2024年秋、MMORPGの歴史に新たな1ページが加わった。
リネージュやAION、ブレイドアンドソウルを生み出したNCSoftが、Amazon Gamesと組んでリリースした『Throne and Liberty(スローン・アンド・リバティ)』。略称は「TL」「スロリバ」。
ローンチ初日にSteam同時接続33万6,000人を叩き出し、初週で全世界300万プレイヤーを突破。「次のMMORPGの覇者はこれか?」と誰もが思った。
……のだが、半年後にはピーク時の95%が消えた。サーバーは107から25に統合。Steam評価は「賛否両論」。
このゲームはいったい何が凄くて、何がダメだったのか。そしてWilds of Talandre拡張で持ち直したのか。1年半プレイヤーの声を追い続けた結果を、ここにまとめる。
公式トレーラー
基本情報|Throne and Liberty ってどんなゲーム?
| タイトル | Throne and Liberty(スローン・アンド・リバティ) |
| 開発 | NCSoft |
| パブリッシャー | Amazon Games(グローバル版) |
| サービス開始 | 2024年10月1日(グローバル)/ 2023年12月(韓国) |
| 料金 | 基本無料(F2P) |
| 対応機種 | PC(Steam)/ PS5 / Xbox Series X|S |
| クロスプレイ | 対応 |
| ジャンル | MMORPG(PvP/PvE両対応) |
ひとことで言うと、「NCSoftが本気で作ったリネージュの精神的後継作」。
ただしリネージュのようなクラシックMMOではなく、現代風にアレンジされたアクション寄りのMMORPG。クロスプレイ対応で、PCだけでなくPS5やXboxからも同じサーバーで遊べるのが特徴だ。
Amazon Gamesがパブリッシャーとして入っているのもポイントで、New WorldやLost Arkに続くMMO戦略の一環。ただし開発は100%NCSoftなので、ゲームの中身はがっつり韓国MMOの血統を引いている。
職業なし、武器で決まる——クラスレスの戦闘システム

TLの戦闘で一番面白いのは、クラスがないことだ。
従来のMMORPGなら「戦士」「魔法使い」「ヒーラー」みたいな固定職を最初に選ぶ。でもTLでは武器を2本装備して、その組み合わせがそのままビルドになる仕組み。
武器の種類はこんな感じ。
- ⚔️ 大剣 — 範囲攻撃の近接火力。PvPでの存在感は圧倒的
- ?️ 剣&盾 — タンク。味方を守りつつCC(行動阻害)を撒く
- ?️ 短剣 — 暗殺特化。背後からの一撃が強烈
- ? 弓 — 遠距離DPS。PvPでの牽制・削り役
- ? 杖 — 魔法DPS。範囲火力はトップクラス
- ✨ ワンド — ヒーラー兼サポート。大規模戦の生命線
- ? 槍 — リーチが長い万能近接。PvPでもPvEでも活躍
たとえば「大剣+剣盾」ならゴリゴリのタンク、「杖+ワンド」なら攻撃もできるヒーラー、「弓+短剣」なら遠近両方いける暗殺者——みたいに自由に組める。しかもいつでも変えられるから、「PvPではこの構成、ダンジョンではこっち」と切り替えが効く。
この自由度は他のMMOと比べてもかなり高い。FF14のジョブチェンジに近い柔軟さがありつつ、2本の武器を組み合わせるぶん、ビルドの幅は数十通りに広がる。
戦闘のフィーリング
正直に言うと、戦闘の「手触り」は好みが分かれる。
基本はタブターゲット(敵をロックオンして攻撃)なんだけど、アクション要素も入っていて、回避やポジショニングが重要。ここが「程よいアクション感」と感じる人もいれば、「どっちつかずでフワフワする」と感じる人もいる。
Steamレビューでも「戦闘はめちゃくちゃ楽しい」派と「操作感がどうも気持ちよくない」派がはっきり分かれている。個人的には、スキルのエフェクトが派手で大規模戦では十分に映えるけど、1対1の接近戦だとやや大味に感じることがある。
鳥になって空を飛べ——モーフシステムの衝撃

TLで初めて体験したとき「おっ」と思ったのが、モーフシステムだ。
要するに、プレイヤーが動物に変身して移動できる。これがただのファストトラベル代わりじゃなくて、ゲームプレイそのものに組み込まれている。
? モーフの種類
