2025年12月12日、The Game Awards(TGA)の会場に置かれた謎の石碑「Hellstone」の正体がついに明かされた瞬間、世界中のRPGファンが一斉に沸いた。
Larian Studios の次回作は、『Divinity』。
バルダーズ・ゲート3で5大GOTY賞を総なめにし、2000万本を超える大ヒットを記録したLarianが、自社オリジナルIPに帰還する——。その発表には「ついに!」「帰ってきた!」という声があふれ、Divinity: Original Sin 2のSteam同接数が即日2倍以上に跳ね上がった。
この記事では、現時点で判明しているDivinity(新作)の情報をすべてまとめる。発表の経緯から、ゲームシステムの詳細、開発の現状、そしてLarianがBG4ではなくDivinityを選んだ本当の理由まで。「Divinityシリーズを知らない」という方でも楽しめるよう、シリーズの歴史から丁寧に振り返っていく。
公式シネマティックトレーラー(TGA2025発表映像)
TGA2025でのシネマティック発表映像。フォークホラーの雰囲気に包まれた約2分間が全てを物語る。
Divinityとはどんなゲーム?——まず基本情報から
「Divinityって聞いたことあるけど、どういうゲームなの?」という方のために、まず基本情報から整理しておこう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | Divinity(サブタイトルなし) |
| 開発・パブリッシャー | Larian Studios(ベルギー) |
| ジャンル | ターンベースRPG |
| 対応プラットフォーム | PC確定 / Nintendo Switch 2「前向きに検討中」/ PS5・Xbox Series未発表 |
| 発売時期 | 未発表。Early Access 2026は「unlikely」。2027年EA → 2028〜2029年フルリリースが有力 |
| 料金モデル | 未発表(BG3と同様の買い切り想定) |
| 発表日 | 2025年12月12日(The Game Awards 2025) |
| 開発規模 | 約500名体制(2026年1月時点)。シリーズ史上最大 |
まだ発売日もプラットフォームの全容も未公開という段階だが、「BG3を超える過去最大規模のRPG」という公式の表現が示す通り、その期待値は既にゲーム業界全体を揺らしている。
TGA2025の「Hellstone事件」——あの発表の裏側
Divinityの発表は、単なる「新作告知」ではなかった。その演出そのものが、ファンにとって忘れられない体験になっている。
謎の石碑が会場に現れた
TGA2025の開幕より前から、会場ロサンゼルスのピーコックシアターに奇妙なオブジェが展示されていた。燃えるような紋様が刻まれた巨大な石碑——それが「Hellstone(ヘルストーン)」だ。
「これ何?」「どのゲームの宣伝?」とSNSで大論争が起きた。「Larian関係では?」という噂がじわじわと広まり、DOS2のロア(物語設定)に詳しいファンたちが「あの世界観に合う」と分析を始めた。そして発表当日——その予想は見事に的中した。
シネマティックトレーラーの衝撃
TGA本番で流れたシネマティックトレーラーは、約2分間のダークファンタジー映像だった。酔った人々が踊り騒ぐ祭りの場面から始まり、徐々にカルト的な儀式へと変容していく。巨大な藁人形の中に人間が入れられ、炎に包まれる。そして燃え上がる煙の中から、あの石碑が姿を現す。
画面に映し出されたタグライン:
「The gods are silent. Rivellon bleeds. New powers stir.」
(神々は沈黙した。リヴェロンは血を流す。新たな力が目覚める。)
— Divinity 公式シネマティックトレーラー(TGA2025)
この一文だけで、DOS2をプレイしたファンには「あの世界の続き」だと分かった。神々が消え、世界が傷ついた後——Divinityはまさにその先の物語を描く。
発表直後、DOS2の同接数が即日2倍に
発表翌日(12月15日)には、Divinity: Original Sin 2のSteam同接数が5,000人台から10,000人超に急増。さらにLarianはタイミングを合わせるように、4日後の12月16日にDOS2のNintendo Switch 2・PS5・Xbox Series X|S版を電撃リリースした。「新作前に過去作で予習する」というムーブがSteam全体でも可視化された形だ。
Larian Studiosとはどんな会社か——BG3成功までの道のり
Divinityを語るには、まず作っている会社を知っておく必要がある。
Larian Studios(ラリアン・スタジオ)は1996年創業のベルギーのゲームスタジオだ。長らく欧州の中堅RPGメーカーとして知られていたが、2014年に自社クラウドファンディングで開発した『Divinity: Original Sin』が大ヒット。2017年の『Divinity: Original Sin 2』でさらに評価を固め、「CRPGの名手」としての地位を確立した。
そして2023年8月、Dungeons & Dragons(D&D)のライセンスを使った『Baldur’s Gate 3』が世界を変えた。
BG3が残した数字
- 発売から2年で販売本数2000万本突破(2025年末時点)
- Steam同時接続ピーク:875,343人(シングルプレイヤーゲームとして歴代最高峰)
- 主要5大GOTY賞を独占(The Game Awards・BAFTA・Golden Joystick等を史上初の5冠)
- Larian 2023年度純益:約2億4900万ユーロ(BG3発売前年の損失21万4000ユーロから大逆転)
