前作200時間プレイヤーが語る——『Kingdom Come: Deliverance II』は歴史RPGの傑作か?徹底レビュー【新作PCゲーム】

発売日にSteamで買った。前作を200時間以上遊んだ人間としては、Warhorse Studiosが「次に何を作るのか」をずっと待っていた。

で、結論から言う。このゲーム、間違いなく2025年を代表するRPGだ。ただし、最初の10時間は「なんだこの理不尽ゲー」と思う人が続出する。

発売24時間で100万本。Steam同接25万6千人。Metacritic 87点。Steamレビュー93%好評。数字だけ見れば文句なしの大成功——なんだけど、その裏には「このゲーム、人を選びすぎる」という事実がある。

RPGが好きなだけじゃダメだ。「不便さ」を受け入れる覚悟がいる。でも、その不便さの先に待っているのは、他のゲームでは絶対に味わえない「15世紀ボヘミアに生きている感覚」だ。

この記事では、キングダムカム・デリバランスIIの魅力と問題点を、忖度なしで全部書く。購入を迷っている人の判断材料になれば幸いだ。

正直、このゲームの記事を書くのに相当悩んだ。「神ゲー」と断言するには癖が強すぎるし、「合う人には合う」という曖昧な結論で終わらせるにはあまりにもったいない。だから、良いところも悪いところも、できる限り具体的に書く。長い記事になるが、それだけの価値がこのゲームにはある。

公式トレーラー

目次

こんな人におすすめ / こんな人には合わない

こんな人におすすめ

  • 中世ヨーロッパの空気を「体感」したい人 — 観光ゲーとしても超一流
  • ストーリー重視のRPGが好きな人 — カットシーン5時間超の重厚シナリオ
  • 前作が好きだった人 — 正統進化で世界もシステムも全面強化
  • ウィッチャー3やRDR2にハマった人 — 世界への没入感は匹敵する
  • 100時間以上じっくり遊びたい人 — DLC含めると底なしのボリューム

こんな人には合わない

  • サクサク進めたい人 — このゲームは「不便さ」込みのデザイン
  • ファンタジー要素が欲しい人 — 魔法もドラゴンも出てこない
  • バグに耐えられない人 — 前作よりマシだが、まだ残っている
  • 低スペックPCの人 — 最低でもRAM 16GB、100GB SSD必要
  • 前作の話を全く知らない人 — 物語は前作からの直接の続き

キングダムカム・デリバランスII 基本情報

Kingdom Come: Deliverance II — ゲーム基本情報
タイトル Kingdom Come: Deliverance II(キングダムカム・デリバランスII)
開発 Warhorse Studios(チェコ)
パブリッシャー Deep Silver / PLAION
ジャンル オープンワールド・アクションRPG
発売日 2025年2月5日
価格 通常版 8,090円 / Gold Edition 10,790円(買い切り)
対応機種 PC(Steam)/ PlayStation 5 / Xbox Series X|S
日本語対応 テキスト・音声ともに日本語対応(吹替あり)
Steam同時接続 最大256,206人(2025年2月9日)
販売本数 300万本以上(2025年5月時点)
Metacritic PC: 87 / PS5: 88 / Xbox: 88
Steamレビュー 93%好評(73,000件以上)
ストレージ 100GB SSD必須

発売24時間で100万本、2週間で200万本、5月時点で300万本突破。前作のローンチ売上を5倍以上も上回った。Steamでの同時接続数は発売4日目に256,206人を記録し、Steam全体の歴代同時接続トップ50にランクインした。2025年の米国ゲーム売上ランキングでも15位に食い込んでおり、その勢いは本物だ。チェコの中堅スタジオが作った「中世リアルシミュレーターRPG」が、AAAタイトルと真正面から殴り合っている。これだけで、このゲームがどれだけ凄いかがわかる。

ストーリー — 鍛冶屋の息子ヘンリーの復讐劇、その続き

Kingdom Come Deliverance II ストーリーシーン

前作をプレイしていない人のために、ざっくり説明しておく。

主人公ヘンリーは、15世紀ボヘミア(現在のチェコ共和国)に住むただの鍛冶屋の息子だ。勇者でもなければ、魔法使いでもない。ある日、ハンガリー王ジギスムントの軍勢が村を襲撃し、ヘンリーの家族は皆殺しにされる。前作は、その復讐の旅を描いていた。

そしてこの続編。ヘンリーの旅はまだ終わっていない。

フス戦争前夜のボヘミアを舞台に、ヘンリーは「戦士の卵から反逆者へ」と成長していく。ジギスムント率いるハンガリー軍、地元の領主たちの権力争い、宗教改革の波——歴史の渦に巻き込まれながら、一介の若者が自分の道を切り拓いていく物語だ。

ここで大事なのが、このゲームの物語はすべて史実がベースになっているということ。フィクションのファンタジーRPGとは根本的に違う。登場する街、城、教会、人物の多くが実在する。歴史家や建築家の監修を受けて作られた世界は、「ゲーム」というよりも「歴史体験」に近い。

カットシーンは前作の3時間から5時間に増加。正直、ムービーが長すぎると感じる人もいるかもしれない。でもこの物語を語るには、これだけの時間が必要だったんだと思う。

ストーリーの分岐 — 選択が世界を変える

キングダムカム・デリバランスIIのストーリーには、プレイヤーの選択によって展開が変わる分岐点がいくつもある。

たとえば、ある領主との交渉シーンで、攻撃的な態度を取るか、外交的に接するかで、その後の展開がガラッと変わる。戦闘で解決する道を選べば即座にアクションに入るが、交渉で解決すれば戦闘なしで先に進める代わりに、後の展開で別の問題が生じたりする。

特に面白いのが「裏技的な解決方法」の存在だ。あるプレイヤーが発見した例では、メインクエストのボスキャラを、クエスト開始前にこっそり暗殺してしまうことで、通常とはまったく異なるストーリー展開になるケースがある。ただし、これが原因でクエストが進行不能になるバグも報告されているので、諸刃の剣ではある。

