Grand Theft Auto IV

Grand Theft Auto IV|アメリカンドリームの嘘を突きつけるオープンワールド犯罪劇

はじめてGTA IVを起動したのは、GTA5が出てから数年経ったあとのことだった。「もう古いゲームだし、グラフィックも落ちるし……」と思いながらプレイしたら、気づいたら夜が明けていた。

ニコ・ベリックという男の話が、想像以上に刺さったからだ。

東欧から夢を抱えてアメリカに渡ってきた元兵士。戦争で心に傷を負い、ある裏切り者への復讐を胸に秘めながら、いとこのローマンが待つリバティーシティへ降り立つ。でもリバティーシティは、ローマンが電話越しに語っていたような「高級車に美女、マンション暮らし」なんかじゃなかった。汚いアパートに借金、ギャングからの脅迫——そこにあったのは、夢の都の表側じゃなくて、裏側だった。

このゲームはGTAシリーズの中で異質だ。5のような馬鹿騒ぎとカオスを期待すると面食らう。GTA IVはもっと静かで、もっと暗くて、もっと人間的だ。ミッションの合間に届くローマンからの「ボーリング行かないか?」というメッセージに苦笑いしながら、「今忙しいんだよ」と思いつつも結局断れずに付き合ってしまう。そういうゲームだ。

2008年に発売されたこのゲームは、2020年にSteamでComplete Editionとして再リリースされた。本編に加えて「The Lost and Damned」「The Ballad of Gay Tony」という2本のDLCが丸ごと入って、セール時なら500円を切ることもある。2万円近いゲームが当たり前の時代に、これだけの密度を持つゲームがこの価格で手に入る。

Steamのレビューは執筆時点で約7万9千件を超え、全体評価は「大体好評」。ただ数字だけ見ると「なんで賛否があるんだ?」と思う人もいるかもしれない。その理由は単純で、GTA5に慣れた人が「重くてカクカクする、地味だ」という評価を付けているからだ。実際にストーリーを最後まで遊んだ人のレビューを読むと、評価の軸が全然違う。「名作」「忘れられない」「主人公が最高」——そういう言葉が並ぶ。

この記事では、GTA IVが何者なのかを正直に書く。懐かしいだけの古いゲームなのか、今でも遊ぶ価値があるのか。その両方を答えながら書いていく。

目次

こんな人に刺さるゲームです

Grand Theft Auto IV: The Complete Edition 未分類 スクリーンショット1
  • GTAシリーズが好きで、5より重厚なストーリーを求めている人
  • 暗くてシリアスなオープンワールドゲームが好きな人
  • リアリズム寄りの物理エンジンと車の挙動を楽しみたい人
  • 「アメリカ」という国の表と裏を描いた作品に興味がある人
  • 100〜150時間かけて一本のゲームをやり込みたい人
  • MODで古いゲームをリマスターして遊ぶのが好きな人
  • GTAオンライン(GTA5のオンライン)が目当てではなく、オフラインのGTAをがっつりやりたい人

逆に、GTA5の派手なアクションや3人の主人公を切り替える構造に慣れている人は、最初はGTA IVの地味さと暗さに戸惑うかもしれない。「つまらない」と言う人がいるのも理解できる。でも、それを「つまらない」と切り捨てられない人に向けて、この記事は書いている。

こんな人には向かないかもしれない

正直に言っておく。GTA IVには「合わない人」がいる。

まず、ゲームの動作環境に厳しい人。PC版の最適化は今でも問題を抱えており、そこそこのPCでも設定次第でカクカクすることがある。最初からMODを入れて対処する手間を惜しむ人には向かない。

次に、友人とオンラインで遊ぶことを重視する人。現在のComplete Editionにはオンラインマルチプレイヤーがなく、完全にシングルプレイヤーゲームだ。「友達と一緒にGTAで暴れたい」という目的なら、GTA5のオンラインを選んだ方がいい。

また、「派手に自由に暴れ回りたい」という人にも少し向かない。GTA5やGTA San Andreas的な「何でもできる自由」はGTA4にはやや少ない。飛行機でカオスを起こしたり、水中を泳いだり、ヨガをしたりといった雑多な楽しみ方は、このゲームにはあまりない。リバティーシティはもっと「街として生きる」ための場所だ。

ゲーム概要——リバティーシティという名の地獄

どんなゲームか

Grand Theft Auto IV: The Complete Editionは、Rockstar Gamesが開発した三人称視点のオープンワールドアクションゲームだ。2008年にコンソール版が先行発売され、同年末にPC版が登場。2020年にSteamで現在の形(Complete Edition)として再配信されている。AppIDは12210。

舞台となるのはリバティーシティ——ニューヨーク市をモデルにした架空の大都市だ。マンハッタンをモデルにしたアルゴンキン、ブルックリンに相当するブローカー、サウスブロンクスのような雰囲気を持つボーハン、クィーンズに近いダスクベイ、そしてニュージャージーに当たるアルダニー。これらの地区で構成された巨大な街が、ゲームの舞台全体だ。

プレイヤーが操作するのはニコ・ベリック、旧ユーゴスラビア出身の元兵士だ。内戦で戦い、傭兵として働いた後、いとこのローマンを頼ってアメリカへやってくる。ローマンはメールや電話で「高級車、豪邸、美女……全部ある!」と言っていたが、実態はギャングに借金を抱えた汚いタクシー会社のオーナーだった。

そこからニコは生き延びるためにアンダーグラウンドの仕事に手を染め始める。麻薬密売人、ギャング、マフィア、腐敗した警官——そういう人間たちの依頼をこなしながら、過去の「裏切り者」を探し続ける。その旅路が、このゲームのストーリーだ。

Complete Editionに含まれる3本のゲーム

今Steamで販売されているGrand Theft Auto IV: The Complete Editionには、3本分の内容が入っている。

まず本編「Grand Theft Auto IV」。ニコ・ベリックの物語で、ストーリーをクリアするだけで20〜30時間かかる。サイドミッションや探索を含めると50時間超えは普通だ。