BG3はLarianを「一介のヨーロッパのRPGスタジオ」から「世界最高峰のRPGデベロッパー」へと押し上げた。その後継作品として、「BG4を作るべき」という外部からの期待は当然あった。
しかしLarianはその期待に応えなかった——むしろ意図的に断った。その理由が、この記事の核心のひとつでもある。
なぜBG4ではなく「Divinity」なのか——Vinckeが語った本音
BG3があれだけ売れたのに、なぜ続編を作らないのか。この疑問を持った人は多いはずだ。答えはシンプルで、少し切ない。
「D&Dのことをやっていた頃、正直ワクワクしていなかった。でも今は違う。今作っているものにワクワクしている。それだけでもう、いいスタートを切れている。」
— Swen Vincke(Larian Studios CEO)、GamesRadarインタビューより
BG3リリース後、LarianはWizards of the Coast(D&Dのライセンスホルダー)との次回作企画を実際に立ち上げた。しかし数ヶ月のうちに、チームの中で「これじゃない」という感覚が広がっていった。
「それはLarianのためのものではない」とVinckeは言う。「Larianは大きく新しいことをやりたい。すでにやったことを繰り返したくない。」
Wizards of the Coastが悪かったわけでも、D&Dというコンテンツが悪かったわけでもない。ただ、あれほどの成功を収めたBG3の後に「また同じフィールドで戦う」ことに、チーム全体が熱を持てなかった。それがすべてだ。
「創造的解放」としてのDivinity回帰
D&Dのルールセットは、もともとテーブルトップRPG(ボードゲーム)向けに設計されたものだ。BG3はそれを見事にビデオゲームに翻訳してみせたが、同時にそのルールに縛られてもいた。
新作DivinityはD&Dの制約がない。ビデオゲームのために、ゼロから設計されたルールセットを使える。Vinckeが「解き放たれた(unleashed)」という言葉を使ったのは、まさにその意味だ。自分たちのIPに完全に帰還することで、Larianは「やりたいことを全部やれる状態」を手に入れた。
現場の空気も変わったという。2026年3月の開発アップデートでVinckeはこう伝えている:「まだ荒削りで足りない部分も多い段階だが、ゲームが生きてきた(coming alive)感覚がある」。プロトタイプ段階を脱し、スタジオ全体に「いい気が流れている」と。
BG3があれほど素晴らしかったのは、チームが「本気で楽しんで作っていた」からだ——という評価はゲーム業界でよく語られる。その同じチームが、今度は「さらにワクワクしながら」作っている。それだけで、Divinityへの期待は正当化される。
Divinityシリーズの歴史——DOS1・DOS2からBG3まで
「Divinityって初めて聞いた」という方のために、このシリーズがどういう歩みを経てきたかを丁寧に振り返っておこう。知っている人は読み飛ばしてOK。でも知ると、新作への期待がさらに膨らむはずだ。特にDOS1とDOS2の中身は、新作を語る上でとても重要な背景になる。
シリーズ年表
| タイトル | 発売年 | 概要 |
|---|---|---|
| Divine Divinity | 2002年 | シリーズ第1作。アクションRPG。リヴェロンという世界の原点 |
| Beyond Divinity | 2004年 | 第2作。2人の主人公が魂を縛られた状態で冒険 |
| Divinity II: Ego Draconis | 2009年 | ドラゴンナイトを操る3DアクションRPG |
| Divinity: Original Sin(DOS1) | 2014年 | ターンベース戦闘が復活。Metacritic 87点。「数年ぶり最高のクラシックRPG」(Eurogamer)。発売2ヶ月で50万本 |
| Divinity: Original Sin 2(DOS2) | 2017年 | Metacritic 93点。「RPGの金字塔」。発売2ヶ月で100万本突破。現在もプレイヤーが増加中 |
| Baldur’s Gate 3(BG3) | 2023年 | D&Dライセンス作。5大GOTY。2000万本。Larianの代名詞に |
| Divinity(新作) | 未定 | 本記事の主役。シリーズの集大成にして新章 |
DOS1(2014年)——CRPGを復活させた一作
2014年のDivinity: Original Sin(DOS1)は、ゲーム史の文脈で語る価値のある作品だ。2010年代初頭、「ターンベース戦略RPG」というジャンルはほぼ絶滅危惧種だった。アクションRPGとオープンワールドが主流になり、「クリックしてターンを待つゲームなんて時代遅れ」という空気が業界を支配していた。
そこにLarianが持ち込んだのが、Kickstarterで資金を集めて開発したDOS1だった。「ターンベース戦闘の復活」「環境を使った戦略」「協力2人プレイ」——この3つの組み合わせが、当時のゲーマーに衝撃を与えた。
DOS1の戦闘で特に革命的だったのは「環境インタラクション」だ。床に油をまいて火矢を放てば爆発、敵に水をかけてから雷魔法を撃てば感電、高台に登れば遠距離攻撃に有利——「地形や状況を読んで戦う」という体験が、同時代のどのRPGにもない深みを生み出した。
IGNは「何年もの間で最も報われるRPGのひとつ」と評し、Eurogamerは「文句なしに近年最高のクラシックRPG」と絶賛。GameSpotはPCゲーム・オブ・ザ・イヤーに選出した。Rock, Paper, Shotgunは「2014年最高のKickstarterゲーム」と呼んだ。発売2週間で16万本、2ヶ月で50万本という売上は、インディーCRPGとしては驚異的な数字だった。