このように、「正規ルート以外の攻略法が存在する」という自由度の高さが、リプレイ欲をかき立てる。1周目は正攻法で、2周目は悪人プレイで、3周目はステルス特化で——と、遊び方を変えるたびに新しい発見がある。

前作未プレイでも大丈夫?: ゲーム冒頭にフラッシュバック形式で前作のあらすじが語られる。ただし正直、ダイジェストだけで前作の物語を完全に理解するのは難しい。200時間プレイしたレビュアーも「前作をやっておいた方がいい」と言っている。前作はセール時に格安で買えるので、時間があるなら先にプレイするのがおすすめだ。

ゲームの世界 — 前作の2倍、2つのマップで描かれる15世紀ボヘミア

Kingdom Come Deliverance II 15世紀ボヘミアの風景

キングダムカム・デリバランスIIの世界は、前作の約2倍の広さになった。前作が1つの土地だったのに対し、今作では2つの異なるエリアを冒険する。

ただ「広い」だけじゃない。ここがこのゲームの真骨頂だ。

Warhorse Studiosはチェコの開発会社で、自分たちの故郷を丸ごとゲームに再現している。街の建物、教会のステンドグラス、道端の植物、村人の服装——すべてが15世紀の歴史考証に基づいて作られている。歴史家と建築家の監修が入っているだけあって、「ゲームの中を歩いている」というより「タイムマシンに乗った」という感覚が正しい。

ワールドデザインの特徴

  • 実在の場所がモデル — クッテンバーグ(現クトナー・ホラ)など、実際の中世チェコの都市が忠実に再現されている
  • NPC全員にスケジュール — 村人も商人も兵士も、時間に合わせて行動している。朝は仕事、昼は食事、夜は酒場。リアルすぎて気持ち悪いくらい
  • 天候と時間の影響 — 雨が降れば道がぬかるむ。夜は暗くて本当に何も見えない。松明がないと移動すら危険
  • 自然環境の作り込み — 森に入ると木漏れ日がリアルに差し込む。川の水面に風景が映り込む。このあたりのビジュアルはAAA級を余裕で超えている

ここまで読んで「観光ゲーかよ」と思うかもしれないけど、半分はその通りだ。このゲーム、ただ馬で駆け回っているだけで楽しい。目的もなく森を散策して、知らない村を見つけて、酒場に入って噂話を聞いて——そういう体験ができるRPGは、実はそこまで多くない。

クッテンバーグ — 中世の大都市をまるごと再現

今作の舞台の一つであるクッテンバーグ(現実のクトナー・ホラ)は、15世紀当時のボヘミアで最も栄えた都市の一つだ。銀鉱山で潤った富裕な街で、その繁栄っぷりはゲーム内でもしっかり感じ取れる。

街に足を踏み入れた瞬間、前作のラッテイとは明らかにスケールが違うとわかる。石畳の大通り、教会の尖塔、市場の喧騒、路地裏に潜む怪しげな人影——一つの街の中だけで何時間も遊べてしまう。商人と取引して、酒場で情報を集めて、夜になったらこっそり金持ちの屋敷に忍び込む。「街を探索する」だけでこれだけのバリエーションがあるのは凄い。

しかも、この街の建物の多くが実在の建築物をベースにしている。聖バルバラ教会のゴシック建築は、ゲーム内でも圧巻の美しさだ。中世建築に興味がある人なら、これだけで購入する価値がある。

馬での移動 — 煩わしさと楽しさの両立

広大なマップを移動する手段は、基本的に「馬」だ。ファストトラベルもあるけど、制限付きで、しかも移動中にランダムイベントが発生する。つまり、ファストトラベルしたつもりが途中で盗賊に襲われて戦闘になる、なんてことが普通に起こる。

馬の操作は最初ちょっと癖がある。急な方向転換ができないし、障害物にぶつかると速度が落ちる。でも慣れてくると、森の中を駆け抜ける感覚がたまらなくなる。特に夜明けの光の中を走っている時の景色は、スクリーンショットを撮りたくなること間違いなしだ。

馬にはスタミナと忠誠度があって、世話をしないとパフォーマンスが落ちる。リアリズムの一環だけど、馬具の装備によって速度や積載量が変わるので、カスタマイズ要素としても楽しめる。DLCで追加された馬レースは、思った以上にちゃんと作り込まれていて、サイドコンテンツとして十分楽しい。

戦闘システム — 「理不尽」の先にある快感

Kingdom Come Deliverance II 戦闘システム

このゲームの戦闘は、好き嫌いが真っ二つに分かれる。間違いなく、キングダムカム・デリバランスIIの最大の魅力であり、最大の壁だ。

まず大前提として、このゲームの戦闘は「方向指定型の近接戦闘」を採用している。画面中央に花のようなアイコンが表示されて、マウス(もしくは右スティック)で攻撃方向を指定する。上斬り、左斬り、右斬り、突き——これを相手のガードの隙間を狙って繰り出していく。

戦闘の基本要素

  • 方向指定攻撃 — 上・左・右の斬撃と突きの4方向
  • ブロックとカウンター — タイミングよくガードすれば相手の攻撃を弾ける
  • つかみと投げ技 — 新要素。拘束して有利な体勢を作れる
  • スタミナ管理 — 攻撃だけでなく防御でもスタミナが減る。枯渇するとガードが崩れる
  • Master Strike — 習得すれば戦闘が劇的に楽になるカウンター技
  • 経験値でスキル習得 — 武器を使い込むほど新しい技が開放される

正直に書く。序盤の戦闘は、理不尽に感じるレベルで難しい。

ヘンリーは最初「ただの鍛冶屋の息子」だ。剣の振り方もまともに知らない。だからプレイヤーの操作スキルが高くても、ゲーム内のヘンリーが弱いから攻撃は空振りするし、ガードは間に合わないし、盗賊3人に囲まれたら即死する。

この「プレイヤーの実力≠キャラクターの実力」という設計が、合わない人にはとことん合わない。普通のアクションRPGなら「プレイヤーが上手ければ序盤から無双できる」のが当たり前だけど、このゲームはそうじゃない。ヘンリーの成長を待たなければいけない。