- ダッシュモーフ(陸上) — 走ると自動で馬やオオカミに変身。広大なフィールドを駆け抜ける
- グライドモーフ(空中) — 崖から飛び降りると鳥に変身して滑空。風に乗れば高度も稼げる
- スイムモーフ(水中) — 水に入るとイルカや魚に変身。水中探索もストレスフリー
特にグライドモーフが気持ちいい。高い場所から飛び立って、ソリシウムの大地を鳥の目線で眺めながら滑空する。天候が変わると風の流れも変わるので、うまく上昇気流を捕まえればかなりの距離を移動できる。
これ、ゼルダのパラセールに似た感覚なんだけど、MMOでこの開放感を味わえるのは新鮮だった。「あの山の向こうに何があるんだろう」と思って飛んでいったら、そこにフィールドボスがいた——みたいな冒険感がちゃんとある。
Steam同接33万→過疎→サーバー統合|プレイヤー数の激しすぎる変動
ここからは少し厳しい話をする。
TLのプレイヤー推移は、正直言ってジェットコースターだ。
| 時期 | Steam同接(ピーク) | 備考 |
|---|---|---|
| 2024年10月(ローンチ) | 336,300人 | 初週300万プレイヤー |
| 2024年12月 | 約40,000人 | 3ヶ月で90%減 |
| 2025年2月 | 約13,000人 | サーバー107→25に統合 |
| 2025年3月(拡張リリース) | 約50,000〜96,000人 | Wilds of Talandreで一時回復 |
| 2026年3月(現在) | 約76,000人 | 安定期に入りつつある |
ローンチ直後の33万人は凄まじい数字で、PUBGやGTAVを抜いてSteam上位に食い込んだ。ただ、これは「基本無料+大型タイトル」の恩恵が大きくて、初動は良くても定着しなかったというのが現実。
特に痛かったのが2025年2月のサーバー統合だ。107サーバーから25に——つまり8割以上のサーバーが消えた計算になる。リリースからわずか5ヶ月での統合は、さすがに速すぎるという声が多かった。
スロリバは過疎り始めてきた感があるな。PvPをやらない人に価値がないので、PvPガチ勢とエンジョイ勢の考え方の乖離が凄まじい。そしてPvPガチでやる場合、必ず19時ログインする事が必須条件であり、p2wなので惜しまぬ課金が必要になる。モンハン発売までのゲームになりそう
ただし、2025年3月のWilds of Talandre拡張で数字は持ち直している。ピーク時に5万〜9万人台まで回復し、2026年3月時点では7万人台で推移。「一度死にかけて復活した」パターンで、No Man’s Skyほど劇的ではないにしても、踏みとどまった形だ。
Steamレビュー「賛否両論」の内実——何が評価されて何が叩かれたのか
2026年3月時点で、TLのSteamレビューは約6万8,000件、好評率68%の「賛否両論〜やや好評」。MMOとしてはそこそこだけど、手放しで褒められるスコアではない。
じゃあ何が褒められて何が叩かれているのか、整理してみる。
? 高評価ポイント
グラフィックの美しさ
これはほぼ全員が認めるところ。Unreal Engine 4ベースで作られた世界は、現行MMOの中でもトップクラス。昼夜の変化、天候エフェクト、キャラクターモデルの精密さ——どこを切り取っても「映える」。カットシーンもフルボイスで、シネマティック的な演出がしっかり入っている。
大規模PvPの迫力
24v24バトルグラウンド、そしてギルド城攻戦(ストーンガルド城)。数百人がぶつかり合う攻城戦は圧巻で、「下水道から潜入する」「空から巨大モンスターに乗って突撃する」「ゴーレムで城壁を破壊する」とアプローチが複数用意されている。
大規模PvPの体験としては、今のMMO市場で最高峰のひとつだと思う。
基本無料でガチャなし
NCSoftのゲームなのにガチャがない。これだけで驚く人もいるはず。課金通貨「ルーセント」はあるけど、ルートボックスや確率型アイテムは排除されていて、バトルパス制を採用。韓国MMOの悪しき伝統からの脱却を図っている。
? 低評価ポイント
エンドコンテンツの薄さ
レベル50(当時のキャップ)に到達するまでは本当に楽しい。メインストーリーを追いかけて、モーフで世界を飛び回って、ダンジョンに挑戦して——この区間は文句なしに面白い。
