出したのも頷けるストーリー構成だ。

各島のビジュアルデザインも見事で、グレートマロウ(漁師の港町)、スティルワーター沼(靄に包まれた湿地帯)、ハングリーリーチ(荒廃した工業地帯)、バリーズ休憩所(辺境の孤立した島)などそれぞれが異なる雰囲気を持ち、同じ海域でも昼と夜で表情がまったく変わる。

コズミックホラーとオープンワールドの組み合わせという点では、Sunless SeaもDREDGEと近い体験を提供する作品だ。暗い海域を探索しながら謎を解く感覚が好きな人に向いている。

DLC「The Pale Reach」と「The Iron Rig」——本編後も続く世界

本編のボリュームはクリアまで10〜15時間とコンパクトだが、Black Salt Gamesは2つの有料DLCで世界を大幅に拡張した。

The Pale Reach(2023年12月リリース)は、凍りついた極北の海域を追加するDLCだ。氷に覆われた新バイオームで、17種の新魚・変異種・甲殻類が追加される。新しい釣り竿と網が4種、サイドクエストも4本。プレイのどの段階でも進入できる設計で、本編と並行して遊べる。

The Iron Rig(2024年8月リリース)はより大規模なDLCで、「アイアンヘイヴン社」という謎の企業が建設した海上石油掘削施設が舞台。新しい50種超の魚、8種の新装備(新タイプのエサ・網・竿を含む)、船体の5段階目のアップグレードが追加される。本編とは異なる方向性のサイドストーリーが展開され、謎がまた一つ積み重なる構成になっている。

DLCも本編と同じクオリティでまとまっていて、追加装備を本編に持ち帰れるのがいい。アイアンリグのDLCは本編とは別のトーンの話で、これはこれで楽しめた。

出典:Steamユーザーレビュー

DLC2本込みのボリュームになると、図鑑コンプを目指せば優に30時間以上のコンテンツになる。また2024年にはDLC2本をまとめた「Deluxe Edition」も配信されており、セール時に本編+DLCをまとめて購入するのがコスパ的にもおすすめだ。

BAFTAノミネートと100万本——インディーゲームの成功モデル

DREDGEの商業的な成功は、インディーゲームの成功例として珍しいケースだ。4人のチームが作った初のゲームが発売24時間で10万本、6ヶ月で100万本。180カ国で販売され、2024年にはBAFTAゲームアワードに複数部門ノミネート(ベストゲーム、デビューゲームなど)された。

成功要因を一言で表すなら「コンセプトの一貫性」だと感じる。釣り×ホラーというアイデアは聞けば単純だが、昼夜システム・パニック度・変異魚・インベントリパズルというゲームメカニクスのすべてが、「昼は平和で夜は怖い漁師の話」というコンセプトを支えるように設計されている。これを4人でやりきったのは、並大抵のことではない。

釣りゲームとしての完成度が高い上に、ホラーとしての演出も手を抜いていない。インディーゲームでこのクオリティは久しぶりに感動した。

出典:Gamereactor DREDGEレビュー

さらに2024年4月には実写映画化も発表された。「ソニック・ザ・ムービー」シリーズを手がけたメディア企業Story Kitchenがプロデュースし、キャスト・公開時期は未定ながら開発進行中とされている。ゲームの世界観が映像化に向いているのは、プレイしてみると実感できる——あの夜の海の光景は、スクリーンで見てみたい。

どんな人にDREDGEはハマるか——正直なところを書く

DREDGEがどんな人に合うかを、実際にプレイして感じた視点から書く。

合う人:釣りゲームが好きで、かつ「少し不気味な雰囲気」を楽しめる人。Stardew Valleyの釣りミニゲームが好きだった人はほぼ確実にハマる。クトゥルフ神話に興味がある人には刺さる要素が多い。「考察できる余地があるストーリー」が好きな人にも向いている。プレイ時間が限られている社会人にも、10〜15時間というコンパクトなボリュームはちょうどいい。

合わない可能性がある人:強烈な戦闘システムや広大なオープンワールドを期待していると物足りないかもしれない。夜の演出がどうしてもダメという人も、パニックモードの演出は苦手かもしれない(ただし「ソウルライク的な難しさ」はなく、基本的に優しいゲームだ)。本編単体のボリュームはコンパクトなので、100時間規模のゲームを求める人とは相性が悪い。

DREDGEはホラーと言われているけど、実際は「不穏な雰囲気のあるコジーゲーム」という表現が近い。夜の演出は怖いけど理不尽ではなく、ちゃんとした準備と判断で対処できる。ゲームが苦手な人でも楽しめると思う。

出典:dengekionline.com DREDGEレビュー

難易度について補足すると、攻略的な詰まりどころはほぼない。「夜に無理をして遠くへ行こうとしたら追いかけられた」というのが最大の試練で、それも「昼のうちに準備する」という学習で対処できる。釣りのタイミングゲームも難易度は控えめで、初心者でもストレスなく進められる設計だ。

深海探索の要素が好きなプレイヤーには、広大な未知の海を探索するSubnauticaも並走して楽しめる作品だ。

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グラフィックと音楽——4人チームが作ったとは思えないクオリティ

