Valveが13年ぶりに完全新規タイトルを出す――この一文だけで、PCゲーマーの心拍数が上がる人は多いと思う。
Half-Life、Counter-Strike、Dota 2、Team Fortress 2、Portal。Valveが手がけたゲームは、ジャンルそのものを定義してきた。そのValveが次に選んだのが、「MOBAとTPSを融合させる」という、正直言って誰も成功してこなかったジャンル。
Deadlock(デッドロック)。
2024年8月、Steamに突如現れたこのタイトルは、正式な告知もプロモーションもなく、招待制のテストだけで同時接続17万人を叩き出した。2026年3月現在も早期アクセス中で、毎週のようにパッチが飛んでくる。Valveにしては異例のハイペース更新。明らかに本気だ。
ただ、手放しで「神ゲー」と言えるかというと――そうでもない。マッチメイキングの問題、MOBA初心者には高すぎる学習コスト、一時期は同接が84%も減少した時期もある。光と闇が同居するタイトルだからこそ、正直に書く価値がある。
この記事では、Deadlockの何が革新的で、何が問題なのか、実際のプレイヤーの声も交えて徹底的に掘り下げていく。「MOBAは難しそう」「シューターなら興味ある」「Valveの新作だから気になる」――どんな入口の人にも判断材料になるように書いたつもりだ。
公式ティザー映像
こんな人におすすめ / こんな人には合わない
まず結論から。「自分に合うかどうか」を先に知りたい人のために。
- Dota 2やLoLが好きだけど、シューター要素も欲しい人
- OW2やApexに飽きて、新しい対戦ゲームを探している人
- 「上手くなる過程」が楽しいタイプ。成長実感がすごいゲーム
- Valve製ゲームの操作感が好きな人(CS2やTF2のDNAを感じる)
- 基本無料でガチの対戦ゲームをやりたい人
- 早期アクセスでも気にしない、むしろ発展途上を楽しめる人
- MOBAの知識ゼロで、学ぶ気もない人(レーン管理・ファームが必須)
- 1試合が短いゲームが好きな人(1マッチ30〜40分かかる)
- エイムだけで勝ちたいFPS脳の人(エイム力だけでは勝てない設計)
- 完成されたゲームを求める人(まだ早期アクセス、未完成要素あり)
- ソロで気軽に遊びたい人(連携が重要すぎてソロは厳しめ)
Deadlockってどんなゲーム? ― 基本情報まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | Deadlock(デッドロック) |
| 開発 | Valve(Half-Life / CS / Dota 2 / Portalの会社) |
| ジャンル | MOBA × TPS(三人称シューター)ハイブリッド |
| 料金 | 基本無料(F2P) |
| プラットフォーム | PC(Steam) |
| 状態 | 早期アクセス中(2024年8月〜) |
| 正式リリース | 2026年後半予定 |
| 日本語対応 | 対応済み(2025年2月〜) |
| 対戦形式 | 6対6チーム対戦 |
| ヒーロー数 | 38体(2026年1月時点) |
| 同時接続ピーク | 171,490人(2024年9月) |
| Steam App ID | 1422450 |
基本無料。課金要素は現時点ではなし。バトルパスもマイクロトランザクションもストアも未実装(早期アクセスだから当然だけど)。純粋にゲームプレイだけで勝負しているのが、いかにもValveらしい。
「MOBAとシューターの融合」って結局なに? ― ゲームの全体像

「MOBAシューター」と聞いて、ピンとくる人は少ないかもしれない。過去にもMonolith(ゲーム名じゃなくて概念ね)とかParagonとかBattlebornとか、このジャンルに挑戦して散っていったタイトルは山ほどある。「MOBAとシューターは水と油」というのが、これまでの業界の定説だった。
Deadlockがやっているのは、ざっくり言うとこういうこと。
シューター要素: でも戦闘はTPS(三人称シューター)。照準を合わせて撃つ。ダブルジャンプ、スライディング、エアダッシュ、ウォールバウンスなど、移動アクションがめちゃくちゃ多彩。Dota 2みたいにクリックで移動するんじゃなくて、自分の手で走り回って、自分の手で撃つ。
つまり、「Dota 2の頭脳戦を、CS2の身体で戦う」みたいなゲーム。
これが実際にプレイすると驚くほどうまく噛み合っている。レーンでトルーパーを処理しながらラストヒットでソウルを稼ぎ、敵ヒーローとの撃ち合いで有利を作り、マップ全体の状況を見ながらジップラインで別レーンに飛んでいく。やることが多い。忙しい。でもその忙しさが楽しい。
3レーンマップの仕組み ― Dota 2プレイヤーなら即理解、シューター勢は覚悟して
2025年2月の大型アップデートで、マップが4レーンから3レーンにリワークされた。これはかなり大きな変更で、試合のテンポが良くなったと評判。
- 3レーン制: 各レーンにガーディアン(タワー)とウォーカー(前線拠点)が配置
- トルーパー: 自動で進軍するミニオン。倒すとソウルを獲得
- ジャングル: レーン間に中立キャンプが点在。2026年3月のパッチで新キャンプも追加
- パトロン: 敵陣の最奥にいるボス。これを倒したら勝ち
- ジップライン: レーン間を高速移動できるワイヤー。Deadlockの象徴的な移動手段
舞台はニューヨーク風の都市。ファンタジー、オカルト、スチームパンクが混じった独特の世界観で、ノワール映画みたいな雰囲気がある。正直、最初見たとき「仮アートっぽいな」と思ったけど、プレイし始めるとこの世界観にハマる人が続出している。