問題はその先。エンドコンテンツに入ると途端にやることが「同じダンジョンの周回」と「恩恵石争奪のPvP」にほぼ絞られる。「100時間まではめちゃくちゃ楽しめる。問題はその先」というSteamレビューが的を射ている。
PvP強制の設計
TLの最大の問題点はここかもしれない。恩恵石や次元石の争奪戦はギルド単位のPvPで、これに参加しないと装備強化に必要な素材が手に入りにくい。しかも争奪戦は特定の時間帯(だいたい19時〜21時)に発生するから、リアルの予定を合わせないと参加すらできない。
PvPが好きな人には最高だけど、まったり自分のペースで遊びたい人は完全に置いてけぼりになる。
「間接P2W」の課金構造
ガチャはないけど、P2Wではないのか? これは微妙な話で、現金でルーセントを買い、ゲーム内取引所で装備強化素材に変える——というルートが存在する。
つまり「金で直接装備が買えるわけじゃないけど、金がある人のほうが確実に有利」。無課金でも2〜3週間あれば基本装備は揃うという意見もあるが、PvPで上位を目指すなら課金が前提になる場面は避けられない。
スロリバのお話 課金ゲーといわれることもあるから最低限ちゃんと戦える水準の装備をそろえた場合いくらかかるか本日時点の相場で計算してみた。最低限で積んでもそこそこの防御と1776の回避が実現できる。完全無課金でも2200ルーセントなんて2〜3週間もあれば溜まる。
「Throne and Bug」と呼ばれた時代——バグと品質問題
ローンチ直後のTLは、冗談抜きでバグが多かった。コミュニティでは「Throne and Bug」というあだ名がつくほど。
具体的には——
- ダンジョンの進行不能バグ
- PvP中のスキル不発・ラグ
- 装備強化の数値が正しく反映されないバグ
- UIが重なって操作不能になる現象
- メニューの中にメニュー、さらにその中にメニュー……というUIの煩雑さ
特にメニューUIの評判は今でも悪い。MMOは仕方ない部分もあるけど、「やりたいことにたどり着くまでに3回メニューを開く必要がある」のはさすがに多い。
ただ、これはアップデートで着実に改善されている。2025年以降はクリティカルなバグは減り、QoL改善も進んだ。マルチチェスト開封やクラフト素材の統合など、地味だけど確実にプレイ体験は良くなっている。
Wilds of Talandre——復活の拡張パック

2025年3月6日にリリースされたWilds of Talandreは、TLにとって文字通りの転機だった。
何が変わったのかを整理しよう。
マップが2倍に
新大陸「タランドレ」の追加で、ゲーム世界の面積がほぼ倍に。新しいフィールドボス、ダンジョン、採集ポイントが追加されて、「行く場所がない」というエンドコンテンツの不満にダイレクトに応えた形。
レベルキャップ50→55
新たな成長要素として、レベル上限が55に引き上げ。Tier 2装備の進行ルートが加わり、既存プレイヤーにも「また育てる理由」ができた。
武器マスタリーシステム
武器ごとの熟練度システムが追加。使い込むほど武器が強くなるので、メイン武器へのこだわりが生まれる。これは地味に良い追加で、「自分だけのビルド」感が強まった。
アーティファクトシステム
6部位のセット装備「アーティファクト」が新登場。タリストーン4個、ソーラーストーン1個、ルナストーン1個で構成され、セットボーナスが発動する。14種類のセットが3段階(コモン2、アンコモン4、レア8)に分かれていて、ビルドの幅がさらに広がった。
ソロダンジョン
これが一番大きな変化かもしれない。「ギルドに入らないと何もできない」問題への回答として、ソロで挑戦できるマルチボスダンジョンが実装された。
PvPが苦手な人、ソロで遊びたい人にとっては待望のコンテンツだ。報酬もそれなりにあるので、「1人でも成長できるルート」がようやく整備された。
ネビュラアイランド(サーバー間PvPエリア)
逆にPvPガチ勢向けのコンテンツも追加。レベル55以上が参加できるサーバー間PvPエリアで、平和ゾーン1つと戦争ゾーン4つで構成。他サーバーのプレイヤーとぶつかれるので、マンネリ化していたPvPに新鮮な刺激が入った。
Wilds of Talandreのリリース直後、Steam同接は一時的に倍増し、5万〜9万人台に回復。拡張の効果は明確に出ている。