DOS1が証明したのは「ターンベースRPGはまだ死んでいない」ということだ。その後、Pillars of Eternity、Divinity: OS2、Pathfinder、BG3と続く「CRPGルネサンス」の火付け役として、DOS1の名前は歴史に刻まれている。
DOS2(2017年)——「RPGの教科書」と呼ばれた傑作
DOS1から3年後、LarianはDOS2でさらに上を行った。Metacritic 93点という驚異的なスコアは、当時のPCゲーム史上でも指折りの評価だ。「RPGという概念を再定義した」「このジャンルを永遠に変えた」という表現が複数のメディアで使われた。
DOS2の何がそこまで凄かったのか。いくつかポイントを挙げると——
オリジン・キャラクターシステム:プレイ開始時に選べる6人の固有キャラクターはそれぞれに独自の過去と目的を持ち、同じシナリオでも視点が全く変わる。骸骨の剣士「Fane」を選べば「自分は実は古代種族だった」という驚愕の真実から物語が始まる。エルフの「Sebille」を選べば、奴隷として酷使された記憶と復讐の物語が展開する。一周クリアしても「別のキャラで全く違う体験ができる」という再プレイ性の高さは群を抜いていた。
「神になる」という物語のスケール:主人公は「Godwoken(神に呼ばれし者)」として、リヴェロンの神になる資格を持つ存在だ。物語が進むにつれ、神々の正体(実は古代種族「Eternals」が人間を支配するために作った虚偽の神だった)が明かされ、世界の根幹を揺るがす真実に直面する。「神殺し」というテーマを真正面から描いたRPGとして、その物語の重さは今でも語り継がれている。
Co-opの完成度:DOS2は最大4人のCo-opに対応しており、友人たちとパーティーを組んでの協力プレイも完璧に設計されていた。BG3のCo-op評価の高さは、このDOS2で培われたノウハウの賜物だ。
ソース魔法と戦闘の深み:DOS1の環境インタラクションをさらに進化させ、「Source(ソース)」という特殊エネルギーを消費する強力な魔法が追加された。ソースは有限なので使いどころを選ぶ必要があり、戦略的な奥深さがさらに増した。
発売2ヶ月で100万本という記録も、DOS1の倍のペース。LarianはこのDOS2で「世界に通じるRPGスタジオ」としての地位を確立した。
BG3(2023年)——頂点への到達
DOS2の技術と経験すべてを、ダンジョンズ&ドラゴンズという世界最有名RPGブランドに注ぎ込んだのがBG3だ。2020年にEarly Accessを開始した時点で既に「Early Accessなのに完成度が高すぎる」と話題になり、2023年8月のフルリリース後は文字通り世界を席巻した。
Steam同時接続875,343人というのは、シングルプレイヤーゲームとしてほぼ前例のない数字だ。普通、シングルプレイヤーゲームはマルチプレイゲームより同接数が低い——それがBG3では「何十万人もが同時に、それぞれの冒険をしていた」。
そして5大GOTY賞の独占。The Game Awards・BAFTA・Golden Joystick Awards・D.I.C.E. Awards・Game Developers Choice Awards。5つすべてを制覇したのは史上初だった。批評家も一般プレイヤーも、口を揃えて「これは特別なゲームだ」と言った。
BG3が特別だった理由のひとつは「開発者の熱量」が伝わってきたことだ。脚本・演技・演出・音楽・システム、どこを切っても「手を抜いた部分がない」という印象。プレイヤーの選択に対して世界が本気で反応する——その設計思想の徹底ぶりが、多くの人の心を打った。
その同じチームが、今度は自分たちのIPで、さらに自由度を高めて作るのが新作Divinityだ。
リヴェロンという世界——新作への接続ポイント
舞台となるリヴェロン(Rivellon)は、Divinityシリーズを通じて描かれてきた独自の世界だ。神々と人間と、「Source(ソース)」と呼ばれる神秘的なエネルギーが絡み合う。
DOS2の結末では、主人公が神になるか、あるいは神という概念そのものを否定するかという選択が描かれた。どのエンディングを選んでも、旧来の「七神」の時代は終わりを告げる。
新作のタグライン「The gods are silent. Rivellon bleeds.(神々は沈黙した。リヴェロンは血を流す)」は、まさにその後の世界だ。神が消え、支柱を失ったリヴェロンで何が起きているのか。「New powers stir(新たな力が目覚める)」という言葉が示す何かが、その空白に入ろうとしている。
シリーズを知らない人でも楽しめるよう設計されているが、DOS2を知っている人には「あの物語の続き」という重みがある。LarianはそのどちらにもリッチなRPG体験を届けようとしている——それがDivinityというタイトルのシリーズを背負った意味だろう。
Larian Studiosの開発哲学——なぜいつも「想像を超えてくる」のか
ゲームを語る前に、作っている会社のことをもう少し掘り下げておきたい。Larianがなぜ繰り返し「想像を超えるRPG」を作り続けられるのか、その理由はいくつかのシンプルな信念に行き着く。
「プレイヤーの選択に本気で応える」という哲学
Swen Vinckeが一貫して語ってきたのは「プレイヤーが試したことに、世界がちゃんと反応すること」という信念だ。
BG3の開発中、テスターが「NPCに毒入り食料を渡せるか試してみた」という報告をした。普通のゲームなら「そんな想定外のことはできません」で終わる。しかしLarianのチームは実際にそのシステムを作り込んだ。「できるかもしれない」と思ったことが実際にできる——そのレベルの自由度が、BG3を特別にした大きな理由のひとつだ。