ちなみに試合時間は平均30〜40分。MOBAとしては標準だけど、シューター慣れしている人からすると「長い」と感じるかもしれない。ここは好みが分かれるポイント。
移動が気持ちいい ― ジップライン、ダッシュ、ウォールバウンス

Deadlockを語る上で避けて通れないのが、移動の気持ちよさ。
MOBAって基本的に移動がつまらない。Dota 2もLoLも、マップ上を歩いて(あるいはテレポートして)移動するのは、正直言って作業感が強い。
Deadlockは違う。
- ジップライン: マップ中を縦横に走るワイヤーに飛び乗って高速移動。戦闘中にジップラインで逃げたり、奇襲したりもできる
- ダブルジャンプ: 空中でもう1回ジャンプ。高い場所へのアクセスに必須
- エアダッシュ: 空中で方向を変える緊急回避。2026年3月のパッチでジャンプ中のスライドも可能に
- スライディング: 地面を滑りながら射撃可能。FPSプレイヤーならおなじみの動き
- ウォールバウンス: 壁を蹴って跳ね返る。立体的な戦闘を生む
- エアベント: マップ各所にあるファンで上空に飛び上がれる
これらの移動アクションが全ヒーロー共通で使える。つまり、どのキャラを選んでも移動が楽しい。TF2のスカウトやCS2のバニーホップが好きだった人は、この操作感だけでテンションが上がるはず。
2026年3月6日のパッチでは、スライド中にジャンプできるようになり、ダッシュジャンプでエアコントロールが30%向上するという調整も入った。Valveは「気持ちいい移動」に本気で投資している。
38体のヒーロー ― 全員が何でもできる柔軟さ

2026年1月の「Old Gods, New Blood」アップデートで一気に6体追加され、現在のロスターは38体。
Deadlockのヒーロー設計で特筆すべきは、「固定ロール」という概念がかなり薄いこと。OW2みたいにタンク・DPS・サポートとガッチリ分かれているわけじゃなくて、ビルド(購入アイテム)次第でどのヒーローもダメージ・プッシュ・ジャングルをこなせる。
もちろん得意不得意はある。でも「このキャラはサポートだからダメージ出ない」みたいな制限が少ないから、自分のプレイスタイルに合わせてカスタマイズできる幅が広い。
注目ヒーローピックアップ
- Vindicta(ヴィンディクタ): 飛行能力持ちの狙撃特化ヒーロー。空から敵を撃ち抜くのが気持ちいい。FPSプレイヤーに人気
- Kelvin(ケルヴィン): 氷属性のユーティリティ系。味方のための道を作ったりCC(行動妨害)で敵を止めたり。チームプレイの要
- McGinnis(マクギニス): タレット設置+ヒール支援。「TF2のエンジニアが転生した」と言われるキャラ
- Bebop(ビバップ): 味方を爆弾で飛ばしたり、敵をフックで引き寄せたり。ファンメイドの面白プレイ動画が大量にある人気者
- Mina(ミーナ): 2025年8月追加の吸血鬼テーマ。バースト火力のグラスキャノンで、上手い人が使うと手がつけられない
初心者に最適とされているのがパンチ主体の近接キャラ。Xでも話題になっていた。
DeadLock何が面白いかって、初心者に最適!って言われてる一番先頭のキャラがエイム要らずのパンチだけで全てを破壊できる性能してるところ 今のテスト段階でパリィ押してくる相手もほぼいないから割と止まらない
エイムが苦手な人でも入口があるのは、このゲームの懐の深さを示していると思う。
ヒーローのカテゴリ分類
公式には明確な「タンク」「DPS」「サポート」という分類はないけど、コミュニティでは大まかに以下の傾向で語られることが多い。
イニシエーター/フロントライン系: Abrams、Shiv、Lash、Mo & Krill など。集団戦の口火を切ったり、前線で敵のアビリティを受け止める。HP・アーマー系のVitalityアイテムと相性が良い。
ユーティリティ/サポート系: McGinnis、Kelvin、Ivy、Dynamo など。味方の生存を支えたり、マップコントロールに貢献する。ただし「純粋なヒーラー」はいない。全員が自分でも戦える設計。
ジャングラー/ローマー系: Seven、Warden、Viscous など。レーンを離れてジャングルキャンプを回りながら、他レーンにガンク(奇襲)を仕掛ける。マクロ戦略の理解が必要で上級者向け。
繰り返すけど、これは「傾向」であって固定ロールじゃない。Abramsをフルダメージビルドにしてキャリーさせることだってできるし、Hazeを防御寄りビルドにして前線に立たせることだってできる。この柔軟性がDeadlockの面白さの根幹。
OW2でよくある「タンクがいないから負けた」みたいな理不尽は、Deadlockでは起きにくい。どのヒーローでもビルド次第でチームに必要な役割を補完できるから。
アルティメットが試合を決める
各ヒーローにはアルティメットアビリティ(Ult)がある。これが集団戦の勝敗を左右する。
たとえばHazeのUltは周囲の敵全員に弾丸をばら撒く範囲攻撃で、うまく決まればチームファイトを一瞬でひっくり返す。Bebopのフック→ボム→Ultのコンボは、当てれば即死級のダメージ。McGinnisのUltは範囲ヒール+タレット強化で、集団戦の生存力を大幅に上げる。
Ultのタイミング、使い方、組み合わせ。ここにDeadlockの戦略的深みが凝縮されている。6人のUltをどう噛み合わせるか、それだけで1冊の攻略本が書けるレベル。
アイテムとビルド ― ここがDeadlockの沼
MOBAの醍醐味といえばビルド。Deadlockのアイテムシステムは、Dota 2直系のDNAを感じる設計になっている。
ソウル経済
ゲーム内通貨は「ソウル」。獲得方法は主に3つ。
- トルーパーのラストヒット: レーンで敵ミニオンにトドメを刺すと多めにソウルが入る(MOBAの「CS」に相当)