NCSoftの開発方針転換——PvP至上主義からの脱却
TLの運営でもっとも注目すべきなのは、NCSoftが開発方針を明確に変えたことだ。
ファミ通のインタビューでNCSoftの開発陣は、「過去のようにヘビーなゲームではなく、短時間でできるコンテンツを増やす」「PvPよりもPvEコンテンツを拡充する」「個人の嗜好を生かせるプレイで楽しめるようにしたい」と明言している。
これは明らかに初期のPvP偏重による離脱を反省した結果で、ソロダンジョンの追加、生活コンテンツの拡充(新魚24種、新レシピ10種など)、武器マスタリーによる個人の成長要素——すべてがこの方針転換を裏付けている。
4Gamerのインタビューでは「Pay to Winの要素を全部抜いたMMORPGが『スローン・アンド・リバティー』」と開発側が語っているのも興味深い。ガチャ排除やバトルパス制への移行は、NCSoftにしてはかなり思い切った決断だったはずだ。
新アーク武器結構えぐいねこれ あとはユニーク装備も面白いけど、装備組みなおしも出るなこれ 短剣槍の弱体化は影響ないからどうでも良いや、妥当な内容 弓は面白いことになってる アイテムスロット拡張も嬉しいね 良アプデだわ
課金の仕組み——「ガチャなし」の裏側
TLの課金モデルは、韓国MMOの常識からするとかなり異質だ。詳しく見ていこう。
ルーセント(Lucent)
TLのプレミアム通貨。リアルマネーで購入するか、ゲーム内取引所で他プレイヤーからゲーム内通貨で購入できる。コスメティック、バトルパス、取引所での売買に使う。
バトルパス
シーズン制で、レベリングパスとバトルパスの2種類。ルーセントで解放する。中身はアイテム、素材、コスメティックなど。以前はプレミアム限定クエストや報酬があったが、批判を受けて撤廃された。
ガチャなし・ルートボックスなし
確率型アイテムが一切ない。「課金したら確実にそれが手に入る」という設計は、NCSoftとしては画期的。リネージュやAIONの課金を知っている人なら、「マジで?」と思うレベルの方針転換。
じゃあP2Wなのか?
答えは「完全にP2Wではないけど、Pay to Advantageではある」。
現金→ルーセント→取引所→装備強化素材、というルートが存在するので、お金をかければ成長速度が上がるのは事実。ただ、最強装備が課金限定ということはなく、時間をかければ無課金でも到達できる設計にはなっている。
問題は、PvPが主要コンテンツであること。PvPで「時間をかければ追いつける」は現実的じゃない。先に課金で強くなった相手と戦わされるわけだから、無課金のPvP勢にとっては実質P2Wだと感じても無理はない。
NCSoftの業績から見る TLの「成功度」
ゲームの良し悪しとは別に、ビジネスとしてのTLはどうだったのか。
NCSoftの2024年通期決算によると——
- 連結売上: 1.58兆ウォン(前年比-11%)
- ロイヤリティ収入(TLグローバル版の貢献含む): 1,820億ウォン(前年比+26%)
- Q4ロイヤリティ: 735億ウォン(前四半期比+93%)
- TLの推定年間収益: 約2億ドル(非公式推定)
NCSoft全体の売上は減っているものの、TLのグローバル展開によるロイヤリティ収入は確実に伸びている。つまり「プレイヤーは減ったけど、課金する人はしっかり課金している」という構図。
これは良くも悪くも、現代のF2P MMOの典型的なパターンだ。大量に集めて大量に離脱されるけど、残った濃いプレイヤーからしっかり収益を上げる。TLはそのモデルで十分に採算が取れているようだ。
プレイヤーの本音|Steamレビュー・Xの声を総合する
ここで、実際のプレイヤーの声を集約してみる。
肯定派の声
「戦闘はめちゃくちゃ楽しい。大規模PvPのスケール感は今まで体験したことがないレベル。これが無料で遊べるのは凄い」
— Steamレビューより
「グラフィックは今のMMOで最高レベル。フルボイスのカットシーンも力入ってる。NCSoftの本気を感じる」
— Steamレビューより
「クラスレスのビルドシステムが楽しすぎる。武器の組み合わせで全然違うプレイスタイルになるから、alt沼にハマった」
— Steamレビューより
否定派の声