DOS2でも同じだった。「悪党プレイをして全NPCを殺しても、ゲームが続くように設計する」という方針のもと、既存の仲間NPCが死んでも物語が続く仕組みが丁寧に作られていた。「ここまでやっておけば詰まらないだろう」ではなく、「プレイヤーが思いついた悪いことを全部試せるように」する——それがLarianのゲームデザインの核心だ。
新作Divinityではその自由度がさらに高まるという。「エージェンシーのレベルはBG3よりもはるかに高い」というVinckeの言葉は、単なる誇張ではなく、設計思想の表れだと受け取っていい。
「失敗を許容する文化」が品質を生む
Larianのもうひとつの特徴は、開発中に「うまくいかないことを認める文化」だ。BG3の開発でもDOS2でも、「最初に決めたシステムが面白くなければ全部作り直す」という判断を繰り返してきた。
新作Divinityについてもこう語っている:「今の段階では、始めてみて初めてうまくいかないと分かることが山ほどある。でもそれでいい。まだ全部が可塑的で、改善できる状態にある。それが今いる場所だ。」(2026年3月のアップデートコメント)
完璧な計画より、実際に作って試して直す——このアプローチがDOS1からBG3まで一貫している。Early Accessというリリース形態も、その延長線上にある。「プレイヤーと一緒に完成に近づけていく」というLarianのスタイルは、Divinityでも踏襲されるだろう。
「熱量がなければ作らない」という判断基準
BG4を作らなかった決断は、ビジネス的には「リスクのある選択」だった。BG3という実績のあるブランドを捨て、新しいIPで勝負するよりも、続編を出した方が売上は安定する——そういう計算は普通に成り立つ。
それでもLarianは「チームがワクワクできるもの」を選んだ。この判断基準は、会社の規模が変わっても一貫している。DOS1のKickstarterも、BG3の開発継続も、「数字より熱量」という軸で動いてきた。
Vinckeはこう言っている:「我々は大きく新しいことをしたい。すでにやったことを繰り返したくない。BG4を作っていたら、それはLarianらしくない。」
ゲームファンとして、作り手が「楽しんで作っている」かどうかは、プレイすれば伝わる。BG3がそうだったように、DOS2がそうだったように——新作Divinityもその系譜に連なることは、Vinckeの言葉から確信できる。
BG3の経験がDivinityに活きる具体的な部分
技術的な観点からも、BG3で得た知見は新作に直接活きる。
モーションキャプチャと表情演技:BG3は俳優の演技をゲームに落とし込む品質で高く評価された。新作では収録パイプラインが自動化され、「収録直後にほぼゲーム内へ」という速度が実現している。つまり表情演技の品質はBG3以上になる可能性が高い。
ダイアログシステム:BG3の「プレイヤーの発言がNPCの表情と動きで返ってくる」という演出は、多くのプレイヤーに「まるで映画を見ているようだ」という感覚を与えた。同じライティングディレクターのAdam Smithが参加しているDivinityでは、その演出がさらに進化すると期待できる。
Co-opの設計ノウハウ:BG3のCo-opは「ひとりのプレイヤーがある選択肢を選んでいる間、他のプレイヤーが割り込んで反対意見を言える」という細かい作り込みで話題になった。DOS2→BG3と積み上げてきたCo-op設計のノウハウが、新作では最初から組み込まれる。
アナリティクスとプレイヤー行動の把握:BG3はプレイヤーがどのシーンでどんな選択をしたかを膨大なデータで把握し、DLCや修正に活かした。新作Divnityではそのアナリティクスエンジンがさらに強化されており、プレイヤー体験の調整精度が上がっている。
判明しているゲームシステムを全部まとめた
2026年1月のReddit AMAや各メディアへのインタビューで、Vinckeをはじめとするスタッフがかなり詳細な情報を明かしている。まだゲームプレイ映像は公開されていないが、分かっている範囲でまとめる。
ターンベース+完全新規ルールセット
戦闘はターンベースで確定。これはDOS1・DOS2・BG3と同じ方式だ。ただし今回はD&D5版のルールではなく、Larian独自の新規ルールセットを採用する。
「Action Point(AP)システム」を軸に、これまでのすべてのゲームから学んだことを再構築したものだという。APシステムはDOS1・DOS2でおなじみの仕組みで、1ターン中にポイントを消費しながら行動・移動・スキル使用を自由に組み合わせられる方式だ。BG3のD&Dベースとは異なる、よりビデオゲーム的な自由度の高いシステムになるとVinckeは語っている。
「新しいルールセットは、過去の全タイトルから学んだことの結晶だ。ビデオゲームのためにゼロから設計されている。D&Dの制約から解放されたことで、できることが増えた。」
— Swen Vincke、PC Gamerインタビューより
プレイヤーの自由度は「BG3よりずっと高い」
Vinckeが繰り返し強調しているのが「エージェンシー(プレイヤーが世界に与える影響力)」の高さだ。「BG3よりもはるかに高い」という表現が複数のインタビューで登場している。
具体的には、悪のプレイスタイルが実際に世界をどんどん悪い方向に変えていく。BG3でも選択の自由はあったが、新作ではその結果が世界に刻まれていく深さが段違いになるという。「自分の選択がリヴェロンそのものを形作る」という体験を目指している。
アイテム:ランダムドロップ廃止→手動配置へ
DOS2まであったランダムドロップシステムが廃止され、開発者が意図的にアイテムを配置する手動配置システムに切り替わる。これはBG3でも採用されていた方式だ。