- デニー: 味方トルーパーにトドメを刺して敵にソウルを渡さないテクニック。Dota 2経験者ならおなじみ
- 中立キャンプ: ジャングルに配置された中立モンスターを狩る
3カテゴリ+フレックス
ショップのアイテムはWeapon(武器)/ Vitality(体力)/ Spirit(スピリット)の3カテゴリに分かれていて、さらにフレックス枠が1つある。
このビルドの自由度が本当に高い。同じヒーローでも、Weapon寄りのビルドにすれば通常攻撃でゴリゴリ削るDPSになるし、Spirit寄りにすればアビリティの火力やクールダウンが強化されてキャスター的な動きになる。Vitalityに振ればタンクっぽい立ち回りも可能。
「このヒーローはこのビルド一択」みたいな窮屈さが少ない。試合ごとに敵の構成を見てビルドを変える柔軟性が求められるから、100時間プレイしてもまだ新しい発見がある。これがDeadlockの沼。
Valveの本気 ― 異例のハイペースアップデート

Valveといえば「Valve時間」で有名だった会社だ。Half-Life 3は永遠に出ないし、TF2は何年も放置されていたし、Dota 2のアップデート間隔もお世辞にも速いとは言えなかった。
それがDeadlockでは完全に変わった。
- 2024年8月: Steamストアページ公開、配信解禁。招待制テスト開始
- 2025年2月: マップ大幅リワーク(4レーン→3レーン)、日本語正式対応
- 2025年8月: 新ヒーロー6体追加、UIリワーク
- 2026年1月: 「Old Gods, New Blood」大型アプデ。新ヒーロー6体、Street Brawl(4v4)モード追加
- 2026年3月6日: 大規模バランスパッチ。約900件の変更。全ヒーローのスキルリワーク、アイテム調整、新中立キャンプ追加
- 2026年3月10日〜21日: さらに追加調整パッチが複数回
2026年3月だけで大小合わせて3回以上のパッチが来ている。しかも内容が「数値をちょっといじりました」レベルじゃなくて、3月6日のパッチなんか約900行のパッチノート。ヒーローのスキルリワーク、アイテムの大幅変更、移動システムの改善まで全部入り。
3月6日パッチの目玉だけでも挙げると――スライド中のジャンプが可能に、ダッシュジャンプでエアコントロール30%向上、新しい中立キャンプ2つ追加、Base Guardian HPを5500→4000に削減、ヒーローの基礎HPが40増加。Grey Talon、Holliday、Sinclair、Venator、Vyperの5体以外は全員何かしらの調整が入った。その後の3月21日パッチでは、勝率が60%に迫っていたVictorのナーフや、Wraithの追加調整も実施されている。
つまり、Valveは毎週のようにデータを見て、問題があれば即座にパッチを当てるサイクルを回している。早期アクセスだからこそできる高速イテレーション。プレイヤーのフィードバックがダイレクトにゲームに反映される感覚は、完成品のライブサービスゲームではなかなか味わえない。
PC Gamerは2025年を振り返って、こう評している。
― PC Gamer
Valveが「Valve時間」を捨てて全力でアップデートを回しているという事実だけで、このタイトルへの本気度が伝わってくる。
プレイヤー数の推移 ― 17万人→2万人→12.5万人のジェットコースター
Deadlockのプレイヤー数推移は、ちょっとしたドラマだ。
- 2024年7月: 約2,000人(招待制テスト初期)
- 2024年8月末: 10万人突破(配信解禁の効果)
- 2024年9月2日: 171,490人(歴代最高)
- 2024年9月以降: 毎日12万人前後で安定
- 2025年7月: 約15,763人(ピークから84%減)
- 2025年8月: 6万人台に回復(新ヒーロー6体追加)
- 2026年1月26日: 約10万人(Old Gods, New Bloodアプデ効果)
- 2026年2月22日: 12.5万人(直近ピーク)
注目すべきは、大型アップデートのたびにプレイヤーが戻ってくること。Old Gods, New Bloodアプデ後は同接が132%増加したというデータもある。
2025年半ばの急減は「早期アクセスの限界」だった。コンテンツが足りない、バランスが荒い、新規が入りにくい。でもValveはそこから逃げずに、マップリワーク、ヒーロー大量追加、新モード実装と、ひたすらコンテンツを投入し続けた。
この「減っても戻ってくる」パターンは、ゲームの根本的な面白さが担保されている証拠だと思う。根っこがダメなゲームは、アプデしても人は戻らない。
ちなみに2026年2月の12.5万人という数字は、同時期のMarvel Rivalsと同等、OW2の13.6万人に迫る水準。招待制の早期アクセスでこの数字は異常としか言いようがない。
良いところ ― Deadlockの「ここがすごい」を5つ
1. Valveクオリティの操作感
一番最初に触って「あ、これValveだな」とわかる。キャラクターの動き、射撃のフィードバック、ジャンプの感触。ゲームの「手触り」が圧倒的に良い。CS2やTF2のDNAが確実に流れている。
MOBAは操作感が語られることが少ないジャンルだけど、Deadlockは「操作しているだけで楽しい」と感じさせる。これは他のMOBAシューター(ParagonやBattleborn)が達成できなかったこと。
2. MOBAとTPSの奇跡的な融合
「MOBAとシューターを混ぜる」という試みは過去に何度も失敗してきた。ParagonもBattlebornもLawbreakersも、どちらかの要素が中途半端になって消えていった。
Deadlockが違うのは、両方のジャンルのコア体験を妥協なく入れていること。MOBAのレーン管理・ファーム・チーム戦略も本格的だし、シューターのエイム・ポジショニング・移動テクニックも本格的。どちらかのオマケじゃない。