「100時間まではかなり楽しめる。問題はその先。エンドコンテンツが同じダンジョンの繰り返しで急に作業ゲーになる」
— Steamレビューより
「ギルドに入らないとまともに遊べない設計はどうかと思う。ソロの居場所がない」
— Steamレビューより
「バグが多すぎる。”Throne and Bug”と呼ばれるのも納得。しかもエクスプロイトが放置されすぎ」
— Steamレビューより
KRサーバーの2024年10月〜2025年1月のロードマップが公開されました ボス、マップ、新武器、魚図鑑、レシピ、強化要素、PvPモード、挑戦ダンジョン新シーズン、12人レイド、1人ダンジョン、イベント 4か月間かなり盛沢山な内容になってます
こんな人は楽しめる/こんな人にはおすすめしない
ここまで読んで「結局どうなの?」と思っているはず。はっきり答える。
✅ TLが合う人
- 大規模PvPが好き。数百人の攻城戦でアドレナリン出したい人
- ギルドでワイワイやるのが好きな人。TLのギルドコンテンツは充実している
- ビルド構築が好きな人。武器の組み合わせを試行錯誤するのが楽しめるなら最高
- グラフィック重視。今のMMOで最高レベルの映像美を体験したい人
- 基本無料でガッツリ遊べるMMOを探している人
- PS5やXboxでMMOを遊びたい人(クロスプレイ対応は大きい)
❌ TLが合わない人
- ソロでまったり遊びたい人。ソロコンテンツは拡張で増えたけど、まだ弱い
- PvPが嫌い。TLの根幹はPvPなので、避けて通ると楽しさが半減する
- ストーリー重視の人。メインストーリーは可もなく不可もなく
- 課金に一切お金を使いたくない人で、PvPで勝ちたい人
- 毎日決まった時間にログインできない人(PvPイベントが時間固定)
他のMMORPGと比べてどうか
TLは「どのMMOからの乗り換え先になるか」という視点で見ると、立ち位置がわかりやすい。
vs 黒い砂漠
生活コンテンツのボリュームでは黒い砂漠に軍配。黒い砂漠は貿易、釣り、加工、採集、乗馬……とやれることの幅が段違いに広い。ただし、大規模PvPの「参加しやすさ」はTLのほうが上。黒い砂漠は個人のキャラ育成が前提だけど、TLはギルドに入ればすぐに大規模戦に参加できる。
黒い砂漠の「やり込む系」が好きな人は、TLのコンテンツの薄さに物足りなさを感じるかもしれない。

vs FF14
そもそもの設計思想が真逆。FF14はストーリー主導の月額制MMOで、PvPはオマケ。TLはPvP主導のF2P MMOで、ストーリーはオマケ。
FF14のような「物語に没入してじっくり遊ぶ」体験を求めるなら、TLは合わない。逆に「PvPでガチりたいけど月額は払いたくない」という人にはTLのほうが刺さる。

vs アーキエイジ
TLのPvP設計は、明らかにアーキエイジの系譜にある。自由度の高い世界でギルド同士がぶつかり合う——という構図は共通。ただしアーキエイジほど「何でもあり」ではなく、もう少し整理されたPvP体験を提供している。
アーキエイジで「自由すぎて無法地帯だった」のが嫌だった人には、TLのほうが遊びやすいかもしれない。

vs リネージュ2
NCSoftの精神的後継作として、リネージュ2との比較は避けられない。攻城戦システムの血筋は明らかに引き継いでいるし、ギルド政治の重要性も共通。ただしグラフィックと操作性は格段に進化していて、2024年のゲームとして十分な水準。
リネージュ2の攻城戦が好きだった人は、TLの城攻戦にハマる可能性が高い。

2025年〜2026年のロードマップと今後の展望
TLの今後はどうなるのか。
Wilds of Talandreの成功は大きい。プレイヤー数の回復と新コンテンツの充実で、「一度死にかけて復活した」ゲームとしてのポジションを確立しつつある。
開発方針としても——
- PvEコンテンツの継続拡充
- ソロプレイヤー向け要素の強化
- 新武器の追加(韓国版が先行実装)
- 12人レイドの実装
- QoL改善の継続
——と、初期の問題点に対する回答が続いている。
懸念材料としては、韓国版と海外版のアップデート格差がある。韓国版は常に数ヶ月先の内容が実装されているので、「先が見えている」ことがモチベーション低下につながるプレイヤーもいる。これはNCSoftゲームの宿命ではあるけど、改善してほしいポイントだ。