戦闘の転換点: 多くのプレイヤーが口を揃えて言うのが「Master Strikeを覚えてから世界が変わった」ということ。この技を習得すると、相手の攻撃に合わせてカウンターを自動で繰り出せるようになる。序盤の理不尽さが嘘みたいに、戦闘が爽快になる。ただし、逆に強くなりすぎて簡単になるバランス問題を指摘する声もある。

ここはレビューとして正直に言わせてもらうと——序盤が難しすぎて、中盤以降が簡単すぎるというバランス問題は確かにある。戦闘の難易度カーブがなだらかじゃなくて、Master Strike習得を境に崖のように変わる。このあたりは前作から指摘されていた点で、続編でも完全には解決されていない。

ただ、2025年4月に追加されたハードコアモードを選べば、終始歯ごたえのある戦闘が楽しめる。ヌルゲーになるのが嫌な人は、ハードコアモードを強く推す。

新武器 — クロスボウと初期銃火器

前作では弓が主な遠距離武器だったが、今作ではクロスボウ初期の銃火器が追加された。

クロスボウは弓より装填が遅いが、威力は段違い。重装甲の騎士にも有効打を与えられる。初期銃火器に至っては、15世紀の技術レベルを反映してかなり不安定だが、ハマった時の破壊力は凄まじい。

これらの新武器によって、戦闘のアプローチが大幅に広がった。剣一本で正面から斬り込むだけじゃなく、遠距離から削ってから突撃する、という戦術が取れるようになった。

武器・防具のバリエーション

武器のバリエーションはかなり豊富だ。片手剣、両手剣、メイス、斧、槍、短剣——それぞれに特性があり、相手の装備によって有効な武器が変わる。

たとえば、鎧をガチガチに着込んだ騎士には、斬撃より打撃が有効だ。メイスやウォーハンマーで鎧の上からダメージを与えるか、隙間を狙って突きを入れるか。逆に、軽装の盗賊相手なら剣でサクサク斬り倒せる。

防具も頭、胴、腕、脚、足とパーツごとに装備を変えられる。しかも防具には「外装」と「内装」の概念があって、チェインメイルの上からプレートアーマーを重ね着する、みたいなことができる。装備の組み合わせだけで相当な時間を溶かせる。

ただし、重装備にはデメリットもある。移動速度が落ちる、スタミナ消費が増える、隠密行動が難しくなる。見た目のカッコよさとゲーム的な実用性のバランスを考えるのが、地味に楽しいポイントだ。

ステルスと犯罪 — もうひとつの遊び方

戦闘だけがこのゲームの楽しみじゃない。「泥棒プレイ」と「暗殺プレイ」も立派な攻略ルートだ。

夜中にこっそり敵の拠点に忍び込んで、寝ている敵を一人ずつ始末する。もしくは、商人の家に忍び込んで金品を盗む。鍵開けスキルを上げれば、開かない扉はほぼない。スリのスキルが上がれば、会話中に相手の懐からアイテムを抜き取ることもできる。

ただし、犯罪にはリスクが伴う。目撃者がいれば通報されるし、盗品は「盗品」マークがついて正規の商人には売れない。衛兵に捕まると投獄されたり、罰金を取られたり、最悪の場合は晒し台に載せられる。

この「犯罪を実行できるけど、バレた時のリスクもリアル」というバランスが、キングダムカムらしい。他のRPGだと「衛兵に見つかっても戦えば逃げられる」みたいなことが多いけど、このゲームでは衛兵が本気で追いかけてくるし、装備もプレイヤーより強いことが多い。犯罪は計画的にやらないと痛い目に遭う。

スキルシステム — 使えば使うほど上手くなる

キングダムカム・デリバランスIIのスキルシステムは、「使った分だけ上手くなる」という直感的な仕組みだ。

剣を振れば剣術スキルが上がる。弓を撃てば弓術スキルが上がる。鍵を開ければ開錠スキルが上がる。走ればスタミナが伸びる。読書すれば知識が増える。まるで現実の技能習得みたいで、RPGの中でも独特の育成体験だ。

ただし、スキル上げにはそれなりに時間がかかる。特に弓術スキルの上げ方はプレイヤー間で「苦行」とすら言われている。射的場でクロスボウを延々と撃ち続けるのが効率的だけど、正直退屈だ。このあたりは「リアリズムか、ゲーム的な快適さか」のトレードオフで、好みが分かれるところだろう。

スキルが一定レベルに達すると、パーク(特殊能力)を選択できる。パーク同士の相性や、プレイスタイルに合わせたビルドを考えるのは楽しい。話術特化で戦闘を回避しまくるビルドも、脳筋で全敵を叩き斬るビルドも成立する。隠しパークの存在も確認されていて、特定の条件を満たすことで解放されるレアなスキルもある。こういった隠し要素の発見がコミュニティで共有される様子も、このゲームの楽しみの一つだ。

前作からの進化ポイント — 何が変わったのか

前作プレイヤーが最も気になる「何が変わったのか」を整理する。

1. ワールドの規模と密度

前作は1つのエリアだったが、今作は2つのマップを探索できる。単純な広さは約2倍。しかも密度が上がっている。前作は「広いけど何もない場所」がそれなりにあったが、今作は移動中に遭遇するイベント、発見できる場所、出会うNPCが格段に増えた。

2. 鍛冶システム

ヘンリーは鍛冶屋の息子だ。前作では設定だけだったその背景が、今作では実際に鍛冶ミニゲームとして実装された。自分で武器を鍛造できる。ハンマーで叩いて形を整え、焼き入れして刃をつける。単なるクラフトメニューじゃなくて、ちゃんと作業工程をプレイする。DLC「Legacy of the Forge」ではさらに深掘りされ、鍛冶場の復興・改築まで楽しめる。