3. ビルドの自由度と深さ
同じヒーローでも10通りのビルドパスがある。試合開始時に「今日はWeapon寄りで行こう」と決めても、試合展開次第でSpirit寄りに変えることもある。この柔軟性がリプレイ性を爆発的に高めている。
500時間プレイしても新しいビルドを試せるゲームはそうそうない。
4. 立体的なマップ設計
従来のMOBAは基本的に平面のマップで戦う。Dota 2にも高低差はあるけど、あくまでゲーム的な処理でしかない。
Deadlockは違う。マップが完全に立体構造になっている。ビルの屋上から狙撃してくるVindicta。地下から飛び出してくるMo & Krill。ジップラインで頭上を高速移動しながら撃ってくるBebop。上下左右、全方位から攻撃が来る。
これはTPSだからこそ成立する設計で、見下ろし型MOBAでは絶対にできない体験。「高い場所を取れ」「相手の上を取れ」というFPS/TPSの基本が、MOBAの戦略と組み合わさることで独特の深みが生まれている。
中立キャンプも地上だけじゃなくて、建物の中や屋上に配置されているものがある。マップを3次元で把握する能力が求められるので、最初は迷子になる人が続出する。でも慣れてくると、この立体マップの攻略が楽しくなってくるから不思議。
5. 基本無料+完全に課金要素なし(現時点)
早期アクセスとはいえ、現時点では課金要素が一切ない。バトルパスもスキンショップもない。純粋にゲームプレイだけ。
正式リリース後はコスメティック課金が入るだろうけど、Valveの過去作(CS2、Dota 2、TF2)を見る限り、Pay to Winにはならないはず。Valveのビジネスモデルは「ゲーム本体は無料、見た目だけ課金」で一貫している。
5. コミュニティの熱量
招待制なのに12万人が遊んでいる。この事実が全てを物語っている。Redditのサブレディットは活発だし、ビルドガイドを書く人、戦略を考察する人、面白プレイ動画を作る人が大量にいる。
Valveの新作ということで注目度が桁違いに高いのもあるけど、それだけじゃここまでコミュニティは育たない。ゲームが面白いから人が集まっている、というシンプルな話。
辛口ポイント ― 正直に書く「ここがダメ」
良いところだけ書いて終わりにするのは不誠実なので、問題点もしっかり書く。
1. マッチメイキングがひどい(改善中だけど)
これがDeadlock最大の問題点。ランクの離れたプレイヤーが同じ試合に放り込まれる。初心者が1000時間プレイヤーとマッチする。Valve開発者自身もこの問題の被害を受けているという報告がある。
Steamコミュニティでも、マッチメイキングへの不満は最も多い批判のひとつ。
― Steamコミュニティフォーラムより
ただし、マッチメイキングは継続的に改善されている。ランクとノーマルの統合、時間制限の撤廃など、Valveは問題を認識してパッチを当て続けている。
マッチメイキングアップデート情報(ランクとノーマルが統合、時間制限撤廃)
2. MOBA初心者の壁が高すぎる
シューターが得意でも、MOBAの知識がないと何をすればいいかわからない。レーンって何?ファームって何?なんで味方に怒られてるの? ――こういう経験をする新規プレイヤーが大量にいる。
チュートリアルはあるけど不十分。「レーンでトルーパーを倒してソウルを稼ぐ」という基本すら、MOBA未経験者には直感的じゃない。
逆にMOBAプレイヤーからすると「エイムが必要」というハードルがある。Dota 2ではクリックするだけだった攻撃が、Deadlockでは自分で狙って撃たなきゃいけない。
両方のジャンルの経験者には天国だけど、片方しか知らない人には壁がある。これがDeadlockの宿命的な課題。
3. 1試合が長い
平均30〜40分。APEXやOW2に慣れている人からすると「え、そんなにかかるの?」という感覚だと思う。しかもMOBAの性質上、序盤でリードされると逆転が難しく、「負けてるのにあと20分やるの…」みたいな試合が発生する。
MOBAの宿命ではあるけど、カジュアルにサクッと遊びたい人には向かない。
4. TTK(Time to Kill)が高すぎる問題
シューター系から来た人がよく言うのが「敵が全然死なない」という不満。TTKがMOBA寄りに設定されているので、CS2みたいにヘッドショット一発で倒せない。撃ち合いがダルいと感じる人もいる。
これはゲームデザインの方針なので「悪い」とは言い切れないけど、シューター脳の人には合わない可能性が高い。
5. チーター問題
早期アクセスの段階からオートエイムチーターが出現している。Valveはアンチチートに力を入れているはずだけど、完全には防げていない。
ただ、コミュニティの対応が面白かった事例もある。
DEADLOCK チーターが現れて蛙にしようとするも、全体チャットで「蛙にならないチートだよお前らは科学には勝てない」と言われ絶望かと思いきや、相手チームが「人の心には勝てない」とわざと負けるプレイをする聖人が現れ、逆転勝利する激アツ展開
「人の心には勝てない」。良いエピソードだけど、チーター問題自体は解決すべき課題として残っている。
6. まだ早期アクセス ― 未完成要素がある
仮アートが残っている箇所、UIの荒さ、説明不足のゲーム内テキスト。「完成品」を期待して入ると肩透かしを食らう可能性がある。
ただし、Valveのアップデート頻度を見る限り、正式リリースまでに相当磨かれるだろうとは思う。問題はいつ正式リリースされるか。「2026年後半予定」とされているけど、Valveの「予定」は……まあ、ね。
ユーザーの声 ― プレイヤーたちの本音
実際にプレイしている人たちはどう思っているのか。ポジティブもネガティブも、リアルな声を拾ってみた。