また、Steam年間ベスト2024で「売上上位」「最もプレイされたゲーム」でゴールド認定を受けているのは、ビジネス面での底力を示している。NCSoftがTLを簡単に見捨てる可能性は低いだろう。
2025年のサーバー統合から学ぶもの
2025年2月のサーバー統合(107→25サーバー)は、TLの歴史の中でも大きなターニングポイントだった。
統合のプロセスは——
- 2月6日: 取引所の統合
- 2月13日〜27日: 無料サーバー移転期間
- 2月27日: サーバー統合実行
統合後は各種ランキング、恩恵石・次元石の所有状況、チャット履歴がリセットされた。これは既存プレイヤーにとってかなりの痛手で、「せっかく積み上げたものがリセットされた」という不満の声も多かった。
スロリバまだテストだからいいけど自由に鯖移動できるのはゲームの寿命短くなるから 本サービスではよほど過疎った鯖が出てくる無しにしといて欲しいな アーキエイジで集団イナゴがいくつも鯖滅ぼしたアレと同じ目に遭うぞ
ただ、結果的にはサーバー統合で人口密度が改善され、マッチングやPvPの質は上がった。人が少ないサーバーで延々と人を探すよりは、統合してちゃんとゲームが成立する環境のほうがいい。
MMOにおけるサーバー統合は「失敗の証」と見られがちだけど、TLの場合は「必要な処置をタイミングよく実行した」と評価するのが妥当だと思う。
TLの「グラフィック」を語る——2024年のMMOとして
ここでもう少し、TLのグラフィックについて掘り下げておきたい。
Unreal Engine 4ベースで構築された世界は、単にテクスチャが綺麗というだけじゃない。昼夜の変化と天候システムがゲームプレイに直結しているのが特筆ポイントだ。
夜になるとフィールドの雰囲気がガラッと変わる。暗闘の中で敵を探す緊張感、月明かりに照らされた城壁の美しさ——これはスクリーンショットだけでは伝わらない、実際にプレイして初めてわかる没入感がある。
雨が降ると水たまりに反射する光、雷鳴とともに変わる風の流れ(モーフの滑空に影響する)、霧が立ち込めて視界が狭まるPvPエリア——天候がただの飾りじゃなくて、ゲームメカニクスに組み込まれている設計は見事だ。
GAME Watchのレビューでは「ゲーマーが憧れたMMORPGの原風景」と表現されていたけど、これはグラフィックだけの話じゃなくて、世界に没入する体験全体を指しているんだと思う。
ギルド政治の功罪——MMOの醍醐味か、苦行か
TLを語るうえで避けて通れないのが、ギルド政治の話だ。
恩恵石・次元石の争奪、ストーンガルド城の攻城戦——これらはすべてギルド単位で動く。そしてギルド内での立ち位置、他ギルドとの同盟・敵対関係、サーバー内のパワーバランス——いわゆる「ギルド政治」が、ゲーム体験の大きな部分を占める。
これが好きな人にとっては最高のコンテンツだ。リネージュ2やアーキエイジで攻城戦にハマった人なら、TLのギルド政治は血が騒ぐものがあるはず。
ただし、ギルド政治には暗い面もある。
- ギルドリーダーの方針に合わないとキックされる
- ギルド内でのノルマ(毎日の出席、素材の納品など)がきつい
- 大手ギルドが小規模ギルドを潰す「強者の論理」
- ギルド間の政治的駆け引きに疲弊するリーダー陣
Steamレビューでも「ギルドシステムの毒性とそれに引き寄せられるプレイヤーの質」が批判されている。MMOの宿命ではあるけど、TLはギルド依存度が高い分、この問題がより顕著に出る。
「韓国版で先が見える」問題
TLの独特な問題として、韓国版が常に数ヶ月先のアップデートを実装していることがある。
韓国版は2023年12月にリリースされていて、グローバル版より約10ヶ月先行している。つまり、日本やアメリカのプレイヤーは「今後何が実装されるか」「どの武器が強くなるか」「どのコンテンツが来るか」が事前にわかってしまう。
これを「情報があって助かる」と前向きに捉える人もいれば、「先がわかっちゃうとワクワクしない」「メタが事前に決まってるからビルドの試行錯誤が無意味」と感じる人もいる。
韓国のプレイヤーからグローバルプレイヤーに向けた「先輩からのアドバイス」的な情報発信もあって、これ自体はコミュニティの良い部分なんだけど、ゲーム体験としての「未知との遭遇」感が薄れるのは否めない。