次に「The Lost and Damned」。バイカーギャング「The Lost MC」のリーダー、ジョニー・クレビッツの視点で描かれる物語だ。本編とリバティーシティの空間は共有しており、ニコの物語と一部交差するシーンもある。チョッパーバイクを乗り回すギャング抗争の話で、本編よりさらに暗くハードな内容だ。プレイ時間は10〜15時間前後。

3つ目が「The Ballad of Gay Tony」。ナイトクラブ経営者トニー・プリンスのボディーガード、ルイス・フェルナンド・ロペスが主人公。3本の中では最もアクション寄りで派手な内容で、ヘリコプターや軍用車両を使った派手なミッションが多い。本編よりも明るい雰囲気で、GTA IVの世界を「裏のセレブ側」から描いている。こちらも10〜15時間。

3本合わせると、ストーリークリアだけで50〜60時間、やり込みを含めると100時間を超える内容になる。

Rockstar Gamesと「RAGE + Euphoria」エンジン

GTA IVがゲームの歴史に残る理由の一つが、当時採用された技術だ。

Rockstar Advanced Game Engine(RAGE)と、NaturalMotionが開発した物理エンジン「Euphoria」の組み合わせが、このゲームの「重さ」を生み出している。Euphoriaはキャラクターの筋肉・骨格・神経系をリアルタイムでシミュレートするエンジンで、敵が銃弾を受けたときの体の反応、転倒したときの受け身、高所から落ちたときの崩れ方——これらが全部「計算」で決まる。事前に用意されたアニメーションを再生するのではなく、毎回状況に応じた動きが生成される。

これが2008年のゲームとは思えないほどの没入感につながっている。車で人を轢いたとき、銃で撃ったとき、パンチを食らわせたとき——どれも予定調和じゃなくて、物理的に「それが当たるとそうなる」という挙動をする。今から遊んでも、その点ではGTA5より優れていると感じる場面がある。

リバティーシティというニューヨーク

舞台となるリバティーシティは、ニューヨーク市を驚くほどのディテールで再現した架空都市だ。マンハッタンをモデルにしたアルゴンキン島は高層ビルが立ち並び、地下鉄が走り、タイムズスクエアに相当する「スター・ジャンクション」がきらびやかに輝く。その下には、ブルックリンをモデルにしたブローカー地区の薄汚れた集合住宅が広がる。

この対比が絶妙だ。お金と権力が集まるアルゴンキンと、移民や貧困層が密集するボーハン、ブローカー——ニコが最初に放り込まれるのは当然ながら後者だ。ゲームが進んでアルゴンキンに足を踏み入れられるようになったとき、「やっと来られた」という感覚がある。これは演出であると同時に、リバティーシティという街の社会構造を体で覚えさせる設計でもある。

街の細部への作り込みも尋常じゃない。路上では市民がスマートフォン(当時の最新技術)を見ながら歩いている。ラジオ局は複数あり、それぞれがジャンルの異なる音楽と架空のDJトークを流している。テレビのチャンネルを変えると、リバティーシティのニュースやコメディー番組が流れる。インターネットカフェで架空のSNSを開くと、ゲーム内のキャラクターたちがそこに書き込んでいる。

これらは全部「ゲームプレイに直接関係ない」要素だ。でもこれがあることで、リバティーシティは「レベルデザインされた空間」ではなく「生きている都市」に感じられる。2008年のゲームがここまでやっていたという事実は、今振り返っても驚きがある。

ストーリー——アメリカンドリームを夢見た男の話

Grand Theft Auto IV: The Complete Edition 未分類 スクリーンショット2

ニコ・ベリックという主人公

GTAシリーズの主人公の中で、ニコ・ベリックは特別な存在だ。

これまでのGTAシリーズの主人公は、基本的に野望家だった。金が欲しい、権力が欲しい、認められたい。でもニコは違う。彼の目標は最初から「アメリカンドリームを掴む」ことじゃない。過去の戦争で自分の分隊を裏切って全員を死に追いやった男を見つけて、決着をつけること——それだけだ。

そのニコが生き延びるために犯罪に手を染める。殺しを引き受ける。嫌なことをする。そのたびにゲームはニコに台詞を語らせる。「俺はこんな男じゃない」「またか」「もう十分だ」——そういう台詞がある。道徳的な葛藤を持つ主人公が、それでも生きるために手を汚していく物語。これがGTA IVをゲームじゃなくて「作品」にしている核心だ。

ローマンとの関係も秀逸だ。何かと「ボーリング行かないか?」「ストリップクラブ行こうよ!」と誘ってくるローマンは、最初はウザいキャラクターに見える。でもストーリーが進むにつれて、ローマンの存在がニコにとって何を意味するかがわかってくる。彼はニコの「普通の人生」への唯一のつながりだ。

3本のストーリーが交差する構造

Complete Editionの面白さは、3本のストーリーが同じリバティーシティの時間軸で進んでいるという点だ。

有名な例が、本編序盤の「バンクロバリー」シーン。ニコが銀行に向かうシーン(ユーザーとしてはミッションで体験する場面)を、The Lost and Damnedではジョニー視点から、The Ballad of Gay Tonyではルイス視点から見ることができる。同じ強盗事件を3人の視点で体験する——こういう構造はオープンワールドゲームの中でも珍しい。

3本をプレイすることで「この男はあのとき何をしていたのか」「あの場面の裏ではこういう事情があったのか」という発見がある。1本だけでも完結するが、3本通してプレイすると世界の奥行きが全然違う。

登場人物たちの厚み

ニコとローマン以外にも、GTA IVには記憶に残るキャラクターが多い。

リトル・ジェイコブは、ジャマイカ系の麻薬売人で、ゲーム序盤からニコを助けてくれる数少ない友人の一人だ。訛りが強くて何を言っているか聞き取りにくいのだが、それがむしろリアルで、ゲームを進めるうちに確実に愛着がわく。