3. 会話と選択肢の強化

会話中の選択肢が大幅に増えた。話術スキルが高ければ、戦わずに敵を説得したり、交渉で有利な条件を引き出したりできる。前作以上に「戦闘以外の解決手段」が用意されている。カルマシステムがないので、善悪の制約を受けずに自由な選択が可能だ。会話中にウソをつくことも、脅迫することも、賄賂を渡すこともできる。その結果は自分で引き受けなければならないが、その自由こそがこのゲームの醍醐味だ。

4. つかみ・投げ技の追加

戦闘に「つかみ」と「投げ技」が追加された。相手を掴んで崩す、投げて地面に叩きつけるといったアクションで、戦闘の幅が広がった。特にタイマン戦では、斬撃とつかみを織り交ぜた駆け引きが熱い。

5. 日本語吹替の完全対応

前作は英語音声のみだったが、今作は日本語吹替に完全対応している。これは日本のプレイヤーにとって、かなり大きな進化だ。膨大なテキストを字幕で追うのは正直しんどかった前作の弱点が、ついに解消された。

リアリズムへのこだわり — 良い面と悪い面

キングダムカム・デリバランスIIを語る上で避けて通れないのが、「リアリズムへの異常なまでのこだわり」だ。

このゲームでは、ヘンリーは人間だ。当たり前のことを言っているようだけど、ゲーム的に言うと、これは結構重大なことを意味する。

リアリズム要素の一覧

  • 空腹 — 食べないと体力が減り、最悪死ぬ。腐った食べ物を食べると食中毒になる
  • 睡眠 — 寝ないとステータスが下がる。適切なベッドで寝ないと疲れが取れない
  • 衛生 — 血まみれ・泥まみれの状態でNPCに話しかけると印象が悪い
  • 装備の重さ — 重装備は防御力が高い代わりに、スタミナ消費が増える
  • 盗品管理 — 盗んだアイテムには「盗品」マークがつく。時間が経てば消えるが、見つかれば犯罪になる
  • 錬金術 — 回復アイテムは店で買うか、自分で材料を集めて調合する
  • 読み書き — ヘンリーは最初、字が読めない。学んで初めて本が読めるようになる
  • セーブ制限 — いつでもセーブはできない。セーブスナップス(特殊アイテム)が必要か、ベッドで寝る必要がある

ここまで徹底しているゲームは本当に珍しい。そして、これが好きか嫌いかで評価が真っ二つに分かれる。

好きな人の意見: 「だからこそ没入感が段違い。すべての行動に意味がある。町に帰って風呂に入って、飯を食って、ベッドで寝る。そのルーティンすら楽しい」

嫌いな人の意見: 「リアリズムが都合よく適用されている。空腹で死ぬのに、45度の坂も登れない。矢が壁を貫通して当たる。リアリズムがプレイヤーにだけ不利に働いている」

正直、両方の意見に一理ある。このゲームのリアリズムは「完璧なシミュレーション」ではなく「ゲーム的なリアリズム」だ。都合の悪い部分は切り捨てて、没入感を高める部分だけリアルにしている——とも言える。でも、それを差し引いても、この方向性を貫いたゲームは他にほとんどない。唯一無二だと思う。

セーブシステム — 好みが分かれる設計思想

リアリズム要素の中でも特に議論を呼ぶのが、セーブシステムだ。

このゲームでは、好きなタイミングでセーブができない。セーブする方法は3つ。ベッドで寝る。特殊アイテム「セーブスナップス」を使う。クエストの特定のチェックポイントで自動セーブされる。

これ、何が困るかというと——30分かけて野営地を攻略して、最後のボスに負けたら30分前からやり直しになる場合がある。「え、オートセーブは?」と思うかもしれないが、このゲームではセーブは「贅沢品」なのだ。

セーブスナップスは醸造するか商人から買うしかなく、序盤は常に不足気味だ。つまり、「失敗したらやり直す」というゲーム的な保険が効きにくい。結果として、一つひとつの行動に緊張感が生まれる。盗賊の野営地に突撃する前に「ここでセーブスナップスを使うべきか?」と悩むのは、このゲームならではの体験だ。

もちろん「ただ面倒くさいだけ」「ゲームを遊ぶ時間が限られている社会人には厳しい」という批判はもっともだ。MODでセーブ制限を緩和することもできるので、どうしても合わない人はMODの導入をおすすめする。

錬金術 — 自分で薬を作る楽しさ

錬金術は、このゲームのリアリズム要素の中でもっとも「ゲーム的に楽しい」部分かもしれない。

素材を集めて、レシピに従って薬を調合する。ただし、ボタン一つで完成するわけじゃない。実際に蒸留器の前に立って、火をつけて、材料を入れて、砂時計を見ながらタイミングを計って——と、本当に薬を作っているような作業工程を体験する。

最初はレシピ通りに作るだけでも手間だけど、スキルが上がると材料を自動で識別できるようになったり、一度に作れる量が増えたりする。回復薬だけでなく、毒、強化薬、解毒剤、睡眠薬など、種類も豊富だ。

特に使えるのが「セーブスナップス」の自作。これを作れるようになると、セーブ問題がかなり緩和される。錬金術スキルを上げる動機としても機能しているのが上手い設計だと思う。

探索の楽しさ — 寄り道が本編になるゲーム

メインクエストだけを追いかけたら、おそらく40〜50時間でクリアできる。でも、このゲームをそう遊ぶのはもったいない。

サイドクエストの質が異常に高い。村人から頼まれた「ちょっとした仕事」が、とんでもない事件に発展する。泥棒を追いかけていたら陰謀に巻き込まれ、修道院の秘密を探っていたら疫病の真相に辿り着き——サイドクエストなのにメインクエスト並みの濃密さがある。

200時間プレイしたレビュアーが「まだ全部のサイドクエストを終えていない」と言っているのは伊達じゃない。

サイドクエストの特徴:

  • 時間経過で失敗するクエストがある(放置していると展開が変わる)
  • 複数の解決手段(戦闘・交渉・窃盗・説得など)
  • 選択によってNPCの態度や物語の展開が変わる
  • 一部のクエストは他のクエストとリンクしている