「ランダム出現は調整に時間がかかる割に、プレイヤーを混乱させるだけだった」というのが理由。宝箱の中身が毎回違う、という楽しみは減るかもしれないが、代わりに「ここを探せば確実に強いアイテムがある」という設計の精度が上がる。
環境インタラクションの大幅強化
Divinityシリーズといえば「なんでも燃やせる」「油に火をつければ爆発する」といった環境を利用した戦略性が売りだった。新作ではそれがさらに拡充される。
「前作で燃やせなかったものが燃やせるようになった」「消火手段も複数用意した」といったコメントが出ている。単純に「火をつける」だけでなく、多彩な物理的インタラクションが可能になることで、戦闘と探索の両方で「試してみたい」という体験が増えるはずだ。
マルチプレイ:ローンチからCo-op対応確定
シングルプレイとCo-opの両方に対応。Co-opはローンチ時点から実装されることがReddit AMAで確認された。パーティー人数は未発表だが、DOS2・BG3同様の最大4人Co-opが予想される。
またBG3の「キャンプ」に相当する、仲間と会話・関係構築をする専用スペースが用意される。BG3ではキャンプが呪文回復などゲームメカニクスと結びついていたが、新作では「純粋に仲間たちとの時間を過ごす場所」として機能するという。仲間同士の横のつながりを深める新会話システムも導入される。
プレイアブル種族と世界の住人たち
シネマティックトレーラーから確認されている種族は、ヒューマン・エルフ・ドワーフ・オーク・リザード。DOS2のリヴェロンではおなじみの顔ぶれだ。リザードとのロマンス選択肢があることもAMAで明かされており、シリーズファンには嬉しい情報だ。
雰囲気はDOS2より「より地に足のついた(grounded)トーン」になるという。シネマティックのフォークホラー的な暗さは本番でも維持される予定。ただしLarianらしいユーモアやサプライズは健在だとも語っている。
雰囲気とトーン——フォークホラーの美学
シネマティックトレーラーで印象的だった「フォークホラー」的な雰囲気は、ゲーム本編でも基調になるという。フォークホラーとは、農村や民間伝承・古代の儀式を素材にした恐怖表現のジャンルだ。映画でいえば「ミッドサマー」や「ウィッカーマン」が代表格で、自然崇拝と暴力と共同体の狂気が混じり合う独特の美学がある。
Divinityのトレーラーがまさにそれだった——祭りの熱狂が儀式的な恐怖へと変容し、人間が炎の中で石碑へと変わる。「神が死んだ世界で、人間はどんな狂気に向かうのか」というテーマに、このトーンは完璧にはまっている。
ただしLarianはユーモアも捨てていない。「より暗く、より重いトーン」と言いながら「でもサプライズは必ずある」と付け加えている。BG3でも「世界の命運を賭けた戦い」をしながら鶏になって会話できたり、脳が喋ったりする場面があった。あの絶妙な真剣さとユーモアのバランスは、Divinityでも健在なはずだ。
ストーリーの入口——「Godwoken」の後の世界で何が起きているか
DOS2の主人公は「Godwoken(神に選ばれし者)」として旅し、最終的に神そのものになる(あるいは神の概念を否定する)というエンディングを迎えた。どのエンディングを選んでも、旧来の七神が支配していた秩序は崩壊する。
新作Divinityのタグライン「神々は沈黙した」は、まさにその後の世界だ。神という柱を失ったリヴェロンに何が起きているのか。Hellstoneという謎の石碑が示す「新たな力」とは何か。「第8の神——混沌の神が解放される前兆ではないか」という考察がファンの間で根強くある。
公式は「前作知識不要」と言っているので、新規プレイヤー向けに物語の文脈は丁寧に説明されるはずだ。しかし「あの世界がどうなったか」を知っている人間にとっては、リヴェロンの地を踏むだけで胸が痛くなるかもしれない。それがシリーズものの良さでもある。
カメラとUI
カメラはBG3同様の俯瞰と三人称視点のハイブリッド方式。WASD移動は現時点で未対応とのことで、クリック移動が基本になりそうだ。水泳機能については「おそらく復活する」と示唆されており、最近のLarianタイトルにはなかった探索要素が戻ってくるかもしれない。
エンジン:Divinity Engine 第5世代
使用エンジンはLarianが2014年のDOS1から独自開発・進化させてきた「Divinity Engine」の第5世代。フィールドのスケール感・密度・ライティング品質が大幅に向上し、キャラクター表現にも多くのリソースが割かれているという。
モーションキャプチャのパイプラインは完全に自動化され、「収録したらほぼ即座にゲーム内に反映される」状態になったとVinckeは語っている。デザイナーがルールを素早く実験できる新システムも導入済みで、開発速度がBG3比で大きく向上している。BG3に6年かかったところ、「3〜4年でいける」というのがVinckeの目算だ。
AI問題とLarianの決断——「GenAIアートはゼロ」宣言まで
発表後しばらく、コミュニティを揺るがしたのがAI問題だった。これはDivinityというゲームの中身ではなく、Larian自身の姿勢が問われた出来事として記録しておく価値がある。
Vinckeの発言が火種に
TGA2025での発表後、VinckeがBloombergのインタビューで「開発中にAIツールをコンセプトアートやプレースホルダーテキストに使うことがある」と発言した。これが一気に炎上した。
特に大きな反響を呼んだのが、BG3に携わったアーティストによるこの一言だ。
「Larianで働くのが好きだったのに、AIが出てくるまでは。(I loved working at Larian until AI.)」