パッキー・マクレアリーは、アイルランド系ギャングファミリーのメンバー。問題を起こしてばかりで信頼できないのに、なぜかニコは彼を切り捨てられない。「こういう奴いるよな」という感覚がある。

ミハイル・フォスバーグは序盤のボスキャラで、麻薬依存症と妄想が激しいロシア系ギャングだ。登場シーンのたびに何か奇妙なことをやっていて、怖くもあり滑稽でもある。ゲームの雰囲気を象徴するような存在感がある。

こういったサブキャラクターたちの一人一人に、しっかりとした背景と台詞が与えられている。単なるミッション発行機ではなく、それぞれがリバティーシティで生きる人間として描かれている。このキャラクターの密度が、GTA IVをただのアクションゲームではなく「ドラマ」にしている。

エンディングの選択——どちらを選ぶか

ネタバレになるので詳細は書かないが、GTA IVのエンディングには選択肢がある。「ディール」と「リベンジ」の2択で、どちらを選ぶかによってニコの物語の結末が変わる。

両方のエンディングを見た人の多くが、「どちらも辛い」という感想を持つ。GTAシリーズのゲームで、エンディングについてこれほど語られるものは他にない。どちらを選んでも、消えないものが残る。それがGTA IVのストーリーの力だと思う。

ゲームのテーマを一言で言えば「アメリカンドリームの解体」だ。ローマンが信じているドリームが幻想である様子を、ニコは一歩引いた目で見ながらも、自分自身も何かを求めて足掻き続ける。「こうなりたかった自分」と「現実の自分」の乖離——これを2008年のゲームがここまで真剣に描いていたことが、今でも語り継がれる理由だと思う。

ゲームシステムの詳細——何ができて何が楽しいのか

オープンワールドとしてのリバティーシティ

リバティーシティはGTAシリーズの中でも特に「密度」が高い都市だ。GTA5のロスサントスは広いが郊外が多く、人が少ないエリアも目立つ。一方、リバティーシティは狭い代わりに全域が都市で、歩道に人が溢れ、道路は渋滞し、路地裏には廃人やギャングがたむろしている。

街の作り込みが異常なレベルで細かい。ビルの窓から部屋の中が見える。地下鉄が実際に走っていて乗ることができる。川辺には釣り人がいる。ニュースラジオでは今起きているゲーム内の事件が流れる。インターネットカフェに入るとゲーム内のフィクションなウェブサイトを閲覧できる——そこには偽ブランドの広告、偽政治ニュース、偽交際サイトがある。

この「街が生きている」という感覚は、Rockstarが長年磨いてきた技術の結晶だ。目的地に向かうだけじゃなくて、ただ街を歩き回りたくなる。そういう引力がある。

車の挙動——重くてリアルな走り

GTA IVで必ず話題になるのが、車の挙動だ。

GTA5と比べると明らかに「重い」。カーブで曲がり切れずにリアが流れる。急ブレーキでスピンする。高速でバリアに当たったらそれなりにダメージを受ける。「ゲームとして操作しやすい」という意味では5の方が上だが、「リアルな車の物理」という意味では4の方が圧倒的に上だ。

特に、重量のある車と軽い車の差が顕著に出る。デリバリートラックを運転するときと、スポーツカーを乗り回すときとでは、全く別の運動特性がある。カーチェイスをしていると、車の重さや慣性を体感しながら走ることになる。この「重さ」が最初は慣れにくいが、慣れると他のゲームの車が玩具に感じるようになる。

Euphoriaエンジンの恩恵は運転にも現れる。事故で車から吹き飛んだとき、窓ガラスを突き破って転がるニコの動きが毎回違う。衝突の角度と速度によって体の落ち方が変わる。なんでもない事故シーンが、毎回小さな映画みたいになる。

銃撃戦——カバーアクションの採用

GTA IVからシリーズにカバーアクションが導入された。柱や壁に背をつけてQ/Eで左右を覗きながら射撃できるシステムで、これによって銃撃戦の質が大きく変わった。

一方でGTA5のようなスムーズな操作とは違い、引っかかりや癖がある。カバーから出るタイミング、エイムの安定感——正直に言えばこの部分はGTA5の方がずっと洗練されている。ただ、GTA IVの銃撃戦には「生々しさ」がある。難しいからこそ、ミッションをクリアしたときの達成感が違う。

ヘッドショットで敵が崩れるときの挙動も、Euphoriaの恩恵で毎回違う。同じ距離から同じ銃で撃っても、倒れ方が全部異なる。これが飽きのこない戦闘につながっている。

人間関係システム——断れないローマンの誘い

GTA IVで他のシリーズ作品と最も違う点の一つが、「人間関係(Social Activities)システム」だ。

ゲームを進めると、ローマンをはじめとした複数のキャラクターが携帯電話で連絡してくる。「ボーリング行かない?」「ダーツやろうよ」「飲みに行こう」。これを断り続けると友好度が下がる。逆に付き合うと友好度が上がり、そのキャラクターの特殊な恩恵(例えばローマンにタクシーを呼んでもらうなど)が解放される。

このシステム、プレイヤーによって評価が真っ二つに割れる。「ミッション中でもかまわず電話してくるな」「ボーリング行くか行かないか毎回決めるのが面倒」という声がある一方で、「あの煩わしさこそがリバティーシティの人間関係のリアルさだ」という意見もある。

個人的には後者だ。ミッションが終わって、緊張感が続いているその瞬間に「やあニコ!ボーリングは?」という着信が入る——あの温度差がなぜかリアルに感じる。現実でも、なにか大変なことがあった日に友人から「今夜飲まない?」って連絡来たりするじゃないか。ニコの日常の一部として機能している。