生活コンテンツの現状——釣り、料理、そして「足りない」
TLには生活コンテンツもある。釣り、料理、採集——MMORPGのお約束は一通り揃っている。
特に釣りはそこそこ凝っていて、水中にモーフで潜って魚を探したり、場所や時間帯で釣れる魚が変わったり、釣り竿のレアリティで獲得量が変わったり。Wilds of Talandreで新魚24種、新釣り竿4種が追加されて、さらに充実した。
ただし正直に言うと、黒い砂漠やFF14の生活コンテンツと比べると「おまけ程度」だ。
黒い砂漠の「生活系だけで何百時間も遊べる」ボリュームや、FF14の「蒼天のイシュガルドの釣り」的な作り込みを期待すると物足りない。TLの生活コンテンツはあくまで「戦闘の合間の息抜き」であって、これ目当てでプレイするゲームではない。
今後のアップデートで拡充される可能性はあるけど、TLの根幹がPvPにある以上、生活コンテンツがメインになることはないだろう。
クロスプレイの恩恵と課題
PC、PS5、Xbox Series X|Sのクロスプレイ対応は、TLの大きなセールスポイントだ。
MMORPGがコンソールで遊べて、しかもPCプレイヤーと同じサーバーで遊べる。これはFF14以外ではなかなか実現できていない要素で、特にPS5でMMOを探している人にとっては貴重な選択肢。
ただし課題もある。PvPにおいてキーボード+マウスとコントローラーの操作格差が存在する。特に対人戦では、マウスのエイムとキーボードのショートカットが有利になる場面が多く、コンソール勢からの不満が出ている。
これは根本的に解決が難しい問題で、入力デバイスの差を完全にフラットにするのは不可能に近い。ただ、カジュアルに遊ぶ分にはコントローラーでも十分楽しめるので、「PvPでトップを目指すのでなければ」コンソール勢でも問題ない。
TLが変えたもの——NCSoftとAmazonの挑戦
最後に、TLがMMORPG市場に与えた影響について考えてみる。
「NCSoftがガチャを捨てた」——これはMMO業界にとってかなり大きな一手だった。
リネージュシリーズで莫大な利益を上げてきたNCSoftが、確率型課金を完全排除してバトルパス制に移行した。短期的には収益が落ちるリスクがあるのに、それを選んだ。背景には「グローバル市場(特に欧米)で戦うにはガチャは受け入れられない」という判断があったはず。
Amazon Gamesとの提携も注目ポイント。AmazonはNew World(自社開発)で苦戦し、Lost Ark(Smilegate開発)でヒットを飛ばした経験がある。TLは「韓国の開発力+Amazonのグローバル配信力」というモデルの3作目で、このコンビネーションがどこまで通用するかの実験でもある。
結果として、TLはNew WorldやLost Arkと並ぶAmazon MMOの柱のひとつになり、Steam年間ベスト2024で3部門ゴールドを獲得。「大成功」とまでは言えないけど、NCSoftとAmazonにとっては次に繋がる成果を残した。
まとめ——Throne and Libertyは「始めるなら今」のMMORPG
長々と書いてきたけど、結論はこうだ。
Throne and Libertyは、ローンチ時の問題を着実に改善し続けている「発展途上のMMORPG」だ。
完成度で言えば、FF14や黒い砂漠のような「何年もかけて磨き上げられた老舗」にはまだ及ばない。エンドコンテンツの薄さ、PvP偏重の設計、課金構造への不満——課題は山積みだ。
でも、NCSoftが本気で方針転換し、Wilds of Talandreで見事にプレイヤーを呼び戻したのも事実。ソロコンテンツの拡充、PvE路線の強化、QoL改善——初期の批判に対して一つひとつ答えを出している。
何より、基本無料でこのクオリティのMMORPGが遊べるのは、それだけで価値がある。グラフィックの美しさ、モーフの爽快感、大規模PvPの迫力——これらは一度体験する価値がある。
「MMOってどれから始めればいいかわからない」という人にとって、TLはゼロ円で始められて、合わなければいつでもやめられる良い入口だ。そして合う人にとっては、数百時間を溶かせるポテンシャルを持っている。
完璧じゃない。でも、面白い。そして確実に良くなっている。
それが2026年のThrone and Libertyだ。