さらに、クエスト以外の「ただの探索」も楽しい。道端で遭遇する盗賊との戦闘、崖の上から見下ろす景色、廃墟に隠された宝——「歩いているだけで何かが起こる」世界がそこにある。

時間制限のあるクエスト — 緊張感と後悔

このゲームの面白いところの一つに、「放置するとクエストが失敗する」という仕組みがある。

たとえば、村人から「盗賊が村を脅している、助けてくれ」と頼まれたとする。普通のRPGなら、そのクエストを受けて何日放置しても、盗賊は律儀にプレイヤーが来るのを待っている。でもこのゲームでは違う。放置していると、盗賊が本当に村を襲って住民が被害を受ける。

この時間制限は明確に表示されないケースもあるから、「メインクエストを先に進めていたら、いつの間にかサブクエストが失敗していた」ということが起こる。最初は理不尽に感じるかもしれないけど、これが世界のリアリティを支えている。NPCには自分の人生があって、ヘンリーの都合に合わせてくれるわけじゃない——ということだ。

逆に言えば、この仕組みのおかげで「次どうしよう」の判断が常に迫られる。メインクエストを進めるか、サブクエストを先に片付けるか。その選択自体がゲームプレイの一部になっている。

犯罪と報酬 — 悪人プレイの魅力

前述の通り、このゲームにはカルマシステムがない。つまり、ヘンリーは聖人にも悪党にもなれる。

盗賊の野営地を壊滅させて英雄になることもできるし、逆に商人を襲って金品を奪い取ることもできる。修道院の聖遺物を盗み出して闇商人に売り飛ばすこともできるし、困っている旅人を助けて報酬をもらうこともできる。

面白いのは、犯罪がちゃんと「世界に影響を与える」こと。普通のRPGだと犯罪をしてもペナルティは一時的なものだが、このゲームでは町で犯罪を繰り返すと、その町の住民からの評判が目に見えて下がる。商人は高値を吹っかけてくるし、衛兵は見かけるたびに止めてくる。逆に善行を重ねれば、住民から親しまれて商取引が有利になる。

この評判システムがあるから、「どこで善人になって、どこで悪人になるか」の戦略性が生まれる。メインの活動拠点では品行方正に過ごし、離れた町でこっそり悪事を働く——みたいな使い分けが現実的にできてしまうのが、このゲームの懐の深さだ。

良いところ — 推しポイント5つ

1. 歴史的リアリズムの到達点

中世ヨーロッパを「体感」できるゲームとして、これ以上のものは現時点で存在しない。歴史家と建築家の監修を受け、実在の街や建築物を忠実に再現している。教科書で読むだけだった中世の暮らしが、目の前に広がる感覚は圧巻だ。

2. ストーリーの重厚さ

カットシーン5時間超。すべてが史実ベースの物語は、ファンタジーRPGとは別次元のリアリティがある。ヘンリーの成長物語は王道だけど、「歴史の中で生きる一人の人間」として描かれることで、ありきたりじゃなくなっている。

3. 自由度の高さ

カルマシステムがないので、善人にも悪人にもなれる。盗みを働いても、人を殺しても、ゲーム的なペナルティはあるけど道徳的な強制はない。「中世に生きる人間として、何を選ぶか」がプレイヤーに委ねられている。

4. 日本語フルボイス対応

前作で最大のハードルだった言語の壁が解消された。膨大な量のテキストが日本語吹替で楽しめるのは、このシリーズの間口を大きく広げている。しかも吹替のクオリティが高い。

5. DLCのボリュームと質

発売後に配信された3つのDLC(Brushes with Death、Legacy of the Forge、Mysteria Ecclesia)はどれも単なるおまけじゃなく、独立した物語として完成度が高い。特に鍛冶場を復興していく「Legacy of the Forge」は、本編とはまた違った楽しさがあると評判だ。

辛口ポイント — 気になる点4つ

良いところだけ書いても参考にならないので、問題点もしっかり書く。

1. 戦闘バランスの極端さ

前述の通り、序盤は理不尽に難しく、Master Strike習得後は劇的に楽になる。この落差が大きすぎる。序盤で挫折する人が多い一方で、後半は「もう少し歯ごたえが欲しい」と感じる人も出てくる。ハードコアモードで解消はできるが、ノーマルの戦闘バランスは改善の余地がある。

2. バグ・不具合がまだ残っている

前作の悪夢に比べればかなり改善されたが、2025年時点でもバグは存在する。音声がプツプツ途切れる現象、クエストの進行不能バグ、NPCの行動がおかしくなるバグなどが報告されている。パッチで随時修正されてはいるが、完全にクリーンとは言えない。

3. 要求スペックの高さ

最低動作環境でRAM 16GB、ストレージ100GB SSD。推奨でRAM 24GB、RTX 3060以上。快適に遊ぼうと思ったらそれなりのスペックが必要で、数年前のゲーミングPCだと厳しい。美しいビジュアルの代償とも言えるが、ユーザーを選ぶのは事実だ。

4. 前作との接続問題

物語は前作からの直接の続きで、冒頭のフラッシュバックだけでは前作の内容を十分にカバーできていない。前作をプレイしていないと、人間関係や政治的背景がわかりにくい。前作未プレイで楽しめたという声もあるが、フルに楽しむなら前作プレイを推奨する。

ユーザーの声 — 実際のプレイヤーはどう感じているか

数字やスペックだけじゃわからない「生の声」を集めた。

Steamレビューから

Steam全体で93%好評(73,000件以上のレビュー)。直近30日間でも93%好評を維持している。

好評レビューの傾向としては、「没入感」「ストーリー」「世界の作り込み」「自由度」を挙げる人が圧倒的に多い。一方で不評レビューは「バグ」「戦闘の難しさ」「セーブ制限」「要求スペック」に集中している。