指名手配システム

GTAシリーズ定番の指名手配システムも、GTA IVで大きく変化した。

5段階の星で表示される指名手配レベルに応じて、警察の対応が変わる。1〜2星なら近くにいるパトカーが追いかけてくる程度だが、3星になるとヘリが出動し、4〜5星になると特殊部隊が動員される。

特徴的なのは、「捜索範囲」の概念だ。指名手配になると、画面に捜索エリアが表示される。このエリアを抜けて、エリア外で一定時間隠れると手配が解除される。つまり、警察から逃げることよりも「姿を消す」ことが重要になる設計だ。

これがカーチェイスにリアルなバリエーションをもたらす。ヘリに追われながら高架下や地下駐車場に滑り込んで息を潜める——そういう逃走劇が展開される。ただ走り続けるのではなく、頭を使って隠れ場所を探す必要がある。

ミニゲームの充実度

GTA IVのミニゲームは、本当によく作られている。

ボーリングは実際のボーリングとほぼ同じ仕組みで、スピンをかけてストライクを狙える。ダーツも精度の高い物理で、酔っていると(ゲーム内でアルコールを飲んでいると)照準がぶれる演出がある。ビリヤードも本格的なキュー操作がある。

ゴルフやテニスがあるGTA5と比べてミニゲームの種類は少ないが、それぞれの完成度が高い。ローマンとのボーリング対決で本気になってしまうのは、このゲームをプレイした人なら一度は経験しているはずだ。

インターネットカフェも面白い。ゲーム内の架空ウェブサイトを閲覧できるのだが、その内容がリバティーシティという街への皮肉やパロディで埋め尽くされている。リアルなアメリカの広告や政治への風刺が随所に入っており、それを読んでいるだけで時間が経つ。

携帯電話システム——リバティーシティの人間関係網

GTA IVで特筆すべきシステムの一つが、携帯電話だ。ゲーム内でニコはスマートフォンを持っており、これがゲームの中心に据えられている。

ミッションの受注は電話やSMSで来る。「今すぐ来てくれ」「次の仕事の準備ができた」——こういった連絡が入ることで、プレイヤーは次に何をすべきかを自然に把握できる。一方で、ローマンや友人たちからの「遊ぼうよ」という誘いも電話越しに来る。ミッションの着信と友人の着信が混在するこの設計が、ニコの「仕事と人間関係の間で揺れる男」というキャラクターをゲームプレイとして体験させてくれる。

電話で「チート」を入力できるシステムも面白い。特定の番号をダイヤルすることで、武器の補充や体力回復などのチートが使える。ゲーム内の世界観を壊さずにチートを使える仕組みとして、これは当時なかなか斬新な演出だった。

また、ゲームを進めるとインターネットにアクセスできるようになる。ゲーム内のブラウザを使って架空のウェブサイトを閲覧したり、メールで仕事を受注したりできる。これらの架空サイトは、アメリカ社会の消費主義・政治・セレブ文化への皮肉で埋め尽くされており、読んでいるだけで笑える。テキストの量は膨大で、全部読もうとすると相当な時間がかかる。

マルチプレイヤー——かつてあったもの

GTA IVにはかつてオンラインマルチプレイヤーモードが存在した。しかし2020年のComplete Edition再リリースに伴い、Games for Windowsのインフラ依存だったマルチプレイヤー機能は削除されている。

現在Steam版でプレイできるのはシングルプレイヤーのみだ。マルチプレイヤーを遊びたい場合は、FiveM(GTA5のMODサーバー)に移行するか、GTA5のオンラインモードを選ぶことになる。この点は購入前に把握しておく必要がある。

The Lost and Damned——ギャングの矜持と消えていく時代

Grand Theft Auto IV: The Complete Edition 未分類 スクリーンショット3

バイカーギャングの世界

DLC1本目の「The Lost and Damned」は、本編より短い(10〜15時間)が、内容的には本編と同等の密度を持つ。

主人公のジョニー・クレビッツは、バイカーギャング「The Lost MC」の代行リーダーだ。本来のリーダーであるビリー・グレイが刑務所から出所してくることで、組織の方向性をめぐる対立が生まれる。ビリーは「昔ながらの暴力と麻薬で稼ぐギャング」を取り戻そうとし、ジョニーは組織を守るために現実的な選択を迫られる。

このDLCの核心は「義理と組織への忠誠」だ。ジョニーはリーダーシップを持ちながら、上の命令に従い続けなければならない。「なぜ従うのか」「誰のために戦うのか」——そういう問いかけが全編を通して続く。本編のニコが「復讐と生存」の物語だとしたら、Lost and DamnedはもっとGang Dramaに近い。バイカー文化への愛着がある人は特に刺さる内容だ。

ジョニーというキャラクターは、ニコとはまったく異なるタイプの主人公だ。ニコが外部から来た「よそ者」として街に適応していく物語なら、ジョニーはずっとリバティーシティで生きてきた「内部の人間」だ。彼の葛藤はもっと根深い。組織への帰属意識、古くからの仲間への義理、変わっていく時代への抵抗——これがバイカーという文化の象徴として描かれている。

ビリー・グレイというキャラクターも強烈で、刑務所から出てきた直後から問題を次々起こす。「どうしてこいつについていかなきゃいけないんだ」とプレイヤーもジョニーと同じように感じながら、それでも従い続ける構造がうまくできている。

バイクに特化したゲームプレイ

ゲームプレイとして、このDLCはバイクの比重が高い。チョッパーバイクを乗り回す場面が多く、「仲間を率いてバイクで移動」という場面も多数ある。本編よりもバイクの操作感が洗練されており、集団でバイクを走らせるシーンは映画のような迫力がある。

また、新しい武器(ソードオフショットガン、グレネードランチャーなど)が追加されており、戦闘のバリエーションが増える。本編では見られない武器を試すためだけでも価値がある。

ギャング抗争のシステムも追加されており、リバティーシティ各地のターフをめぐってThe Lost MCと敵対ギャングが衝突する。これがサイドアクティビティとして機能しており、ストーリーの合間に挟みながら遊べる。本編にはない「縄張り争い」の要素が、このDLCのゲームプレイに独自のリズムを与えている。