「ゲームとして度を超えて面白い」派
Deadlockはゲームとして本当に度を超えて面白いと思うから流行ってほしい それはそれとしてオタクを相手にするのは苦しい
「度を超えて面白い」。この表現、わかる気がする。ハマる人はとことんハマるタイプのゲーム。
ok I hadn’t played deadlock yet. holy hell this game is fun af. anyone that knows me knows that i’m OOOOOLD school moba. This game is dope af. Valve and icefrog are cooking
「Valveとicefrogが本気出してる」。icefrogはDota 2のバランス調整で伝説的な存在。そのicefrogがDeadlockにも関わっているという噂は、MOBAファンにとって超ビッグニュース。
Deadlock. If released fully in 2026. Will quickly become one of the best Games of the year. Valve is set to have a huge year
「初MOBAだけどハマった」派
I genuinely love this game and everything Valve is building. Deadlock was actually the first MOBA I ever played.
MOBA未経験でもハマる人はハマる。TPS要素があるから、シューター経験があれば入りやすいのかもしれない。
日本語レビューの評価
noteでは複数の詳細レビューが上がっている。
― note.comの各種レビュー記事より
「つまらない」「退屈」派
もちろん否定的な声もある。というかかなり多い。
this is deadlock?!?! it’s just some boring hero shoter?!? this is what valve has been pasionte about making!?! this has to be a sick joke!
「ただの退屈なヒーローシューターじゃん!」。MOBAの楽しさがわからないと、こう見える気持ちはわかる。最初の数試合は本当に何が面白いのかわからなかったりする。
The two main takes I’m seeing regarding deadlock: This game is TRASH I HATE MOBAS shit SUCKS. VALVE IS DEAD TO ME. And Yeah so I’m pissing into water bottles so I don’t have to get up before queueing for my next match.
これ、めちゃくちゃ的確にDeadlockの評価を要約している。「ゴミ!MOBAなんか嫌い!」派と「次のマッチのためにトイレに行く暇もない」派にキレイに二分される。中間がほぼない。好きか嫌いかがハッキリ分かれるゲーム。
Steamフォーラムでも同様で、500時間以上プレイして満足している人がいる一方で、300時間プレイして後悔しているという声もある。
― Steamコミュニティフォーラムより
辛辣だけど、的外れではない指摘。特にマッチメイキングと新規体験の問題は、正式リリースまでに本気で改善しないとまずいと思う。
海外メディアの評価
大手ゲームメディアの評価も見ておこう。
Kotakuは「Deadlock Is Secretly Growing Into An S-Tier MOBA Shooter」という見出しで、水面下でS-ティア(最高評価)のMOBAシューターに成長していると報じた。元プロゲーマーでストリーマーのShroudは「初めて成功したMOBAシューター」と評価。
Steamフォーラムでは「深いワールドビルディング、魅力的なキャラクター群、堅牢なゲームプレイループを持つゲーム」という声がある一方で、「ホラーレベルのマッチメイキングと、新規プレイヤー体験のなさ」を問題視する声も根強い。
日本語メディアでは、4gamer、ファミ通、AUTOMATONがアップデート速報を出しているものの、包括的なレビュー記事を出している日本語メディアはほぼ皆無。海外では膨大なレビューとガイドが出ているのに、日本語の情報が圧倒的に足りていない。
これは裏を返せば、日本市場ではまだブルーオーシャンだということ。2025年2月に日本語対応したことで、日本のプレイヤーも増えてきている。今のうちに触っておけば、正式リリース時に「初期からやってた勢」になれる。
「Old Gods, New Blood」 ― 2026年1月の大型アプデを解説
Deadlockの歴史の中でも最大級のアップデートとなった「Old Gods, New Blood」。何が変わったのか簡単にまとめる。
- 新ヒーロー6体追加(ロスターが32→38体に)
- Street Brawl(4v4モード)追加 ― 通常の6v6より小規模で、カジュアルに楽しめる新モード
- パトロンのリワーク ― 最終目標の攻略がより戦略的に
- 多数のバランス調整、UI改善、バグ修正
このアップデート後、同接は前回比で132%増加。特にStreet Brawlモードの追加は「6v6はちょっと重い」と感じていた層に好評だった。4v4ならマッチ時間も短くなるし、カジュアルに遊びたい人の受け皿になっている。
Dota 2、LoL、OW2 ― 他タイトルとの比較
「Deadlockって要するに何に近いの?」という疑問に答えるために、主要タイトルと比較してみる。