日本語メディア・レビュアーの声

「散々な目に遭うこともあるけど中世の旅は最高だ。『この世界で生きている』と実感できるリアリティと没入感がたまらない」

— ファミ通 レビュー(出典

「史実を元にした重厚な世界をヒリヒリした緊張感で味わえる本格派オープンワールド」

— Gamer レビュー(出典

「過酷でありのままの妥協も近道もない中世だ」

— Game*Spark 海外レビューまとめ(出典

「盗賊に襲われ、糞尿をぶっかけられ、晒し台の刑に処されるRPG」

— 電ファミニコゲーマー レビュー(出典

200時間プレイしたレビュアーが「前作未プレイでも楽しめた」と書いているのは心強い。ただし同時に「前作をやっておけばもっと楽しめたはず」とも付け加えている。

Twitter/Xでの声

noteの個人レビューから

「日本の多くはまだこのゲームの良さを知らない」

— ずんだ(note)(出典

「楽しすぎたので、いいところ、リアルなところ、バグったところ、笑えるところぜんぶ書く」

— SSDM(ゲームライター/note)(出典

国内外問わず、「不便だけどハマる」「最初は辛いけど慣れたら最高」という意見が圧倒的に多い。逆に言えば、「最初の壁を越えられるかどうか」がこのゲームの評価を分ける最大のポイントだ。

海外メディアの評価

海外の大手ゲームメディアの評価もまとめておく。

  • PC Gamer — 「停滞していたジャンルを10年ぶりに前進させた、ジャンルを定義するゲーム」
  • Game Informer — 「現代の中世エピック」と評価。メカニクス、キャラクター、ワールドビルディングが有機的に結びついている点を絶賛
  • Gamereactor — 9/10のスコア
  • GamesHub — 「すべてのシステムが過剰設計されている」と辛口に評しつつも、その過剰さがゲームの魅力でもあると認めている

辛口な批評家からも「好き嫌いはあるが、このゲームにしかない魅力がある」と認められているのは、大きな説得力がある。Metacriticの87〜88点という数字は、AAAタイトルとしてもかなりの高評価帯だ。同じ2025年のRPGで比較すると、多くのタイトルを上回るスコアを記録している。

日本のプレイヤーコミュニティ

日本ではまだ知名度がそこまで高くないのが現状だ。noteのレビュアーが「日本の多くはまだこのゲームの良さを知らない」と書いているのは、残念ながら的を射ている。

ただ、前作は日本語吹替に対応していなかったこともあり、日本語吹替が完備された今作からは参入障壁がかなり下がっている。日本語のプレイガイドや攻略情報も徐々に充実してきており、日本のプレイヤーコミュニティは少しずつ成長している印象だ。

ファミ通が攻略ガイドを出しているし、Twitterでもプレイ報告が増えてきている。「ニッチだけど刺さる人にはとことん刺さるゲーム」という立ち位置は変わらないが、刺さる人の数は確実に増えていると感じる。

PCスペック — 自分のPCで遊べるか確認しよう

このゲームのPC要求スペックは正直高い。「美しいビジュアルの代償」と言えばそうだけど、数年前のPCだとキツい。

項目 最低(1080p Low 30fps) 推奨(1080p Medium 60fps) ウルトラ(1440p/4K)
CPU i5-8400 / Ryzen 5 2600 i5-13600K / Ryzen 5 7600X i7-13700K / Ryzen 7 7800X3D
GPU GTX 1060 6GB / RX 580 RTX 3060 / RX 6600 XT RTX 4080 / RX 7900 XT
RAM 16GB 24GB 32GB
ストレージ 100GB SSD必須(アプデ込みで150GB推奨)
OS Windows 10 64bit以降

注目すべきはRAM 16GBが最低条件という点。通常推奨ですら24GB要求される。数年前は「16GBあれば大体のゲームは大丈夫」だったが、このゲームは明らかにその基準を超えている。ストレージもSSD必須で100GB。今後のアップデートやDLCも考えると、150GBは確保しておきたい。

スペックに自信がない場合のアドバイス: グラフィック設定を下げれば、推奨スペック以下のPCでも遊べなくはない。特にシャドウとフォリッジ(草木の表示)を「低」にすると、パフォーマンスが大幅に改善する。遠景の描画距離を下げるのも効果的だ。見た目は多少劣るが、ゲーム体験そのものは損なわれない。また、DLSSやFSRなどのアップスケーリング技術にも対応しているので、対応GPUを持っているなら積極的に使おう。

GPU的には、RTX 3060がコスパの良い選択肢だ。1080p Medium設定でおおむね60fps前後を出せる。4Kや1440p Highを狙うならRTX 4070以上が欲しいところだが、1080pで遊ぶ分にはミドルレンジGPUでも十分だ。

もう一つ気をつけたいのが、ロード時間だ。HDD環境だとロード時間がかなり長い。SSD必須と書いたのは伊達ではなく、実際にSSDとHDDでは体感のロード時間が大きく異なる。特にファストトラベル時やエリア間の移動時に差が出る。NVMe SSDがあればベストだが、SATA SSDでもHDDよりは格段にマシだ。

ポストローンチ — 発売後も進化し続けるゲーム

Warhorse Studiosは発売後も積極的にアップデートとDLCを配信している。「売り逃げ」するスタジオが多い中で、発売後のサポートに力を入れている姿勢は評価に値する。パッチも定期的にリリースされ、バグ修正とパフォーマンス改善が着実に進んでいる。

無料アップデート(2025年春配信済み)

  • ハードコアモード(2025年4月15日配信)— 難易度と没入感を大幅に強化。マップなし、自動回復なし、敵が格段に強くなる
  • 馬レースミニゲーム — 競馬イベントが追加された
  • 床屋 — ヘンリーの髪型やヒゲをカスタマイズ可能に
  • 公式MODサポート — PCユーザー向けにMOD導入が正式にサポートされた

有料DLC(Expansion Pass収録)

  • Brushes with Death(2025年夏)— 謎のアーティストとの旅。約8時間のストーリー
  • Legacy of the Forge(2025年秋)— クッテンバーグの鍛冶場を復興させる。鍛冶システムをさらに深掘り
  • Mysteria Ecclesia(2025年冬)— セドレツ修道院で蔓延する疫病の謎を解く