The Ballad of Gay Tony——派手で、明るくて、悲しい

夜の街の人間模様

「The Ballad of Gay Tony」は、3本の中で最も「GTAらしい」ゲームだ。

主人公のルイス・フェルナンド・ロペスは、ドミニカ系アメリカ人。かつては麻薬の売人をしていたが、今はナイトクラブ「Maisonette 9」「Hercules」を経営するトニー・プリンス(通称ゲイ・トニー)のボディーガード兼相棒として働いている。

トニーは派手な生活とギャンブルで多額の借金を抱えており、その解決のためにルイスが奔走する——というのが大まかな構造だ。本編やLost and Damnedと比べると雰囲気が明るく、アクションも派手で、「楽しいGTA」を期待する人にはこちらの方が合うかもしれない。

新要素——ヘリ、ベースジャンプ、パラシュート

Ballad of Gay Tonyで追加された要素の中で特に楽しいのが、パラシュートを使ったベースジャンプだ。

高層ビルや橋の上から飛び降り、パラシュートで着地する。これがGTA IVの中でも最高に気持ちいい瞬間の一つで、「ここから飛んだら気持ちよさそう」という場所を探してわざわざ登るようになる。後にGTA5でも採用されたこのシステムは、Ballad of Gay Tonyが初出だ。

また、軍用ヘリコプターを使ったミッションや、水中で戦うミッションなど、本編にはない状況でのアクションが楽しめる。ストーリー的な重さが本編より少ない分、純粋にアクションを楽しむためのDLCという性格が強い。

トニーとルイスの関係も見どころだ。金のために奉仕しているように見えて、二人の関係には確かな信頼と友情がある。トニーがどんな人間かをじっくり見ていくと、派手な外見とは裏腹に彼が抱えているものが見えてくる。本編のニコとは全然違うが、これもまたリバティーシティで生きる人間の一形態だ。

ナイトクラブ経営のサブアクティビティ

Ballad of Gay Tonyには、トニーのナイトクラブを管理するサブアクティビティが追加されている。クラブの売上を管理し、問題を解決し、VIPゲストへの対応をこなす——これが思った以上に作り込まれている。

クラブ内でのドラッグウォーズ(Drug Wars)もサブアクティビティの一つで、各地でドラッグのディールを邪魔したり守ったりするミッションだ。本筋とは別の稼ぎ手段として機能しており、飽きたときのサイドコンテンツとして重宝する。

地下格闘トーナメントへの参加、トライアスロン、ベースジャンプのチャレンジ——これらのアクティビティが揃っており、3本の中でも「やることの多さ」ではBallad of Gay Tonyが際立っている。ストーリーが短めなぶん、サイドアクティビティで遊ぶ設計になっている。

3本の物語が交わる瞬間

Ballad of Gay Tonyには、本編やThe Lost and Damnedと直接交差するシーンがある。最も有名なのは、本編でニコが巻き込まれる銀行強盗シーンだ。あの現場にルイスもいた——というのがBallad of Gay Tonyで明かされる。

同じシーンを別視点から体験する、この「クロスオーバー」の瞬間は、Complete Editionならではの体験だ。3本を全部プレイしてはじめて「あのとき、裏でこんなことが起きていたのか」という繋がりが見えてくる。1本だけ遊ぶことと、3本通してプレイすることでは、リバティーシティに対する理解の深さがまるで違う。

人気の理由——なぜ今でもプレイされているのか

Grand Theft Auto IV: The Complete Edition 未分類 スクリーンショット4

GTAシリーズの中の異質な存在感

Steamのレビューを見ると、GTA IVへの愛着が伝わってくる。

「ニコ・ベリックは今でもRockstarが生み出した最高の主人公だと思う。彼の物語は本当のアメリカ移民の悲劇を描いている。あれから何年経っても、あのエンディングは忘れられない」

Steamレビュー

「GTA5より好きだと言うと嫌われることもあるけど、ストーリーとリアリズムだけなら4の方が圧倒的に上だと思う。5がうるさくて派手な映画なら、4は静かで重い小説だ」

Steamレビュー

このゲームが今でもプレイされている理由は複数ある。

まず、ストーリーの完成度だ。GTAシリーズ全体を通して見ても、GTA IVのシナリオは突出している。移民のアイデンティティ、戦争トラウマ、アメリカンドリームの幻想——こういうテーマを正面から扱ったゲームは、2008年当時はもちろん今でも多くはない。

次に、物理エンジンの独自性だ。GTA5の方が快適で美しいが、Euphoriaエンジンによる「生々しい物理」はGTA IVの方が上という評価は今も変わっていない。特に格闘戦と自動車事故の挙動については、GTA5でも再現できていない部分がある。

そして、MODコミュニティの活発さだ。PC版のGTA IVには、グラフィック改善MOD、追加コンテンツMOD、ゲームプレイ調整MODなど膨大なMODが存在する。2008年のゲームをMODで現代水準に近づけることも可能で、実際にやっているプレイヤーは今も多い。

「GTA5より4が好き」という声

「GTA5のほうが4より好き」という人は多い。当然だ。GTA5はあらゆる面で「ゲームとして快適」だし、オンラインモードのGTA Onlineは今でも数百万人が遊んでいる。

ただ「GTA4の方が好き」という声も根強い。フォーラムやSteamのレビューを見ると、「GTA5は派手だが、4にあった重さが消えた」「ニコより好きな主人公がいない」「あのリバティーシティの雰囲気は唯一無二だった」という意見が目立つ。

これは優劣の話ではなく、方向性の違いだ。GTA5はカジュアルで派手なオープンワールドゲームの頂点に立つ作品で、GTA4はシリアスで重厚なオープンワールドゲームとして別の頂点に立つ。両方の頂点があって、どちらを好むかは人による。