| 比較項目 | Deadlock | Dota 2 | League of Legends | Overwatch 2 |
|---|---|---|---|---|
| 視点 | TPS(三人称) | 見下ろし型 | 見下ろし型 | FPS(一人称) |
| チーム人数 | 6v6 | 5v5 | 5v5 | 5v5 |
| レーン | 3レーン | 3レーン | 3レーン | なし |
| アイテムビルド | あり(3カテゴリ) | あり(超複雑) | あり | なし |
| エイム要素 | あり(TPS射撃) | なし | なし | あり(FPS射撃) |
| 試合時間 | 30〜40分 | 40〜60分 | 25〜40分 | 10〜20分 |
| 料金 | 基本無料 | 基本無料 | 基本無料 | 基本無料 |
| 学習コスト | 非常に高い | 最高レベル | 高い | 低〜中 |
一番近いのはDota 2。でも操作はOW2寄り。この独特なポジションが、Deadlockが唯一無二と言われる理由。
LoLやDota 2からの転向組は「戦略部分はわかるからエイムだけ練習すればいい」。OW2からの転向組は「撃ち合いはわかるからMOBAの知識を覚えればいい」。どちらの層にとっても「半分は知っている」状態で始められるのが強み。
ただし裏を返せば、「どちらも知らない」人にとっては学習コストがDota 2に匹敵する。ここが正式リリースに向けた最大の課題だと思う。
試合の流れ ― 初心者が最初に知るべきこと
「で、実際にどう遊ぶの?」という疑問に答えるために、1試合の流れをざっくり解説しておく。MOBA経験がない人はここを読んでからプレイすると、初動で何をすればいいかがわかるはず。
序盤(0〜10分): レーニングフェーズ
ゲーム開始直後は、6人のプレイヤーがそれぞれ2人ずつ3レーンに分かれる(2-2-2が基本)。この段階でやることは明確。
- トルーパーのラストヒットを取る: 自動進軍するミニオンにトドメを刺してソウルを稼ぐ。これが経済の基本
- 敵ヒーローにハラスする: 対面の敵にちょっかいを出してHPを削る。キルできればボーナスソウル
- デニーを狙う: 味方トルーパーが瀕死のとき自分でトドメを刺すと、敵にソウルが入らない(Dota 2譲りのテクニック)
- タワーに注意: 敵ガーディアンの攻撃範囲に入ると大ダメージ。無理に突っ込まない
LoLやDota 2経験者なら「ああ、CSとデナイね」で終わる話。でもFPS/TPS勢にとっては「なんで敵を見逃してミニオンを撃ってるんだ?」と混乱するポイントでもある。序盤はキルよりファーム(ソウル稼ぎ)のほうが大事。これがMOBAの鉄則。
中盤(10〜25分): ローテーション&オブジェクト
レーンのガーディアンを倒し始めると、マップ全体を使った動きが始まる。
- ジャングルキャンプの奪い合い: 中立モンスターを狩ってソウルを稼ぐ。敵のジャングルを奪えればさらにリード拡大
- ガンク(奇襲): 他レーンに飛んで数的有利を作る。ジップラインのおかげでローテーションが速い
- 中立ボス: マップ中央付近に強力な中立ボスが出現。チームで倒すと大きなバフやソウルが手に入る
- ウォーカー&ガーディアン破壊: レーンの前線施設を壊して、敵陣地への道を切り開く
この段階から「チームとして動く」ことが重要になる。単独行動していると、敵の2〜3人に捕まって瞬殺される。マップ意識、味方のピンへの反応、ジップラインでの素早いローテーション。MOBAの戦略性が本格的に問われるフェーズ。
終盤(25分〜): チームファイト&パトロン
全レーンの施設を破壊していくと、最終目標であるパトロン(エルダーゴッドの彫像)が攻撃可能になる。ここからは6v6の集団戦が全て。
パトロンは2026年1月のアプデでリワークされ、単純にゴリ押しでは倒せなくなった。チーム全体の連携と、適切なタイミングでの突入が求められる。一発逆転もあり得るし、30分リードしていてもパトロン前の集団戦で全滅すれば負ける。
この「最後まで勝敗がわからない」感覚は、Deadlockの大きな魅力のひとつ。APEXのチャンピオン争いとも、OW2のオーバータイムとも違う、MOBA特有の緊張感がある。
Street Brawl(4v4モード)― カジュアル勢の救世主
2026年1月のOld Gods, New Bloodアプデで追加されたStreet Brawlは、Deadlockの敷居をグッと下げた新モード。
通常モードが6v6で30〜40分かかるのに対して、Street Brawlは4v4で試合時間が約15〜20分。レーン数も少なく、展開が早い。「Deadlockをやってみたいけど、1試合40分は重い」という人にはまさに救世主。
チーム人数が少ない分、1人の影響力が大きくなるので、ソロプレイヤーでも活躍しやすい。通常モードの6v6だと「自分がうまくてもチームが…」みたいなフラストレーションが溜まりがちだけど、4v4ならキャリーしやすい。
ヒーローの練習にも最適。新しいヒーローを試したいとき、通常モードの30分マッチで練習するのはリスクが高い。Street Brawlなら気軽に何試合も回せる。
Deadlockの世界観 ― ノワール×オカルト×スチームパンク
ゲームシステムの話ばかりしてきたけど、世界観にも少し触れておきたい。
舞台は1920年代のニューヨーク風の都市。でもただのレトロ都市じゃなくて、ファンタジー、オカルト、スチームパンクの要素がごちゃ混ぜになった独特の空気感がある。ノワール映画のような暗い色調に、古の神々(Old Gods)の影響が都市に浸透しているという設定。
ヒーローのデザインも多彩で、サイボーグ、吸血鬼、ウェスタンガンマン、氷の使い手、タレット職人など、統一感があるのにバラバラという不思議なバランス。Valveのキャラデザインの力は、TF2の時代から折り紙付きだ。