DLC3本で1つの「拡張パス」として販売されているが、どれも短編ながら完成度が高い。特にLegacy of the Forgeは「鍛冶場を改築していくのがめちゃくちゃ刺さった」というユーザーの声が多い。鍛冶屋の息子であるヘンリーのルーツに立ち返る内容で、本編とはまた違った楽しさがある。

前作「Kingdom Come: Deliverance」との比較

前作プレイヤー向けに、具体的な比較をまとめておく。

項目 前作(2018年) 続編(2025年)
マップ 1エリア 2エリア(約2倍)
カットシーン 約3時間 約5時間
遠距離武器 弓のみ 弓 + クロスボウ + 初期銃火器
鍛冶 設定のみ 鍛冶ミニゲーム実装
戦闘 斬撃・突き・ガード + つかみ・投げ技追加
日本語吹替 なし(字幕のみ) フル吹替対応
販売本数 累計1,000万本(7年間) 300万本(3ヶ月)
Metacritic 76 87〜88
バグ 発売時は悲惨だった 残っているが大幅に改善

数字で見ると、あらゆる面で前作を上回っている。特にMetacriticスコアが76→87に跳ね上がっているのは、前作の反省をしっかり活かした結果だと思う。バグの少なさ、コンテンツの充実度、日本語対応——前作で指摘された弱点をほぼすべて潰してきた。

ちなみに前作は7年かけて累計1,000万本を達成したが、続編は3ヶ月で300万本。このペースが続けば前作を上回るのは時間の問題だ。

ハードコアモード — 究極のリアリズム体験

2025年4月15日のアップデートで追加されたハードコアモードは、このゲームの「リアリズム」をさらにもう一段階引き上げるオプションだ。

ノーマルモードでも十分に不便で難しいこのゲームが、ハードコアモードではどうなるか。主な変更点は以下の通り。

ハードコアモードの主な変更点

  • マップにプレイヤー位置が表示されない — 道標や太陽の位置で自分の居場所を判断する必要がある
  • ファストトラベル不可 — すべての移動を馬か徒歩で行う
  • HUDの大幅削減 — 体力バーやコンパスが表示されない
  • 敵が格段に強くなる — 雑魚敵でも油断すると即死
  • セーブ制限がさらに厳しくなる — セーブスナップスの効果が弱体化
  • ネガティブパークの強制付与 — 開始時にランダムなデメリットパークが付く

正直、ハードコアモードは万人向けではない。ただ、ノーマルの戦闘バランスに不満を感じた人——特に「後半ヌルゲーすぎる」と感じた人には強く推す。マップなし、HUDなし、ファストトラベルなしの環境で中世ボヘミアを歩くと、没入感が別次元になる。道に迷って森をさまよい、遠くに見える教会の尖塔を頼りに方角を判断する——そういう体験がしたい人には最高のモードだ。

ただし、ハードコアモードは1周目にはおすすめしない。まずはノーマルでシステムを理解し、マップの地理を把握してから挑戦する方が楽しめる。2周目のハードコアは「もう一度同じゲームを遊んでいる」感覚ではなく、「まったく別のゲームを遊んでいる」くらいの新鮮さがある。ノーマルで何十時間も遊んだ後でも、ハードコアでは序盤の盗賊ですら恐怖の対象になる。この落差が楽しい。

「チェコの小さなスタジオ」が世界を驚かせた理由

ここで少し、開発元のWarhorse Studiosについて触れておきたい。

Warhorse Studiosはチェコ・プラハに拠点を置く開発スタジオで、従業員は約250人。EAやUbisoft、ActivisionのようなAAA大手と比べれば、中堅どころだ。

前作「Kingdom Come: Deliverance」(2018年)は、もともとKickstarterで資金を集めたインディーゲームだった。「魔法もドラゴンも出てこない中世RPG」というニッチすぎるコンセプトに対して、当時は懐疑的な声も多かった。しかし蓋を開けてみれば累計1,000万本のヒット作に化けた。

その成功を経て、Deep Silverの資金面のバックアップを得て制作された今作は、前作の5倍以上のローンチ売上を記録した。「ニッチだったゲームがメインストリームに食い込んだ」という点で、ゲーム業界の成功物語としても注目に値する。

彼らが一貫してブレないのは「リアルな中世を描く」というビジョンだ。ファンタジー要素を入れれば売れるのはわかっている。でもそうしない。歴史考証に基づいたリアリズムを貫く。その頑固さが、このシリーズを唯一無二の存在にしている。

ディレクターのダニエル・ヴァーヴラは、TGS2024のインタビューで「IIは私たちが本当に作りたかったゲーム」と語っている。前作は資金とリソースの制約で実現できなかった要素がたくさんあったが、続編ではそのほぼすべてを実装できたという。鍛冶システム、クロスボウ、2つのマップ——どれも前作の構想段階では計画されていたが、当時は技術的・予算的に断念せざるを得なかった要素だ。

つまり、キングダムカム・デリバランスIIは「前作のやり残しを全部詰め込んだ完全版」とも言える。それが300万本という数字に繋がったのだと思う。

MODサポート — PCユーザーの楽しみ方がさらに広がる

2025年春のアップデートで公式MODサポートが追加された。これはPC版プレイヤーにとって大きなニュースだ。

前作でも非公式MODは盛んだったが、今作では公式サポートということで、MODの導入がかなり簡単になった。テクスチャの改善、UIの調整、セーブ制限の緩和、難易度調整——多種多様なMODがコミュニティから公開されている。

個人的におすすめのMODカテゴリをいくつか挙げると:

  • セーブ関連MOD — セーブスナップスなしでいつでもセーブできるようにするMOD。社会人プレイヤーには救世主
  • UI改善MOD — HUDの情報量を増やしたり、マップを見やすくしたりするMOD
  • ビジュアル強化MOD — テクスチャの高解像度化やライティングの調整
  • 難易度調整MOD — 戦闘バランスを微調整するMOD。序盤を少し楽にしたい人向け