— BG3関係アーティスト、SNS投稿より(Kotaku報道)
この言葉は広く拡散され、ファンや業界関係者の間でLarianへの信頼が揺らぐ事態になった。
2026年1月9日のReddit AMA——方針転換を宣言
Larianは騒動を受けて2026年1月9日にReddit AMAを開催。Vincke、ライティングディレクターのAdam Smith、機械学習ディレクターのGabriel Bosqueが参加し、方針を明確にした。
Vinckeの発言:
「Divinityに生成AIアートは一切使わない。コンセプトアートへのGenAI利用をやめると決めた。これで出所について議論の余地がなくなる。」
— Swen Vincke、Reddit AMA(2026年1月9日)
Adam Smithも続けた:「脚本・ダイアログ・テキスト類へのAI使用もない。AIがDivinityのテキストに触れることはない。」
機械学習(ML)については、映像・アニメーションパイプラインの効率化に限って使用を継続する方針。「アーティストやライターの雇用は削減しない。むしろ採用を続ける」という言質も取った。
このAMAの後、コミュニティのムードは大きく好転した。「これで安心した」「やはりLarianは信頼できる」という声が広がり、ゲーム内容への期待に話題が戻っていった。
ファンとコミュニティの声——発表から今まで
Divinityをめぐるコミュニティの反応は、発表から数ヶ月で大きく振れ動いた。その流れをざっくり追ってみよう。
発表直後:「帰ってきた」の大合唱
TGA2025でトレーラーが流れた瞬間、SNS全体に「ついに!」という声があふれた。「Larian、やっとリヴェロンに帰ってきた(finally home)」という言葉が象徴的で、長年のシリーズファンたちの喜びが凝縮されていた。
BG3からLarianを知った新規ファンも「原点のDivinityって何?」と興味を持ち始め、DOS2を今から遊ぼうという動きがSteamで可視化された。発表翌日の同接急増はその証拠だ。「BG3後のLarianなら何でも買う」という信頼貯金の高さも、随所のコメントから伝わってきた。
AI炎上期:コミュニティが一時揺れる
前述のAI問題で、特にクリエイター系ユーザーと古参ファンを中心にトーンが変わった。「楽しみにしていたのに、これは支持できない」という声も出た。ただし「どうせ謝って撤回するでしょ」という冷めた見方も一部にあり、炎上の激しさの割に「不買宣言」まで行ったユーザーは少数派だったと言える。
AMA後:期待感が再燃
AMAでの明確な方針転換とゲームシステムの詳細開示が、コミュニティを再びポジティブな方向に向けた。「手動アイテム配置」「AP制復活」「コープ確定」「リザードロマンス」といった具体的な情報が次々と明かされ、「発売まで待てない」という声が増えた。
「DOS2を6年ぶりに起動した。新作前に全実績コンプしておかないと。」
— Steam コミュニティ(Divinity発表後の反応まとめより)
また日本語圏でも反応は熱く、4Gamerの記事には「DOS2が大好きだったから、これは絶対買う」「BG3を超えるって言うんだから期待しかない」といったコメントが並んだ。DOS2のSwitch 2/PS5版リリースにより、「今からシリーズを始める」という新規層も確実に生まれている。
PC Gamer内部でも意見が割れた
海外の大手ゲームメディアPC Gamerでは「Divinityへの回帰はLarianにとって正しい選択か?」という記事が掲載され、編集部内で意見が真っ二つに分かれた。「リヴェロンという世界観にそもそも魅力を感じない」という懐疑派と、「BG3で培ったすべてを自社IPに注ぎ込むんだから、想像しただけでゾクゾクする」という期待派が並立した。
ある記者がこれについて書いたことが印象的だった——「意見が分かれる、ということ自体がこのゲームへの関心の高さの証拠だ」と。発売日も未定、ゲームプレイ映像もない段階でメディア内論争が起きるゲームは、そうそうない。
発売時期と今後のスケジュール予測
「で、いつ出るの?」——これが一番気になるところだろう。正直に言うと、2026年4月現在、公式には何も確定していない。それでも断片的な情報を繋ぎ合わせると、ある程度の見通しは立てられる。
分かっていること
- 2026年のEarly Access(早期アクセス)は「unlikely(可能性が低い)」とVinckeが明言
- 2026年3月時点でプロトタイプ段階を脱し、フル生産中。俳優の音声収録も進行中
- 開発人員は約500名(2026年1月)。過去最大規模
- 「BG3に6年かかったが、今回は3〜4年を目指す」というVinckeの発言
- BG3は2019年着手→2023年正式リリース。Divinityは2023〜2024年着手と仮定
現実的なシナリオ
| フェーズ | 予想時期 | 根拠 |
|---|---|---|
| Early Access開始 | 2027年(前半〜後半) | 2026年EAが「unlikely」→2027年が最短ライン |
| フルリリース | 2028〜2029年 | BG3はEA約3年。同程度と想定 |
| ゲームプレイ映像公開 | 2026年後半〜2027年初 | 現在「まだ見せられる段階ではない」との発言 |
BG3がそうだったように、LarianはEarly Accessの時点でかなり完成度の高い状態を提供する傾向がある。「Early Accessでも十分すぎるほど遊べる」状態になるまで出さない、というのがLarianのスタイルだ。だから2027年にEAが出たとしても、それは「まだ未完成」ではなく「序章が完璧に仕上がった状態」と考えていい。