the only redeeming thing about deadlock is that valve is still really good at character designs
ゲーム自体にはネガティブな人でも、キャラデザインの質は認めている。これはValveのブランド力そのもの。
「Old Gods」という名前が示す通り、世界設定にはクトゥルフ的な古の神々のモチーフが散りばめられている。パトロン(試合の最終目標)もエルダーゴッドの彫像だし、アイテムにもオカルト的なフレーバーが多い。ゲームプレイに直接影響はしないけど、この世界に浸る楽しさは確実にある。
Valveはストーリーを前面に出すタイプの会社じゃない。TF2もDota 2も、ストーリーはコミックやショートフィルムで補完する形だった。Deadlockも同じアプローチを取るのか、それとも何か新しい形でストーリーを伝えるのか。早期アクセスの段階ではまだわからないけど、世界設定の土台はかなりしっかりしている印象。
推奨スペックとパフォーマンス
基本無料ゲームで気になるのが動作環境。Deadlockの推奨スペックは現時点で以下の通り(早期アクセスなので今後変わる可能性あり)。
| 項目 | 最低 | 推奨 |
|---|---|---|
| OS | Windows 10 64bit | Windows 10/11 64bit |
| CPU | クアッドコア以上 | Intel i7以上 / Ryzen 5以上 |
| メモリ | 8 GB RAM | 16 GB RAM |
| GPU | GTX 1060 / RX 580 | RTX 2070 / RX 5700XT以上 |
| ストレージ | 20 GB以上 | SSD推奨 |
Source Engineの後継であるSource 2エンジンを使用しているので、Valve製品らしく最適化は比較的良好。CS2やDota 2が動くPCなら、設定次第でDeadlockも動くケースが多い。
ただし、6v6の集団戦ではエフェクトが大量に飛び交うので、低スペックPCだとフレームレートが落ちる場面がある。競技性の高いゲームなので、安定して60fps以上出せる環境が望ましい。
これからのDeadlock ― 2026年後半の正式リリースに向けて
現時点での情報をまとめると、Deadlockがこれからやるべき(そしておそらくやる)ことはこのあたり。
- マッチメイキングの抜本的改善 ― これができないと新規が定着しない
- 新規プレイヤー向けチュートリアルの充実 ― MOBAの基礎から教える導線が必須
- アンチチートの強化 ― CS2で培ったVAC技術の本格投入
- ランク報酬・バトルパスの実装 ― 長期モチベーションの維持
- 招待制の撤廃 ― 正式リリースで誰でもプレイ可能に
- 仮アートの差し替え ― ビジュアルの最終仕上げ
Valveの動きを見ていると、これらの課題は認識されていて、ひとつずつ潰しにかかっている印象がある。問題は「いつ完成するか」だけど……Valveだからね。期待しつつ、気長に待つのが正解かもしれない。
ただ、Kotakuが「Deadlock Is Secretly Growing Into An S-Tier MOBA Shooter」と書いたように、水面下での評価は着実に上がっている。元プロゲーマーのShroudも「初めて成功したMOBAシューター」と評している。
始め方 ― 2026年3月現在のアクセス方法
「やってみたい!」と思った人のために、現在のプレイ開始方法を整理しておく。
- Steamアカウントを用意する ― 持っていなければ無料で作成
- Steamストアで「Deadlock」を検索 ― App ID: 1422450
- プレイテストに参加申請 ― ストアページから「プレイテストに参加」をクリック
- 既存プレイヤーからの招待を受ける ― フレンドがプレイしていれば招待してもらえる
- ダウンロード&プレイ ― 基本無料なのでダウンロードするだけ
現時点では招待制がベースになっているけど、プレイテストへの参加申請は誰でもできる。既にプレイしている人からの招待があれば、すぐに始められる。Steam上でDeadlockをプレイしているフレンドがいれば、その人に招待を送ってもらうのが一番早い。
正式リリース後は招待制が撤廃されて、誰でも自由にダウンロード&プレイできるようになるはず。
初心者が最初にやるべきこと
インストール直後に途方に暮れないために、いくつかのアドバイス。
- まずはBot戦をやる: 対人戦に行く前に、Bot(AI)相手で基本操作を覚える。レーンでのラストヒット、アビリティの使い方、ショップでの買い物。これだけで最初の壁はだいぶ低くなる
- 最初のヒーローは近接系が楽: Xでも話題になっていたように、パンチ主体のキャラならエイムをあまり気にしなくていい。まずはゲームの流れを掴むことが大事
- ミニマップを見る習慣をつける: FPS/TPSの習慣で正面しか見ない人が多いけど、MOBAでは画面右下のミニマップが命綱。敵の位置、味方の位置、トルーパーの進軍状況がわかる
- 死なないことを最優先: 序盤で何度もキルされると、ソウル差が広がって手がつけられなくなる。「キルを取りに行く」より「死なない」を意識するだけで勝率が上がる
- Street Brawlから始めるのもアリ: 4v4で試合時間が短いので、練習に最適
正直、最初の10時間くらいは「何が起きているかわからない」状態が続く。これはMOBA全般に言えることで、Deadlockに限った話じゃない。でも20時間もプレイすれば「あ、こういうことか」という瞬間が来る。その瞬間が、このゲームにハマる入口。
Valveの歴史から見るDeadlock ― なぜこのタイミングで新規IP?