MODの存在によって、ゲームの弱点(セーブ制限、戦闘バランスなど)をプレイヤー自身で調整できるのは、PC版の大きなアドバンテージだ。PS5/Xbox版ではMODは使えないので、この点はプラットフォーム選択の判断材料にもなる。

「今買うべきか、セールを待つべきか」問題

記事を読んで「面白そうだけど、セールまで待とうかな」と思った人もいるだろう。正直な意見を書く。

通常版8,090円、Gold Edition 10,790円。2025年の新作RPGとしては妥当な価格設定だ。クリアまで40〜50時間、やり込めば100時間以上。1時間あたりのコストで考えれば、映画2時間で2,000円払うよりはるかにコスパが良い。

すでに30〜50%オフのセールが何度か実施されている。急がないならセールを待つのも一つの手だが、DLC込みで長期間遊べることを考えると、Gold Editionを定価で買っても後悔はしないレベルのコンテンツ量だと思う。

前作をまだプレイしていないなら、先に前作を格安で購入してプレイしつつ、続編のセールを待つのが最も賢い選択かもしれない。前作の消化中に続編のセールが来るだろうし、前作を終えた直後に続編を始められる最高のタイミングにもなる。

似たゲームが好きならこれもチェック

キングダムカム・デリバランスIIが好きな人、あるいは気になっているけどまだ手を出していない人に、関連するゲームを紹介する。

前作「Kingdom Come: Deliverance」

続編を遊ぶなら、まずはこっちから。ヘンリーの物語の始まりが描かれている。セール時には格安で買えるし、7年分のパッチで発売当初のバグ地獄は解消済み。最近のアップデートで日本語吹替にも対応したので、今始めるなら最高のタイミングだ。

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紅の砂漠(Crimson Desert)

こちらも2025〜2026年の注目オープンワールドRPG。黒い砂漠の開発元Pearl Abyssが手がけた作品で、戦闘のアクション性が高い。キングダムカムが「リアリズム重視」なら、紅の砂漠は「アクション重視」。方向性は違うが、オープンワールドRPGの新しい可能性を感じさせる作品だ。

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コンカラーズブレード

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エルデンリング ナイトレイン

フロムソフトウェアの最新作で、2025年のPC新作では最大級の話題作。キングダムカムとはジャンルもテイストも全然違うけど、「歯ごたえのある戦闘」「広大な世界の探索」「達成感」という共通点がある。高難易度アクションが好きで、かつオープンワールドの探索も楽しみたいという人には間違いなくおすすめ。Steam同接31万人を記録したモンスタータイトルだ。

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Mount & Blade II: Bannerlord

中世ヨーロッパ風の世界で、自分の軍団を率いて領土を拡大していくアクションRPG+ストラテジー。キングダムカムが「一人の人間の物語」なら、こちらは「一人の指揮官が王になるまでの物語」だ。戦闘のスケール感はこっちの方が上で、数百人規模の野戦が楽しめる。サンドボックス的な自由度を求めるならこちらもチェックしてみてほしい。

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まとめ — 買いか、待ちか

長々と書いてきたけど、最後に結論をまとめる。

キングダムカム・デリバランスII — 最終評価

「買い」だ。ただし条件付きで。

このゲームは万人受けするタイプじゃない。最初の10時間は「何が面白いのかわからない」と思う人が続出する。戦闘は理不尽に難しいし、リアリズムは面倒くさいし、セーブもままならない。

でも、その壁を越えた先に他のゲームでは絶対に味わえない体験が待っている。15世紀ボヘミアの空気を吸い、泥まみれになりながら剣を振り、酒場で情報を集め、夜道を松明片手に歩く——この没入感は、2025年のRPGで頭一つ抜けている。

Steamレビュー93%好評。Metacritic 87〜88点。発売3ヶ月で300万本。数字が証明している通り、「わかる人にはわかる」のレベルをとっくに超えて、多くのプレイヤーの心を掴んでいる。

おすすめの始め方:

  • まず前作をセール価格で購入してプレイ(物語の理解が深まる)
  • 続編はGold Editionでの購入を推奨(DLC3本が全部含まれる)
  • PC版なら、RTX 3060以上 + RAM 24GB以上を確保してからプレイ
  • 最初は難しくても10時間は我慢する。そこが分岐点

2025年を代表するRPGを探しているなら、キングダムカム・デリバランスIIは筆頭候補だ。チェコの頑固な開発者たちが作り上げた「本物の中世」に、ぜひ飛び込んでみてほしい。

よくある質問(FAQ)

Q. 前作をプレイしていなくても楽しめる?

楽しめる。200時間プレイしたレビュアーが「前作未プレイでも楽しめた」と書いている。ただし、物語は前作からの直接の続きなので、フルに楽しむなら前作からのプレイを推奨する。前作はセール時に格安で買える。

Q. クリアまで何時間くらいかかる?

メインクエストだけなら40〜50時間。サイドクエストやDLCも含めると100〜200時間以上。トロフィーコンプを目指すなら、コンプ時間は相当なもの。「やり込み要素は底なし」と言って差し支えない。

Q. コントローラーとマウス+キーボード、どっちが遊びやすい?

好みによるが、戦闘はマウス操作のほうが方向指定しやすいという意見が多い。探索や移動はコントローラーの方が快適。最終的には慣れの問題だが、PC版なら両方試して自分に合う方を選ぶのが吉。

Q. オンラインマルチプレイ要素はある?

ない。完全にシングルプレイヤー専用のゲームだ。他のプレイヤーと一緒に冒険したい人には向かないが、一人でじっくり没頭できるのがこのゲームの強みでもある。

Q. Steam Deckで遊べる?

動作はするが、要求スペックが高いため快適とは言い難い。グラフィック設定をかなり下げる必要がある。腰を据えてデスクトップPCで遊ぶのが理想的だ。

Q. DLCは買うべき?

本編をクリアして「もっとヘンリーの物語が見たい」と思ったなら、Gold Editionに含まれる3つのDLCはどれもおすすめ。特にLegacy of the Forgeは本編とは違った楽しさがあると好評だ。最初からGold Editionで購入するのがコスパは良い。

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