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サウンドトラックとラジオ——街の空気を作るもの

GTA IVのラジオは、ゲームの雰囲気を作る重要な要素だ。リバティーシティには18のラジオ局があり、それぞれが異なるジャンルの音楽とDJトークを流している。

「The Classics」はクラシックなR&Bとソウルを流す。「Radio Broker」はインディーロックとオルタナ。「Electro-Choc」はエレクトロとダンスミュージック。「Liberty Rock Radio」はクラシックロック。夜のリバティーシティをドライブしながら流れてくる音楽は、この街の多様な文化を反映している。

ただ音楽を流すだけでなく、DJたちのトークがリバティーシティ社会への風刺で埋め尽くされているのも面白い。架空の商品CMや偽ニュースが挟まり、「アメリカのメディアってこういうもんだよな」という皮肉がじわじわ効いてくる。特に「Weazel News」(FOXニュースのパロディ)のアナウンサーが喋る内容は、2008年時点での風刺でありながら今でも笑えるほどリアルだ。

カーラジオの切り替えはゲームプレイ中にシームレスにできるので、ミッションの合間のドライブ中にチャンネルを変えながら音楽を楽しむのが、このゲームの一つの醍醐味でもある。

「ラジオが好きすぎて、目的地に着いても降りずに曲が終わるまで待っていた。あの感覚は他のゲームでは味わえない」

Steamレビュー(プレイ時間80時間超)

The Lost and DamnedとThe Ballad of Gay Tonyの価値

2本のDLCが「おまけ」だと思っているなら、それは誤解だ。

The Lost and Damnedは本編と同じ重さのストーリーを持ち、The Ballad of Gay Tonyは本編が描かなかった別の側面のリバティーシティを見せる。合わせて3本のプレイ時間は50〜60時間を超え、しかもSteamのセール価格ならその全てが格安で手に入る。これを「高コスパ」と言わなければ何を高コスパと言うのか、という話だ。

さらに言うと、3本の主人公が全員リバティーシティという同じ都市に生きながら、全く異なる層の社会を生きている点が面白い。ニコは移民として底辺から這い上がろうとする。ジョニーはアウトローとしてシステムの外で生きようとする。ルイスはセレブの世界の「裏方」として上流と犯罪の間で生きる。3つの視点を合わせることで、リバティーシティという街の全体像が見えてくる。これを1パッケージで体験できるのがComplete Editionの価値だ。

注意点と正直な欠点

PC版の最適化問題——今でも残る課題

GTA IVのPC版は、発売当初から最適化の問題を抱えていた。2008年当時のコンシューマー機向けに作られたゲームをPC版に移植する際、そのプロセスが充分ではなかったと言われている。2020年のComplete Edition再配信でいくつかの改善はあったが、今でも以下の問題が報告されている。

まず、高性能PCでも場合によってフレームレートが不安定になる。特にリバティーシティを走り回るとき、多くの建物や人物を同時に描画しなければならないシーンでfps低下が起きやすい。GTA5は同じ性能のPCで60fps安定できても、GTA4が安定しないという現象は珍しくない。

この問題への対処として、コミュニティが「DXVK」という変換レイヤーをGTA IVに適用する方法を見つけており、多くの環境で劇的なパフォーマンス改善が報告されている。Steamのコミュニティガイドに詳しい手順が載っているので、起動後にfpsの問題を感じたら確認してほしい。

また「Fusion Fix」というMODも、長年蓄積されたバグを修正するもので、PC版をプレイするなら入れておく価値がある。

マルチプレイヤーがない

先述の通り、現在のSteam版Complete EditionにはオンラインマルチプレイヤーやCo-opモードが存在しない。過去にあったGames for Windowsを使ったマルチは削除されており、完全にシングルプレイヤーゲームとして機能している。

友人とオンラインでGTAを遊びたいなら、GTA Onlineがある5を選ぶ方がいい。GTA IVに関しては、シングルプレイヤーの豊かなコンテンツを楽しむゲームだと割り切って考える必要がある。

DLCの日本語未対応

本編(Grand Theft Auto IV)は日本語に対応しているが、2つのDLC(The Lost and DamnedとThe Ballad of Gay Tony)は現在のところ公式日本語には対応していない。字幕・テキストが英語のままだ。

コミュニティによる日本語化MOD(GTAIV.CE.JapaneseFix)がGitHubで公開されており、これを使えばDLC部分も日本語でプレイすることができる。英語でも問題ない人はそのままでいいが、英語に不安がある人はこのMODを使う前提で考えておくといい。

ゲームとしての「地味さ」

GTA5と比べて、GTA IVには豪快に楽しめる要素が少ない。水中ダイビングはできない、飛行機はほぼ出てこない、ヨガやトライアスロンのようなミニゲームは少ない、オンラインで暴れ回る要素もない。

これをデメリットと感じる人も多い。実際、「GTA4はGTA5と比べて何もできない感じがした」という感想もある。ただ逆に言えば、要素が絞られている分、ゲームが目指すものが明確だ。「リバティーシティという街で起きる人間ドラマを体験する」——それに特化した密度がある。

現代的なUIとの乖離

2008年のゲームなので、現代のゲームと比べるとUIやメニュー操作が古く感じる場面がある。マップの見方、ミッション選択の流れ、設定メニューの構造——どれも今のゲームと比べると洗練されていない部分がある。

特に、ミッションが失敗したときに遠くのセーブポイントから再スタートする設計は、現代的なチェックポイントシステムに慣れていると煩わしく感じる。失敗してまたミッション開始地点まで走るのか……という場面は、特に難しいミッションで何度も発生する。

グラフィックの古さは正直ある

これは避けられない話だ。2008年発売のゲームなので、素の状態では現代のゲームと比べてグラフィックが古く見える。テクスチャの解像度、影の品質、キャラクターの顔の作り——今のゲームに慣れた目には引っかかる部分がある。