待つのがつらい人へ:その間にDOS2を遊んでおくのが正解だ。現在PS5・Switch 2・PC・Xboxで遊べる状態になっており、Metacritic 93点という評価は10年近く経った今も色褪せていない。
期待と不安——正直に両面から見てみる
ここまで期待の話を中心に書いてきたが、冷静に「不安な部分」も整理しておきたい。期待だけを書き連ねるのは正直ではないし、不安を無視するのも読者に失礼だ。
期待できる理由
チームの実績が圧倒的:DOS1・DOS2・BG3という3連続の高評価作品を持つスタジオは、世界広しといえど他にほぼない。「また傑作を作るだろう」という信頼は、数字で裏付けられている。
D&Dの制約から解放:BG3が素晴らしかった一方で、「D&Dのルールに縛られていた部分」を惜しむ声も開発者自身から出ていた。自社IPで独自ルールを設計できる今回は、「本当にやりたかったこと」が全部できる環境だ。Vinckeが「解き放たれた」と言ったのは、それほど切実な解放感だったのだろう。
開発規模と資金力が最大:BG3で得た約2億4900万ユーロの利益は、次回作への投資に使われる。500人体制という開発規模は、小規模スタジオ時代のLarianとは全く違う。「作りたいものを作り切れる」体制が整っている。
Early Accessモデルの実績:BG3のEarly AccessはRPG史上最も成功したEAのひとつだ。同じモデルをDivinityでも使えば、発売前からコミュニティと共に作品を磨いていける。「出してみたら全然面白くなかった」というリスクが相対的に低い。
正直に言うと不安な部分もある
「BG3を超える」というハードルの高さ:BG3は客観的に「史上最高のRPGのひとつ」として評価されている作品だ。それを超えると公言した以上、少しでも及ばなければ「BG3以下」という評価になりかねない。自ら設定したハードルが高すぎるリスクは正直ある。
リヴェロンという世界観の訴求力:D&DはゲームRPGの文脈では最強のブランドだ。「ダンジョンズ&ドラゴンズ」という名前を冠するだけで興味を持つ層が一定数いる。対してリヴェロンはLarianのオリジナルで、知名度は比較にならない。PC Gamerの一部ライターが「リヴェロンという世界観に特別な魅力を感じない」と言ったのも、的外れではない意見だ。
発売まで長い:2027年にEAが出ても、フルリリースは2028〜2029年という見通しだ。BG3からのファンは3〜4年待つことになる。「待っている間に熱が冷める」リスクはゼロではない。
新エンジン・新ルールの不確実性:完全新規ルールセットと第5世代エンジンは、言い換えれば「前例のない組み合わせ」だ。DOS2やBG3ではある程度の実績があるルールセットをベースにしていた。ゼロから設計したシステムが「面白くなるか」は、最終的にはプレイするまで分からない。
それでも「待つ価値がある」と思う理由
不安を列挙した上で言うが、自分はDivinityを待つ価値があると思っている。
理由はシンプルで、Larianはこれまでもこれだけのことをやり遂げてきた、という一点に尽きる。DOS1でCRPGを復活させ、DOS2でジャンルを再定義し、BG3で世界を変えた。その軌跡に「前の作品より悪かった」という転落点がない。むしろ毎回、前作の弱点を克服して来る。
不安材料のほとんどは「もし失敗したら」という仮定の話だ。しかしLarianが「失敗したときの話」をするのは、DOS1以前の話に限られる。実績あるチームを疑う理由は、今のところない。
よくある疑問にまとめて答える——Divinity FAQ
ここまで読んでくれた人でも、まだ気になる疑問があるかもしれない。よく見かける質問をまとめて答えておく。
Q. DOS2やBG3を遊んでいないと楽しめない?
A. 公式が「前作知識不要」と明言している。新規プレイヤーでも問題なく楽しめる設計だ。ただし、DOS2を知っていると世界観の「深み」が増す体験ができる。「せっかくなら予習したい」という人は、DOS2から入るのがベストだ。
Q. BG3と同じシステム?それとも別物?
A. 同じLarianが作るターンベースRPGだが、ルールセットは完全に別物だ。BG3はD&D5版のルール(レベル・スロット・ボーナスアクション等)をベースにしていた。DivinityはAction Pointを軸にしたLarian独自の新規ルール。「BG3と似ているが別ゲーム」という感覚になるだろう。
Q. Co-opは何人まで遊べる?
A. Co-op対応はローンチから確定しているが、人数は未発表。DOS2・BG3が最大4人だったため、同様の仕様が予想される。
Q. PC以外のプラットフォームで出る?
A. PC版は確定。Nintendo Switch 2版は「前向きに検討中」。PS5・Xbox Series X|Sについては現時点で未発表。BG3はPC→PS5→Xbox Seriesの順でリリースされた実績があり、Divinityも同様の展開が予想される。
Q. Early Accessはいつ? 値段は?
A. 2026年のEAは「unlikely(可能性が低い)」。2027年前後が最短の見通しだ。価格は未発表。BG3のEAは当初59.99ドルだったことを参考にすると、同程度以上の価格帯になる可能性が高い。
Q. 日本語対応はある?
A. 未発表。BG3では日本語テキストと日本語吹き替えの両方に対応していたため、Divinityでも同様の対応が期待できるが、公式発表があるまでは確定ではない。
Q. BG4は本当に作らないの?
A. Vinckeが明確に「BG4を作る計画はない」と発言している。BG3の版権を持つWizards of the CoastとLarianの契約は終了しており、次のBaldur’s Gateは別のスタジオが担当することになる見通しだ。Larianは今後、自社IPに集中する方針を示している。