DREDGEのビジュアルは写実的ではなく、どこかデフォルメされた淡い3D表現を採用している。昼間の穏やかな海、夕暮れ時のオレンジ色の光、深夜の黒に近い青——この色彩の移り変わりが「昼は安全、夜は危険」というゲームシステムをビジュアル面でも強化している。

特に圧倒されるのが夜の海のグラフィックだ。ライトの当たる範囲だけが見え、その外は漆黒の暗闇。霧の表現が美しく(そして不気味で)、遠くに光る目の演出はシンプルながら「そこにいる」という恐怖を的確に伝えてくる。

サウンドトラックはLucy Taborという作曲家が手がけており、昼のBGMは穏やかで波音に溶け込むような音楽、夜になると不穏な弦楽器と低音が混じり始める。このBGMの変化もまた、「夜になった」という認識を無意識のうちにプレイヤーに刷り込む。ヘッドフォン推奨のゲームだ。

夜の海の音楽が本当に良くて、怖いけど聴き続けたくなる不思議な体験。BGMだけで世界観を作り上げているなと思った。

出典:note.com DREDGEレビュー

4人チームでこのクオリティのサウンドデザインとビジュアルを実現できたのは、インディーゲームの作り方として一つのお手本だと思う。規模より密度を取る——DREDGEはその方針を最後まで一貫していた。

「DREDGEのようなゲームが他にないか」と感じる理由

DREDGEは釣りゲームとして分類されるが、プレイ後に「釣りゲームをまた遊びたい」という気持ちより「DREDGEみたいなゲームをまた遊びたい」という感覚になる。これは逆に言えば、DREDGEが単純な釣りゲームではないことを示している。

「のんびりしながら少し怖い」「ゲームの進行とともに世界の真相に近づく」「コンパクトだが密度が高い」——このセットの組み合わせは意外と少ない。いわゆるコジーゲームは怖くないし、ホラーゲームはのんびりできない。DREDGEはその中間に位置していて、それが唯一無二の体験になっている。

クリア後に「もう少し続きをやりたかった」と思うプレイヤーが多い。DLCはその感覚に応えるように設計されており、本編をクリアしたらThe Pale ReachからDLCに入るのをすすめる。アイスバイオームの静寂の中で新たな変異魚を探す時間は、本編とはまた違う趣があって良かった。

ピクセルアートの独特なビジュアルで海底探索を描いたDave the Diverは、DREDGEと「海の不思議」という点で共鳴する部分が多い。

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気になった点——正直なネガティブレビュー

良いことばかり書いていても参考にならないので、気になった点も書いておく。

まず本編単体のボリュームはやや薄め。クリアまで10〜15時間というのは、人によってはあっさりしすぎると感じるかもしれない。特に図鑑コンプを意識しないなら、ストーリーラインだけ追うと8〜10時間程度で終わることもある。定価で買うなら最初からDeluxe EditionでDLCを合わせて購入するのが満足度が高い。

序盤のテンポ感もやや気になる点だ。最初の2〜3時間は移動速度が遅く、行動範囲も狭い。この序盤の「窮屈さ」を「まだゲームが面白くない」と感じて離脱するプレイヤーがいる。実際はエンジン強化で一気にテンポが変わるので、最初の2〜3時間は乗り越えてほしい。

また、戦闘を期待するとがっかりする。夜の化け物は「逃げる対象」であって「戦う相手」ではない。これはゲームデザインとして意図的な選択だが、アクション要素を求めている人には物足りないだろう。

序盤は少し退屈かもしれないけど、最初の島を出るくらいから急に面白くなる。そこまで我慢する価値はある。

出典:Steamユーザーレビュー

これらはいずれも「ゲームが悪い」というよりは「合う人・合わない人がいる」という話だ。前述の「合う人・合わない人」セクションと照らし合わせて判断してほしい。

まとめ——DREDGEは2023年のインディーゲームのベスト水準

DREDGEは、4人のチームが作ったとは思えないほど、遊び終わった後も海の記憶が頭に残るゲームだ。釣りという穏やかなテーマと、ラヴクラフト的な不穏さと、夜の海のホラー演出が一体となって、「平和だけど不穏なゲーム」という独特のポジションを作り上げている。

Steamで4万4000件超のレビューが「圧倒的に好評」をキープし続けているのには理由がある。ゲームとしての完成度が高く、コンセプトが一貫していて、釣りゲームが初めてでも入りやすい作りになっている。クリア時間10〜15時間というコンパクトさも、現代のゲームプレイヤーのライフスタイルにフィットしている。

もし「最近インディーゲームで面白いものがない」と思っているなら、DREDGEはその答えの一つになりえる。セール時なら本編を1000円台で購入できることもあるし、DLC込みのDeluxe Editionでもコスパは良い。

DREDGEがおすすめな人まとめ
・釣りゲームが好き、またはStardew Valleyの釣りミニゲームが好きだった人
・クトゥルフ神話やラヴクラフト系の世界観が好きな人
・ホラーは苦手だが「不穏な雰囲気」は楽しめる人
・10〜15時間でクリアできるコンパクトなゲームを探している人
・インディーゲームのベスト水準を体験したい人

釣竿を下ろすたびに少し怖くて、でも夜明けを迎えるたびに安心する——あの体験をまだしたことがない人は、ぜひ一度DREDGEの海に出てほしい。

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