ただ、前述のグラフィック改善MOD(VisualIVやRedux等)を使えば、かなりの改善が可能だ。またリバティーシティの都市デザイン自体は今でも優秀で、雨の日の濡れた路面の反射や霧がかった川辺の雰囲気は、グラフィックが古くても充分に絵になる。

「グラフィックが良くないと楽しめない」という人には正直きついが、「雰囲気と密度が大事」という人なら気にならないはずだ。実際、GTA5をきっかけにGTA4に戻ってくるプレイヤーが多いのは、グラフィックではなくストーリーと雰囲気が目当てだからだ。

序盤のミッションの単調さ

もう一つ正直に言っておくと、序盤20時間くらいはミッションが地味だ。「ここに行ってこいつを追え」「荷物を届けろ」「こいつを迎えに行け」——シンプルな内容が続く。物語の引きが弱い序盤でこういうミッションが連続すると、「なんかつまらないな」と感じるプレイヤーが出てくるのも理解できる。

ゲームが本当に動き出すのは、リバティーシティの各ファクションとの関係が複雑になり始める中盤以降だ。そこまで到達すれば、「これがGTA IVの本番だったのか」と気づくはずだ。序盤の地味な時間は、その後のための助走だと思ってほしい。

PC版 MODと環境構築——よりよく遊ぶために

Grand Theft Auto IV: The Complete Edition 未分類 スクリーンショット5

まず入れるべきMOD

PC版GTA IVを快適に遊ぶために、コミュニティが推奨するMODがある。ゲームの内容を変えるものではなく、技術的な問題を解消するものなので、初心者にも導入をおすすめする。

「DXVK」は、DirectX 9のゲームをVulkanに変換するレイヤーだ。GTA IVに適用すると、多くのPCでフレームレートが劇的に改善する。「なんかカクカクする」と感じたら最初に試すべき対処だ。

「Fusion Fix」はGTA IVの長年のバグを修正するMODで、グラフィックのバグ、影の表示異常、特定のミッションでの不具合などを解消する。これも基本的には入れておくべきだ。

「LAA(Large Address Aware)Patch」はゲームが使用できるメモリ上限を2GBから4GBに拡大するもので、頻繁なクラッシュを防ぐ効果がある。

これらの導入方法は、Steamコミュニティのガイド「【2024年版】PC版GTA4を遊ぶ前にすべきこと」に詳しくまとめられているので参照してほしい。

グラフィック改善MOD

ビジュアル面で改善したい場合、有名なのが「Redux」や「VisualIV」といったグラフィック改善MODだ。テクスチャの解像度を上げ、照明の品質を改善し、影の描画を改良する。2008年のゲームとは思えないほどのビジュアルに変えることができる。

ただしこれらのMODは要求スペックが上がるし、導入の手順も多少複雑だ。「まずバニラで一周してから」という進め方が安全だ。MODを入れた状態でバグが出ても原因究明が難しくなるし、ストーリーを初めて体験するなら開発者が意図した環境で遊んでほしいという気持ちもある。

日本語化のやり方

本編はSteamで日本語設定にすれば自動で日本語になる。DLCの日本語化については、GitHub上で公開されている「GTAIV.CE.JapaneseFix」を使う方法が最も広まっている。詳しい手順はGitHubページのREADMEに記載されているので、英語に不安がある人はこれを使ってプレイしよう。

初心者へのアドバイス——最初の数時間をどう乗り越えるか

最初は「街に慣れる」時間として使う

GTA IVの序盤は、正直なところストーリーもゲームプレイも地味だ。ニコはリバティーシティに来たばかりで、信頼できる人脈もなく、お金もなく、ミッションも小さな仕事ばかりだ。

この時期にやるべきことは一つ——街に慣れることだ。地図を見ながらどのエリアがどこにつながるかを体で覚える。地下鉄の路線を把握する。タクシーの捕まえ方を覚える。チェックポイントと隠れ家の場所を把握する。これをやっておくと、後半の複雑なカーチェイスやミッションが格段に楽になる。

車の操作は慣れるまで時間がかかる

GTA4の車の挙動に慣れていないうちは、頻繁に事故を起こすし、追跡から逃げきれないし、指定場所に辿り着けないことも多い。でもこれは慣れの問題で、時間が解決する。

最初からキーボードとマウスでやろうとすると難しい。可能であればコントローラーの使用を強くすすめる。GTA IVはコントローラー前提で設計されたゲームで、車の操作もカバーアクションも、コントローラーの方が自然だ。

ローマンの誘いには付き合う

最初はウザく感じるローマンの電話だが、最低でも序盤は付き合うことをおすすめする。友好度が上がると、ゲームプレイ上の恩恵(タクシー無料、拠点への送迎など)が解放されるし、何より関係が深まっていくことでストーリーの感情的な重みが増す。

ゲーム後半のある出来事が、ローマンとの時間をちゃんと過ごしていた人ほど刺さる。それを知った上で、序盤は面倒でも「ボーリング行こう」に応えてみてほしい。

ミッション失敗しても焦らない

GTA IVは現代のゲームと違い、ミッションが失敗すると最初からやり直しになる(後のパッチで一部チェックポイントが追加されたが)。難しいミッションで何度も失敗して「クソゲー」と思う瞬間は必ずくる。

そういうときに有効なのが、ミッションの「戦略を変える」ことだ。正面突破が難しいなら、別のルートから入る。用意してきた武器が合わなければ、別の武器を買ってから再挑戦する。GTA IVのミッションは「一つの正解ルート」があるわけではなく、工夫の余地が広い。

どうしても詰まったら、YouTubeで攻略動画を見ながら進めても構わない。このゲームの真の価値はゲームプレイの難しさではなく、ストーリーにある。難しいミッションで詰まって辞めるのが一番もったいない。