Q. Larian Studios自体は今どんな状態?
A. BG3の成功で財務的には最強の状態だ。2023年度の純益は約2億4900万ユーロ。開発人員も約500名体制まで拡大している。ただし規模が大きくなれば「小回りが利かなくなる」リスクもある。Vinckeもそのバランスを意識しており、「組織が大きくなっても、クリエイティブの核は守る」と繰り返し語っている。
こんな人に刺さるはず——Divinityが向いているプレイヤー像
まだゲームプレイ映像すら出ていない段階ではあるが、これまでの情報から「Divinityが刺さりそうな人」のイメージははっきりしてきた。
- BG3が好きだった人——同じチームが「さらに自由度高く、さらに大きく」作る。これ以上の保証はない
- DOS2を遊んだことがある人——「帰ってきた」感覚を最大限に味わえる。シリーズの続きとして深く楽しめる
- ターンベース戦略ゲームが好きな人——新規APシステムはDOS2よりもさらに自由度が増す設計
- 「選択で世界が変わる」RPGが好きな人——BG3より高い自由度と、悪の選択が実際に世界を変える仕組みは刺さるはず
- Co-opでRPGを遊びたい人——ローンチからCo-op確定。友人と一緒に「リヴェロンの運命を握る」体験ができる
- ダークファンタジーが好きな人——フォークホラー的な暗さ、神が消えた世界という重厚な世界観
- 「シリーズ初挑戦」の人——公式が「前作知識不要」と明言。BG3からLarianを知った人でもゼロから楽しめる
逆に、「アクションRPGやオープンワールドが好き」「ターンベースは苦手」という人にはハードルが高いかもしれない。LarianはBG3でもターンベースを貫いたスタジオで、今後もその方向性は変わらない。
待っている間に遊べる——Larianの過去作ガイド
Divinityの発売まで少なくとも1〜2年はある。その間、同じLarianの世界観や文脈を楽しんでおくための過去作を紹介しておく。待ち時間を「予習期間」に変えてしまえばいい。
まず遊ぶならDOS2——100時間では足りない傑作
Divinityの直接的な前日譚世界を体験できる、シリーズ最高傑作。Metacritic 93点、2017年発売から現在まで高評価を維持している。2025年12月にPS5・Switch 2・Xbox Series版がリリースされ、今どのプラットフォームでも遊べる状態になった。「新作前に予習しておきたい」という人は絶対に遊んでおくべき一作だ。
どのキャラクターを選ぶかで物語の入口が変わり、一周100時間超のボリュームがある。しかもその100時間の中で「もう一周別のキャラでやりたい」という気持ちになる作りになっている。Co-opで最大4人プレイも可能で、友人と話し合いながら選択を進める体験はDOS2ならではの楽しみ方だ。
新作DivinityはDOS2の結末の「その後」を描く世界。リヴェロンとは何か、Sourceとは何か、七神とは誰だったのか——それを知った上で新作に臨むと、物語の重みが段違いになる。
BG3がまだなら今すぐ——Larian理解への最短ルート
同じLarianチームが作り、5大GOTY賞を総なめにした最高傑作。D&Dの世界観だが、ゲームシステムの骨格はDivinityシリーズと共通している。BG3で「ターンベースRPGの面白さ」を発見した人は多く、「次はDivinityシリーズを遡ってみよう」という流れは自然だ。
特にBG3のCo-op体験は、Divinityを友人と遊ぶ前の良い予行演習になる。「ひとつの選択肢をめぐって仲間と口論する」「誰かが悪の選択をして物語がとんでもない方向に転がる」——そういうCo-op RPGの醍醐味を、まずBG3で体験しておくと、Divinityでの楽しみ方がより豊かになる。
BG3が気に入った人は、新作Divinityでさらに自由度が増したLarianワールドを楽しめるはずだ。同じ「全力でプレイヤーの選択に応えてくれるRPG」という軸は変わらない。

またBG3とシステム的に近い、Co-opターンベースRPGが好きな人なら、以下のタイトルも橋渡しになるはずだ。
投稿が見つかりません。 投稿が見つかりません。まとめ——「解き放たれた」Larianの次回作に期待する理由
改めて整理しよう。
Divinity(新作)は、Larian Studiosが自社オリジナルIPに帰還して作る「これまでで最大・最高のRPG」だ。BG3で世界を制したチームが、今度はD&Dの制約なしに、自分たちのルールとエンジンで、自分たちの世界「リヴェロン」を舞台に作る。
発売日は未定。プラットフォームはPC確定でSwitch 2は検討中。Early Accessは早くて2027年、フルリリースは2028〜2029年が現実的な見通しだ。
AIアートの問題も、一時のコミュニティの揺れも乗り越えて、今のLarianは「ゲームが生きてきた」という手応えの中にある。2026年3月のVinckeのアップデートは短い言葉だったが、その熱量はしっかり伝わってきた。まだ荒削りで足りない部分が多い、でもそれでいい——完璧な計画より、作りながら磨いていくのがLarianのやり方だから。
ふと考えると、DOS1が出たのが2014年、DOS2が2017年、BG3が2023年。Larianはほぼ3年おきに、前作を超える作品を出し続けてきた。その軌跡に「前作より悪かった」という転落点はない。むしろ毎回「こんなものが作れるのか」という驚きを届けてくれた。
だから待てる。Divinityが出る日まで、DOS2を遊んで、BG3をもう一周して、リヴェロンという世界の空気を体に染み込ませながら待てる。
Vinckeの言葉をもう一度思い出す。「今作っているものにワクワクしている。それだけでもう、いいスタートを切れている。」
BG3は「ワクワクしながら作ったゲーム」が世界を変えた証明だった。同じチームが、今度はさらにワクワクしながら、自分たちの世界で、自分たちのルールで作っている——それだけで、待つ価値がある。リヴェロンに帰ろう。神々は沈黙しているかもしれないが、Larianは喋り続けている。
続報が出たらこの記事も随時更新していく。Divinityの情報が気になる方はぜひブックマークしておいてほしい。
情報源:PC Gamer / 4Gamer / Famitsu / Kotaku / GamesRadar / TheGamer / Wikipedia(Divinity upcoming video game)/ Larian Studios公式 Reddit AMA(2026年1月9日)
最終更新:2026年4月20日