ゲームの内容だけじゃなく、「なぜValveがこれを作ったのか」という背景にも触れておきたい。
Valveの最後の完全新規タイトルは2012年のCS:GO(厳密には新規ではなくリメイクだけど)。2020年のHalf-Life: AlyxはVR専用で、従来のPCゲーマー全員が遊べるものではなかった。つまり、「普通のPCゲーマーが普通に遊べる完全新規Valveゲーム」は10年以上なかった。
その間、ValveはSteamというプラットフォームで莫大な利益を上げていた。正直、新作ゲームを出さなくても儲かる会社。だからこそ「Valveはもうゲームを作らない」とまで言われていた。
DeadlockはValveからの「いや、まだ作りますよ」という返答だ。しかもDota 2のicefrogが関与しているとされるこのプロジェクトは、Valveが最も得意とする「ジャンルを定義するゲーム」を再び世に出そうとしている証。
Half-LifeはFPSを定義した。Counter-StrikeはタクティカルFPSを定義した。Dota 2はMOBAを(HoNと並んで)定義した。Team Fortress 2はクラスベースシューターを定義した。Portalはパズルゲームの概念を変えた。
Deadlockは「MOBAシューター」というジャンルを定義できるのか?
まだ答えは出ていない。でも、過去の挑戦者(Paragon、Battleborn、Lawbreakers、Gigantic)が全て失敗した中で、Deadlockだけが12万人の同時接続を維持しているという事実は、かなり雄弁だと思う。
似たゲームが気になる人へ
Deadlockを検討している人は、おそらくこのあたりのゲームにも興味があるはず。当サイトで詳しく紹介している記事があるので、合わせて読んでみてほしい。
ヒーローシューターが好きなら――
OW2に代わるヒーローシューターとして4000万人が選んだMarvel Rivals。基本無料で全ヒーロー即プレイ可能。TPSの操作感はDeadlockとも共通点がある。

基本無料のタクティカルFPSなら――
同じく基本無料で、チーム戦の奥深さがある。Deadlockの「戦略×撃ち合い」という要素に惹かれた人には、Delta Forceの大規模戦モードも刺さるはず。

MOBAの原点を知りたいなら――
Deadlockの根っこにあるのは、間違いなくDota 2。Valveが17年以上運営し続けているMOBAの金字塔。Deadlockのアイテムシステムやマップ設計はDota 2の影響を強く受けている。

Valve以外のMOBAシューターの歴史を知りたいなら――
かつてMOBA要素を取り入れた近未来TPSとして登場したThe Day Online。Deadlockの先駆者とも言えるコンセプトのゲームだった。

まとめ ― Deadlockは「買い」か「待ち」か
結論。
MOBAかシューターのどちらかが好きなら、今すぐ試す価値がある。基本無料だし。
ただし、以下の3点は覚悟してほしい。
2. まだ早期アクセス。未完成要素はあるし、バランスは頻繁に変わる。「完成品」を求めるなら2026年後半の正式リリースを待った方がいい。
3. 1試合が長い。30〜40分は覚悟する。15分でサクッと遊べるゲームではない。
個人的な評価としては、Deadlockは「Valveが13年ぶりに本気で作った完全新規タイトル」という看板に恥じないクオリティだと思う。操作感の気持ちよさ、ビルドの深さ、MOBAとシューターの融合度。どれを取っても「さすがValve」と言わざるを得ない。
問題点は多いけど、それは早期アクセスだから当然だし、Valveのアップデート頻度を見れば「ちゃんと直す気がある」のは明らか。
2026年、PCゲーム界に最も大きなインパクトを与えるタイトルは何か?と聞かれたら、Deadlockと答える人は少なくないはずだ。
正式リリースが楽しみ。でもValveだから、気長にね。