武器は事前に補充してからミッションへ

GTA IVのミッションで詰まる原因の多くは「弾薬不足」だ。ミッション開始前に近くのAmmu-Nation(銃器店)に寄って、使う武器の弾薬を満タンにしておく習慣をつけよう。特に後半のミッションは敵の数が多く、弾切れで詰む場面が出てくる。

ミッション前に体力を回復しておくことも重要だ。ファストフード店で食事をすれば体力が回復する。Cluckin’ BellやBurger Shotといった店が街中に点在しており、ミッション前の準備として習慣にしておくといい。

タクシーを使う

リバティーシティには至る所にタクシーが走っており、手を挙げれば乗れる。目的地を指定して「Skip Trip」を選ぶと、追加料金なしで瞬時に目的地近くにワープできる。長距離の移動が面倒なときは積極的に使おう。特にミッション前後の移動では、タクシーがかなりの時間を節約してくれる。

セーブは複数スロットを使う

GTA IVのオートセーブはあるが、完全に信頼するのは危ない。重要なミッションの前や、サイドミッションを大量に進めた後には、手動でセーブしておくことをおすすめする。セーブスロットは複数あるので、「ここからやり直したい」という場面に備えて複数の時点でセーブしておく習慣が安全だ。

DLCは本編クリア後に

3本をどの順番でプレイするかについて言えば、まず本編をクリアすることをおすすめする。The Lost and DamnedとThe Ballad of Gay Tonyは本編と同じ時間軸のリバティーシティを舞台にしており、本編のキャラクターや事件が絡んでくる。本編を先にやっておいた方が、DLCの細かい繋がりを楽しめる。

DLC2本についての順番は、個人的にはThe Lost and Damnedを先にすることをすすめる。雰囲気が本編に近い暗さを持つため、本編の余韻が冷めないうちにプレイするのが合っている。Ballad of Gay Tonyは最後に明るく締めくくるような内容なので、3本目に置くのがちょうどいい。

隠しパッケージとサイドミッションは後回しでいい

リバティーシティには「飛翔するネズミ(Flying Rats)」と呼ばれる200個の隠しアイテムが各地に隠されている。全部集めると報酬があるのだが、これを先にやろうとするとゲームの流れが完全に止まる。初回プレイでは気にせずストーリーを進めて、クリア後に収集に取り組む方がずっと楽しい。

同様に、友人の友好度を最大まで上げるサブクエストや、ランダムキャラクターのサイドストーリーも、ストーリーの合間に少しずつやれば十分だ。最初から全部やろうとすると疲弊する。GTA IVは「やるべきことリスト」を全消化するゲームではなく、街で生きる体験を楽しむゲームだということを覚えておこう。

動作環境——このスペックで動くか確認する

Grand Theft Auto IV: The Complete Edition 未分類 スクリーンショット6

公式最小要件

  • OS:Windows Vista/XP SP3(64bit推奨)
  • CPU:Intel Core 2 Duo 1.8GHz / AMD Athlon X2 64 2.4GHz
  • RAM:1.5GB(Windows Vista/7では2GB)
  • GPU:256MB VRAM(NVIDIA 7900 / ATI X1900相当以上)
  • ストレージ:16GB
  • DirectX:9.0c

実際に快適にプレイするための推奨スペック

公式の推奨スペックは古いので、現代の環境での目安を書く。

  • OS:Windows 10 64bit以上
  • CPU:Intel Core i5第6世代以上、またはAMD Ryzen 5以上
  • RAM:8GB以上(16GB推奨)
  • GPU:GTX 970 / RX 580相当以上(VRAM 4GB以上)
  • ストレージ:SSD推奨(ロード時間短縮)

前述のようにGTA IVはPC版の最適化が完全ではないため、スペックが十分でもパフォーマンスが安定しない場合がある。DXVKの導入でかなり改善されることが多いので、問題が出たらまずそれを試してほしい。

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まとめ——それでも夢を語り続けるゲーム

GTA IVを一言で表すなら、「アメリカンドリームへの皮肉と愛が混ざり合ったゲーム」だと思う。

ニコ・ベリックはアメリカに来て、夢の代わりに血と泥と裏切りを見た。リバティーシティは美しくてきらびやかで、同時に腐敗していて残酷だ。このゲームが描くのは「夢が嘘だった話」ではなく、「夢が嘘だとわかっても、それでも人は何かに向かって進んでいく話」だ。

ローマンが「高級車、豪邸、美女!」と叫び続けるのは、嘘をついているからだけじゃない。そう信じていないと生きていけないからだ。ニコが依頼を受け続けるのは、金のためだけじゃない。何かをやり遂げた先に、少しは楽になれるかもしれないと思っているからだ。

そういう人間の話を、Rockstarは2008年に作った。そして2026年の今から遊んでも、その話は変わらず刺さる。

グラフィックは古い。動作の最適化に難がある。マルチプレイヤーはない。序盤は地味だ。それでも、「リバティーシティでニコとして生きた時間」は他のゲームでは代えられない体験として残る。GTA5でもRed Dead Redemption 2でも再現できない、あの重さと密度がある。

このゲームが今でも語り継がれている理由は、技術的な話ではないと思う。「ニコ・ベリックの物語が忘れられない」という体験を持つプレイヤーが世界中に存在していて、その人たちが今でもSteamのレビューを書き、フォーラムで話題にし、「また遊んだ」と報告している。それがGTA IVという作品の正体だ。

Complete Editionは本編+DLC2本で合計50〜100時間のボリュームがある。セールで500円台になることもあるゲームに、これだけのものが詰まっている。もし「重くてシリアスなオープンワールドゲーム」を求めているなら、今からでも遅くない。

まだ遊んでいないなら、一度だけ試してほしい。ローマンから「ボーリング行かないか?」という電話が来た瞬間、このゲームの世界に引き込まれているはずだから。

「10年以上経った今でも、ニコ・ベリックの旅は色褪せない。あのエンディングを選んだ日のことを、今でもはっきり覚えている」

Steamレビュー(プレイ時間100時間超)

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